説明

画像認証システムおよび画像認証方法

【課題】 撮影画像および撮影情報の信頼性を正当に評価することのできる、画像認証システムおよび画像認証方法を提供する。
【解決手段】 認証機関からの通信開始応答信号が撮影装置において受信されると(S306)、撮影装置と認証機関との間での通信が開始される。撮影装置で撮影された画像と取得された撮影情報は、認証機関に送信される(S311)。認証機関は、送られてきた画像に対して固有のID番号を発行し、そのID番号を撮影装置に送信する(S315)。また、ID番号に対応づけて、受信した画像と撮影情報をデータベースに登録する(S314)。撮影装置は、送られてきたID番号を受信する(S316)。ユーザは、この受信されたID番号と撮影画像とを認証機関に提示することにより、認証機関による撮影画像およびその撮影情報の認証を受けることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像認証システムおよび画像認証方法に関し、特に、撮影装置で撮影した画像について証拠写真等としての信頼性を認証する画像認証システムおよび画像認証方法に関する。
【0002】
【従来の技術】工事現場などの記録写真、あるいは交通事故現場の写真のような証拠写真等を撮影する際には、撮影日、撮影場所等の付加的な撮影情報を、撮影された画像と共に記録しておく必要がある。
【0003】このため、従来は、ユーザ自らが撮影画像に位置データやコメントなどを付加するという方法や、たとえば、特開平8−97927や特開平10−155046に示されるようにGPS等から得られる情報を用いて自動的に撮影日時や撮影場所等の撮影情報を撮影画像に付加し、必要に応じて情報センターに送信するという方法などが提案されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来技術では、撮影された画像や撮影情報に対しての、記録写真や証拠写真等としての信頼性が保証されるというものではなかった。
【0005】すなわち、ユーザ自らが撮影情報を設定するという方法では、その撮影情報に対する信頼性は決して保証されない。また、特開平8−97927や特開平10−155046に示される技術では、GPS等の情報を利用して撮影情報を得ることにより多少その信頼性は向上するものの、得られた撮影情報がユーザ自身によって管理されるという点においては前者の技術と同等であり、撮影情報の信頼性が正当に証明されるというものではなかった。
【0006】また、これらの技術では、撮影情報に対する信頼性のみならず、その撮影画像自体の改ざんの有無についても保証されるものではなかった。
【0007】ここで、撮影された画像の改ざんの有無を判定することが可能な技術としては、特開平11−215452や特開平11−98344等に開示されているような技術が知られている。しかしながら、これらの技術は、画像に対してのみの信頼性を保証できるに留まり、その画像に関する撮影情報までをも保証するというものではなかった。
【0008】したがって、上記いずれの技術においても、撮影画像およびその撮影情報に対して、記録写真や証拠写真として機能させるための十分な信頼性を持たせることは困難であった。
【0009】本発明はかかる実状に鑑み考え出されたものであり、その目的は、撮影画像および撮影情報の信頼性を正当に評価することのできる、画像認証システムおよび画像認証方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明のある局面に従うと、画像認証システムは、画像を撮影する撮影装置と画像の認証を行なう認証装置とを含み、撮影装置は、撮影情報を取得する取得部と、撮影された画像および取得された撮影情報を送信する画像送信部と、送信された画像のID番号を受信するID番号受信部とを備え、認証装置は、送信された画像および撮影情報を受信する画像受信部と、受信された画像にID番号を発行する発行部と、発行されたID番号に受信された画像および撮影情報を対応づけて登録する登録部と、発行されたID番号を撮影装置に送信するID番号送信部と、画像およびID番号が提示された場合、記憶部に記憶されたID番号、画像および撮影情報に基づき、提示された画像の認証を行なう認証部とを備える。
【0011】この発明に従うと、撮影装置により、撮影された画像および取得された撮影情報は、認証装置に送信される。認証装置では、送信されてきた画像に対してID番号が発行され、これに、送信されてきた画像および撮影情報が対応づけられて記憶部に記憶される。発行されたID番号は、撮影装置に送信される。
【0012】このため、撮影装置により受信されたID番号と、撮影した画像とが認証装置に提示されると、認証部によって、記憶されたID番号、画像および撮影情報に基づいて、提示された画像の認証が行なわれる。
【0013】したがって、撮影画像および撮影情報の信頼性を正当に評価することのできる、画像認証システムを提供することが可能となる。
【0014】好ましくは、前記認証部は、記憶部から、提示されたID番号に基づいて、対応する画像および撮影情報を検索する検索部と、検索された画像と提示された画像とを照合する照合部とを備え、照合部により、検索された画像と提示された画像とが一致すると判断された場合、提示された画像および検索された撮影情報の信頼性を保証する。
【0015】これによると、認証部により、提示されたID番号に基づいて対応する画像および撮影情報が検索され、検索された画像と提示された画像との照合が行なわれる。照合部により一致すると判断された場合は、画像に不正な改ざんが無いことが保証されることになる。また、画像とともに検索された撮影情報の信頼性も同時に保証される。
【0016】また、好ましくは、前記取得部は、Global PositioningSystem(以下「GPS」と略す)を用いて撮影情報を取得することを特徴とする。
【0017】この発明によると、GPSを利用することにより、容易に撮影情報を取得することが可能となる。
【0018】また、好ましくは、前記画像送信部は、画像が撮影されると自動的に撮影された画像および取得された撮影情報を送信する。
【0019】さらに好ましくは、前記ID番号送信部は、発行部によりID番号が発行されると、自動的に発行されたID番号を送信する。
【0020】これらによると、自動的に、撮影装置と認証装置間で、情報の送受信が行なわれる。したがって、ユーザは送信要求や受信要求等を意識することなく利用できるため、使い勝手がよい。
【0021】また、好ましくは、前記発行部は、受信された撮影情報に基づいてID番号を発行することを特徴とする。これにより、ID番号に各画像の撮影情報を反映させることができる。
【0022】また、好ましくは、前記照合部は、提示された画像と記憶された画像の全データが一致するか否かにより照合する。これにより、一致するか否かの判断をより厳密に行なうことができる。
【0023】また、好ましくは、前記撮影装置は、撮影された画像を圧縮する圧縮部をさらに備え、画像送信部は、圧縮された画像を送信する。これにより、画像送信部による送信速度を高速化することができる。
【0024】また、好ましくは、前記認証装置は、受信され画像を圧縮する圧縮装置をさらに備え、記憶部は、圧縮された画像を記憶する。これにより、記憶部に占める1の画像の割合が減少し、より多くの画像を記憶することが可能となる。
【0025】本発明の別の局面に従うと、画像認証システムは、画像を撮影する撮影装置と画像の認証を行なう認証装置とを含み、撮影装置は、撮影情報を取得する取得部と、撮影された画像および取得された撮影情報を送信する送信部と、電子透かしとしてID番号が埋め込まれた画像を受信する受信部とを備え、認証装置は、送信された画像および撮影情報を受信する受信部と、撮影情報とともに受信された画像にID番号を電子透かしとして埋め込むID番号埋込部と、埋め込まれたID番号および受信された撮影情報を対応づけて記憶する記憶部と、ID番号埋込部によりID番号が埋め込まれた画像を撮影装置に返信する返信部と、画像が提示された場合に、提示された画像から埋め込まれたID番号を抽出する抽出部と、抽出部により、提示された画像からID番号が抽出された場合、抽出されたID番号に基づいて記憶部から対応する撮影情報を検索し、提示された画像および検索された撮影情報の信頼性を保証する保証部とを備える。
【0026】この発明に従うと、認証装置では、送信されてきた画像に対してID番号が電子透かしとして埋め込まれる。そして、ID番号が埋め込まれた画像が撮影装置に返信される。
【0027】ID番号の埋め込まれた画像が認証装置に提示されると、ID番号の抽出が行なわれる。ID番号が抽出された場合は、提示された画像に改ざんがないことが保証される。同時に、抽出されたID番号に基づき検索された撮影情報の信頼性も保証されることになる。
【0028】したがって、ユーザはID番号を提示することなく、画像を提示するのみで、提示した画像に対する正当な認証を受けることが可能となる。
【0029】また、本発明のさらに別の局面に従うと、画像認証方法は、撮影情報を取得する取得ステップと、撮影装置により撮影された画像および取得された撮影情報を認証装置に送信する画像送信ステップと、送信された画像および撮影情報を認証装置において受信する画像受信ステップと、受信された画像にID番号を発行する発行ステップと、発行されたID番号に受信された画像および撮影情報を対応づけて記憶する記憶ステップと、発行されたID番号を送信装置に送信するID番号送信ステップと、送信されたID番号を送信装置において受信するID番号受信ステップと、画像およびID番号が提示された場合、記憶されたID番号、画像および撮影情報に基づき、提示された画像の認証を行なう認証ステップとを備える。
【0030】この発明に従うと、撮影装置において撮影された画像および取得された撮影情報は、認証装置に送信される。そして、認証装置において、送信されてきた画像に対するID番号が発行され、これに、送信されてきた画像および撮影情報が対応づけて記憶される。また、発行されたID番号は撮影装置に送信される。
【0031】このため、撮影装置において受信されたID番号と、撮影された画像とが認証装置に提示されると、記憶されたID番号、画像および撮影情報に基づいて、提示された画像の認証が行なわれる。
【0032】したがって、撮影画像および撮影情報の信頼性を正当に評価することのできる画像認証方法を提供することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】[第1の実施の形態]次に、本発明の第1の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1R>1は、本発明の第1の実施の形態における画像認証システム1の全体構成の概略を示す図である。図1を参照して、画像認証システム1は、デジタルカメラ等に代表される撮影装置200と、撮影画像および画像情報の信頼性を認証する認証機関100とで構成されている。
【0034】認証機関100は、撮影画像に固有のID番号を発行するID発行装置102と、ID発行装置102で発行されたID番号に撮影画像および撮影情報を対応づけてデータベースに登録するための画像蓄積装置101とを備えている。
【0035】撮影装置200で撮影された画像は、撮影情報と共に中継局12、13を介して、認証機関100に伝送される。画像および撮影情報を受信した認証機関100は、ID番号発行装置102により、画像に固有のID番号を発行する。そして、画像蓄積装置101に、発行したID番号と共に、画像と撮影情報とを対応づけて登録する。
【0036】図2は、撮影装置200の概略構成を示すブロック図である。図2を参照して、撮影装置200は、撮影ボタン201と、装置全体を制御するCPU202と、レンズを介して入力される光信号を電気信号に変換するCCD203と、画像や撮影情報、通信開始要求等を認証機関100に送信するための送信部204と、GPSから送信されてくる日時情報や位置情報、認証機関100から送信されてくるID番号等を受信するための受信部205と、画像、撮影情報、ID番号等を記憶するためのメモリ部206とを備えている。
【0037】次に、本画像認証システム1における処理の流れについて図3〜図5を用いて説明する。
【0038】図3は、撮影された画像および撮影情報が認証機関100において登録され、ID番号が返信されるまでの処理の流れを示したフローチャートである。ここで、点線枠で囲んだ部分の処理は、撮影装置200内部で行なわれる処理であり、実線枠で囲んだ部分の処理は認証機関100内部で行なわれる処理である。
【0039】図3を参照して、まず、ユーザにより撮影装置200の電源スイッチがONにされると、撮影装置200は撮影待機状態に移行する(ステップS301)。それと同時に、受信部205は、GPS等からの位置や日時情報(以下「撮影情報」と総称する)が取得可能な状態になる。
【0040】次に、撮影装置200は、認証機関100との間で通信を開始するために、送信部204から認証機関100に対して通信開始要求を自動的に送信する(ステップS302)。通信開始要求は、まず最寄りの中継局12に対して送信され、複数の中継局13を経由して認証機関100へと伝送される。
【0041】なお、撮影装置200から中継局12にデータを伝送する方法や、中継局12から別の中継局13あるいは認証機関100にデータを伝送する方法は、電波のような無線を利用してもよいし、ケーブルのような有線を利用してもよい。
【0042】認証機関100では、撮影装置200から送信されてきた通信開始要求を受信すると(ステップS303)、通信等を行なうことが可能な状態に移行するための所定の認証手続を行なう(ステップS304)。認証手続が完了すると、通信開始応答信号を撮影装置200に対して返信する(ステップS305)。
【0043】通信開始応答信号を受信した撮影装置200は、ここで、認証機関100との間での通信が可能な状態になったことを知る(ステップS306)。そして、ここから、撮影装置200と認証機関100との間で通信が開始されることになる。
【0044】ユーザにより撮影装置200の撮影ボタン201が押下されると、CCD203から画像情報が取得されることになり、画像の撮影が行なわれる(ステップS308)。画像の撮影と同時に、受信部205において、GPS等から、位置情報等の撮影情報も取得される(ステップS309)。
【0045】そして、これらの撮影画像および撮影情報は、メモリ部206に送られ、ここで記憶される(ステップS310)。また、撮影画像および撮影情報は、自動的に、送信部204から、認証機関100に対して送信される(ステップS311)。この場合も適宜、中継局12、13等を介してデータが伝送されることになる。
【0046】認証機関100は、送られてきた撮影画像および撮影情報を受信すると(ステップS312)、これらをID発行装置102に送り、固有のID番号を発行する(ステップS313)。ここで、発行されるID番号は、撮影画像に固有のものであり、撮影情報と無関係の通し番号であってもよいし、撮影情報に基づいた番号であってもよい。
【0047】ID番号が発行されると、撮影画像および撮影情報は、画像蓄積装置101に送られ、発行されたID番号に基づいて画像データベースとして登録される(ステップS314)。
【0048】登録が終了すると、認証機関100は、発行されたID番号を中継局12、13等を介して撮影装置200に送信する(ステップS315)。撮影装置200は、受信部205においてこのID番号を受信し(ステップS316)、これをメモリ部206に記憶させる(ステップS317)。
【0049】このようにして、撮影から登録、ID番号の受信までの一連の処理が行なわれる。続けて、画像の撮影が行なわれる場合は(ステップS318で”Yes”)、撮影ボタン201が押下され(ステップS307)、再びステップS307以降の処理が繰り返される(ステップS307〜S318)。
【0050】以上の処理によると、ユーザにより電源がONされて、撮影ボタン201が押下されるのみで、自動的に撮影画像および撮影情報が認証機関100に送信され、また、撮影画像固有のID番号の発行を受けることができる。
【0051】ここで、ステップS313で発行されるID番号について少し説明を加える。図4は、撮影情報に基づいて発行されるID番号の例を示した図である。ID番号は、図4(a)の例では、撮影日と登録番号とで構成されている。撮影日は、GPS等で取得された日時情報に基づいて設定される値であり、登録番号は、認証機関100において同一の番号が存在しないように付加される通し番号である。
【0052】また、図4(b)の例では、さらに最寄りの中継局番号が加わったものとなっている。最寄りの中継局番号とは、撮影装置200が認証機関100と通信する際に、最初に撮影装置200からの情報を受信した中継局に割り当てられている番号である。
【0053】また、図4(c)の例では、図4(a)に加えて、位置情報が付加されたものとなっている。位置情報は、日時情報と共にGPS等から受信したものであり、ここでは、経度と緯度で表わされる値を示している。
【0054】ID番号の情報量を少なくしたい場合は、単に登録番号のみのものや、図4(a)に示すような、撮影日と登録番号で構成されるような簡素なものを設定するようにすればよい。反対に、より多くの情報を付加したい場合には、図4(b)や(c)に示すような、位置情報等を含ませるものや、さらに、撮影した撮影装置200の番号などを含ませるようにしてもよい。なお、撮影した撮影装置200の番号は、位置情報や日時情報と同様に、撮影情報のひとつとして撮影装置200から認証機関100に送信されるものである。
【0055】次に、図5に示すフローチャートを用いて、撮影画像の認証が行なわれる際の処理の流れを説明する。図5を参照して、まず、ユーザは、撮影装置200のメモリ部206に記憶されている撮影画像とID番号とを取り出して、認証機関100に提示する(ステップS502)。
【0056】これを受けた認証機関100は、提示されたID番号を基にして、画像蓄積装置101に記憶されている画像および撮影情報を検索する。そして、検索の結果取り出された画像と提示された画像とを照合し、2つの画像が一致するか否かを判断する(ステップS504)。ここで行なう照合は、例えば、両者の画素データが全て一致するか否か等を判断することにより行なう。
【0057】照合の結果、画像が一致すると判断され場合は(ステップS504において”Yes”)、提示された画像に改ざんなどはなく、かつ、取り出された撮影情報も正当なものであることが保証される(ステップS505)。したがって、その画像は、撮影情報に含まれた日時および場所で撮影されたものであり、証拠写真あるいは記録写真としての信頼性が認証される。
【0058】一方、照合の結果、画像が一致しないと判断された場合は(ステップS504において”No”)、提示された画像は不正に改ざんされたもの、あるいは認証登録がされていないものとして、その正当性は保証されない(ステップS506)。
【0059】このように、画像および撮影情報は、ユーザの手を離れて第3者に管理されることにより、適切に画像の認証が行なわれることになる。なお、本システムにおける認証機関100としては、政府機関等が考えられる。
【0060】[第2の実施の形態]次に、本発明の第2の実施の形態における画像認証システム2について説明する。本実施の形態における画像認証システム2は、第1の実施の形態における画像認証システム1とは異なり、認証機関100により発行されるID番号をそのまま撮影装置200に返信するのではなく、画像に電子透かしとして埋め込んだ状態で返信するというものである。
【0061】以下、画像認証システム1と異なる点について説明する。図6は、画像認証システム2における、撮影装置200と認証機関100との間の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0062】図6を参照して、撮影装置200の電源がONにされてから、認証機関100が、撮影された画像および取得された撮影情報を受信するまでの処理の流れは(ステップS301〜ステップS312)、図3の画像認証システム1と同様である。
【0063】異なるのは、撮影画像および撮影情報を受信した後の処理である。即ち、認証機関100は、まず、受信した画像にID番号を電子透かしとして埋め込む(ステップS613)。そして、ID番号と撮影情報のみを画像蓄積装置101のデータベースに登録し(ステップS314)、ID番号が埋め込まれた画像を撮影装置200に送信する(ステップS615)。ID番号が埋め込まれた画像を受信した撮影装置200は、受信した画像をメモリ部206に記憶させる(ステップ616、S617)。
【0064】このように、認証機関100においては、ID番号が発行され、これを撮影装置200に送信するのではなく、ID番号を電子透かしとして画像に埋め込んだ状態で画像ごと撮影装置200に送信する。
【0065】ID番号が埋め込まれた画像を受信した撮影装置200は、第1の実施の形態の場合と異なり、ID番号と画像とを対応づけて記憶する必要がなく、画像のみを記憶すればよいことになる。したがって、ユーザ側としては、画像(およびID番号)の管理が容易となる。
【0066】図7は、撮影画像の認証が行なわれる際の処理の流れを示したフローチャートである。図7を参照して、まず、ユーザは、撮影装置200のメモリ部206に記憶されている撮影画像を取り出して、認証機関100に提示する(ステップS702)。つまり、ID番号は画像に電子透かしとして埋め込まれているため、ここでは、画像のみを提示すればよくID番号自体の提示を行なう必要はない。
【0067】撮影画像の提示を受けた認証機関100は、その画像から、埋め込まれたID番号を抽出する(ステップS703)。そして、ID番号の抽出が可能な場合は(ステップS703で”Yes”)、抽出されたID番号を基にデータベースから撮影情報を検索する(ステップS704)。
【0068】そして、提示された画像に改ざんなどはなく、かつ、取り出された撮影情報も正当なものであることを保証する(ステップS705)。したがって、その画像は、撮影情報に含まれた日時および場所等で撮影されたものであり、証拠写真あるいは記録写真としての信頼性が認証されることになる。
【0069】一方、画像からID番号が抽出できない場合は(ステップS703において”No”)、提示された画像は不正に改ざんされたもの、あるいは認証登録がされていないものとして、その正当性を保証しない(ステップS706)。
【0070】電子透かしとして埋め込まれているID番号は、画像に対して変更が全く加えられていない場合にのみ取り出すことが可能であるため、取り出せない場合は、何らかの変更が加えられたか、あるいは最初からID番号が埋め込まれていないかのいずれかに該当すると考えられるからである。
【0071】このように、ID番号が画像に電子透かしとして埋め込まれている場合は、画像のみを提示することにより、画像および撮影情報の正当性が認証されることになる。ユーザとしては、ID番号の管理を行なう必要がなく、また、提示する際にもID番号は不要であるため、非常に画像の扱いが容易となる。
【0072】なお、画像認証システム2では、認証機関100内において、画像はデータベースに記憶されないことになるが、念のために、サムネイル画像のような縮小画像にして記録するようにしてもよい。
【0073】また、図3および図6のフローチャートで示すように、撮影装置200と認証機関100との間で画像、撮影情報、ID番号等の通信が行なわれる前に、認証機関100における通信が可能な状態を確認するという通信確立の処理(ステップS302〜ステップS306)が行なわれている。
【0074】この処理を行なう場合は、連続して撮影する際には問題ないが、撮影場所を移動しながら多数の画像を撮影するような場合には、その都度、通信の確立をし直さなければならないことになる。このため、通信確立の処理(ステップS302〜ステップS306)を省略するようにしてもよい。
【0075】そして、ユーザにより電源がONされると(ステップS301)直ぐに、撮影処理に入るようにしてもよい(ステップS307)。この場合、画像と撮影情報が認証機関100に送信され、認証機関100との通信が正常に行なわれたか否かは、認証機関100から送信されてくるID番号(図3のステップS316)または画像(図6のステップS616)を受信することにより知ることができる。
【0076】また、図3や図6のフローチャートでは、撮影装置200で撮影された画像は、そのままの状態で認証機関100に送信されているが(ステップS311)、この方法には限られない。したがって、撮影装置200内で一旦画像を圧縮させてから送信するようにしてもよい。画像を圧縮させることにより、送信時間は短縮される。
【0077】また、図3のステップS314においては、非圧縮の撮影画像をデータベースに登録しているが、この際もそのまま登録するのではなく、認証機関100内において圧縮してから登録するようにしてもよい。このようにすると、認証機関100において、より多くの画像をデータベースに登録することが可能となる。
【0078】また、図1等で示した通信を行なう手法としては、現在幅広く普及しているPHSや携帯電話などを利用することが考えられる。これらの携帯情報端末を撮影装置200に接続するようにしてもよいし、あるいは撮影装置200内部にそれらの機能を組み込ませるようにしてもよい。
【0079】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内ですべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における画像認証システム1の全体構成の概略を示す図である。
【図2】 撮影装置200の概略構成を示すブロック図である。
【図3】 撮影された画像および撮影情報が認証機関100において登録され、ID番号が返信されるまでの処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】 撮影情報に基づいて発行されるID番号の例を示した図である。
【図5】 撮影画像の認証が行なわれる際の処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】 画像認証システム2における、撮影装置200と認証機関100との間の通信処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図7】 撮影画像の認証が行なわれる際の処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像認証システム、12,13 中継局、100 認証機関、101 画像蓄積装置、102 ID発行装置、200 撮影装置、201 撮影ボタン、202 CPU、203 CCD、204 送信部、205 受信部、206メモリ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像を撮影する撮影装置と画像の認証を行なう認証装置とを含む画像認証システムであって、前記撮影装置は、撮影情報を取得する取得手段と、撮影された画像および前記取得された撮影情報を送信する画像送信手段と、前記送信された画像のID番号を受信するID番号受信手段とを備え、前記認証装置は、前記送信された画像および撮影情報を受信する画像受信手段と、前記受信された画像にID番号を発行する発行手段と、前記発行されたID番号に前記受信された画像および撮影情報を対応づけて記憶する記憶手段と、前記発行されたID番号を前記撮影装置に送信するID番号送信手段と、画像およびID番号が提示された場合、前記記憶手段に記憶されたID番号、画像および撮影情報に基づき、前記提示された画像の認証を行なう認証手段とを備えた、画像認証システム。
【請求項2】 前記認証手段は、前記記憶手段から、前記提示されたID番号に基づいて、対応する画像および撮影情報を検索する検索手段と、前記検索された画像と前記提示された画像とを照合する照合手段とを備え、前記照合手段により、前記検索された画像と前記提示された画像とが一致すると判断された場合、前記提示された画像および検索された撮影情報の信頼性を保証する、請求項1に記載の画像認証システム。
【請求項3】 前記取得手段は、Global PositioningSystemを用いて前記撮影情報を取得する、請求項1または2に記載の画像認証システム。
【請求項4】 前記画像送信手段は、画像が撮影されると自動的に前記撮影された画像および取得された撮影情報を送信する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像認証システム。
【請求項5】 前記ID番号送信手段は、前記発行手段によりID番号が発行されると、自動的に前記発行されたID番号を送信する、請求項1〜4のいずれかに記載の画像認証システム。
【請求項6】 前記発行手段は、前記受信された撮影情報に基づいてID番号を発行する、請求項1〜5のいずれかに記載の画像認証システム。
【請求項7】 前記照合手段は、前記提示された画像と前記記憶された画像の全データが一致するか否かにより照合する、請求項2〜6のいずれかに記載の画像認証システム。
【請求項8】 前記撮影装置は、撮影された画像を圧縮する圧縮手段をさらに備え、前記画像送信手段は、前記圧縮された画像を送信する、請求項1〜7のいずれかに記載の画像認証システム。
【請求項9】 前記認証装置は、前記受信された画像を圧縮する圧縮手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記圧縮された画像を記憶する、請求項1〜7のいずれかに記載の画像認証システム。
【請求項10】 画像を撮影する撮影装置と画像の認証を行なう認証装置とを含む画像認証システムであって、前記撮影装置は、撮影情報を取得する取得手段と、撮影された画像および前記取得された撮影情報を送信する送信手段と、電子透かしとしてID番号が埋め込まれた画像を受信する受信手段とを備え、前記認証装置は、前記送信された画像および撮影情報を受信する受信手段と、前記受信された画像にID番号を電子透かしとして埋め込むID番号埋込手段と、前記埋め込まれたID番号および受信された撮影情報を対応づけて記憶する記憶手段と、前記ID番号埋込手段によりID番号が埋め込まれた画像を前記撮影装置に返信する返信手段と、画像が提示された場合に、前記提示された画像から埋め込まれたID番号を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により、前記提示された画像からID番号が抽出された場合、前記抽出されたID番号に基づいて前記記憶手段から対応する撮影情報を検索し、前記提示された画像および前記検索された撮影情報の信頼性を保証する保証手段とを備えた、画像認証システム。
【請求項11】 撮影情報を取得する取得ステップと、撮影装置により撮影された画像および前記取得された撮影情報を認証装置に送信する画像送信ステップと、前記送信された画像および撮影情報を前記認証装置において受信する画像受信ステップと、前記受信された画像にID番号を発行する発行ステップと、前記発行されたID番号に前記受信された画像および撮影情報を対応づけて記憶する記憶ステップと、前記発行されたID番号を前記送信装置に送信するID番号送信ステップと、前記送信されたID番号を前記送信装置において受信するID番号受信ステップと、画像およびID番号が提示された場合、前記記憶されたID番号、画像および撮影情報に基づき、前記提示された画像の認証を行なう認証ステップとを備えた、画像認証方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate