説明

画像読み取り装置

【課題】本体フレーム内にガイド部材と該ガイド部材にガイドされて移動する読み取りユニットを内装した場合でも、装置全体の薄型化を図ることができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】上面が原稿載置面17となるガラス板16を上部に有する本体フレーム11と、該本体フレーム内における原稿載置面の下方領域の外側となる位置に主走査方向と直交する副走査方向に沿って延びるように設けられたガイドレール18と、本体フレーム内に主走査方向に沿って延びるように配置されると共に、その長手方向の一端よりも主走査方向において外側となる位置にはガイドレールに対して副走査方向に沿う係合面を摺接させて係合する被ガイド部30が設けられ、被ガイド部を介してガイドレールにガイドされつつ原稿載置面の下方領域を副走査方向に移動して原稿載置面上の原稿Pの画像を光学的に読み取るCISユニット23とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に係り、詳しくは読み取り方式がCIS(Contact Image Sensor)タイプの画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像を光学的に読み取る光電変換部を有するCISユニットを移動させることで、本体フレームの原稿載置面上にある原稿を読み取る画像読み取り装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。このような画像読み取り装置では、本体フレームの内底面上にレール状のガイド部材が読み取りユニットとしてのCISユニットの長手方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向)に延びるように設けられており、このガイド部材によりCISユニットが副走査方向への移動自在に支持されている。そして、CISユニットにはガイド部材に沿って掛け渡された無端状ベルトの一部が係合支持され、該ベルトがモータ等の駆動力により周回移動することで、CISユニットは副走査方向に沿って移動しながら原稿載置面上の原稿を読み取る構成となっている。
【特許文献1】特開2007−43684号公報
【特許文献2】特開2007−28487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記特許文献1及び特許文献2の構成では、ガイド部材がCISユニットの略中央部の下側を副走査方向に沿って延びるように配置されている。そのため、こうしたガイド部材の設置スペースを本体フレーム内においてCISユニットの下側に確保する必要があり、その分だけ本体フレームが嵩高となって装置全体の薄型化が困難であった。
【0004】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、本体フレーム内にガイド部材と該ガイド部材にガイドされて移動する読み取りユニットを内装した場合でも、装置全体の薄型化を図ることができる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の画像読み取り装置は、上面が原稿載置面となる透明板を上部に有する本体フレームと、該本体フレーム内における前記原稿載置面の下方領域の外側となる位置に主走査方向と直交する副走査方向に沿って延びるように設けられたガイド部材と、前記本体フレーム内に主走査方向に沿って延びるように配置されると共に、その長手方向の一端よりも主走査方向において外側となる位置には前記ガイド部材に対して副走査方向に沿う係合面を摺接させて係合する被ガイド部が設けられ、該被ガイド部を介して前記ガイド部材にガイドされつつ前記原稿載置面の下方領域を副走査方向に移動して該原稿載置面上の原稿の画像を光学的に読み取る読み取りユニットとを備えた。
【0006】
この構成によれば、本体フレーム内においてガイド部材の設置スペースが、読み取りユニットの下側にではなく、主走査方向において読み取りユニットの長手方向の一端よりも外側に確保される。そのため、読み取りユニットの下側にガイド部材の設置スペースを確保しなくて済む分、本体フレームの薄型化が可能となる。したがって、本体フレーム内にガイド部材と該ガイド部材にガイドされて移動する読み取りユニットを内装した場合でも、装置全体の薄型化を図ることができる。
【0007】
また、本発明の画像読み取り装置において、前記ガイド部材は、断面凸状をなすように形成されており、該ガイド部材における副走査方向に沿う両外側面のうち、一方の外側面は少なくとも上方が斜面部に形成されると共に、他方の外側面は垂直面状又は前記一方の外側面の斜面部よりも垂直に近い斜面状に形成され、前記被ガイド部は、前記ガイド部材に上方から嵌合態様で係合可能な断面凹状の係合部を有しており、該係合部において前記係合面を構成する副走査方向に沿う両内側面のうち、一方の内側面は少なくとも内奥側となる上方が前記ガイド部材における前記一方の外側面の前記斜面部と対応した斜面部に形成されると共に、他方の内側面は前記ガイド部材における前記他方の外側面と対応した垂直面状又は斜面状に形成されている。
【0008】
この構成によれば、読み取りユニットの自重等により被ガイド部にガイド部材側となる下方へ向かう力が加わった場合、被ガイド部は、係合部の両内側面のうち一方側の内側面がガイド部材の両外側面のうち一方側の外側面と斜面同士が斜め方向に摺接することで主走査方向に変位する。すると、この変位に伴い、被ガイド部は、係合部の他方側の内側面を該内側面と主走査方向において対面するガイド部材の他方側の外側面に対して副走査方向に沿って面接触するように圧接させる。したがって、この面接触状態により被係合部は読み取りユニットを主走査方向に沿った位置状態に位置決め保持することが可能となり、読み取りユニットの他端側が副走査方向への移動時に振れてしまうことで画像読み取りに支障が生じることを抑制できる。
【0009】
また、本発明の画像読み取り装置において、前記被ガイド部は、前記読み取りユニットの長手方向の一端から見て副走査方向の一方側及び他方側の双方の位置で前記係合面が前記ガイド部材に係合している。
【0010】
この構成によれば、被ガイド部は読み取りユニットの長手方向の一端から見て副走査方向の一方側及び他方側の双方の位置で係合面がガイド部材と副走査方向に沿って摺接可能に係合するので、より確実に、読み取りユニットを主走査方向に沿った位置状態に位置決め保持することができる。
【0011】
また、本発明の画像読み取り装置において、前記読み取りユニット又は前記被ガイド部には前記透明板の下面に対して摺接可能に又は転動可能に当接する当接部が設けられる一方、前記被ガイド部には、前記係合面を有して上下方向への移動自在に支持された係合部材と、該係合部材と前記被ガイド部との間に介在して、前記係合面が前記ガイド部材に圧接される方向へ前記係合部材を押圧すると共に、前記当接部が前記透明板に対して圧接される方向へ前記被ガイド部を付勢する弾性部材とが設けられている。
【0012】
この構成によれば、弾性部材の押圧力で被ガイド部における係合部材の係合面がガイド部材に対して圧接されることにより、読み取りユニットを主走査方向に沿った位置状態に位置決め保持することができる。また、前記弾性部材の係合部材に対する押圧力とは反対方向の付勢力で当接部が透明板に対して圧接されることにより、読み取りユニットと原稿載置面との距離を一定に維持できる。
【0013】
また、本発明の画像読み取り装置において、前記被ガイド部は、前記当接部を支点とした場合、該支点から見て副走査方向の一方側に向けて延びる力点側延設部と他方側に向けて延びる作用点側延設部を有しており、前記係合部材及び前記弾性部材を前記力点側延設部に設け、該力点側延設部では前記係合部材の係合面が該係合部材に対する前記弾性部材の押圧力に基づき前記ガイド部材に係合すると共に、前記作用点側延設部では該作用点側延設部の一部が前記被ガイド部の前記力点側延設部に対する前記弾性部材の付勢力に基づき前記ガイド部材に係合する構成とされている。
【0014】
この構成によれば、力点側延設部では係合部材に対する弾性部材の押圧力をガイド部材に対する係合面の圧接力として作用させることができる一方、作用点側延設部では被ガイド部の力点側延設部に対する弾性部材の付勢力を梃子の原理に基づきガイド部材に対する作用点側延設部の一部(係合面)の圧接力として作用させることができる。したがって、力点側延設部及び作用点側延設部の双方の係合面をガイド部材に対して均衡に圧接できるため、より確実に、読み取りユニットを主走査方向に沿った適正な位置状態に位置決め保持できるようになる。
【0015】
また、本発明の画像読み取り装置において、前記被ガイド部は、副走査方向において、前記当接部から前記力点側延設部における前記弾性部材の付勢力が加わる力点までの力点側距離よりも、前記当接部から前記作用点側延設部における該作用点側延設部の一部が前記弾性部材の付勢力に基づき前記ガイド部材に係合する作用点までの作用点側距離の方が大きく設定されている。
【0016】
この構成によれば、被ガイド部の力点側延設部に対する弾性部材の付勢力で被ガイド部が力点側延設部を浮き上がらせて作用点側延設部を沈み込ませるように傾いてしまうことを抑制でき、その結果、読み取りユニットが原稿載置面に対して主走査方向に沿う軸線を中心にして回動するように傾いてしまうことを効果的に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した画像読み取り装置の一実施形態を図1〜図7にしたがって説明する。なお、以下の明細書中の記載において「前後方向」「左右方向」「上下方向」をいう場合は、特に断らない限り、各図において矢印で示す方向をいうものとする。
【0018】
図1〜図3に示すように、本実施形態の画像読み取り装置10は、その全体形状を規定する矩形箱状の本体フレーム11を備えている。本体フレーム11は、平面視長方形状の底板12と、該底板12の四辺に沿って立設された側壁13と、該側壁13の上端に固定された外形が底板12と略同一の天板14と、該天板14に開口形成された長方形状の開口部15を塞ぐように天板14の下面に固定されたガラス板(透明板)16とを備えている。そして、このガラス板16の上面が画像読み取り時に原稿Pを載置する原稿載置面17とされている。
【0019】
図2に示すように、本体フレーム11内において、該本体フレーム11の内底面となる底板12の表面上には、断面凸状をなすガイドレール(ガイド部材)18が原稿載置面17の下方領域の右側(外側)となる位置で前後方向(副走査方向)に沿って延びるように設けられている。また、図1に示すように、底板12の表面上において、ガイドレール18の延長線上における後方側位置にはモータ19の駆動力により回転駆動される駆動プーリ20が軸方向を上下方向にして回動自在に設けられると共に、同じくその前方側位置には従動プーリ21が軸方向を上下方向にして回動自在に設けられている。そして、駆動プーリ20と従動プーリ21との間には無端状のベルト22が平面視においてガイドレール18を細長く周回状に取り囲むようにして掛装され、モータ19の駆動に伴い前後方向(副走査方向)に沿って周回移動するようになっている。
【0020】
また、本体フレーム11内において、原稿載置面17の下方領域となる位置には読み取りユニットとしてのCIS(Contact Image Sensor)ユニット23が左右方向(主走査方向)に沿って延びるように配置されている。このCISユニット23は、原稿載置面17の左右幅よりも長い直方体状をなすユニット本体24を有しており、このユニット本体24には原稿載置面17上に載置された原稿Pの画像を光学的に読み取るための光電変換部(図示略)がユニット本体24の長手方向(主走査方向となる左右方向)に沿って配列されている。
【0021】
そして、このCISユニット23におけるユニット本体24の左右両端部の各上面側には、ガラス板16の下面に対して転動自在に当接するコロ(当接部)25,26が各々設けられている。なお、両コロ25,26はユニット本体24の幅方向(前後方向)で同一となる位置に設けられている。また、底板12の表面上においてガイドレール18の左横には、帯状をなすフレキシブルケーブルFが前後方向に沿って延びるように配線されており、該フレキシブルケーブルFの先端がユニット本体24の右端側前部に前記光電変換部に給電するべく接続されている。
【0022】
図4に示すように、CISユニット23におけるユニット本体24の左端部の下面にはコマ収容穴27が上方に向けて穿設され、該コマ収容穴27内には底板12の表面上に摺接可能に当接する摺接コマ28が上下方向への移動自在に収容されている。摺接コマ28の上部とコマ収容穴27の内奥面との間には弾性部材の一種であるコイルスプリング29が介装されており、このコイルスプリング29の下方への押圧力によって摺接コマ28は常に底板12の表面に向けて圧接されている。また、コイルスプリング29は、摺接コマ28を底板12の表面に向けて押圧する一方で、その押圧方向と反対方向(すなわち、上方)にコマ収容穴27の内奥面を付勢しており、その付勢力に基づきユニット本体24の左端部上面側に設けられたコロ25は常にガラス板16の下面に向けて圧接されている。
【0023】
一方、図1〜図3,図5〜図7に示すように、CISユニット23のユニット本体24における右端(長手方向の一端)からは、ガイドレール18に係合する全体形状が前後方向(副走査方向)に沿う直方体形状の被ガイド部30が、ユニット本体24の右端よりも左右方向において右側(外側)となる位置態様をとるように延設されている。この被ガイド部30は、ユニット本体24の右端部上面側に設けられたコロ26から見て、前後方向(副走査方向)の後側(一方側)に向けて延びる後側延設部(力点側延設部)31と、前後方向(副走査方向)の前側(他方側)に向けて延びる前側延設部(作用点側延設部)32とを備えている。
【0024】
ここで、図2に示すように、被ガイド部30はガイドレール18に対して上方から跨るような嵌合態様で係合していると共に、図1及び図3に示すように、その被ガイド部30における後側延設部31の上部にはベルト22のクランプ部33が設けられている。そして、モータ19の駆動力に基づきベルト22が周回移動した場合には、被ガイド部30がガイドレール18に沿って前後方向に往復移動する結果、該被ガイド部30と一体的構造をなすCISユニット23も前後方向に往復移動し、その往動(前進移動)の途中に原稿載置面17上の原稿Pの画像を読み取るようになっている。すなわち、被ガイド部30はガイドレール18に対して前後方向への摺接可能に係合する係合構造を有しており、この係合構造によりCISユニット23のユニット本体24は長手方向が左右方向に沿う位置状態となるように位置決め保持されている。
【0025】
そこで次に、被ガイド部30とガイドレール18との係合構造について詳述する。
図5(a)(b),図6に示すように、ガイドレール18は、前後方向(副走査方向)に沿う左右両外側面34,35が互いに異なる面形状に形成されている。すなわち、その左外側面(一方の外側面)34は上下方向の中途から上方が左下がり勾配の斜面部36に形成されると共に、その斜面部36の下端から下方が垂直面状に形成されている。また、その右外側面(他方の外側面)35は上端から下端まで一様に垂直面状に形成されている。
【0026】
一方、このガイドレール18に跨るような嵌合態様で係合する被ガイド部30においては、図5〜図7に示すように、後側延設部31におけるクランプ部33が設けられた位置よりも後側となる後端部の下面にコマ収容穴37が上方に向けて穿設されている。コマ収容穴37内には、例えば摺動特性に優れたPOM(polyacetal,polyoxymethylene)等の材料からなる係合コマ(係合部材)38が上下方向への移動自在に収容されている。この係合コマ38の下面にはガイドレール18の左右幅よりも若干幅広で前後方向(副走査方向)に沿う凹溝39が、ガイドレール18に上方から嵌合態様で係合可能な断面凹状をなす係合部を構成するべく形成されている。
【0027】
係合コマ38における凹溝39の左右両内側面40,41はガイドレール18の左右両外側面34,35に対して前後方向への摺接可能に係合する係合面を構成する面であり、ガイドレール18における左右両外側面34,35の場合と同様に、左右両内側面40,41が互いに異なる面形状に形成されている。すなわち、その左内側面(一方の内側面)40は凹溝39の内奥側となる中途から上方が左下がり勾配の斜面部42に形成されると共に、その斜面部42の下端から下方が垂直面状に形成されている。また、その右内側面(他方の内側面)41は上端から下端まで一様に垂直面状に形成されている。
【0028】
なお、係合コマ38の斜面部42は、その勾配がガイドレール18の斜面部36と同じである一方、その斜め方向に沿う斜面長さはガイドレール18の斜面部36の斜面長さよりも長くなるように形成されている。そして、係合コマ38は、凹溝39の左内側面40の斜面部42がガイドレール18の左外側面34の斜面部36に面接触したガイドレール18に対する嵌合状態において、その凹溝39の内奥面とガイドレール18の頂面との間及びその凹溝39の左内側面40とガイドレール18の左外側面34との間に若干の隙間が確保形成されるようになっている。
【0029】
また、コマ収容穴37内において係合コマ38の上部とコマ収容穴37の内奥面との間には弾性部材としてのコイルばね43が介装されており、このコイルばね43の下方への押圧力と被ガイド部30及びCISユニット23の重量に基づく下方への押圧力とにより係合コマ38は常にガイドレール18に向けて圧接されている。その結果、そうした下方への押圧力に基づき、係合コマ38には、斜面部42がガイドレール18の斜面部36に摺接して左斜め下方へ変位しようとする力が加わるようになっている。そして、このときに既述した係合コマ38の凹溝39とガイドレール18との間に若干の隙間が確保されていることにより、係合コマ38は、主走査方向となる左右方向へ変位し、垂直面状の右内側面41がガイドレール18の同じく垂直面状の右外側面35に対して前後方向に沿って圧接状態で面接触するようになっている。
【0030】
また、コイルばね43は、係合コマ38を下方のガイドレール18側に向けて押圧する一方で、その押圧方向と反対方向(すなわち、上方)にコマ収容穴37の内奥面を付勢しており、その付勢力に基づき被ガイド部30の後側延設部31は上方に向けて付勢されている。そして、この上方への付勢力に基づき被ガイド部30と一体構造をなすユニット本体24も上方へ付勢されることになり、その結果、該ユニット本体24の右端側上部に設けられたコロ26は常にガラス板16の下面に向けて圧接されるようになっている。
【0031】
一方、被ガイド部30の前側延設部32における前端部(一部)の下面には、係合コマ38の下面に形成された凹溝39と前後方向で対応する凹溝44が、ガイドレール18に上方から嵌合態様で係合可能な断面凹状をなす係合部を構成するべく形成されている。すなわち、この凹溝44は、係合コマ38の凹溝39と前後方向において同じ断面形状となるように形成されており、これにより凹溝44の左右両内側面は、係合コマ38における凹溝39の左右両内側面40,41と同様に、ガイドレール18の左右両外側面34,35に対して前後方向への摺接可能に係合する係合面を構成している。なお、この係合面を構成する凹溝44の左右両内側面については、図6,図7において左内側面45及び斜面部46のみを図示している。
【0032】
そして、この被ガイド部30における前側延設部32は、その凹溝44の左右両内側面をガイドレール18の左右両外側面34,35に対して被ガイド部30及びCISユニット23の重量に基づく下方への押圧力による以外に、以下のような梃子の原理を利用して面接触させるようになっている。
【0033】
すなわち、既述したように、被ガイド部30の後側延設部31では、コマ収容穴37に収容されている係合コマ38がコイルばね43により下方へ押圧されることで、係合コマ38における凹溝39内の左右両内側面40,41(斜面部42を含む)がガイドレール18の左右両外側面34,35(斜面部36を含む)に圧接される。そして、その際にはコイルばね43が係合コマ38を下方に押圧する一方でユニット本体24の右端部上面側に設けられたコロ26をガラス板16の下面に向けて圧接させるようにコマ収容穴37の内奥面を上方に向けて付勢するため、この付勢力で後側延設部31が上方に付勢される。
【0034】
したがって、図7に示すように、被ガイド部30は、その前後方向においてコロ26を支点として見た場合、コマ収容穴37を形成した後側延設部31の後端部が力点となって上方に付勢される一方、梃子の原理により前側延設部32の前端部が作用点となって下方に付勢されることになる。すなわち、前側延設部32では、梃子の原理に基づき、力点となる後側延設部31の後端部を上方に付勢する付勢力を作用点となる前側延設部32の前端部を下方に付勢する付勢力にし、かかる付勢力を前側延設部32における凹溝44の左右両内側面をガイドレール18の左右両外側面34,35に対して圧接状態に面接触させる力にしている。この点で、被ガイド部30は、その後端部がコイルばね43の付勢力の力点となる後側延設部31を力点側延設部として機能させていると共に、その前端部がコイルばね43の付勢力の作用点となる前側延設部32を作用点側延設部として機能させているといえる。
【0035】
また、図7に示すように、被ガイド部30は、その長手方向(前後方向)において、支点となるコロ26から後側延設部31における力点となる後端部(具体的には、コイルばね43の付勢力が加えられる位置)までの力点側距離L1と、支点となるコロ26から前側延設部32における作用点となる前端部までの作用点側距離L2が相違している。すなわち、力点側距離L1よりも作用点側距離L2の方が大きく設定されている。これは次のような理由によっている。
【0036】
一般に、CISユニット23のユニット本体24が原稿載置面17上の原稿Pの画像を読み取るために移動する際には、ユニット本体24の上部(本実施形態の場合は被ガイド部30の上部)に設けられたクランプ部33を介して連結されたベルト22に引っ張られるようにして前進移動する。そのため、その移動の際に、ユニット本体24にはガラス板16とコロ26(25)との摩擦抵抗などに起因して主走査方向に沿う軸線を中心にして回動する(傾く)方向への力が作用することになる。したがって、こうした回動や傾きを抑制するという観点のみに基づけば、コイルばね43の配設位置(力点となる位置)は被ガイド部30の長手方向においてコロ26の配設位置(支点となる位置)の直下付近が望ましいことになる。
【0037】
この点、本実施形態では、CISユニット23のユニット本体24が前後方向(副走査方向)への移動時にガイドレール18と直交した左右方向(主走査方向)に沿った適正な位置状態に位置決め保持されるように、被ガイド部30を前後方向に沿う後側延設部31と前側延設部32からなる構成としている。そして、弾性部材を設けていない前側延設部32の前端部の一部(係合面)をガイドレール18に圧接させるために必要となる下方への力を、コロ26を支点とした梃子の原理を利用して確保するべく、後側延設部31の後端部にコイルばね43を配設している。
【0038】
したがって、かかる本実施形態において、仮に、コイルばね43の付勢力により上方へ付勢される後側延設部31の後端部(力点)とコロ26(支点)との間の力点側距離L1の方が前側延設部32の前端部(作用点)とコロ26(支点)との間の作用点側距離L2よりも大きい設定にしたとすると、次のような不具合が生じる虞がある。すなわち、この場合には、後側延設部31の後端部(力点)に対するコイルばね43の上方への付勢力のモーメントが大きくなってしまい、CISユニット23のユニット本体24を前方へ傾くように回動させる力を生み出してしまう。
【0039】
そのため、そのような不具合が発生することを抑制するために、本実施形態では、前述したように、力点側距離L1よりも作用点側距離L2の方が大きく設定されているのである。なお、本実施形態の場合、この力点側距離L1と作用点側距離L2との長さ比率は、その一例として、L1:L2=1:1.8に設定されている。因みに、作用点側距離L2は力点側距離L1の1.3倍〜2倍程度に設定することが望ましい。
【0040】
そこで次に、以上のように構成された本実施形態の画像読み取り装置10の作用に関して、特に、CISユニット23(ユニット本体24)を前後方向(副走査方向)に移動させる際にガイドレール18に摺接係合してガイドされる被ガイド部30の機能に着目して以下説明する。
【0041】
さて、駆動モータ19の駆動に伴いベルト22が周回移動を開始すると、該ベルト22の一部にクランプ部33を介して連結された被ガイド部30がガイドレール18にガイドされて前後方向に移動する結果、この被ガイド部30と一体構造のCISユニット23も原稿載置面17の下方領域を前後方向に移動する。すなわち、左右方向(主走査方向)に長尺状のCISユニット23は、そのユニット本体24の右端(一端)から更に右側(外側)へ延設した被ガイド部30を、原稿載置面17の下方領域の右側(外側)となる位置に前後方向(副走査方向)に沿って延びるように設けられたガイドレール18に摺接係合させつつ前後方向にガイドされる。そして、この場合にCISユニット23の被ガイド部30を前後方向に摺接係合させてガイドするガイドレール18は、CISユニット23の下側を通ることなく、CISユニット23の長手方向の右端(一端)よりも右側(外側)となる位置に設けられていることから、本体フレーム11は上下方向に薄型化が可能とされる。
【0042】
なお、その前後移動時において、CISユニット23は、被ガイド部30との連結部位である右端部(一端部)とは反対側の左端部(他端部)が移動方向後方に向けて移動遅れするように振れてしまうと、原稿載置面17上に載置された原稿Pの画像の読み取り精度に支障を生じる虞がある。特に、1本のガイドレール18にユニット本体24の右端から延設した被ガイド部30を摺接係合させることにより片持ち支持された姿勢態様でガイドされる本実施形態の場合には、左端部側が底板12の表面上に摺接コマ28を摺接させて移動する構成であるため、その摺接抵抗に起因して、そのような振れが生じ易い。
【0043】
この点、本実施形態では、被ガイド部30が、凹溝(係合部)39,44の左内側面(係合面)40,45の斜面部42,46をガイドレール18の左外側面34の斜面部36に沿って左斜め下方へ摺動させることにより左方へ変位し、凹溝39,44の垂直面状をなす右内側面41をガイドレール18の垂直面状をなす右外側面35に面接触させている。そのため、この被ガイド部30と一体構造をなすCISユニット23は主走査方向となる左右方向に沿った位置状態に位置決め保持され、その左端部が移動遅れするように振れることもなく、画像読み取りのために適正な位置状態を維持して前後方向に移動する。
【0044】
また、CISユニット23を前後移動させる際に、被ガイド部30は、CISユニット23の右端(一端)から見て後側に延びる後側延設部31と前側に延びる前側延設部32の双方が各々有する係合面(斜面部42,46を含む左右両内側面40,41,45)をガイドレール18に対して前後方向への摺接可能に係合させる。そのため、より確実に、被ガイド部30と一体構造をなすCISユニット23は主走査方向となる左右方向に沿った位置状態に位置決め保持される。
【0045】
また、CISユニット23は、コイルスプリング29とコイルばね43がユニット本体24を常に上方に向けて付勢しているため、その付勢力によりユニット本体24の左右両端部の各上面側に設けられたコロ25,26は常にガラス板16の下面に対して圧接した状態に維持される。そのため、CISユニット23の前後移動時には、該CISユニット23の原稿載置面17に対する距離(所謂スキャン距離)が変化することなく良好に維持される。
【0046】
また、被ガイド部30は、該被ガイド部30及びCISユニット23の重量に基づく下方への押圧力の他に、後側延設部31の後端部に配設したコイルばね43の弾性力(押圧力及び付勢力)を利用してガイドレール18に対して圧接状態に係合される。すなわち、後側延設部31では、コイルばね43が係合コマ38を下方に押圧する押圧力により係合コマ38に形成された係合面(斜面部42を含む左内側面40と右内側面41)がガイドレール18に圧接される。一方、前側延設部32では、コイルばね43の上方への付勢力で後側延設部31の後端部が上方に付勢されると共に、梃子の原理により、前側延設部32の前端部が下方に付勢され、その下方への付勢力により前側延設部32の前端部の一部からなる係合面がガイドレール18に圧接される。このように、被ガイド部30においては、後側延設部31及び前側延設部32の双方がガイドレール18に対して均衡な圧接状態で摺接係合させられる。
【0047】
なお、後側延設部31の後端部に対するコイルばね43の上方への付勢力が加わる位置(力点)と支点となるコロ26との間の力点側距離L1はコイルばね43の付勢力が梃子の原理により前側延設部32の前端部を下方へ付勢する付勢力の作用する位置(作用点)と支点となるコロ26との間の作用点側距離L2よりも短く設定されている。そのため、梃子の原理を利用したコイルばね43の付勢力によってCISユニット23が前方へ傾いてしまうような虞も、作用点側距離L2が長く設定された前側延設部32が踏ん張るようにガイドレール18に対して係合することで抑制される。
【0048】
また、CISユニット23は、被ガイド部30における後側延設部31の上部に設けたクランプ部33を介してベルト22に前後方向へ引っ張られるようにして前後移動する。そのため、特に画像読み取りのために前進移動する際には、上部にクランプ部33のある後側延設部31をガイドレール18から浮き上がらせる一方、コロ26を支点とする梃子の原理により前側延設部32を沈み込ませるような力がベルト22からクランプ部33を介して加えられることになる。しかし、そのようなクランプ部33が設けられた位置は、コロ26から見た場合、後側延設部31の後端部よりもコロ26に近い距離であり、これはコロ26から後側延設部31の後端部までの力点側距離L1よりも更に短い。したがって、そのようなベルト22から加わるCISユニット23を傾けようとする力は、力点側距離L1よりも作用点側距離L2が長くなるように設定された前側延設部32の踏ん張り作用により抑制される。
【0049】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本体フレーム11内においてガイドレール18はCISユニット23のユニット本体24の下側を通ることなく該ユニット本体24の長手方向の右端(一端)よりも外側に配置されるので、CISユニット23の下方にガイドレール18の設置スペースを設けなくて済む分だけ、本体フレーム11の薄型化が可能となる。しかも、ユニット本体24の長手方向の右端(一端)よりも外側の位置で、ガイドレール18は、その頂部の部分がユニット本体24の上下方向の厚さ範囲内に位置するため、この点で、更に本体フレーム11の薄型化に貢献できる。したがって、かかる本体フレーム11により全体形状が規定される画像読み取り装置10の薄型化を図ることができる。
【0050】
(2)CISユニット23の被ガイド部30は、ガイドレール18に対する係合状態において、係合コマ38がコイルばね43から受ける下方への押圧力等に基づき凹溝39の左内側面40の斜面部42をガイドレール18の左外側面34の斜面部36に摺接させて左斜め下方へ変位する。そして、かかる係合コマ38の変位に基づき凹溝39の前後方向に沿って垂直面状の右内側面41がガイドレール18の同じく前後方向に沿って垂直面状の右外側面35に圧接された面接触状態となるため、CISユニット23は、長手方向が左右方向(主走査方向)に沿って延びる適正な位置状態に位置決め保持される。したがって、画像読み取りのためにCISユニット23を前進移動させる際には、該CISユニット23の左端部が移動遅れするように後方側へ振れることを抑制でき、画像読み取り精度を良好に維持することができる。
【0051】
(3)被ガイド部30においては、CISユニット23の長手方向を左右方向(主走査方向)に沿って延びる適正な位置状態に位置決め保持するためにガイドレール18に嵌合態様で係合する凹溝39,44が前後方向に延びる後側延設部31の後端部と前側延設部32の前端部にそれぞれ設けられている。そのため、CISユニット23の前後移動時において、被ガイド部30は、CISユニット23の右端(一端)から見て後方側及び前方側の双方の位置で凹溝39,44内に形成された各係合面(斜面部42,46を含む左右両内側面40,41,45)がガイドレールの左右両外側面34,35及び斜面部36に摺接係合してガイドされる。したがって、この点で、CISユニット23の位置決め保持機能を更に向上することができる。
【0052】
(4)摺接コマ28を下方に押圧するコイルスプリング29及び係合コマ38を下方に押圧するコイルばね43が、それらの押圧方向とは反対方向の上方に向けてユニット本体24を付勢することにより、ユニット本体24の左右両端部の各上面側に設けられたコロ25,26を常にガラス板16の下面に対して圧接状態に維持している。そのため、CISユニット23を画像読み取りのために前進移動させる場合には、該CISユニット23の原稿載置面17に対する距離(所謂スキャン距離)を一定に維持することができ、良好な画像読み取り精度を確保することができる。
【0053】
(5)被ガイド部30は、該被ガイド部30及びCISユニット23の重量による以外に、後側延設部31の後端部に配設したコイルばね43の弾性力(下方への押圧力と上方への付勢力)を利用して、後側延設部31及び前側延設部32に各々設けられた係合面をガイドレール18に圧接させた係合状態にすることができる。すなわち、後側延設部31では、コイルばね43の下方への押圧力で係合コマ38に設けられた係合面(斜面部42を含む左内側面40と右内側面41)をガイドレール18に対して圧接状態に係合させることができる。一方、前側延設部32では、後側延設部31の後端部を上方に付勢するコイルばね43の付勢力を梃子の原理により前側延設部32の前端部を下方に付勢する力に変換し、その前端部の一部で構成される係合面(斜面部46を含む左内側面45と右内側面)をガイドレール18に対して圧接状態に係合させることができる。したがって、同じコイルばね43の弾性力(押圧力と付勢力)を利用して、後側延設部31及び前側延設部32に各々設けられた係合面をガイドレール18に対して均衡した圧接状態にすることができる。
【0054】
(6)また、梃子の原理が働く被ガイド部30の後側延設部31及び前側延設部32は、前後方向において支点となるコロ26から力点となる後側延設部31の後端部までの力点側距離L1よりも支点となるコロ26から作用点となる前側延設部32の前端部までの作用点側距離L2の方が大きく設定されている。そのため、コイルばね43の付勢力で梃子の原理により後側延設部31を浮き上がらせて前側延設部32を沈みこませるような傾きが生じることを抑制でき、CISユニット23が原稿載置面17に対して傾くことを抑制できる。
【0055】
(7)また、CISユニット23は、被ガイド部30の上部のクランプ部33を介して周回移動するベルト22に前後方向へ引っ張られるようにして前後移動するため、例えば画像読み取りのための前進移動時には、コロ26を支点とする梃子の原理により前側延設部32を沈み込ませるように傾く虞がある。しかし、本実施形態では、クランプ部33とコロ26との間の距離よりも、そのコロ26から前側延設部32の前端部までの作用点側距離L2の方が長いので、そうした前側延設部32の踏ん張り作用によりベルト22から加わるCISユニット23を傾けようとする力を抑制することができる。
【0056】
(8)また、ベルト22は平面視においてガイドレール18を細長く周回状に取り囲むように配置されてガイドレール18と上下方向で重なり合う配置態様であるので、この点で、本体フレーム11が平面視で大型化することを抑制できる。
【0057】
(9)ガイドレール18に摺接する係合コマ38は摺動特性に優れたPOMにより構成されているため、CISユニット23の前後移動時における抵抗を低減してモータ19の駆動負荷を低減できる。
【0058】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態において、力点側距離L1と作用点側距離L2の長さ比率は、L1<L2ならば、L1:L2=1:1.8以外の長さ比率でもよい。また、力点側距離L1と作用点側距離L2は同じ長さであってもよい。
【0059】
・上記実施形態において、被ガイド部30には係合コマ38及び該係合コマ38を下方に押圧するコイルばね43を設けることなく、被ガイド部30に係合部となる凹溝を直接形成し、その凹溝の内側面で構成される係合面をCISユニット23の重量などに基づく下方への押圧力を利用してガイドレール18に圧接させるようにしてもよい。また、その場合には後側延設部31の後端部から前側延設部32の前端部に至る前後方向に長く形成された1つの凹溝にして、その凹溝の左右両内側面により長く延びた係合面を構成するようにしてもよい。
【0060】
・上記実施形態において、CISユニット23(ユニット本体24)の右端部上面側に設けられたコロ26は被ガイド部30の上面側に設けられていてもよい。
・上記実施形態において、被ガイド部30の後側延設部31及び前側延設部32には、前側延設部32の前端部に形成された凹溝44と同様の凹溝を被ガイド部30の長手方向における複数箇所に分散させて形成し、それらの凹溝の内側面で構成されるガイドレール18に対する係合面の数を増加するようにしてもよい。
【0061】
・上記実施形態において、被ガイド部30の前後方向の長さは、CISユニット23におけるユニット本体24の前後方向の長さと同じ又はそれよりも短くてもよい。
・上記実施形態において、CISユニット23の前後移動時にユニット本体24の左端側で底板12の表面上を摺接する摺接コマ28はコロにより構成してもよい。
【0062】
・上記実施形態において、CISユニット23の前後移動時にガラス板16の下面に対して転動可能に当接する当接部はコロ25,26に置換して摺動コマで構成してもよい。なお、その場合には、POM等の摺動特性に優れた摺動コマにするのが望ましい。
【0063】
・上記実施形態において、凹溝39,44の内側面であって係合面の一部を構成する左内側面40,45の斜面部42,46は、その凹溝39,44の内奥側から凹溝39,44の開口縁まで連続形成されていてもよい。
【0064】
・上記実施形態において、凹溝39,44の内側面であって係合面の一部を構成する右内側面41は垂直面状でなくてもよい。例えば、左内側面40,45の斜面部42,46よりも垂直に近い斜面状に形成されていてもよい。但し、その場合は、ガイドレール18の左外側面34も同様の斜面状に形成する必要がある。
【0065】
・上記実施形態において、ガイドレール18に係合する凹溝39,44の内側面は、実施形態の場合と反対に、右内側面が斜面部を含む面形状である一方、左内側面が垂直面状又は右内側面の斜面部よりも垂直に近い斜面状に形成されていてもよい。但し、その場合はガイドレール18についても、実施形態の場合と反対に、右外側面が斜面部を含む面形状である一方、左外側面が垂直面状又は右外側面の斜面部よりも垂直に近い斜面状に形成されている必要がある。
【0066】
・上記実施形態において、ガイド部材をガイドレール18でなくガイドシャフトで構成すると共に、このガイドシャフトを挿通可能な挿通孔(係合部)を被ガイド部30に前後方向に貫通形成し、その挿通孔の内周面を係合面としてもよい。
【0067】
・上記実施形態において、弾性部材はコイルばね43以外に板ばね等の他のばね部材を利用してもよく、又は、ばね部材以外に弾性力を有するものならばゴム材などの他の弾性部材を利用してもよい。
【0068】
・上記実施形態において、ベルト22はガイドレール18の右横が周回移動スペースとなるように配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本実施形態の画像読み取り装置の平断面図。
【図2】画像読み取り装置の図1における2−2線矢視断面図。
【図3】画像読み取り装置の本体フレーム内の一部破断斜視図。
【図4】画像読み取り装置の図1における4−4線矢視断面図。
【図5】(a)は画像読み取り装置の図1における5−5線矢視断面図、(b)は(a)の一部拡大断面図。
【図6】画像読み取り装置の図1における6−6線矢視断面図。
【図7】画像読み取り装置における被ガイド部の断面図。
【符号の説明】
【0070】
10…画像読み取り装置、11…本体フレーム、16…ガラス板(透明板)、17…
原稿載置面、18…ガイドレール(ガイド部材)、23…CISユニット(読み取りユニット)、25,26…コロ(当接部)、30…被ガイド部、31…前側延設部(力点側延設部)、32…後側延設部(作用点側延設部)、34…ガイドレールの左外側面、35…ガイドレールの右外側面、36…ガイドレールの斜面部、38…係合コマ(係合部材)、39…凹溝(係合部)、40…係合コマの左内側面、41…係合コマの右内側面、42…係合コマの斜面部、43…コイルばね(弾性部材)、46…斜面部、L1…力点側距離、L2…作用点側距離、P…原稿。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が原稿載置面となる透明板を上部に有する本体フレームと、
該本体フレーム内における前記原稿載置面の下方領域の外側となる位置に主走査方向と直交する副走査方向に沿って延びるように設けられたガイド部材と、
前記本体フレーム内に主走査方向に沿って延びるように配置されると共に、その長手方向の一端よりも主走査方向において外側となる位置には前記ガイド部材に対して副走査方向に沿う係合面を摺接させて係合する被ガイド部が設けられ、該被ガイド部を介して前記ガイド部材にガイドされつつ前記原稿載置面の下方領域を副走査方向に移動して該原稿載置面上の原稿の画像を光学的に読み取る読み取りユニットとを備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読み取り装置において、
前記ガイド部材は、断面凸状をなすように形成されており、該ガイド部材における副走査方向に沿う両外側面のうち、一方の外側面は少なくとも上方が斜面部に形成されると共に、他方の外側面は垂直面状又は前記一方の外側面の斜面部よりも垂直に近い斜面状に形成され、
前記被ガイド部は、前記ガイド部材に上方から嵌合態様で係合可能な断面凹状の係合部を有しており、該係合部において前記係合面を構成する副走査方向に沿う両内側面のうち、一方の内側面は少なくとも内奥側となる上方が前記ガイド部材における前記一方の外側面の前記斜面部と対応した斜面部に形成されると共に、他方の内側面は前記ガイド部材における前記他方の外側面と対応した垂直面状又は斜面状に形成されていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像読み取り装置において、
前記被ガイド部は、前記読み取りユニットの長手方向の一端から見て副走査方向の一方側及び他方側の双方の位置で前記係合面が前記ガイド部材に係合していることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の画像読み取り装置において、
前記読み取りユニット又は前記被ガイド部には前記透明板の下面に対して摺接可能に又は転動可能に当接する当接部が設けられる一方、
前記被ガイド部には、前記係合面を有して上下方向への移動自在に支持された係合部材と、該係合部材と前記被ガイド部との間に介在して、前記係合面が前記ガイド部材に圧接される方向へ前記係合部材を押圧すると共に、前記当接部が前記透明板に対して圧接される方向へ前記被ガイド部を付勢する弾性部材とが設けられていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像読み取り装置において、
前記被ガイド部は、前記当接部を支点とした場合、該支点から見て副走査方向の一方側に向けて延びる力点側延設部と他方側に向けて延びる作用点側延設部を有しており、前記係合部材及び前記弾性部材を前記力点側延設部に設け、該力点側延設部では前記係合部材の係合面が該係合部材に対する前記弾性部材の押圧力に基づき前記ガイド部材に係合すると共に、前記作用点側延設部では該作用点側延設部の一部が前記被ガイド部の前記力点側延設部に対する前記弾性部材の付勢力に基づき前記ガイド部材に係合する構成とされていることを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読み取り装置において、
前記被ガイド部は、副走査方向において、前記当接部から前記力点側延設部における前記弾性部材の付勢力が加わる力点までの力点側距離よりも、前記当接部から前記作用点側延設部における該作用点側延設部の一部が前記弾性部材の付勢力に基づき前記ガイド部材に係合する作用点までの作用点側距離の方が大きく設定されていることを特徴とする画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−27515(P2009−27515A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189459(P2007−189459)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】