説明

界面法ポリカーボネート製造プロセスにおけるモノマー濃度の監視方法

本発明は、界面法ポリカーボネート製造プロセスにおける、モノマー濃度、特にはビスフェノールAのオンラインの測定のための改善されたプロセスに関する。この測定は、プロセス制御、特にはカーボネートポリマーの分子量制御の向上を目的として、振動分光計によって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年3月24日出願の米国仮出願第61/162,701号の利益を主張し、その全体を参照することによって本明細書の内容とする。
【0002】
本発明の技術分野
本発明は、界面法ポリカーボネート製造プロセスにおける、モノマー、特にはビスフェノールA濃度の、オンライン測定の改善された方法に関する。この測定は、プロセス制御、限定する訳ではないが、特にはカーボネートポリマー分子量の制御の改善の目的で、振動分光法によって得られる。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネートを生成するための界面重合の実施においては、二価フェノールとフェノール系連鎖停止剤の混合物が、有機溶媒の存在の下に、界面反応条件下で、ホスゲン化される。二価フェノールは、水性相中にアルカリ金属塩として存在し、そしてホスゲンは、有機相中に溶解されている。連鎖成長反応は、カップリング触媒、例えば第三級アミンによって強力に促進される。ポリカーボネートポリマーの分子量は、典型的には、反応混合物中に存在する連鎖停止剤、例えばモノフェノールの量によって制御される。連鎖成長反応は、全ての反応性末端基、例えばクロロホルメート末端基が反応してしまった後に終了する。重合工程が完了した後に、ポリカーボネートポリマーを含む有機相は、水性相から分離されて、そしてポリカーボネートポリマーが単離される。
【0004】
ポリマーの分子量は、ポリカーボネートポリマーの性質に影響する最も重要な因子の1つである。ポリマーの分子量が増加すると、ポリカーボネートポリマーの機械的性質は向上する。例えば、ポリマーの分子量の増加とともに、そのポリマーの引張強度、耐衝撃性、靭性、および他の物理的性質は、全てが向上する。しかしながら、ポリマーの分子量が増加すると、溶融粘度もまた著しく増加する。溶融粘度が高くなり過ぎると、そのポリマーを溶融加工することが困難、もしくは不可能に近くなる。
【0005】
一貫したポリカーボネートポリマーの品質を、その製造プロセスにおいて確実にすることが、極めて望ましい。例えば、ポリカーボネートポリマー分子量および/またはその分子量分布が、所望の範囲および/または目標の範囲外となってしまったら、許容できない量の使用不能の(しばしば、仕様外またはオフグレートと称される)のポリカーボネートが生産される可能性がある。オフグレートのポリカーボネートの量を最小化することは、製造業者ならびに最終使用者に多くの利益を与えるが、ほんの少しの例を挙げるならば、よりよい製品、より費用効果の高いプロセス、より少ない廃棄物、より少ないエネルギー消費などである。
【0006】
界面法プロセスで生成されるポリカーボネートポリマーの分子量は、とりわけ、ホスゲン化に利用可能な二価フェノールの量および連鎖停止剤の量に依存する。ポリカーボネートポリマーの製造のための界面重合プロセスでは、最適なpHは、8.0〜10.2であることが見出されている(米国特許第5,380,814号明細書を参照)。更に、そのような条件下で、全てのジヒドロキシ化合物が、ホスゲンとの反応に利用できるのではないことが結論付けられている。水に可溶な、いくらかの二価フェノール(これは、ビスジェノール塩としては存在していない)がある。更に、不十分な攪拌のために、および/またはそのような固体の二価フェノールは、それ自体が反応器の上部に付着する可能性があるために、様々な量の二価フェノールが固体状態で残り、そして未反応のままとなる。固体で残る量は、一貫しておらず、予測可能でもない。その結果、供給タンクから反応器へと供給される二価フェノールの量(そして従ってその結果の、停止剤に対する二価フェノレートの比率)は、プロセス流を通して、重合反応器に、実際に供給される二価フェノールの量(停止剤に対する実際の二価フェノールの比率を結果としてもたらし、これがポリカーボネートの分子量を決定する)とは異なる。この比率の変動は、ポリカーボネートポリマーの分子量の望ましくない変化を引き起こし、受容できない性質を備えたオフグレード材料と負の製造費用の問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、一貫した製品品質と高い生産性を確実にするための、界面法プロセスにおける、ポリカーボネートの分子量に影響を与える選択されたパラメータを確実かつ迅速に監視し、かつ制御する方法が、極めて望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリカーボネートポリマーの製造のための界面法プロセスにおいて、振動分光法、好ましくは近赤外(NIR)分光法を用いて、1種もしくは2種以上の反応成分、特には二価フェノールの濃度および/または水酸化物濃度を測定することによって、オンラインで行なわれる監視のためのそのような方法を提供する。前記濃度の測定は、ポリカーボネートポリマーの分子量を制御するための、1種もしくは2種以上の成分の供給速度制御の、オンラインのリアルタイムでの実施に用いられる。
【0009】
本発明によれば、直鎖もしくは分岐したポリカーボネートポリマーを生成する界面法ポリカーボネート重合プロセスにおいて、水性の二価フェノレート溶液中の、二価フェノレート(好ましくはビスフェノールA由来の)、水酸化物(好ましくは苛性アルカリ由来の)、またはその両者の濃度を、この溶液を、カーボネート前駆体、好ましくはホスゲンおよび連鎖停止剤、好ましくはフェノール、パラ−クミルフェノールもしくはターシャリー−ブチルフェノールと反応させる前に、測定することによる、以下の工程を含む、界面法のポリカーボネート重合プロセスにおける連鎖停止剤に対する二価フェノレートの比率の制御方法が提供される。
【0010】
i)連鎖停止剤に対する二価フェノールの比率の目標範囲を設定すること;
ii)前記溶液中に、二価フェノールおよび塩基を、所定のそして独立した供給速度で導入すること;
iii)前記溶液中の二価フェノレートおよび/または水酸化物の目標濃度範囲を設定すること;
iv)前記溶液、前記カーボネート前駆体、および前記連鎖停止剤を、重合反応器中に、所定のそして独立した供給速度で導入すること:
【0011】
v)前記溶液を、重合反応器に入る前に、対照として、前記溶液がほとんどもしくは全く吸光度を有さない少なくとも1つの波長での、二価フェノレートが吸光度する少なくとも1つの波長での、水酸化物が吸光度する少なくとも1つの波長での、そして温度補償のための少なくとも1つの波長での、吸光度または散乱強度を、振動分光法、好ましくはラマン分光計、中赤外分光計、または近赤外分光計を用いて、オンラインで測定することによって、分析すること;
vi)前記溶液中の二価フェノレートおよび/または水酸化物の濃度を、振動分光計分析に基づいて計算すること;
vii)計算された濃度を、前記目標濃度範囲と比較すること;ならびに
viii)プロセス制御を用いて、必要な場合には、前記二価フェノール、前記塩基、前記連鎖停止剤、および/または前記二価フェノレート溶液の1つもしくは2つ以上の供給速度を調整して、二価フェノレートを連鎖停止剤に対する目標範囲に維持すること。
【0012】
1つの態様では、上記の方法は、二価フェノールの供給速度および塩基の供給速度は一定に保持され、そして(1)二価フェノレート溶液の供給速度は一定に保持されて、連鎖停止剤の供給速度は制御される、(2)連鎖停止剤の供給速度は一定に保持され、そして二価フェノレート溶液の供給は制御される、または(3)二価フェノレート溶液と連鎖停止剤の両方の供給速度が、連鎖停止剤に対して二価フェノレートを目標範囲に維持するように、制御される。
【0013】
上記の方法の他の態様では、ポリカーボネートポリマーは、300℃で、1.2キログラムの荷重で測定された、約1〜約100グラム/10分のメルトフローレートを有している。
【0014】
上記の方法の更に他の態様では、オンラインの振動分光光度分析は、単一の透過セル、単一光源、2〜8の異なる波長で連続的にそして交互に吸光度を測定することができる複数フィルタ光度計によって実施される近赤外分析である。
【0015】
上記の方法の好ましい態様では、対照波長範囲は7633〜7752cm−1、二価フェノレートの波長範囲は5908〜5997cm−1、水酸化物の波長範囲は5642〜5723cm−1、そして温度補償波長範囲は5457〜5533cm−1である。
【0016】
更に他の態様では、上記の方法は、分析の間に、二価フェノレート溶液の温度を、約55℃〜65℃の温度範囲内に維持する工程を更に含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ポリカーボネートポリマー製造用の慣用の界面法プロセスの工程図である。
【図2】図2は、本発明のオンラインの監視システムを含む、ポリカーボネートポリマー製造のための界面法プロセスの1つの態様の工程図である。
【図3】図3は、ポリカーボネートポリマーを製造するための界面法プロセスのための本発明のオンラインの監視システムの1つの態様の概略図である。
【図4】図4は、単一の透過セル、単一光源、複数フィルタNIR光度計の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、工程図の形で、慣用の界面法ポリカーボネート製造プロセスを説明しており、この中では、ホスゲン化反応が工程10で行なわれ、次いで工程20で重合が行なわれる。ホスゲン化反応10では、水に非混和性の有機液体中に溶解された、カーボネート前駆体、好ましくはホスゲンが、二価フェノールの塩、一般には2ナトリウムビスフェノールA、と反応して、反応性のクロロホルメート末端基を有するカーボネートオリゴマーを生成させる。この有機液体は、典型的には塩素化炭化水素、例えばジクロロメタンであるが、しかしながら他の有機液体、例えばエーテル、エステルまたはケトンも用いることができる。ホスゲンは、通常は、二価フェノールに対して、化学量論より過剰、典型的には10〜40%過剰に用いられる。ホスゲン化の間に、2相の反応混合物の水性相は、塩基、例えば水酸化ナトリウムの添加によって、通常はアルカリ性のpH、好ましくは9〜14に維持される。この水性相は、二価フェノール材料、一般には二価フェノレート塩、例えばビスフェノールAの塩、例えばナトリウムビスフェノレートを含んでいる。二価フェノレートは、水溶液の総質量を基準として、10〜25質量%の量で溶解されている。
【0019】
また、この水性相は、典型的には連鎖停止剤、例えば単官能性フェノルール系化合物、例えばフェノールもしくは4−ターシャリー−ブチルフェノールのナトリウム塩、および所望による分岐剤、例えば多官能性フェノール系化合物のナトリウム塩を含んでいる。連鎖停止剤および所望による分岐剤は、カップリング触媒の前、もしくはカップリング触媒と同時に加えることができる。
【0020】
ホスゲン化反応の間には、塩、例えば塩化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムが形成され、そして水性相中に溶解される。形成されたカーボネートオリゴマーは、有機相に入る。
【0021】
所望のホスゲン化に続いて、カップリング触媒、典型的にはアミンカップリング触媒、例えば第三級脂肪族アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、またはトリブチルアミン、がこの反応混合物に加えられる。環状第三級アミン、例えばジメチルピリジンもまた、カップリング触媒として用いることができる。反応性カーボネートオリゴマーは、重合工程20の間に、このカップリング触媒の存在下に、所望の分子量まで重合される。
【0022】
ポリカーボネートポリマーの分子量は、光散乱、粘度、浸透圧法および凝固点降下(特に断りのない限り、光散乱は、定常状態光散乱を表し、動的光散乱とは区別される)などの技術によって測定することができる。粘度は、ポリマー溶液のポリマー分子量を測定するのに用いることができる。界面法プロセスのポリカーボネート反応混合物のような分散した2相混合物では、溶液粘度は、水/有機溶媒比、温度および反応器攪拌速度にもまた依存し、そのことがこの方法に不正確さをもたらす。特に断りのない限り、ここでは分子量は、質量平均分子量を指し、そして、ビスフェノールAポリカーボネート標準品を用いて、そして分散度指数を含めた標準の分子量計算を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される。
【0023】
図1を再度参照すると、ホスゲン化反応の所望の完結に続いて、水性相および有機相は工程30の中で分離される。2つの相を効果的に分離する技術は、よく知られており、そして本発明の実施において用いることができる。この分離に用いられる具体的な条件および技術は、本発明の実施に決定的なものではなく、そしていずれかの開示されているものを用いることができる。この分離は、通常は、そして好ましくは、遠心分離を用いて行なわれる。
【0024】
図1に描かれたプロセスでは、分離された水性相31(本プロセスを説明する目的で、これは廃水と表される)は、廃水収集工程60に供給される。この廃水は、ホスゲン反応の間に作られた塩、典型的にはNaClおよびNaCOを含んでいるが、しかしながらまた微量の有機液体、反応媒体、ならびに二価フェノールおよび/または他のフェノール系化合物を含んでいる。
【0025】
分離された有機相32は、有機反応溶媒、ポリカーボネートポリマー、ならびにカップリング触媒および二価フェノレート塩、典型的にはナトリウム二価フェノレートを含んでいる。カップリング触媒は、通常は、分離された有機相の総質量を基準にして0.05〜1質量%の量である。二価フェノレート塩(例えば、ナトリウムビスフェノレート)の残りの量は、通常は0.1質量%未満である。
【0026】
分離された有機層は、工程40の中で洗浄される。有機相を洗浄する技術は当技術分野でよく知られており、本発明の実施に決定的なものではなく、そして本発明の目的のためにそれらが参照される。典型的には、有機相は、希釈酸(例えば、0.5〜30質量%の塩酸もしくはリン酸溶液)で洗浄されて、アミンカップリング触媒が抽出され、純水での1〜5回の洗浄工程が続く。これらの水洗浄は、通常は、一連の、慣用の混合機−沈殿器システム分離器、例えば回転混合機および液−液遠心分離機または遠心分離抽出器で行なわれる。
【0027】
図1中に描かれた慣用の方法では、酸性洗浄水41および洗浄水42が、廃水収集工程60へと供給される。洗浄の後の洗浄水42は、フェノール系化合物、カップリング触媒および、典型的には微量の有機液体、水溶性ポリカーボネートオリゴマーおよび分散したポリカーボネート粒子を含んでいる。抽出工程70では、混合物水溶液は、廃水を含んでおり、そして/あるいは酸性の洗浄水および/または洗浄水は苛性アルカリ、または他の好適な塩基性材料で処理されて、この混合物水溶液は、12以上のpHを有し、そしてアミンを含まないように調整される。慣用の抽出技術は、当技術分野でよく知られており、本発明の実施に用いることができる。この抽出に用いられる特定の条件および技術は、本発明の実施に決定的なものではなく、そしていずれかの開示されたものを用いることができる。抽出は、通常は、そして好ましくは抽出カラムまたは遠心分離抽出を用いて実施される。
【0028】
抽出工程70では、フェノール系材料およびいずれかの水溶性オリゴマー、および分散したポリカーボネート粒子は、アミンカップリング触媒を含んだ有機液体での抽出によって、洗浄水および廃水から取り除かれる。好都合には、更なる処理を容易にするために、洗浄水および/または廃水の処理に用いられる有機液体は、有機反応相10ならびに揮発性分除去工程50で取り除かれる有機反応相52中で用いられる有機液体である。この有機液体、カップリング触媒および抽出もしくは除去されたフェノール系材料は、図1中に示されるように、反応混合物重合工程20へと再循環(71)される。再循環系における滞留時間および/または貯蔵時間が長過ぎる場合には、アミンカップリング触媒が、塩素化炭化水素溶媒、例えばジクロロメタンと反応して、望ましくない第四級アンモニウム塩を形成する可能性があるので、工程20に直接再循環(71)して戻すことが望ましい。処理された水は、有機液体ならびに微量のカップリング触媒を含んでおり、水蒸気蒸留工程80へと供給(72)される。
【0029】
水蒸気蒸留は、当技術分野でよく知られた技術であり、本発明の目的のためにこれが参照される。これは、残留する有機液体およびカップリング触媒を、水性液体から蒸気の形態で除去するような条件で行なわれる。典型的には、水蒸気蒸留操作は、100〜200℃の温度で、水性液体を水蒸気に暴露することによって行なわれる。水蒸気蒸留操作の中で蒸発した有機液体およびカップリング触媒は、次いで凝縮し(81)、そして処理洗浄水および廃水から抽出工程70へと戻るように再循環される。あるいは、除去された有機液体およびカップリング触媒81は、その全部もしくは一部が、直接に反応混合物、好ましくは重合反応20へと、再循環することができる。
【0030】
水蒸気蒸留に続いて、水性相82は、処分される。フェノール系成分、水溶性オリゴマー、分散したポリカーボネート粒子の濃度が十分に小さければ、この水性相は、塩を含有する環境、例えば海水または汽水または塩水井戸へと、更なる処理なしで、放出することができる。あるいは、この水性液体は、他の操作、例えばクロルアルカリ電気分解のために用いることができる。
【0031】
洗浄に続いて、ポリカーボネートは、当技術分野でよく知られている技術、例えば揮発性分除去(すなわち、溶媒の水蒸気蒸留または押出機中での溶媒の蒸発)、またはポリカーボネートの非溶媒、例えばヘキサンでの沈殿などを用いて、回収工程50の中で有機相から分離される。工程50からの水51は、通常は有機液体反応媒体で飽和されており、好ましくはこのプロセスの異なる点、例えば洗浄区画40、あるいは水蒸気蒸留80、あるいは図1中に描かれているように、抽出工程70へと、戻される。
【0032】
本発明のプロセスの態様が、図2中に工程図として、そして図3中にプロセス概略図として示されている。本発明のプロセスの、慣用の界面法ポリカーボネート製造プロセスからの改善は、連鎖停止剤に対する二価フェノールモノマー(二価フェノレートとして測定される)の目標の比率を維持することによる分子量制御を向上する能力である。このことは、二価フェノレート溶液タンク中への1種もしくは2種以上の二価フェノール流量、溶液タンクへの塩基、重合反応器中への二価フェノレート溶液の供給速度、および/または重合反応器中への停止剤の供給速度、の実時間のプロセス制御調整によって成し遂げられる。好ましい方法は、連鎖停止剤の供給速度を一定に保持しながら、重合反応器への二価フェノレート溶液の供給速度を調整することである。
【0033】
連鎖停止剤に対する二価フェノールの具体的な比率は、所望のポリカーボネートポリマーの分子量に依存し、そして当業者には容易に決定することができる。この比率の容認できる範囲は、しばしば分子量仕様と称され、この範囲に入るポリカーボネートポリマーは、仕様に合致し、そして許容できる。この範囲外となるポリカーボネートポリマーは、仕様から外れており、そして許容できず、これはしばしば仕様外材料またはオフグレートと称される。
【0034】
二価フェノール、水、および苛性アルカリは、供給タンク100、101および102のそれぞれから、溶液タンク110へと、所定の、そして独立した、制御可能な供給速度で、供給される。これらの供給速度は、二価フェノレートおよび水酸化物の濃度の目標範囲に適合するように、それぞれ設定される。連鎖停止剤の計算された量と組み合わせた、これらの目標濃度範囲は、所望の範囲、または仕様内の分子量を有するポリカーボネートポリマーを生成するように設定される。水性の二価フェノレート混合物プロセス流111中の二価フェノレート、好ましくはビスフェノールAのナトリウム塩の濃度、および/または水酸化物の濃度は、溶液タンク110と重合反応器130の間、言い換えれば、モノマー調製工程1の後で、ホスゲン化工程10の前で測定される。この測定3は、オンラインの振動分光計、好ましくはラマン分光計、赤外、中赤外分光計、または近赤外分光計210を通して行なわれ、そこでは、二価フェノレートおよび/または水酸化物の濃度は、スペクトルの読取り、特には1つもしくは2つ以上の所定の波長での吸光度または散乱強度によって測定される。この振動吸収(または散乱強度)は、標準の、そして容易に入手可能なソフトウエアを用いて、コンピュータ230によって濃度水準へと変換される。コンピュータ230は、その信号を制御システム300へと中継し、二価フェノレートおよび/または水酸化物の水準が、容認できるか否かを決定され(5)、そして二価フェノールおよび/または苛性アルカリの、二価フェノレート溶液タンク110への、1つもしくは2つ以上の供給速度への実時間での変更6または7が、所望の通りになされる。あるいは、二価フェノレート溶液の重合反応器130への供給速度は、好ましくは重合反応器への連鎖停止剤の供給速度を一定に保持しながら、調整することができる。あるいは、連鎖停止剤(これらの図中には示されていない)の重合反応器130への供給速度は、好ましくは重合反応器への二価フェノレート溶液の供給速度を一定に保持しながら、調整することができる。
【0035】
本発明の1つの態様では、水性の二価フェノレート混合物プロセス流からの試料ライン203は、振動分光計210に直接に入り、そして戻りライン208を経由して、水性の二価フェノレート混合物プロセス流111へと直接に環状に戻っている。本発明の1つの態様では、試料取扱いシステム200は、水性の二価フェノレート混合物の流れを遮断して、分析器210のフラッシングおよび/またはゼロ合わせを可能にするように、弁(図3には示されていない)を含むことができる。本発明の更に他の態様では、試料の流れを制御するために、試料取扱いシステム200は、分析器に入る、試料ライン205中の水性の二価フェノレート混合物の圧力を、二価フェノレート溶液タンク110と重合反応器130との間のプロセスライン111中の圧力に比べて、低下もしくは増大させる手段を有することができる。本発明の更に他の態様では、試料取扱いシステム200は、水性の二価フェノレート混合物を、例えばこの試料に水を加えることによって、試料ライン205が分析器210に入る前に、希釈することができる。本発明の更に他の態様では、試料取扱いシステム200は、二価フェノレート混合物プロセス試料の「グラブ試料」を、オフラインで分析するように採取する手段を含むことができる。本発明の更に他の態様では、試料取扱いシステム200は、より少量の試料を分析し、そしてより迅速な応答時間で結果を出すことが可能なように、試料ラインからはずれた、迅速な回路(loop)手段を有することができる。本発明の更に他の態様では、試料取扱いシステム200は、試料ラインの閉塞と汚れを低減させるために1つもしくは2つ以上のフィルタを有している。本発明の好ましい態様では、水性の二価フェノレート混合物試料500は、試料取扱いシステム200を通過し、試料取扱いシステム200は、分析される水性の二価フェノレート混合物の試料の温度を制御するための加熱手段を含むことができる。試料取扱いシステム200および/または振動分光計210への、水性の二価フェノレート混合物プロセス流からの試料ラインおよび/または水性の二価フェノレート混合物プロセス流に戻る試料ラインは、所望により温度制御(例えば、加熱または冷却)されていてもよく、もしくはされていなくてもよい。水性の二価フェノレート混合物試料ライン207の温度制御のセンサーは、振動分光計210の直前の試料と直接に接触している。
【0036】
試料ラインが温度制御されている場合には、温度は、監視される所望の種、特定の二価フェノール、好ましい波長などによって測定される。好ましい目標温度は、約40℃〜約80℃、より好ましくは約40℃〜約70℃、より好ましくは約50℃〜約70℃、そしてより好ましくは約55℃〜約65℃の範囲内で選択される。好ましくは、この温度は、所望の温度目標の約±10℃内、より好ましくは所望の温度目標の±5℃内に制御される。
【0037】
本発明のプロセスで用いられる振動分光計に応じて、その分光計210の特定の要求を可能にする分光計管理システム220が存在していてもよい。例えば、この分光計管理システム220は、以下の1つもしくは2つ以上に用いることができる:試料セルまたはプローブをパージおよび/または洗浄すること、空気または不活性(もしくは他の種類の)ガスを、その日常的な操作の必要性に求められるように、例えば光学部品および/または電子部品をパージするように、分析計中へ導入する手段を準備すること、分析計および/またはその試料を温度制御する手段を準備すること、日常的な較正チェックのために、ゼロ試料およびスパン試料を導入するための手段を準備すること、実験室での比較のために、プロセス試料を収集する(しばしば、グラブ試料と称される)手段を準備することなど。
【0038】
ポリカーボネート生産(ホスゲン化と重合の両方)は、バッチ式または連続式で実施することができる。バッチ式生産は、攪拌されたタンク中で行われるが、一方で、より好ましい連続法は、典型的には一連の攪拌タンクまたは1つもしくは2つ以上の管状反応器を使用する。一般には、ホスゲン化および重合は、同じ反応器容器の中で、またはホスゲン化と重合反応との間に、いずれかの中間的な精製もしくは他の工程なしで、行なわれる。
【0039】
本発明の実施において用いられる二価フェノールは、カーボネート重合技術において通常知られており、そしてその中では、縮合重合条件下での反応性基は、2つのフェノール系ヒドロキシル基だけである。有用な二価フェノールとしては、例えば、一般式HO−Z−OHのものがあり、ここでZは、6〜30個の炭素原子のモノ−、またはポリ−芳香族ジラジカルであり、これにフェノール性酸素原子が直接に結合している。これらの芳香族基は、1個もしくは2個以上のヘテロ原子を含んでいてよく、そして1つもしくは2つ以上の基、例えば1つもしくは2つ以上の酸素、窒素、硫黄、リンおよび/またはハロゲン、1つもしくは2つ以上の一価炭化水素ラジカル、例えば1つもしくは2つ以上のアルキル、シクロアルキルまたはアリール基、および/または1つもしくは2つ以上のアルコキシおよび/またはアリールオキシ基で置換されていてもよい。好ましくは、二価フェノールHO−Z−OH中の両方のフェノール性ヒドロキシ基は、芳香環上のパラ位に配置されている。
【0040】
本発明のプロセスで用いられる二価フェノールとしては、ビス(アリール−ヒドロキシ−フェニル)アルキリデン(それらの芳香族および脂肪族で置換された誘導体を含む)、例えば、米国特許第2,999,835号明細書、第3,038,365号明細書、第3,334,154号明細書、および第4,299,928号明細書に記載されたもの、ならびに芳香族ジオール、例えば米国特許第3,169,121号明細書中に記載されたもの、が挙げられる。
【0041】
一般式HO−Z−OHの二価フェノールの好ましい例としては、ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン、例えば、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン;ジヒドロキシベンゼンおよびハロ−およびアルキル−置換ジヒドロキシベンゼン、例えば,ヒドロキノン、レゾルシノール、または1,4−ジヒドロキシ−2−クロロベンゼン;α,α’−ビス(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン;ジヒドロキシビフェニレン、例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニル;ハロ−およびアルキル置換ジヒドロキシビフェニレン;ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、例えばビス(4−ヒドロキシルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、または、最も好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノルA」);アルキル−、アリール−、もしくはハロ置換ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、例えば、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(「ビスフェノールAP」)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「テトラブロモビスフェノールA」);2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドリキシフェニル)プロパン(「テトラメチルビスフェノールA」); 所望によるアルキル−、アリール−もしくはハロ置換ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;所望によるアルキル−、アリール−もしくはハロ置換ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル;所望によるアルキル−、アリールもしくはハロ置換ビス(ヒドロキシアリール)スルホン、好ましくはビス(ヒドロキシフェニル)スルホン;またはビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシドがある。好適な二価フェノールの他の例が、米国特許第4,627,949号明細書の第2欄第68行目〜第3欄第1〜22行目、米国特許第4,962,144号明細書の第2欄第17〜46行目、および欧州特許第423 562号明細書の第2頁第24〜55行目および第3頁第1〜19行目に列挙されている。2種もしくは3種以上の二価フェノールの混合物、例えば、1〜99%のビスフェノールAと99〜1質量%の他の二価フェノール、例えば9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンもまた用いることができる。
【0042】
本発明におけるポリカーボネートの製造のために好適である、最も好ましい二価フェノールの中には、ビスフェノールA、ビスフェノールAP、テトラブロモビスフェノールAおよびテトラメチルビスフェノールAがある。最も好ましい二価フェノールはビスフェノールAである。
【0043】
アルカリ水溶液は、約9.5以上、好ましくは約14、好ましくは約12〜約14のpHを有しており、そして水中で、塩基、例えば苛性ソーダ、NaOH、または他の塩基、例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、酸化物および水酸化物、を加えることによって形成することができる。塩基は、典型的には、界面重合の過程に亘って用いられ、そして更に適正なpHが維持されるように反応混合物に加えられる。合計で、これは通常、二価フェノール化合物のモル当たりに、2〜4、好ましくは3〜4モルの塩基の量での塩基の添加量となる。この塩基、例えば苛性ソーダは、反応混合物に、その混合物のpHを、二価フェノール化合物が、少なくとも部分的に二価陰イオンの形態に変換されるような水準に調整するように加えられる。還元剤、例えば亜硫酸ナトリウムまたは亜ジチオン酸ナトリウムもまた、有利に、反応混合物に、同様に加えることができる。二価フェノレート溶液タンク中のビスフェノールAの水酸化物に対する好ましいモル比は、1.9〜2.2、好ましくは2.0〜2.1である。
【0044】
本発明における使用に好適なカーボネート前駆体は、二価フェノール化合物のアニオンによる攻撃で、カルボニル炭素から外れる可能性がある脱離基を含んでおり、そしてハロゲン化カルボニル、またはハロゲン化アシルが挙げられるが、必ずしもそれらのは限定されず、その中では最も好ましいものはホスゲンである。カーボネート前駆体、好ましくはホスゲンは、アルカリ水溶液の中で二価フェノール化合物と接触され、そして水に非混和性の非反応性有機溶媒中の溶液として加えて、そして水性相と完全に混合することができ、あるいは、反応混合物中に、気体の形態で泡として出して、そして好ましくは有機相中に溶解し、かつ存在するようにすることができる。カーボネート前駆体は、典型的には、二価フェノール化合物のモル当たりに、1.0〜1.8、好ましくは1.1〜1.4モルの量で用いられる。代表的な溶媒としては、塩素化炭化水素、例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、およびクロロホルムが挙げられ、それに、所望であれば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシド、キシレン、クレゾールまたはアニソールを加えることができる。
【0045】
両方の相は、カーボネート前駆体を含む溶媒の液滴が、分散もしくは懸濁するのに十分な方法で混合されるか、またはさもなければ、この前駆体を水性のアルカリ混合物と接触するように混合される。水性相中のカーボネート前駆体とフェナート反応体との間の反応は、カーボネート前駆体と二価フェノール化合物とのビス−エステルを主に生じ、それは、更により多くの二価フェノール単位と反応してより長鎖のオリゴマーを形成することができる。オリゴマーは、15以下の繰り返し単位を有するポリカーボネート連鎖として規定される。二価フェノールによっては、このホスゲン化工程では反応せずに、モノマーのままで残るが、しかしながら後に、ホスゲン化の中で形成されたクロロホルメート末端基と反応し、そして一部はより短鎖の、中間的なビス−エステルとして存続する。例えば、カーボネート前駆体がハロゲン化アシル、例えばホスゲンである場合には、一部の末端基は、そうではなく停止剤残渣、フェノレートイオンまたは未反応のヒドロキシ基である可能性があるけれども、これらの中間体は主にビスクロロホルメートである。
【0046】
連鎖停止剤は、官能基(しばしばヒドロキシル基である)を含む単官能性化合物であり、これはオリゴマーもしくはポリマー鎖の末端に残る未反応のクロロホルメート基を置換することができるアニオンを生成する。本発明においてポリカーボネートの製造のために有用な停止剤の代表例としては、フェノールおよびその誘導体、飽和脂肪族アルコール、亜硫酸金属塩、アルキル酸塩化物、トリアルキル−もしくはトリアリール−シラノール、モノハロシラン、アミノアルコール、トリアルキルアルコール、アニリンおよびメチルアニリンがある。それらの中では、フェノール、パラ−t−ブチルフェノール(PTBP)、p−クミルフェノールおよびパラ−t−オクチルフェノール(4−(1,1,2,2−テトラメチルブチル)−フェノールまたはPTOP)が、本発明における使用のためには最も好ましい。用いられる連鎖停止剤の量は、ポリカーボネートポリマーの所望の分子量に依存し、そして当業者には容易に決められるが、しかしながら典型的には、その範囲は、約1:10〜約1:50の、停止剤に対するビスフェノールAの比率を基準としている。
【0047】
分岐剤(典型的には3つもしくは4つ以上のヒドロキシまたは縮合反応基を有するフェノール)を、所望の分子量と分岐度を備えた分岐ポリカーボネートを得るために用いることができる。好適な分岐剤としては、通常は以下の1つもしくは2つ以上がある:フロログルシン;フロログルシド;2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3;4,6−ジメチル−2,4,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドリキシフェニル)ペンテン−2;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,3,5−トリ(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾール;1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール;テトラ(4−ヒドリキシ−フェニル)メタン;トリスフェノール;ビス(2,4−ジヒドリキシフェニル)ケトン;1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン;α,α’,α'’-トリ(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリ−イソプロピルベンゼン;3,3−ビス(4−ヒドリキシアリール)オキシインドール;イサチンビスフェノール;5−クロロイサチン;5,7−ジクロロイサチン;5−ブロモイサチン;トリメリット酸;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸;ならびにこれらの適切な化合物に含めて、それらの酸塩化物または他の縮合反応誘導体、例えばトリメリット酸トリクロリド、トリメソイルクロリドおよびトリメリット酸無水物クロリド。特に好ましい分岐剤としては、フロログルシン;フロログルシド;1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン;トリメリット酸;トリメリット酸トリクロリド;ピロメリット酸;ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびそれらの酸クロリド;2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールならびに1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンが挙げられる。
【0048】
本発明における使用のための分岐カーボネートポリマー成分中の分岐剤の水準は、ジヒドロキシ化合物のモル当たりに、約0.005〜約1モル、好ましくは約0.01〜約0.8、そしてより好ましくは約0.1〜約0.6モルの分岐剤の範囲でなければならないことが見出された。
【0049】
好適なカップリング触媒としては、第三級アミン、例えばトリエチルアミン(TEA)、ジメチルアミノピリジンまたはN,N−ジメチルアニリン;環状アザ化合物、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジンまたは1,2−ジメチルイミダゾール;イミノエーテルまたはイミノカルボキシレート化合物、例えば、1−アザ−2−メトキシ−1−シクロヘプテンまたはt−ブチル−シクロへキシルイミノアセテート;あるいはホスホニウム、スルホニウム、アルソニウムまたは第四級アンモニウム化合物、例えばセチルトリエチルアンモニウムブロミドが挙げられる。第三級アミンは、本発明による改善されたプロセスにおける使用のために好ましいカップリング触媒であり、そしてトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、および4−N,N−ジメチルアミノピリジンが挙げられる。
【0050】
本プロセスでは、カップリング剤は、通常は、二価フェノール化合物のモル当たりに、約0.001〜約0.1モルの典型的な範囲の量で用いられる。この触媒は、好ましくは、二価フェノール化合物のモル当たりに、少なくとも約0.0025、好ましくは少なくとも約0.008、そしてより好ましくは少なくとも約0.015モルの量で加えられる。この触媒は、好ましくは、二価フェノール化合物のモル当たりに、約0.15以下、好ましくは約0.1以下、そしてより好ましくは約0.075モル以下の量で加えられる。この触媒の一部もしくは全部が、重合プロセスの最初に加えられる。所望により、カップリング触媒の添加は、重合プロセスにおいて後で加えられる第2の部分と分けられる。
【0051】
本発明のポリカーボネートポリマーは、約1グラム/10分(g/10分)〜約100g/10分、好ましくは約2g/10分〜約90g/10分、より好ましくは約3g/10分〜約80g/10分のメルトフローレート(MFR)を有している。特に断りのない限り、MFRは、300℃と1.2キログラム荷重の条件下で測定される。
【0052】
図3および図4を参照すると、振動分光計(図4ではNIR分光計が描かれている)210は、試料セル419を通して流れる溶液のフィルタ波長における吸収強度を、一体化されたコンピュータ230へと収集する。他の機能の中でも特に、コンピュータは、(1)測定値を、二価フェナートの濃度および/または水酸化物の濃度の目標値と比較するために、吸収強度の計算を行なう、そして(2)それらの比較を基に、実時間のプロセス制御を可能にするように、制御命令を制御システムへと送る。例えば、ビスフェノールAと苛性アルカリから作られたポリカーボネートでは、この計算には、約5400毎センチメートル(cm−1)〜7700cm−1の範囲で選ばれる4つのフィルタ波長で得られる吸収強度が用いられる。フィルタの正確な数および選択されるフィルタ波長には柔軟性がある。1つの態様では、7633〜7752cm−1が対照用に選択され、5908〜5997cm−1がビスフェノールA用に選択され、5642〜5723cm−1が、NaOH用に選択され、そして5457〜5533cm−1が、温度補償用に選択される。
【0053】
温度補償は、好ましくは、種々の温度におけるスペクトルの形(profile)の変化を補償するために用いられる。一体化されたコンピュータ基板が、吸収強度を取得し、そして濃度を予測するために較正行列を適用する。波長領域の1つが、ベースラインの読みとして機能し、そして行列計算に組み込まれる。このことが全スペクトル分光計を用いる場合に必要とされるスペクトルの前処理(例えば、平均センタリング、平滑化など)を排除する。コンピュータは、当技術分野ではよく知られている典型的なI/Oインターフェイスを経由して、プラントの制御システムに、予測された濃度を出力する。次いで、当技術分野でこれもまたよく知られている制御システムが、これらの結果に基づいて、どのような処置が取られなければならないかを決定するための適切な論理を適用する。
【0054】
好適な光度計技術の幾つかの供給者があり、例えば、Optical Solutions line of Guided Wave(カリフォルニア州、ランチョコードヴァ)およびABB Inc.(ノースカロライナ州、ケアリー)である。光度計に加えて、他の中赤外もしくは近赤外の振動分光学的技術が、二価フェノレートおよび水酸化物の分析に用いることができる。例えば、マイケルソン干渉計を基にした完全スペクトル分析計、ダイオード配列分光器、およびEPIRディスク分光計は、全てが選択肢である。供給者の一部の例としては、Analect Hamilton Sundstrand(カリフォルニア州、ポモーナ);Guided Wave(カリフォルニア州、ランチョコードヴァ);NIRSystems(メリーランド州、シルヴァースプリング);Perkin Elmer(コネティカット州、ノーウォーク);Varian Associates(カリフォルニア州、サニーベール);Moisture Systems Corp.(マサチューセッツ州、ホプキントン);Carl Zeiss Microimaging GmbH(独国);およびLT Industries, Inc. (メリーランド州、ロックヴィル)がある。これらの装置販売会社は、通常はそれらの装置とともに、操作用ソフトウエアの包括的なセットを供給しており、これが、使用者がその振動分光計を操作して、そしてデータを解析することを可能にする。システムによっては、一体化されたコンピュータを有しており、そして一部は外部接続のコンピュータを有している。このコンピュータは、分析器の制御とデータの解釈のために用いられる。
【0055】
吸収に基づく振動法の分光学的技術に加えて、ラマン分光計は、分子振動を探査する散乱法技術であり、そしてまた二価フェノレートおよび水酸化物の分析のために用いることができる。プロセスラマンシステムの供給者の一部の例としては、Kaiser Optical Systems, Inc.(ミシガン州、アンアーバー); Bruker(マサチューセッツ州、ビルリカ);Analect Hamilton Sundstrand(カリフォルニア州、ポモーナ);およびProcess Instruments(ユタ州、ソルトレークシティー)がある。
【0056】
専用のプロセス振動分光計または改良された慣用の設計の試験用振動分光計を、本発明で用いることができる。ここでの好ましいシステムは、1ミリメートル(mm)の経路長さを備えた抽出試料セルを用いた、透過方式で操作される、堅牢で比較的に簡素なNIR光度計である。他の好適な操作方式は、分光計の設計に応じて、反射および透過反射であり、抽出システムまたはプロセス挿入プローブのいずれかの選択肢を備えている。この分光計は、バッチ式(例えば、試料の供給配置によって信号を受け取る)か、またはより好ましくは、連続式で操作することができ、連続式では、測定される流体は、セルを通して流れるか、またはプローブが流れる流体中に浸漬され、そして光が光ファイバーケーブルを通して、分光光度計に、そして分光光度計から、伝達される。
【0057】
全スペクトル分光光度計が、プロセス流を走査するために用いられる場合には、長大な一連の個別の結果が、それぞれの波長段階で、機器によって収集される。それぞれの波長における結果としての応答は、透過率(T)、反射率(R)、または吸光度(A)の単位で表され、Aは、log(1/T)に等しい。T=1である場合には、吸収が起こっておらず、一方で、T=0の場合には、無限の吸収が起こっている。これらの結果が波長に対してプロットされた場合には、スペクトル(曲線)が生成される。計量化学の分野は、完全最小二乗法(CLS)または部分的最小二乗法(PLS)モデルのいずれかを用いることによって、有意義な情報を抽出するために、較正および検証濃度データと共に、このデータを、数学的に処理するための適切な方法を取り扱う。
【0058】
フィルタ光度計の場合には、このことは単純化される。長大な一連の個別の結果を有する代わりに、それぞれのフィルタに(例えば、それぞれの測定される波長に対して)、フィルタ吸光度が存在する。例えば、光度計が8つのフィルタを有しているならば、8つの吸光度値が存在することになる。初期の光度計較正の間は、独立した手段によって確立された濃度を備えた、一連の既知の構成試料について、吸光度が収集される(すなわち、参照法)。エクセル中で利用できるような単純回帰が、それぞれの成分について分析器中に入力される行列係数および正規化係数(すなわち、応答係数)を決定するために、フィルタ吸光度に対して行なわれた。これらの係数は、光度計およびコンピュータ中に入力され、次いでそれらを全ての将来的なデータ収集に適用する。一般には、1組の検証試料が、そのモデルについての予想の標準誤差を決定するために、システム上で分析される。
【0059】
多くのよく知られた、振動法スペクトル応答の相関関係の数学的技術がある。それらとしては、例えば、P. C. Williamsら編、農業および食品工業における近赤外技術(Near Infrared Technology in the Agricultural and Food Industries)、American Association of Cereal Chemists, Inc.、ミネソタ州、セントポール、1987年、p.35-55("Williams")のW. R. Hruschkaによる記事の中で説明されている、"Single-Term Linear Regression"、"Multiterm Linear Regression"、"Component Spectrum Reconstruction"および"Discriminant Analysis"の諸方法が挙げられる。他の技術としては、例えば、Williamsの第57〜87頁の、H. Martensらによる記事の中に詳細に説明されているような、"Hruschka Regression"、"Fourier Transform Regression"、"Principal Component Regression"および"Partial Least Squares Regression"の諸方法が挙げられる。H. Martensら、Multivariate Calibration、John Wiley & Sons, Ltd.、英国、チチェスター、1989年の第3章中には、例えば"Univariate Calibration"、"Bilinear Modeling"、"Self Deconvolution"、"Target Transformation Factor Analysis"、"Rank Annihilation Method"、"Step-wise Multiple Linear Regression"、"Ridge Regression"、"Nonlinear Regression"および"Nonparametric Regression"を含めた更なる技術が教示されている。D. E. Rumelhartら、Parallel Distributed Processing-Explorations in the Microconstruction of Cognition、第1巻、Foundations、1986年;Psychological and Biological Models、第2巻、1986年;およびA Handbook of Models, Programs and Exercises、第3巻、1988年、MIT Press Cambridge、マサチューセッツ州、の中で説明されている、"Neural Network"技術もまた適用することができる。
【0060】
商業的に入手可能なソフトウエアパッケージの一部としては、例えば、NIRSystems, Inc.、Silver Spring(メリーランド州、シルヴァースプリング)の"Near infrared Spectral Analysis Software"(NSAS);Camo A/S(ノルウェー国、トロンヘイム)の"Unscrambler";LT Industries Corporation(メリーランド州、ロックヴィル)の"Spectra Metrix"、"LightCal" および"LightCal Plus";ならびにBran+Luebbe Analyzing Technologies, Inc.の"InfraAnalyzer Data Analysis System"(IDAS)および"Principal Component Analysis Program"(PCA-pc)が挙げられる。
【0061】
測定結果は、即座にプロセス制御システムに伝送され、プロセス制御システムの役割は、プロセス変数を制御することであり、例えば、重合反応器中に供給される二価フェノレート溶液の供給速度を制御することである。制御の1つの態様は、近赤外分析器に直接に接続されたプロセスコンピュータを含む自動化された分配制御システム(DCS)である。プロセス制御コンピュータは、そのプロセスを制御するアルゴリズムを備えて提供される。制御の他の態様は、プロセス変数に対して適切な人手による調整を行なう操作員による、単純な監視を含んでいる。
【0062】
本発明における使用に好ましいNIR分光計210は、単一透過セル、単一光源、複数フィルタ光度計(図4)、を含んでおり、水性の二価フェノレート混合物試料500が吸光度をほとんど有しないまたは吸光度がない対照波長、ならびに二価フェノレートおよび/または水酸化物が吸光度を有する1つもしくは2つ以上の波長を測定することによって、対照波長と測定波長の間の透過エネルギーの比率を与えることができる。また、これは、行列代数を用いることができ、そして、所望の成分への干渉を排除し、そして吸光度を成分濃度に変換するために適切な応答係数をそれぞれの波長決定に適用することができる、マイクロプロセッサ(図4中には示されていない)も含んでいる。光源410は、好ましくはタングステンNIRランプである。好ましい分析は、コリメーティングレンズ(L1)411を有することができ、これを通して光源からの光が通過する。コリメーティングレンズ(L1)411の後ろで、光は、「フィルタホイール」(FW)413上の光学フィルタ(L2)412を通して再び焦点を定められる。このフィルタホイールは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つもしくは9つ以上のフィルタ414および415を含んでおり、それぞれに対象となる異なる波長(振動数範囲)が選択されている。例えば、フィルタ1(F1)414は、バックグラウンドもしくは対照フィルタとして設定されており、そして水性の二価フェノレート混合物試料500の光が最小量である波長に設定されている。フィルタホイールは、フィルタ414および415を、連続的にかつ交互に光路中に、そして光路外に回転させるためのブラシレスチョッパモータ416などの手段を有している。フィルタを通過した後に、そのフィルタによって範囲とされる所望の振動数領域のみからなる光は、第3のレンズ(L3)417を通して再度平行にされ(recollimated)そして、分光計の試料セル419の第1の窓418を通して導かれる。水性の二価フェノレート試料500は、試料セル419へと、入口420を通して流れ込み、そして出口421を通して流れ出る。分光計試料セル419は、所望により混合手段422を含んでいる。水性の二価フェノレート混合物試料500中の成分は、特定のレンズ(例えば、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8など)の波長で吸収し、振動型の分子吸収機構を通して光の強度を低減させる。第1の窓418を通した後に、試料セル419中に、試料セル419を通して、そして第2の窓423を通して試料セル419の外に通過して、光は、レンズ(L4)424を通して検出器(D)425上に焦点を定められる。検出器の応答は、与えられたフィルタについての試料の吸光度であり、そして分光計コンピュータ内部で用いられる行列代数中に入力されて、実際の試料成分の濃度、すなわち二価フェノレートおよび/または水酸化物濃度が計算される。
【0063】
好適なNIR分光計は、多成分分析、光源から検出器への単一光路(言い換えれば、鏡の使用の必要がない)を可能にし、単純な機械設計を有して、それがより容易な使用および維持管理を可能にし、セル窓の障害を補償することができ(50%以下まで暗くされても測定精度への影響無し)、光源および検出器の経時変化を補償し、試料セルが電子部品から分離されていることを可能にする、ならびに/あるいは試料セルの温度制御を有していて、温度変動を最小化する。このような好ましいNIR分光計の例としては、ABB Inc.によって製造されているProcess Photometer PIR 3502がある。
【0064】
本発明のプロセスでは、好ましくは対照波長範囲(F1)は、7633〜7752cm−1である。二価フェノレートに対する波長は、監視される具体的なビスフェノレートに依存するが、例えば、ビスフェノールAの塩では、好ましい波長(F2)範囲は、5908〜55997cm−1である。塩基に対する波長は、監視される具体的な塩基に依存するが、例えば苛性アルカリでは、好ましい波長(F3)範囲は、水酸化物では、5642〜5723cm−1である。温度補償に対する波長(F4)範囲は、5457〜5533cm−1である。
【実施例】
【0065】
本発明の実施を説明するために、好ましい態様の例が下記に説明される。しかしながら、これらの例は、如何なる意味においても、本発明を限定するものではない。
【0066】

ABB Inc.から入手可能なProcess Photometer PIR3502を、ビスフェノールAポリカーボネート製造用の商業規模の界面法ポリカーボネート製造プロセス中に設置した。例1〜4は、300℃で1.2キログラム荷重で測定した、それぞれ3g/10分、14g/10分、23g/10分、および80g/10分のメルトフローレートを有する直鎖のポリカーボネートポリマーであった。水性のビスフェノレート混合物は、カーボネート前駆体、好ましくはホスゲンと、重合反応器中で反応して、オリゴマーを生成し、それが次いで所望のポリマー分子量へと連結された。2つの相は分離され、洗浄され、そしてポリカーボネートが単離された。用いた連鎖停止剤は、ターシャリー−ブチルフェノールであり、そしてカップリング触媒はトリエチルアミンであった。連鎖停止剤濃度は、反応の間、一定に保持された。反応体の適切な濃度および反応条件は、当業者によって容易に決定される。
【0067】
水性のビスフェノレートA混合物試料の試料ラインは、溶液タンクと重合反応器の間の主プロセスラインに、または主プロセスラインから輪を描いている。この試料ラインと試料は、約60℃に加熱されている(試料は、NIR分析の前に、試料取扱いシステムの中で加熱される)。Process Photometer PIR3502は、4つの波長:(1)7633〜7752cm−1(対照)、(2)5908〜55997cm−1(ビスフェノレート)、(3)5642〜5723cm−1(水酸化物)、および5457〜5533cm−1(温度補償)で読みを得る。Process Photometer PIR3502からの出力は、重合反応器中へのビスフェノレートA溶液の供給速度の実時間での調整のために、プロセスコンピュータ制御へと供給される。
【0068】
比較例A〜Dは、ビスフェノールA供給速度が、グラブ試料によって採取され、そしてオフラインで3時間毎に試験室で分析された水性のビスフェナート混合物試料の分析に基づいて人手で制御されたこと以外は、例1〜4と正確に同じ方法によって作られたポリカーボネートポリマーである。
【0069】
例1〜4および比較例A〜Bの結果を、表1にまとめ、そして製品仕様外である生成された材料の量として報告した。製品仕様は、ポリカーボネートの、対応するMFRの、許容できる上側および下側の分子量で設定した。分子量は、質量平均分子量である。結果は、仕様外のパーセント(%)で与えた。表1では、MFRは、ASTM D1238に従って、Zwick Plastometer 4105メルトフローレート装置で、300℃で1.2kg荷重を適用して測定した。
【0070】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性の二価フェノレート溶液中の、二価フェノレート、水酸化物、またはその両方の濃度を、該溶液を、カーボネート前駆体および連鎖停止剤と反応させて、ポリカーボネートポリマーを生成させる前に、測定することによって、界面法ポリカーボネート重合プロセスにおける、連鎖停止剤に対する二価フェノールの比率を制御する方法であって、以下の工程:
i)連鎖停止剤に対する二価フェノールの比率の目標範囲を設定すること;
ii)該溶液中に、二価フェノールおよび塩基を、所定のそして独立した供給速度で導入すること;
iii)該溶液中の二価フェノレートおよび/または水酸化物の目標濃度範囲を設定すること;
iv)該溶液、該カーボネート前駆体、および該連鎖停止剤を、重合反応器中に、所定のそして独立した供給速度で導入すること:
v)該溶液を、該重合反応器に入る前に、対照として、該溶液がほとんどもしくは全く吸光度を有さない少なくとも1つの波長での、二価フェノレートが吸収する少なくとも1つの波長での、水酸化物が吸収する少なくとも1つの波長での、そして温度補償のための少なくとも1つの波長での、吸光度または散乱強度を、振動分光法によってオンラインで測定することによって、分析すること;
vi)該溶液中の二価フェノレートおよび/または水酸化物の濃度を、振動分光計分析に基づいて計算すること;
vii)計算された濃度を、該目標濃度範囲と比較すること;ならびに
viii)プロセス制御を用いて、必要な場合には、該二価フェノール、該塩基、該連鎖停止剤および/または該二価フェノレート溶液の1つもしくは2つ以上の供給速度を調整して、該二価フェノレートを該連鎖停止剤に対する該目標範囲に維持すること、
を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記二価フェノールの供給速度および前記塩基の供給速度が、一定に保持され、かつ(1)前記二価フェノレート溶液の供給速度が一定に保持され、かつ前記連鎖停止剤の供給速度が制御される、(2)前記連鎖停止剤の供給速度が一定に保持され、かつ前記にかフェノレート溶液の供給速度が制御される、あるいは(3)前記二価フェノレート溶液と前記連鎖停止剤の両方の供給速度が、連鎖停止剤に対する二価フェノレートの目標範囲を維持するように制御される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記二価フェノールがビスフェノールAであり;前記水酸化物の供給源が苛性アルカリであり;前記カーボネート前駆体がホスゲンであり;前記連鎖停止剤がフェンール、パラ−クミルフェノール、またはパラ−ターシャリー−ブチルフェノールであり;かつ前記ポリカーボネートポリマーがビスフェノールAポリカーボネートポリマーである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ビスフェノールAポリカーボネートポリマーが直鎖である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
分岐剤を更に含み、かつ前記ポリカーボネートポリマーが、分岐ビスフェノールAポリカーボネートポリマーである、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記ポリカーボネートポリマーが、300℃で、1.2キログラム荷重で測定された、約1〜約100グラム/10分のメルトフローレートを有している、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記オンラインの振動分光計分析が、ラマン分光計、中赤外分光計または近赤外分光計によって行なわれる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記オンラインの振動分光計分析が、2〜8の異なる波長で、連続的かつ交互に吸光度を測定することができる、単一の透過セル、単一光源、複数フィルタ光度計によって行なわれる近赤外分析である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記対照の波長範囲が7633〜7752cm−1であり、前記二価フェノレートの波長範囲が5908〜5997cm−1であり、前記水酸化物の波長範囲が5642〜5723cm−1であり、かつ前記温度補償の波長範囲が5457〜5533cm−1である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記分析の間に、前記二価フェノレートの温度を、約55℃〜65℃の温度範囲内に維持する工程を更に含む、請求項1記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−521482(P2012−521482A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502065(P2012−502065)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/025197
【国際公開番号】WO2010/110984
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(510288530)スティロン ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (18)
【Fターム(参考)】