説明

留め具

【課題】 長尺体の一端部に取付けることにより使用される留め具であり、連結ロッドに対してワンタッチで着脱自在に連結できる留め具を提供する。
【解決手段】 ベース体1は、長尺体5を取付ける取付部6と、該取付部から長尺体の反対側に向けて延びる支持部7を備える。フック体2は、前記ベース体に対して支持部に交差する支軸を介して回動自在に枢結された基部12と、該基部から延長され前記支持部の上方で前記連結ロッドを抱持するように円弧を描くフック部13と、該フック部から更に延長され前記支持部の先端近傍部に当接する自由端部14を備える。スプリング3は、前記自由端部が支持部の先端近傍部に当接するようにフック体の基部を回動付勢している。前記ベース体の支持部の軸線と前記フック体の自由端部の軸線の間の角度θ1を鋭角に形成し、これにより該自由端部の外側面にガイド手段を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベルト等の長尺体により荷崩れを防止するため、該長尺体の一端部に取付けることにより使用される留め具であり、連結ロッドに対してワンタッチで着脱自在に連結できる留め具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、荷崩れを防止するため、荷物にベルト等の長尺体を掛け渡し、緊締することが知られている。このようなベルト等の長尺体は、両端部に留め具が設けられ、該留め具を連結ロッドに連結せしめた状態で、長尺体の折返端部を引張ることにより、長尺体を緊締するように構成されている。
【0003】
そこで、このような留め具の代表例として知られているナス環は、図9(A)に示すように、フック体31とベース体32を備えており、フック体31をベース体32に対して取付軸33を介して回動自在に取付けている。フック体31は、円弧状に延びるフック部34の先端に開閉口35を形成し、該開閉口35を開閉自在とする拘束片36を設けている。即ち、拘束片36は、基端部37を固着されたバネ片から構成され、自由端38をフック部34の内側に向けて揺動することにより開閉口35を開閉する。ベース体32は、平行に配置された取付杆39、40を設けており、ベルトBの導入部を一方の取付杆40を通過して他方の取付杆39に巻掛け折返し、該ベルトBの端部を前記導入部と一方の取付杆40の間から挿出せしめるように構成されている。
【特許文献1】特開平11−235223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のようなナス環は、図9(B)に示すように、連結ロッドMを拘束片36に押し当てながらフック部34の内部に向けて前進せしめると、バネ片から成る拘束片36が弾性変形し、開閉口35を開口することにより連結ロッドMの進入を許し、連結ロッドMがフック部34の内部に進入した後、拘束片36が弾性復帰し、開閉口35を閉口する。
【0005】
ところで、前記開閉口35の大きさwと、フック部34の内径dは、連結ロッドMの外径よりも大きく形成されるが、拘束片36により開閉口35を開閉させる場合、拘束片36を最大限に変形させた状態でも、連結ロッドMをフック部34の内部に導くための通路の大きさsは、拘束片36とフック部34の先端との間により規定されるので、s<w、s<dに形成されてしまう。このため、外径の大きい(即ち太い)連結ロッドMに連結可能なナス環を提供するためには、全体の形状が大型化し、重量増やコスト増を招来するという問題がある。
【0006】
更に、このようなナス環において、フック部34を連結ロッドMから取外すためには、ユーザの指先で拘束片36を変形することにより開閉口35を開口させ、連結ロッドMをフック部34から開閉口35の外部に導くことになるが、開閉口35を開口し続けるためには、拘束片36を変形状態のまま指先で押さえておかなければならず、この際、指先が開閉口35に位置しているので、連結ロッドMの通過を妨げ、作業を困難にするという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決した留め具を提供するものであり、その手段として構成したところは、長尺体の一端に取付けられ、連結ロッドを着脱自在に抱持する留め具であり、ベース体と、フック体と、スプリングを備えた構成において、前記ベース体は、長尺体を取付ける取付部と、該取付部から長尺体の反対側に向けて延びる支持部を備え、前記フック体は、前記ベース体に対して支持部に交差する支軸を介して回動自在に枢結された基部と、該基部から延長され前記支持部の上方で前記連結ロッドを抱持するように円弧を描くフック部と、該フック部から更に延長され前記支持部の先端近傍部に当接する自由端部を備え、前記スプリングは、前記自由端部が支持部の先端近傍部に当接するようにフック体の基部を回動付勢しており、前記ベース体の支持部の軸線と前記フック体の自由端部の軸線の間の角度θ1を鋭角に形成することにより、該自由端部の外側面にガイド手段を形成し、連結ロッドをガイド手段に押し当て前記支軸に向けて前進せしめたとき、フック体がスプリングに抗して回動することにより自由端部を支持部から離反せしめ、連結ロッドがフック体の内側空間に進入したとき、フック体がスプリングにより回動復帰して自由端部を支持部に当接せしめるように構成して成る点にある。
【0008】
本発明の実施形態において、ベース体の支持部は、フック体の自由端部を当接せしめる支持点を超えて摘み部を延設することが好ましく、該摘み部は、支持部に対して屈折され、該摘み部の軸線と自由端部の軸線の間の角度θ2が前記角度θ1よりも大きくなるように形成されていることが好ましい。
【0009】
また、フック部の円弧の中心と、基部の支軸の中心と、取付部の中心は、基準線Lにより規定される同一の平面上に位置されているのが好ましく、支持部は、前記基準線に対して屈折偏位されていることが好ましい。
【0010】
更に、ベース体の取付部は、前記基準線Lに交差する取付杆と、該取付杆に平行に配置され前記基準線Lに沿って移動自在な締結杆により構成されていることが好ましく、このような構成によれば、長尺体は、導入部を取付杆を通過して締結杆に巻掛け折返し、端部を前記導入部と取付杆の間から挿出され、これにより長尺体を締結自在かつ弛緩自在とする締結弛緩手段が構成される。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明によれば、ユーザは、ベース体1を把持することにより留め具を連結ロッドMに向けて前進させ、相対的に連結ロッドMを支持部7と自由端部14の間の空間に押し込んでやれば、支持部7の軸線A1と自由端部14の軸線A3を鋭角の角度θ1とすることにより自由端部14の外側面に形成されたガイド手段19を介して、フック体2がスプリング3に抗して回動し、自由端部14を支持部7から離反することにより連結ロッドMの導入路を形成し、連結ロッドMをフック部13の内側に進入せしめるので、極めて簡単なワンタッチの動作で留め具を連結ロッドMに連結することができる。
【0012】
特に、本発明によれば、留め具を連結ロッドMに連結する際、ベース体1を把持した状態で、フック体2を回動させることにより開放される導入路を形成するものであるから、フック部13の内径と同じかそれ以上の導入路を形成するように構成することが可能であり、その結果、外径の大きい(太い)連結ロッドMに対応した留め具を全体としてコンパクトに形成し提供できる利点がある。
【0013】
そして、連結ロッドMから留め具を取外すに際しては、長尺体5の緊締力により、フック体2が連結ロッドMに強く係止している状態においても、ベース体1を回動させることにより、フック体2の自由端部14から支持部7を離反させることにより導出路を形成できるので、軽い力で留め具を開放させ、連結ロッドMから取外すことができる。
【0014】
請求項2に記載の本発明によれば、支持部7が支持点10aを超えて延設された摘み部7aを形成しているので、連結された連結ロッドMから留め具を取外すため、支持部7を自由端部14から離反する方向に回動させる際に、摘み部7aを指先に係止することにより作業を行うことができる便利がある。しかも、摘み部7aは、支持部7に対して屈折されており、摘み部7aの軸線A2と自由端部14の軸線A3の間の角度θ2を、前記θ1よりも大きな角度(但し90度未満の鋭角)に形成しているので、留め具を連結ロッドMに向けて前進させることにより連結するに際して、摘み部7aがガイドとして連結ロッドMを支持点10aに向けて案内するので、連結作業が一層容易となる。
【0015】
請求項3に記載の本発明によれば、留め具に連結ロッドMを連結した状態で、フック部13の円弧の中心と、基部12の支軸9の中心と、取付部6(取付杆6a)の中心が、長尺体5の緊締方向と一致する基準線Lにより規定される同一の平面上に配置されているので、長尺体5を強く緊締することが可能であり、長尺体5の緊締力により留め具の一部分に応力が集中し破損するようなことがない。しかも、支持部7は、前記基準線Lから屈折偏位せしめられているので、支持部7に長尺体5の緊締力が作用することはなく、留め具が連結ロッドMから不慮に外れて脱落する虞れはない。
【0016】
請求項4に記載の本発明によれば、長尺体5は、導入部5aを取付杆6aを通過して締結杆4に巻掛け折返し、端部5bを前記導入部5aと取付杆6aの間から挿出せしめることにより、留め具に取付けられているので、端部5bを引張ることにより、導入部5aを引き寄せ、これにより長尺体5を緊締することができる。そして、緊締の後は、長尺体5に作用する緊張力により緊締杆4が取付杆6aに向けて圧接され、端部5bを該緊締杆4と取付杆6aの間に強く挟持するので、長尺体5が弛緩されることはない。
特に本発明によれば、連結ロッドMから留め具を取外すに際し、フック体2に対して、支持部7を介してベース体1を回動させると、取付部6の回動により、案内杆8が起立することにより、長尺体5の緊締方向に対し取付杆6aと締結杆4を上下に配置するので、長尺体5の弛緩自在な状態が自動的に得られ、これによりフック体2を連結ロッドMから取外すことを容易にするという顕著な効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0018】
(全体の構成)
図1は、本発明に係る留め具の分解状態を示し、図2は、留め具の組立状態を示し、図3は、留め具の使用状態を示している。図1に示すように、留め具の構成部品は、ベース体1と、フック体2と、スプリング3、3と、締結杆4とから構成されている。尚、図3に示すように、留め具は、ベルト等の長尺体5の両端に取付けることにより使用されるが、前記締結杆4は、一方の留め具に必要とされる反面、他方の留め具には必ずしも必要とされない。
【0019】
ベース体1は、長尺体5を取付けるためのほぼ矩形環状の取付部6と、該取付部6から長尺体5の反対側に向けて延びる支持部7を備えている。取付部6は、長尺体5を構成するベルト幅よりもやや長い取付杆6aと、該取付杆6aの両端から折曲され平行に延びる案内杆8、8と、該案内杆8、8から折曲され前記取付杆6aと平行に対向して配置される軸杆9、9を備え、該軸杆9、9の突合わせ端から更に折曲され、該軸杆9、9に交差して延びる延長杆10、10により前記支持部7を形成しており、該支持部7の先端に摘み部7aを形成している。図例の場合、1本の線材を折曲することにより、取付部6と支持部7を一連一体に形成しているが、このような構成に限定されるものではない。
【0020】
フック体2は、前記軸杆9、9に回動自在に軸支される軸受部11を有する左右一対の基部12と、該基部12から延長され前記支持部7の上方で後述する連結ロッドMを抱持するように円弧を描くフック部13と、該フック部13から更に延長され前記支持部7の先端近傍部における支持点10aに当接する自由端部14を備え、該自由端部14を横杆部15により相互に連結している。従って、フック体2は、軸受部11を軸杆9、9に軸支した状態で、基部12が支持部7に交差する支軸回りに回動自在となるように枢結される。
【0021】
一対のスプリング3は、それぞれ、ベース体1の軸杆9に外挿されるコイルスプリング又は鶴巻スプリングを構成しており、コイルの一端部から延長された固定片16を該軸杆9に隣接する案内杆8に係止固定し、他端部から延長された揺動片17をフック体2の基部12に係止固定される。これにより、図2に矢印Fで示すように、スプリング3は、前記自由端部14の横杆部15が支持部7の支持点10aに当接するようにフック体2を回動付勢する。
【0022】
締結杆4は、ベース体1の案内杆8、8に横架される断面円形のロッドにより構成されており、ガイド孔18、18に案内杆8、8を挿通せしめることにより、該案内杆8、8に沿って摺動自在である。尚、図示省略しているが、連結杆4の表面には、ローレット等の凹凸摩擦面を形成することが好ましい。
【0023】
図4に示すように、フック部13の円弧の中心と、フック体2の支軸を構成する軸杆9の中心と、取付杆6aの中心は、基準線Lにより規定される同一の平面上に位置せしめられている。尚、この基準線Lは、ベルト等の長尺体5の緊締力が作用する方向である。これに対して、支持部7は、前記基準線Lに対して屈折偏位せしめられている。即ち、支持部7の軸線A1は、軸杆9から基準線Lよりも下向きに屈折する。更に、摘み部7aは、支持点10aから屈折され、該摘み部7aの軸線A2が支持部7の軸線A1よりも下向きに屈折する。
【0024】
ところで、フック体2の自由端部14の軸線A3は、前記支持部7の軸線A1に対し、鋭角となる角度θ1を有しており、これにより、両軸線A1、A3の間に、外側から支持点10aに向けて次第に収斂されるガイド空間Sを形成し、該自由端部14の外側面にガイド手段19を構成する。因みに、図4に示す実施形態の場合、摘み部7aの軸線A2が自由端部14の軸線A3に対して、前記角度θ1よりも大きな角度θ2(但し90未満となる鋭角)を形成し、摘み部7aにより連結ロッドMの進入ガイドを構成する。
【0025】
(使用状態)
図3に示すように、使用に際して、ベルト等の長尺体5の両端部にそれぞれ本発明の留め具が取付けられる。上述の通り、一方の留め具には締結杆4が備えられているが、他方の留め具には備えられていない。従って、他方の留め具は、図示のように、長尺体5の端部を取付杆7に巻掛けた状態で縫合することにより、長尺体5に固定される。尚、他方の留め具は、従来公知のものを使用しても良い。これに対して、一方の留め具は、締結杆4を備えているので、長尺体5の端部に取付けた状態で、該長尺体5は、緊締自在かつ弛緩自在である。この点の詳細は後述する。
【0026】
(連結ロッドの連結作用)
図4に示すように、連結ロッドMに対して、留め具のガイド空間Sを前進させると、相対的には、連結ロッドMが自由端部14のガイド手段19に押し当てられ、軸杆9に向けて前進されることになる。この際、支持部7に設けた摘み部7aを屈折せしめておけば、連結ロッドMを支持点10aに向けて案内する進入ガイドが構成される。
【0027】
上述のように、ガイド手段19は、支持部7の軸線A1と自由端部14の軸線A3の杆に形成された鋭角の角度θ1により規定されているので、連結ロッドMをガイド手段19に押し当てながら軸杆9に向けて前進させると、図5に示すように、フック体2は、スプリング3に抗して矢印R1の方向に回動され、自由端部14を支持部7から大きく離反せしめ、連結ロッドMをフック部13の内部に向けて進入せしめる。即ち、フック体2が回動することにより支持部7の上方に連結ロッドMの導入通路を形成するので、導入通路は、フック部13の内径よりも大きく形成することができる。
【0028】
連結ロッドMがフック体2の内側空間に進入すると、フック体2は、スプリング3により、図6に示すように、元の状態に回動復帰し、自由端部14を支持部7に当接せしめるので、これによりフック体2のフック部13により連結ロッドMを抱持する。そこで、長尺体5の引張り方向Yとなる基準線Lに対して、フック部13の円弧中心と、軸杆9の中心と、取付杆6aの中心が該基準線Lにより規定される同一平面上に配置されているので、留め具が連結ロッドMから不慮に外れて脱落することはない。
【0029】
図6に示すように、長尺体5は、導入部5aを取付杆6aを通過して締結杆4に巻掛け折返し、端部5bを前記導入部5aと取付杆6aの間から挿出せしめることにより、留め具に取付けられている。従って、図6(A)に矢印で示すように、端部5bを引張ると、導入部5aが引き寄せられ、これにより長尺体5を緊締することができる。緊締の後は、長尺体5に図6(B)に矢印で示すような緊張力が作用するので、これにより緊締杆4が矢印x方向に移動され、端部5bを該緊締杆4と取付杆6aの間に強く挟持するので、長尺体5が弛緩されることはない。
【0030】
(連結ロッドの取外し作用)
連結ロッドMから留め具を取外すに際しては、図7に示すように、連結ロッドMを抱持することにより固定されたフック体2に対して、摘み部7aを介して支持部7を図示矢印R2の方向に揺動させると、スプリング3に抗してベース体1の全体が回動し、取付部6を図示矢印r2のように回動する。
【0031】
取付部6の回動により、案内杆8が起立し、長尺体5の緊締方向に対して、取付杆6aと締結杆4を上下に配置するので、図示矢印で示すように長尺体5は、弛緩自在な状態となる。また、支持部7の回動により、該支持部7がフック体2の自由端部14から大きく離反して連結ロッドMの導出路を形成するので、フック体2を連結ロッドMから取外すことが可能になる。
【0032】
(変形実施形態)
本発明が上述の実施形態に限定されないことは勿論であり、種々の変更が可能である。図8(A)に示す第1変形例において、支持部7は、上述したような摘み部(7a)に相当するものを設けていない。この場合でも、支持部7の軸線A1と自由端部14の軸線A3が相互に鋭角となる角度θ1を形成することにより、自由端部14の外側面にガイド手段19を構成するので、前述したように連結ロッドMをガイド空間Sから押込み、ガイド手段19を押し付けながら前進させることにより、フック体2をスプリング3に抗して開放方向R1に回動せしめることが可能である。そして、フック体2により連結ロッドMを抱持した状態から、該連結ロッドMを取外すために、支持部7を自由端部14から離反する方向に揺動させるに際しては、ユーザの指先をフック体2の内側から支持部7に掛けることにより、該支持部7を揺動させることができる。
【0033】
図8(B)に示す第2変形例は、フック体2におけるフック部13の内径D1に対して、自由端部14の先端と基部12の間に形成される導入・導出路の開口寸法D2を、D2>D1となるように形成している。従って、連結ロッドMを連結するときにフック体2の回動により形成される導入路と、連結ロッドMを取外すときにベース体1の回動により形成される導出路が大きく形成され、作業を容易にする。この第2変形例においても、上述の実施形態と同様に、支持部7の軸線A1と自由端部14の軸線A3が相互に鋭角となる角度θ1を介して自由端部14の外側面にガイド手段19を構成しており、連結ロッドMをガイド空間Sから押込んでガイド手段19を押し付けながら前進させると、フック体2はスプリング3に抗して開放方向R1に回動され、これにより、連結ロッドMのワンタッチによる連結を可能にする。
【0034】
図示の実施形態において、ベース体1及びフック体2は、それぞれ1本の金属製線材を折曲することにより形成されているが、これに限定されないことは明らかであり、例えば、金属板による打抜きプレスや、金属によるダイキャストや、或いは、合成樹脂による成形により形成しても良い。
【0035】
更に、本発明の留め具は、上述のような構成に加えて、種々の付加的な構成を具備することが可能であり、例えば、相互に開閉自在となるように回動自在に枢結されたベース体1とフック体2の間に、フック体2の自由端部14がベース体1の支持部7に当接した状態で、相互に開放方向に回動しないように施錠するロック手段を設けても良い。このようなロック手段は、例えば、自由端部14と支持部7の二つの部材の間において、一方の部材に回動自在に設けられた環状片や爪片を他方の部材に係脱自在に係止するように構成することにより実現される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る留め具の1実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図2】本発明に係る留め具の1実施形態を組立状態で示す斜視図である。
【図3】本発明に係る留め具の1実施形態をベルト等の長尺体の両端に取付けた使用状態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る留め具の1実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の1実施形態において、連結ロッドをフック体の内側に進入させる初期の作用を示す縦断面図である。
【図6】本発明の1実施形態において、フック体を連結ロッドに連結させた状態における作用を示す縦断面図であり、(A)は長尺体を緊締する際の作用を示す縦断面図、(B)は長尺体を緊締した後の作用を示す縦断面図である。
【図7】本発明の1実施形態において、フック体を連結ロッドから取外す際の作用を示す縦断面図である。
【図8】本発明の変形した実施形態を示しており、(A)は第1変形例を示す縦断面図、(B)は第2変形例を示す縦断面図である。
【図9】従来技術に係るナス環を示しており、(A)は技術的構成を示す側面図、(B)は作用を示す側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ベース体
2 フック体
3 スプリング
4 締結杆
5 長尺体
5a 導入部
5b 端部
6 取付部
6a 取付杆
7 支持部
8 案内杆
9 軸杆
10 延長杆
10a 支持点
11 軸受部
12 基部
13 フック部
14 自由端部
15 横杆
16 固定片
17 揺動片
18 ガイド孔
19 ガイド手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体(5)の一端に取付けられ、連結ロッド(M)を着脱自在に抱持する留め具であり、ベース体(1)と、フック体(2)と、スプリング(3)を備えた構成において、
前記ベース体(1)は、長尺体(5)を取付ける取付部(6)と、該取付部から長尺体の反対側に向けて延びる支持部(7)を備え、
前記フック体(2)は、前記ベース体に対して支持部(7)に交差する支軸(9)を介して回動自在に枢結された基部(12)と、該基部から延長され前記支持部(7)の上方で前記連結ロッドを抱持するように円弧を描くフック部(13)と、該フック部から更に延長され前記支持部(7)の先端近傍部(10a)に当接する自由端部(14)を備え、
前記スプリング(3)は、前記自由端部(14)が支持部の先端近傍部(10a)に当接するようにフック体(2)の基部(12)を回動付勢しており、
前記ベース体(1)の支持部(7)の軸線(A1)と前記フック体(2)の自由端部(14)の軸線(A3)の間の角度θ1を鋭角に形成することにより、該自由端部(14)の外側面にガイド手段(19)を形成し、連結ロッド(M)をガイド手段(19)に押し当て前記支軸に向けて前進せしめたとき、フック体(2)がスプリング(3)に抗して回動することにより自由端部(14)を支持部(7)から離反せしめ、連結ロッド(M)がフック体(2)の内側空間に進入したとき、フック体(2)がスプリング(3)により回動復帰して自由端部(14)を支持部(7)に当接せしめるように構成して成ることを特徴とする留め具。
【請求項2】
ベース体(1)の支持部(7)は、フック体(2)の自由端部(14)を当接せしめる支持点(10a)を超えて摘み部(7a)を延設しており、該摘み部(7a)は、支持部(7)に対して屈折され、該摘み部(7a)の軸線(A2)と自由端部(14)の軸線(A3)の間の角度θ2が前記角度θ1よりも大きくなるように形成して成ることを特徴とする請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
フック部(13)の円弧の中心と、基部(12)の支軸(9)の中心と、取付部(6a)の中心は、基準線(L)により規定される同一の平面上に位置せしめられており、前記基準線(L)に対して支持部(7)が屈折偏位せしめられて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の留め具。
【請求項4】
ベース体(1)の取付部(6)は、前記基準線(L)に交差する取付杆(6a)と、該取付杆(6a)に平行に配置され前記基準線Lに沿って移動自在な締結杆(4)により構成されており、長尺体の導入部(5a)を取付杆(6a)を通過して締結杆(4)に巻掛け折返し、該長尺体の端部(5b)を前記導入部(5a)と取付杆(6a)の間から挿出せしめて成ることを特徴とする請求項3に記載の留め具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−170328(P2006−170328A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363856(P2004−363856)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(594061584)
【Fターム(参考)】