説明

異なる体積を提供可能な質量流量検証装置及び関連する方法

本開示の実施形態は、各々が異なる選ばれたサイズを有する複数の体積を用いることにより、広い流量範囲にわたり質量流速の高精度測定に有用であり、ソフトウエア実施を含むシステム、方法、及び装置で行われる。単一の圧力計の使用は、費用削減を容易にでき、質量流量検証装置又は関連する被試験体の全範囲内の分担流領域に従う大きさの複数チャンバー体積の使用は、流量測定におけるノイズの有害な効果を減らす一方、高精度を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる体積を提供可能な質量流量検証装置及び関連方法に関する。
〔関連出願の参照〕
この出願は2006年6月30日出願の米国特許出願整理番号11/479,092に関連し、その出願は2005年3月25日出願一部継続出願の米国特許出願整理番号11/090,120であり、双方の内容とも参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、高精度流体送達システムは、多くの産業用途、例えばウエファーとチップ製造の半導体産業において大変重要になってきた。そのような流体送達システムは典型的に、流体流を調整または監視するために質量流量コントローラ(MFC)及び質量流量検証装置(MFV)のような構成要素を含む。
【0003】
単一の半導体装置の製造は、12種類以上もの気体のプロセスチャンバーを通常含むプロセスツールへの注意深い同期と正確に測定された送達を要しうる。製造プロセスでは種々のレシピが用いられ、かつ半導体装置が例えば洗浄され、磨かれ、酸化され、マスクされ、エッチングされ、不純物が加えられ、金属被覆されること等の多くの分離した処理工程が必要となる場合がある。用いられた工程、それら特有の順序、及び関係する材料物質すべてが、半導体装置の製造に貢献する。
【0004】
化学蒸着、プラズマ蒸着、プラズマエッチング、及びスパッタリングのような気体製造プロセスが遂行される場所を含むようにウエファー製造施設は一般に組織される。プロセスツールは、たとえそれらが化学蒸着反応器、真空スパッタリング機、プラズマエッチャー又はプラズマ化学蒸着、又は他のタイプのシステム、機械又は装置でも、種々のプロセス気体を供給される。プロセス気体は正確に測定された量でツールに供給される。
【0005】
典型的ウエファー製造施設においては、気体は、パイプまたは導管を介してガスボックスに接続されるタンク内に貯蔵される。そのようなガスボックスは、製造施設のタンクからプロセスツールへ正確に測定された量の純粋な不活性又は反応性気体を送達するために使用可能である。ガスボックス又は気体測定システムは典型的に気体ユニットを有する複数の気体流路を含む。そのようなユニットは典型的に、弁、圧力調整器、圧力変換器、質量流量コントローラ(MFC)、及び質量流量メーター(MFM)のような1つ以上の構成要素を含むことができるガススティック、および 質量流量検証装置(MFV)のような他の装置を含む。
【0006】
先行技術の質量流量検証装置(MFV)は流体送達システム及び/又は関連半導体プロセスツールの質量流量コントローラの性能の現場検証を提供するために使われてきた。図1は、質量流量コントローラMFC104のような被試験体(DUT)からの流れを検証するために使われるような1つの先行技術の質量流量検証装置(MFV)100の1例を示す。MFV 100は、所定の体積を有する容器又はチャンバー102、気体マニフォールド(図示せず)とチャンバー102との間の流れを制御する上流又は第1弁108、チャンバー102から出口例えば真空ポンプへの流れを制御する下流又は第2弁110、典型的には容量式圧力計であって、チャンバー102内の圧力を感知するように構成された圧力センサー112、及び温度センサー114を含むことができる。
図1に示されるように、典型的なMFV100は圧力センサー112及び温度センサー114の出力信号を受け取り、上流弁108及び下流弁110の作動を制御するコントローラー120を含むことができる。
【0007】
図1を続いて参照すると、作動において、コントローラー120は、作動期間に、上流弁108及び下流弁110を先ず開けるように一般的にプログラムされ、それにより、上流弁108を通り容器102に入り下流弁110を出る流れが生ずるようにされている。流れが安定化できるのに十分な初期期間後、チャンバー102からの流れを止めるために下流弁110が閉じられるようにコントローラー120はさらにプログラムされる。チャンバー102がMFC104からの流体で満たされるにつれて、コントローラー120は、圧力計112からの容器圧力の測定信号を受け取り、そのクロックから時間の測定値を受け取り、気体流による容器圧力の変化率を決定する。コントローラー120は、これらの測定からMFC104により提供される実際の流速を決定するので、MFCの精度は決定可能である。
【0008】
流れの測定が行われた後、典型的には上流弁108は閉じられ、下流弁110は、例えば真空ポンプ(図示せず)への接続により容器102をパージするために開放される。このように、圧力測定のサンプル値を用いることによりコントローラー120は容器102の既知体積の時間に対する圧力の測定された変化(ΔP/Δt)から気体流速を計算できる。作動の1例はグラフ的に図2に、下記式(1)にしたがって数学的モデルで表現される。
【0009】
図2は、上昇率(“ROR”)測定テクニックを用いる典型的圧力計内圧力の圧力(P)対時間(t)関係200を描くグラフである。典型的質量流量検証のため、コントローラ、例えば、図1のコントローラー120又は類似の計算機能を持つ他の装置/構成要素は、一般的に次式に従う流量検証の上昇率法を用いる。
【式1】
【0010】

【0011】
式中Qi は、期間 Δtの間に質量流量検証装置に入る平均気体流量であり, k0 は変換定数 (= 6×107 標準状態立法センチメートル毎分、sccm), Pstpは標準気圧 (= 1.01325×105 Pa), Tstpは標準温度 (273.15°K), Vcは測定チャンバー体積、Pは測定されたチャンバー気体圧、及びTは測定された気体温である。
【0012】
図1に示され、説明されるような先行技術質量流量検証装置は、意図された目的のためには有用であることが証明されているかもしれないが、ますます高精度流体送達システムに使用される低体積流速において高精度で作動できる質量流量検証装置に対する必要性が存在することが証明されてきた。図1のような先行技術質量流量検証装置は、低体積流速、例えば0.5%の流れ読み取り誤差内で、約10標準状態立法センチメートル毎分(sccm)又はそれ以下の低流速において特定の精度仕様に合致することができないことが証明されてきた。
【0013】
例えば、1sccmから10,000sccmのようなより大きい流量範囲の流速を、比較的低いMFVへの入り口圧力、例えば約75Torrに略等しいか、より小さい圧力で、検証する必要性が起きてきた。更に、多くの圧力センサーを持つ単一の体積は、流動ノイズがチャンバー体積により増幅されるという事実により1sccmから10、000sccmのような広い流量範囲をカバーできない。
【0014】
それゆえ、望ましいものは、低体積流速での広い流速範囲に亘って高精度で作動できる質量流量検証装置を提供することにより注意される限界に対処するシステム、方法、及び装置である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の実施形態は、先行技術のMFV技法について先に述べられた欠陥に対処し、増大された流速範囲を低入口圧力で検証するという現時点の必要性に対処する、ソフトウエア実施を含むシステム、方法、及び装置を指向するものである。本開示の態様は、広い流速範囲に亘って質量流速の高精度測定を提供するが、それは、組み合わされた時に全流量検証範囲を定める個々の流量検証分担領域をそれぞれに定めるように、複数の前もって選択された異なる体積を定義するように構成される配置を提供することによりなされるものである。そのような配置の使用は、質量流検証のために行われる圧力測定における有害な圧力関連ノイズの最小化を容易にする。実施形態は、費用削減を容易にするために単一圧力計を用いてもよい。
【0016】
ある実施形態がここに記述されているが、当業者は、他の実施形態や態様が本開示に含まれている記述や図面に固有で、かつ含まれている事を理解するであろう。
【0017】
本開示の態様は、制限的としてではなく、説明を目的としていると見られるべきである添付図面とともに読まれるときに以下の記述からより十分に理解されうる。図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示方針に基づき強調されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】先行技術質量流量検証装置を示す概略図である。
【図2】上昇率(“ROR”)測定テクニックを用いる圧力計の圧力対時間応答を描くグラフである。
【図3】本開示に従い異なる体積を提供できる単一圧力計質量流量検証装置(MFV)の実施形態を示す概略図である。
【図4】本開示の実施形態に従い流れを測定し流量検証を提供する方法を示すダイヤグラムである。
【図5】異なる体積を提供できる単一圧力計質量流量検証装置の別の実施形態を示す概略図である。
【0019】
特定の図面が本明細書に提示されるが、図面に描かれた実施形態は例示的で本明細書に描かれた他の実施形態と同様にそれらの変形も本開示の範囲内で予測実践できる可能性がある事は当業者によって理解されなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
質量流量検証装置のために実行される圧力測定における関連ノイズが、特に低流速および低圧において測定精度に制限を与え得る事が本発明者によって認識されてきた。
【0021】
本開示に従う流れ測定ノイズ最小化技術は、質量流量検証について、圧力測定ノイズσpにより起こされる流れ測定ノイズQnは、以下のようにMFVのチャンバー体積Vcに比例するという事実を利用できる。
【式2】
【0022】

【0023】
MFVのチャンバー体積を最小化することにより、流れ測定ノイズを最小化できる。しかし、MFVのチャンバー体積における昇圧率ΔP/Δtは、式(1)に従い見ることができるように、所与の流速についてチャンバー体積が減少するにつれて増加する。チャンバー体積が小さすぎると、高流速についての昇圧は、流れ測定誤差を起こす圧力変換器の最大測定範囲を超える可能性がある。MFVについての流れ測定範囲と流れ測定精度(流れ測定ノイズにより制限される)の間には二律背反の関係が存在する。
【0024】
先行技術MFVは、広い流れ測定範囲を達成するため複数の圧力変換器付の単一の大きい体積を持つ。例えば、ルーカステスター(Lucas Tester)は、0.1、1、及び10トルまでの目盛を持つ3つの圧力変換器を装備する20リットルチャンバー体積を持つ。流れ測定範囲は、1sccmから2,000sccmである。しかし、低流速測定(< 10 sccm)精度は、式(2)に従い、大きいチャンバー体積により増幅される圧力測定ノイズにより制限される。
【0025】
低流速及び低圧での測定を含む圧力測定におけるノイズの有害な効果を最小化するため、本開示の実施形態は、特定の流れ被試験体(DUT)の流れ範囲に基づいて選択される異なるサイズの測定チャンバー体積を用いる。異なる体積を持つMFVは、低流量範囲を検証するため小さいチャンバー体積を選択する一方、高流量範囲を検証するため大きいチャンバー体積を選択する。それ故、体積調整可能MFVは、測定精度(測定ノイズにより制限された)と測定範囲(最大昇圧率により制限された)との間の二律背反の釣り合いを取ることができる。
【0026】
本開示のこれらの態様は、前もって選択されたサイズの複数の測定体積を用いることにより流れの広い範囲にわたる質量流速の高精度測定を提供する。そのような異なるサイズの測定体積の使用は、質量流量計算及び検証のために実行される圧力測定において起きる有害な圧力関連ノイズの最小化を容易にする。本開示の更なる態様は、費用削減を可能にするそのような流量検証のための単一の圧力計の使用を提供できる。本開示の実施形態は、流体制御装置からのような体積流量の高精度測定及び/又は検証に有用なシステム、方法、及び装置を指向する。本開示の実施形態は、組み合わせられたとき広い流速範囲を提供する流速の分担領域を各々好ましく定める複数の測定体積を使用する、そのような質量流量検証の実行及び制御に適したコンピュータ実施可能コード、例えば適合アルゴリズム、を有するソフトウエア又はファームウエアを含むことができる。
【0027】
特定DUTの流れ測定又は検証のため、本開示に従う複数の測定体積は、DUTの作動流量範囲に基づき選定されてもよい。例えば、選ばれた数の測定体積は体積が約1桁(log10)違うように選ばれることができる。DUTから受け取られる流れに関係して寸法設定された特定測定体積にDUTから転用することにより、DUT流量検証測定の統計的分散は効率的に減少させることができ又最小化できる。このように、本開示の実施形態は、下記に詳述された通りおよび添付図面に関連して記述された通り特定の質量流量DUTの流量範囲にわたる分担領域について圧力測定においてノイズの影響を最小にすることにより、特に低流速、例えば、0.5 sccm程度以下においてMFVの精度を提供及び/又は改良できる。
【0028】
図3は、本開示に従い配置された調整可能体積MFV300の一実施形態を示す略図である。示されるとおり、MFV300は異なる体積(図には3つ示されているが、数は2から対象の全範囲をカバーするのに必要な数までが可能)の複数のチャンバー302(1)〜302(3)を含み、MFC310のようなDUTから質量流量(Qi)308を入力として受け取るように構成及び配置されうる。1つ以上の上流弁304(1)〜304(3)及び下流弁312(1)〜312(3)が、各複数チャンバー302(1)〜302(3)への及びからの流れを選択的に制御するために存在する。圧力計306は、各チャンバー302(1)〜302(3)における圧力を選択的に測定するように構成及び配置される。チャンバー302(1)〜302(3)からの流れを、示されるとおり、弁318(1)〜318(3)を選択的に操作することにより圧力計306により選択的に測定できる。温度センサー316(1)〜316(3)は、例えば、1つ以上の位置での、好ましくは対応するチャンバー壁における各チャンバー302(1)〜302(3)に関連する温度を検知するように構成及び配置されうる。MFVを去る質量流は(Qo)309で示される。
【0029】
コントローラー、プロセッサー又は他の類似装置303はシステム300の望ましい作動を制御する(コントローラー303からの接続は図3では簡潔化のため省略されるが、任意の適合する接続が存在してもよい。)。例えば、コントローラー303は1つ以上の上流弁、例えば、304(1)〜304(3)及び1つ以上の下流弁例えば、312(1)〜312(3)を制御または操作の補助し得る。 コントローラー303は、システムの作動を制御し望ましい一連のステップを実行するように、例えば、ソフトウエアまたはファームウエアにより、適切に構成される。この点に関し、コントローラーは又、そのような操作及び望ましい一連のステップを実行するため必要な命令のいくつかまたは全てを受け取るために、適切な通信リンク、例えば、イーサネット(登録商標)接続等又は任意の適切なコンピュータ読み取り可能媒体を通じて適切に接続されうる。
【0030】
各測定チャンバー、例えば、システム300のチャンバー302(1)〜302(3)のうちのいずれか1つは、質量流量コントローラMFC310のような被試験体(DUT)から流体を受け取るために接続された入り口308からの流体流(例えば、望ましい半導体処理気体の)を受け取り、望ましい体積を有するように構成及び配置されうる。入り口は対応する入り口または上流弁304(1)〜304(3)に接続され、それらの弁はどのチャンバーが入り口308からの流体を受けとるべきか選ぶように操作される。入り口弁304(1)〜304(3)は、対応するチャンバー302(1)〜302(3)に接続される。示された例示的な実施形態は、例えば、10リットル、1リットル、0.1リットルとそれぞれ対数な寸法とされた、それぞれ異なる体積を持つ3つのチャンバーを含む。これらの3つのチャンバーの流量検証範囲もまた、例えば、それぞれ1,000 〜 10,000 sccm, 100 〜 1,000 sccm, 1 〜100 sccmと対数的な量とされる。勿論、3つの測定チャンバーが図3に示される一方、チャンバーの如何なる適切な数も使用可能で、サイズの違いも変化しうる。従って、本開示の実施形態は、如何なる流速範囲をも測定するように作動でき、特に低質量流速(< 10 sccm)における、精度(読み取り誤差0.5%以内)の良い測定で有用である。各チャンバーは対応する出口または下流弁312(1)〜312(3)に接続された出口を含む。各下流弁は選択的にシステム300の出口309へ対応するチャンバーを接続する。各チャンバーは又、好ましくは試験弁318(1)〜318(3)を通り圧力弁306に接続されるので、選択的に各弁318(1)〜318(3)を操作することにより、特定チャンバー内の圧力は望ましい時間期間に亘って測定されうる。各チャンバー302(1)〜302(3)は又、各チャンバー302(1)〜302(3)内の圧力を測定するために温度センサー316(1)〜316(3)を含む。対応する温度センサー316(1)〜316(3)により測定された各チャンバー内流体の温度の測定は、コントローラー303に提供され、同様に、圧力センサー306からの圧力測定はコントローラに提供される。上下流弁304(1)〜304(3) 及び312(1)〜312(3)は、同様にコントローラにより選択的に制御される。
【0031】
チャンバーにより提供された分担領域は好ましくは、MFV300のシステム用に、1つの連続した全範囲を提供するように、重なるか又は順次連続している。複数のチャンバーを使用することによりMFVの範囲はチャンバーの数と対応する部品の関数として拡張されうる。
【0032】
図3を再び参照すると、もしMFV300の選択されたチャンバー302(1)〜302(3)に関連する上流弁304(1)〜304(3) 及び対応する下流弁312(1)〜312(3)が開かれる場合、選択されたチャンバーを通る流れは、やがて定常流に達するか定常流になる。その後、対応する下流弁312(1)〜312(3)は流量検証のため閉じられ、選択されたチャンバー内でチャンバー圧が上昇する。このように、選択された体積のチャンバー301が選択可能で、共用圧力計306及び対応する温度センサー316を用い上昇率測定をすることができる。
【0033】
図4は本開示に従い、例えば、図3のMFV300で採用されたような流量測定の方法400の実施形態を示す。既知の又は選択された体積の複数のチャンバー又は容器、例えば、体積312(1)〜312(3)は、各チャンバーの体積は質量流量検証装置又は質量流量コントローラのような被試験体(DUT)の作動範囲の流量分担領域に対応するように、ステップ402に記述されるように提供され得る。
【0034】
流体流動はステップ404に記述される通り選択されたチャンバーに対応する流量分担範囲内となる、質量流量装置の実際の流れに基づき選択されたチャンバーに提供されてもよい。ステップ404の前に、測定に使用される必要のある特定チャンバー302(1)〜302(3)を決定するように自動的に又はユーザーにより特定流量範囲が決定される。コントローラー303はその後ステップ404で、好ましくは他の非選定チャンバーに関連する全ての上流、下流、及び試験弁を閉じ、適切な流量分担領域内で測定を開始する選択されたチャンバーに関連する全ての上流、下流、及び試験弁のみを作動するために使われる。流体流を受け取る選択されたチャンバーに関連する温度はステップ406に記述される通り、例えば、対応する温度センサー316を用い測定されてもよい。ステップ408に記述される通り、下流弁312が閉じられるとき、選択されたチャンバーの適切な試験弁318が開放され、選択されたチャンバー内の圧力は単一圧力計で測定可能となる。ステップ410に記述される通り測定された温度、圧力、時間、及び流体流を受け取るチャンバーの体積に基づき流量が計算可能である。
【0035】
一定の実施形態が本明細書に記述されてきたが、当業者は、本開示の方法、システム、及び装置は本発明の精神から逸脱することなく他の特定の形式で具現化可能である事を理解するであろう。
【0036】
例えば、本記述中のシステム及び方法は一般に少なくとも2つの異なるチャンバーを含むものとして、及び示された実施形態には3つの異なるチャンバーを含むものとして記述されてきたが、本開示に従い複数のチャンバーに如何なる適切な数のチャンバーをも使用可能である。記述された実施形態において、各チャンバーは固定体積を提供される。チャンバーの体積がシステムの作動範囲の分担領域に対応する如何なる2つ以上の前もって選択された体積にも調整できる場合に1つのチャンバーでも使用可能である事は理解されたい。例えば、図5に示す通り、チャンバー500は、前もって選ばれたレベルに体積を拡大又は縮小するように調整可能な適切なシール付の端壁502を有することができる。端壁502は例えば、可動ピストン504の一部分でありうる。入り口弁506と出口弁508は、チャンバーへ入る及びチャンバーから出る、DUT510からの流れを制御するために提供される。圧力計512及び温度センサー514は、チャンバー内の圧力の上昇率中に適切な圧力及び温度測定をするために提供される。このように、図3の実施形態に提供される全ての3つの体積は、調節可能体積を有する単一チャンバーにより提供される。事実示された配置は、如何なる数の体積も提供可能であり、ピストンが十分に引っ張られた時最大体積を提供可能で、及びピストンが圧力計入り口及び熱センサーに隣り合った位置に在る時最小体積を提供可能である。更に、1つ以上のチャンバーには固定体積が提供されうる一方、他には調整可能体積が提供され得る。加えて、本明細書に記述された実施形態では単一圧力計の使用が参照されてきたが、複数圧力計を本開示による複数測定体積と連動して使用可能である。例えば、1つ以上の第2圧力計、又はバックアップ圧力計を第1次圧力計と並列又は直列に構成されうる。
【0037】
従って、本明細書に記述された実施形態は、それ故全ての点で例示的で、かつ本開示を制限しないと考えられなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流量範囲に亘り作動する質量流量装置からの流体の流量を検証するための質量流量検証装置であって、
前記作動流量範囲内の分担領域を表すように異なる所定の体積を定義するように構成及び配置されたシステムであって、出口弁が閉じられた時、前記質量流量装置から体積への流体流から起きる圧力変化を測定することができるように各体積が前記質量流量装置から流体流を受け入れるための入り口及び前記出口弁を含むシステムと、
前記圧力変化が体積内で測定される時、前記体積内の前記流体の温度を表す信号を発生するように構成及び配置された温度センサーと、
前記圧力変化が前記体積内で測定される時、前記体積内の前記圧力変化を表す信号を発生するように構成及び配置された圧力センサーと、
前記圧力計圧力信号、前記温度信号、及び前記選ばれた体積のサイズの関数として質量流量コントローラから選ばれたいずれかの前記体積への流量を測定するように構成及び配置されたコントローラと、
を含む質量流量検証装置。
【請求項2】
前記システムは、前記異なる体積を決めるための複数のチャンバーを含む、請求項1の質量流量検証装置。
【請求項3】
前記システムは、前記異なる所定の体積を定義するように調整可能である体積を有するチャンバーを含む、請求項1の質量流量検証装置。
【請求項4】
前記チャンバーが、前記調整可能な体積を提供するように可動である壁を含む、請求項3の質量流量検証装置。
【請求項5】
前記壁は可動ピストンの一部分である、請求項4の質量流量検証装置。
【請求項6】
前記複数の体積は3つの分離したチャンバーにより定義される、請求項1の質量流量検証装置。
【請求項7】
前記3つのチャンバーは約10.0リットルの容量を持つ第1チャンバーと、約1.0リットルの容量を持つ第2チャンバーと、約0.1リットルの容量を持つ第3チャンバーとを含む、請求項6の質量流量検証装置。
【請求項8】
前記約10.0リットルの容量を持つ第1チャンバーは、約10,000から1,000sccmまでの流速範囲内で測定するように作動するように構成及び配置された、請求項7の質量流量検証装置。
【請求項9】
前記約1.0リットルの容量を持つ第2チャンバーは、約1,000から100sccmまでの流速範囲内で測定するように作動するように構成及び配置された、請求項7の質量流量検証装置。
【請求項10】
前記約0.1リットルの容量を持つ第3チャンバーは、約100から1sccmまでの流速範囲内で測定するように作動するように構成及び配置された、請求項7の質量流量検証装置。
【請求項11】
前記複数のチャンバーは、約10,000から1sccmまでの流速範囲内で圧力を測定するように作動するように構成及び配置された、請求項7の質量流量検証装置。
【請求項12】
前記圧力センサーは容量性圧力計である、請求項1の質量流量検証装置。
【請求項13】
前記検証装置は各体積に使用するための単一の圧力センサーを含む、請求項12の質量流量検証装置。
【請求項14】
前記検証装置は、選ばれた体積から前記単一の圧力センサーへの流れを制御するように各体積の出口と前記単一の圧力センサーとの間に複数の弁を含む、請求項13の質量流量検証装置。
【請求項15】
作動流量範囲に亘り作動する質量流量装置からの流体の流量を検証するための方法であって、
前記作動流量範囲内の分担領域を表すように異なる所定の体積を定めるステップと、
前記質量流量装置から各体積の入り口を通る流体流を選択的に制御し、出口弁が閉じられた時、前記質量流量装置から体積への流体流から起きる圧力変化を測定することができるように各体積から出口弁を通る流体流を選択的に制御するステップと、
前記圧力変化が体積内で測定される時、前記体積内の前記流体の温度を表す信号を温度センサーを用いて発生するステップと、
前記圧力変化が前記体積内で測定される時、前記体積内の前記圧力変化を表す信号を圧力センサーを用いて発生するステップと、
前記圧力計圧力信号、前記温度信号、及び前記複数の体積のうちの1つの既知体積の関数として前記質量流量コントローラからの流量を測定するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記体積に対応する前記流量分担領域内に存在する流体流に基づき前記質量流量装置からの流体流を受け取るために体積を選ぶステップを更に含む、請求項15の方法。
【請求項17】
前記質量流量装置の前記流量範囲は約10,000から約1sccmまでである、請求項15の方法。
【請求項18】
前記作動流量範囲内の分担領域を表すように異なる所定の体積を定めるステップは、チャンバーの前記体積を前記所定体積のうちの選ばれた一つの体積に調整するステップを含む、請求項15の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−531999(P2010−531999A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515014(P2010−515014)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/067870
【国際公開番号】WO2009/002917
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(592053963)エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド (114)
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED