異なる素材からなるレンズユニット及びこれを備えるカメラモジュール、並びにその製造方法
【解決手段】異なる素材からなるレンズユニットは基体とレンズを含む。レンズは、異なる素材からなるカメラモジュール部品が基体として用いられる。基体上に光学樹脂を直接複製して上記レンズを形成し、基体上に上記レンズを一体化する。カメラモジュールは上記レンズユニットを備える。上記基体と接触する面が中心軸に対して傾斜していることで上記基体の自動アラインメントを許容する金型を利用して、単一あるいは複数の上記基体上に単一あるいは複数の上記レンズを形成して単一あるいは複数の上記レンズユニットのアレイを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット及びカメラモジュール、並びにそれを製造するための製造方法、より詳しくは、カメラモジュール部品の基体上に光学樹脂を直接複製してレンズを形成する異なる素材からなるレンズユニット及びこれを備えるカメラモジュール、並びにそれを製造するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PDFなどの携帯型情報格納機器の使用が増加する中で、カメラモジュールに対する需要が増加しており、特に、超小型の高解像度カメラモジュールに対する需要が急増している。
【0003】
図1は、従来のカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0004】
PCB基板110上には、イメージセンサー120aが位置している。PCB基板110とイメージセンサー120aとは、イメージセンサー120aの種類に応じて様々な表面実装(SMT、Surface Mounter Technology)工程を用いて接続される。図面符号120bは、はんだボールを示す。イメージセンサー120aの上部には、センサーの種類に応じて様々な形態のカバーガラス120cが形成されていてよい。
【0005】
赤外線カットオフフィルター(IRフィルター)を有することで、ノイズとして存在する可視光線帯域以外の赤外線帯域波長を遮断する。赤外線カットオフフィルターは、ガラス基板140a上に光学コーティング140bを形成してなる。
【0006】
イメージセンサー120aは、PCB基板110上に取り付けられている鏡筒ホルダー130によって外部から遮蔽される。鏡筒ホルダー130の上部には、レンズモジュール150が組み付けられる。レンズモジュールは、単品レンズ170a〜170cを製造した後に各単品レンズ170a〜170cをスペーサ160c、絞り160d、遮光絞り160e、160fなどと共にバレル160a内部に順次挿入し、キャップ160bをバレル160aに組み付けてレンズ170a〜170c及び鏡筒構造物160a〜160fを固定することで形成される。
【0007】
上述したように、カメラモジュールは、イメージセンサー120a、IRフィルター、鏡筒ホルダー130、各種の鏡筒構造物160a〜160f、及び単品レンズ170a〜170cなどを組み立てなる。
【0008】
しかしながら、上記のような構造を有する従来のカメラモジュールは、次のような問題点を有している。
【0009】
多数のカメラモジュール部品を組み立てる過程で生じる位置合わせ誤差やチルトなどは光学性能の低下をもたらすことがあり、これを防止するために、組立工程の際に高精度の位置合わせを行っているが、これがカメラモジュールのコストアップの原因になっている。
【0010】
また、カメラモジュールの光学設計過程において十分な組立公差を確保しなければならないという設計上の制約条件は、超小型の高性能カメラモジュールの設計上の制約にもなっている。
【0011】
さらには、従来のカメラモジュールにおいて、ポリマー材質のレンズが使用される場合、剛性が落ちることで耐久性が低いという短所があり、一方、ガラス材質のレンズが使用される場合、製造コストが高くなり且つ実現可能な形状制約により設計自由度が低下するといった問題が生じるという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、組立が簡単であるため高い生産性及びコストの節減が可能であり、組立工程において生じる位置合わせ公差を改善することができ、カメラモジュールの薄型化が可能であり、既存のカメラモジュールの様々な設計上の制約条件の排除による設計自由度の確保が可能であるレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、成形工程において生じ得る形状変形を最小限に抑えることで、優れた品質水準を持つレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
本発明のまた他の目的は、高い剛性を確保することで耐久性に優れたレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、最適の材料及び成形工程を提案することにより、製造コストが低く且つ実現可能な形状制約による設計自由度の低下を抑えながら、高耐熱特性を有することで応用製品化工程の際の工程コスト及び時間の画期的な削減を可能にするレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0015】
本発明の他の更なる目的は、高画素及カメラモジュールから低画素カメラモジュールにいたるまでの様々な品質水準の要求に応じられるレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、量産性を高め、且つ一定の品質を保持することができる異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品の基体上に光学樹脂を直接複製して上記レンズを形成し、上記カメラモジュール部品の基体上に上記レンズを一体化してなることを特徴とする異なる素材からなる一体型レンズユニットを提供する。
【0018】
一実施形態によれば、上記光学樹脂は、熱硬化性樹脂であり、上記レンズは、上記熱硬化性樹脂を加熱硬化成形してなる。
【0019】
他の実施形態によれば、上記光学樹脂は、光硬化性樹脂であり、上記レンズは、上記光硬化性樹脂を露光のより硬化させて成形してなる。
【0020】
好ましくは、上記光学樹脂は、熱硬化性性質を有する。
【0021】
上記基体は、鏡筒ホルダー、バレル、キャップ、絞り、スペーサ、遮光絞り、赤外線カットオフフィルター、カバーガラス、及びレンズ保持構造物のいずれかであればよい。
【0022】
上記基体は、液状レンズ材料の流動に対する流動抵抗が位置によって異なっている表面状態を有すればよい。
【0023】
好ましくは、上記流動抵抗は、上記レンズの中心から遠距離の位置よりも相対的に近距離の位置においてより小さくなる。
【0024】
好ましくは、上記基体は、貫通孔を有し、上記レンズは、上記貫通孔に形成される。
【0025】
好ましくは、上記基体は、不透明である。
【0026】
また、本発明は、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えることを特徴とするカメラモジュールを提供する。
【0027】
一実施形態によれば、上記カメラモジュールは、単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットを備える低画素カメラモジュールであって、上記単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットは、鏡筒ホルダーの基体上にレンズを形成してなる。鏡筒ホルダーの基体上にレンズを形成してなる単一の上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを適用するカメラモジュールは、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットをイメージセンサーが実装された回路基板上に取り付けてなり、このような方法は、安価なカメラモジュールの製造にあたって画期的な工程コストの削減を実現することができる。
【0028】
また、本発明は、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法であって、上記基体のアレイ上に上記レンズのアレイを形成して上記異なる素材からなる一体型レンズユニットのアレイを製造することを特徴とする異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法を提供する。
【0029】
一実施形態によれば、上記基体のアレイは、単体であり、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットのアレイを製造した後、該製造された上記異なる素材からなる一体型レンズユニットのアレイをダイシングして、多数の異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する。
【0030】
また、本発明は、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法であって、上記基体と接触する面が中心軸に対して傾斜していることで上記基体の自動アラインメントを許容する金型を利用して上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを成形することを特徴とする異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニット及びこれを備えるカメラモジュールは、設計自由度の増大によるカメラモジュールの小型化及び性能向上という利点を有し、さらに、組立部品数の削減による組立工程の単純化及び生産コストの節減、位置合わせ精度の向上という利点を有する。
【0032】
また、本発明は、成形工程において生じ得る形状変形を最小限に抑えることで、優れた品質水準を持つレンズユニット及びカメラモジュールを提供することができる。
【0033】
また、本発明は、剛性材料上にレンズを形成することにより、レンズユニットの耐久性の増大などの効果を奏する。
【0034】
さらには、本発明は、高温動作性に優れ且つ優れた高温耐久性を有することで、回路実装工程時のはんだ付け(リフロー)工程に直接適用することができるという利点を有する。
【0035】
特に、このような異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程は、アレイ形態で行われるため生産速度を増大させることができ、低解像度カメラモジュールに適用する場合、カメラモジュールの部品点数及び工程段階の画期的な削減が可能である。
【0036】
また、本発明は、高画素カメラモジュールから低画素カメラモジュールにいたるまでの様々な品質水準の要求に応じられるレンズユニット及びカメラモジュールを提供することができる。
【0037】
また、本発明は、量産性を高め、且つ一定品質を保持することができる異なる素材からなる一体型レンズユニット製造方法を提供することができる。
【0038】
また、本発明は、レンズの成形で、貫通孔に注入されたレンズ形成材料の不均一な流入が原因で引き起こされるような空洞等のレンズの不良の発生を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来のカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図2】本発明との比較例を示す図であって、同じ素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図6】ないし
【図9】本発明の第4実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図11】本発明の第6実施形態による単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図12】ないし
【図14】本発明の第7実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図15】ないし
【図17】基体の比較例において生じる問題点を示す図である。
【図18】ないし
【図20】基体の他の比較例において生じる問題点を示す図である。
【図21】本発明の第8実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図22】本発明の第9実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0041】
第1比較例
図2は、本発明との第1比較例を示す図であって、同じ素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0042】
本発明の目的である組立性の向上、生産性の向上、コストの節減、位置合わせ公差の改善、カメラモジュールの薄型化、設計自由度の確保などを達成するために、レンズ材料として用いられる光学ポリマーを用い、図1の鏡筒構造物160a〜160fを含むようにレンズユニット280a〜280cの形状を設計してカメラモジュールを構成した。
【0043】
しかしながら、このような構造では、既存の鏡筒構造物において実行する光学的機能、すなわち、絞り、遮光絞り、ゴースト防止などの役割を果たせないという問題が生じ、これを補完する設計事項が制約としての機能を果たすことが必要となる。
【0044】
例えば、絞りなどの不透明構造物が要求されることで部品点数の増加が余儀なくされる。これは、組み付けの工数を増大させ、カメラモジュール全体の厚みを増大させる要因になる。
【0045】
また、最終的に製造されたカメラモジュールの側面は、透明レンズユニットを露出させ、ここから外光がイメージセンサーに入射してしまうことがあるため、さらなるコーティングあるいは遮光部材の接合工程が要求される。
【0046】
また、比較的厚い鏡筒構造物をレンズと共に成形する過程において、収縮のバラツキやこれによる変形などが生じ、これを補完する設計が要求される。
【0047】
したがって、図2に示すような構造のレンズユニット280a〜280c及びカメラモジュールの構造は好ましくないものと判明した。
【0048】
第2比較例
第2比較例では、レンズ材料としては熱可塑性物質を用い、成形工程としては射出成形工程を用い、異なる素材からなる基体上にレンズを一体化することで異なる素材からなる一体型レンズユニットを形成した。
【0049】
射出成形工程を用いる異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程は、インサート射出工程で行なうことができ、カメラモジュール部品の基体を金型上の所定の位置に位置させてから上金型と下金型とを型締めし、湯道とゲート構造物から溶融された熱可塑性樹脂をキャビティ内に注入した後、冷却工程及び離型工程を実行して済むため、非常に高い生産性を有する。
【0050】
しかしながら、比較的高い光学樹脂成形工程の工程温度及び圧力下における基体の耐久性、インサート射出成形工程の低い収率及びレンズ面と基体間の低い位置合わせ精度が問題になる。
【0051】
第3比較例
第3比較例では、レンズ材料としては熱可塑性物質を用い、成形工程としてはホットプレス成形工程を用い、異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造した。
【0052】
上記ホットプレス成形工程は、カメラモジュール部品の基体上に熱可塑性光学樹脂を位置させ、光学樹脂の上部と下部にコアを位置させてから、光学樹脂のガラス転移温度以上に加熱しながら加圧成形することで行われる。
【0053】
このようなホットプレス成形工程は、射出成形工程よりも低い温度で成形工程を行うことができ、且つカメラモジュール部品の基体に衝撃が加わらない構造であって、射出成形工程に比べ、異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造のためのカメラモジュール部品の材料選定が容易であるという長所を有する。
【0054】
また、材料の供給のための湯道、キャビティなどの構造物を不要とするため、成形工程の際の材料の無駄使いを削減することができる。
しかしながら、第3比較例では、カメラモジュールを回路基板上に実装する過程における工程コストや時間が過度に増加するという問題点を有する(このような問題点は、前述した第2比較例でも同様に現われる。)。
【0055】
カメラモジュールを適用する応用製品の製造段階において、カメラモジュールを回路上に実装する工程が要求されるが、これに伴い、はんだ付け工程のための高温工程が行われる。工程コストや時間の削減のためには、はんだ付け工程の前にカメラモジュールを回路に実装してはんだ付け工程を行うことが好ましい。
【0056】
しかし、射出成形工程またはホットプレス成形工程で製造されたプラスチックレンズを用いるカメラモジュールの場合、高温耐久性の問題からはんだ付け工程が行なわれた以降にカメラモジュールを回路に実装する過程を行う必要がある。
一方、ガラスレンズは、高温耐久性が高いためはんだ付け工程の前に実装工程を行うことができるが、前述したように、製造コストが高く且つ実現可能な形状制約による設計自由度が低下するという問題を有する。
【0057】
そこで、本発明では、このように両立が難しそうな二つの要求条件を容易に満足させることができる材料及び成形工程を提案する。
【0058】
本発明の好適な実施形態
本発明の好適な実施形態では、異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造のために、熱硬化樹脂を用いた加熱硬化成形工程、及び光硬化樹脂を用いた露光硬化成形工程が適用される。
【0059】
熱硬化樹脂を用いた加熱硬化成形工程及び光硬化樹脂を用いた露光硬化成形工程は、熱あるいは光エネルギーにより硬化される樹脂材料を用いる成形方法であって、液状の光学樹脂をカメラモジュール部品の基体上に形成されたキャビティ内に充填させてから熱あるいは光エネルギーを用いて硬化させた後に離型する工程である。
【0060】
これら成形工程を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程は、射出成形工程のように湯道とゲートからキャビティ内に樹脂を充填する方法の適用も可能であるが、定量の材料をキャビティ位置に塗布して成形工程を行うことも可能である。なお、湯道とゲートを介しない工程は、材料の流動に伴う材料損失をなくすことができるため、材料費の節減を実現する上で望ましいといえる。
【0061】
このような成形工程は、射出成形及びホットプレス成形工程に比べて低い工程圧力下に行なわれるため、加圧力による基体の損傷を抑えることができるという長所を有する。
【0062】
また、熱硬化樹脂及び光硬化樹脂は、一般に熱硬化性性質を有するものであるため、高耐熱性材料からなる基体と結合された異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する場合、レンズモジュールの耐熱性が向上するという効果を奏する。
特に、カメラモジュールの回路への実装の際、はんだ付け温度を勘案すると、光学樹脂の耐熱温度は250℃以上であることが好ましい。
【0063】
このような高耐熱性レンズモジュールは、カメラモジュールの回路への実装工程の際に適用されるはんだ付け工程の高温環境(リフロー)に適用可能であるため、カメラモジュール搭載製品の生産コストの削減という効果を奏する。
【0064】
図3は、本発明の第1実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図であり、図4は、本発明の第2実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0065】
本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニット480は、レンズと基体とが一体化されてなる。ここで、基体としては、レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品が使われる。また、基体は貫通孔を有し、この貫通孔にレンズを形成し、基体はレンズ材料とは異なる素材である不透明な材料からなることが好ましい。この場合、最終的に製造されたカメラモジュールでは、外光が自然に遮断され、さらなるコーティングあるいは遮光部材の組み付けが不要となる。これは、カメラモジュールのコスト削減及び超小型にする上で極めて有利である。レンズは、基体上に光学樹脂を直接複製して形成される。
【0066】
図3に示すように、鏡筒ホルダー、スペーサ、絞り、遮光絞り、バレル、キャップなどのような中心部が貫通した形状の構造物を基体460とし、その上下部にわたって光学樹脂を直接複製してレンズ470を形成することで異なる素材からなる一体型レンズユニット480を製造することができる。
【0067】
また、図4に示すように、IRフィルター、カバーグラスなどのようにフラット基体460上に光学樹脂を直接複製してレンズ470を形成することで異なる素材からなる一体型レンズユニット480を製造することもできる。
【0068】
一般に、IRフィルター、カバーガラスなどの部品は、一方面は光学レンズが成形できるように特別な処理が施されていないが、他方面はコーティング層あるいはイメージセンサーなどが位置されているため、図4では、単レンズを形成する方法だけを示している。なお、中心部が貫通されていない構造物でも両面レンズの形成が可能である。
【0069】
コアは、図3に示す下コア321のように光学樹脂が完全に閉鎖された構造で成形されるように形成されていてもよく、図3に示す上コア311のように注入される樹脂の量に応じてフランジが可変に形成でき、開放された構造で成形されるように形成されていてもよい。開放された構造のコアは、コアと基体との直接的な接触がないため、加圧による基体の損傷及び変形を最小限に抑えることができるという長所を有する。
【0070】
上金型310、下金型320の材料は、一般に用いる金属材質の他、成形工程に応じてガラス、ポリマーなどの各種の材料あるいはこれらの組み合わせであればよい。
【0071】
図3及び図4は、異なる素材からなる一体型レンズユニットの一例を簡単に示す。レンズユニットの構造は、基体の材料及び形状などに応じて、あるいは光学面の形態及び位置などに応じて各種の変形が可能である。
【0072】
図3及び図4に基づいて異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程を説明すれば、カメラモジュール部品の一部である基体460を下金型320上に載置し、上金型310を閉じて基体460の中心が以降の成形工程を行う光学面の中心と一致するようにし、上コア311と下コア321を用いて光学面を形成するようになる。
【0073】
光硬化樹脂を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの場合、露光による硬化過程を行う必要があるため、1個あるいはすべてのコアが透明材質からなる必要がある。
【0074】
図5は、本発明の第3実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0075】
図3の異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造において、鏡筒構造物及びIRフィルター、カバーグラスなどの基体とレンズの光学面との中心の位置合わせは、カメラモジュールの特性を決める最も重要な要因である。
【0076】
基体と光学面との中心の位置合わせのために、図3及び図4に示すように精密加工された下金型及び上金型を利用する方法が考えられるが、基体の場合、射出成形工程、ダイシング工程、研磨工程などにより外郭形状が決められるため、サンプル間の形状誤差が存在し、サンプル間の中心が互いに一致しなくなる場合が生じ得る。
【0077】
本発明では、基体と光学面との正確な中心合わせのために、図5に示すように基体よりも大きいサイズに加工された下金型304上に基体460を最初に位置させ、くさび形の上金型303を一定の力で押下する過程で基体460の外郭部が上金型303の傾斜面に接触することで上金型303の中心軸に基体460の中心が合わせられる構造を提案する。
【0078】
このために、金型は作業対象物である基体と接触する面が中心軸に対して傾斜しており、基体が自動的に自らの中心の位置合わせを行うことができる。図5の実施形態では、上金型が傾斜面を有する。傾斜は中心軸に対して対称をなし、下方に行くほど上記中心軸から遠ざかるように形成される。
【0079】
基体460が上金型303の中心に位置した後、上金型303に対して精度よい中心の位置合わせがなされるように厳密な公差管理がされた上コア311及び下コア321が閉じられることでレンズの光学面と基体460の中心合わせが実現される。
【0080】
図6〜図9は、本発明の第4実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0081】
図6は、複数のカメラモジュール部品の基体から構成されるカメラモジュール部品の基体460のアレイを下金型上に位置させる工程を概略的に示す図である。
下金型320は、基体460のアレイを正確な位置に置くことのできる構造を含んでおり、基体のアレイに対応するレンズキャビティのアレイを備えている。
【0082】
下金型320内のレンズキャビティは、独立したコアを製造し、これを下金型に組み付けて得られる。なお、キャビティが一体型で形成された下金型を使用することもできる。
【0083】
図7は、基体のアレイ上にレンズのアレイを成形する工程を概略的に示す図である。
【0084】
下金型320上に基体のアレイを固定させ、レンズキャビティのアレイ上に材料を塗布してから上金型310を閉じ、上金型上の刻印されたレンズ面と下金型上の刻印されたレンズ面を用いてレンズのアレイを形成する。
【0085】
光硬化樹脂を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの場合、露光による硬化過程が施される必要があるため、上金型及び下金型の少なくとも一部の領域が透明材質から構成されなければならない。
【0086】
図8は、基体のアレイ上にレンズのアレイが成形された異なる素材からなる一体型レンズユニットアレイ480を概略的に示す図である。そのレンズユニットアレイは、図9に示すような複数のレンズユニット480にダイシングされる。このために、基体のアレイは単体で構成されることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。この場合、ダイシング工程は不要となる。
【0087】
図6ないし図9の製造方法によれば、収率を高めて量産性を高め、且つ一定の品質を保持することができる。
【0088】
図10は、本発明の第5実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0089】
本発明のカメラモジュールは、図3ないし図9に示す工程により製造された異なる素材からなる一体型レンズユニットとその他のカメラモジュール部品の組立により形成される。この際、カメラモジュールは、本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニットを少なくとも1枚以上含むことを特徴とする。
【0090】
レンズユニットを有するカメラモジュールにおいて、IRフィルター及びカバーガラス上にレンズ480d、480eが形成され、これにより、同じ大きさを有する従来のカメラモジュールに比べてより高い光学特性を実現することができ、且つモジュールを小型化することができる。
【0091】
また、基体上に形成されたレンズは、形状保持のための別の構造物を不要とするため、既存のカメラモジュールの設計時に要求される光学面間の最小間隔をより小さくすることができるのみならず、既存のカメラモジュールの設計過程において生じる様々な設計上の制約を克服できるという長所を有する。
【0092】
レンズの剛性が光学樹脂材料よりも高剛性を有する基体によって決められるため、レンズユニットは、既存のユニットレンズに比べて高い耐久性を有し、この結果、カメラモジュール自体の耐久性を向上させることができる。また、光熱硬化樹脂及び熱硬化樹脂の複製工程において、基体とレンズ材料間の接着力による収縮防止効果が得られる。したがって、本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造の際、鏡筒構造物の役割をしない貫通孔を有するガラス材料の単純レンズ支持構造物を基体として使用することができる。
【0093】
特に、前述したように、熱硬化性性質を有する熱硬化樹脂及び光硬化樹脂を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの場合、カメラモジュールの回路への実装の際にはんだ付け工程を可能にし、この結果、カメラモジュール付き製品の製造コストを削減することができる。
【0094】
基体は、ガラス、金属、またはポリマーのようなレンズとは異なる素材からなっていてよい。ポリマーは、高い耐熱性を有する液晶ポリマー、エポキシ系ポリマーなどであればよい。
【0095】
特に、異なる素材からなる一体型レンズユニットが単一レンズから構成される低級なカメラモジュールに適用されたときに、その利点を最も効果的に得ることができる。
【0096】
図11は、本発明の第6実施形態による単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0097】
おもちゃ、車両、携帯電話などの分野においてカメラモジュールの需要が増加しつつあり、特に、高解像度の高級カメラモジュールでない単なる事物の認識のための低解像度カメラモジュール(VGA級、QCIF級、CIF級など)の需要が増加している。
【0098】
このような低解像度カメラモジュールでは、単一のレンズを使用するため、製造コストを削減することができる。特に、本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニットを使用する場合、レンズモジュールの製造コストのみならず、カメラモジュールの組立工数を削減することができ、本発明の特徴を最大に発揮することができる。
【0099】
低解像度カメラモジュールにおいて使用される部品点数を最小化するために、図11に示すように、異なる素材からなる一体型レンズユニットは、鏡筒ホルダー130上にレンズ470を形成することをその特徴とし、赤外線の遮断のためのIRフィルターは使用せず、その代わりにレンズ面に赤外線カットオフコーティング層481を形成してその特性を実現し、鏡筒ホルダーの上部には絞りの役割をするキャップ160bを設ける。この場合、焦点距離の調節が不可能であるため、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットをイメージセンサーが実装された回路基板上に組み付けるだけで十分な解像度を確保することができるようにレンズの設計及び構造物の設計などが要求される。
【0100】
図12ないし図14は、本発明の第7実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0101】
基体は、液状レンズ材料113の流動に対してその位置によって異なる表面流動抵抗を有すればよい。
【0102】
好ましくは、上記流動抵抗は、レンズの中心、すなわち貫通孔から相対的に遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより小さくなる。液状レンズ材料の流動が、流動抵抗の小さい近距離位置で予め決められた境界内で行われるように制限することで、レンズに未充填などの不良が生じることを防止する。
【0103】
このために、図12ないし図14では、レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置における高さの方がより高い段差201aをその表面に有する基体を示している。
【0104】
ある一方向の流動の方が早くて先に段差201aに到達してもレンズ材料の表面張力によって更なる流動が制限されるのに対し、他方向の流動は、次の条件を満足する場合に継続して行われるようになる。
Fa>Fb
(ここで、Faは、レンズ材料が段差201aに到達した状態で表面張力によって加えられる流動抵抗、Fbは、レンズ材料が段差201aに到達していない状態で、レンズの中心から近距離位置に向けて流動する際に加えられる流動抵抗)
【0105】
図12ないし図14に示す基体の利点は、次の比較例を参照することにより理解することができる。
【0106】
図15ないし図17は、比較例の基体において生じる問題点を示す図である。
【0107】
単一レンズの成形の際には上下モールドの位置合わせのためのガイドが必須である。この場合、上下モールドによって拘束されたレンズ材料が毛細管現象によって壁面に沿って伝播されていきながらキャビティ内のレンズ材料113を外部に引っ張り出し、レンズに未充填の欠陥を引き起こす。
【0108】
図17は、側断面図と併せて平面図を示している。
【0109】
図18ないし図20は、また他の比較例の基体において生じる問題点を示す図である。
【0110】
図示したように、レンズアレイの成形の際、隣接する二つの液状レンズ材料が交わると、表面張力によって液状レンズ材料がモールドのレンズキャビティをすべて満たすことができずに外部に引っ張り出され、レンズに未充填の欠陥が生じる。
【0111】
図21は、本発明の第8実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
段差は、図12ないし図14に示す階段形態の他、例えば、図21に示す段差201bのように、溝形状などの様々な形態を有すればよい。
【0112】
図22は、本発明の第9実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0113】
表面の湿潤性の差を用いて流動抵抗を異ならせることもできる。湿潤性とは、液状材料が表面に沿ってどれほど滑らかに拡散していくかを示す尺度であって、湿潤性の大きい表面ほど液状材料が滑らかに拡散していく。
【0114】
例えば、上記表面は、レンズのウェハスケールアレイから遠距離位置201dよりも相対的に近距離位置201cにおいてより高い表面粗さを有する。
【0115】
ここで、表面粗さは、物理的な表面湿潤性に該当し、注意すべき点は、その粗さが大きいほど湿潤性が大きく且つ流動抵抗が小さいため拡散しやすくなり、粗さが小さいほど湿潤性が小さく且つ流動抵抗が大きいため拡散しにくくなる。
【0116】
以上のように、表面粗さが近距離位置においてより大きい場合、液状レンズ材料は、粗さの大きい表面に沿って滑らかに拡散していき、粗さの小さい表面に会うと、大きい流動抵抗を受けてさらなる進行を止めるようになる。
【0117】
また他の湿潤性の形態は、化学的湿潤性であって、表面エネルギーと密接な関連を有する。すなわち、上記表面は、レンズのウェハスケールアレイから遠距離位置201dよりも相対的に近距離位置201cにおいてより大きい表面エネルギーを有する。表面エネルギーが大きいほど、すなわち表面が液状材料と反応しようとする力が大きいほど湿潤性が増大するようになる。このために、親水性(湿潤性が良い)処理及び疎水性(湿潤性が悪い)処理を、各種の常用材料や工程を用いて実施することができる。
【0118】
例えば、親水性表面を形成する表面特性物質を近距離位置の所定の境界内にコートし、または、逆に、疎水性表面を形成する表面特性改質物質を遠距離位置の所定の境界外にコートして、表面エネルギーの境界を形成すればよい。
【0119】
この場合、表面エネルギーの大きい表面に沿って滑らかに流動していた液状レンズ材料が表面エネルギーの小さい表面に到達すると、大きい流動抵抗を受けてさらなる進行を止めるようになる。
【符号の説明】
【0120】
310 上金型
311 上コア
320 下金型
321 下コア
460 基体
470 レンズ
480 レンズユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニット及びカメラモジュール、並びにそれを製造するための製造方法、より詳しくは、カメラモジュール部品の基体上に光学樹脂を直接複製してレンズを形成する異なる素材からなるレンズユニット及びこれを備えるカメラモジュール、並びにそれを製造するための製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、PDFなどの携帯型情報格納機器の使用が増加する中で、カメラモジュールに対する需要が増加しており、特に、超小型の高解像度カメラモジュールに対する需要が急増している。
【0003】
図1は、従来のカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0004】
PCB基板110上には、イメージセンサー120aが位置している。PCB基板110とイメージセンサー120aとは、イメージセンサー120aの種類に応じて様々な表面実装(SMT、Surface Mounter Technology)工程を用いて接続される。図面符号120bは、はんだボールを示す。イメージセンサー120aの上部には、センサーの種類に応じて様々な形態のカバーガラス120cが形成されていてよい。
【0005】
赤外線カットオフフィルター(IRフィルター)を有することで、ノイズとして存在する可視光線帯域以外の赤外線帯域波長を遮断する。赤外線カットオフフィルターは、ガラス基板140a上に光学コーティング140bを形成してなる。
【0006】
イメージセンサー120aは、PCB基板110上に取り付けられている鏡筒ホルダー130によって外部から遮蔽される。鏡筒ホルダー130の上部には、レンズモジュール150が組み付けられる。レンズモジュールは、単品レンズ170a〜170cを製造した後に各単品レンズ170a〜170cをスペーサ160c、絞り160d、遮光絞り160e、160fなどと共にバレル160a内部に順次挿入し、キャップ160bをバレル160aに組み付けてレンズ170a〜170c及び鏡筒構造物160a〜160fを固定することで形成される。
【0007】
上述したように、カメラモジュールは、イメージセンサー120a、IRフィルター、鏡筒ホルダー130、各種の鏡筒構造物160a〜160f、及び単品レンズ170a〜170cなどを組み立てなる。
【0008】
しかしながら、上記のような構造を有する従来のカメラモジュールは、次のような問題点を有している。
【0009】
多数のカメラモジュール部品を組み立てる過程で生じる位置合わせ誤差やチルトなどは光学性能の低下をもたらすことがあり、これを防止するために、組立工程の際に高精度の位置合わせを行っているが、これがカメラモジュールのコストアップの原因になっている。
【0010】
また、カメラモジュールの光学設計過程において十分な組立公差を確保しなければならないという設計上の制約条件は、超小型の高性能カメラモジュールの設計上の制約にもなっている。
【0011】
さらには、従来のカメラモジュールにおいて、ポリマー材質のレンズが使用される場合、剛性が落ちることで耐久性が低いという短所があり、一方、ガラス材質のレンズが使用される場合、製造コストが高くなり且つ実現可能な形状制約により設計自由度が低下するといった問題が生じるという短所があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、組立が簡単であるため高い生産性及びコストの節減が可能であり、組立工程において生じる位置合わせ公差を改善することができ、カメラモジュールの薄型化が可能であり、既存のカメラモジュールの様々な設計上の制約条件の排除による設計自由度の確保が可能であるレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、成形工程において生じ得る形状変形を最小限に抑えることで、優れた品質水準を持つレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
本発明のまた他の目的は、高い剛性を確保することで耐久性に優れたレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、最適の材料及び成形工程を提案することにより、製造コストが低く且つ実現可能な形状制約による設計自由度の低下を抑えながら、高耐熱特性を有することで応用製品化工程の際の工程コスト及び時間の画期的な削減を可能にするレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0015】
本発明の他の更なる目的は、高画素及カメラモジュールから低画素カメラモジュールにいたるまでの様々な品質水準の要求に応じられるレンズユニット及びカメラモジュールを提供することである。
【0016】
本発明の更なる目的は、量産性を高め、且つ一定の品質を保持することができる異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品の基体上に光学樹脂を直接複製して上記レンズを形成し、上記カメラモジュール部品の基体上に上記レンズを一体化してなることを特徴とする異なる素材からなる一体型レンズユニットを提供する。
【0018】
一実施形態によれば、上記光学樹脂は、熱硬化性樹脂であり、上記レンズは、上記熱硬化性樹脂を加熱硬化成形してなる。
【0019】
他の実施形態によれば、上記光学樹脂は、光硬化性樹脂であり、上記レンズは、上記光硬化性樹脂を露光のより硬化させて成形してなる。
【0020】
好ましくは、上記光学樹脂は、熱硬化性性質を有する。
【0021】
上記基体は、鏡筒ホルダー、バレル、キャップ、絞り、スペーサ、遮光絞り、赤外線カットオフフィルター、カバーガラス、及びレンズ保持構造物のいずれかであればよい。
【0022】
上記基体は、液状レンズ材料の流動に対する流動抵抗が位置によって異なっている表面状態を有すればよい。
【0023】
好ましくは、上記流動抵抗は、上記レンズの中心から遠距離の位置よりも相対的に近距離の位置においてより小さくなる。
【0024】
好ましくは、上記基体は、貫通孔を有し、上記レンズは、上記貫通孔に形成される。
【0025】
好ましくは、上記基体は、不透明である。
【0026】
また、本発明は、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えることを特徴とするカメラモジュールを提供する。
【0027】
一実施形態によれば、上記カメラモジュールは、単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットを備える低画素カメラモジュールであって、上記単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットは、鏡筒ホルダーの基体上にレンズを形成してなる。鏡筒ホルダーの基体上にレンズを形成してなる単一の上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを適用するカメラモジュールは、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットをイメージセンサーが実装された回路基板上に取り付けてなり、このような方法は、安価なカメラモジュールの製造にあたって画期的な工程コストの削減を実現することができる。
【0028】
また、本発明は、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法であって、上記基体のアレイ上に上記レンズのアレイを形成して上記異なる素材からなる一体型レンズユニットのアレイを製造することを特徴とする異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法を提供する。
【0029】
一実施形態によれば、上記基体のアレイは、単体であり、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットのアレイを製造した後、該製造された上記異なる素材からなる一体型レンズユニットのアレイをダイシングして、多数の異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する。
【0030】
また、本発明は、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法であって、上記基体と接触する面が中心軸に対して傾斜していることで上記基体の自動アラインメントを許容する金型を利用して上記異なる素材からなる一体型レンズユニットを成形することを特徴とする異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニット及びこれを備えるカメラモジュールは、設計自由度の増大によるカメラモジュールの小型化及び性能向上という利点を有し、さらに、組立部品数の削減による組立工程の単純化及び生産コストの節減、位置合わせ精度の向上という利点を有する。
【0032】
また、本発明は、成形工程において生じ得る形状変形を最小限に抑えることで、優れた品質水準を持つレンズユニット及びカメラモジュールを提供することができる。
【0033】
また、本発明は、剛性材料上にレンズを形成することにより、レンズユニットの耐久性の増大などの効果を奏する。
【0034】
さらには、本発明は、高温動作性に優れ且つ優れた高温耐久性を有することで、回路実装工程時のはんだ付け(リフロー)工程に直接適用することができるという利点を有する。
【0035】
特に、このような異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程は、アレイ形態で行われるため生産速度を増大させることができ、低解像度カメラモジュールに適用する場合、カメラモジュールの部品点数及び工程段階の画期的な削減が可能である。
【0036】
また、本発明は、高画素カメラモジュールから低画素カメラモジュールにいたるまでの様々な品質水準の要求に応じられるレンズユニット及びカメラモジュールを提供することができる。
【0037】
また、本発明は、量産性を高め、且つ一定品質を保持することができる異なる素材からなる一体型レンズユニット製造方法を提供することができる。
【0038】
また、本発明は、レンズの成形で、貫通孔に注入されたレンズ形成材料の不均一な流入が原因で引き起こされるような空洞等のレンズの不良の発生を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来のカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図2】本発明との比較例を示す図であって、同じ素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図6】ないし
【図9】本発明の第4実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図10】本発明の第5実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図11】本発明の第6実施形態による単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【図12】ないし
【図14】本発明の第7実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図15】ないし
【図17】基体の比較例において生じる問題点を示す図である。
【図18】ないし
【図20】基体の他の比較例において生じる問題点を示す図である。
【図21】本発明の第8実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【図22】本発明の第9実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0041】
第1比較例
図2は、本発明との第1比較例を示す図であって、同じ素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0042】
本発明の目的である組立性の向上、生産性の向上、コストの節減、位置合わせ公差の改善、カメラモジュールの薄型化、設計自由度の確保などを達成するために、レンズ材料として用いられる光学ポリマーを用い、図1の鏡筒構造物160a〜160fを含むようにレンズユニット280a〜280cの形状を設計してカメラモジュールを構成した。
【0043】
しかしながら、このような構造では、既存の鏡筒構造物において実行する光学的機能、すなわち、絞り、遮光絞り、ゴースト防止などの役割を果たせないという問題が生じ、これを補完する設計事項が制約としての機能を果たすことが必要となる。
【0044】
例えば、絞りなどの不透明構造物が要求されることで部品点数の増加が余儀なくされる。これは、組み付けの工数を増大させ、カメラモジュール全体の厚みを増大させる要因になる。
【0045】
また、最終的に製造されたカメラモジュールの側面は、透明レンズユニットを露出させ、ここから外光がイメージセンサーに入射してしまうことがあるため、さらなるコーティングあるいは遮光部材の接合工程が要求される。
【0046】
また、比較的厚い鏡筒構造物をレンズと共に成形する過程において、収縮のバラツキやこれによる変形などが生じ、これを補完する設計が要求される。
【0047】
したがって、図2に示すような構造のレンズユニット280a〜280c及びカメラモジュールの構造は好ましくないものと判明した。
【0048】
第2比較例
第2比較例では、レンズ材料としては熱可塑性物質を用い、成形工程としては射出成形工程を用い、異なる素材からなる基体上にレンズを一体化することで異なる素材からなる一体型レンズユニットを形成した。
【0049】
射出成形工程を用いる異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程は、インサート射出工程で行なうことができ、カメラモジュール部品の基体を金型上の所定の位置に位置させてから上金型と下金型とを型締めし、湯道とゲート構造物から溶融された熱可塑性樹脂をキャビティ内に注入した後、冷却工程及び離型工程を実行して済むため、非常に高い生産性を有する。
【0050】
しかしながら、比較的高い光学樹脂成形工程の工程温度及び圧力下における基体の耐久性、インサート射出成形工程の低い収率及びレンズ面と基体間の低い位置合わせ精度が問題になる。
【0051】
第3比較例
第3比較例では、レンズ材料としては熱可塑性物質を用い、成形工程としてはホットプレス成形工程を用い、異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造した。
【0052】
上記ホットプレス成形工程は、カメラモジュール部品の基体上に熱可塑性光学樹脂を位置させ、光学樹脂の上部と下部にコアを位置させてから、光学樹脂のガラス転移温度以上に加熱しながら加圧成形することで行われる。
【0053】
このようなホットプレス成形工程は、射出成形工程よりも低い温度で成形工程を行うことができ、且つカメラモジュール部品の基体に衝撃が加わらない構造であって、射出成形工程に比べ、異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造のためのカメラモジュール部品の材料選定が容易であるという長所を有する。
【0054】
また、材料の供給のための湯道、キャビティなどの構造物を不要とするため、成形工程の際の材料の無駄使いを削減することができる。
しかしながら、第3比較例では、カメラモジュールを回路基板上に実装する過程における工程コストや時間が過度に増加するという問題点を有する(このような問題点は、前述した第2比較例でも同様に現われる。)。
【0055】
カメラモジュールを適用する応用製品の製造段階において、カメラモジュールを回路上に実装する工程が要求されるが、これに伴い、はんだ付け工程のための高温工程が行われる。工程コストや時間の削減のためには、はんだ付け工程の前にカメラモジュールを回路に実装してはんだ付け工程を行うことが好ましい。
【0056】
しかし、射出成形工程またはホットプレス成形工程で製造されたプラスチックレンズを用いるカメラモジュールの場合、高温耐久性の問題からはんだ付け工程が行なわれた以降にカメラモジュールを回路に実装する過程を行う必要がある。
一方、ガラスレンズは、高温耐久性が高いためはんだ付け工程の前に実装工程を行うことができるが、前述したように、製造コストが高く且つ実現可能な形状制約による設計自由度が低下するという問題を有する。
【0057】
そこで、本発明では、このように両立が難しそうな二つの要求条件を容易に満足させることができる材料及び成形工程を提案する。
【0058】
本発明の好適な実施形態
本発明の好適な実施形態では、異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造のために、熱硬化樹脂を用いた加熱硬化成形工程、及び光硬化樹脂を用いた露光硬化成形工程が適用される。
【0059】
熱硬化樹脂を用いた加熱硬化成形工程及び光硬化樹脂を用いた露光硬化成形工程は、熱あるいは光エネルギーにより硬化される樹脂材料を用いる成形方法であって、液状の光学樹脂をカメラモジュール部品の基体上に形成されたキャビティ内に充填させてから熱あるいは光エネルギーを用いて硬化させた後に離型する工程である。
【0060】
これら成形工程を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程は、射出成形工程のように湯道とゲートからキャビティ内に樹脂を充填する方法の適用も可能であるが、定量の材料をキャビティ位置に塗布して成形工程を行うことも可能である。なお、湯道とゲートを介しない工程は、材料の流動に伴う材料損失をなくすことができるため、材料費の節減を実現する上で望ましいといえる。
【0061】
このような成形工程は、射出成形及びホットプレス成形工程に比べて低い工程圧力下に行なわれるため、加圧力による基体の損傷を抑えることができるという長所を有する。
【0062】
また、熱硬化樹脂及び光硬化樹脂は、一般に熱硬化性性質を有するものであるため、高耐熱性材料からなる基体と結合された異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する場合、レンズモジュールの耐熱性が向上するという効果を奏する。
特に、カメラモジュールの回路への実装の際、はんだ付け温度を勘案すると、光学樹脂の耐熱温度は250℃以上であることが好ましい。
【0063】
このような高耐熱性レンズモジュールは、カメラモジュールの回路への実装工程の際に適用されるはんだ付け工程の高温環境(リフロー)に適用可能であるため、カメラモジュール搭載製品の生産コストの削減という効果を奏する。
【0064】
図3は、本発明の第1実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図であり、図4は、本発明の第2実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0065】
本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニット480は、レンズと基体とが一体化されてなる。ここで、基体としては、レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品が使われる。また、基体は貫通孔を有し、この貫通孔にレンズを形成し、基体はレンズ材料とは異なる素材である不透明な材料からなることが好ましい。この場合、最終的に製造されたカメラモジュールでは、外光が自然に遮断され、さらなるコーティングあるいは遮光部材の組み付けが不要となる。これは、カメラモジュールのコスト削減及び超小型にする上で極めて有利である。レンズは、基体上に光学樹脂を直接複製して形成される。
【0066】
図3に示すように、鏡筒ホルダー、スペーサ、絞り、遮光絞り、バレル、キャップなどのような中心部が貫通した形状の構造物を基体460とし、その上下部にわたって光学樹脂を直接複製してレンズ470を形成することで異なる素材からなる一体型レンズユニット480を製造することができる。
【0067】
また、図4に示すように、IRフィルター、カバーグラスなどのようにフラット基体460上に光学樹脂を直接複製してレンズ470を形成することで異なる素材からなる一体型レンズユニット480を製造することもできる。
【0068】
一般に、IRフィルター、カバーガラスなどの部品は、一方面は光学レンズが成形できるように特別な処理が施されていないが、他方面はコーティング層あるいはイメージセンサーなどが位置されているため、図4では、単レンズを形成する方法だけを示している。なお、中心部が貫通されていない構造物でも両面レンズの形成が可能である。
【0069】
コアは、図3に示す下コア321のように光学樹脂が完全に閉鎖された構造で成形されるように形成されていてもよく、図3に示す上コア311のように注入される樹脂の量に応じてフランジが可変に形成でき、開放された構造で成形されるように形成されていてもよい。開放された構造のコアは、コアと基体との直接的な接触がないため、加圧による基体の損傷及び変形を最小限に抑えることができるという長所を有する。
【0070】
上金型310、下金型320の材料は、一般に用いる金属材質の他、成形工程に応じてガラス、ポリマーなどの各種の材料あるいはこれらの組み合わせであればよい。
【0071】
図3及び図4は、異なる素材からなる一体型レンズユニットの一例を簡単に示す。レンズユニットの構造は、基体の材料及び形状などに応じて、あるいは光学面の形態及び位置などに応じて各種の変形が可能である。
【0072】
図3及び図4に基づいて異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造工程を説明すれば、カメラモジュール部品の一部である基体460を下金型320上に載置し、上金型310を閉じて基体460の中心が以降の成形工程を行う光学面の中心と一致するようにし、上コア311と下コア321を用いて光学面を形成するようになる。
【0073】
光硬化樹脂を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの場合、露光による硬化過程を行う必要があるため、1個あるいはすべてのコアが透明材質からなる必要がある。
【0074】
図5は、本発明の第3実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0075】
図3の異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造において、鏡筒構造物及びIRフィルター、カバーグラスなどの基体とレンズの光学面との中心の位置合わせは、カメラモジュールの特性を決める最も重要な要因である。
【0076】
基体と光学面との中心の位置合わせのために、図3及び図4に示すように精密加工された下金型及び上金型を利用する方法が考えられるが、基体の場合、射出成形工程、ダイシング工程、研磨工程などにより外郭形状が決められるため、サンプル間の形状誤差が存在し、サンプル間の中心が互いに一致しなくなる場合が生じ得る。
【0077】
本発明では、基体と光学面との正確な中心合わせのために、図5に示すように基体よりも大きいサイズに加工された下金型304上に基体460を最初に位置させ、くさび形の上金型303を一定の力で押下する過程で基体460の外郭部が上金型303の傾斜面に接触することで上金型303の中心軸に基体460の中心が合わせられる構造を提案する。
【0078】
このために、金型は作業対象物である基体と接触する面が中心軸に対して傾斜しており、基体が自動的に自らの中心の位置合わせを行うことができる。図5の実施形態では、上金型が傾斜面を有する。傾斜は中心軸に対して対称をなし、下方に行くほど上記中心軸から遠ざかるように形成される。
【0079】
基体460が上金型303の中心に位置した後、上金型303に対して精度よい中心の位置合わせがなされるように厳密な公差管理がされた上コア311及び下コア321が閉じられることでレンズの光学面と基体460の中心合わせが実現される。
【0080】
図6〜図9は、本発明の第4実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0081】
図6は、複数のカメラモジュール部品の基体から構成されるカメラモジュール部品の基体460のアレイを下金型上に位置させる工程を概略的に示す図である。
下金型320は、基体460のアレイを正確な位置に置くことのできる構造を含んでおり、基体のアレイに対応するレンズキャビティのアレイを備えている。
【0082】
下金型320内のレンズキャビティは、独立したコアを製造し、これを下金型に組み付けて得られる。なお、キャビティが一体型で形成された下金型を使用することもできる。
【0083】
図7は、基体のアレイ上にレンズのアレイを成形する工程を概略的に示す図である。
【0084】
下金型320上に基体のアレイを固定させ、レンズキャビティのアレイ上に材料を塗布してから上金型310を閉じ、上金型上の刻印されたレンズ面と下金型上の刻印されたレンズ面を用いてレンズのアレイを形成する。
【0085】
光硬化樹脂を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの場合、露光による硬化過程が施される必要があるため、上金型及び下金型の少なくとも一部の領域が透明材質から構成されなければならない。
【0086】
図8は、基体のアレイ上にレンズのアレイが成形された異なる素材からなる一体型レンズユニットアレイ480を概略的に示す図である。そのレンズユニットアレイは、図9に示すような複数のレンズユニット480にダイシングされる。このために、基体のアレイは単体で構成されることが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。この場合、ダイシング工程は不要となる。
【0087】
図6ないし図9の製造方法によれば、収率を高めて量産性を高め、且つ一定の品質を保持することができる。
【0088】
図10は、本発明の第5実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0089】
本発明のカメラモジュールは、図3ないし図9に示す工程により製造された異なる素材からなる一体型レンズユニットとその他のカメラモジュール部品の組立により形成される。この際、カメラモジュールは、本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニットを少なくとも1枚以上含むことを特徴とする。
【0090】
レンズユニットを有するカメラモジュールにおいて、IRフィルター及びカバーガラス上にレンズ480d、480eが形成され、これにより、同じ大きさを有する従来のカメラモジュールに比べてより高い光学特性を実現することができ、且つモジュールを小型化することができる。
【0091】
また、基体上に形成されたレンズは、形状保持のための別の構造物を不要とするため、既存のカメラモジュールの設計時に要求される光学面間の最小間隔をより小さくすることができるのみならず、既存のカメラモジュールの設計過程において生じる様々な設計上の制約を克服できるという長所を有する。
【0092】
レンズの剛性が光学樹脂材料よりも高剛性を有する基体によって決められるため、レンズユニットは、既存のユニットレンズに比べて高い耐久性を有し、この結果、カメラモジュール自体の耐久性を向上させることができる。また、光熱硬化樹脂及び熱硬化樹脂の複製工程において、基体とレンズ材料間の接着力による収縮防止効果が得られる。したがって、本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニットの製造の際、鏡筒構造物の役割をしない貫通孔を有するガラス材料の単純レンズ支持構造物を基体として使用することができる。
【0093】
特に、前述したように、熱硬化性性質を有する熱硬化樹脂及び光硬化樹脂を用いた異なる素材からなる一体型レンズユニットの場合、カメラモジュールの回路への実装の際にはんだ付け工程を可能にし、この結果、カメラモジュール付き製品の製造コストを削減することができる。
【0094】
基体は、ガラス、金属、またはポリマーのようなレンズとは異なる素材からなっていてよい。ポリマーは、高い耐熱性を有する液晶ポリマー、エポキシ系ポリマーなどであればよい。
【0095】
特に、異なる素材からなる一体型レンズユニットが単一レンズから構成される低級なカメラモジュールに適用されたときに、その利点を最も効果的に得ることができる。
【0096】
図11は、本発明の第6実施形態による単一の異なる素材からなる一体型レンズユニットを備えるカメラモジュールを概略的に示す図である。
【0097】
おもちゃ、車両、携帯電話などの分野においてカメラモジュールの需要が増加しつつあり、特に、高解像度の高級カメラモジュールでない単なる事物の認識のための低解像度カメラモジュール(VGA級、QCIF級、CIF級など)の需要が増加している。
【0098】
このような低解像度カメラモジュールでは、単一のレンズを使用するため、製造コストを削減することができる。特に、本発明の異なる素材からなる一体型レンズユニットを使用する場合、レンズモジュールの製造コストのみならず、カメラモジュールの組立工数を削減することができ、本発明の特徴を最大に発揮することができる。
【0099】
低解像度カメラモジュールにおいて使用される部品点数を最小化するために、図11に示すように、異なる素材からなる一体型レンズユニットは、鏡筒ホルダー130上にレンズ470を形成することをその特徴とし、赤外線の遮断のためのIRフィルターは使用せず、その代わりにレンズ面に赤外線カットオフコーティング層481を形成してその特性を実現し、鏡筒ホルダーの上部には絞りの役割をするキャップ160bを設ける。この場合、焦点距離の調節が不可能であるため、上記異なる素材からなる一体型レンズユニットをイメージセンサーが実装された回路基板上に組み付けるだけで十分な解像度を確保することができるようにレンズの設計及び構造物の設計などが要求される。
【0100】
図12ないし図14は、本発明の第7実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0101】
基体は、液状レンズ材料113の流動に対してその位置によって異なる表面流動抵抗を有すればよい。
【0102】
好ましくは、上記流動抵抗は、レンズの中心、すなわち貫通孔から相対的に遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより小さくなる。液状レンズ材料の流動が、流動抵抗の小さい近距離位置で予め決められた境界内で行われるように制限することで、レンズに未充填などの不良が生じることを防止する。
【0103】
このために、図12ないし図14では、レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置における高さの方がより高い段差201aをその表面に有する基体を示している。
【0104】
ある一方向の流動の方が早くて先に段差201aに到達してもレンズ材料の表面張力によって更なる流動が制限されるのに対し、他方向の流動は、次の条件を満足する場合に継続して行われるようになる。
Fa>Fb
(ここで、Faは、レンズ材料が段差201aに到達した状態で表面張力によって加えられる流動抵抗、Fbは、レンズ材料が段差201aに到達していない状態で、レンズの中心から近距離位置に向けて流動する際に加えられる流動抵抗)
【0105】
図12ないし図14に示す基体の利点は、次の比較例を参照することにより理解することができる。
【0106】
図15ないし図17は、比較例の基体において生じる問題点を示す図である。
【0107】
単一レンズの成形の際には上下モールドの位置合わせのためのガイドが必須である。この場合、上下モールドによって拘束されたレンズ材料が毛細管現象によって壁面に沿って伝播されていきながらキャビティ内のレンズ材料113を外部に引っ張り出し、レンズに未充填の欠陥を引き起こす。
【0108】
図17は、側断面図と併せて平面図を示している。
【0109】
図18ないし図20は、また他の比較例の基体において生じる問題点を示す図である。
【0110】
図示したように、レンズアレイの成形の際、隣接する二つの液状レンズ材料が交わると、表面張力によって液状レンズ材料がモールドのレンズキャビティをすべて満たすことができずに外部に引っ張り出され、レンズに未充填の欠陥が生じる。
【0111】
図21は、本発明の第8実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
段差は、図12ないし図14に示す階段形態の他、例えば、図21に示す段差201bのように、溝形状などの様々な形態を有すればよい。
【0112】
図22は、本発明の第9実施形態による異なる素材からなる一体型レンズユニットを製造する工程を概略的に示す図である。
【0113】
表面の湿潤性の差を用いて流動抵抗を異ならせることもできる。湿潤性とは、液状材料が表面に沿ってどれほど滑らかに拡散していくかを示す尺度であって、湿潤性の大きい表面ほど液状材料が滑らかに拡散していく。
【0114】
例えば、上記表面は、レンズのウェハスケールアレイから遠距離位置201dよりも相対的に近距離位置201cにおいてより高い表面粗さを有する。
【0115】
ここで、表面粗さは、物理的な表面湿潤性に該当し、注意すべき点は、その粗さが大きいほど湿潤性が大きく且つ流動抵抗が小さいため拡散しやすくなり、粗さが小さいほど湿潤性が小さく且つ流動抵抗が大きいため拡散しにくくなる。
【0116】
以上のように、表面粗さが近距離位置においてより大きい場合、液状レンズ材料は、粗さの大きい表面に沿って滑らかに拡散していき、粗さの小さい表面に会うと、大きい流動抵抗を受けてさらなる進行を止めるようになる。
【0117】
また他の湿潤性の形態は、化学的湿潤性であって、表面エネルギーと密接な関連を有する。すなわち、上記表面は、レンズのウェハスケールアレイから遠距離位置201dよりも相対的に近距離位置201cにおいてより大きい表面エネルギーを有する。表面エネルギーが大きいほど、すなわち表面が液状材料と反応しようとする力が大きいほど湿潤性が増大するようになる。このために、親水性(湿潤性が良い)処理及び疎水性(湿潤性が悪い)処理を、各種の常用材料や工程を用いて実施することができる。
【0118】
例えば、親水性表面を形成する表面特性物質を近距離位置の所定の境界内にコートし、または、逆に、疎水性表面を形成する表面特性改質物質を遠距離位置の所定の境界外にコートして、表面エネルギーの境界を形成すればよい。
【0119】
この場合、表面エネルギーの大きい表面に沿って滑らかに流動していた液状レンズ材料が表面エネルギーの小さい表面に到達すると、大きい流動抵抗を受けてさらなる進行を止めるようになる。
【符号の説明】
【0120】
310 上金型
311 上コア
320 下金型
321 下コア
460 基体
470 レンズ
480 レンズユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品を基体とし、該基体上に光学樹脂を直接複製して前記レンズを形成することにより、前記基体上に前記レンズを一体化してなり、
前記基体は、貫通孔を有し、
前記レンズは、前記貫通孔に形成されることを特徴とする異なる素材からなるレンズユニット。
【請求項2】
前記光学樹脂は、熱硬化性樹脂であり、
前記レンズは、前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させて成形してなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記光学樹脂は、光硬化性樹脂であり、
前記レンズは、前記光硬化性樹脂を露光により硬化させて成形してなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記光学樹脂は、熱硬化性性質を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記基体は、鏡筒ホルダー、バレル、絞り、スペーサ、及びレンズ保持構造物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記基体は、液晶プラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記基体は、液状レンズ材料の流動に対する流動抵抗が位置によって異なっている表面状態を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記流動抵抗は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより小さいことを特徴とする請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記基体の表面は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより高さの高い段差を有することを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記段差は、階段形状または溝形状であることを特徴とする請求項9に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記基体の表面は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより大きい粗さを有することを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項12】
前記基体は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより大きい表面エネルギーを有することを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項13】
前記基体は、不透明であることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載のレンズユニットを備えることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載のレンズユニットの製造方法であって、
前記基体のアレイ上に前記レンズのアレイを形成してレンズユニットのアレイを製造することを特徴とするレンズユニットの製造方法。
【請求項16】
前記基体のアレイは、単体であり、
製造した後、前記レンズユニットのアレイをダイシングして、複数のレンズユニットを製造することを特徴とする請求項15に記載のレンズユニットの製造方法。
【請求項17】
前記レンズユニットは、前記基体のアレイが固定される金型を利用して製造することを特徴とする請求項15に記載のレンズユニットの製造方法。
【請求項18】
作業対象物と接触する面が中心軸に対して傾斜していることで前記作業対象物の自動アラインメントを許容することを特徴とする金型。
【請求項19】
上金型が傾斜面を有し、前記傾斜は前記中心軸に対して対称をなし、下方にいくほど前記中心軸から遠ざかることを特徴とする請求項18に記載の金型。
【請求項20】
前記作業対象物は、基体であり、
前記金型は、レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品を前記基体とし、該基体上に光学樹脂を直接複製して前記基体上に前記レンズを一体で形成することにより、前記基体及び前記レンズを含む、異なる素材からなるレンズユニットを製造し、
前記基体は、貫通孔を有し、
前記レンズは、前記貫通孔に形成されることを特徴とする請求項18に記載の金型。
【請求項1】
レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品を基体とし、該基体上に光学樹脂を直接複製して前記レンズを形成することにより、前記基体上に前記レンズを一体化してなり、
前記基体は、貫通孔を有し、
前記レンズは、前記貫通孔に形成されることを特徴とする異なる素材からなるレンズユニット。
【請求項2】
前記光学樹脂は、熱硬化性樹脂であり、
前記レンズは、前記熱硬化性樹脂を加熱して硬化させて成形してなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記光学樹脂は、光硬化性樹脂であり、
前記レンズは、前記光硬化性樹脂を露光により硬化させて成形してなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記光学樹脂は、熱硬化性性質を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記基体は、鏡筒ホルダー、バレル、絞り、スペーサ、及びレンズ保持構造物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記基体は、液晶プラスチックからなることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記基体は、液状レンズ材料の流動に対する流動抵抗が位置によって異なっている表面状態を有することを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記流動抵抗は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより小さいことを特徴とする請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記基体の表面は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより高さの高い段差を有することを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記段差は、階段形状または溝形状であることを特徴とする請求項9に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記基体の表面は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより大きい粗さを有することを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項12】
前記基体は、前記レンズの中心から遠距離位置よりも相対的に近距離位置においてより大きい表面エネルギーを有することを特徴とする請求項8に記載のレンズユニット。
【請求項13】
前記基体は、不透明であることを特徴とする請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載のレンズユニットを備えることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載のレンズユニットの製造方法であって、
前記基体のアレイ上に前記レンズのアレイを形成してレンズユニットのアレイを製造することを特徴とするレンズユニットの製造方法。
【請求項16】
前記基体のアレイは、単体であり、
製造した後、前記レンズユニットのアレイをダイシングして、複数のレンズユニットを製造することを特徴とする請求項15に記載のレンズユニットの製造方法。
【請求項17】
前記レンズユニットは、前記基体のアレイが固定される金型を利用して製造することを特徴とする請求項15に記載のレンズユニットの製造方法。
【請求項18】
作業対象物と接触する面が中心軸に対して傾斜していることで前記作業対象物の自動アラインメントを許容することを特徴とする金型。
【請求項19】
上金型が傾斜面を有し、前記傾斜は前記中心軸に対して対称をなし、下方にいくほど前記中心軸から遠ざかることを特徴とする請求項18に記載の金型。
【請求項20】
前記作業対象物は、基体であり、
前記金型は、レンズとは異なる素材からなるカメラモジュール部品を前記基体とし、該基体上に光学樹脂を直接複製して前記基体上に前記レンズを一体で形成することにより、前記基体及び前記レンズを含む、異なる素材からなるレンズユニットを製造し、
前記基体は、貫通孔を有し、
前記レンズは、前記貫通孔に形成されることを特徴とする請求項18に記載の金型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2010−532492(P2010−532492A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514644(P2010−514644)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003935
【国際公開番号】WO2009/005317
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510000208)オプトメカ コーポレイション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003935
【国際公開番号】WO2009/005317
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(510000208)オプトメカ コーポレイション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]