説明

異形棒鋼の情報表示方法、異形棒鋼の情報表示装置、異形棒鋼の情報表示システム、並びに異形棒鋼

【課題】鋼材の属性情報は、適切な鋼材を適切な場所に使用するために極めて重要な情報であるが、従来の鋼材の属性情報表示では、絵符など他の情報と組み合わせなければ鋼材の属性情報を取得できない、ロットの結束が解かれると鋼材そのものからは必要な属性情報が取得できるようにする。
【解決手段】非接触型の印刷機を用いて鋼材の表面に直接属性情報14を表示する鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムを提供するものである。これによって、必要な鋼材の属性情報を直接鋼材に表示できることとなるので、鋼材の属性情報を容易に取得することができる。すなわち、利用者は鋼材を使用しやすくなり、効率的な材料管理を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、異形棒鋼や丸鋼などの鉄筋、H形鋼や山形鋼などの形鋼、鋼管といった鋼材を需要者からの注文に応じて出荷する際に、鋼材の強度、寸法、ロット番号など鋼材の属性情報を表示する方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼材には、異形棒鋼や丸鋼などの鉄筋や、H形鋼や山形鋼に代表される形鋼、その他鋼管や鋼矢板など種々のものがあり、多くの場合建築工事や土木工事などで利用される。これらの鋼材が工場で製造された原寸そのままで利用されることは稀で、通常、工事現場からの要求に応じて、所定の長さに切断し、あるいは所定の形状に曲げ加工を行い、これらをまとまった数量で結束して(以下、ロット)出荷され利用される。
【0003】
鋼材はその強度や基本寸法(径や肉厚など)において複数の種類のものがあり、用途に応じて適切な規格のものを使用しなければならないが、鋼材の外観からその強度や寸法を把握することは容易でないため、例えば異形棒鋼の場合には1本ごとにその強度を表示するようJIS(G3112)に規定されている。しかしながら、これらの表示は視認し難く、鋼材の製造時に表示されるものであるため切断、曲げ加工後の情報は表示されない。
【0004】
このような背景のもと、鋼材の強度や基本寸法、鋼材の切断、曲げ加工後の情報(切断後の長さや、曲げ加工後の形状)、などの鋼材の属性情報は絵符と呼ばれるカード状のものに表示され、1ロットごとに付けられるのが一般的である。この絵符には、1ロットの鋼材数、ロット番号などのいわゆるロット情報も表示され、場合によってはその鋼材を利用する場所(躯体の梁部、基礎部の主筋など)も記載する。
このように出荷後に搬送する者やこれを利用する現場にとって、この絵符に表示された情報は極めて重要であり、特許文献1のように所定の情報を直接絵符に印刷するなど、絵符に関する提案も行われている。
【0005】
しかし、現場に搬入された鋼材はロットをばらして使用されるため、結束が解かれると同時にロットに付けられた絵符の情報は各鋼材から切り離され、鋼材自身からは必要な情報が取得できなくなる。
そこで、鋼材自身に必要な情報を表示することが提案されている。たとえば、特許文献2では圧延工程を経て識別標識を鉄筋に隆起させることが提案され、特許文献3では鉄筋に塗料を吹き付けた後にレーザーで照射して情報を表示することが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−20321号公報
【特許文献2】特開2007−291764号公報
【特許文献3】特開2007−268607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鋼材の属性情報は、適切な鋼材を適切な場所に使用するためには極めて重要な情報であるが、従来の鋼材の属性情報表示には次のような課題がある。
(1)鋼材自身に直接表示される情報は少なく、また視認し難いので、絵符など他の情報と組み合わせなければ鋼材の属性情報を取得できない。
(2)また、鋼材に直接表示される情報は、従来、加工情報などが表示されることがなく、絵符など他の情報と組み合わせなければ前記加工情報などの属性情報は取得できない。
(3)ロットの結束が解かれると同時に、ロットに付けられた絵符の情報は各鋼材から切り離され、鋼材そのものからは必要な属性情報が取得できなくなる。
【0008】
そこで、特許文献2や特許文献3のように、鋼材に直接情報を表示することを試みた例はあるが、それでもなお次のような課題がある。
(4)特許文献2や特許文献3の表示方法は、手間がかかり経費にも影響するため、あまり多くの情報は表示できない。
(5)また、特許文献2では表示内容を変更することが容易でなく、表示内容の選択に柔軟性がない。
(6)ロット番号、ロットの鋼材数量(母数)、ロット内の序数(連番)、は現場で材料管理する上では有効な情報であるが、これらの情報を鋼材に直接表示することがない。
【0009】
本願発明の課題は、少なくとも上記に掲げられた問題点を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムは、鋼材にその属性情報を直接印字する方法として非接触型の印刷機による印字に着目し、その方法とシステムに関する開発をしたものである。
【0011】
本願発明の鋼材の属性情報表示方法は、注文に応じて鋼材を出荷する際に、鋼材の属性情報を非接触型の印刷機で鋼材の表面に印字するものである。この方法では、鋼材の加工を行いながら、鋼材の属性情報を印字することもできる。また、加工工程へ鋼材を搬送する際、この搬送中に鋼材の属性情報を印字することもできる。また、ロットとして結束される鋼材の数量を数え、そのロットの鋼材の全数又は/及び序数、ロット情報を印字することもできる。
【0012】
本願発明の鋼材の属性情報表示方法は、発注者の注文情報をデータベースに登録し、このデータベースから読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを前記鋼材の表面に印字することも、そのデータベースから読み取った注文情報に基づいて鋼材の加工を行うこともできる。また、発注者の注文情報をロットごとに分けて2次元コードを作成し、このロット単位の2次元コードから読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出して前記鋼材の表面に印字することも、そのロット単位の2次元コードから読み取った注文情報に基づいて鋼材の加工を行うこともできる。
【0013】
本願発明の鋼材の属性情報表示方法は、発注者から注文情報を2次元コードとして受取って、この2次元コードから読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出して前記鋼材の表面に印字することも、その2次元コードから読み取った注文情報に基づいて鋼材の加工を行うこともできる。
【0014】
本願発明の鋼材の属性情報表示システムは、注文に応じて鋼材を出荷する際に、鋼材の属性情報を表示するシステムであり、制御装置と非接触型の印刷機とを備え、前記制御装置は非接触型の印刷機に印字を指令することが可能であり、前記非接触型の印刷機は前記制御装置からの指令に従って鋼材の属性情報をこの鋼材の表面に印字することができるものである。
【0015】
本願発明の鋼材の属性情報表示システムは、鋼材を加工する加工装置を備え、この加工装置で鋼材を加工しながら、鋼材の属性情報を非接触型の印刷機で前記鋼材の表面に印字することもできる。また、加工工程に鋼材を搬送する搬送体を備え、この搬送体で鋼材を搬送しながら、鋼材の属性情報を非接触型の印刷機で前記鋼材の表面に印字することもできる。さらに、鋼材の数量を数えるカウンター装置を備え、制御装置がそのカウンター装置が取得した鋼材の数量情報を読み込んで、そのロットの鋼材の全数又は/及び序数、並びにロット情報を鋼材の属性情報として非接触型の印刷機に印字指令することもできる。
【0016】
本願発明の鋼材の属性情報表示システムは、鋼材の属性情報を登録することができるデータベースを備え、制御装置がそのデータベースから前記鋼材の属性情報を読み込んで、その属性情報を非接触型の印刷機に印字を指令することも、そのデータベースから読み取った注文情報に基づいて、制御装置が鋼材の加工指令することもできる。また、発注者の注文情報をロットごとに分けて2次元コードに変換する手段と、このロット単位の2次元コードから注文情報を読み取る手段と、読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出する手段とを備え、制御装置が抽出された鋼材の属性情報を読み込んで、その属性情報を非接触型の印刷機に印字を指令することも、その2次元コードから読み取った注文情報に基づいて、制御装置が鋼材の加工指令することもできる。
【0017】
本願発明の鋼材の属性情報表示システムは、発注者からの注文情報を2次元コードに変換する手段と、発注者から受け取った前記2次元コードから注文情報を読み取る手段と、読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出する手段とを備え、制御装置が抽出された鋼材の属性情報を読み込んで、その属性情報を非接触型の印刷機に印字指令することも、その2次元コードから読み取った注文情報に基づいて、制御装置が鋼材の加工指令することもできる。
【0018】
本願発明の鋼材の属性情報表示システムは、鋼材を仮置きするスペースと、このスペースから鋼材を搬送体に送出する設備と、鋼材を結束する設備とを備えたものとすることもできる。
【発明の効果】
【0019】
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムには次のような効果がある。
(1)鋼材の表面に直接印字して属性情報を表示するので、ロットの結束をばらした後でも絵符など他の情報と照らし合わせることなく、鋼材自身からその属性情報を容易に把握することができる。
(2)非接触型の印刷機で印字するため鋼材への属性情報表示が容易であり、前記特許文献2や特許文献3に比べてその手間や経費は軽減される。
(3)同じく、非接触型の印刷機で印字するため鋼材への属性情報表示が容易であることから、比較的多くの情報(文字や記号など)を印字することができる。
(4)また、非接触型の印刷機を用いるので印字する内容は柔軟に対応できて、印字内容を編集することも容易である。
(5)鋼材の切断工程、又は鋼材の曲げ加工などの各加工工程の中で印字することや、各加工工程への搬送中に印字することができるので、印字工程がクリティカルな工程とならず、従来の作業工程が延びることなく鋼材に属性情報表示ができる。
(6)鋼材の注文は工事現場からのものが多いが、現場の状況によっては電子媒体の通信手段が整ってないところも少なくない。この場合、注文内容を紙媒体として伝達(書面の郵送やFAX)することもあるが、電子データで種々の管理を行うことが一般的となった昨今では、発注側で注文情報を電子データとして入力して紙媒体に出力し、受け取り側でも紙媒体に表示された注文内容を電子データとして再度入力することになる。すなわち、同一の情報を入力する機会が2回となり、その手間は増え、入力ミスが発生する機会も増加する。
本願発明では、発注側が注文内容を電子データとして入力した後にそのデータを2次元コードに変換し、これを紙媒体に出力して送信することもできるので、受け取り側は再度入力することなく2次元コードを読み取ることで電子データとすることができる。すなわち、入力機会は1回で済み、その手間は減り、入力ミスが生ずる機会も減ずる。
(7)ロット番号、ロットの鋼材数量(母数)、ロット内の序数(連番)、は現場で材料管理する上では有効な情報である。
本願発明では、鋼材の数量をセンサーなどでカウントし、出荷する1ロット分の鋼材数を全数(母数)とし、各々の鋼材に連番を付してこれを序数とし、さらに鋼材にこの全数と序数を印字して表示できる。このため、鋼材利用者は効率よく材料管理できる。
(8)鋼材を搬送しながら数量確認工程、切断工程、印字工程、曲げ加工工程、ロット単位で結束する工程、をあわせもったシステムとすることも可能で、この場合、一連の作業がひとつの流れで実施できるので、前記一連の作業が効率的となり、工程間の引き渡し時の連係ミスも低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施形態1)
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムの一実施形態を図1、図2に基づいて説明する。この実施形態では、異形棒鋼の表面にその属性情報を印字する例を説明しているが、印字する対象は異形棒鋼に限らず他の鋼材であっても構わない。
【0021】
図1は、工事現場1から加工工場2に異形棒鋼を発注する場合の情報の伝達経路を示したものである。工事現場1では必要とする異形棒鋼の鉄筋径、種別(強度)、鉄筋長、加工形状、寸法、といった異形棒鋼の属性情報のほか、現場名、納入期日、などの注文情報を現場パーソナルコンピュータ(以下、PC)3に入力して注文内容を表示した書類(以下、加工明細書)を作成し、これを加工現場2に送信する。加工明細書を加工現場2に送る手段としては、電子媒体のまま電子メールで送信してもよいし、書面(手書きのものも含む)として送付したり、電子媒体を送付したり、後に別途実施形態で説明するように工事現場1で2次元コードに変換して送信・送付したり、あるいは口頭で内容を伝達してもよい。
【0022】
加工工場2では、加工工場PC4で受信するなどの手段により注文情報である加工明細書を受け取ると一連の操作を開始する。
加工工場PC4で加工明細書を電子データで受信した場合、これをサーバ5のデータベースに登録し、制御装置6を操作してサーバ5のデータベースから該当する加工明細書のデータを読み取って一連の操作を開始する。この場合、データベースに登録されたデータは任意の条件で検索できるので、印字する属性情報を選択して読み取ることもできる。
加工明細書が書面等で送付された場合は書面の情報を加工工場PC4に入力してサーバ5のデータベースに登録し、サーバを置かない場合は制御装置6に直接加工明細書の情報を登録する。
【0023】
図2は異形棒鋼8をロット単位で搬送しながら、数量確認、切断、印字、曲げ加工、結束といった一連の作業を行う工程を説明するものである。
仮置きスペース7にプールされた異形棒鋼8の母材の中から、所定の鉄筋径と種別(強度)を有する異形棒鋼8を選択し、さらに1ロット分の本数が搬送体9に移される。
なお、異形棒鋼8の母材がコイル状に巻かれている場合、仮置きスペース7にこのコイル状の母材が置かれ、ここで所定の長さに切り出され、1ロット分の本数の異形棒鋼8が搬送体9に移される。
【0024】
搬送体9に移された異形棒鋼8は、搬送体9の上でプッシャーによって押し付けられて、異形棒鋼8の軸方向(長手方向)は端部が全数揃えられ、異形棒鋼8の径方向は搬送体9の端部から順に揃えられ、所定位置にそれぞれ配置される。搬送体9に載せられた異形棒鋼8はロットごとに加工設備の位置に設置されたセンサー10(カウンター装置)まで搬送され停止する。ここで、センサー10によって搬送されている異形棒鋼8の本数をカウントし、1ロット分の異形棒鋼8の本数を確認し、この情報をサーバ5に登録する。なお、ここで1ロット分の本数が正しくカウントされなければ、不足分の異形棒鋼8を搬送体9で追加搬送し、余剰分を仮置きスペース7に戻す。また、過不足のまま一連の作業を継続することもできる。
異形棒鋼8の本数のカウントは、前記プッシャーで異形棒鋼8を押し付けた際のプッシャーの移動量によって(つまり、並べられた鉄筋の全幅を測定することで)行うこともできる。すなわち前記プッシャーをカウンター装置とすることもできる。
【0025】
制御装置6はサーバ5のデータベースから読み取った(又は直接登録された)加工明細書のデータに基づき、切断設備11に切断指令を行い、切断設備11はこの指令に従って異形棒鋼8を所定の長さに順次切断していく。切断作業中に、制御装置6はサーバ5から1ロット分の異形棒鋼8の本数を読み取り、この1ロット本数と前記加工明細書のデータのうちから印字する属性情報を抽出して、インクジェットプリンタ12に対して印字指令を行う。印字する属性情報としては、例えば、鉄筋径、種別(強度)、鉄筋長、序数/母数、ロット番号、などが挙げられる。ここで、序数とはロット内の鉄筋の連番のことであり、母数とは1ロット本数のことである。なお、印字する属性情報は前記のものに限られず、その異形棒鋼8を使用する場所を表す記号や印字日付など任意のものを印字することができる。
【0026】
インクジェットプリンタ12は制御装置6の印字指令に従って印字を開始する。インクジェットプリンタヘッド移動装置12aによってインクジェットプリンタヘッド12bを所定の位置に移動させ、属性情報を異形棒鋼8の表面に印字していく。インクジェットプリンタヘッド移動装置12aは、3軸方向(X,Y,Z)に移動することが可能で、まず図2に示すY軸方向に移動して印字する異形棒鋼8までインクジェットプリンタヘッド12bを移動させる。次に図2に示すX軸方向、つまり異形棒鋼8に沿ってインクジェットプリンタヘッド12bを移動させ、所定の位置まで達したらZ軸方向(図示しない)、つまりインクジェットプリンタヘッド12bを異形棒鋼8表面に近づけるように移動させて印字する。
印字開始位置は、搬送体9の上でプッシャーによって異形棒鋼8が配置された所定位置に基づいて計算される。
異形棒鋼8に属性情報を印字する場合、1本の異形棒鋼8につき1か所のみに印字してもよいが、現場でさらに切断されることを予想して2箇所以上に印字してもよい。
図3に示すように、1本の異形棒鋼8につき所定の印字箇所の印字が終了すると、次の異形棒鋼8までジェットプリンタヘッド移動装置12aによってインクジェットプリンタヘッド12bを移動させ、次の異形棒鋼8への印字作業を開始する。
【0027】
印字仕様としては、次に掲げるものが好適であるが、他の仕様でもあっても視認できる程度に印字することができれば構わない。
・インク :黒色(K67)
・文字サイズ(高さ×幅) :約10〜15mm×約10〜15mm
・印字フォーマット :100μmノズル(ドット径約0.5mm)
太字→24×32ドット、標準→18×24ドット
【0028】
インクジェットプリンタ12の機器仕様としては、次に掲げるものが好適であるが、他の仕様でもあっても視認できる程度に印字することができれば構わない。
・インクジェットプリンタ :PXR−D410J(株式会社日立産機システム製)
・インクジェットプリンタヘッド :
X軸(印字)方向→ストローク500mm、速度200mm/sec
Y軸(幅)方向→ストローク1000mm、速度100mm/sec
Z軸(印字)方向→ストローク300mm、速度100mm/sec
【0029】
異形棒鋼8の切断及び印字工程が終了すると、異形棒鋼8は搬送体9によってロットごとに再度搬送され所定の位置で停止する。ここで、制御装置6はサーバ5のデータベースから読み取った(又は直接登録された)加工明細書のデータに基づき、曲げ加工設備13に曲げ加工指令を行い、曲げ加工設備13はこの指令に従って異形棒鋼8を所定の形状に加工していく。
【0030】
異形棒鋼8の曲げ加工工程が終了すると、異形棒鋼8は搬送体9によってロットごとに再度搬送され、結束工程位置で停止する。ここで、結束作業が行われ、1ロット分の作業工程が終了する。
この一連の作業工程が所定ロット分だけ繰り返し行われ、加工明細書の注文内容が満たされると終了し、工事現場1に搬送される。
【0031】
(実施形態2)
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムの他の実施形態を図4に基づいて説明する。この実施形態は、ロッと単位に作成される2次元コードを利用して鋼材の属性情報を表示する方法及びシステムを説明するための実施形態であって、基本的手順は実施形態1と共通する。
【0032】
工事現場1で加工明細書を作成し、これを電子メール等で加工現場2に送る。なお、送る手段としては、実施形態1と同様、電子媒体のまま電子メールで送信してもよいし、書面(手書きのものも含む)として送付したり、電子媒体を送付したり、後に別途実施形態で説明するように工事現場1で2次元コードに変換して送信・送付したり、あるいは口頭で内容を伝達してもよい。
【0033】
加工工場2では、加工工場PC4で受信するなどの手段により注文情報である加工明細書を受け取ると、図4に示すように加工明細書情報を記載したカード状の絵符を出荷するロットごとに作成する。この絵符は、まず加工明細書情報をロットごとに仕分けて整理し、絵符に表示される加工明細書情報ロット単位の2次元コード15に変換して、その2次元コードと文字・数字情報とをあわせて表示して作成される。
【0034】
この絵符に表示されたロット単位の2次元コード15をバーコードリーダで読み取り、そのデータを加工工場PC4に取り込んでサーバ5のデータベースに登録し、さらに制御装置6を操作してサーバ5のデータベースから該当する加工明細書のデータを読み取り、一連の操作を開始する。この場合、データベースに登録されたデータは任意の条件で検索できるので、印字する属性情報を選択して読み取ることもできる。
サーバ5を置かない場合は、ロット単位の2次元コード15からバーコードリーダで読み取った加工明細書情報を直接制御装置6に登録し、この加工明細書情報の中から鋼材の属性情報に該当するものを抽出し、以下印字指令を行う。
以下、実施形態1と同様の一連の操作を開始する。
【0035】
(実施形態3)
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムの他の実施形態を図5に基づいて説明する。この実施形態は、発注者から受け取る2次元コードを利用して鋼材の属性情報を表示する方法及びシステムを説明するための実施形態であって、基本的手順は実施形態1と共通する。
【0036】
図5は、2次元コードを利用して、工事現場1から加工工場2に異形棒鋼を発注し、異形棒鋼8に属性情報を表示する場合の情報の伝達経路を示したものである。工事現場1では必要とする異形棒鋼8の鉄筋径、種別(強度)、鉄筋長、加工形状、寸法、といった異形棒鋼8の属性情報のほか、現場名、納入期日、などの注文情報を工事現場PC3に入力して加工明細書を作成し、これを2次元コードに変換する。この発注者からの2次元コード16を紙媒体に出力して、FAXや郵送などにより加工現場2に送付する。発注者からの2次元コード16を加工現場2に送る手段としては、電子媒体のまま電子メールで送信してもよいが、当該実施形態は電子メールなど通信環境が整っていない工事現場でより一層の効果を発揮する。
【0037】
加工工場2では、FAXで受信するなどの手段により発注者からの2次元コード16を受けとると、その発注者からの2次元コード16からバーコードリーダ17で注文情報である加工明細書情報を読み取る。
そのデータを加工工場PC4に取り込んでサーバ5のデータベースに登録し、さらに制御装置6を操作してサーバ5のデータベースから該当する加工明細書のデータを読み取って一連の操作を開始する。この場合、データベースに登録されたデータは任意の条件で検索できるので、印字する属性情報を選択して読み取ることもできる。
サーバを置かない場合は、バーコードリーダ17で読み取った加工明細書情報を直接制御装置6に登録し、この加工明細書情報の中から鋼材の属性情報に該当するものを抽出し、以下印字指令を行う。
このように、従来は電子メールで電子媒体を直接送信することができない環境の場合、FAXで送られてきた加工明細書の文字情報を再び加工工場PC4に入力する必要があったが、当該実形態では、加工工場で加工明細書の情報を入力する必要なく、入力手間は減り、入力ミスが生ずる機会も減ずるといった効果がある。
以下、実施形態1と同様の一連の操作を開始する。
【0038】
(その他の実施形態)
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムの他の実施形態を説明する。この実施形態は、他の印字方法を説明するための実施形態であって、基本的手順は実施形態1と共通する。
実施形態1では、切断作業中に印字する説明を行ったが、搬送体9で異形棒鋼8を搬送している最中に印字を行うこともできる。この場合、印字位置は、搬送体9の上で異形棒鋼8が配置された所定位置と、搬送体9の搬送速度及び印字速度に基づいて計算される。
また、切断作業以外の曲げ加工作業中にも印字することができる。この場合、曲げ加工された状態を考慮して見えやすい位置に印字されるよう印字位置を決定する。
同じく、切断加工や曲げ加工が行われる前、又はこれらの作業が終了した後に印字することもできる。ただしこの場合、印字作業がクリティカルな工程となるため、従来の作業工程より若干工程が延びることとなる。
印字する印刷機としてはインクジェットプリンタのほか、レーザマーカなど他の非接触型の印刷機も使用できる。なお、非接触型の印刷機は、被印字物に接触することなく印刷する印刷機を意味する。
レーザマーカの機器仕様としては、次に掲げるものが好適であるが、他の仕様でもあっても視認できる程度に印字することができれば構わない。
・レーザマーカ :3−Axis CO2(株式会社キーエンス製)
・印字方式 :XYZ 3軸同時スキャニング方式
・印字レーザ:波長10.6um、平均出力30W
・スキャンスピード:最大6000mm/s
【産業上の利用可能性】
【0039】
本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムは、鋼材にその属性情報を表示する場合に限らず、インクジェットプリンタによる印字が可能な表面を有するものであれば、樹脂製材、コンクリート製材、木製材、などにも応用可能であり、製造工場、加工工場、あるいは使用現場でも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本願発明の異形棒鋼を発注する場合の情報の伝達経路を示す説明図
【図2】本願発明の鋼材の属性情報表示方法及び鋼材の属性情報表示システムを示す説明図
【図3】本願発明による異形棒鋼への属性表示態様
【図4】異径棒鋼のロット単位で作成される2次元コードを表示した絵符を示す説明図
【図5】本願発明の2次元コードを利用して異形棒鋼を発注する場合の情報の伝達経路を示す 説明図
【符号の説明】
【0041】
1 工事現場
2 加工工場
3 工事現場PC
4 加工工場PC
5 サーバ
6 制御装置
7 仮置きスペース
8 異形棒鋼
7 仮置きスペース
9 搬送体
10 センサー
11 切断設備
12 インクジェットプリンタ
12a インクジェットプリンタヘッド移動装置
12b インクジェットプリンタヘッド
13 曲げ加工設備
14 異形棒鋼の属性情報
15 ロット単位の2次元コード
16 発注者からの2次元コード
17 バーコードリーダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文に応じて鋼材を出荷する鋼材の属性情報を非接触型の印刷機で前記鋼材の表面に印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項2】
請求項1に記載の鋼材の属性情報表示方法において、
鋼材の加工を行いながら、鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の鋼材の属性情報表示方法において、
加工工程に鋼材を搬送しながら、前記鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示方法において、
ロットとして結束される鋼材の数量を数え、そのロットの鋼材の全数又は/及び序数、並びにロット情報も鋼材の属性情報として印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示方法において、
発注者の注文情報をデータベースに登録し、
このデータベースから注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを読み取って、前記鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項6】
請求項5に記載の鋼材の属性情報表示方法において、
データベースから読み取った注文情報に基づいて、鋼材の加工を行うことを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示方法において、
発注者の注文情報をロットごとに分けて2次元コードを作成し、
このロット単位の2次元コードから読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出して、前記鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項8】
請求項7に記載の鋼材の属性情報表示方法において、
ロット単位の2次元コードから読み取った注文情報に基づいて、鋼材の加工を行うことを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示方法において、
発注者から注文情報を2次元コードとして受取り、
この2次元コードから読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出して、前記鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項10】
請求項9に記載の鋼材の属性情報表示方法において、
2次元コードから読み取った注文情報に基づいて、鋼材の加工を行うことを特徴とする鋼材の属性情報表示方法。
【請求項11】
注文に応じて鋼材を出荷する際に鋼材の属性情報を表示するシステムであって、
制御装置と、非接触型の印刷機と、を備え、
前記制御装置は、非接触型の印刷機に印字を指令することが可能であり、
前記非接触型の印刷機は、前記制御装置からの指令に従って鋼材の属性情報をこの鋼材の表面に印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項12】
請求項11に記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
鋼材を加工する加工装置を備え、
前記加工装置で鋼材を加工しながら、前記鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項13】
請求項12に記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
加工工程に鋼材を搬送する搬送体を備え、
前記搬送体で鋼材を搬送しながら、前記鋼材の属性情報を印字することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
ロットとして結束される鋼材の数量を数えるカウンター装置を備え、
制御装置がそのカウンター装置が取得した鋼材の数量情報を読み込んで、そのロットの鋼材の全数又は/及び序数、並びにロット情報を鋼材の属性情報として非接触型の印刷機に印字指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
発注者の注文情報を登録することができるデータベースを備え、
制御装置がそのデータベースから前記注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを読み取って、その属性情報を非接触型の印刷機に印字指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項16】
請求項15に記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
データベースから読み取った注文情報に基づいて、制御装置が鋼材の加工指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項17】
請求項11乃至請求項16のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
発注者の注文情報をロットごとに分けて2次元コードに変換する手段と、
このロット単位の2次元コードから注文情報を読み取る手段と、
読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出する手段と、を備え、
制御装置が抽出された鋼材の属性情報を読み込んで、その属性情報を非接触型の印刷機に印字指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項18】
請求項17に記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
2次元コードから読み取った注文情報に基づいて、制御装置が鋼材の加工指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項19】
請求項11乃至請求項18のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
発注者からの注文情報を2次元コードに変換する手段と、
発注者から受け取った前記2次元コードから注文情報を読み取る手段と、
読み取った注文情報のうち鋼材の属性情報に該当するものを抽出する手段と、を備え、
制御装置が抽出された鋼材の属性情報を読み込んで、その属性情報を非接触型の印刷機に印字指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項20】
請求項19に記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
2次元コードから読み取った注文情報に基づいて、制御装置が鋼材の加工指令することを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。
【請求項21】
請求項11乃至請求項20のいずれかに記載の鋼材の属性情報表示システムにおいて、
鋼材を仮置きするスペースと、
このスペースから鋼材を搬送体に送出する設備と、
鋼材を結束する設備と、を備えたことを特徴とする鋼材の属性情報表示システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−65414(P2010−65414A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231127(P2008−231127)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【特許番号】特許第4264459号(P4264459)
【特許公報発行日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(597132388)株式会社アイコー (2)
【Fターム(参考)】