説明

畳フローリング

【課題】 軽量で取り扱いやすく、薄型で洋室と和室間の段差ができない安全であり、また曲げ強度、伸縮性ならびに反りもしくは耐圧、圧縮強度を有し、かつ製作上も縫着および刃物による裁断ができる畳フローリングを提供すること。
【解決手段】 繊維補強熱可塑性樹脂体を使用した積層成型品を畳芯として使用し畳フローリングを製作した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、発泡樹脂体を使用した軽量薄型の畳に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
畳としては、古来よりわらを畳芯とし、イグサを畳表としたもの、そして改良型として木質繊維ボードあるいは発泡体を合板、アルミ板あるいはプラスチック板でサンドイッチしたもの、もしくは合板をプラスチック板あるいはプラダン(プラスチックダンボール)でサンドイッチしたもの等が存する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
古来よりの畳は、重量を有し取扱いに不便である上、厚さが55mm〜60mmあるので、洋室と和室との間に段差が生じ使用上安全でない。また段差を無くすには和室部分の床面を低くせねばならず、設計上の制約を受ける。
【0004】
コンクリート造りの住居の場合は全体の床面が高くなり、室内空間が狭くなってしまう。さらに、これらはダニ、シラミの温床となり健康上良くない。
【0005】
改良型の合板等を使用するものは、合板と芯材の木質繊維ボードあるいは発泡体とを接着剤を使用して接着しているので、室内の乾燥および湿気による合板の伸縮に対し、発泡体との間でなじみが悪く、合板の剥離はもちろん、反りが生じてしまう。
【0006】
さらには木質繊維ボードおよび合板は、薄いと畳としての弾性力に乏しく、それかといって厚くすると和室と洋室間の段差が生じてしまう。さらには木質繊維ボードおよび合板は、湿気を吸放湿するため、畳表を強く張ると、やがて畳表の反りやアバレが生じてしまい、逆に加減して張ると畳表にしわが生じてしまう。
【0007】
また乾燥時には畳が収縮し畳と畳の間に隙間があいたり、畳アバレの原因ともなる。
【0008】
通常畳表を張る時には畳芯を反り返らせながら畳表を張り、張った後の畳表の張りを出すようにして行なうが、従来構造の畳芯にあっては弾性力が乏しいため畳芯を反り返らせるといった作業が不可能である。
【0009】
また、畳みは嵌め込んだのちに畳と畳の間に隙間が生じないように、畳の表面を裏面より幅広に形成し、強い力にて押し込んで施工するため、畳みに曲げ強度が要求される。しかし従来構造のものは、この曲げ強度も不足しているため、嵌め込み作業が簡単に行なえない。他方、アルミ板は、伸縮、曲げに対し強く有利であるが、畳を製作する過程での縫着や、包丁等の刃物での裁断ができず手間を要してしまう。
【0010】
それゆえ改良型にあってはコストが高くなる上、施工後に畳と畳の間に隙間ができ、その間にゴミ、ダニ、シラミ等が入り込み衛生的でなく、また不体裁である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そこで本考案は、軽量、薄型であり、また曲げ強度、伸縮性ならびに反りもしくは耐圧、圧縮強度を有し、かつ製作上も縫着および刃物による裁断ができる繊維補強熱可塑性樹脂体を使用した積層成型品を畳芯として使用し製作した。これにより厚さ12mm〜20mmの畳が製作可能となり、洋室と和室間の段差ができず、安全な畳フローリングを提供することができる。
【0012】
【考案の実施の形態】
次に図に示す実施例に従って本考案を説明する。
【0013】
畳芯1として、方形の発泡樹脂体2の表裏面に、繊維が方向性を有して熱可塑性樹脂内に積層されてなる繊維補強熱可塑性樹脂シート3を溶着させた積層成型品を使用し、その表面にイグサ4を張設し、長手方向の両端をかまちの下側までわずか巻回させ、公知の方法で長手方向の両側縁に畳べりを添設して縫着した。
【0014】
本考案は、繊維材を積層した成型品を使用したことにより、20mm厚以下にて従来の畳と同一性能のものが製作でき、洋室と和室の段差を無くすことが可能となった。さらに畳芯との縫着による固定ができるので、表面のイグサと畳芯の樹脂成型品との間の伸縮差に対処でき、これによって表面イグサのたるみ、浮き上がりを防止できる。
【0015】
さらに本考案は、畳芯のかまちコーナーにプラスチック、鉄等の硬質の板、アングル材、あるいはコ字状材を配し、コーナーを鋭角に補強したので、張設後に畳表のすべりが無く、したがってたるみが生じない。そして薄形である本考案の畳フローリングの場合でも、コーナーが鈍角もしくは丸みを帯びず、したがって施工された畳と畳の間に凹みが生ぜず体裁の良い施工ができる。
【0016】
本考案の繊維入り熱可塑性樹脂体を、パーチクルボードの試験法(JISA−5908)で試験したところ、曲げ強度が10mm厚で100Kg/cm2 、そして曲げ弾性率が20,000Kg/cm2 、25mm厚で曲げ強度30Kg/cm2 、曲げ弾性率2,000Kg/cm2 と十分な弾性を示した。
【0017】
【実施例】
ポリプロピレン15倍発泡の方形体の表裏面に、一方向に引き揃えたガラス繊維を積層したポリプロピレン成型シートを溶着させた積層成型品1の表面に不織布6をラミネートし、その上にイグサ4を被覆させた。
【0018】
なお、積層成型品のコーナーに、上面にプラスチックあるいは鉄製の板、もしくはアングル材あるいはコ字状材を補強材7として配置した。
【0019】
【考案の効果】
本考案製品は、古来のわら芯の畳の性能を損なわず、加えて曲げ強度、耐圧、圧縮強度に優れ、したがって反りの無い性能を有し、何よりも薄形化ができ、フローリングと同一高さが可能となり、和室と洋室の段差を取り除くことができる。このことはまた、従来段差を取り除くために畳部分の床面を低く設計していたが、このような設計が不要となる。
【0020】
製作上も、積層成型品の畳芯は、縫着や切断が簡単にでき、製作が容易である。
【0021】
さらに施工上も、本考案製品は、曲げ強度を有するから、畳の嵌め込みが楽に行なえ、そして嵌め込み後の畳間の隙間が生じるおそれも無い。
【0022】
さらにこの積層成型品の畳芯は、栄養分を含まないので、ダニや害虫の心配がなく、衛生的な畳を提供できるものである。
【0023】
さらにまた畳芯のコーナーに補強材を配したことにより、畳表を張設した後のゆるみ、あるいは畳と畳の間に凹みが生じない体裁の良い畳を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】畳芯の斜視図。
【図2】畳フローリングの斜視図。
【図3】畳フローリングの畳表を取り除いて示す斜視図。
【符号の説明】
1 畳芯
2 発泡樹脂体
3 繊維補強熱可塑性樹脂シート
4 イグサ
5 畳縁
6 不織布
7 補強材

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 畳芯として発泡樹脂体の表面に繊維補強熱可塑性樹脂シートを溶着した積層成型品を使用し、畳表としてイグサを表面に張設し、長手方向両側端に畳縁を添設して縫着して成る畳フローリング。
【請求項2】 畳芯と畳表の間にクッション材として不織布を挿入してなる請求項1に記載の畳フローリング。
【請求項3】 発泡樹脂体がハニカム構造である請求項1あるいは2に記載の畳フローリング。
【請求項4】 畳芯のかまちコーナーに補強材を配してなる請求項1、2あるいは3に記載の畳フローリング。
【請求項5】 かまちコーナー補強材が、硬質プラスチックあるいは鉄製であり、形状が板、アングルあるいはコ字状である請求項4に記載の畳フローリング。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3038942号
【登録日】平成9年(1997)4月16日
【発行日】平成9年(1997)6月30日
【考案の名称】畳フローリング
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平8−13554
【出願日】平成8年(1996)12月24日
【出願人】(591039137)三井農林株式会社 (7)