説明

痔核治療坐薬

坐薬装置(10)は第一端部(1)と第二端部(2)とを備えた軸部を有する。第一端部(1)は球状上部(3)を備えている。軸部は球状上部(3)から第二端部(2)に向かって延びるテーパ面(4)を備えている。テーパ面(4)のテーパ角は、第二端部(2)に向かって事実上0度にまるまで徐々に小さくなる。球状上部(3)の最大部から3cm離れた軸部部位の最小直径は、球状上部(4)の最大部の約1/2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痔核治療装置に関するものである。特に、本発明は、薬を内側の痔部に直接送るために肛門管内に留まる痔核坐薬に係るものである。
【背景技術】
【0002】
大部分の痔核坐薬は弾丸形状を有する。したがって、これら弾丸形状の坐薬は、挿入後、肛門管内に留まり難いものである。更に、これら弾丸形状の坐薬は、薬が内側の痔部に直接適用される前に、直腸内で上方に動く傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、肛門管内の蠕動運動を利用することにより移動可能に肛門管内に留まるようにするために、軸部の表面積と質量との適切な割合を備えさせた坐薬を提供することにある。
【0004】
本発明の別の目的は、使い易く、製造容易であり、比較的安価な坐薬を提供することにある。
【0005】
本発明の上記その他の目的と利点は、添付の明細書と特許請求の範囲とを読むことにより明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第一端部と第二端部とを備えた軸部よりなる坐薬装置である。第一端部は球状上部を備えている。軸部は、球状上部から第二端部に向かって徐々に細くなるテーパ面を備えている。球状上部の直径は、6mm〜12mmである。軸部の最小直径は、球状上部の広幅部の直径の約半分である。軸部の平均直径は、体積に対する表面積の比率が2対1(2mm)と1対2(8mm)との間の適切な比率を有するものであり、また、軸部の平均最大直径は、肛門管内に留まる軸部の長さの約20%である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明による坐薬装置の側面図である。
【0008】
【図2】図2は、本発明による坐薬装置の別の実施例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明による坐薬装置10を示す。坐薬装置10は、第一端部1と第二端部2とを備えている。第一端部1は球状上部3を備えている。該球状上部3から第二端部2に向かってテーパ面4が延びている。
【0010】
装置10の最大平均直径は、肛門管内に留まる軸部の長さの約20%である。軸部が肛門管の4cmの長さを貫く長さを有するときには、軸部の平均最大直径は8mmである。
【0011】
球状上部の最大直径は、球状上部3の広幅部から3cm離れた軸部部位の直径の2倍である。人間の器官の寸法は各人により大きく異なるため、すべての数字は概略である。
【0012】
上述の数字は、装置10と肛門管との摩擦関係により決定される。肛門管は自己洗浄機能を有する。平均直径が10mmを超える長い円筒状の軸部が肛門管内に入ったときには、その大きな直径が不随意の排泄圧を軸部に及ぼすため、軸部は直ちに肛門から押し出される。また、軸部の直径が大きくなる程、軸部の保持能力が劇的に減少する。軸部の直径が大きくなれば、肛門管内の所定の位置に維持される体積当りの表面積が小さくなる。
【0013】
8mm未満の小さな直径の軸部が肛門管内に入ったときには、肛門管は反応して肛門管内の蠕動運動により軸部を押し下げる。しかしながら、軸部が球状上部3から徐々に細くなる適切なテーパ面4を備えているときには、該テーパ面4は肛門管の下方への蠕動運動に抵抗する。該蠕動運動は、種々のものがあり、肛門管内で軸部を上下動させる。
【0014】
押し下げて直腸及び肛門管から排出しようとする排泄運動を避けながら、軸部は蠕動運動に適宜反応する。軸部は、肛門管内の所定の位置に維持されるように、体積に対する表面積の適切な比率を有しなければならない。体積に対する表面積の最も良い比率は、2対1と1対2との間である。軸部の直径が2mmであるときには、1センチメートル当りの表面積は62.8mmであり、1センチメートル当りの体積は31.4mmである。軸部の直径が8mmであるときには、1センチメートル当りの表面積は251.2mmであり、1センチメートル当りの体積は502.4mmである。軸部の最大直径は、肛門管内に留まる該軸部の長さの約20%である。
【0015】
図2は、本発明による坐薬装置20の別の実施例を示す。軸部25は、球状上部23と、該球状上部23から第二端部22に向かって徐々に細くなるテーパ面24とを備えている。図2から明らかなように、テーパ角は第二端部に向かって事実上0度にまるまで徐々に小さくなる。球状上部23の広幅部26の直径は、6mmと12mmとの間であり、これは人間の肛門管の平均長さである約4cmの15%と30%である。
【0016】
球状上部23の広幅部26から3cm離れた軸部部位の最小直径は、球状上部23の広幅部26の1/2である。装置10に対する装置20の利点は、球状上部から内方に傾斜したテーパ面が該球状上部に対する保持力を急速に増加させている点にある。
【0017】
装置10が肛門管内に挿入されたときには、肛門管内における外方への蠕動運動が該装置を肛門の外部に押し出そうとする。装置10はこの外方への蠕動運動に抵抗するように若干のテーパ面を備えているため、装置10は肛門管内に留まる。
【0018】
装置が8mmよりも大きな平均直径を有するときには、体積当りの表面積は減少する。しかるときは、直腸圧が肛門管内の横方向の圧力と相俟って装置10を肛門管から押し出す。したがって、装置10を肛門管内に正しく維持し、肛門管内に必要な蠕動運動を生じさせるために、平均直径が8mm未満であることが必須である。
【0019】
装置の表面積と体積との比率は、装置10が肛門管内に留まるような機能的関係を有する。装置の体積に対する表面積の最も良い比率は、概ね2:1(2mm)と1:2(8mm)との間であり、5:2(10mm)もあり得る。例えば、軸部の直径が6mmの場合には、単位表面積は18.84mmである。装置の体積は、28.26mmである。したがって、比率は1:1.5であり、許容される最大比率は5:2である。
【0020】
本発明についての上記の開示と説明は、説明的かつ例示的なものである。本発明の真の精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内において、例示した構成の細部における種々の変更を行うことが可能である。本発明は、下記の特許請求の範囲及びその法的な均等物によってのみ、制限されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部と第二端部とを有する軸部を備え、該第一端部は球状上部と該球状上部から該第二端部に向かって徐々に細くなるテーパ面とを備え、該軸部は、体積に対する表面積の比率が2対1と1対2との間である平均直径と、肛門管内に留まる軸部の長さの約20%の最大直径とを有し、該軸部は肛門管内に位置することを特徴とする坐薬。
【請求項2】
第一端部と第二端部とを有する軸部を備え、該第一端部は球状上部を備え、該軸部は該球状上部から該第二端部に向かって徐々に細くなるテーパ面を備え、該テーパ面は第二端部に向かって事実上0度にまるまで徐々に小さくなるテーパ角を有し、該球状上部は6mmから12mmまでの最大直径を有し、該軸部は該最大直径から3cm離れた位置において最小直径を有し、該最小直径は該最大直径の約1/2であり、該軸部は肛門管内に位置することを特徴とする坐薬装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−520300(P2010−520300A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552841(P2009−552841)
【出願日】平成20年3月4日(2008.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/055820
【国際公開番号】WO2008/109616
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(503107842)
【Fターム(参考)】