説明

癌の組織型を判別するカクテル抗体、判別キット及び判別方法

【課題】本発明は、癌の組織型を判別するのに有用なカクテル抗体及びそれを用いた判別方法の提供を目的とする。
さらには判別キットの提供を目的とする。
【解決手段】肺癌の組織型を判別するのに用いるカクテル抗体であって、腺癌の細胞質に局在するNapsin−A及びその細胞核に局在するTTF−1に抗原抗体反応を示すADCカクテル抗体と、扁平上皮癌の細胞質に局在するCK14及びその細胞核に局在するp63に抗原抗体反応を示すSCCカクテル抗体とを組み合せたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫組織化学的に癌の組織型を判別する方法に関し、特に肺非小細胞癌の組織型を判別するのに効果的なカクテル抗体、それらを利用した肺非小細胞癌の組織型判別方法並びに肺非小細胞癌の組織型判別キットに係る。
【背景技術】
【0002】
世界では毎年100万人以上が肺癌で死亡していると推計されている。肺癌は、組織分類上、小細胞肺癌(SCLC:small cell lung carcinoma)と非小細胞肺癌(NSCLC:non-small cell lung carcinoma)に分けられ、非小細胞肺癌は、腺癌(ADC:Adenocarcinoma)、扁平上皮癌(SCC:Squamous cell carcinoma)及び未分化な非小細胞肺癌である大細胞癌に分けられる。
肺癌の治療に用いられるペメトレキセドやゲフィチニブが特定の病理組織型によって効果が異なる事が再現性をもって確認されている。
その中で、特に扁平上皮癌と腺癌の分別が重要である事が示された。
また、ペメトレキセドでは、扁平上皮癌患者においてプラセボよりも予後が不良である事が示された。
これを受け、国際会議で扁平上皮癌と腺癌の簡便で高感度および特異性の高い分別方法の必要性が議論された。
一方、免疫組織学化学的に肺癌を鑑別するために、鑑別の第1段階に甲状腺、肺で特異的に発現している転写因子のThyroid transcription factor 1(TTF−1)、原発性肺腺癌の特異的マーカーであるNapsin−Aおよび癌抑制蛋白のp63を使い、高悪性度神経内分泌腫瘍、腺癌、扁平上皮癌を鑑別し、第2段階で サイトケラチン18(CK18)を使用し、高悪性度神経内分泌腫瘍として大細胞神経内分泌癌(LCNEC:large cell neuroendocrine carcinoma)と小細胞癌の鑑別を行うことが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
ケラチンは、上皮細胞骨格タンパクで約20種類のサブタイプが知られている。
例えば、腫瘍細胞の鑑別にサイトケラチン7(CK7)とサイトケラチン20(CK20)の染色特性が利用されている。
一方、CK18は、もともと腺癌にも扁平上皮癌にも陽性が認められるため、扁平上皮癌のマーカーとしては不適である。
また、p63は、扁平上皮癌において陽性反応率が100%ではない。
他方、扁平上皮癌と腺癌の簡便で高感度および特異性の高い分別方法が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本臨床細胞学会雑誌Vol.47 No.2 Page.146-147 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、癌の組織型を判別するのに有用なカクテル抗体及びそれを用いた判別方法の提供を目的とする。
さらには判別キットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る癌の組織型判別用カクテル抗体は、癌の組織型を判別するのに用いるカクテル抗体であって、各組織型の細胞質に局在する発現因子に抗原抗体反応を示す抗体と、細胞核に局在する発現因子に抗原抗体反応を示す抗体とを組み合せたことを特徴とし、細胞質に局在する腫瘍マーカーに特異的に抗原抗体反応を示す抗体と細胞核に局在する腫瘍マーカーに特異的に抗原抗体反応を示す抗体とを混合することで判別が向上し肺癌の組織型の判別に適した腫瘍マーカーを明らかにした。
【0007】
具体的に説明すると、肺癌の組織型を判別するのに用いるカクテル抗体であって、腺癌の細胞質に局在するNapsin−A及びその細胞核に局在するTTF−1に抗原抗体反応を示すADCカクテル抗体と、扁平上皮癌の細胞質に局在するCK14及びその細胞核に局在するp63に抗原抗体反応を示すSCCカクテル抗体とを組み合せて使用するとよい。
ここで、ADCカクテル抗体と称したのは、腺癌(ADC:Adenocarcinoma)を示すマーカーに有用だからである。
また、SCCカクテル抗体と称したのは扁平上皮癌(SCC:Squamous cell carcinoma)を示すマーカーに有用だからである。
【0008】
ここで肺非小細胞癌の組織型判別用キットとして、ADCカクテル抗体及びSCCカクテル抗体と、それらを用いて免疫組織化学を実施するための試薬をセットしてもよく、さらに、腺癌判別コントロール及び扁平上皮癌判別コントロールを備えるようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る癌腫瘍の組織型判別方法は、請求項1記載のカクテル抗体を用いた肺非小細胞癌の組織型判別方法であって、ADCカクテル抗体にて陽性を示した腫瘍を腺癌と判別し、次に、SCCカクテル抗体にて陽性を示した腫瘍を扁平上皮癌と判別することを特徴とする。
ここで、さらに、ADCカクテル抗体及びSCCカクテル抗体共に陰性であった腫瘍に対して、CK7を対象に免疫組織化学を実施し、陽性を示した腫瘍を腺癌と判別するようにするとよい。
判別の流れを具体的に説明すると、まず、腺癌に対して、TTF−1とNapsin−Aのそれぞれに対する抗体カクテル(ADCカクテル抗体)を使用すると、TTF−1の核陽性と細胞質のNapsin−Aに対するびまん性陽性のいずれかを有する腫瘍として腺癌が認識され、扁平上皮癌は全例がこの免疫組織化学(以下免疫染色と称する。)にて否定される。
次に、p63とサイトケラチン14に対するカクテル抗体(SCCカクテル抗体)で、p63がびまん性に核に免疫染色されて、サイトケラチンが細胞質に免疫染色される腫瘍として扁平上皮癌が認識される。
腺癌はp63とサイトケラチン14に対するカクテル抗体で免疫染色されない。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のカクテル抗体に使用される抗体は、TTF−1、Napsin−A、p63およびサイトケラチン14のそれぞれに対する抗体であり、それらのIgG、IgMなどの種類やマウス、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどの由来は特に限定されない。
それらの中で、モノクローナル抗体が好ましいが、十分な特異性で、TTF−1、Napsin−A、p63およびサイトケラチン14を検出可能である限り、オリゴクローナル抗体(数種〜数十種の抗体の混合物)またはポリクローナル抗体を使用することもできる。
また、Fab、Fab’、F(ab’)2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片を使用することもできる。
上記抗体は、市販品または免疫学的手法、ファージディスプレイ法など公知方法で作製されたもののいずれであってもよい。
【0011】
本発明のカクテル抗体を使用して、扁平上皮癌と腺癌の判別を行うには、生体から採取した細胞・組織について標本を作製し、この標本に対し、通常の病理診断で行われる免疫組織化学的手法を用いればよい。
【0012】
標本は、例えば、生体から採取した細胞・組織を包埋したパラフィンブロックなどから薄切した切片、生体から採取した細胞・組織を包埋したパラフィンブロックなどから作製される細胞・組織マイクロアレイシートなどが挙げられる。
【0013】
本発明で使用される免疫染色は、標本採取→標本調製→抗原抗体反応→可視化といった免疫組織化学の手法を用いればよい。
ここで、抗原抗体反応・可視化は、酵素抗体法を用いることが好ましい。
酵素抗体法の標準的なプロコールは周知であり、例えば、「酵素抗体法、改訂第3版」、渡辺慶一、中根一穂編集、学際企画)などを参考にすればよい。
【0014】
以下、免疫組織化学における免疫染色の方法・手順の一例を示す。
(1)固定・パラフィン包埋
生体(剖検症例の場合は死体)より採取した組織をホルマリンやパラフォルムアルデヒド等によって固定する。
その後パラフィン包埋する。
一般にアルコールで脱水した後キシレンで処理し、最後にパラフィンで包埋する。
パラフィンで包埋された標本を所望の厚さ(例えば3〜5μm)に薄切し、スライドガラス上に伸展させる。
尚、パラフィン包埋標本に代えて凍結標本を用いる場合もある。
(2)脱パラフィン
一般にキシレン、アルコール、及び精製水で順に処理する。
(3)前処理(抗原賦活)
必要に応じて抗原賦活のために酵素処理、加熱処理及び/又は加圧処理等を行う。
(4)内因性ペルオキシダーゼ除去
染色の際の標識物質としてペルオキシダーゼを使用する場合、過酸化水素水で処理して内因性ペルオキシダーゼ活性を除去しておく。
(5)非特異的反応阻害
切片をウシ血清アルブミン溶液(例えば1%溶液)で数分から数十分程度処理して非特異的反応を阻害する。
尚、ウシ血清アルブミンを含有させた抗体溶液を使用して次の一次抗体反応を行うこととし、この工程を省略してもよい。
(6)一次抗体反応
適当な濃度に希釈した抗体をスライドガラス上の切片に滴下し、その後数十分〜数時間反応させる。
反応終了後、リン酸緩衝液など適当な緩衝液で洗浄する。
(7)標識試薬の添加
標識物質としてペルオキシダーゼが頻用される。
ペルオキシダーゼを結合させた2次抗体をスライドガラス上の切片に滴下し、その後数十分〜数時間反応させる。
反応終了後、リン酸緩衝液など適当な緩衝液で洗浄する。
(8)発色反応
トリス緩衝液にDAB(3,3'-diaminobenzidine)を溶解する。
続いて過酸化水素水を添加する。
このようにして調製した発色用溶液を数分間(例えば5分間)切片に浸透させ、発色させる。
発色後、切片を水道水で十分に洗浄し、DABを除去する。
(9)脱水、透徹、封入
アルコールで脱水した後、キシレンで透徹処理し、最後に合成樹脂やグリセリン、ゴムシロップなどで封入する。
【0015】
次に、本発明に係るカクテル抗体を使用する手順例を示す。
(1)パラフィンブロックから薄切した細胞・組織の切片またはアレイシート(以下、検体と称する)を用意する。
(2)検体に対し、TTF−1とNapsin−Aのそれぞれに対するカクテル抗体を使用して免疫染色を行う。
(3)免疫染色された検体を観察し、TTF−1について、細胞の核が陽性および/または細胞質のNapsin−Aについて、びまん性陽性と判断した腫瘍を腺癌とする。
(4)検体に対し、p63とサイトケラチン14のそれぞれに対するカクテル抗体を使用して免疫染色を行う。
(5)免疫染色された検体を観察し、p63について、びまん性に核が染まり、サイトケラチン14について、細胞質に免疫染色される腫瘍を扁平上皮癌とする。
【0016】
さらに、本発明の分別方法において、第三段階として、腺癌の補助的なマーカーであるサイトケラチン7(CK7)に対する抗体を使用することもできる。
【0017】
本発明方法を利用したキットは、以下のカクテル抗体を含むキットである
(a)TTF−1とNapsin−Aのそれぞれに対するADCカクテル抗体。
(b)p63とサイトケラチン14のそれぞれに対するSCCカクテル抗体。
ADCカクテル、SCCカクテルは、例えば、凍結乾燥されたもの、それらを含む溶液であってもよいが、利便性の点で溶液状態のものが好ましい。
また、上記キットは、例えば、抗原賦活化液、洗浄液、ブロッキング液、緩衝液、染色液、標識二次抗体、反応基質、コントロールスライドなどを含むものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
p63は扁平上皮癌との陽性反応率が100%ではなく、そのp63と相補的にする陽性を示すCK14を加えたカクテル化したマーカーを使用することによってはじめて100%近い確度で非扁平上皮性NSCLCを扁平上皮性NSCLCから鑑別差別化することができる。
また、本発明方法により病理診断における免疫染色手技ならびに判定の簡便化を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】腫瘍マーカー候補について、扁平上皮癌と腺癌の病理組織標本の免疫染色象を示す。
【図2】カクテル抗体を利用した感度と染色法ならびに染色結果の評価法を示す図である。
【図3】肺扁平上皮癌と腺癌の判別スクリーニングのアルゴリズムを示す図である。
【図4】肺非小細胞癌組織アレイによるADCカクテルの検証結果す図である。
【図5】肺非小細胞癌組織アレイによるSCCカクテルの検証結果す図である。
【図6】第二段階のSCCカクテルの検証結果を示す図である。
【図7】ADCカクテルで陰性で、かつSCCカクテルで陰性である症例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0020】
1.肺非小細胞癌の扁平上皮癌、腺癌特異的な免疫組織化学的なマーカーの選択
(1)表1のマーカー候補について、扁平上皮癌(5例)と腺癌(7例)で検討した結果、サイトケラチン7(CK7)、サイトケラチン14(CK 14)、Napsin−A、TTF−1、p63を、カクテル抗体を構成するマーカーの候補として選択した(図1)。
【0021】
【表1】

【0022】
各抗体の特異性ならびに相補的な反応性を生かすために細胞質に局在するマーカーと細胞核に局在するマーカーの組み合わせを検討した。
その結果、図1に示すように腺癌に陽性を示し、また扁平上皮癌に陰性を示す腺癌マーカーの組み合わせ(ADCカクテル)は細胞質局在のNapsin−Aと細胞核局在のTTF−1であり、逆に腺癌に陰性を示し、扁平上皮癌に陽性を示す扁平上皮癌の組み合わせ(SCCカクテル)は細胞質局在のCK14と細胞核局在のp63の組み合せであった。
【0023】
2.扁平上皮癌と腺癌用の抗体カクテル
各カクテル抗体候補の特異性ならびに反応性を最大限に生かすために、抗原賦活処理法の検討と煩雑な処理法の一本化と各抗体濃度ならびに混合比の検討と最適化を実施した。
最終的にカクテル抗体を利用した感度と反応性で一番優れた免疫染色法ならびに染色結果の評価法を決定した(図2)。
(1)各種カクテル抗体を利用した免疫染色の検証ならびに妥当性の確認
過去に富山大附属病院病理部で診断された扁平上皮癌15例、腺癌15例を選択して肺非小細胞癌組織アレイを作成し(表2)、この組織アレイを利用してカクテル抗体免疫染色法を検証した。
なお、表2において左半分(列0.000〜6.000)は扁平上皮癌、右半分(列9.000〜15.000)は腺癌である。
【0024】
【表2】

【0025】
(2)扁平上皮癌と腺癌を判別スクリーニングするためのアルゴリズム(図3)。
アルゴリズムでは、第一段階としてADCカクテルを使用した免疫染色を実施し、陽性の症例を非扁平上皮癌すなわち腺癌と判別し、陰性の症例は第二段階としてSCCカクテルを使用した免疫染色を実施した。この第2段階で陽性の症例を扁平上皮癌と判別する。さらに、ADCカクテルならびにSCCカクテルで陰性を示す症例は腺癌の補助的なマーカーであるCK7を使用した第三段階の染色を実施した。この段階で陽性の症例は腺癌と判別され、陰性の症例はその他の稀な組織型癌と判別した。また、判定は腫瘍細胞の10%以上に細胞質あるいは核に陽性染色が認められるものを陽性とした。
【0026】
3.肺非小細胞癌組織アレイによるカクテル抗体の検証結果
(1)第一段階でのADCカクテルとの反応では29症例(1症例は腫瘍細胞が十分量採取できていないかったため検討から省いた。)中の右半分の腺癌症例15例のうち13症例が陽性と判定された(図4)。
図4において、右半分の腺癌症例のうち13例が陽性を示した。
この結果より、全陰性例(16例、図5)をSCCカクテルで検討した。
図5において、左半分の扁平上皮癌14例と右半分の腺癌2例は陰性である
【0027】
(2)第二段階のSCCカクテルとの反応で、ADCカクテルでの反応性が陰性であった16例中14例が陽性であった(図6)。
ADCカクテルでの結果が陰性で、かつSCCカクテルでの検討も陰性である症例は2例であった(図7)。
上記2例のうち、1例はHE染色での形態学的な再判定で明らかな腺癌であり、また、腺癌判定の補助マーカーであるCK7も陽性であった。
【0028】
4.組織アレイによる検証の考察
ADCカクテル抗体とSCC抗体との反応の結果を考察すると、15症例の腺癌のうち1例(ID:97-3353)はADCカクテル抗体が陰性でSCCカクテル抗体が陽性であった。
また、14症例の扁平上皮癌のうち1例(ID:01-3517-15)ではADCカクテル抗体とSCC抗体ともに陰性であった。
確認のために、他のマーカーとの反応性ならびにHE染色による再判定を実施した結果、症例97−3353は過去に腺癌と診断されているが、扁平上皮癌の中の特殊なbasaloid typeと判定されるものであった。
一方、症例01−3517−15はサイトケラチンマーカーのPan−CK、CK8/18が陽性であり、腺系上皮由来を示し、HE染色標本での形態学的な再検討では腫瘍細胞の大きさ等より大細胞癌と判定された。
この2例をそれぞれ扁平上皮癌と、その他癌(大細胞癌)に再分類すると、検討症例は腺癌が14例、扁平上皮癌14例、その他(大細胞癌)1例、合計29例となった。
最終的なADCカクテル抗体の14症例の腺癌に対する特異性specificityは100%となり、感度sensitivityは92.9%であった。
また、SCCカクテル抗体の14症例に対する特異性specificityと感度sensitivityはそれぞれ100%であった。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明のADCカクテル抗体とSCCカクテル抗体を利用した免疫組織化学的な方法は、肺非小細胞癌(NSCLC)の組織型(扁平上皮癌、腺癌)の判別法として特異性ならびに感度に優れ、日常の病理診断において有用性が高いものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺癌の組織型を判別するのに用いるカクテル抗体であって、
腺癌の細胞質に局在するNapsin−A及びその細胞核に局在するTTF−1に抗原抗体反応を示すADCカクテル抗体と、扁平上皮癌の細胞質に局在するCK14及びその細胞核に局在するp63に抗原抗体反応を示すSCCカクテル抗体とを組み合せたことを特徴とする肺癌の組織型判別用カクテル抗体。
【請求項2】
ADCカクテル抗体及びSCCカクテル抗体と、それらを用いて免疫組織化学を実施するための試薬をセットにしたことを特徴とする肺非小細胞癌の組織型判別用キット。
【請求項3】
さらに、腺癌判別コントロール及び扁平上皮癌判別コントロールを備えたことを特徴とする請求項2記載の肺非小細胞癌の組織型判別用キット。
【請求項4】
請求項1記載のカクテル抗体を用いた肺非小細胞癌の組織型判別方法であって、ADCカクテル抗体にて陽性を示した腫瘍を腺癌と判別し、次に、SCCカクテル抗体にて陽性を示した腫瘍を扁平上皮癌と判別することを特徴とする肺非小細胞癌の組織型判別方法。
【請求項5】
さらに、ADCカクテル抗体及びSCCカクテル抗体共に陰性であった腫瘍に対して、CK7を対象に免疫組織化学を実施し、陽性を示した腫瘍を腺癌と判別することを特徴とする請求項4記載の肺非小細胞癌の組織型判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−249776(P2010−249776A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102161(P2009−102161)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(307048756)株式会社パソロジー研究所 (6)
【出願人】(305060567)国立大学法人富山大学 (194)
【Fターム(参考)】