説明

癌細胞の有無判定方法

【課題】 環状重合乳酸の使用量や使用経過時間と体温との相関から、人体に癌細胞が潜んでいるか否かを簡単に判定可能にする。
【解決手段】 液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴や注射し、或いは乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化して服用して、所定時間経過後における体温の上昇レベルから人体における癌細胞の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト癌由来の癌細胞の有無を簡易手法で判定するための癌細胞の有無判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、1982年に、一つの現象として、癌細胞を培養した上澄みの培養液が癌細胞の生育を抑制することを発見し、この培養液中に存在する物質を探索した結果、その物質が環状重合乳酸であることを究明した者である。
従来本発明者は、この環状重合乳酸は腫瘍に薬効があるとの観点から、他の研究者と協力して、幾多の研究成果を挙げてきている。
これらの研究成果のうち、過去に特許出願したものとしては、例えば特許文献1〜特許文献6に記載のものが挙げられる。
【0003】
特許文献1および特許文献2に記載されたものは、縮合度が5〜23のL−乳酸直鎖状縮合物と縮合度が2〜15のL−乳酸環状縮合物との混合物よりなる、特にヒト子宮頸部癌、ヒト口腔底癌、マウス肺癌、吉田肉腫、ウサギ肝癌、ヒトの胃癌、甲状腺癌、肺癌、子宮癌の治療に適したヒトを含む動物の悪性腫瘍細胞増殖抑制剤である。
【0004】
前記特許文献3に記載されたものは、縮合度が3〜25のL−乳酸直鎖状縮合物と縮合度が2〜15のL−乳酸環状縮合物との混合物を含有する反応液を得るプロセスを含むヒトを含む、動物の悪性腫瘍細胞増殖抑制作用を有する経口摂取剤の製造方法である。
【0005】
特許文献4に記載されたものは、縮合度9〜19の環状及び直鎖状の混合L−乳酸オリゴマーを主成分とする大腸癌、食道癌及び乳癌より選ばれた癌に用いる抗悪性腫瘍剤である。
【0006】
特許文献5に記載されたものは、縮合度3〜19の環状及び直鎖状の混合ポリL−乳酸を主成分とする大腸癌、食道癌及び乳癌より選ばれた癌に用いる抗悪性腫瘍剤である。
【0007】
前記特許文献6に記載されたものは、環状型と鎖状型のオリゴマー物質であって,化学組成がそれぞれ(C及び{(CO)−HO}(ここでz=2〜23)であり、分子構造がジグザググ環状構造とクラスレート状のほぼジグザグC文字形鎖状構造の2種類からなる免疫機能調節剤である。
【0008】
さらに、本発明者が関与するものではないが、特開2000‐239171号公報に記載されたものは、縮合度3〜19の環状及び鎖状の混合ポリL−乳酸を含有してなる癌患者の経口QOL改善剤である。
【0009】
上記各特許文献に記載された発明はいずれも、特定の範囲の縮合物である直鎖型と環状型の混合ポリL−乳酸が、特定の疾患に有効であるとの観点に立って創作されているものである。
【特許文献1】特開平05−310581号公報
【特許文献2】特開平06−336427号公報
【特許文献3】特開平07−233061号公報
【特許文献4】特開平09−227388号公報
【特許文献5】特開平10−130153号公報
【特許文献6】特開2000−072680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記環状重合乳酸は、これを服用(摂取)することによって体温の若干の変化が顕われることが知られているが、その服用量、服用後の経過時間、体温の変化の相関について何ら検討がなされていない。従って、これらの相関が、さらに癌細胞の有無と相関があるとの知見や認識が、科学者等にも全くなかった。
【0011】
本発明は前記のような従来の課題に着目してなされたものであり、環状重合乳酸の使用量や使用経過時間と体温との相関から、人体に癌細胞が潜んでいるか否かを簡単に判定できるようにする癌細胞の有無判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的達成のために、本発明にかかる癌細胞の有無判定方法は、液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴または注射し、所定時間経過後における体温の上昇レベルから人体における癌細胞の有無を判定可能にすることを特徴とする。
【0013】
この方法により、環状重合乳酸の注射用製剤の点滴量、注射液量、注射後の経過時間および体温の変化から人体内における癌細胞の有無を、外科的手術を伴わずに簡単、迅速に判定することができる。
【0014】
また、本発明にかかる癌細胞の有無判定方法は、乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化したものを服用し、所定時間経過後における体温の上昇レベルから人体における癌細胞の有無を判定可能にすることを特徴とする。
【0015】
この方法により、環状重合乳酸の服用量、服用後の経過時間および体温の変化から人体内における癌細胞の有無を、外科的手術を伴わずに患者を含む何人も簡単、迅速に判定することができる。
【0016】
さらに、本発明にかかる癌細胞の有無判定方法は、液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴または注射し、あるいは乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化して服用し、所定時間経過後における、体温の上昇レベルとレントゲン撮影とにより人体における癌細胞の有無を判定可能にすることを特徴とする。
【0017】
この方法により環状重合乳酸の注射用製剤を人体に点滴または注射したり、あるいは環状重合乳酸の散剤、錠剤、顆粒などの製剤を服用すると、所定時間経過後には、癌細胞の壊死が発生するため、レントゲン撮影(写真)に鮮明に写し出すことが可能となるので体温の上昇レベルと併用することで癌細胞の有無の判定を確実に向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、環状重合乳酸の使用量や使用経過時間と体温との相関から、又はこれとレントゲン撮影とから人体に癌細胞が潜んでいるか否かを、医師による外科的手法によることなく、看護士や患者自身も簡単に判定できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態による癌細胞の有無判定方法を、詳細に説明する。
実際の使用に供するために、液状の環状重合乳酸を所定の濃度となるように適切な溶媒に無菌的に溶解または懸濁して注射用製剤とする。
【0020】
また、粉剤や錠剤などの経口剤として使用する場合は、乾燥処理した原粉末をそのままの状態でも使用可能であるが、本物質の特性を考慮し、乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、マンニトール、ソルビトール等を添加して固形化する。
【0021】
なお、他の薬理作用物質との混合物として組成された状態にしても、摂取可能である。剤型も散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル、懸濁剤、乳剤などの形態に製剤化でき、また、環状重合乳酸が固化する前にプロピレングリコール等の溶剤に溶解して軟膏とすることもできる。
【0022】
環状重合乳酸は、これを注射液として体内に点滴または注射し、或いは粉末や錠剤として経口服用した場合には、癌細胞がある人体は平熱状態から37℃〜42℃の体温に上昇する。
この発熱現象は、癌細胞が環状重合乳酸に対して反応する時、或いは癌細胞のLDH−K酵素を阻害する条件で、癌細胞の増殖を抑制する作用の中で発生するものと考えられる。
散剤、錠剤および顆粒などの口径服用、および注射製剤として点滴、注射のいずれの方法でもよいが、速効性があり最も効果の発現がよいのは、点滴であり、癌細胞の存在する人体では点滴後5分〜10分で体温の上昇が発現する。続いて注射、服用となる。注射では10〜15分後くらいで体温の上昇が発現し、服用では2〜3日後から体温の上昇が発現する。従って、点滴による方法が、体温上昇が早く発現するし、体温上昇も顕著に発現するので最も好ましい。
【0023】
この発熱現象については、体温が環状重合乳酸の注射量や服用量および経過時間に対する値で計測できるものである。この計測データは実験的、臨床学的に得られるものであり、個人ごとに得られた情報の履歴に基づき計測値である体温から癌細胞の有無を発見することができる。
【0024】
この体温の計測器、例えば体温計には、癌細胞の有り/無しの各表示領域を温度表示領域に並設することで、医師以外の看護士や患者本人が癌細胞の有無を簡単に確認することができる。
【0025】
なお、実験によれば、癌細胞が肥大化している人体ほど体温が高くなり、その体温から癌細胞の進行の程度も推測することが可能になる。小さな癌細胞は経口からの錠剤等の服用によっても発見可能であり、従って、時間と費用がかかる外科的手術を敢えて行う必要がない。
【0026】
一方、肥大化した癌細胞は外科的手術によって除去すればよく、手術後は環状重合乳酸の経口からの服用や点滴、注射によって、癌細胞の転移を防ぐことができる。環状重合乳酸は周知のように癌細胞の増殖抑止作用を持つため、前記転移を有効に回避することができる。
【0027】
液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴または注射したり、又は乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化して経口服用すると、癌細胞が死に至るものが生じ壊死が発生するため、レントゲン撮影(写真)で写りにくい癌細胞を鮮明に写し出すことができる。従って、このことからも癌細胞の有無の判定を容易にすることができるし、体温の上昇レベルとレントゲン撮影(写真)を併用することで、癌細胞の有無の判定を確実に向上させることができる。
【0028】
環状重合乳酸は、研究の結果から致死量が特定できないほど安全な物質であり、健康な体に対する環状重合乳酸の6g/1日の投与後の検査において、経時的に行った聴診、打診、触診、視診など理学的所見にも、また血液一般、生化学的検査や尿・糞便検査値などにも影響を及ぼさないこと、さらに4〜30g/日を3〜5年長期連用した者の諸検査にも全く異常所見を認めていない。
【0029】
また、前記環状重合乳酸の投与後も、食欲、睡眠、体重の変化、性欲など生体の基本的機能には全く影響を及ぼさず、むしろ機能のこう進を思わせる所見が見られることも判明している。この環状重合乳酸についてはこれまでに学会および論文等にて、癌に対して抑制効果があると発表されているが、本発明においては、健康診断等で癌細胞の早期発見および癌の転移を防ぐことができる。また、副作用も皆無に等しく、安全性についても使用上何ら問題がない。
【0030】
環状重合乳酸は人体に無害であるといっても、30g/日を超えても体温上昇の効果に変化がないので、30g/日以下がよく、また、4g/日未満では体温上昇に必要とする効果が少ないので、4g/日以上がよい。従って、環状重合乳酸の1日の投与量は、4g〜30gの範囲でよく、1回の投与量は6g〜10gが好ましい。点滴および注射による投与の場合は、6g〜10gを1回投与するだけで、癌細胞を有する患者は、5分〜15分で体温が上昇するので、癌細胞の有無の判定が可能となる。経口服用の場合は、服用開始から2〜3日で発熱が発現するので、癌細胞の有無の判定には、4g〜30g/日を2〜3日続けて服用する必要がある。
【0031】
<人体への使用例>
A:環状重合乳酸を所定の濃度(例えば、100mg/ml)となるように溶媒(例えば、局方プロピレングリコール)に無菌的に溶解または懸濁し、注射用製剤として人体に使用した場合。
(イ)点滴液量が20cc、点滴後の経過時間が7分で、体温が42℃に達した。この使用者は明らかに癌細胞を持つことが確かめられた。
(ロ)注射液量が20cc、注射後の経過時間が10分で、体温が42℃に達した。この使用者は、明らかに癌細胞を持つことが確かめられた。
(ハ)注射液量が20cc、注射後の経過時間が15分で、体温が38℃に達した。しかし、この使用者は、平熱が36度5分であり、癌細胞を持たないことおよび風邪をひいていることが確認された。
B:環状重合乳酸を散剤としてまたは添加剤を加えて錠剤とし、これを無菌保存したものを経口服用した場合。
(イ)服用量が6g/日、服用後の経過時間が52時間で、体温が40℃に達した。この使用者は、平熱が36℃であり、癌細胞を持つことが確かめられた。
(ロ)服用量が6g/日、服用後の経過時間が60時間で、体温が39℃に達した。この使用者は、平熱が37℃であり、癌細胞を持たず、再検査の結果、別の疾患を持つことが確かめられた。
【0032】
上記のように、本発明によれば、液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴や注射し、或いは乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化して服用して、所定時間経過後における体温の上昇レベルから、またはこれにレントゲン撮影を併用することで、人体における癌細胞の有無を判定可能とすることで、環状重合乳酸の使用量や使用経過時間と体温との相関から、または、これとレントゲン撮影(写真)から、人体に癌細胞が潜んでいるか否かを何人も簡単に判定できることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、環状重合乳酸の使用量や使用経過時間と体温との相関から、またはこれとレントゲン撮影(写真)の併用から人体に癌細胞が潜んでいるか否かを、医師による外科的手法を用いずに、看護士や患者自身も簡単に判定できるという効果を有し、ヒト癌由来の癌細胞の有無を簡易手法で判定するための癌細胞の有無判定方法等に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴または注射し、所定時間経過後における体温の上昇レベルから人体における癌細胞の有無を判定可能にすることを特徴とする癌細胞の有無判定方法。
【請求項2】
乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化して服用し、所定時間経過後における体温の上昇レベルから人体における癌細胞の有無を判定可能にすることを特徴とする癌細胞の有無判定方法。
【請求項3】
液状の環状重合乳酸を所定の溶媒に無菌的に溶解または懸濁した注射用製剤として人体に点滴または注射し、あるいは乾燥した環状重合乳酸の粉末に添加物を混合し散剤、錠剤、顆粒などの形態に製剤化して服用し、所定時間経過後における、体温の上昇レベルとレントゲン撮影とにより人体における癌細胞の有無を判定可能にすることを特徴とする癌細胞の有無判定方法。

【公開番号】特開2009−143844(P2009−143844A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322885(P2007−322885)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(507411073)
【出願人】(507410814)
【Fターム(参考)】