説明

発光傘

【課題】 発光量が十分で、漏電の心配がなく、耐久性にも優れる発光傘を提供する。
【解決手段】 シャフト11、該シャフト11の一端に開閉自在に設けられた複数本の骨14、該シャフト11の他端に設けられた持ち手12、該骨14間に張られた膜体15および該膜体15に添って配線された複数本のテープ心線Tから構成された発光傘であって、該テープ心線Tは、光ファイバFと支持線Mとを樹脂Cで被覆したものであり、該光ファイバFは、側面に漏光処理された発光部Lを有することを特徴とする発光傘。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は発光傘に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、傘をさしている歩行者は夜間に自動車から認識しづらく、傘をさしていることが交通安全上問題となることがあった。
【0003】
傘の表面に蛍光塗料を塗ったり、反射テープを貼着したりして、傘を発光させて認識しやすくすることも考えられるが、いずれも外部から強い光を当てなければ発光量が十分とはいえなかった。
【0004】
また、電気的に傘を発光させる技術も知られているが、雨による漏電の心配があった。漏電しない光ファイバを用いて傘を発光させる技術も知られているが(例えば、特許文献1を参照)、光ファイバは外部からの力に弱く、例えば強風時に破損しやすいなど耐久性に問題点を有していた。
【0005】
【特許文献1】特開平10−052304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とする処は、発光量が十分で、漏電の心配がなく、耐久性にも優れる発光傘を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)シャフト、該シャフトの一端に開閉自在に設けられた複数本の骨、該シャフトの他端に設けられた持ち手、該骨間に張られた膜体および該膜体に添って配線された複数本のテープ心線から構成された発光傘であって、該テープ心線は、光ファイバと支持線とを樹脂で被覆したものであり、該光ファイバは、側面に漏光処理された発光部を有することを特徴とする発光傘。
(2)前記テープ心線の一端には光源が設けられていることを特徴とする前記(1)記載の発光傘。
(3)前記支持線は、金属線であることを特徴とする前記(1)記載の発光傘。
(4)前記樹脂は、蛍光材、蓄光材、反射材のいずれかを含むことを特徴とする前記(1)記載の発光傘。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光量が十分で、漏電の心配がなく、耐久性にも優れる発光傘を提供することができる。
また、樹脂に蛍光塗料等を混ぜることで、さらに発光量に優れる発光傘を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施形態1)
まず、図1〜図3を用いて実施形態1を説明する。
図1は実施形態1の発光傘の正面図、図2は実施形態1の発光傘の平面図、図3(a)はテープ心線の拡大平面図、(b)はテープ心線の拡大正面図である。
10は発光傘、11はシャフト、12は持ち手、13は石突、14は骨、15は膜体、Cは樹脂、Fは光ファイバ、Lは発光部、Mは支持線、Tはテープ心線である。
図1および図2に示すように、実施形態1の発光傘10は、中棒であるシャフト11、該シャフト11の一端に開閉自在に設けられた複数本の骨14、該シャフト11の他端に設けられた持ち手12、該骨14間に張られた膜体15および該膜体15に添って配線された複数本のテープ心線Tから構成される。
【0010】
テープ心線Tは、必ずしも骨14に添って配線する必要はないが、骨14に添って配線することが耐久性の観点から好ましい。なお、四方から視認できるようにテープ心線Tは4本以上配線することが好ましい。
また、テープ心線は、通常、膜体15の外側に配設する必要があるが、膜体15が透明若しくは半透明の場合は膜体15の内側に配設することもできる。
テープ心線Tの一端には図示していない光源が設けられている。
当該光源は電源と共に石突13内や傘の内側等に適宜設けることができる。
なお、用いる光源に特に制限はないが、LED、白熱電球、高圧放電灯等の点光源や、蛍光灯、冷陰極ランプ等の線光源を用いることができ、その発光色、発光量、発光時間等は適宜選択又は制御することができる。その中でも消費電力の少ないLEDが好ましい。
また、各テープ心線T毎に光源を設けてもよいが、各テープ心線Tを束ねて1つの光源に接続してもよい。
【0011】
図3に示すように、テープ心線Tは、光ファイバFと支持線Mとを樹脂Cで被覆したものである。
光ファイバFは、側面に漏光処理された発光部Lを有する。
発光部Lはいかなる方法で作製してもよいが、光ファイバF表面を傷付けることで簡単に作製できる。
すなわち、加熱手段により溶融変形させたり、レーザ加工により溝を形成したりすることで発光部Lを形成できる。
また、光ファイバを延伸させたり、急激な曲げ、ねじりによりファイバ表面を変形させて作製してもかまわない。
テープ心線Tは、光ファイバFと支持線Mとを並べておき、樹脂Cを塗布して乾燥させることで作製できる。
光ファイバFと支持線Mを並列させ、樹脂Cで被覆することで、光ファイバFを保護し、耐久性を向上させることができる。
また、支持線Mをも保護し、錆び等を防ぐことができる。
【0012】
以上のような発光傘10は、光源から出射された光が光ファイバ内を伝送され、図1および図2に示すように、その一部は側面の発光部Lから漏光する。また、残りの光は光ファイバの先端から出射する。
【0013】
本発明に用いる光ファイバFとしては、発光部Lを設けやすいポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)やポリエチルメタクリレート樹脂(PEMA)からなるプラスチックファイバが好ましい。なお、光ファイバFは外周にアクリル系樹脂やフッ素系含有樹脂等の被覆を施し、表面を強化、保護しても良い。
【0014】
本発明に用いる支持線Mとしては、屈曲やねじれに対して形状を維持することができるものが好ましく、具体的には金属線、樹脂線等を挙げることができる。
例えば金属線として、アルミ線、針金、エナメル銅線、ピアノ線、銅線、タフピッチ鋼線、無酸素銅線、丹銅線、黄銅線、りん青銅線、すず入り銅線、銀入り銅線、ステンレス線、ニッケル線、真鍮線、めっき線、形状記憶合金線等を用いることができる。その中でもさびにくい材料で、柔軟性があり、汎用性のある、針金やエナメル銅線を使用するのがより好ましい。なお、着色塗料やさび止め、接着剤等の塗工液を塗布したものを用いてもかまわない。
また樹脂線として、エステル系ウレタン樹脂、ポリイミド、フェノール、ポリスチレン、ポリエチレン等の可塑性の高い樹脂素材の線や、架橋または部分結晶化された固定相と可逆相が混在しており、熱やpH変化、電気刺激、光刺激などによって形状を再生するポリエステル、ポリウレタン、スチレン・ブタジエン、ポリノルボルネン、トランスポリイソプレン等の形状記憶樹脂が本発明に適用される。
【0015】
本発明に用いる樹脂Cとしては、光を透過し、光ファイバ及び支持線と接着し、被覆することができればいずれのものでもよく、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーンゴム、スチレンブタジエン系ゴム、クロロプレンゴム等を用いることができる。中でも耐環境特性、防水性に優れるシリコーンゴムが好ましい。
【0016】
本発明に用いる膜体15としては、ナイロンやポリエステル等からなる防水布、遮光及び紫外線の遮断効果が高いシート材、刺繍や柄等が入った装飾性の高いシート材(織物等)等を用いることが好ましい。
【0017】
(実施形態2)
次に、図4を用いて実施形態2を説明する。
図4は実施形態2の発光傘の正面図である。
10′は実施形態2の発光傘、T′は実施形態2のテープ心線である。
その他の構成は実施形態1と同一なので詳細な説明を省略する。
図4に示すように、実施形態2の発光傘10′は、発光部Lだけでなくテープ心線T′全体が発光する。
これは、テープ心線T′の樹脂に、蛍光材、蓄光材、反射材のいずれか、または複数を含むことで達成できる。
このような樹脂を用いることで、光ファイバ等を保護するだけでなく、発光量を増やすことができる。
【0018】
(他の実施形態)
なお、他の実施形態として、テープ心線の配線、発光部の配置を変更することで文字や絵を浮かび上がらせたり、テープ心線の先端に発光体を設けたりすることができる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、光源と光ファイバを用いることで発光量が十分で、電気配線に代えて光ファイバを用いることで漏電の心配がなく、光ファイバをテープ心線として用いることで耐久性にも優れる発光傘を提供することができる。
また、樹脂に蛍光塗料等を混ぜることで、さらに発光量に優れる発光傘を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態1の発光傘の正面図
【図2】実施形態1の発光傘の平面図
【図3】(a)はテープ心線の拡大平面図、(b)はテープ心線の拡大正面図
【図4】実施形態2の発光傘の正面図
【符号の説明】
【0021】
10 発光傘
11 シャフト
12 持ち手
13 石突
14 骨
15 膜体
C 樹脂
F 光ファイバ
L 発光部
M 支持線
T テープ心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト、該シャフトの一端に開閉自在に設けられた複数本の骨、該シャフトの他端に設けられた持ち手、該骨間に張られた膜体および該膜体に添って配線された複数本のテープ心線から構成された発光傘であって、
該テープ心線は、光ファイバと支持線とを樹脂で被覆したものであり、
該光ファイバは、側面に漏光処理された発光部を有することを特徴とする発光傘。
【請求項2】
前記テープ心線の一端には光源が設けられていることを特徴とする請求項1記載の発光傘。
【請求項3】
前記支持線は、金属線であることを特徴とする請求項1記載の発光傘。
【請求項4】
前記樹脂は、蛍光材、蓄光材、反射材のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の発光傘。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−5275(P2010−5275A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170668(P2008−170668)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】