説明

発光装置及び発光装置の製造方法

【課題】LEDの寸法公差に関係なく、LEDの発光面を容易に導光板に当接させる。
【解決手段】発光装置1は、ケース5と、ケース5内に収容される光源32と、ケース5内に収容され、一側部に第一の面23aを有した孔22が設けられた導光板2と、孔22の第一の面23aに対向する第二の面41側に設けられた反力受け部4と、を備え、光源32を孔22に収容すると、反力受け部4が押し潰されることによって光源32の発光面32aが第一の面23aに接触して挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のバックライトに用いられる発光装置と、その発光装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源の発光面と導光板とが離れてしまうと、輝度が低下してしまうという問題がある。これを防ぐため、従来の発光装置においては、LED固定板(3)に穿孔された固定部(6)及び、LED実装基板(4)に形成された穿孔部(13)にLED(2)を嵌め込み、固定板の平滑面(7)とLEDの発光面(8)を面一にした状態で、平滑面の上に導光板(レンズ体(1))を取り付けていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−016197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、LEDを製造する際には、その寸法に公差が生じる。LEDの寸法が穿孔部や固定部の寸法よりも大きくなった場合、LEDを穿孔部や固定部に嵌め込むことが困難となる。逆に、LEDの寸法が穿孔部や固定部の寸法よりも小さくなった場合、LEDが固定部から動いてしまい、LED実装基板の固定や導光板の取り付けが困難となる。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、LEDの寸法公差に関係なく、LEDの発光面を容易に導光板に接触させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様によれば、
ケースと、
前記ケース内に収容される光源と、
前記ケース内に収容され、一側部に第一の面を有した孔が設けられた導光板と、
前記孔の前記第一の面に対向する第二の面側に設けられた反力受け部と、を備え、
前記光源を前記孔に収容すると、前記反力受け部が押し潰されることによって前記光源の発光面が前記第一の面に接触して挟持されることを特徴とする発光装置が提供される。
【0006】
好ましくは、前記孔における前記第一の面と前記第二の面以外の側面にも更に反力受け部を備えている。
好ましくは、前記孔は複数設けられ、1つの前記孔につき1つ以上の前記光源が収容されている。
好ましくは、前記孔は、矩形状である。
好ましくは、前記反力受け部は、前記孔に取り付けられた弾性体である。
好ましくは、前記弾性体は、前記導光板と一体成型されている。
好ましくは、前記反力受け部は、前記孔の内面に設けられ、前記光源に向かって尖った先端部を有する。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
導光板に孔を形成するとともに前記孔の内面に光を導入する第一の面を設け、前記孔の内面であって前記第一の面と対向する第二の面側に反力受け部を設け、光源を前記第一の面と前記反力受け部との間に嵌め込むとともに、前記反力受け部が前記光源と前記孔の内面とで押しつぶされ、前記光源の発光面が前記第一の面に接触して把持された状態とすることを特徴とする発光装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源の寸法公差が基準寸法より大きくても小さくても、その公差に合わせて樹脂部材が圧縮され、光源が導光板の入射面と樹脂部材とに挟持された状態となる。このため、光源の発光面を容易に入射面に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態における発光装置を示した正面図である。
【図2】同実施形態における導光板を示した正面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示した図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】図1のV−V断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態における発光装置の一部を拡大して示した正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態における発光装置を示した正面図である。
【図8】同実施形態の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
<第1実施形態>
まず、発光装置1の構成について説明する。
図1は、発光装置1の正面図である。この発光装置1は、導光板2と、導光板2の一側部に取り付けられたLEDユニット3と、導光板2及びLEDユニット3を収納するケース5を備えている。LEDユニット3は、FPC基板31と、FPC基板31の上に複数実装されたLED32とで構成されている。FPC基板31は、帯状の実装部31aと、実装部31aの一側部から延びる延出部31bと、延出部31bの先端に設けられ、図示しない電子機器に接続される端子31cとを有している。LED32は、導光板2に光を供給する光源であり、図1の方向から見て略矩形状をした部材である。LED32は、発光面32a(図5に図示)を有している。LED32は、実装部31aの長手方向に沿って一列に、且つ等間隔に並べられている。
【0012】
図2は導光板2の正面図である。導光板2は、LED32から導入した光を面状にして射出するものである。導光板2は、透明なアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料によって略矩形の板状に形成されている。導光板2の中央部は略矩形の反射部21となっている。反射部21の背面には、入射光を乱反射させるための微細な溝または半円上の凹部が無数に形成されている。導光板2の一側部には、LED32を嵌め込むための孔22が複数形成されている。孔22は、反射部21の一辺に沿って一列に、且つ等間隔に並べて形成されている。隣り合う二つの孔22の間隔は、隣り合う二つのLED32の間隔と等しくなっている。
以下、導光板2の孔22よりも反射部21の側を本体23、それ以外の部分を側辺部24と称する。側辺部24は、孔22よりも導光板2の外側の部分である周囲部25と、本体23と周囲部25を繋ぐ連結部26とからなる。側辺部24は、周囲部25の左右両端から連結部26を入射面23aの方向にそれぞれ延ばした形状をしており、入射面23aの方向に開放されている。
【0013】
図3は、図2の円で囲んだ部分を拡大して示した図であり、図4は、図2のIV−IV断面図である。図3に示すように、孔22は、導光板2の厚さ方向(図3の紙面に垂直な方向)に沿って形成されている。図3の方向から見た孔22の形状は、図1の方向から見たLED32よりも一回り大きな矩形となっている。孔22の内面であって本体23の側面は、LED32の発光面32aから出射した光を導光板2へと導入する入射面23aとなっている。
【0014】
孔22の中には樹脂部材4が一体成型されている。樹脂部材4はゴム等の弾性体で形成され、弾性を有している。樹脂部材4は、周囲部25の側面25aに沿って形成された背後面41、及び連結部26の側面26a,26bに沿って形成された側部42,43からなり、図3に示す方向から見て入射面23aの方向に開放されたU字状となっている。背後面41は、図4に示すように、側面25aと平行且つその奥行きが導光板2の厚さと等しくなるよう形成されている。図示しないが、側部42,43も同様に形成されている。入射面23aと背後面41とは所定間隔を空けて互いに対向している。入射面23aと背後面41との距離は、図1の方向から見たLED32の短手方向の幅よりも短く、側部42と側部43との距離は、図1の方向から見たLED32の長手方向の幅より短くなっている。なお、実験的、理論的或いは経験的に、LED32の寸法にはばらつきが生じることが推測される。このため、入射面23aと背後面41との距離、及び側部42と側部43との距離は、推測される中で最も小さく製造されるLED32の寸法を基準として設計することが好ましい。
【0015】
図5は、図1のV−V断面図である。LEDユニット3が導光板2に取り付けられると、FPC31の実装部31aと導光板2の背面とが両面テープで接着される。そして、LED32が孔22に嵌め込まれる。すると、周囲部25及び連結部26によって、LED32及び樹脂部材4が覆われる。すると、樹脂部材4の背後面41が反力受け部として機能し、図5に示すようにしてLED32と周囲部25の側面25aとで圧縮される。そして、LED32の発光面32aが背後面41の弾性力によって入射面23aの方向へと押し付けられる。また、樹脂部材4の側部42,43が反力受け部として機能し、LED32と連結部26の側面26a,26bとで圧縮される。そして、LED32が側部42,43の弾性力によって側面26a,26bの方向へ押される。このようにして発光装置1が構成されている。
【0016】
次に、発光装置1の製造方法について説明する。
始めに、導光板2を製造する。略矩形状に窪み、その窪みの一端部に四角柱形の突起が複数形成された金型を作り、そこにアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の樹脂材料を流し込む。樹脂材料が固化すると一側部に孔22が形成された樹脂板ができる。次に、略矩形状に窪み、初めの金型と同じ位置に初めの金型より細い四角柱形の突起が複数形成された金型を作り、そこに製作した樹脂板をはめ込む。金型の突部と樹脂板の孔22の間にできるU字状の隙間にゴムを流し込む。ゴムが固まると孔22に樹脂部材4が一体成型される。樹脂板の背面にレーザ加工等により反射部21を形成する。こうして導光板2が出来上がる。
【0017】
次に、導光板2にLEDユニット3を取り付ける。導光板2背面の孔22の周囲に両面テープを貼り付ける。そして、LEDユニット3のLED32を対応する孔22にそれぞれ押し込む。すると、樹脂部材4が反力受け部として機能し、樹脂部材4がLED32に押し潰され、孔22の中にLED32が入り込む。LED32が孔22に最後まで嵌め込まれると、実装部31aと導光板2の背面が接着される。こうして発光装置1が出来上がる。
【0018】
本発明によれば、LED32の寸法公差が基準寸法より大きくても小さくても、その公差に合わせて樹脂部材4の背後面41が圧縮され、LED32が導光板2の入射面23aと背後面41とに挟持された状態となる。このため、LED32の発光面32aを容易に入射面23aに接触させることができるという効果を奏する。
更に、連結部26とLED32との間に樹脂部材4の側部42,43を介在させることにより、LED32の連結部26の側面26a,26bの方向への動きを規制できるという効果も奏する。
更に、樹脂部材4をゴム等の弾性体によって形成することにより、弾性体の弾性力によってLED32が導光板2の方向に押し付けられ、LED32がより確実に入射面23aに接触するという効果も奏する。
【0019】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態における導光板102の一部(図2の円で囲んだ部分)を拡大して示したものである。本実施形態は、導光板102の孔122の形状が第1実施形態と異なっているが、LEDユニット3やケース5等の他の構成は第1実施形態と同様である。なお、図6ではLEDユニット3及びケース5の図示は省略する。
【0020】
導光板102に形成された孔122の内面には、複数の尖った突起が設けられている。突起は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料で導光板102の側辺部124とそれぞれ一体に形成されており、弾性を有していない。突起は、周囲部125の側部に形成された背後面141と、連結部126の側部に形成された側部142,143とからなる。背後面141の先端部141aは入射面123aの方向に向き、側部142の先端部142aと側部143の先端部143aは互いに向き合っている。入射面123aと先端部141aの距離は、LED32の短手方向幅より短く、先端部142aと先端部143aとの距離は、LED32の長手方向の幅より短くなっている。このようにして発光装置101が構成されている。
【0021】
先端部141a、142a,143aは、尖っているために導光板102の本体123や側辺部124に比べて脆くなっている。このため、先端部141a、142a,143aが反力受け部として機能し、孔122にLED32を押し込むと、LED32によって先端部141a,142a,143aが押し潰され、LED32が、入射面123aと先端部141aとで挟持されるとともに、先端部142aと先端部143aとでも挟持される。
【0022】
本実施形態によれば、突起が弾性を有していないので、LED32の発光面32aが入射面123aに接触した状態でLED32を導光板102に固定することができるという効果を奏する。また、樹脂部材104を導光板102と一体に形成することで、導光板102の製作工程を減らすことができるという効果も奏する。
【0023】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態における発光装置201の正面図である。本実施形態は、導光板202の形状が第1実施形態と異なっているが、LEDユニット3やケース5等の構成は第1実施形態と同様である。なお、図7でもLEDユニット3及びケース5の図示を省略する。
【0024】
導光板202の一側部には、面方向に突出する凸部226が等間隔に複数形成されている。隣り合う二つの凸部226の間隔は、寸法のばらつきが推測される中で最も大きく製造されるLED32の長手方向の幅よりも長くなっている。本体223の側面であって隣り合う二つの凸部226の間は、入射面223aとなっている。ケース205は、周囲に側壁251が形成された略矩形トレー状の部材である。樹脂部材204は、ゴム等の弾性体で棒状に形成されている。
【0025】
導光板202は、ケース205に収納されると共にケース205に固定される。そして、入射面223aは側壁(背後面)251と所定の間隔を空けて対向する。樹脂部材204は、凸部226の先端と側壁251の内面251aとの間に挟みこまれる。そして、入射面223a、凸部226及び樹脂部材204で囲まれる空間(孔)222が等間隔に複数形成される。空間222内において、入射面223aと樹脂部材204との距離は、LED32の短手方向の幅より短い。
【0026】
LEDユニット3は、導光板202の表側から取り付けられる。LEDユニット3が導光板202に取り付けられると、FPC31の実装部31aと導光板202の正面とが両面テープで接着される。そして、LED32が空間222に嵌め込まれる。すると、樹脂部材204が反力受け部として機能する。即ち、樹脂部材204がLED32と側壁251の内面251aとで押し潰されて圧縮される。そして、LED32の発光面32aが樹脂部材204の弾性力によって入射面223aの方向へと押し付けられる。このようにして発光装置201が構成されている。
【0027】
(第3実施形態の変形例)
図8は、第3実施形態の変形例を示した図である。本変形例では、樹脂部材204の形状が異なっている。樹脂部材204は、棒状の背後面241及び背後面241に複数形成された凸部242からなる。隣り合う二つの凸部242の間隔は、狭い箇所と広い箇所が交互になっている。狭い箇所の間隔は、凸部226の太さとほぼ等しく、広い箇所の間隔は、LED32の長手方向の幅より短くなっている。導光板202と共にケース205に収納された樹脂部材204は、背後面241が凸部226と側壁251との間に挟み込まれ、凸部242が凸部226を挟み込んでいる。そして、入射面223a、凸部242及び背後面241で囲まれる空間(孔)222が等間隔に複数形成される。
【0028】
この空間222にLED32が嵌め込まれると、背後面241及び凸部242が反力受け部として機能する。即ち、背後面241がLED32と側壁251の内面251aとで押し潰されて圧縮される。そして、LED32の発光面32aが背後面241の弾性力によって入射面223aの方向へと押し付けられる。また、凸部242がLED32と凸部226とで圧縮される。そして、LED32が凸部242の弾性力によって左右から押される。
【0029】
本実施形態によれば、樹脂部材204以外は従来の部品を用いることが可能で、更に容易にLEDを接触させることができるという効果を奏する。
【0030】
なお、樹脂部材はLEDと周囲部とに挟まれる部分と、LEDと連結部とに挟まれる部分とで分かれていてもよい。
また、樹脂部材を一体成型せずに、導光板とは別に製造し、後から導光板に取り付けてもよい。
また、樹脂部材以外にも、圧縮可能な部材であれば何でも用いることができる。
また、第3実施形態において、LEDユニット3を先に導光板202に取り付けておき、後から樹脂部材204を詰めてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1,101,201 発光装置
2,102,202 導光板
23a,123a,223a 入射面(第1の面)
25,125 周囲部
26,126 連結部
3 LEDユニット
32 LED(光源)
32a 発光面
4,104,204 樹脂部材(反力受け部)
141a、142a、143a先端部(反力受け部)
226 凸部(反力受け部)
5,205 ケース
251 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に収容される光源と、
前記ケース内に収容され、一側部に第一の面を有した孔が設けられた導光板と、
前記孔の前記第一の面に対向する第二の面側に設けられた反力受け部と、を備え、
前記光源を前記孔に収容すると、前記反力受け部が押し潰されることによって前記光源の発光面が前記第一の面に接触して挟持されることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記孔における前記第一の面と前記第二の面以外の側面にも更に反力受け部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記孔は複数設けられ、1つの前記孔につき1つ以上の前記光源が収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記孔は、矩形状であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記反力受け部は、前記孔に取り付けられた弾性体であることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記弾性体は、前記導光板と一体成型されていることを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記反力受け部は、前記孔の内面に設けられ、前記光源に向かって尖った先端部を有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
導光板に孔を形成するとともに前記孔の内面に光を導入する第一の面を設け、前記孔の内面であって前記第一の面と対向する第二の面側に反力受け部を設け、光源を前記第一の面と前記反力受け部との間に嵌め込むとともに、前記反力受け部が前記光源と前記孔の内面とで押しつぶされ、前記光源の発光面が前記第一の面に接触して把持された状態とすることを特徴とする発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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