説明

発券装置

【課題】 周囲環境による影響を受けずに適正な搬送を行うことができ、しかも、迅速な発券を行うことのできる発券装置を提供する。
【解決手段】 第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3に位置するロール紙を搬送するロール紙供給ローラ4と、ロール紙供給ローラ4の搬送方向下流側に設置された搬送ローラ11と、ロール紙供給ローラ4および搬送ローラ11を回転駆動させる1つの搬送駆動モータ29と、搬送駆動モータ29の回転駆動力をロール紙供給ローラ4に伝達する電磁クラッチ5と、切断機構により切断されたカードを待機させる待機部19と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発券装置に係り、特に、例えば、駐車場の駐車券発行装置などに好適であり、異なる種類のカードを発券することを可能とした発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、駐車場などにおいて、駐車券などのカードを発券装置では、種類の異なる券、例えば、磁気情報が記録された磁気券(駐車券など) と、磁気情報が記録されない普通紙券(領収書など)とが、同一の発券装置で発行される場合がある。異なる種類の券を発行するためには、券種に対応した異なる種類のロール紙を装置内に準備しておき、各ロール紙を用いてそれぞれの券を発行するようになっている。
【0003】
このような発券装置としては、例えば、異なる種類のロール紙を搬送する第1搬送面と第2搬送面とを備えるとともに、これら各第1搬送面と第2搬送論との間に、搬送ローラを設置し、搬送ローラをワンウェイクラッチ機構を介して回転駆動させることにより、第1搬送面に位置するロール紙と第2搬送面に位置するロール紙とを任意に搬送することができるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3600376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明によれば、搬送ローラをワンウェイクラッチ機構を介して回転駆動させるものであるため、ロール紙を搬送する際に、ロール紙が周囲の使用環境で湿気を帯びた場合や、厚さが薄く腰のないロール紙を用いた場合に、ロール紙に皺が生じるなどの変形により、適正な搬送を行うことができなくなるおそれがあるという問題を有している。
【0006】
また、利用者の要求があってから、ロール紙を搬送し、所定の長さに切断してカード状にした後に、発券するものであることから、カードの発券に時間がかかり、迅速な発券を行うことができないという問題を有している。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、周囲環境による影響を受けずに適正な搬送を行うことができ、しかも、迅速な発券を行うことのできる発券装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、第1ロール紙搬送路と第2ロール紙搬送路との間に設置され、前記第1ロール紙搬送路および前記第2ロール紙搬送路に位置するロール紙を搬送するロール紙供給ローラと、
前記ロール紙供給ローラの搬送方向下流側に設置された搬送ローラと、
前記ロール紙供給ローラおよび前記搬送ローラを回転駆動させる1つの搬送駆動モータと、
前記搬送駆動モータの回転駆動力を前記ロール紙供給ローラに伝達する電磁クラッチと、
前記ロール紙を切断してカードを形成する切断機構と、
前記切断機構により切断された前記カードを待機させる待機部と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記搬送ローラと同期して回転駆動され、前記搬送ローラが前記ロール紙の搬送方向と逆方向に回転駆動されているときに、逆方向に回転駆動されて前記ロール紙を搬送する逆転搬送ローラを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記搬送ローラおよび前記逆転搬送ローラのいずれにより前記ロール紙を搬送するかを切り換える切換え機構を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3において、前記待機部は、前記搬送ローラおよび前記逆転搬送ローラの配置位置に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、1つの搬送駆動モータにより、電磁クラッチを介してロール紙供給ローラを回転駆動させることにより、第1ロール紙搬送路および第2ロール紙搬送路に位置するロール紙を搬送するようにしているので、周囲環境による影響を受けずに、確実にロール紙を搬送することができる。また、切断機構により切断されたカードを待機させる待機を設けるようにしているので、利用者から要求があった場合に、既に切断されて待機しているカードを搬送することにより、迅速にカードの発券を行うことができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、搬送ローラがロール紙の搬送方向と逆方向に回転駆動されているときに、逆方向に回転駆動されてロール紙を搬送する逆転搬送ローラを備えているので、1つの搬送駆動モータにより搬送する場合であっても、第1ロール紙搬送路および第2ロール紙搬送路に位置するロール紙を確実に搬送することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、搬送ローラおよび逆転搬送ローラのいずれによりロール紙を搬送するかを切り換える切換え機構を備えているので、第1ロール紙搬送路または第2ロール紙搬送路のいずれに位置するロール紙を搬送する場合であっても、確実に搬送することができる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、待機部を搬送ローラおよび逆転搬送ローラの配置位置に設けるようにしているので、搬送ローラまたは逆転搬送ローラによりカードを保持した状態で待機させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る発券装置の実施形態の内部構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る発券装置の実施形態の駆動機構を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る発券装置にカード処理装置が連結された状態を示す概略構成図である。
【図4】本発明に係る発券装置およびカード処理装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る発券装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る発券装置の実施形態を示す概略構成図である。発券装置本体1の下方には、上下方向に延在する第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3がそれぞれ形成されており、発券装置本体1の下方に設置された図示しないロール紙がこれら各第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3に供給されるように構成されている。なお、これら各第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3には、同一種類のロール紙を供給するようにしてもよいし、異なる種類のロール紙を供給するようにしてもよい。
【0019】
各第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3の間には、ロール紙供給ローラ4が回転駆動自在に配設されており、このロール紙供給ローラ4には、電磁クラッチ5を介して回転駆動力が伝達されるようになっている。そして、この電磁クラッチ5を切り換えることにより、ロール紙供給ローラ4を両方向に任意に回転駆動させるとともに、回転力を伝達させないようにすることができるように構成されている。ロール紙供給ローラ4の両側には、第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3を挟んで圧接される圧接ローラ6,6が配設されている。
【0020】
第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3は、上方において、互いの間隔が狭くなるようにテーパ状に形成されており、この第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3のテーパ部分の間には、下部搬送ローラ7が回転駆動自在に配設されている。下部搬送ローラ7には、電磁クラッチ8を介して回転駆動力が伝達されるようになっており、下部搬送ローラ7の両側には、第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3を挟んで圧接される圧接ローラ9,9が配設されている。
【0021】
発券装置本体1の上方一側には、ロール紙を排出するカード排出口10が形成されており、このカード排出口10の近傍には、搬送ローラとしての上部搬送ローラ11が回転駆動自在に配設されている。上部搬送ローラ11には、電磁クラッチ12を介して回転駆動力が伝達されるようになっており、上部搬送ローラ11には、この上部搬送ローラ11に圧接される圧接ローラ13が配設されている。上部搬送ローラ11の下方には、保持ローラ14が回転自在に配設されている。
【0022】
上部搬送ローラ11の近傍には、切り換え機構としての逆転搬送用ソレノイド15が配設されており、逆転搬送用ソレノイド15には、逆転揺動レバー16の一端部が連結されている。逆転揺動レバー16の他端部には、逆転搬送ローラ17が回転自在に軸支されている。上部搬送ローラ11と逆転搬送ローラ17との間には、駆動ベルト18が掛け渡されており、逆転搬送ローラ17は、上部搬送ローラ11の回転駆動により、同一方向に回転駆動されるように構成されている。また、逆転搬送用ソレノイド15の駆動により、逆転揺動レバー16が揺動され、これにより、逆転搬送ローラ17が、保持ローラ14に対して接離動作できるように構成されている。このとき、上部搬送ローラ11は、逆転搬送ローラ17が保持ローラ14に対して接している状態または離隔している状態のいずれの状態においても、圧接ローラ13と圧接状態に保持されている。本実施形態においては、上部搬送ローラ11および逆転搬送ローラ17の設置位置が、待機部19とされている。
【0023】
上部搬送ローラ11の上方には、ロール紙を排出するカード排出口10に連通し、発券装置本体1の上方に傾斜して延在する待機路20が形成されており、この待機路20の下方には、待機ローラ21が回転駆動自在に配設されている。待機ローラ21には、電磁クラッチ22を介して回転駆動力が伝達されるようになっており、待機ローラ21の上方には、この待機ローラ21に圧接される圧接ローラ23が配設されている。なお、この待機路20は、発券装置が後述するカード処理装置に連結された際に、カード処理装置から送られるカードが待機する場所として機能するものであり、発券装置単体で使用する場合には、必ずしも必要ではない。
【0024】
また、保持ローラ14と下部搬送ローラ7との間には、ロール紙を切断してカードを形成するロータリカッタ24が配設されており、ロータリカッタ24の近傍には、カット用モータ25が配設されている。カット用モータ25とロータリカッタ24とは、カット用モータ25の回転駆動によりロータリカッタ24を回転駆動させるためのカッタクランク26により連結されている。
【0025】
さらに、保持ローラ14の上方近傍には、ロール紙の有無を検出するモータ逆転用センサ27が配設されており、上部搬送ローラ11の上方近傍には、ロール紙の有無を検出するカットセンサ28が配設されている。
【0026】
また、図2に示すように、発券装置本体1の下方には、搬送駆動モータ29が配設されており、ロール紙供給ローラ4には、給紙ローラ用タイミングプーリ30が同軸状に取付けられている。発券装置本体1の中央付近には、中央タイミングプーリ31が回転自在に配設されており、搬送駆動モータ29、給紙ローラ用タイミングプーリ30および中央タイミングプーリ31の間には、タイミングベルト32が掛け渡されている。また、発券装置本体1の上部には、上部タイミングプーリ33が回転自在に配設されており、中央タイミングプーリ31と上部タイミングプーリ33との間には、タイミングベルト34が掛け渡されている。
【0027】
中央タイミングプーリ31の外周には、ギアが形成されており、この中央タイミングプーリ31のギアには、伝達ギア35を介して下部搬送ローラ7の電磁クラッチ8のギアが噛合されている。また、上部タイミングプーリ33の外周には、ギアが形成されており、この上部タイミングプーリ33のギアには、上部搬送ローラ11の電磁クラッチ12のギアが噛合されている。さらに、上部タイミングプーリ33のギアには、待機ローラ21の電磁クラッチ22のギアが噛合されている。このように本実施形態においては、搬送駆動モータ29の回転駆動により、ロール紙供給ローラ4、下部搬送ローラ7、上部搬送ローラ11および待機ローラ21が回転駆動されるようになっている。そして、各電磁クラッチ8,12,22は、ON状態で、搬送駆動モータ29の回転駆動力をロール紙供給ローラ4、下部搬送ローラ7および上部搬送ローラ11にそれぞれ伝達することができるようになっており、電磁クラッチ8,12,22をOFFにすることにより、搬送駆動モータ29の回転駆動力を伝達しないように構成されている。なお、電磁クラッチONとは、電流を流すことでクラッチをつなぐことを意味し、電磁クラッチOFFとは電流の流れを止めることでクラッチを切ることを意味している。
【0028】
また、本実施形態においては、前述の発券装置は、例えば、駐車場の発券装置として利用されるものであり、この場合には、図3に示すように、発券装置にカード処理装置が連結されて用いられるようになっている。
【0029】
次に、このカード処理装置について説明する。
【0030】
カード処理装置の処理装置本体40の一端面には、発券装置のカード排出口10に連通するカード搬送口41が処理装置本体40の他端面には、カードを取出すためのカード取り出し口42が形成されている。
【0031】
処理装置本体40の内部には、カード搬送口41からカード取り出し口42に向かって直線状に延在する主搬送路43が形成されており、処理装置本体40の内部のカード搬送口41寄りには、主搬送路43から処理装置本体40の下方に向かって分岐する待機路44が形成されている。この待機路44の下端部は、第1カード回収口45に連通しており、待機路44には、処理装置本体40の下面に沿って延在し、第2カード回収口46に連通する回収路47が形成されている。
【0032】
主搬送路43のカード搬送口41の近傍およびカード取り出し口42の近傍には、主搬送路43の下方に位置する搬送ローラ48が図示しない駆動モータにより回転駆動自在に配設されており、これら各搬送ローラ48,48には、主搬送路43の上方に位置し搬送ローラ48にそれぞれ圧接される圧接ローラ49,49が配設されている。
【0033】
また、主搬送路43、待機路44および回収路に沿って搬送用プーリ50,50…に掛け渡された搬送ベルト51が配設されており、この搬送ベルト51により、主搬送路43、待機路44および回収路47に位置するカードを搬送することができるように構成されている。また、各搬送用プーリ50には、それぞれ搬送ベルト51を介してベルト圧接ローラ52,52…が圧接されるようになっている。このように、搬送ベルト51を各搬送用プーリ50,50…に掛け渡すことにより、搬送ベルト51が第1カード回収口45および第2カード回収口46の近傍まで配設されることになるので、第1カード回収口45および第2カード回収口46の周辺におけるカードのジャムの発生を防止することができるものである。
【0034】
また、主搬送路43と待機路44との分岐部分には、待機切換え部材53が回動自在に取付けられており、待機切換え部材53は、回動動作により、その上部先端部を、待機路44を閉塞して主搬送路43を解放する位置と、主搬送路43を閉鎖して待機路44を解放する位置との間で切り換えできるように構成されており、待機切換え部材53が主搬送路43を閉鎖した状態で、待機用圧接ローラ54が搬送用プーリ50に搬送ベルト51を介して圧接されるように構成されている。
【0035】
第1カード回収口45の近傍には、回収切換え部材55が回動自在に配設されており、回収切換え部材55は、回動動作により、回収切換え部材55の下端部が第1カード回収口45を解放する位置(図3中実線で示す)と、回収切換え部材55の下端部が第1カード回収口45を閉塞して待機路44と回収路47とを連通させる位置(図3中破線で示す)との間で切り換えできるように構成されている。
【0036】
また、搬送ベルト51よりカード搬送口41寄りには、主搬送路43に対向するように磁気ヘッド56が配設されており、磁気ヘッド56の上方には、磁気ヘッド圧接ローラ57が配設されている。磁気ヘッド56は、図示しないソレノイドにより昇降自在とされており、カードの磁気情報を読み取り、書き込みを行う場合にのみ、磁気ヘッド56を上昇させて磁気ヘッド圧接ローラ57に圧接されるように構成されている。
【0037】
さらに、磁気ヘッド56と搬送ローラ48との間には、カードに対して所定の情報を書き込むためのサーマルヘッド58が主搬送路43に対向するように配設されており、サーマルヘッド58の下方には、サーマルヘッド圧接ローラ59が配設されている。
【0038】
次に、本実施形態における制御構成について説明する。本実施形態においては、発券装置およびカード処理装置を、駐車場の駐車券発券装置に適用した場合について説明する。
【0039】
本実施形態においては、発券装置の各部署を総括的に制御する発券側制御部60を備えており、この発券側制御部60には、搬送駆動モータ29が接続されており、搬送駆動モータ29により、ロール紙供給ローラ4、下部搬送ローラ7、上部搬送ローラ11および待機ローラ21の駆動を制御するように構成されている。また、発券側制御部60には、逆転搬送用ソレノイド15が接続されており、発券側制御部60により逆転搬送用ソレノイド15の動作制御を行うように構成されている。さらに、発券側制御部60には、カット用モータ25が接続されており、発券側制御部60により、カット用モータ25の駆動を制御してロール紙の切断を行うように構成されている。
【0040】
また、カード処理装置の各部署を総括的に制御するカード処理側制御部61を備えており、このカード処理側制御部61には、搬送駆動部62が接続されており、搬送駆動部62により、搬送ローラ48および搬送ベルト51の駆動を制御するように構成されている。また、カード処理側制御部61には、切り換え制御部63が接続されており、この切り換え制御部63により、待機切換え部材53および回収切換え部材55の切り換え制御を行うように構成されている。さらに、カード処理側制御部61には、磁気ヘッド56およびサーマルヘッド58がそれぞれ接続されており、カード処理側制御部61により、磁気ヘッド56によるカード情報の読み取り、書き込みを行うとともに、サーマルヘッド58によるカードへの情報の記録を行うように構成されている。
【0041】
次に、本実施形態の作用について、フローチャートを参照して説明する。
【0042】
まず、あらかじめ第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3の下方にそれぞれロール紙を設置しておく。
【0043】
そして、第1ロール紙搬送路2のロール紙を搬送する場合は(ST1)、搬送駆動モータ29を、図1において、反時計方向に回転駆動させることにより(ST2)、ロール紙供給ローラ4、下部搬送ローラ7および上部搬送ローラ11を反時計方向に回転駆動させる。これにより、第1ロール紙搬送路2のロール紙は、ロール紙供給ローラ4と圧接ローラ6、下部搬送ローラ7と圧接ローラ9とにより挟持されて上方に向けて搬送される。
【0044】
その後、ロール紙の先端部が上部搬送ローラ11と圧接ローラ13との間に挟持されて、この上部搬送ローラ11により搬送され、カットセンサ28により、ロール紙の先端部が検出されたら(ST3)、搬送駆動モータ29を停止させ(ST4)、カット用モータ25を駆動してロータリカッタ24を回転させることにより、ロール紙を切断してカードを形成する(ST5)。この状態で、カードは、上部搬送ローラ11と圧接ローラ13とにより挟持されて待機部19に待機される(ST6)。
【0045】
一方、第2ロール紙搬送路3のロール紙を搬送する場合は(ST7)、搬送駆動モータ29を、図1において、時計方向に回転駆動させることにより(ST8)、ロール紙供給ローラ4、下部搬送ローラ7および上部搬送ローラ11を時計方向に回転駆動させる。これにより、ロール紙は、ロール紙供給ローラ4と圧接ローラ6、下部搬送ローラ7と圧接ローラ9とにより挟持されて上方に向けて搬送される。
【0046】
この場合に、上部搬送ローラ11は、図1において反時計方向に回転しているため、このままでは、上部搬送ローラ11によりロール紙を搬送することができない。そのため、本実施形態においては、ロール紙の先端部がモータ逆転用センサ27により検出されたら(ST9)、ロール紙供給ローラ4の電磁クラッチ5および下部搬送ローラ7の電磁クラッチ8をOFFに切り換えて搬送駆動モータ29の回転力が伝達されないようにする(ST10)。これとともに、逆転搬送用ソレノイド15を動作させて、逆転搬送ローラ17を保持ローラ14に圧接させる(ST11)。この状態で、搬送駆動モータ29を逆方向に回転駆動させることにより(ST12)、逆転搬送ローラ17を図1において時計方向に回転させて、逆転搬送ローラ17と保持ローラ14との間でロール紙を挟持して、ロール紙を上方に引き上げるように搬送するようになっている。その後、ロール紙の上端部が、上部搬送ローラ11部分に搬送されると、ロール紙は、上部搬送ローラ11と圧接ローラ13とにより挟持されて、逆転搬送ローラ17とともに上方に向けて搬送される。そして、カットセンサ28により、ロール紙の先端部が検出されたら(ST3)、搬送駆動モータ29を停止させ(ST4)、カット用モータ25を駆動してロータリカッタ24を回転させることにより、ロール紙を切断し、カードを形成する(ST5)。この状態で、カードは、上部搬送ローラ11と圧接ローラ13とにより挟持されて待機部19に待機される(ST6)。
【0047】
そして、カード処理装置から、カードの要求があったら、上部搬送ローラ11を回転駆動させることにより、カードをカード排出口10およびカード搬送口41を介してカード処理装置の内部に搬送する。カード処理装置においては、搬送ローラを駆動することにより、カードを搬送しながら、サーマルヘッド58によりカードの上面に所定の事項を記録するとともに、磁気ヘッド56によりカードの下面に所定の情報を記録する。その後、カードは、搬送ベルト51および搬送ローラによりカード取り出し口42から排出される。
【0048】
なお、カード処理装置での処理に応じてカードを待機させる必要があり場合には、本実施形態においては、カード処理装置の搬送ローラ48および搬送ベルト51を回転駆動させて、カードをカード搬送口41およびカード排出口10を介して発券装置側の待機路20に搬送することにより、発券装置において、カードの待機を行うことができる。
【0049】
以上述べたように本実施形態においては、1つの搬送駆動モータ29により、電磁クラッチ5を介してロール紙供給ローラ4を回転駆動させることにより、第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3に位置するロール紙を搬送するようにしているので、周囲環境による影響を受けずに、確実にロール紙を搬送することができる。また、切断機構により切断されたカードを待機させる待機を設けるようにしているので、利用者から要求があった場合に、既に切断されて待機しているカードを搬送することにより、迅速にカードの発券を行うことができる。
【0050】
また、搬送ローラがロール紙の搬送方向と逆方向に回転駆動されているときに、逆方向に回転駆動されてロール紙を搬送する逆転搬送ローラ17を備えているので、1つの搬送駆動モータ29により搬送する場合であっても、第1ロール紙搬送路2および第2ロール紙搬送路3に位置するロール紙を確実に搬送することができる。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 発券装置本体
2 第1ロール紙搬送路
3 第2ロール紙搬送路
4 ロール紙供給ローラ
5 電磁クラッチ
7 下部搬送ローラ
10 カード排出口
11 上部搬送ローラ
14 保持ローラ
15 逆転搬送用ソレノイド
19 待機部
21 退避ローラ
24 ロータリカッタ
27 モータ逆転用センサ
28 カットセンサ
29 搬送駆動モータ
41 カード搬送口
56 磁気ヘッド
58 サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロール紙搬送路と第2ロール紙搬送路との間に設置され、前記第1ロール紙搬送路および前記第2ロール紙搬送路に位置するロール紙を搬送するロール紙供給ローラと、
前記ロール紙供給ローラの搬送方向下流側に設置された搬送ローラと、
前記ロール紙供給ローラおよび前記搬送ローラを回転駆動させる1つの搬送駆動モータと、
前記搬送駆動モータの回転駆動力を前記ロール紙供給ローラに伝達する電磁クラッチと、
前記ロール紙を切断してカードを形成する切断機構と、
前記切断機構により切断された前記カードを待機させる待機部と、
を備えていることを特徴とする発券装置。
【請求項2】
前記搬送ローラと同期して回転駆動され、前記搬送ローラが前記ロール紙の搬送方向と逆方向に回転駆動されているときに、逆方向に回転駆動されて前記ロール紙を搬送する逆転搬送ローラを備えていることを特徴とする請求項1に記載の発券装置。
【請求項3】
前記搬送ローラおよび前記逆転搬送ローラのいずれにより前記ロール紙を搬送するかを切り換える切換え機構を備えていることを特徴とする請求項2に記載の発券装置。
【請求項4】
前記待機部は、前記搬送ローラおよび前記逆転搬送ローラの配置位置に設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の発券装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−250579(P2010−250579A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99659(P2009−99659)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】