説明

発券装置

【課題】 長尺状の用紙に所定の事項を印刷して券を発行する場合に、利用者が券の先端部分を引っ張ってしまうことを防止することができるとともに、発券状態を確認することのできる発券装置を提供する。
【解決手段】 所定の券を発券する本体2と、券に所定事項を印刷するプリンタ10と、プリンタ10により印刷中の券を位置させるための券排出用空間8と、券排出用空間8の下方に連通し印刷完了後の券が落下される券取出し用空間5と、券取出し用空間5に連通し券を取出すための券取出し用開口3と、券排出用空間8の内部を視認するための視認部7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発券装置に係り、特に、長尺状の用紙に印刷して印刷終了後に切断して券を発行し、利用者が券の印刷が終了する前やカッタ機構により券を切断する前に券の先端部分を引っ張ってしまうことを防止することを可能とした発券装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、時間貸しの駐車場においては、所定時間駐車場を利用した利用者に対して精算を行うための精算機が設置されている。
【0003】
このような精算機において、従来から、例えば、駐車区域毎に駐車料金を精算して、駐車場の運営管理を容易にするために、駐車場内に設けられた各端末機と通信可能に接続し、テンキーに入力された駐車番号の区域に設けられた端末機の駐車料金精算情報に基づいて領収書を発行する領収書発行機を備えた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−197496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明によれば、領収書の発行を行うことは可能であるが、従来から、例えば、領収書を印刷する用紙として長尺状のロール紙を用い、このロール紙に所定の領収金額などを印刷して、印刷が完了した後にカッタ機構などにより所定の長さに切断して領収書として排出するようにしたものがある。このような場合に、領収書の長さ寸法が長くなり、印刷にも時間がかかってしまうことから、利用者がロール紙に対する印刷が終了する前や、カッタ機構により切断する前に、ロール紙の先端部を引っ張ってしまうことがあり、これにより、プリンタの記録ヘッドや紙送り機構が損傷してしまうという問題を有している。
【0006】
また、ロール紙に印刷する際には、印刷に時間がかかってしまうため、利用者が領収書の発行状態を認識することができず、利用者が領収書を持ち帰らない場合があるという問題を有している。そのため、特に、長尺状の用紙に対して印刷を行って券を発行する場合に、完全に印刷が終了するまで、利用者が手を出せないようにする技術が望まれている。
【0007】
本発明は前記した点に鑑みてなされたものであり、長尺状の用紙に所定の事項を印刷して券を発行する場合に、利用者が券の印刷が終了する前やカッタ機構により券を切断する前に券の先端部分を引っ張ってしまうことを防止することができるとともに、発券状態を確認することのできる発券装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1の発明に係る発券装置は、所定の券を発券する本体と、
前記券に所定事項を印刷するプリンタと、
前記プリンタにより印刷中の券を位置させるための券排出用空間と、
前記券排出用空間の下方に連通し、印刷完了後の前記券が落下される券取出し用空間と、
前記券取出し用空間に連通し前記券を取出すための券取出し用開口と、
前記券排出用空間の内部を視認するための視認部と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、前記プリンタは、長尺状の連続した用紙に所定の印刷を行うとともに、印刷終了後に所定の長さに切断して券を排出するものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2において、前記券排出用空間は、前記プリンタにより排出される前記券が切断されるまでの間、前記券が位置されるものであり、前記券が切断された後に前記券取出し用空間に落下されるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項において、前記視認部は、複数の孔部を配列して形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項において、前記券取出し用開口には、扉部材が開閉自在に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、券取出し用空間の上方に券排出用空間を連続して配設し、プリンタにより券排出用空間に券を排出した後に、券取出し用空間に落下させるようにしているので、プリンタにより券に印刷している状態では、券の先端部が券排出用空間に位置して、利用者が印刷途中の券を引っ張ってしまうことを確実に防止することができる。また、視認部によりプリンタによる券の排出状態を確認することができるので、券の発行状態を確認して、券の取り忘れなどを確実に防止することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、プリンタを、長尺状の連続した用紙に所定の印刷を行うとともに、印刷終了後に所定の長さに切断して券を排出するようにしているので、長尺状の用紙を用いて券を発行することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、券排出用空間を、プリンタにより排出される券が切断されるまでの間、券が位置されるものであり、券が切断された後に券取出し用空間に落下されるようにしているので、長尺状の用紙に印刷して券を発行する場合でも、印刷中止の用紙を券排出用空間に位置させて、利用者が印刷途中の券を引っ張ってしまうことを確実に防止することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、視認部を、複数の孔部を配列して形成するようにしているので、利用者が券排出用空間に指などを挿入して券を引っ張ってしまうことを防止することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、券取出し用開口に扉部材を開閉自在に設けるようにしているので、券取出し用空間を風雨などから保護することができるとともに、券取出し用空間に落下した券が飛散してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る発券装置の実施形態を示す概略正面である。
【図2】本発明に係る発券装置の実施形態を示す図1の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る発券装置を駐車場の精算機に適用した場合の実施形態を示す概略構成図であり、本実施形態においては、発券される券として領収書を発券する場合について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態においては、精算機1は、箱型の本体2を有しており、本体2の前面中央部分には、券取出し用開口3が形成されている。券取出し用開口3部分には、この券取出し用開口3を開閉するための扉部材4がその上端辺を軸として開閉自在に取付けられており、券取出し用開口3の内側には、券取出し用空間5が形成されている。この扉部材4により、券取出し用空間5を風雨などから保護することができ、券取出し用空間5に落下した券が飛散してしまうことを防止することができるものである。そして、利用者が扉部材4を開放した状態で、券取出し用空間5の領収書を取出すことができるように構成されている。
【0022】
また、券取出し用開口3の上方には、複数の孔部としての円形状の貫通孔6を配設してなる視認部7が形成されており、視認部7には、例えば、アクリルなどの透明材料からなるカバー部材(図示せず)が設けられている。視認部7の内側には、券取出し用空間5の上部に連通する券排出用空間8が形成されており、券排出用空間8は、券取出し用空間5の後端面よりさらに後方に広がるように形成されている。この券排出用空間8の後方に広がった部分の下面は、券取出し用空間5の上部に向けて下方に傾斜する傾斜面9とされている。そして、カバー部材を設けるとともに、複数の貫通孔6により視認部7を形成することにより、利用者が券排出用空間8に指などを挿入することができないように構成されている。
【0023】
また、券排出用空間8の最奥部には、プリンタ10がその排紙口11が券排出用空間8に臨むように配設されている。プリンタ10は、例えば、ロール紙などの長尺状の用紙(図示せず)を所定速度で搬送しながら図示しない記録ヘッドにより領収金額などの所定の事項を記録し、記録が完了したロール紙を、プリンタ10に内蔵されている図示しないカッタ機構により所定の長さで切断した後、領収書として排紙口11から券排出用空間8に排出するように構成されている。すなわち、ロール紙に印刷している間は、ロール紙はその先端部が券排出用空間8の傾斜面9に沿って移動していき、ロール紙がカッタ機構により切断された後に、券排出用空間8の傾斜面9から券取出し用空間5に落下させることができるように構成されている。
【0024】
ここで、本実施形態においては、券排出用空間8の奥行き寸法aおよび券排出用空間8の傾斜面9の奥行き寸法bは、それぞれ、領収書の長さ寸法より大きくなるように形成されている。これは、プリンタ10から排出されたロール紙がカッタ機構により切断されて領収書として排出されるまで券排出用空間8内にとどまり、プリンタ10の排紙口11から排出された後に、券取出し用空間5に落下するようにするためである。
【0025】
なお、券取出し用空間5の側面には、所定の釣り銭を排出する釣り銭口(図示せず)が形成されている。
【0026】
また、本実施形態においては、本体2の前面上方には、例えば、液晶パネルなどからなり所定の案内情報を表示するための表示装置12が設けられている。また、本体2の前面であって表示装置12の横位置には、駐車料金を投入するための紙幣投入口13および硬貨投入口14がそれぞれ儲けられている。さらに、本体2の前面であって表示装置12の下方位置には、駐車券を挿入するための駐車券挿入口15が設けられている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
本実施形態においては、駐車場を利用した利用者が駐車券挿入口15に駐車券を挿入すると、駐車券の情報を読み取って駐車時間に応じた駐車料金が表示装置12に表示される。利用者は、紙幣投入口13または硬貨投入口14から駐車料金を投入すると、プリンタ10が動作され、ロール紙に対して領収金額が印刷されてロール紙の先端部は、印刷が進むにつれて、排紙口11から排出されていく。そして、印刷が完了したら、カッタ装置によりロール紙を切断して、領収書として排出する。
【0029】
このとき、本実施形態においては、ロール紙に印刷をしている間は、印刷が完了したロール紙の先端部分が排紙口11から送出されてくるが、券排出用空間8の傾斜面9の上面に沿って排出され、傾斜面9の奥行き寸法bを領収書の長さ寸法より大きくなるように形成しているので、印刷途中のロール紙の先端部が券取出し用空間5に到達してしまうことがない。そして、プリンタ10の排紙口11からこのロール紙が排出している状態は、利用者が視認部7から確認することができるものである。
【0030】
以上述べたように、本実施形態においては、券取出し用空間5の上方に券排出用空間8を連続して配設し、この券排出用空間8にロール紙を排出し、所定の長さに切断した後に、領収書として券取出し用空間5に落下させるようにしているので、ロール紙に印刷している状態では、ロール紙の先端部が券排出用空間8に位置して、利用者が印刷途中のロール紙を引っ張ってしまうことを確実に防止することができる。また、視認部7によりプリンタ10によるロール紙の排出状態を確認することができるので、領収書の発行状態を確認して、領収書の取り忘れなどを確実に防止することができる。
【0031】
なお、前記実施形態においては、プリンタ10を券排出用空間8の後端部に配置するようにしているが、例えば、券排出用空間8の上端部に配置するようにしてもよい。この場合には、券排出用空間8の上下方向の長さ寸法が領収書の長さ寸法より長くなるように形成するようにすればよい。
【0032】
また、前記実施形態においては、発券装置として、精算機1に適用して領収書を発行する場合について説明したが、その他、長尺状の用紙に印刷して発券する発券装置であれば、いずれのものにも適用することができる。
【0033】
また、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 精算機
2 本体
3 券取出し用開口
4 扉部材
5 券取出し用空間
6 貫通孔
7 視認部
8 券排出用空間
9 傾斜面
10 プリンタ
11 排紙口
12 表示装置
13 紙幣投入口
14 硬貨投入口
15 駐車券挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の券を発券する本体と、
前記券に所定事項を印刷するプリンタと、
前記プリンタにより印刷中の券を位置させるための券排出用空間と、
前記券排出用空間の下方に連通し、印刷完了後の前記券が落下される券取出し用空間と、
前記券取出し用空間に連通し前記券を取出すための券取出し用開口と、
前記券排出用空間の内部を視認するための視認部と、
を備えていることを特徴とする発券装置。
【請求項2】
前記プリンタは、長尺状の連続した用紙に所定の印刷を行うとともに、印刷終了後に所定の長さに切断して券を排出するものであることを特徴とする請求項1に記載の発券装置。
【請求項3】
前記券排出用空間は、前記プリンタにより排出される前記券が切断されるまでの間、前記券が位置されるものであり、前記券が切断された後に前記券取出し用空間に落下されるものであることを特徴とする請求項2に記載の発券装置。
【請求項4】
前記視認部は、複数の孔部を配列して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に発券装置。
【請求項5】
前記券取出し用開口には、扉部材が開閉自在に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に発券装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−113675(P2012−113675A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264650(P2010−264650)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】