説明

発振器

【課題】アレイ状に高い密度で配置されている複数の発振素子を用いて、高い出力を得ることができる発振器を提供する。
【解決手段】発振器は、負性抵抗素子111を含み構成される発振素子101を有する。発振器の基板102の第1の面側には、複数の発振素子101が設けられる。発振器の第1の面に対向する第2の面側には、隣接する発振素子101間で、一方の発振素子101から第2の面側に向かって出力される電磁波を反射して、他方の発振素子101に入力して相互に注入同期するための反射手段103が設けることで、理論上主面上の全ての発振素子101が同位相で同期して発振出力を放射するように構成する。従って反射面103は、隣接した発振素子101の間の結合を大きくして互いに同位相となる位置に備えるのが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ型の発振器に関する。特に、ミリ波帯からテラヘルツ帯までの、30GHzから30THzの周波数領域内の周波数帯の電磁波を出力するアレイ型の発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリ波帯からテラヘルツ帯までの、30GHzから30THzの周波数領域内の周波数帯における発振器は単体では出力パワーが比較的小さいことが知られている。これは、発振器の発振周波数の高周波化に伴って、典型的な場合、発振器におけるアクティブ素子の小型化が必要とされるためと考えられている。そのため、典型的な出力パワーは、例えば100GHz付近では数mW以下、1THz付近では数μW以下となる。
【0003】
したがって、ミリ波帯より高周波側の周波数帯において、電磁波応用のための十分な出力を得るためには多数の発振器の出力パワーを合成する手法がこれまでに考えられている。
【0004】
特許文献1は、オーバーモード導波管の内部に負性抵抗素子と導波管共振器からなる発振素子を多数備えて出力パワーを合成するアレイ型の発振器を開示するものである。図8は特許文献1を説明する鳥瞰図である。同図において、801は導波管共振器812に負性抵抗素子811を配した個別の発振素子を表す。802はオーバーモード導波管を表し、その内側にアレイ状に配された発振素子801を備えている。さらに、オーバーモード導波管802は803のバックショート(反射板)を備えており、反射された高次導波モードがそれぞれの発振素子801に注入同期(Injection-Rocking)を働きかけるように構成されている。
【0005】
ここで、注入同期とは、個別の発振素子801を同期させて出力パワーを合成するために用いる物理現象である。これを利用した特許文献1に開示されるアレイ型の発振器の例として、9個の発振素子801の発振出力を合成し、61.3GHzにおいて1.5Wもの比較的大きな出力を得たとの記載がある。
【特許文献1】特開2000−77946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1において、オーバーモード導波管の内側に導波管共振器(発振素子の一部分)を備える構成が必要であることから、オーバーモード導波管の内部に備える発振素子の個数が多くなるほど、作製上難易度が高くなる。
【0007】
また、n×n個の発振素子を導波管の内部に備えるような構成とする場合、オーバーモード導波管の断面の一辺は波長のn倍程度が必要となり、発振素子を高密度には配置することはできない。ゆえに、特許文献1で開示される手法は、多数の発振素子を高密度に備えるアレイ型の発振器とするにはあまり適しておらず、高出力化には限界があると考えられる。
【0008】
そこで、本発明はアレイ状に高密度で配置されている複数の発振素子を用いて、高い出力を得ることができる新規な発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明に係る発振器は、
負性抵抗素子と平面アンテナで構成される発振素子が、同一基板に複数個集積されている発振器であって、
前記基板の主面上に前記発振素子がアレイ状に配されており、
複数の前記発振素子同士で同期して発振される波長に対して、前記アレイ状に配された発振素子の、いずれかの発振素子のアンテナ中心から、反射面を経由して、隣接した発振素子のアンテナ中心へ至る電気的な長さの和θが、
θ=π(2m−1)(但し、πは円周率、mは自然数である)
を満たす位置に反射面を備えることを特徴とする。
【0010】
第2の本発明に係る発振器は、
負性抵抗素子を含み構成され、30GHzから30THzの周波数帯の電磁波を出力する発振素子を基板上に備えている発振器であって、
前記基板の第1の面側には、3つ以上の前記発振素子を有し、
前記第1の面に対向する第2の面側には、
前記発振素子間で、一方の前記発振素子から前記第2の面側に向かって出力される電磁波を反射して、他方の前記発振素子に入力して、相互に注入同期するための反射手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記した本発明によれば、アレイ状に高密度で配置されている複数の発振素子を用いて、高い出力を得ることができる新規な発振器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1の実施形態:請求項1に係る発振器)
本実施形態に係る発明は、負性抵抗素子と平面アンテナで構成される発振素子が、同一基板に複数個集積されている発振器である。そして、前記基板の主面上に前記発振素子がアレイ状に配される。
【0013】
複数の前記発振素子同士で同期して発振される波長に対して、前記アレイ状に配された発振素子の、いずれかの発振素子のアンテナ中心から反射面を経由して、隣接した発振素子のアンテナ中心へ至る電気的な長さの和θが、以下の条件を満たすように設計される。
θ=π(2m−1)(但し、πは円周率、mは自然数である)
【0014】
前記反射面は前記基板の裏面に備えることができる。さらに、前記反射面は、導電膜で構成したり、多層膜で構成したりすることができる。更に、前記反射面は、その一部に周期的な配列の開口部を有するように構成することもできる。
【0015】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る発明として発振器の構成を示すもので、図1(a)は基板の構造断面の一部分、図1(b)は基板の主面上の一部分を表す。本実施形態に係る発振器は、負性抵抗素子111と平面アンテナ112より構成される発振素子101を基板102の主面に複数個備える。
【0016】
ここでは、平面アンテナ112は例としてスロットアンテナを利用し、112はスロットアンテナの電極パターンを表す。このとき、負性抵抗素子111の二端子は電磁波出力ポートとして考えればよく、スロットアンテナ112の給電点と一致するように構成する。
【0017】
平面アンテナ112はこれに限定されるものではなく、対数周期アンテナやダイポールアンテナ、又はこれに準ずる平面アンテナ(例えば、スパイラルアンテナやボウタイアンテナなど)でもよい。いずれの場合も負性抵抗素子111の二端子は平面アンテナ112の給電点と一致するように構成すればよく、図6のようにして対数周期アンテナ612を、図7のようにしてダイポールアンテナ712を利用した構成も考えられる。
【0018】
さらに、本実施形態では、隣接した発振素子101の間で結合が大きくなるように、基板102の裏面側に反射面103を備えることで、理論上主面上の全ての発振素子101が同位相で同期して発振出力を放射するように構成する。これは、出力パワーを合成する際に、n個の発振素子101が同位相で発振出力を放射することができれば、比較的高い出力合成効率を達成できるからである。したがって、反射面103は、隣接した発振素子101の間の結合を大きくして互いに同位相となる位置に備えるのが望ましい。
【0019】
このような現象は、ファンデルポール(van der pol)非線形方程式を解析することによって理解される。式は
x”(τ)-λ(1-x2(t))x’(τ)+x(τ)=λin・κ・xin’(τ)
となる。ここでxは発振素子101における電圧に比例する量であり、LC周波数ω0=1√LCで規格化した時間τ=ω0t依存性を理解するためx(τ)と表してある。また、x”(τ)、x’(τ)はそれぞれ、x(τ)の二階微分、一階微分を表す。xin(τ)は外部より発振素子101へ入力された発振素子101における電圧に比例する量で、κは結合定数である。
【0020】
パラメータλは、1/Qのディメンションを持ち、λは負性抵抗素子111の負性コンダクタンスの線形成分g1<0と平面アンテナ112の負荷Gを伴って、λ=-(G+g1)√(L/C)である。λinは平面アンテナ112の1/Qと等しく、λin=G√(L/C)である。尚、式の右辺が0の場合は、外部より発振素子101への電磁波入力がない場合を指す。
【0021】
ファンデルポール非線形方程式は、典型的な場合、リミットサイクルと呼ばれる閉軌道上で解が周回する。そして、周回する周波数(発振周波数のこと)がω0の2%以内となるときの パラメータλは0<λ≦0.57とされている。当該事項は、文献(IEEE
Trans. Microwave Theory and Techniques, vol. XX, 412(1963))に開示されている。
【0022】
これより大きなλのとき、解は強く歪むようになり、発振周波数はω0よりはるかに低下する。以降では、このような場合は除外し、λ=0.57とおく。また、本実施形態において、平面アンテナ112のQ値を10と仮定し(典型的な場合、平面アンテナのQは10のオーダである)、以降ではλin=0.10とおく。
【0023】
さて、同じ構成の隣接した2つの発振素子101の間で相互に注入同期が行える場合を考えると、式は
x”(τ)-λ(1-x2(t))x’(τ)+x(τ)=λin・κxy・y’(τ)
y”(τ)-λ(1-y2(t))y’(τ)+y(τ)=λin・κyx・x’(τ)
となる。ただし、結合定数は相反性よりκxyyx=ε・exp(iφ)とおく。φは隣接した発振素子101の間の空間的な位相差を表す。図2は、εとφとをパラメータとしてx、yの実数成分(縦軸)をτが10周期分(横軸)となるまで時間発展させる数値計算した結果である。
【0024】
図2-1(a)、図2-1(b)、図2-2(c)ではφ=0のときのε依存性を表すもので、図2-1(a)、図2-1(b)、図2-2(c)の順にε=0.0、ε=0.1、ε=0.4と設定したときの結果を表す。結果では、結合が大きくなるにしたがって隣接した発振素子101は同位相で同期するようになる。
【0025】
本実施形態において、反射面103としては導電膜又は多層膜が考えられるが、いずれも電磁波の反射率が比較的高いため、結合も比較的大きい。ただし、このような反射面103を経由するとき空間的な位相差にπシフトが追加されることに注意する。
【0026】
図2-2(d)、図2-3(e)は、ε=0.4のときのφ依存性を表すもので、πシフトを加えてθ=φ+πとして、図2-2(d)、図2-3(e)の順にθ=0、θ=πと設定したときの結果を表す。結果では、空間的な位相差がπ×(2m-1)のとき(mは自然数)、つまり、θ=π×2mのとき逆位相で同期する(図2-2(d))。そして、空間的な位相差がπ×2mのとき、つまりθ=π×(2m-1)のときに同位相で同期する(図2-3(e))。
【0027】
これは、隣接した発振素子101の空間的な配置が後者のような空間的な位相差をもって決められるべきであることを示している。さらに、同じ構成の隣接した3つの発振素子101の間で相互に注入同期が行える場合を考えると、連立方程式を拡張して
x”(τ)-λ(1-x2(t))x’(τ)+x(τ)=λin・ε・exp(iφ)・y’(τ)
y”(τ)-λ(1-y2(t))y’(τ)+y(τ)=λin・ε・exp(iφ)・(x’(τ)+z’(τ))
z”(τ)-λ(1-z2(t))z’(τ)+z(τ)=λin・ε・exp(iφ)・y’(τ)
となる。
【0028】
図2-3(f)は、同位相で同期するとき(ε=0.4、θ=π)のパラメータによる結果であるが、やはり3つの発振素子101に拡張した場合でも同位相で同期する。これは、同じパラメータを利用すれば、一般に、同じ構成の隣接した複数個の発振素子101を考えたときでも、全ての発振素子が同位相で同期することの理解を助ける。
【0029】
以上の数値計算結果より、発振素子101の平面アンテナ112のアンテナ中心から反射面103を経由して隣接した発振素子101の平面アンテナ112のアンテナ中心へ至る結合パス104の電気的な長さθが、以下の条件式を満たすようにするのがよい。即ち、
θ=π×(2m-1)
を満たすような位置に反射面103を備えるのが望ましい。ここで、アンテナ中心とは、平面アンテナ112から放射される放射電磁界を球面波と近似したときの球面波の原点とする。
【0030】
電気的長さθは、結合パス104を伝播する電磁波が感じる実効誘電率をεeff、結合パス104の物理的長さをL、発振周波数をω0としたとき、θ=ω0√εeffL/C0 で表す(C0は真空中の光速)。
【0031】
ここでは、基板102の裏面側に反射面103を備える構成であるから、√εeffは基板102の屈折率に等しいと考えてよい。ミリ波帯からテラヘルツ帯まで(30GHzから30THz)の周波数領域を考えると、基板102の屈折率3を仮定すれば、電気長πとなる結合パス104の物理的長さLは0.1THz(ω0=2π×0.1THz)において500μmである。1THz(ω0=2π×1THz)において50μmである。これは、0.1THz付近から1THz付近までは、一般的な基板または研磨した基板を利用して基板裏面に反射面103を備えられるオーダであるから、モノリシック化のために好ましい。0.1THzより低周波側においては、反射面103は基板102の裏面に低損失な誘電体を貼り合わせた上に構成してもよい。
【0032】
反射面103は、1THzより高周波側においては、反射面103は基板102の主面上に厚さ数ミクロンオーダの誘電体を塗布した上に構成してもよい。また、実際には、電気的長さθはπ×(2m-1)近傍であればほぼ同位相で同期するため、基板102の厚さはさほど厳密に制御しなくてもよい。計算上では、同期するとき(ε=0.4、θ=π)のパラメータにおいてθ=πを前後に10%程度変化させてもほぼ同様の結果が得られる。
【0033】
さらに、本発明を適用できる発振器では、隣接した発振素子101の間で結合が大きくなるばかりでなく、基板102主面上における隣接した発振素子101の間隔は波長以下とすることができる効果もある。これは、電気的長さθが最低πであることからもそのようにいえる。このとき、n×n個の発振素子101を考えても、基板102の主面上の一辺は波長のn倍以下とすることができるので、多数の発振素子101を高密度に備えることによる出力パワーを高密度に合成した高出力化のために好ましい。
【0034】
なお、図1において、負性抵抗素子111は簡単のため素子記号で抽象化している(Nは負性抵抗Negative-Differential-Resistanceの頭文字)。しかし、実際には基板102上へ半導体結晶成長などを行い、メサの形成、電極付けなどの半導体プロセスを経て集積するのが好ましい。というのも、負性抵抗素子111を平面アンテナ112へ実装する場合、実装に伴う寄生リアクタンス成分が発振素子101の発振特性を劣化させる恐れがあるからである。このような負性抵抗素子111の例としては、共鳴トンネルダイオードやガンダイオードなどの負性抵抗特性を示す素子が考えられ、いずれも基板102へ容易に集積することができる。なお、負性抵抗素子111へのバイアス供給(不図示)は、平面アンテナ112における電極パターンなどを介して行えばよい。このとき、必要があれば、バイアスTやローパスフィルターなどを利用してもよい。本実施形態に係る発明において、前記反射面は、前記基板の裏面に設けることが好ましい。反射面は導電膜や、角度選択性を持たせた多層膜が好適に用いられる。そして、この反射面は、その一部に周期的な配列の開口部を有するように構成されるのがよい。また、反射面は平面に限ることはなく、非平面でもよい。例えば、隣接した発振素子の組毎に発振素子のアンテナ中心を焦点とした回転楕円体を定義することができるが、これらの集合体における表面からなる非平面でもよい。
【0035】
さらに具体的な構成については、以下の実施例を参照して説明する。なお、本実施形態に係る発明のように、多数の発振素子の出力パワーを合成する手法は有効である。そして、個別の発振素子として基板上にそれらを集積する概念は、非特許文献1(Jpn. J. Appl. Phys.,Vol.44,7809(2005))に開示されており、本発明においても同文献に開示されている技術を適用することができる。同文献は、スロットアンテナ(平面アンテナ)と負性抵抗素子からなる発振素子を開示するものである。これは、典型的な半導体プロセスによって作製が可能な構成であるため、同一基板上に多数の発振素子を集積することが可能となる。
【0036】
また、非特許文献2(Jpn.
J. Appl. Phys.,Vol.44,L1439(2005))には、スロットアンテナと負性抵抗素子からなる発振素子同士の注入同期に関して開示されている。具体的には、シリコン半球レンズを介した2個の発振素子の間で相互に注入同期(Mutual-Injection-Rocking)が働くことが開示されている。しかしながら、アレイ状に配列されている複数の発振素子に関して、例えば3つ以上の発振素子間で、具体的に注入同期するための手法の開示はない。
【0037】
本実施形態に係る発明のように、基板主面上の隣接した発振素子の間で結合が大きくなるような位置に反射面を備えることで、理論上全ての発振素子を比較的高い電力合成効率をもって同期させることが可能となる。さらに、従来のアレイ型の発振器より多数の発振素子を高密度に備える構成が可能となるので、従来のアレイ型の発振器より高出力化が行える。また、反射面は基板裏面などに備えられていてもよく、作製上アレイ型の発振器のモノリシック化も可能である。なお、本実施形態に係る発明には、後述する第2の実施形態において説明する技術事項を適用することもできる。
【0038】
(第2の実施形態:請求項6に係る発振器)
第2の実施形態に係る発振器に関する発明は以下の特徴を有する。第1の実施形態において使用した図1を利用して説明する。図1における111が負性抵抗素子であり、102が基板、103は反射手段である。基板102の負性抵抗素子が配置されている面側が第1の面、それに対向して位置する面側が第2の面となる。
【0039】
発振素子は、負性抵抗素子を含み構成され、30GHzから30THzの周波数帯の電磁波を出力するものである。勿論、当該周波数帯の中の一部の周波数で出力できればよい。この発振素子が基板上に設けられている。斯かる意味で、特許文献1に示したような導波管の内部に発振素子を含む構成と異なる。そして、前記基板の第1の面側(「主面」という場合もある。)には、3つ以上の前記発振素子を有する。
【0040】
なお、3つ以上の発振素子は、前記第1の面側に配置されていれば特に限定されるものではないが、例えば、該第1の面側に、アレイ状に等間隔で配置することも好ましい形態である。アレイ状とは、一次元のアレイ状でも、二次元のアレイ状でもよい。等間隔とは、第1の面の面内方向の発振素子間の距離を規定する場合に当該面内方向において等間隔という意味である。また、複数の発振素子同士で、注入同期させる場合には、例えば、隣接する素子同士で注入同期させることが可能である。ここで隣接する発振素子間とは、第1の面内方向に関して、相隣り合う素子間という意味であり、実際に接している必要は勿論ない。
【0041】
更に、前記第1の面に対向する第2の面側には、隣接する前記発振素子間で、一方の前記発振素子から前記第2の面側に向かって出力される電磁波を反射して、他方の前記発振素子に入力して、相互に注入同期するための反射手段を有する。ここでいう、前記反射手段は、隣接する複数の前記発振素子間で、同位相で注入し得るように構成されているのがよい。前記反射手段は、前記第1の面に平行な反射面を有するように構成することができる。この反射手段や注入同期に関しては、その詳細を上記の第1の実施形態において説明しており、当該概念が、本実施形態にもそのまま適用することができる。
【0042】
前記基板102上には、前記負性抵抗素子と平面アンテナを含み構成されている前記発振素子を複数個集積しておくこともできる。平面アンテナ自体は、必要に応じて適用すればよく、本実施形態における発明においては必須ではない。勿論、複数の発振素子に共通する一つ(あるいは発振素子の数より少ない数)のアンテナを共用することもできる。互いに隣接する発振素子間で、注入同期を行うためには、以下のように設計するのがよい。即ち、発振素子の発振波長に対して、一方の該発振素子のアンテナ中心から、前記反射手段を経由して、隣接する他方の該発振素子のアンテナ中心へ至るまでの電気的な長さの和θが以下の条件を満たすようにする。
θ=π(2m−1)(但し、πは円周率、mは自然数である)
そして、上記θの条件を満たすように、前記反射手段を前記第2の面側に設けるのがよい。また、本実施形態に係る発明により、隣接する複数の発振素子同士で相互に注入同期が効果的に行うことができる。勿論、本実施形態に係る発明においてはアレイ状に配列されている発振素子間で注入同期を行うことができれば、必ずしも隣接する素子同士で注入同期される必要は無い。例えば、ライン上に並んでいる3つの発振素子を考えた場合に、両端の発振素子間で注入同期するように反射手段を設計することもできる。
【0043】
なお、前記反射手段の詳細は、第2の実施形態や後述の実施例において詳述しているが、該反射手段は、例えば、導電膜で構成したり、角度選択性を備えた多層膜から構成したりすることができる。角度選択性とは、入射方向によって、反射効率が変わるという意味である。更に、前記反射手段は、前記第2の面側の該第2の面に平行な方向に、周期的な間隔で設けておくことも可能である。本実施形態に係る基板としては、前記発振素子が設けられている位置における、前記第1の面と前記第2の面との間隔が等しい平板状の基板であるものが好適に用いられる。本実施形態に係る発明において説明したように、本発明によれば、基板上に設けられた複数の発振素子を隣接素子間で個々注入同期させ、最終的には、複数のアレイ状の素子間全体を同位相で出力することが可能となる。また、基板上への発振素子の作製は、いわゆる半導体プロセスを用いて形成することができるので、従来に比して、密度高くアレイ状に配置された発振素子を用いて、高い出力を得ることができる発振器が提供されることになる。なお、第2の実施形態に係る発明には、前述した第1の実施形態や実施例において説明する技術事項が矛盾しない限り適用される。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
図3は、本発明を適用できる発振器を構成する一実施例を示すものである。本実施例において、負性抵抗素子311としては、半絶縁性InP基板302上に集積される共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いる。平面アンテナ312としては、Ti/Pd/Auで構成されるスロットアンテナの電極パターンを用いる。反射面303は一部を開口とした導電膜とし、Cr/Auで構成する。本実施例は、上記の実施形態をモノリシック化した場合の本発明を適用できる発振器として好ましい一例を示すものである。
【0045】
図3-1(a)は半絶縁性InP基板302の断面構造の一部分を表す。ここで、負性抵抗素子311は二重障壁RTDであり、例えば、スペーサ層/障壁層/量子井戸層/障壁層/スペーサ層のような構成になっている。
【0046】
非特許文献1を参照すれば、これらはInP基板302上へ結晶成長可能なInGaAsを量子井戸層、AlAsやInAlAsを障壁層として用いる。より具体的には、エミッタ側からコレクタ側へ順に、InGaAs(5.0nm)/AlAs(1.5nm)/InGaAs(4.5nm)/AlAs(1.5nm)/InGaAs(5.0nm)の半導体多層膜構造から構成される。キャリアの選択はエミッタ層、コレクタ層のドーパントによって決定されるが、例えばSiをドーパントとして用いて電子濃度1×1018cm‐3のn-InGaAs(50nm)で構成する。
【0047】
こうしたRTD311は0.4V付近で約400kA/cm2のピーク電流密度を示し、0.4Vから0.6Vの間で負性抵抗特性を有する。更に、RTD311は上側と下側を半導体導電層323、324に挟まれるが、それぞれを、電子濃度1×1019cm‐3のn-InGaAs(30nm,400nm)で構成する。これは、Ti/Pd/Au電極321、322がRTD311とオーミックに接するためのものである。
【0048】
以上はInP基板上の構成の一例を示したもので、これに限るものではない。例えば、InAs基板上のInAs/AlAsSbやInAs/AlSb、GaAs基板上のGaAs/AlAs、Si基板上のSi/SiGeといった半導体多層膜構成も考えられる。
【0049】
また、スペーサ層/障壁層/量子井戸層/障壁層/量子井戸層/障壁層/スペーサ層のような構成としてもよく、いずれの場合も良好な負性抵抗特性が得られる。
【0050】
こうしてTi/Pd/Au電極パターン321、322をそれぞれRTD311上側と下側で半導体導電層323、324に接するように構成すれば、RTD311の二端子はスロットアンテナ312の給電点に一致するようになる。
【0051】
図3-1(b)は半絶縁性InP基板302の主面上の一部分を表す。発振素子301におけるスロットアンテナ312はバイアス供給のために分割した電極パターン321、322にスロット313を設けた構成になっている。
【0052】
非特許文献1を参照すれば、RTD311のメサ断面形状を1.5μm角とし、スロット313の形状を長さ20μm、幅4μmとすると、個別の発振素子301において約0.6THzの発振出力30μW程度が得られる。
【0053】
さらに、本実施例では出力パワーを合成するために、発振素子301を等間隔にn×n個の二次元アレイ化する。発振素子301の間隔は、ここでは、出力パワー合成後のサイドローブを低減するため半波長以下とする。例えば200μmを主面上の間隔とする。このようにすると、発振素子301が同期して同位相で動作したとき、基板302主面と垂直な方向に鋭いメインローブが形成されるブロードサイドアレイとなる。発振素子301を同位相で動作させるためには、半絶縁性InP基板302の基板厚さをあらかじめ調整し、基板裏面に反射面303を設ける。
【0054】
例えば、結合パス304の電気的長さθがπ×5となるように調整する場合、半絶縁性InP基板302の√εInP=√12=3.5、主面上の間隔200μmより単純計算する。すると、基板厚さd=148μmが0.6THzの出力パワー合成のために望ましいことがわかる。
【0055】
なお、305はバイアス供給線を表し、定電圧発生装置などの電源(不図示)より、それぞれの発振素子301へ、0.4Vから0.6Vの間の負性抵抗特性を有するようなバイアスを供給するためのものである。ここでは、二次元アレイにおけるn行目の発振素子301へ並列にバイアスを供給する配線構造としているが、もちろん、全ての発振素子301に並列にバイアス供給する配線構造としてもよい。
【0056】
図3-2(c)は半絶縁性InP基板302の裏面上の一部分を表す。反射面303はCr/Auなどの導電膜によって構成する。また、裏面上の導電膜303は発振素子301の直下の部分を開口306として周期的な配置すなわちグレーティング状にパターン化してもよい。これは、発振素子301の発振出力が基板裏面側(誘電率が大きい側)に大きいので、隣接する発振素子301へ比較的大きな反射を与え、さらに出力パワー合成後の電磁波出力を基板裏面側へも放射させるためのものである。
【0057】
図3-2(d)は本実施例の発振器を約1.2mm角に6×6個の二次元アレイ化して、mW級を可能とする半絶縁性InP基板302の主面全貌を表している。合成された出力パワーは、理論上全ての発振素子301が同位相で同期したとき、個別の発振素子301の発振出力にアレイの個数の二乗を掛けて算出される。
【0058】
以上のような構造は、通常の半導体プロセスを用いることによって作製が可能である。これは、はじめにも述べたように、同じ構成の多数の発振素子を歩留まりよく集積できるため好ましい。非特許文献1を参照すれば、次のように形成することができる。
【0059】
半絶縁性InP基板302上には、分子ビームエピタキシー(MBE)法などによって、半導体導電層324、半導体多層膜311、半導体導電層323をエピタキシャル成長する。次に、エピタキシャル層をフォトリソグラフィによるパターニングを行ったのち、メサ状にn-InGaAs層324の途中までSiCl4およびArガスを用いたICPプラズマエッチングを行う。エッチング後の表面にはTi/Pd/Au322を蒸着してリフトオフ法により所望の形状とする。その後、プラズマCVD法によりSiO2またはSiNxなどを成膜し、スロットアンテナ312を形成しつつ電気的絶縁を確保するようにTi/Pd/Au321を蒸着してリフトオフを行う。さらに、半絶縁性InP基板302の表面には、Cr/Au配線構造305を蒸着してリフトオフ法により形成する。最後に基板裏面を所望の厚さになるように研磨を行い、リフトオフ法によりCr/Au反射層303を形成して本実施例のアレイ型の発振器が作製される。
【0060】
(実施例2)
図4は、本発明を適用できる発振器を構成する一実施例を示すものである。本実施例において、負性抵抗素子411としては、半絶縁性InP基板402上に集積される共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いる。平面アンテナ412としては、実施例1と同様に、Ti/Pd/Auで構成されるスロットアンテナの電極パターンを用いる。反射面403はチタニアとアルミナとで構成した反射率に角度選択性のある多層膜とする。本実施例は、開口を設けずに、隣接する発振素子401へ比較的大きな反射を与え、且つ、出力パワー合成後の電磁波出力を基板裏面側へ放射させるための例を示すものである。
【0061】
図4(a)は半絶縁性InP基板402の断面構造の一部分を表す。ここで、負性抵抗素子411は三重障壁RTDであり、例えば、スペーサ層/障壁層/量子井戸層/障壁層/量子井戸層/障壁層/スペーサ層のような構成になっている。
【0062】
即ち、エミッタ側からコレクタ側へ順に、InGaAs(5.0nm)/AlAs(1.3nm)/InGaAs(7.6nm)/InAlAs(2.6nm)/InGaAs(5.6nm)/AlAs(1.3nm)/InGaAs(5.0nm)の半導体多層膜構造からなる。このようなRTD411は、フォトンアシストトンネルと呼ばれる現象に基づいてミリ波帯からテラヘルツ帯までの周波数領域で利得を有することで知られ、負性抵抗特性は利得と比例関係にあることが示されている。キャリアの選択はエミッタ層、コレクタ層のドーパントによって決定されるが、例えばSiをドーパントとして用いて電子濃度2×1018cm‐3のn-InGaAs(50nm)で構成する。こうしたRTD411は0.3V付近で約90kA/cm2のピーク電流密度を示し、0.3Vから0.6Vの間で負性抵抗特性を有する。更に、RTD311は上側と下側を半導体導電層423、424に挟まれるが、それぞれを、電子濃度1×1019cm‐3のn-InGaAs(30nm,400nm)で構成する。こうして実施例1と同様に、Ti/Pd/Au電極パターン421、422をそれぞれRTD411上側と下側で半導体導電層423、424に接するように構成すれば、RTD411の二端子はスロットアンテナ412の給電点に一致するようになる。
【0063】
図4(b)は半絶縁性InP基板402の主面上の一部分を表す。RTD411のメサ断面形状を3.5μm角とし、発振素子401におけるスロットアンテナ412は簡単のため、実施例1とほぼ同様とする。一部スロット413の形状のみ異なり、長さ50μm、幅6μmとして、個別の発振素子401において約0.3THzの発振出力60μW程度が得られることが計算される(計算手法については非特許文献1を参考にした)。
【0064】
さらに、本実施例でも出力パワーを合成するため、発振素子401を等間隔にn×n個の二次元アレイ化する。発振素子401の間隔は、例えば400μmを主面上の間隔とする。このようにすると、発振素子401が同期して同位相で動作したとき、基板402と垂直な方向に鋭いメインローブが形成されるブロードサイドアレイとなる。発振素子401を同位相で動作させるためには、半絶縁性InP基板402の基板厚さをあらかじめ調整し、基板裏面に反射面403を設ける。
【0065】
例えば、電気的長さθがπ×5となるように調整する場合、半絶縁性InP基板402の√eInP=√12=3.5、主面上の間隔400μmより単純計算する。すると、基板厚さd=296μmが0.3THzの出力パワー合成のために望ましいことがわかる。
【0066】
なお、405はそれぞれの発振素子401へ0.3Vから0.6Vの間の負性抵抗特性を有するようなバイアスを供給するためのバイアス供給線を表し、実施例1と同様である。
【0067】
実施例1と異なるのは、反射面403が多層膜(DBR型)となっていることである。多層膜403は、431のチタニア層√εTiO2=√109 、432のアルミナ層√εAl2O3=√12を交互に周期的に配置する。隣接する発振素子401へ比較的大きな反射を与えるためには、フレネルの反射式などを用いて各層の厚さを設定する。例えば、多層膜403は二周期として、入射角30度以上(0度を多層膜403への垂直入射とする)の反射率が大きくなるように計算すると、チタニア431が29μm、アルミナ432が135μmのとき図5のような反射率特性が得られる。
【0068】
こうした多層膜403は波長や角度を選択して隣接する発振素子401へ比較的大きな反射を与え、且つ、出力パワー合成後の電磁波出力を基板裏面側へ放射させることできる。このとき、さらに、指向性を向上させるために多層膜403の最終層に応じてチタニアまたはアルミナによる半球レンズ等を取り付けてもよいし、一般的なSiレンズ等を用いてもよい。また、多層膜403は上記のようにDBR型に限ることはなく、角度依存性が急峻で波長依存性の緩やかなファブリペロー型としてもよい。
【0069】
以上のような構造は、実施例1と同様に通常の半導体プロセスを用いることによって作製が可能であるが、多層膜403はプレス、焼成などを経るセラミックシート工法によって別途作製される。これらは406の固定部材などで貼り合わせて固定化され、本実施例の発振器が形成される。
【0070】
以上の実施例1、2において、負性抵抗素子としては共鳴トンネルダイオードを例にとって説明してきたが、ガンダイオード、エサキダイオードやその他の負性抵抗素子などに置き換えることも可能である。ガンダイオードやエサキダイオードはミリ波帯までの周波数領域で利得を有しており、同様の半導体プロセスによって作製することができる。
【0071】
基板主面上の発振素子の配置方法としては、ブロードサイドアレイを例にとって説明してきたが、他の方法の適用も可能である。例えば、基板主面と水平な方向に鋭いメインローブが形成されるエンドファイヤアレイとする配置方法に置き換えることも可能である。このためには、マイクロ波技術でよく知られるように、得たいメインローブの方角に沿って一波長の間隔をもって発振素子を配置する。エンドファイヤアレイとした場合、基板内で基板モードとして横に伝搬するモードを利用してもよい。このとき、発振出力は基板の端部から横方向に放射される。横方向の放射を制御するためにはさらに端面に反射層を設けてもよいし、端面を粗面として散乱させてもよい。
【0072】
また、負性抵抗素子の位置にショットキーバリアダイオードやマイクロボロメータなどの検出素子を置き換えた検出器としたフェイズアレイとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明を適用できる発振器における好ましい実施形態の構成を示した図。
【図2−1】本発明を適用できる発振器における好ましい実施形態の構成を示すための数値計算結果のグラフ。
【図2−2】本発明を適用できる発振器における好ましい実施形態の構成を示すための数値計算結果のグラフ。
【図2−3】本発明を適用できる発振器における好ましい実施形態の構成を示すための数値計算結果のグラフ。
【図3−1】本発明を適用できる発振器における実施例1の構成を示した図。
【図3−2】本発明を適用できる発振器における実施例1の構成を示した図。
【図4】本発明を適用できる発振器における実施例2の構成を示した図。
【図5】実施例2の多層膜の反射率特性を示した図。
【図6】本発明を適用できる発振器における好ましい実施形態の変形例の構成を示した図。
【図7】本発明を適用できる発振器における好ましい実施形態の変形例の構成を示した図。
【図8】従来例の発振器の構成を示した図。
【符号の説明】
【0074】
101、301、401、801 発振素子
102、302、402 基板
103、303、403 反射面(導電膜)
104、304、404 結合パス
111、311、411、811 負性抵抗素子
112、312、412 平面アンテナ(スロットアンテナ)
305、405 バイアス供給線
306 開口
313、413 スロット
321、322、421、422 電極パターン
323、324、423、424 電気的接点
403 反射面(多層膜)
406 固定部材
612 平面アンテナ(対数周期アンテナ)
712 平面アンテナ(ダイポールアンテナ)
802 オーバーモード導波管
803 バックショート(反射板)
812 導波管共振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負性抵抗素子と平面アンテナで構成される発振素子が、同一基板に複数個集積されている発振器であって、
前記基板の主面上に前記発振素子がアレイ状に配されており、
複数の前記発振素子同士で同期して発振される波長に対して、前記アレイ状に配された発振素子の、いずれかの発振素子のアンテナ中心から、反射面を経由して、隣接した発振素子のアンテナ中心へ至る電気的な長さの和θが、
θ=π(2m−1)(但し、πは円周率、mは自然数である)
を満たす位置に前記反射面を備えることを特徴とする発振器。
【請求項2】
前記反射面を前記基板の裏面に備えることを特徴とする請求項1に記載の発振器。
【請求項3】
前記反射面は、導電膜であることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の発振器。
【請求項4】
前記反射面は、角度選択性を持たせた多層膜であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発振器。
【請求項5】
前記反射面は、その一部に周期的な配列の開口部を有するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の発振器。
【請求項6】
負性抵抗素子を含み構成され、30GHzから30THzの周波数帯の電磁波を出力する発振素子を基板上に備えている発振器であって、
前記基板の第1の面側には、3つ以上の前記発振素子を有し、
前記第1の面に対向する第2の面側には、
前記発振素子間で、一方の前記発振素子から前記第2の面側に向かって出力される電磁波を反射して、他方の前記発振素子に入力して、相互に注入同期するための反射手段を有することを特徴とする発振器。
【請求項7】
前記基板の第1の面側には、前記発振素子は、アレイ状に等間隔で設けられていることを特徴とする請求項6記載の発振器。
【請求項8】
前記反射手段は、前記第1の面に平行な反射面を有することを特徴とする請求項6記載の発振器。
【請求項9】
前記基板上には、前記負性抵抗素子と平面アンテナを含み構成されている前記発振素子が複数個集積されており、
前記発振素子の発振波長に対して、一方の該発振素子のアンテナ中心から、前記反射手段を経由して、隣接する他方の該発振素子のアンテナ中心へ至るまでの電気的な長さの和θが、
θ=π(2m−1)(但し、πは円周率、mは自然数である)
となるように前記反射手段が前記第2の面側に設けられていることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の発振器。
【請求項10】
前記反射手段は、導電膜であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の発振器。
【請求項11】
前記反射手段は、角度選択性を持たせた多層膜からなることを特徴とする請求項6から10のいずれか1項に記載の発振器。
【請求項12】
前記反射手段は、前記第2の面側の該第2の面に平行な方向に、周期的な間隔で設けられていることを特徴とする請求項6から11のいずれか1項に記載の発振器。
【請求項13】
前記基板は、前記発振素子が設けられている位置における、前記第1の面と前記第2の面との間隔が等しい平板状の基板であることを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載の発振器。

【図1】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−306523(P2008−306523A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152375(P2007−152375)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)