説明

発熱体及び発熱体包装物

【課題】 発熱特性を改良し、資源の無駄を省き、コストの低減を図った発熱体包装物を提供する。
【解決手段】 空気と接触して発熱する発熱組成物を、通気性を有する部材により被覆して表裏の両側に膨出するようにして形成された区分発熱部を、区分け部を介して複数設け、所定の区分け部において、通気性を有する部分を内側にして折り畳むことができるようにし、前記折り曲げられる区分け部の幅を、その両側の区分発熱部の厚さの和の0.5倍より大きくなるように構成した発熱体としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の存在下で発熱する発熱組成物を含有する、複数の区分発熱部が区分け部による間隔を置いて設けた発熱部を有する発熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
通気性を有する袋に空気の存在下で発熱する発熱組成物を収容した発熱体は、使用時に気密性(非通気性)の外袋から取り出すことにより、火を使わずに適度の温熱を迅速に得ることができ、携帯に便利で、簡便に使用することができる。そのため、使い捨てカイロや医療用温湿布等として広く用いられている。
【0003】
このような発熱体には、使用に際して発熱体が所望の部位に密着して移動しないようにする手段を備えたものがあり、広範に使用されている。例えば、粘着剤層を有しない使い捨てカイロや内袋の外表面に粘着性部分を有するいわゆる「貼るタイプ」の使い捨てカイロや、人体に直接貼付可能なプラスタータイプの、粘着層又はゲル湿布層を有する温湿布等の発熱体がある。これらの発熱体は、その粘着性部分、ゲル層及び湿布層が使用時まで剥離性部材によって覆われた状態で気密性外袋に収容されている。そのため、使用に際しては、まず外袋の一部を切り取るか裂け目を入れることにより外袋を開封して、発熱体を取り出し、特に貼るタイプのカイロや温湿布は。更に発熱体から剥離性部材をはがしてから、所望の部位に貼付することにより、使用が開始される。
また、発熱体も従来のやや小さめのものから大型化した発熱体の市場要求が高まってきた。また、従来にない柔軟性を有した発熱体の要求も高まっている。
【0004】
しかし、上記の発熱体の大型に伴って、外袋も大きくなり、水分の飛散量の増加等による発熱持続時間の減少、コスト高、廃棄包材の増加があった。また、ゴミの低減も叫ばれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、発熱特性を改良し、資源の無駄を省き、コストの低減を図った発熱体包装物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意研究を重ね、上記問題点を解決して、本発明を完成した。
即ち、本発明の発熱体は、請求項1に記載の通り、空気と接触して発熱する発熱組成物を、通気性を有する部材により被覆して表裏の両側に膨出するようにして形成された区分発熱部を、区分け部を介して複数設け、所定の区分け部において、通気性を有する部分を内側にして折り畳むことができるようにし、前記折り曲げられる区分け部の幅を、その両側の区分発熱部の厚さの和の0.5倍より大きくなるように構成した発熱体としたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発熱体において、前記区分発熱部は、4個以上あることを特徴とする。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載の発熱体において、前記区分発熱部は、ストライプ状に設けられていることを特徴とする。
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発熱体において、前記発熱体の露出部の少なくとも一部に固定手段を有することを特徴とする。
また、請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の発熱体において、前前記固定手段は、粘着剤層であり、その上に、セパレータを設けることを特徴とする。
また、本発明の発熱体包装物は、請求項6に記載の通り、請求項1乃至5の何れかに記載の発熱体を、気密性外袋に収容し、前記気密性外袋の内表面に、180度ピール強度(JISZ−0237)が、0.001〜0.9kg/25mmの範囲で仮着されていることを特徴とする。
【0007】
以下に、本発明の好ましい態様について説明する。
本発明の発熱体包装物は、4個以上複数の区分発熱部が区分け部を間隔として、間隔をおいて設けられている発熱体が、通気性を有する部分を内側にして2つ以上複数に折り畳まれて、ヒートシールされた機気密性外袋に封入されている発熱体包装物であって、該各区分発熱部が該区分け部に対して、両側に膨出する両側膨出状に形成され、発熱部の両面が凹凸状の面であり、該発熱体が該機気密性外袋に固定されておらず、該発熱体が、該区分発熱部は空気と接触して発熱する発熱組成物を含有し、該区分け部は発熱組成物を含有しないシール部であり、発熱体に存在する折り畳み部にあたる区分け部の幅はその両側の区分発熱部の厚さの和の0.5倍より大に形成されていることが好ましい。
また、発熱体包装物は、前記区分発熱部が4個以上複数の区分発熱部であることが好ましい。
また、発熱体包装物は、前記区分発熱部がストライプ状であることが好ましい。
また、発熱体包装物は、前記発熱体の露出部の一部に固定手段を有することが好ましい。
また、発熱体包装物は、前記発熱体の少なくとも一部が、前記気密性外袋の内表面の少なくとも一部に、180度ピール強度(JISZ−0237)が、0.001〜0.9Kg/25mmの仮着がされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の通り、発熱体を通気性面を内側にして2つ以上複数に折り畳まれ気密性の外袋に封入することにより、気密性包材を節約し、保存時の発熱体の劣化を防止し、長時間安定した保存ができ、大型サイズの発熱体もコンパクトになり、持ち運びもに便利であり、安定した気密性の外袋への安定した収納、簡易に使用を開始でき、製造コストが安価になり、運送上も有利になる。
また、本発明では、通気性面を内側にして折り畳むようにしたので、発熱組成物中の水分の蒸発量が少なく、保存中に発熱体が劣化することを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の「折り畳む」とは、少なくとも折り畳み部の先端等の一部が非折り畳み部の領域に接触していることをいう。
また、発熱体の折り畳み部にあたる区分け部の幅はその両側の区分発熱部の厚さの和の0.5倍より大に形成されている。即ち、折り畳まれる区分け部の幅がCであり、その両側の区分発熱部の高さがそれぞれA、Bとすると、Cと(A+B)との比、即ち、にC/(A+B)は、通常0.5以上であり、好ましくは0.5〜10であり、より好ましくは0.55〜10であり、より好ましくは0.6〜10であり、より好ましくは0.7〜10であり、より好ましくは1.0〜10であり、更に好ましくは1.2〜10であり、更に好ましくは1.2〜5であり、更に好ましくは1.2〜3である。
【0010】
本発明の発熱体に使用される、発熱組成物としては、成形性があり、発熱組成物中の水分が空気遮断層として機能せず、空気(酸素)と接触して発熱する発熱組成物であれば制限はないが、鉄粉、炭素成分、反応促進剤及び水を必須成分とし、易動水値が0.01以上〜14未満の余剰水を含有し、発熱組成物中の水分が空気遮断層として機能せず、製造直後、風のない20℃の環境下の空気中に放置後5分以内に2℃の温度上昇がある発熱をする成形性含余剰水の発熱組成物が好ましい。
【0011】
前記成形性含余剰水の発熱組成物は、上記成分の他に、保水剤、吸水性ポリマー、水素発生抑制剤、pH調整剤、骨材、機能性物質、成形助剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン、両性イオン、アニオン、カチオンの界面活性剤、ポリエチレンやポリプロピレン等の疎水性高分子化合物、ジメチルシリコーンオイル等の有機ケイ素化合物、焦電物質、セラミック等の遠赤外線放射物質、トルマリン等のマイナスイオン発生剤、FeCl等の発熱助剤、ケイ素やアルミニウム等の鉄以外の金属、二酸化マンガン等の酸化鉄以外の金属酸化物、塩酸やマレイン酸や酢酸等の酸性物質、パルプ等の繊維状物、尿素等の肥料成分、グリセリンやD−ソルビトール等の保湿剤、離型剤又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも一種を含有してもよい。
尚、本発明の発熱組成物の成分は、従来より開示されている又市販されている又は公知の使い捨てカイロや発熱体に使用される発熱組成物の如何なる成分をも適宜選択して使用できる。
【0012】
前記発熱組成物は、その配合割合は特に限定されるものではないが、鉄粉100重量部に対して、炭素成分1.0〜50重量部、反応促進剤1.0〜50重量部、水1.0〜60重量部を必須成分とする混合物である。
更に、前記発熱組成物に下記のものを下記の配合割合で加えてもよい。
即ち、鉄粉100重量部に対して、保水剤0.01〜10重量部、吸水性ポリマー0.01〜20重量部、pH調整剤0.01〜5重量部、水素発生抑制剤0.01〜12重量部、鉄以外の金属1.0〜50重量部、酸化鉄以外の金属酸化物1.0〜50重量部、界面活性剤0.01〜5重量部、疎水性高分子化合物、骨材、繊維状物、機能性物質、有機ケイ素化合物、焦電物質はそれぞれ0.01〜10重量部、保湿剤、肥料成分、発熱助剤はそれぞれ0.01〜10重量部、成形助剤、離型剤はそれぞれ0.001〜5重量部、酸性物質0.01〜1重量部である。尚、磁性体を更に配合するようにしてもよく、配合割合は所望により適宜決めればよい。
尚、この配合割合は、反応混合物、発熱混合物にも適用することができる。また、反応混合物の易動水値は通常0.01未満である。
【0013】
前記「製造直後、風のない20℃の環境下の空気中に放置後5分以内に2℃の温度上昇がある発熱をする」とは、製造後24時間放置等の熟成期間をおかず、製造直後、風のない20℃の環境下の空気中で、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルムやシート等の非吸水性素材の上に発熱組成物を放置したときに、5分以内に前記発熱組成物が2℃の温度上昇がある発熱をすることである。
下記発熱組成物温度上昇測定方法において、5分以内の温度上昇分が、好ましくは2℃以上あり、より好ましくは5℃以上あり、更に好ましくは10℃以上あり、更に好ましくは、20℃以上であり、更に好ましくは3分以内に温度の上昇分が10℃以上である。
ここで、発熱組成物温度上昇測定方法は、製造直後の発熱組成物や発熱組成物成形体を使用し、風のない、周囲温度20±1℃の条件下、試料が測定時、空気と接触できる状態で測定する。
1.発熱組成物の場合
1)脚付き支持台の塩化ビニル製支持板(厚さ5mm×長さ600mm×幅600mm)の裏面の中央部付近に成形型の抜き穴形状を覆うように磁石を設ける。
2)温度センサーを支持板中央部上に置く。
3)厚さ約80μmの粘着剤層付き厚さ25μm×長さ250mm×幅200mmのポリエチレンフィルムの中央がセンサーのところにくるようにして、粘着剤層を介して支持板に貼り付ける。
4)前記ポリエチレンフィルムの中央部上に、長さ80mm×幅50mm×高さ3mmの抜き穴を持つ長さ250mm×幅200mmの型板を置き、その抜き穴付近に試料を置き、押し込み板を型板上に沿って動かし、試料を押し込みながら抜き穴へ入れ、型板面に沿って、試料を押し込みながら擦り切り(型押し込み成形)、型内に試料を充填する。次に、支持板下の磁石を除き、温度測定を開始する。
発熱温度の測定はデータコレクタを用い、測定タイミング2秒で、10分間温度測定をし、3分後の温度をもって、発熱立ち上がり性を判定する。
2.発熱組成物成形体の場合、
1)〜3)は発熱組成物の場合と同じである。
4)前記ポリエチレンフィルムの中央部上に、発熱組成物成形体を置き、温度測定を開始する。
発熱温度の測定はデータコレクタを用い、測定タイミング2秒で、10分間温度測定をし、0分時、1分時、3分時、5分時、6分時、7分時の温度を測定し、5分以内の温度で、発熱性を判定する。
【0014】
前記鉄粉とは、通常の鉄粉、鉄合金粉、鉄粉の表面の少なくとも一部に酸素含有皮膜を有する鉄粉又は鉄合金粉からなる活性鉄粉が好ましい。尚、鉄酸化物皮膜とは、鉄の酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物等の酸素を含む鉄からなる皮膜である。また、活性鉄粉とは、鉄粉表面に鉄酸化物皮膜を少なくとも局部的に形成したもので、地鉄と鉄酸化物皮膜間に形成される局部電池や鉄酸化物皮膜内外のピットによる酸化反応促進効果が得られるものである。
前記鉄粉は、限定はされないが、鋳鉄鉄粉、アトマイズ鉄粉、電解鉄粉、還元鉄粉、スポンジ鉄粉及びそれらの鉄合金粉等が一例として使用できる。更に、これら鉄粉が炭素や酸素を含有していてもよく、また、鉄を50%以上含む鉄で、他の金属を含んでいてもよい。合金等として含まれる金属の種類は鉄成分が発熱組成物の成分として働けば特に制限はないが、アルミニウム、マンガン、銅、ニッケル、ケイ素、コバルト、パラジウム及びモリブデン等の金属、半導体が一例として挙げられる。本発明の金属には半導体も含める。これらの金属及び合金は表面のみ又は内部のみに有していても表面と内部との両方に有していてもよい。
本発明の鉄粉において、前記鉄以外の金属の含有量は、鉄粉全体に対して通常0.01〜50重量%であり、好ましくは0.1〜10重量%である。
【0015】
前記水としては、適当なソースからのものでよい。その純度及び種類等には制限はない。水の含有量は、発熱組成物の場合、好ましくは発熱組成物の1〜70重量%を含有する。
また、酸化性ガスによる接触処理をする前の反応混合物及び発熱混合物の場合、好ましくは反応混合物又は発熱混合物の0.5〜20重量%を含有する。
【0016】
前記炭素成分としては、炭素を成分としたものであれば制限はない。特に、吸着保持能を有する活性炭が好ましい。
【0017】
前記反応促進剤としては、発熱物質の反応促進ができるものであれば制限はない。金属ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属硫酸塩類等が一例として挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化ナトリウム等が一例として挙げられる。
【0018】
前記保水剤としては、保水できれば制限はない。木粉等が一例として挙げられる。
【0019】
前記吸水性ポリマーとしては、架橋構造を有し、かつ自重に対するイオン交換水の吸水倍率が3倍以上の樹脂であれば特に限定されるものではない。また、表面を架橋したものでもよい。従来公知の吸水性ポリマーや市販のものも用いることもできる。
吸水性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸架橋体等が一例として挙げられる。
【0020】
前記pH調整剤としては、pHが調整できれば制限はない。アルカリ金属の弱酸塩、水酸化物等、或いは、アルカリ土類金属の弱酸塩、水酸化物等があり、Ca(OH)等が一例として挙げられる。
【0021】
前記水素発生抑制剤としては、水素の発生を抑制するものであれば制限はない。イオウ化合物、酸化剤、アルカリ性物質、イオウ、アンチモン、セレン及びテルルからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種以上からなるものが一例として挙げられる。尚、イオウ化合物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属との化合物で、硫化カルシウム等の金属硫化物、亜硫酸ナトリウム等の金属亜硫酸塩やチオ硫酸ナトリウム等金属チオ硫酸塩等が一例として挙げられる。
【0022】
前記骨材としては、充填剤として有用であり、及び/又は、発熱組成物の多孔質化に有用であれば制限はない。化石サンゴ(サンゴ化石、風化造礁サンゴ等)、竹炭、備長炭等が挙げられる。
【0023】
成形助剤とは、水分との組み合わせにより、含余剰水発熱組成物の成形性を改善する成形性改善剤である。
【0024】
成形助剤としては、水溶性又は親水性があり、含余剰水発熱組成物の成形性を改善するものであれば制限はないが、ブドウ糖、果糖、ソルビトール、マルトース、ラクトース、サッカロース、トレハロース、ペクチン等の糖類、マンニトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール類、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、コーンスターチ、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシルメチルスターチ、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、プルラン糖のデンプン類、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ステアリン酸塩、ポリアクリル酸ナトリウム、寒天、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンシロップ、マンニットシロップ、カラギーナン、トラントガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジュランガム、プルラン、ガードラン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、大豆蛋白質、小麦蛋白質、アラピノガラクタン、グアガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、タラガム、トラガカントゴム、ポリ−N−ビニルアセトアミド、アクリル酸−デンプン共重合体、微晶質セルロース、N−ビニルアセトアミド共重合体、ベントナイト、カオリン、珪酸ソーダ、塩化カルシウム、モンモリロナイト、珪酸アルミニウム又はポリ酢酸ビニルエマルジョン等の水分散エマルジョン等の単独又は組み合わせの使用が一例として挙げられる。
【0025】
前記離型剤としては、制限はないが、鉱物油、合成油、動植物油等で構成される潤滑油、グリース、天然ワックス、合成ワックス等の高粘性潤滑油、シリコーンオイル、フッ素樹脂、ステアリン酸、ステアリン酸塩類等が一例として挙げられる。
【0026】
機能性物質として、具体的に一例を挙げれば、酸性ムコポリサッカライド、カミツレ、セイヨウトチノキ、イチョウ、ハマメリスエキス、ビタミンE、ニコチン酸誘導体、アルカロイド化合物等の血行促進剤;セイヨウトチンキ、フラボン誘導体、ナフタリンスルホン酸誘導体、アントシアニジン、ビタミンP、きんせんか、コンコリット酸、シラノール、テルミナリア、ビスナガ、マユス等のむくみ改善剤;アミノフィリン、茶エキス、カフェイン、キサンテン誘導体、イノシット、デキストラン硫酸誘導体、セイヨウトチノキ、エスシン、アントシアニジン、有機ヨウ素化合物、オトギリ革、シモツケ革、スギナ、マンネンロウ、朝鮮人参、セイヨウキヅタ、チオムカーゼ、ヒアルウロニダーゼ等のスリム化剤;インドメタシン、dl−カンフル、ケトプロフェン、ショーガエキス、トウガラシエキス、ピロキシカム、フェルビナック、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール等の鎮痛剤;ラベンダー、ローズマリー、シトロン、ジェニパー、ペパーミント、ユーカリ、ベルガモット、イランイラン、ローズウッド、オレンジ等の香料等が挙げられ、一種以上を用いることができる。
【0027】
前記経皮吸収性薬物としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、皮膚刺激剤、サリチル酸やインドメタシン等の沈痛消炎剤、中枢神経作用剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利尿剤、血圧降下剤、蓮血管拡張剤、鎮咳去疾剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤等が挙げられる。これら薬剤は、一種又は必要に応じて二種以上配合されて用いられる。
【0028】
本発明の発熱組成物成形体は、通常、区分発熱部と相似形又はその類似形であり、本発明の発熱組成部成形体は発熱組成部成形体及び圧縮された発熱組成物成形体である発熱組成物圧縮体の双方を意味する(以下、発熱組成物成形体は発熱組成物圧縮体を含む)。
【0029】
相似形とは、区分発熱分の形状と、発熱組成物成形体の形状が平面形状、立体形状に置いて、平面形状が相似形である。又は平面形状及び立体形状が相似形である。ただし、通常、発熱部及び区分発熱部は周縁部がシールされており、その周縁部が曲面的になっており、一方、発熱組成物成形体はその周縁部が直線的になっていても、円と長方形のように、双方が大きく形状が異なることがなければ、発熱部及び区分発熱部と発熱組成物成形体とは、相似形とみなす。その類似形も相似形に含む。
【0030】
本発明の成形性含水発熱組成物の易動水値(0〜100)は、好ましくは0.01以上〜14未満であり、より好ましくは0.01〜13であり、更に好ましくは0.01〜12であり、更に好ましくは0.01〜12であり、更に好ましくは0.01〜11であり、更に好ましくは1〜11であり、更に好ましくは3〜11である。14を超えると発熱特性が悪化し、更に大きくなると成形後吸水や脱水等により発熱組成物成形体から余剰水を除かないと発熱しなくなる。
【0031】
本発明の発熱組成物を構成する成分中、反応促進剤と水溶性物質と水を除く固形成分の最大粒径は好ましくは1mm以下であり、より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは300μm以下であり、更に好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは100μm以下である。
且つ、発熱組成物を構成する成分中、反応促進剤と水溶性物質と水を除く非水溶性固形成分の80%以上の粒径が、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは250μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、更に好ましくは150μm以下であり、更に好ましくは90%以上の粒径が150μm以下であり、更に好ましくは90%以上の粒径が100μm以下である。
尚、発熱組成物の成形性及び保形性は反応促進剤と水溶性物質と水を除く非水溶性固形成分の粒径が小さければ小さいほど良くなる。
【0032】
本発明の発熱体は発熱組成物を成形した発熱組成物成形体を基材に積層し、更に被覆材で覆い、発熱組成物成形体の周縁部をシールしたものであり、発熱体の発熱部が4個以上複数個の区分発熱部が区分け部により間隔をおいて設けられている発熱部からなる区分発熱部発熱体である。
これらの発熱体はその露出部の少なくとも一部に固定手段を有してもよい。
【0033】
前記発熱組成物成形体とは、発熱組成物から成形され、一定の形状をした成形体であり、少なくとも基材上に積層でき、基材上で形状が保たれておればよい。
また、風のない空気中、20℃の環境下、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の非吸水性フィルムやシートの上に放置し、5分以内に発熱反応を起こす。
【0034】
本発明の区分発熱部発熱体とは、発熱組成物成形体を収容する区分発熱部と発熱組成物成形体を収容しない区分け部とからなり、3個以上好ましくは4個以上複数個の区分発熱部が区分け部を間隔として、間隔をおいて設けられている発熱部を有する発熱体である。発熱体の少なくとも一部は通気性を有する。
前記区分発熱部は、前記発熱組成物成形体を収納し、前記区分け部がシール部であり、前記区分発熱部が区分け部を間隔として間隔をおいて設けられる発熱体である。
【0035】
前記発熱組成物成形体又は区分発熱部の形状は如何なるものでもよいが、平面形状で、円、楕円、フットボール形、三角形、正方形、長方形、六角形、多角形、星形、花形、リング形等が一例として挙げられる。立体形状では、ディスク状、ピラミッド状、球状、立方体状、多角錐形状、円錐形状、錐台形状、球形状、平行六面体形状、円筒体形状、長方形状平行六面体形状、多面体形状、楕円体形状、半円柱体形状、半楕円柱体形状、蒲鉾形状体、円柱体形状、楕円柱体形状等が一例として挙げられる。
また、これらの形状は角部にアールを設け、角部を曲線状や曲面状にしてもよいし、中央部等に凹部があってもよい。
【0036】
発熱体の形状と区分発熱部の形状と発熱部の形状は同じ形状を取る必要はなく、異なった形状を形成していてもよい。
例えば、ストライプ状に設けられた区分発熱部を有する発熱体の場合、区分発熱部形状が平面形状で細長い長方形である平行六面体形であり、スジ状(ストライプ状)に間隔を置いて配置されており、発熱体形状が長方形である発熱体や繭形である発熱体、足形である発熱体等が一例として挙げられる。
また、他の例としては、区分発熱部の形状が平面形状で楕円形であり、間隔を置いて配置されており、発熱体形状が繭形である発熱体や長方形である発熱体等が一例として挙げられる。
【0037】
本発明の発熱部を「ストライプ状に設ける」とは、複数の区分発熱部が、スジ状に間隔をおいて(平行線状に)設けられたものである。
1本のスジは1個の区分発熱部により構成されていることが好ましい。
また、下記の条件を満たしていれば、1本のスジは2個以上の区分発熱部と1個以上の区分け部とから構成されていてもよい。
Tは、T≧2Sであり、好ましくは、T≧2.5Sである。
Pは、P≦Tであり、好ましくは、P≦0.5Tである。
T :1個の区分発熱部の長さ
S :1個の区分発熱部の幅
P : 区分け部の長さ
一例として、平行縞状(縦縞、横縞、斜め縞、縦波縞、横波縞、斜め波縞等)に区分発熱部からなるスジを配置することをいう
【0038】
前記区分発熱部又は前記発熱組成物成形体のサイズは制限はないが、好ましいサイズは以下の通りである。
1)円形状、ディスク形状及びディスク類似形状の場合
直径は、好ましくは約1mm〜約60mmであり、より好ましくは2mm〜50mmであり、更に好ましくは10mm〜40mmであり、更に好ましくは20mm〜30mmである。 高さは、好ましくは0.1mm〜20mmであり、より好ましくは0.3mm〜20mmであり、更に好ましくは0.5mm〜20mmであり、更に好ましくは1mm〜20mmであり、より好ましくは1.5mm〜10mmであり、更に好ましく3mm〜9mmであり、更に好ましくは4mm〜8mmであり、更に好ましくは5mm〜7mmである。

容積は、好ましくは約0.0045cm〜約20cmであり、より好ましくは約0.2cm〜約11cmである。
2)前記1)以外の形状(矩形、矩形類似形状等)である場合
幅は、好ましくは0.5mm〜60mmであり、より好ましくは0.5mm〜50mmであり、好ましくは0.5mm〜50mmであり、更に好ましくは1mm〜50mmであり、更に好ましくは3mm〜50mmであり、更に好ましくは3mm〜30mmであり、更に好ましくは5mm〜20mmであり、更に好ましくは5mm〜15mmであり、更に好ましくは5mm〜10mmである。
また、高さは、好ましくは0.1mm〜30mmであり、より好ましくは0.1mm〜20mmであり、更に好ましくは0.1mm〜10mmであり、更に好ましくは0.3mm〜10mmであり、更に好ましくは0.5mm〜10mmであり、更に好ましくは1mm〜10mmであり、更に好ましくは2mm〜10mmである。
また、長さは、好ましくは5mm〜300mmであり、より好ましくは5mm〜200mmであり、より好ましくは5mm〜100mmであり、更に好ましくは20mm〜150mmであり、更に好ましくは30mm〜100mmである。
また、表面積は区分発熱部としての機能を有すれば制限はないが、好ましくは約50cm以下であり、より好ましくは約40cm以下であり、更に好ましくは約25cm未満であり、更に好ましくは20cm未満である。
前記区分発熱部の容積又は発熱組成物成形体の容積は、好ましくは0.015cm〜500cmであり、好ましくは0.04cm〜500cmであり、より好ましくは0.04cm〜30cmであり、更に好ましくは0.1cm〜30cmであり、更に好ましくは1cm〜30cmであり、更に好ましくは1.25cm〜20cmであり、更に好ましくは1.25cm〜10cmであり、更に好ましくは3cm〜10cmである。
【0039】
前記区分発熱部において、発熱組成部物収納領域である区分発熱部に発熱組成物成形体が収容された時に、発熱組成物成形体占有領域である発熱組成物成形体の容積積と発熱組成物収納領域である区分発熱部の容積との容積比は通常0.6〜1であり、好ましくは0.7〜1であり、より好ましくは0.8〜1であり、更に好ましくは0.9〜1である。
【0040】
区分発熱部は、少なくとも2つの対面する表面、好ましくはフィルム層基材表面有する統一した構造に形成され、その際少なくとも1つの表面は酸素(空気)透過性であり、発熱組成物成形体が収納されたとき、
発熱組成物成形体容積、空間容積、区分発熱部容積は、次の関係を有する。発熱組成物成形体容積は、発熱組成物成形体自身の容積であり、空間容積は区分発熱部内で、発熱組成物成形体に占められていない容積であり、区分発熱部容積は区分発熱部の容積であり、空間容積と発熱組成物成形体容積の和である。
【0041】
前記区分け部の幅は区分発熱部を間隔を置いて設けることができる区分けができれば制限はないが、通常0.1mm〜50mmであり、好ましくは0.3mm〜50mmであり、より好ましくは0.3mm〜50mmであり、更に好ましくは0.3mm〜40mmであり、更に好ましくは0.5mm〜30mmであり、更に好ましくは1mm〜20mmであり、更に好ましくは3mm〜10mmである。
【0042】
ここで、本発明における基材と被覆材は素材構成で区別するのではなく、発熱組成物成形体が積層される素材を基材と定義し、その後、基材や発熱組成物成形体に被せられる素材を被覆材と定義する。
基材と被覆材はヒートシール可能な熱可塑性樹脂フィルムやシート等の包材からなることが好ましく、通常、基材は非通気性であり、被覆材は通気性である。しかし、基材が通気性であり、被覆材は非通気性でもかまわなし、双方が通気性を有していてもよい。
【0043】
発熱組成物を収容し、基材及び被覆材から構成される収納袋である内袋を構成する包材は、従来公知である包材が使用できる。また、発熱体を封入収納する非通気性収納袋である外袋も従来公知である包材が使用できる。
前記包材には通気性包材、非通気性包材、伸縮性包材、非伸縮性包材、吸水性包材、非吸水性包材等が一例として挙げられる。
尚、本発明の発熱発熱体に使用される包装材は、従来より開示されている又市販されている又は公知の使い捨てカイロや発熱体に使用されている如何なる包装材をも適宜選択して使用できる。
本明細書において、通気性内袋という場合、内袋の少なくとも一部に通気性を有する部分があればよい。
通気性包材としては、一般に多孔質フィルム、機械的に穿孔した有孔非通気性フィルム、紙、織布、不織布等の基材又は被覆材が、単層又は複層で使用されている。ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、レーヨン等のフィルム状物やそれらと不織布とのラミネートした通気性シートが一例として挙げられる。
【0044】
内袋の包材の通気性は、リッシー法(JIS K−7129A法)による透湿度で,好ましくは50〜10,000g/m/24hrであり、より好ましくは100〜5,000g/m/24hrであり、更に好ましくは100〜600g/m/24hrであり更に好ましくは150〜500g/m/24hrである。
これらの範醜より通気性が低い又は透湿度が低いと、発熱量が不充分になり易く、一方、通気性が高い又は透湿度が高いと、発熱体の最高温度が高くなりすぎ、人体に熱傷を負わせる危険性があるためである。
【0045】
前記非通気性包材としては、非通気性であれば特に制限はないが、KOP(塩化ビニリデンコート2軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のKコート(塩化ビニリデンコート)フィルム、蒸着フィルム(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素等の酸素や窒素等との金属化合物又はアルミのような金属を蒸着したフィルム)等の単層又は積層フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリスチレン、天然ゴム、再生ゴム及び合成ゴム鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ポリマーからなるフィルム、シート、塗布物及びそれらに酸化ケイ素等の金属(半導体も含む)化合物を積層したものやそれらを使った複合素材が一例として挙げられる。
【0046】
伸縮性を有する材料としては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、ウレタン等の合成ゴム、0.88〜0.900g/cmの密度から選ばれる非晶性オレフィン系樹脂を原料としたフィルム、開孔フォームフィルム、ネット、発泡フォームシート、伸長性不織布等が一例として挙げられる。
非伸長性の材料に伸長性を付与して使用してもよい。
伸長性を付与する他の方法としては、切れ目線、円状に切り抜く等の方法も使用できる。
【0047】
以下で説明するように、内袋の露出面に少なくとも一部に固定手段を設けてもよい。
固定手段としては、関節周囲部用温熱包装体や発熱部を有するものを所要部に固定できる固定能力を有するものであれば制限はない。取り外し可能な固定手段が好ましい。
前記固定手段として一般的に採用されている、粘着剤層、鍵ホック、ホックボタン、ベルクロ等の面ファスナー(マジックテープ(登録商標))、マグネット、バンド、ひも等及びそれらを組み合わせたものを任意に使用できる。
尚、バンドの場合、面ファスナーと粘着剤層との組み合わせで調整用固定手段を更に構成しても構わない。
また、使用されるまでの間の保護としてセパレータを固定手段に重ね合わせることもできる。前記セパレータには背割り等の切り込み等を設けてその剥離が容易となるようにしてもよい。
【0048】
前記粘着剤層は、保水剤、吸水性ポリマー、pH調整剤、界面活性剤、有機ケイ素化合物、疎水性高分子化合物、焦電物質、酸化防止剤、骨材、繊維状物、保湿剤、機能性物質又はこれらの混合物からなる付加的な成分から選ばれた少なくとも1種を含有してもよい。
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、皮膚や衣服に付着するに必要な粘着力を有するものであれば、制限はなく、溶剤系、水性系、エマルジョン型、ホットメルト型、反応性、感圧系、或いは、非親水性粘着剤、混合粘着剤、親水性粘着剤(ジェル等)等の各種形態が用いられる。粘着剤は公知のカイロや発熱体に使用される粘着剤が使用できる。
また、粘着剤層としては、通気性を有するものであっても、通気性を有しないものであってもよい。用途に応じて適宜選択をすればよい。通気性としては、全体として通気性があればよい。例えば、部分的に粘着剤が存在し、部分的に粘着剤の存在しない部分があり、領域全体として通気性がある粘着剤層が一例として挙げられる。
通気性の基材及び/又は被覆材に粘着剤をそのまま層状に積層するにあたり、その通気性を維持する方法としては、例えば、粘着剤を印刷、或いは、転写により、粘着剤層を部分的に積層し、その非積層部を通気部とする方法と、粘着剤を糸状に円を描きながら、一方向に移動させたり、ジグザグに移動させたりする等適宜二次元方向に運行させ、その糸状の粘着剤の隙間が通気性ないし透湿性を推持させたり、粘着剤を発泡させる方法やメルトブロー方式で形成された層とが一例として挙げられる。
粘着剤層を構成する粘着剤は、従来から用いられてる公知のものが用いることができる。
具体的に言えば、粘着剤として、スチレン等の芳香族ビニルポリマー及びブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル若しくはアルケニル(メタ)アクリレートを含有する共重合体とスチレン等のスチレン樹脂との混合物である(メタ)アクリレートスト系粘着剤やスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、又はこれらの水添タイプ(SEBS、SIPS)等のスチレン系粘着剤等ホットメルト系の粘着剤やアクリル系粘着剤等が一例として挙げられる。
前記親水性粘着剤の構成成分としては、従来から用いられてる公知のものが用いられる。
具体的に言えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース等のポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、セルロース誘導体等の親水性高分子増粘剤を主要成分として構成される親水性粘着剤が一例として挙げられる。
仮着シール部は、粘着層を介して形成されるが、粘着層を構成する粘着剤は常温でタックがある高分子組成物で形成された層で、仮着後ヒートシールできれば限定はない。
また、仮着に使用される粘着層を構成する粘着剤は粘着剤層の粘着剤が使用できる。
非親水の粘着剤が好ましい。粘着層を構成する粘着剤はヒートシール層を構成するヒートシール材ヒートシール材と相溶性が良く、粘着剤のベースポリマーの融点はヒートシール材の融点以下が好ましい。特に、ホットメルト系接着剤にはホットメルト系粘着剤が好ましい。また、ヒートシール材がオレフィン系の素材である場合は粘着剤としては、オレフィン系の粘着剤が好ましい一例として挙げられる。
また、粘着剤層、粘着層、接着層の設ける方法については、制限はなく、全面に設けても、固定するのに必要な領域のみに設けても、部分的や間欠的に設けてもよい。網目状、ストライプ状、ドット状、格子状、縞状、帯状等、各種形状が一例として挙げられる。特にメルトブロー法で網状(蜘蛛の巣状)に設けたものは有用である。
粘着剤層を縞状、ドット状等に形成すれば、その配置密度を変化させることで粘着力を容易に調整することができ、また肌に直接貼り付けて使用する場合には肌と非通気性シートとの間で通気性が確保できる。
また、粘着剤層を親水性粘着剤層にした場合、前記親水性粘着剤層と発熱組成物成形体との間に水分保持力の差がある場合にはその間にある基材等の包材を介して、水分の移動が起こり、双方に取って、不都合が起こる。特に保存中に多く起こる。これを防止するために、これらの間に介在する包材は、透湿度が、少なくとも、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、2g/m/day以下であることが好ましい。これを使用することにより、発熱体を非通気性収納袋である外袋に収納し保存する場合、水分移動が防げる。
粘着剤層に親水性粘着剤層を使用した場合、発熱組成物成形体と親水性粘着剤層との間に設けられた防湿性包装材の透湿度は、発熱性能に影響しない範囲で、水分の移動が防止できれば制限はないが、リッシー法(Lyssy法)による透湿度で、好ましくは2g/m/day以下であり、より好ましくは1.0g/m/day以下であり、更に好ましくは0.5g/m/day以下であり、更に好ましくは0.01〜0.5g/m/dayである。ここで、大気圧下、40℃、90%RHという条件下の値である。尚、前記防湿性包装材は基材や被覆材としても使用できるし、単独で基材や被覆材等に積層してもよい。
【0049】
粘着剤層は、外袋の内表面に直接接しないように、使用時まで剥離性部材によって覆われている。剥離性部材は、粘着剤層に対して少なくとも1回の着脱を可能にする剥敵性を有する薄材であればよく、通常は、剥離剤処理を施された基材が好ましい。
【0050】
セパレータの基材としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、PET等のフィルム、シート、紙、不織布及びこれらの複合材料等が使用される。
【0051】
剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、イソシアネート系等のものが好ましい。これらの剥離剤は、公知の方法で基材に塗布することができる。
【0052】
本発明の非通気性収納袋である外袋に発熱体が2つ以上複数折りされて、収納された発熱体包装物は、保管、輸送に有用である。前記外袋は非通気性のものであればそのほかの制限はなく、ラミネートされているものでもよい。
【0053】
発熱体を収容する気密性外袋の包材は、空気(酸素)を実質的に透過させないものであればよい。前記前記非通気性素材や従来公知の包材が使用できる。
気密性外袋は、包材の周囲を、空気(酸素)を実質的に透過させないようにシールされて形成される。そのようなシール方法は公知のものが使用できる。通常は、ヒートシールが行われている。
その例としては、製造された発熱体を2枚の非通気性フィルム又はシートの間に介在させ、この介在と同時に、又は、この介在後に、前記2枚のフィルム又はシートを前記発熱体以上の大きさに打ち抜き、この打ち抜きと同時に、若しくは打ち抜き後に、前記発熱体の大きさを超える周辺部において、前記2枚のフィルム又はシートを封着した発熱体包装物が一例として挙げられる。
【0054】
発熱体の露出部の少なくとも1部は、非通気性収納袋である外袋の内面と仮着(以下、外仮着という)されていてもよい。
外仮着とは、発熱体と非通気性収納袋とが再剥離性弱粘着剤層を介して、少なくとも一部で接触していることである。これにより、少なくとも発熱体が折り畳まれるまで、発熱体の外袋の包装材上の移動が防止できる。外仮着の数、面積等に制限はない。セパレータを有する発熱体の場合は、セパレータも発熱体として扱う。
【0055】
外仮着に使用される再剥離性弱粘着剤層を構成する粘着剤(以下この粘着剤を「外仮着型粘着剤」と称する)は、粘着力が弱く、折り畳み作業が終わるまで、発熱体を包装材に保留させることができれば、制限はない。使用可能な再剥離性粘着剤の一例を挙げるとすれば、弱粘着性接着剤が挙げられる。
具体的には、ホットメルト型粘着剤、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤等がある。
特に、ガラス転移温度を高くした配合のものが好ましく、アクリル系ではアクリル酸の成分の比率を高くしたもの、ゴム系では高融点のタッキファイヤーを配合したもの等が好ましい。
また、ポストイット/POSTIT(スリーエム社の商品名)として販売されている着脱型の付箋紙に使用される粘着剤も使用できる。
また、ホットメルト型粘着剤、特に、ホットメルト系粘着剤(ポリプロピレン系粘着剤、ポリエチレン系粘着剤、エチレン−プロピレン共重合体系粘着剤等)が好ましい。
【0056】
ホットメルト型粘着剤としては、エラストマー(熱可塑性エラストマー等)や熱可塑性樹脂等をベースポリマーとしている。尚、ベースポリマーは、単独又は混合してもよい。
ホットメルト型粘着剤におけるベースポリマーの熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP)等のスチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系ブロックコポリマー;例えば、スチレン含有5重量%以上のスチレン系ブロックコポリマー);ポリウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリエステル系熱可塑性エラストマー;ポリプロピレンとEPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)とのポリマーブレンド等のブレンド系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
【0057】
また、ホットメルト型粘着剤におけるベースポリマーの熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。尚、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン系共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン−不飽和カルボン酸共重合体;アイオノマー;エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等のエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体等)の他、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒法ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、α−オレフィン共重合体(エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等)等のポリオレフィン;ポリプロピレン変性樹脂等が挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−ビニルエステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0058】
ホットメルト型粘着剤としては、ベースポリマーが熱可塑性エラストマー(特に、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマー)であるホットメルト型粘着剤が好適である。
【0059】
また、エマルジョン系粘着剤や溶剤系粘着剤等の粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、フッ素系粘着剤等の粘着剤であって、それぞれの形態(例えば、エマルジョンの形態、溶液の形態等)の粘着剤が挙げられる。
【0060】
尚、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン化合物系架橋剤等)、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、フェノール樹脂等)、可塑剤、充填剤、老化防止剤等の適宜添加剤を含んでもよい。
【0061】
前記粘着力については、折り畳み作業が終わるまで、発熱体と包材とを貼着しておくことができるものであれば制限はないが、好ましくは、180度ピール強度(JISZ−0237)は、0.001〜0.9kg/25mmであり、より好ましくは、0.001〜0.5kg/25mmであり、更に好ましくは、0.001〜0.1kg/25mmであり、更に好ましくは、0.005〜0.1kg/25mmであり、より好ましくは0.1〜100g/25mmであり、より好ましくは0.1〜50g/25mm、より好ましくは0.1〜30g/25mmであり、より好ましくは0.1〜25g/25mmである。
【0062】
また、その塗布厚についても特に制限はないが、好ましくは40μm以下であり、より好ましくは0.01〜40μmであり、より好ましくは0.1〜40μmであり、より好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは1〜30μmであり、より好ましくは5〜30μmであり、更に好ましくは5〜30μmである。
【0063】
塗布乃至形成方法については、公知の形成方法を採用することができる。例えば、ホットメルト塗工方法や、溶液型塗工方法等が挙げられる。また、全面、部分的、ソリッド状、網状、棒状、ストライプ状、水玉状等の任意の形態とすることができる。
【0064】
尚、仮着部位についての制限もなく、好ましくは袋の開口部付近、より好ましくは、開口に対して平行に設けることが好ましい。
また、発熱体にセパレータが設けられている場合には、セパレータが発熱体から剥離しないように設けることが好ましい。
【0065】
本発明の発熱体は、各種形状、厚み、温度帯のものが得られるため、通常の身体採暖用の外、関節用、美顔用、目用、痩身用、点滴液加温・保温用、温熱湿布用、薬剤カイロ用、頚部用、腰用、マスク用、手袋用、痔痩用、或いは、肩癖、筋肉痛、生理痛等の症状緩和用、座布団用、手術中の人体加温・保温用、温熱シート用、蒸散芳香用、腹部用、蒸散殺虫用、療治療用等の各用途に用いることができる。更に、機械類やペット等への加温・保温用等へ利用できる。
【0066】
前記易動水値とは、発熱組成物中の組成物外へ移動できる余剰水分の量を示す値である。この易動水値について説明する。中心点から放射状に45度間隔で8本の線が書かれたNo.2(JIS P3801 2種)の濾紙を、ステンレス板上に置き、前記濾紙の中心に、内径20mm×高さ8mmの中空円筒状の穴を持つ長さ150mm×幅100mmの型板を置き、その中空円筒状の穴付近に試料を置き、押し込み板を型板上に沿って動かし、試料を押し込みながら中空円筒状の穴へ入れ、型板面に沿って、試料をすり切る(押し込み成形)。次に、前記穴を覆うように非吸水性の70μmポリエチレンフィルムを置き、更にその上に、厚さ5mm×長さ150mm×幅150mmのステンレス製平板を置き、発熱反応が起こらないようにして、5分間保持する。その後、漉紙を取り出し、放射状に書かれた線に沿って、水又は水溶液の浸みだし軌跡を中空円筒の穴の縁である円周部から浸みだし先端までの距離として、0.5mm単位で読み取る。同様にして、各線上からその距離を読み取り、合計8個の値を得る。読み取った8個の各値(a,b,c,d,e,f,g,h)を測定水分値とする。
その8個の測定水分値を算術平均したものをその試料の水分直(mm)とする。
また、真の水分直を測定するための水分量は内径20mm×高さ8mmの前記発熱組成物の重量に相当する前記発熱組成物の配合水分量とし、その水分量に相当する水のみで同様に測定し、同様に算出したものを真の水釧直(mm)とする。水分値を真の水釧直で除したものに100をかけた値が易動水値である。
即ち、
易動水値=[水分値(mm)/真の水分値(mm)]×100
尚、この易動水値は、型押し込み成形等による積層時の値である。
【0067】
本発明の発熱組成部物成形体は成形性含水発熱組成物を型通し成形法や鋳込み成型等の型成型方法により成形され、本発明の発熱組成物成形体の製造方法は、型成形方法であり、型通し成形方法や鋳込み成形方法等が一例として挙げられる。
型通し成形法や鋳込み成型法による成形方式により、成形性含水発熱組成物を成形した発熱組成物成形体又は複数個の発熱組成物成形体を、基材上に、間隔を空けて積層する。
更に被覆材で覆い、前記発熱組成物成形体の周辺部をシールすることにより、発熱部又は区分発熱部を設ける。発熱部の周縁部はシール(圧着シールや熱圧着シールやヒートシール等)がしてある。前記区分発熱部は複数個からなり、ヒートシール部である区分け部により、各区分発熱部が離れて配置され、前記区分発熱部の集合から発熱部が形成されており、区分発熱部の周縁部、発熱体の周辺部がシール(圧着シールや熱圧着シールやヒートシール等)がしてある。特にヒートシールが好ましい。
次に、カット工程等を経て発熱体を製造する。前記シール工程、カット工程等は従来方法、装置から適宜選択して使用すればよい。
【0068】
前記型通し成形方法とは、抜き型を使用し、発熱組成物を成形し、基材の上に型の抜き形状の発熱組成物成形体を積層し、発熱組成物成形体を製造する方法である。
抜き型とは、所望の形状、厚さを持った貫通口を有した型である。
中空のドラム状回転体の回転面に前記貫通口が設けられているドラム状成形装置や前記貫通口を有するストラットを複数個設けたストラットコンベア状回転体を使ったストラットコンベア状成形装置等が一例として挙げられる。
連続製造方法としては、回転式抜き型を使用し、長尺の基材の上に型の抜き形状の発熱組成物成形体を積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の周辺部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法が一例として挙げられる。
【0069】
前記鋳込み成形法とは、発熱組成物を凹部を有する鋳込み型へ充填し、成形した発熱組成物成形体を基材へ積層することにより、発熱組成物成形体を製造する方法である。抜き型とは、所望の形状、厚さを持った凹部を有した型である。
ドラム状回転体や中空のドラム状回転体の外面に凹部を設けられているた発熱組成物成形体製造装置等が一例として挙げられる。
連続製造方法としては、ドラム状回転体による凹部への充填と基材への移設により、発熱組成物成形体を長尺基材上へ積層する成形機とそれを長尺の被覆材で覆い、目的とする区分け部分及び基材と被覆材の周辺部をシール(ヒートシールや圧着シールや熱圧着シール等)できる回転式のシール器を用いて、そのシール器を介し、発熱組成物成形体の綾部及び区分け部分の必要箇所をヒートシールし、封入処理する連続形成方法が一例として挙げられる。
【0070】
以下、図面を使用して本発明を説明する。
【0071】
図1(a)の平面図及び図1(b)の断面図に示す発熱体1は、ポリエチレンフィルムに粘着剤層7及びセパレータ9が設けられた非通気性の基材4を用い、そのポリエチレンフィルム側上に、鉄粉、活性炭、木粉、吸水性ポリマー、消石灰、亜硫酸ナトリウム、11%食塩水を混合した、易動水値が8の成形性含余剰水発熱組成物を用いて、厚さ2mmの抜き型を使用して、厚さ2mm、縦115mm、横80mmの平面が長方形状の発熱組成物成形体2を8個成形し、基材上に積層した。更に、その上に、ナイロン製不織布とポリエチレン製多孔質フィルムが積層された通気性包材を被覆材5に用い、ポリエチレンフィルム面と多孔質フィルム面が互いに接するようにして重ね合わせて、発熱組成物成形体2の周縁部及び発熱体1の周辺部をヒートシールし、中央部の区分け部の両側に4個ずつ、合計8個の区分発熱部3をストライプ状に設けた、区分発熱部3の厚さが5mmの矩形状の凹凸状発熱体1である。
【0072】
区分発熱部3は、内部の発熱組成物成形体2に酸素を供給できるように少なくともその一部分が通気性を有するように構成される。
被覆材5は通気性を有し、不織布シートの内側に多孔質フィルムを通気性粘着剤層を介してラミネートした通気性被覆材であり、基材4は、非通気性の合成樹脂フィルムからなる非通気性基材が使用されている。通気性被覆材は不織布シートの内側に合成樹脂フィルムをラミネートした包装材を穿孔したものも使用できる。
【0073】
本実施の形態の発熱体1は、平面視略長方形に形成され、この長方形の中に、中央の区分け部12’の両側に、それぞれ4個の平面視略長方形の区分発熱部3が対称に配置されている。また、発熱体1の角部はR状に切り落とされ、更に区分発熱部3の角部もR状に形成されている。
【0074】
発熱体1の各区分発熱部3は、非通気性基材4及び通気性被覆材5側に膨出する両側膨出状に形成されている。即ち、膨出の差があるが、区分発熱部3は、図2の断面図に示すように、互いに対向する略平面状の上面及び下面とそれらの周囲を取り囲む複数、例えば、4つの側面とで扁平状の多面体、例えば、略6面体状に形成された発熱組成物成形体2を覆っている。
また、通気性被覆材5よりなる側面と非通気性基材4よりなる側面とにより区分発熱部3側面が構成されている。
通気性被覆材5よりなる側面は、区分け部12よりなる上面側から垂直、又はある角度で立ち上がっており、非通気性基材4よりなる側面は、区分け部12よりなる下面側から垂直、又はある角度で立ち上がっており、各区分発熱部3及びその内部の各発熱組成物成形体2はその扁平方向の略全体にわたって略同一厚さとなっている。
また、通気性被覆材5よりなる側面の上面側からの立ち上がり程度と非通気性基材4よりなる側面の下面側からの立ち上がり程度は必ずしも双方同じである必要ではない。
【0075】
以上のことから、本実施の形態の発熱体1は、区分発熱部3の厚さ、即ち、発熱組成物成形体2の厚さが中央部分から周辺部分まで扁平方向に略一定であり、扁平方向に各区分発熱部3間に温度ムラが生じ難いという利点がある。また、例えば、区分発熱部3に対して内部の発熱組成物成形体2を扁平方向に押し広げるような力が作用したとしても、周縁部分が楔状になることはなく扁平方向に略一定の厚さが保持されるため、周縁部において発熱組成物成形体2不足による発熱不良が生じることはない。逆に、区分発熱部3に対して内部の発熱組成物成形体2を扁平方向に押し広げるような力が作用するほど、区分発熱部3の厚さは扁平方向に均一化される。
【0076】
発熱体1の非通気性基材4の外面側には、アクリル形系粘着剤よりなる粘着剤層7が設けられている。
【0077】
本発明では、発熱体1は、中央の区分け部12’の幅は、両側の区分発熱部A1、B1の厚さの和の0.5倍より大きく形成されている。
図2は折り畳み部分の拡大図である。本例では折り畳み部分が中央部にあたり、折り畳み部の区分け部12’の幅(C)は12mmであり、上述したようにその区分け部12’の両側の区分発熱部A1、B1の厚さの和(H+L)はそれぞれ5mmであり、その和の10mmの0.5倍よりも大きい。
即ち、C=12であり、0.5×(H+L)=0.5×(5+5)=5であり、12>5(C>0.5×(H+L))である。
この中央部の区分け部20に沿って折り畳まれた発熱体1は、区分発熱部A1,B1が中央側に引っ張られて潰れることがない。
これにより、使用時に発熱体1を開いたときにも、区分発熱部3の厚さが中央部分から周辺部分まで略一定のまま保持されており、区分発熱部3の周縁部において発熱組成物2A不足による発熱不良が生じることは、ない。
【0078】
図3(a)は、本発明の発熱体包装物の平面図であり、図3(b)は、その断面図である。2つ折り畳みの状態で発熱体1を非通気性収納袋である外袋15に封入することにより形成されている。非通気性の収納袋である外袋のシール部21の端部にノッチ16が設けられている。
即ち、発熱体1は、通気性被覆材5が内側、非通気性基材4が外側になるように、セパレータ9が外側となって粘着剤層7の外側を密着状に覆うように発熱体1の中央部の区分け部12’に沿って略半分に折り畳まれている。また、発熱体1と外袋15は、それらの一部で、外仮着型粘着剤23により外仮着22されている。
また、外袋15は、発熱体1を除く周縁部の互いに対向する縁部同士を、所定幅で気密状にシールすることにより袋状に封止されている。
【0079】
また、発熱体1が2つ折り畳み状態で封入されるため、発熱体1が大きくても包装された状態では非常にコンパクトとなり、携帯性に優れているという利点もある。
【0080】
このように、発熱体1の表面積がほぼ半分になるので、発熱特性の経時変化が少なく、従来の使い捨てカイロと比べて部材数を少なくでき、コストを削減できる他、使用時に出るゴミを削減でき、地球環境に優しいという利点もある。
【0081】
非通気性収納袋である外袋に使用するの包装材には、外袋のシール部の縁部に1個以上のノッチ(Iノッチ、Vノッチ等)を形成し、使用者が外袋を容易に引き裂いて開封できるようにすることが望ましい。また、ノッチを形成するノッチ形成手段は、例えば、封止装置による封止工程の下流側に配置すればよい。
【0082】
非通気性収納袋である外袋15は、非通気性シートにより形成されており、ヒートシール等により発熱体1の周囲を気密状に覆うことにより、発熱体1の使用時まで発熱組成物成形体への酸素の供給を遮断するようになっている。
外袋15には、シールしたときにそのシール部分が容易に引き剥がし可能な軟接着状態となるいわゆるイージーピールフィルムを用いてもよい。このイージーピールフィルムよりなる包装シートは、非通気性の合成樹脂フィルムにイージーピール性を有するスチロール樹脂等をコーティングしたもの等、公知の材料を適宜用いることができる。
【0083】
前記外袋15は、発熱体1の畳まれた形状に応じてそれよりもひとまわり大きな形状(ここでは略長方形状)に形成されている。
【0084】
図4は、本発明の他一例の発熱体の平面図である。
区分発熱部3が円形状になっており、中央部で折り畳まれるようになっている。
【0085】
図5(a)は、中央部のシール部である区分け部12’を挟んで、2個の区分発熱部3からなる発熱体1の通気面にストライプ状の粘着剤層7が設けられた発熱体1の平面図である。粘着剤層側を衣服に、粘着剤層7が設けられていない側の面を身体と接触させて使用するタイプの発熱体1である。
図5(b)は、粘着材層7にセパレータ9を設け、その断面図を示す。図5(c)は、通気性面を内側にして中央部で2つに折り畳み、非通気性の収納袋である外袋15に封入された発熱体包装物19の平面図である。図5(d)はそのW−Wの断面図である。
【0086】
図6(a)の発熱体1は、2つ折り畳みの状態で発熱体1を外袋15に封入することにより形成されている発熱体1の一例である。非通気性の収納袋である外袋15のシール部21にはノッチ16が設けられている。
通気面の通気性粘着剤層8には、セパレータ9を設け、中央部の区分け部12’の両側にそれぞれ4個の区分発熱部3が間隔をおいて設けられた平面形状がそらまめ形の凹凸状発熱体1であり、区分発熱部3の角部は円弧(アールr)状に形成されている。
本例では、折り曲げ部12’の幅は11mmであり、その両側の区分発熱部3の厚さはそれぞれ7mmであり、中央の区分け部12’の幅は両側の区分発熱部3の厚みの和の0.64倍である。
図6(b)はそのV−Vの断面図である。
図6(c)は中央部の区分け部12’に沿って、セパレータ9を内側にして折り畳み、外袋15の封入した発熱体包装物の平面図である。図6(c)は、そのU−Uの断面図である。
【0087】
図7(a)(b)は、非通気面側の両端部に粘着剤層7を設け、非通気面側全体にセパレータ9を設け、中央部の区分け部12’の両側にそれぞれ4個の区分発熱部3が間隔をおいて設けられた平面形状がくびれた提灯形の凹凸状発熱体1の一例である。
本例では、区分け部12’の幅は15mmであり、その区分け部12’の両側の区分発熱部3の厚さはそれぞれ6mmであり、中央の区分け部12’の幅は両側の区分発熱部3の厚みの和の1.25倍である。
図7(c)は、通気面側を内側にし、非通気面側のセパレータ9を外側にして、中央部の区分け部12’に沿って折り畳んで、外袋に封入した発熱体包装物の断面図である。
【0088】
図8は、ポリエチレンフィルムからなる通気調整材6を、区分発熱部3の頂部及び発熱体1の長手方向の両端部で、粘着層により固定された発熱体1の平面図である。
本例では、各区分発熱部3は厚さ1.5mm×長さ70mm×幅10mmであり、各区分け部3の幅が30mmであり、中央の区分け部12’の幅は、その両側の区分発熱部3の厚みの和の半分の2.0倍以上である。
図8(b)は、発熱体1を3つ折りに畳んで、外袋15に封入した発熱体包装物の断面図である。
【0089】
尚、上記図面を用いて説明した発熱体1は、中央の区分け部12’で折り畳むようにしたが、区分発熱部3の間に挟まれた区分け部12であれば制限はない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(a)本発明の発熱体の一例を示す平面図である。(b)同Z−Zの断面図である。
【図2】折り目部分の幅と折り目を挟んだそれぞれの側での最大の厚さを有する発熱部又は区分発熱部との関係を説明する説明断面図である。
【図3】(a)本発明の外袋に封入された2つに折り畳まれた発熱体の他の一例を示す平面図である。(b)同Y−Yの断面図である。
【図4】本発明の発熱体の他の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の発熱体の他の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の発熱体の他の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の発熱体の他の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の発熱体の他の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0091】
1 発熱体
2 発熱組成物又は発熱組成物成形体
3 区分発熱部
4 基材
5 被覆材
6 通気調整材
7 粘着剤層
8 通気性粘着剤層
9 セパレータ
10 通気性面
11 折り目
12 シール部(区分け部)
12’ 中央の区分け部
13 ヒートシール部
15 外袋(非通気性収納袋)
16 ノッチ
21 シール部
22 外仮着
23 外仮着型粘着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気と接触して発熱する発熱組成物を、通気性を有する部材により被覆して表裏の両側に膨出するようにして形成された区分発熱部を、区分け部を介して複数設け、所定の区分け部において、通気性を有する部分を内側にして折り畳むことができるようにし、前記折り曲げられる区分け部の幅を、その両側の区分発熱部の厚さの和の0.5倍より大きくなるように構成した発熱体としたことを特徴とする発熱体。
【請求項2】
前記区分発熱部は、4個以上あることを特徴とする請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
前記区分発熱部は、ストライプ状に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発熱体。
【請求項4】
前記発熱体の露出部の少なくとも一部に固定手段を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の発熱体。
【請求項5】
前記固定手段は、粘着剤層であり、その上に、セパレータを設けることを特徴とする請求項4に記載の発熱体。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の発熱体を、気密性外袋に収容し、前記気密性外袋の内表面に、180度ピール強度(JISZ−0237)が、0.001〜0.9kg/25mmの範囲で仮着されていることを特徴とする発熱体包装物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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