発電装置、2次電池及び電子機器
【課題】従来の圧電型発電装置では、発電電圧が低く、別に昇圧回路が必要となるが、昇圧回路を駆動するためには電力が必要となる。そのため、一旦振動が停止すると昇圧回路を駆動する電力が途絶えることとなり、再起動が困難になるという課題があった。
【解決手段】圧電部108とインダクターLとを接続/遮断する第1スイッチSW1と、ブリッジ整流部120または倍電圧整流部120aのいずれかを選択する第2スイッチSW2を備え、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とは、スイッチ制御装置110により駆動されており、発電装置100からスイッチ制御装置110に供給される電圧がスイッチ制御装置110を駆動し得る下限電圧よりも下がったとき、第1スイッチSW1を開放し、かつ、第2スイッチSW2をブリッジ整流部120から倍電圧整流部120aに切り替える制御を行うことで、圧電型発電装置を自己復帰させることを可能とした。
【解決手段】圧電部108とインダクターLとを接続/遮断する第1スイッチSW1と、ブリッジ整流部120または倍電圧整流部120aのいずれかを選択する第2スイッチSW2を備え、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2とは、スイッチ制御装置110により駆動されており、発電装置100からスイッチ制御装置110に供給される電圧がスイッチ制御装置110を駆動し得る下限電圧よりも下がったとき、第1スイッチSW1を開放し、かつ、第2スイッチSW2をブリッジ整流部120から倍電圧整流部120aに切り替える制御を行うことで、圧電型発電装置を自己復帰させることを可能とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置、2次電池及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の圧電材料は、外力を受けて変形すると、材料内部に電気分極が誘起されて表面に正負の電荷が現れる。このような現象は圧電効果と呼ばれている。圧電材料が有するこのような性質を利用して、片持ち梁を振動させて圧電材料に繰り返し加重を作用させ、圧電材料の表面に生じた電荷を電流として取り出す発電方法が提案されている。
【0003】
例えば、先端に錘を設けるとともに圧電材料の薄板を貼り付けた金属製の片持ち梁を振動させ、振動に伴って圧電材料に交互に生じる正負の電荷を取り出すことによって交流電流を発生させる。そして、この交流電流をダイオードによって整流した後、コンデンサーに蓄えておき、電力として取り出す技術が提案されている(特許文献1)。また、圧電素子で正の電荷が発生している間だけ接点が閉じるようにすることで、ダイオードでの電圧損失を発生させずに直流電流が得られるようにした技術も提案されている(特許文献2)。これらの技術を用いれば、発電装置を小型化することができる。そのため、例えば小型の電子部品に電池の代わりに組み込む等の応用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−107752号公報
【特許文献2】特開2005−312269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提案されている従来の発電装置では、得られる電圧が、圧電材料の電気分極によって生じる電圧までに限られるという問題があった。このため、ほとんどの場合は、別に昇圧回路が必要となり、発電装置を十分に小型化することが難しいという課題があった。また、昇圧回路を駆動するためには通常電力が必要となるが、一旦振動が停止すると昇圧回路を駆動する電力が途絶えることとなり、再起動が困難になるという課題があった。また、再起動用の電池を別途設けると、発電装置の大型化や、電池の寿命による発電装置の寿命の低下に繋がるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる発電装置は、外力に応じて変形方向を切り換えて繰り返し変形することによって電荷を発生する圧電材料を含む圧電部と、前記圧電部が変形可能な状態で前記圧電部を支える支持体と、前記圧電部の変形によって生じた電荷を電流として取り出すことに用いる一対の電極と、前記一対の電極の片側と接続された第1スイッチと、前記第1スイッチを介して前記一対の電極と接続され、前記圧電部の容量成分と共振回路を構成するインダクターと、前記圧電部の前記変形方向が切り換わるときに前記第1スイッチを短絡させた後、前記共振回路の共振周期の半周期に相当する時間が経過したときと、前記第1スイッチを制御し得る下限電圧よりも低い電圧が供給されたときと、に前記第1スイッチを開放する第1スイッチ制御装置と、前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、第1直流電圧に変換するブリッジ整流部と、前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、前記一対の電極間の電圧よりも高い第2直流電圧に変換する倍電圧整流部と、前記ブリッジ整流部もしくは倍電圧整流部から供給された脈流電流を蓄電する蓄電部と、前記ブリッジ整流部と前記倍電圧整流部とのいずれかを選択する第2スイッチと、前記第1直流電圧が前記下限電圧よりも低い場合には前記第2スイッチを用いて前記倍電圧整流部を選択する第2スイッチ制御装置と、を備え、前記第1スイッチ制御装置及び第2スイッチ制御装置が、前記第1直流電圧及び前記第2直流電圧のいずれかを用いて駆動されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、外力に応じて変形方向を切り換えて圧電部を繰り返し変形させることで圧電部には圧電効果によって正負の電荷が発生する。また、電荷の発生量は、圧電部の変形量が大きくなるほど多くなる。そして、変形量の大きさが最大となったとき(即ち変形方向が切り換わるとき)に、第1スイッチを短絡することで、圧電部をインダクターに接続する。圧電部は、電気回路的にはコンデンサーと見なすことができるので、インダクターに接続されることで共振回路が形成される。
すると、圧電部に発生していた電荷がインダクターに流れ込む。そして、圧電部及びインダクターは共振回路を構成しているから、インダクターに流れ込んだ電流はオーバーシュートして、反対側の端子から圧電部に流れ込む。この期間(即ち、圧電部の一方の電極から流れ出した電荷が、インダクターを介して反対側の電極から再び圧電材料内に流れ込むまでの期間)は、圧電部及びインダクターによって形成される共振回路の共振周期の半分となる。従って、圧電部の変形方向が切り換わったタイミングで圧電部とインダクターとを第1スイッチを短絡することで接続し、その後、共振周期の半分の時間が経過したタイミングで、圧電部とインダクターとを第1スイッチを用いて開放すれば、インダクターを接続する前に圧電部内に発生していた正負の電荷の配置を逆転させることができる。
【0009】
そして、この状態から、今度は逆方向に圧電部を変形させると、圧電効果によって発生した電荷は、逆転して蓄積された電荷に加えて蓄積されることとなる。その結果、圧電部を繰り返し変形させることによって生じた電荷を、圧電部内に蓄積することが可能となる。また、圧電部内に電荷を蓄積した分だけ端子間の電圧も増加するので、昇圧回路を別途用意しなくても、圧電材料の電気分極によって生じる電圧よりも高い電圧を発生させることができる。その結果、小型で効率の良い発電装置を得ることができる。
ここで、上記した発電動作を行うためには、圧電部とインダクターとを接続/開放する第1スイッチを能動的に制御することが必要となる。
即ち、一旦第1スイッチ制御装置に与えられる電圧が下限電圧を下回ってしまうと第1スイッチを能動的に制御させることが出来なくなり、上記した発電操作を行うことが出来なくなってしまう。
【0010】
この場合には、第2スイッチ制御装置を用いて第2スイッチを切り替え、直流電圧に変換する装置を倍電圧整流部に切り替える。そのため、第1スイッチ制御装置には圧電部での電圧の2倍に近い電圧が与えられるため、ブリッジ整流部と比較して蓄電部に高い電圧を蓄電することができる。これにより、第1スイッチ制御装置に与えられる電圧が下限電圧を下回っても、発電操作を継続することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例にかかる発電装置であって、前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に直列に接続される、第1蓄電素子と第2蓄電素子とを有し、前記第2スイッチは、前記第1蓄電素子と前記第2蓄電素子との間と、前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させることを特徴とする。
【0012】
上記した適用例によれば、ブリッジ整流部を、第2スイッチを閉じるだけで倍電圧整流部に切り替えることができる。そのため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することが可能となる。加えて、下限電圧以上の電圧を保っている場合に、第2スイッチを開放させておくことでブリッジ整流部として動作させることができるので、発電効率を落とすことなく発電を行うことができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例にかかる発電装置であって、前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に接続された蓄電素子を備え、前記第2スイッチは、前記ブリッジ整流部の前記アノード対側と前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させ、前記容量成分を前記倍電圧整流部を駆動させる場合の容量として用いることを特徴とする。
【0014】
上記した適用例によれば、ブリッジ整流部を、第2スイッチを閉じるだけで倍電圧整流部に切り替えることが可能となるため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することが可能となる。加えて、下限電圧以上の電圧を保っている場合に、第2スイッチを開放させておくことでブリッジ整流部となるため、発電効率を落とすことなく発電を行うことが可能となる。さらに、倍電圧整流部として動作させたときは、圧電部の容量成分を用いて半波倍電圧整流を行うため、蓄電素子を直列に接続せずに(同じ容量の蓄電素子を直列に接続した場合、実効的な容量は1/2になる)自己復帰可能な発電装置を提供することができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例にかかる発電装置であって、前記第1スイッチは駆動電圧が掛からない場合には開放状態を取るノーマリーオフのスイッチであり、前記第2スイッチは、駆動電圧が掛からない場合には短絡状態を取るノーマリーオンのスイッチであることを特徴とする。
【0016】
上記した適用例によれば、発電装置の出力電圧が下限電圧よりも低い場合にはブリッジ整流部が倍電圧整流部に切り替えられる。また、圧電部と並列に繋がっているインダクターが切断されるため、圧電部に繰り返し変形を受けた場合に速やかに倍電圧整流が行われる。そのため、短時間で自己復帰可能で、かつ発電効率の高い発電装置を提供することができる。
【0017】
[適用例5]本適用例にかかる2次電池は、上記記載の発電装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、2次電池が一旦放電し尽し、第1スイッチの制御が出来ない状態にあっても、圧電部に繰り返し変形を受けた場合に倍電圧整流が行われる。そして、下限電圧以上の電圧を得た後、速やかに発電効率の高い整流状態に移行させることで、発電効率が通常のブリッジ整流と比べ高く、かつ自己復帰可能な2次電池を提供することが可能となる。
【0019】
[適用例6]本適用例にかかる電子機器は、上記記載の2次電池を備えたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、発電効率が通常のブリッジ整流と比べ高く、かつ自己復帰可能な2次電池を備えているため、電池交換することなく動作し得る電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は、発電装置の構造を示した模式図、(b)は発電装置の回路図。
【図2】(a)〜(d)は、定常状態での発電装置の動作を示したグラフ。
【図3】(a)は、ブリッジ整流部が備えるスイッチを短絡させたときの電流経路を示す回路図、(b)は、電流が流れる経路に関する部分を抜き出した等価回路図。
【図4】(a)は、発電装置の回路図、(b)は、ブリッジ整流部が備えるスイッチを短絡させたときの電流経路を示す回路図。
【図5】第1スイッチSW1を開放し、第2スイッチSW2を短絡した場合に、有効に機能している部品を抜き出した回路図。
【図6】変形例1を説明するための回路図。
【図7】変形例2を説明するための回路図。
【図8】変形例3を説明するための回路図。
【図9】変形例4を説明するための回路図。
【図10】定常状態での動作と起動電圧を得る動作とのいずれかを取るか判断するためのフローチャート。
【図11】2次電池の回路図。
【図12】電子機器としての万歩計(登録商標)の概略構造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態:第1の構成を備えた発電装置)
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本実施形態の発電装置の構造を示した模式図である。本実施形態に示す発電装置100が備える発電部125の機械的な構造は、先端に錘106が設けられた梁104が、基端側で支持端102に固定された片持ち梁構造となっている。また、支持体としての梁104の表面には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料によって形成された圧電部108が固定支持されており、圧電部108の両面には、金属薄膜等の導体を用いた一対の電極としての第1電極109a、第2電極109bがそれぞれ設けられている。なお、図1に示した例では、梁104の上面側に圧電部108が設けられているが、梁104の下面側に圧電部108を設けても良く、あるいは梁104の上面側及び下面側の両方に圧電部108を設けても良い。なお、「上」とは、圧電部108から第1電極109aを見た方向(図中のuの正方向)を指し、「下」とは、「上」の反対方向を指すものとする。
【0023】
梁104は、基端側が支持端102に固定されており、先端側には錘106が設けられているので、振動等が加わると、図中に白抜きの矢印で示したように、梁104の先端が大きく振動する。その結果、梁104の表面に取り付けられた圧電部108は、外力による繰り返し変形を受け、圧縮力及び引張力が交互に作用することとなる。すると、圧電部108は圧電効果によって正負の電荷を発生し、その電荷が第1電極109a、及び第2電極109bに現れ、電流として取り出される。
【0024】
図1(b)は、本実施形態における発電装置の回路図である。圧電部108は、電気的には、電流源I0と、電荷を蓄えるコンデンサーC0として表すことができる。この圧電部108に対して並列にインダクターLが接続されて、圧電部108の容量成分C0と共に電気的な共振回路を形成している。そして、この共振回路を短絡/開放するための第1スイッチSW1が、インダクターLに対して直列に接続されている。第1スイッチSW1の短絡/開放及び、第2スイッチSW2の短絡/開放は、第1スイッチ制御装置及び第2スイッチ制御装置としてのスイッチ制御装置110によって制御されている。また、圧電部108に設けられた第1電極109a及び第2電極109bは、4つのダイオードD1〜D4から構成されるブリッジ整流部120に接続されている。より具体的には、直列に接続された蓄電素子Ca,Cbが、ブリッジ整流部120を構成するダイオードD1,D3のカソードが電気的に結合されたカソード対と、ダイオードD2,D4のアノードが電気的に結合されたアノード対との間に設けられている。
ここでは、ダイオードD1〜D4には接合型ダイオードと比べ順方向電圧降下が低いショットキーバリアダイオードを用いている。接合型ダイオード順方向電圧降下は0.6V程度であるが、ショットキーバリアダイオードの順方向電圧降下は0.3V程度である。そのため、全波整流や倍電圧整流を行う場合、ダイオードD1〜D4での電圧降下を抑えることができる。
ダイオードD1〜D4は、第2スイッチSW2を開放状態にした場合、ブリッジ整流部120として機能する。そして、蓄電素子Ca,Cbと共に交流電流を直流電圧に変える直流化装置140として機能する。
また、ダイオードD1〜D4は、第2スイッチSW2を短絡状態にした場合、倍電圧整流部120aとして機能する。そして、蓄電素子Ca,Cbを含む倍電圧直流化装置140aとして機能する。
圧電部108が発生させた正負の電荷は、第1電極109aや第2電極109bにより取り出され、交流電流となる。そして、この交流電流はダイオードD1〜D4を備えたブリッジ整流部120や倍電圧整流部120aにより脈流に変換される。そして、この脈流は蓄電素子Ca,Cbに蓄電される。
【0025】
(定常状態での動作)
図2(a)〜(d)は、定常状態での発電装置の動作を示したグラフである。ここで定常状態とは、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の動作を制御し得る電圧がスイッチ制御装置110に供給されている場合を示すものとする。
図2(a)は、梁104の先端の変位の位置の動きを示している。縦軸は変位u、横軸は時間tである。変位の単位は任意単位である。図2(a)に示すように、梁104の振動に伴って、梁104の先端の変位Uが変化することが示されている。なお、プラスの変位Uは、梁104が上向きに反った状態(梁104の上面側が凹となった状態)を表しており、マイナスの変位(−U)は、梁104が下向きに反った状態(梁104の下面側が凹となった状態)を表している。また、図2(b)には、梁104の変形に伴って、圧電部108が発生する電流の様子と、その結果として圧電部108の内部に生じる起電力とが示されている。なお、図2(b)では、圧電部108に電荷が発生する様子は、単位時間あたりに発生する電荷量(即ち、電流Ip)として表される。ここでは圧電部108に流れる電流Ipztを縦軸としている。また、圧電部108に生じる起電力は、第1電極109aと第2電極109bとの間に生じる電位差Vpztを縦軸として表している。定常状態の動作を行う場合には、第2スイッチSW2は開放されている。
【0026】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、梁104の変位が増加している間は、圧電部108は正方向の電流を発生させる。(即ち、電流Ipがプラスの値を取る)。これに伴って第1電極109a及び第2電極109bの電位差Vpは正方向へ増加する。正方向の電位差Vpが、蓄電素子Ca,Cb間の電圧VC1とブリッジ整流部120を構成しているダイオードの順方向電圧降下Vfの2倍との和、即ち、VC1+2Vfよりも大きくなれば、それ以降に発生した電荷は直流電流として取り出して、蓄電素子Ca,Cbに蓄えておくことができる。また、梁104の変位が減少している間は、圧電部108は負方向の電流を発生させる(即ち、電流Ipがマイナスの値を取る)。これに伴って第1電極109a及び第2電極109bの電位差Vpは負方向へ増加する。負方向の電位差Vpが、VC1とブリッジ整流部120の2Vfの和よりも大きくなれば、発生した電荷は直流電流として取り出して、蓄電素子Ca,Cbに蓄えておくことができる。これが一般的な発電方法である。ここで、第1スイッチSW1を制御して、より効率的な発電を行う方法について説明する。
【0027】
図2(c)は、第1スイッチSW1を短絡(ON)させるタイミングを示すグラフであり、”ON”と示された時間のみONしている。図2(d)は、図2(c)で示したタイミングで第1スイッチSW1を短絡(ON)させた場合に得られる電圧波形を示している。縦軸は発生電圧として第1電極109aと第2電極109bとの間に生じる電位差Vgenを縦軸として表している。
図2(c)に示すタイミング(圧電部108の変位が極大または極小を取るタイミング)で、第1スイッチSW1を短絡(ON)する。すると、図2(d)に示すように、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧波形が、第1スイッチSW1を短絡した瞬間にシフトしたかのような現象が発生する。例えば、図2(d)中に「B」と表示した期間Bでは、圧電部108の起電力に対応する細い破線で示した電位差Vpがマイナス方向にシフトしたような、太い破線で示した電圧波形が圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間に現れる。
また、図2(d)中に「C」と表示した期間Cでは、圧電部108の起電力に対応する電位差Vpがプラス方向にシフトしたような、太い破線の電圧波形が現れる。以降の期間D、期間E、期間F等についても同様に、圧電部108の起電力に対応する電位差Vpがプラス方向あるいはマイナス方向にシフトしたような、太い破線の電圧波形が現れる。
これは、インダクターLと圧電部108の容量成分C0とを備えた共振回路での共振現象を利用して得られるものである。圧電部108の変位が極小となるタイミング(図2(a)において変位が−uとなるとき)で第1スイッチSW1を短絡(ON)すると、インダクターLを流れる電流はインダクターLのインダクタンスに抗して徐々に流れ始める。そして、容量成分C0両端の電圧が0になるときインダクターLを流れる電流は最大となる。続けて、インダクターLのインダクタンスにより電流は流れ続け、電流は容量成分C0両端の電圧を反転させた状態で0になる。ここで、第1スイッチSW1を開放(OFF)する。
【0028】
このあと、圧電部108は逆方向に撓むこととなる。即ち、電流Ipは正の値を取り、容量成分C0を正の向きに充電する。上記した動作で、容量成分C0に蓄えられた電荷は反転させた状態で保持されているため、新たに正の電荷が加わることで、圧電部108が一般的な動作で発生させ得る値よりも大きな値を取る。
【0029】
そして、圧電部108の変位が極大となったところ(図2(a)において変位がuとなるとき)で同様の操作を行うことで、今度は絶対値が一般的な動作で発生させ得る値よりも大きい負の電位差Vgが生じる。即ち、圧電部108の変位が極大または極小を取るタイミングで、容量成分C0とインダクターLとにより構成される共振回路の共振周期の半周期の期間第1スイッチSW1を短絡させることで、圧電部108から、より効率良く電力を取り出すことが可能となる。
【0030】
この場合、圧電部108から電荷を流出させない限り、圧電部108を変形させる度に、圧電部108内の電荷は増えて行く。そのため、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧は大きくなる。
【0031】
ここでは、VC1と2Vfとの和を超えた部分(図2(d)中に斜線を付して示した部分)では、圧電部108で発生した電荷は蓄電素子Ca,Cbに蓄えられる。そのため、圧電部108から蓄電素子Ca,Cbに電荷が流出し、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧は、蓄電素子Ca,Cbと2Vfとの端子間電圧の和の電圧(VC1+2Vf)でクリップされる。その結果、第1電極109a及び第2電極109bの間の電圧波形は、図2(d)に太い実線で示した波形となる。
【0032】
図2(b)に示した第1スイッチSW1を開放したままの場合と、図2(d)に示したように、梁104の変形方向が切り換わるタイミングで第1スイッチSW1を短絡した場合とを比較すれば明らかなように、本実施例の発電装置100では、適切なタイミングで第1スイッチSW1を短絡/開放させることで、効率良く蓄電素子Ca,Cbに電荷を蓄えることが可能となる。
【0033】
また、蓄電素子Ca,Cbに電荷が蓄えられて、蓄電素子Ca,Cbの両端(ダイオードD1,D3の両カソードが繋がるカソード対側を一端、ダイオードD2,D4の両アノードが繋がるアノード対側を他端とする)の電圧が増加すると、それに従って電圧波形のシフト量も大きくなる。例えば、図2(d)中の期間B(蓄電素子Ca,Cbに電荷が蓄えられていない状態)と、図2(d)中の期間H(蓄電素子Ca,Cbに電荷が蓄えられた状態)とを比較すると、期間Hの方が電圧波形のシフト量が大きくなっている。同様に、図2(d)中の期間Cと期間Iとを比較すると、蓄電素子Ca,Cbに蓄えられた電荷が増えている期間Iの方が、電圧波形のシフト量が大きくなっている。この結果、本実施例の発電装置100では、圧電部108を変形させたことによって、第1電極109aと第2電極109bとの間に生じる電位差Vp以上の電圧を、蓄電素子Ca,Cbに蓄えることが可能となる。その結果、特別な昇圧回路を設ける必要がなくなり、小型で高効率の発電装置を得ることが可能となる。以降、この整流動作を昇圧整流動作と呼ぶ。
【0034】
(起動電圧が印加されていない場合の動作)
図1に戻る。
上記の昇圧整流動作により、初期状態として、スイッチ制御装置110が動作しうる電圧が供給された場合には従来技術と比べ高い効率で圧電部108から与えられた電力を取り出すことができるが、起動時点でスイッチ制御装置110に動作電圧(例えば3.3V)が与えられない場合には、第1スイッチSW1を短絡/開放することができず、昇圧整流動作が出来ない。そのため、スイッチ制御装置110を起動させるための電力を一旦蓄えることが必要となる。例えば、腕時計への応用を考えた場合、腕時計を腕から外している状態では圧電部108は発電できない。そのため、蓄電素子Ca,Cbが蓄えたエネルギーを使用し尽くしたとき、スイッチ制御装置110の再起動は困難となり、発電装置100は昇圧整流動作を起動できない。そのため、発電装置100を再起動するために必要な電力を一旦蓄積する必要がある。
【0035】
ここで、第2スイッチSW2を開放した状態、即ち昇圧整流動作の状態では、圧電部108が発生させた電圧をブリッジ整流部120で全波整流した電圧がスイッチ制御装置110に加えられることとなる。例えば、第1スイッチSW1にノーマリーオフのスイッチを用いてインダクターLを電気的に切り離し、ブリッジ整流部120で全波整流するものとする。圧電部108は、圧電部108の振幅にもよるが、概ね2.0V程度の電圧を発生する。この電圧をVCとする。
ブリッジ整流部120を用いて整流を行うと、ショットキーバリア型のダイオードを用いるものとして順方向電圧降下Vfを0.3Vとした場合、整流後の電圧は以下の式で示される値となる。なお、ブリッジ整流部120を用いる場合、ダイオードを2回通るため、Vfの2倍の電圧が失われる。
VC−2×Vf=2V−0.3V×2=1.4V。
この電圧では、スイッチ制御装置110を起動させるための電圧に達しないため、昇圧整流動作を起動することができない。
【0036】
そこで、第2スイッチSW2を短絡し、倍電圧整流部120aとして動作させる。電圧が低下した状態で第2スイッチSW2を短絡する方法として、第2スイッチSW2にノーマリーオンのスイッチを用いることも好適である。この場合には、ダイオードD1〜D4と、蓄電素子Ca,Cbとは倍電圧直流化装置140aとして機能する。図3(a)は、ブリッジ整流部120が備える第2スイッチSW2を短絡させたときの回路図及び電流経路を示す回路図、図3(b)は、電流が流れる経路に関する部分を抜き出した等価回路図である。図1(b)と図3(a)とは基本的には共通の構成要素を備えている。この共通の構成に対して、第2スイッチSW2を開放すると直流化装置140として動作する。そして第2スイッチSW2を短絡した状態では、倍電圧直流化装置140aとして動作する。そのため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置100を提供することができる。
以下、図3(a)に従って、第2スイッチSW2を短絡させることで倍電圧直流化装置140aとして動作させた場合の電流のフローについて説明する。
まず、第1電極109aが正、第2電極109bが負の場合、電流は実線の矢印に沿って流れていく。まず、第1電極109aを出た後、ダイオードD1を通って、蓄電素子Caを抜ける(ここで蓄電素子Caは充電される)。そして、短絡された第2スイッチSW2を抜け、第2電極109bに流れていく。
次に、第1電極109aが負、第2電極109bが正の場合、電流は破線の矢印に沿って流れていく。まず、第2電極109bを出た後、短絡された第2スイッチSW2を抜け、蓄電素子Cbを抜ける(ここで蓄電素子Cbは充電される)。そしてダイオードD2を抜け、第1電極109aに流れていく。
そして、図3(b)に示すように、電流が流れる経路に関する部分を抜き出したこの回路は、典型的な倍電圧整流回路であり、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧であるVCの略2倍の電圧が供給できる。
この工程において、蓄電素子Caと蓄電素子Cbとは、端子Aと端子Bの電位差が大きくなるように充電される。そのため、端子Aと端子Bの電位差は、以下の式で示されることとなる。
(VC−Vf)+(VC−Vf)=3.4V。
これだけの電圧がスイッチ制御装置110に加わるため、スイッチ制御装置110が動作可能となる。この場合、速やかに第2スイッチSW2を開いて第1スイッチSW1による充電操作を始めても良いが、若干余裕を持たせて蓄電素子Ca,Cbに電荷を蓄えさせた後、第1スイッチSW1を制御して昇圧整流動作を始めても良い。
【0037】
(第2の構成を備えた発電装置)
以下、第2の構成を備えた発電装置について図面に基づいて説明する。なお、第2の構成を備えた発電装置の説明にあたっては、第1の構成を備えた発電装置と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4(a)は、本実施形態を説明するための回路図、図4(b)は、ブリッジ整流部120が備える第2スイッチSW2を短絡させたときの電流経路を示す回路図である。図4(a)に示す発電装置101と図3で示した発電装置100との回路図上での主な差異は、直列に接続された蓄電素子Caと蓄電素子Cbに代えて蓄電素子Cを用いていること、そして、第2スイッチSW2がダイオードD4の開放、短絡を行っていることである。
蓄電素子Cは、ブリッジ整流部120を構成するダイオードD1,D3のカソードが電気的に結合されたカソード対と、ダイオードD2,D4のアノードが電気的に結合されたアノード対との間に設けられている。
ここで、圧電部108が発生させた正負の電荷は、第1電極109aや第2電極109bにより取り出され、交流電流となる。そして、この交流電流はダイオードD1〜D4を備えたブリッジ整流部120や倍電圧整流部120aにより脈流に変換される。そして、この脈流は蓄電素子Cに蓄電され、直流電圧に変換される。
スイッチ制御装置110が安定状態で動作し、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の動作を制御し得る電圧がスイッチ制御装置110に供給されている場合の動作については、前述した昇圧整流動作と同様に、ダイオードD1〜D4はブリッジ整流部120として動作し、ダイオードD1〜D4と蓄電素子Cとで直流化装置140として動作するので説明を省略する。
【0038】
(起動電圧が印加されていない場合の動作)
この場合でも、起動時点でスイッチ制御装置110に動作電圧(例えば3.3V)が無い場合には、第1スイッチSW1を短絡/開放することができず、昇圧整流動作が出来ない。そのため、この場合でもスイッチ制御装置110を起動させるための電力を一旦蓄えるため、倍電圧整流を行うことが必要となる。この場合でも、第1スイッチSW1を開放し、かつ、第2スイッチSW2を短絡し、ダイオードD1〜D4を倍電圧整流部120aに転用することで問題を解決できる。これは、例えば第1スイッチSW1にノーマリーオフのスイッチを用い、第2スイッチSW2にノーマリーオンのスイッチを用いることで対応できる。この場合には、ダイオードD1〜D4と、蓄電素子Cとが倍電圧直流化装置140aとして機能する。また、圧電部108の容量も倍電圧直流化装置140aとして機能する。図4(a)は第2スイッチSW2を短絡させたときの回路図、図4(b)は倍電圧直流化装置140aとして動作させたときの電流経路を示す回路図、図5は、電流が流れる経路に関する部分を抜き出した等価回路図である。図4(a)と図4(b)とは基本的には共通の構成要素を備えている。換言すれば、第2スイッチSW2を短絡した状態では、ダイオードD1〜D4、蓄電素子C、コンデンサーC0は倍電圧直流化装置140aとして動作する。そのため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することができる。
【0039】
続けて、起動電圧を蓄積する動作について図4(b)を用いて説明する。なお、圧電部108を電流源I0と電荷を蓄えるコンデンサーC0と書く記載は、倍電圧整流回路の図面としては余り一般的な図示方法ではないので、圧電部108を電圧源V0と、電荷を蓄えるコンデンサーC0とが直列に接続された等価回路に切り替えて説明を続ける。
第1電極109a側が負の電圧を出力し、第2電極109b側が正の電圧を出力している場合には、破線の矢印に沿って電流が流れる。
電圧源V0から供給された電流は、第2電極109bを通過した後、ダイオードD2、第1電極109aを抜けて、コンデンサーC0を充電して電圧源V0に戻る。
第1電極109a側が正の電圧を出力し、第2電極109b側が負の電圧を出力している場合には、実線の矢印に沿って電流が流れる。
この場合、電圧源V0からの電圧に加え、コンデンサーC0の電圧も加算されて一つの電圧源として機能する。コンデンサーC0の電圧は、圧電部108の電圧VCから、ダイオードD2の電圧降下分を差し引いたものである。
まずコンデンサーC0を通り、第1電極109aを抜けてダイオードD1を通って蓄電素子Cを充電する。そして第2電極109bを通って電圧源V0に戻る。ここで、蓄電素子Cを充電する際に、ダイオードD1の電圧降下Vfを受けるので蓄電素子Cの端子間電圧は以下の値を取る。
(VC−Vf)+(VC−Vf)=(2−0.3)+(2−0.3)=3.4V。
図5は、第1スイッチSW1を開放し、第2スイッチSW2を短絡した場合に、有効に機能している部品を抜き出した回路図である。この回路は、典型的な倍電圧整流回路であり、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧であるVCの略2倍の電圧を供給していることが示される。
【0040】
(動作シーケンス)
以下、上記した発電装置の動作シーケンスについて説明する。図10は、定常状態での動作と起動電圧を得る動作とのいずれかを取るか判断するためのフローチャートである。
まず、ステップS1として、昇圧整流動作可能か否かを判断する。具体的には、スイッチ制御装置110の最小起動電圧以上の電圧が出ているか否かを判断している。
最小起動電圧未満の電圧が出ている場合(ステップS1:N)には、ステップS5に進む。
ステップS5では、昇圧整流動作ステータスをNG(昇圧整流動作不可)とする。
次に、ステップS6として、倍電圧整流を実行する。
次に、ステップS4として昇圧整流動作可能か否かを判断する。
最小起動電圧以上の電圧が出ている場合(ステップS4:Y)には、ステップS2に戻る。
最小起動電圧未満の電圧が出ている場合(ステップS4:N)には、ステップS5に戻る。
START時で最小起動電圧未満の電圧が出ている場合には、以上述べたシーケンスを取る。
そして、START時で最小起動電圧以上の電圧が出ている場合には、以下に述べるシーケンスを取る。
ステップS1において、最小起動電圧以上の電圧が出ている場合(ステップS1:Y)には、ステップS2に進む。
ステップS2では、昇圧整流動作ステータスをOK(昇圧整流動作可)とする。
次に、ステップS3として、昇圧整流動作を実行する。
次に、ステップS4として、昇圧整流動作可能か否かを判断する。
最小起動電圧以上の電圧が出ている場合(ステップS4:Y)には、ステップS2に戻る。
最小起動電圧未満の電圧が出ている場合(ステップS4:N)には、ステップS5に戻る。
この場合、動作シーケンスは無限ループを持って動作している。このままでは、動作を停止することが出来なくなる。そこで、ステップS4において外部からのBreak信号を待って、Break信号を受信した場合(ステップS4:Break信号有)には、発電を停止させる機能を備えることも好適である。なお、例えば半永久的に発電させる場合には、Break信号の入力処理を省略することができる。
なお、昇圧整流動作ステータスを変えることで、発電装置100,101に繋がる、図示せぬ負荷に対して、例えばステータスがOKになるまで起動開始を待つ等の制御を行うことができることとなる。
上記した発電回路は以下の効果を奏する。
【0041】
図2に示されるように、インダクターLと圧電部108の容量成分C0とを備えた共振回路での共振現象を利用することで、上述したように圧電部108が単独で出し得る電圧よりも大きな電圧を得ることができる。そのため、圧電部108から、より効率良く電力を取り出せるので小型で効率の良い発電装置を得ることができる。
【0042】
(定常状態での動作)に示されるように、圧電部108から電荷を流出させない限り、圧電部108を変形させる度に、圧電部108内の電荷は増えて行く。そのため、圧電部108の端子間の電圧は大きくなる。このため、電荷がインダクターLや第1スイッチSW1を流れる際の損失等を考えなければ、圧電部108の端子間の電圧を順次大きくすることができる。そのため、特別な昇圧回路を設けなくても、電気的負荷の駆動に必要な電圧まで自然に昇圧させて発電させることができる。
【0043】
昇圧整流動作に必要な下限電圧を一旦下回ると、第1スイッチSW1を能動的に制御させることが出来なくなり、上記した発電操作を行うことが出来なくなってしまうが、この場合には、スイッチ制御装置110をブリッジ整流部120から倍電圧整流部120aに切り替える動作が行われる。そのため、スイッチ制御装置110には圧電部108での電圧の2倍に近い電圧が与えられる。倍電圧整流を行うことでスイッチ制御装置110が昇圧整流動作可能な電圧に達したとき、スイッチ制御装置110をブリッジ整流部120側に切り替え、スイッチ制御装置110を上記した整流機構で動作させることで、自己復帰が可能でかつ発電効率の高い発電装置を提供することができる。
【0044】
ブリッジ整流部120を第2スイッチSW2を閉じるだけで倍電圧整流部120aに切り替えることが可能となるため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することが可能となる。加えて、下限電圧以上の電圧を保っている場合に、第2スイッチSW2を開放させておくだけでブリッジ整流部120となるため、発電効率を落とすことなく発電を行うことができる。
【0045】
ダイオードD1〜D4に接合型ダイオードと比べ順方向電圧降下が低いショットキーバリアダイオードを用いることで、より高い電圧を供給することができる。接合型ダイオード順方向電圧降下は0.6V程度であるが、ショットキーバリアダイオードの順方向電圧降下は0.3V程度である。そのため、全波整流を行う場合、ダイオードでの電圧降下を抑えることができる。
【0046】
倍電圧整流用のコンデンサーとして、圧電部108が等価的に備えるコンデンサーC0を用いて半波倍電圧整流を行うことで、コンデンサーを一つ省略することができる。加えて、直列に繋がれた蓄電素子Ca,Cbに代えて一つのコンデンサーCを用いることから、実効的な容量が2倍となるため、より安定した直流電流を出力することができる。
【0047】
第1スイッチSW1としてノーマリーオフのスイッチを用い、第2スイッチSW2としてノーマリーオンのスイッチを用いることで、蓄電素子Ca,Cbの両端からの電圧が途絶えた場合に、ブリッジ整流部120がダイオードD1,D2による倍電圧整流部120aとして動作するため、自己復帰が可能でかつ発電効率の高い発電装置を提供することができる。
【0048】
(2次電池)
以下、2次電池を形成した例について説明する。図11は、2次電池の回路図である。2次電池200は、発電装置101、電圧安定化回路130を備える。発電装置101については上述しているため、説明の重複を避けるものとする。
電圧安定化回路130は、発電装置101から電力の供給を受けて、図示せぬ負荷に対して電力を供給している。ここでは、発電装置101を用いた例について説明したが、これは発電装置100を用いても良い。
【0049】
上記した2次電池200は以下の効果を奏する。
蓄電素子Cの端子間電圧が上述した下限電圧を下回った状態となっても、一旦振動が加えられれば上述したように倍電圧整流が行われる。そして、下限電圧以上の電圧に達したとき、昇圧整流動作に切り替えられ、電圧安定化回路130により電圧調整を受けて図示せぬ負荷に対して安定化した電圧を効率良く提供することが可能となる。
【0050】
(電子機器)
以下、電子機器の例について説明する。図12は、電子機器としての万歩計(登録商標)の概略構造を示す概略図である。万歩計(登録商標)1は、リセットボタン10、表示部11、2次電池200を備えている。万歩計(登録商標)1が長期間静止している場合には、2次電池200が備える蓄電素子C(図11参照)の端子間電圧は上述した下限電圧を下回った状態となっている。
ここで、一旦、万歩計(登録商標)1に振動が加えられた場合には、2次電池200は、上述したように倍電圧整流を行い、下限電圧以上の電圧を蓄積した後、速やかに昇圧整流動作を行い、万歩計(登録商標)1が動作する。
なお、ここでは電子機器として万歩計(登録商標)1を例に挙げたが、これは万歩計(登録商標)に限定されることはなく、例えば腕時計や、ウェアラブル機器、また機械的振動を受けて動作する電子機器への適用も可能である。特に、昇圧整流動作は効率が高い整流手法であるため、消費電力が大きくかつワイヤレスで動作させたい用途に対応した電子機器に対して好適に用いることができる。
【0051】
上記した電子機器は以下の効果を奏する。
2次電池200は、発電効率が高い昇圧整流動作を行うため、小さな振動でも効率良く電力を提供できる。そのため、例えば万歩計(登録商標)1の機能としてカロリー計算等の電力を必要とする計算機能を付加することが可能となる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に示す。なお、変形例の説明にあたっては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
[変形例1]
図3と、図6を引用して説明する。図6は、変形例1を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない。ショットキーバリアダイオードは順方向電圧降下が接合型ダイオードと比べ低いという特徴があるが、反面、逆方向リーク電流が多い短所もある。この場合、ダイオードD3とダイオードD4の少なくともいずれか片方を接合型ダイオードとすることで、リークを抑えることで速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。図6では、ダイオードD3とダイオードD4の両方を接合型ダイオードに置換えた場合の回路図を示している。
【0054】
[変形例2]
図3と、図7を引用して説明する。図7は、変形例2を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない。即ち、理想的には倍電圧整流する場合には、ない方が優れている。そこで、ダイオードD3とダイオードD4の少なくともいずれか片方をノーマリーオフのMOSスイッチを用いることでリークを抑え、速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。なお、一旦スイッチ制御装置110が動作した後は、MOSスイッチを同期整流させるようにすることで、順方向電圧ロスを抑えて全波整流を行わせることができる。図7では、ダイオードD3とダイオードD4をスイッチSW3、スイッチSW4に置換えた場合の回路図を示している。
【0055】
[変形例3]
図4と、図8を引用して説明する。図8は、変形例3を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない(但し、ダイオードD4はアノードとカソードが短絡した状態にあるため、実害は無い)。ショットキーバリアダイオードは順方向電圧降下が接合型ダイオードと比べ低いという特徴があるが、反面、逆方向リーク電流が多い短所もある。この場合、ダイオードD3を接合型ダイオードとすることで、リークを抑えることで速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。図8では、ダイオードD3を接合型ダイオードに置換えた場合の回路図を示している。
【0056】
[変形例4]
図4と、図9を引用して説明する。図9は、変形例4を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない。(但し、ダイオードD4はアノードとカソードが短絡した状態にあるため、実害は無い)。即ち、理想的には倍電圧整流する場合には、ない方が優れているものである。そこで、ダイオードD3に代えてノーマリーオフのMOSスイッチ等を用いることでリークを抑え、速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。なお、一旦スイッチ制御装置110が動作した後は、MOSスイッチを同期整流させるようにすることで、順方向電圧ロスを抑えて全波整流を行わせることができる。図9では、ダイオードD3をスイッチSW5に置き換えた場合の回路図を示している。
【符号の説明】
【0057】
C…蓄電素子、Ca…蓄電素子、Cb…蓄電素子、D1…ダイオード、D2…ダイオード、D3…ダイオード、D4…ダイオード、L…インダクター、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、SW3…スイッチ、SW4…スイッチ、SW5…スイッチ、1…万歩計(登録商標)、10…リセットボタン、11…表示部、100…発電装置、101…発電装置、102…支持端、104…梁、106…錘、108…圧電部、109a…第1電極、109b…第2電極、110…スイッチ制御装置、120…ブリッジ整流部、120a…倍電圧整流部、125…発電部、130…電圧安定化回路、140…直流化装置、140a…倍電圧直流化装置、200…2次電池。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置、2次電池及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)や、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の圧電材料は、外力を受けて変形すると、材料内部に電気分極が誘起されて表面に正負の電荷が現れる。このような現象は圧電効果と呼ばれている。圧電材料が有するこのような性質を利用して、片持ち梁を振動させて圧電材料に繰り返し加重を作用させ、圧電材料の表面に生じた電荷を電流として取り出す発電方法が提案されている。
【0003】
例えば、先端に錘を設けるとともに圧電材料の薄板を貼り付けた金属製の片持ち梁を振動させ、振動に伴って圧電材料に交互に生じる正負の電荷を取り出すことによって交流電流を発生させる。そして、この交流電流をダイオードによって整流した後、コンデンサーに蓄えておき、電力として取り出す技術が提案されている(特許文献1)。また、圧電素子で正の電荷が発生している間だけ接点が閉じるようにすることで、ダイオードでの電圧損失を発生させずに直流電流が得られるようにした技術も提案されている(特許文献2)。これらの技術を用いれば、発電装置を小型化することができる。そのため、例えば小型の電子部品に電池の代わりに組み込む等の応用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−107752号公報
【特許文献2】特開2005−312269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提案されている従来の発電装置では、得られる電圧が、圧電材料の電気分極によって生じる電圧までに限られるという問題があった。このため、ほとんどの場合は、別に昇圧回路が必要となり、発電装置を十分に小型化することが難しいという課題があった。また、昇圧回路を駆動するためには通常電力が必要となるが、一旦振動が停止すると昇圧回路を駆動する電力が途絶えることとなり、再起動が困難になるという課題があった。また、再起動用の電池を別途設けると、発電装置の大型化や、電池の寿命による発電装置の寿命の低下に繋がるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる発電装置は、外力に応じて変形方向を切り換えて繰り返し変形することによって電荷を発生する圧電材料を含む圧電部と、前記圧電部が変形可能な状態で前記圧電部を支える支持体と、前記圧電部の変形によって生じた電荷を電流として取り出すことに用いる一対の電極と、前記一対の電極の片側と接続された第1スイッチと、前記第1スイッチを介して前記一対の電極と接続され、前記圧電部の容量成分と共振回路を構成するインダクターと、前記圧電部の前記変形方向が切り換わるときに前記第1スイッチを短絡させた後、前記共振回路の共振周期の半周期に相当する時間が経過したときと、前記第1スイッチを制御し得る下限電圧よりも低い電圧が供給されたときと、に前記第1スイッチを開放する第1スイッチ制御装置と、前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、第1直流電圧に変換するブリッジ整流部と、前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、前記一対の電極間の電圧よりも高い第2直流電圧に変換する倍電圧整流部と、前記ブリッジ整流部もしくは倍電圧整流部から供給された脈流電流を蓄電する蓄電部と、前記ブリッジ整流部と前記倍電圧整流部とのいずれかを選択する第2スイッチと、前記第1直流電圧が前記下限電圧よりも低い場合には前記第2スイッチを用いて前記倍電圧整流部を選択する第2スイッチ制御装置と、を備え、前記第1スイッチ制御装置及び第2スイッチ制御装置が、前記第1直流電圧及び前記第2直流電圧のいずれかを用いて駆動されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、外力に応じて変形方向を切り換えて圧電部を繰り返し変形させることで圧電部には圧電効果によって正負の電荷が発生する。また、電荷の発生量は、圧電部の変形量が大きくなるほど多くなる。そして、変形量の大きさが最大となったとき(即ち変形方向が切り換わるとき)に、第1スイッチを短絡することで、圧電部をインダクターに接続する。圧電部は、電気回路的にはコンデンサーと見なすことができるので、インダクターに接続されることで共振回路が形成される。
すると、圧電部に発生していた電荷がインダクターに流れ込む。そして、圧電部及びインダクターは共振回路を構成しているから、インダクターに流れ込んだ電流はオーバーシュートして、反対側の端子から圧電部に流れ込む。この期間(即ち、圧電部の一方の電極から流れ出した電荷が、インダクターを介して反対側の電極から再び圧電材料内に流れ込むまでの期間)は、圧電部及びインダクターによって形成される共振回路の共振周期の半分となる。従って、圧電部の変形方向が切り換わったタイミングで圧電部とインダクターとを第1スイッチを短絡することで接続し、その後、共振周期の半分の時間が経過したタイミングで、圧電部とインダクターとを第1スイッチを用いて開放すれば、インダクターを接続する前に圧電部内に発生していた正負の電荷の配置を逆転させることができる。
【0009】
そして、この状態から、今度は逆方向に圧電部を変形させると、圧電効果によって発生した電荷は、逆転して蓄積された電荷に加えて蓄積されることとなる。その結果、圧電部を繰り返し変形させることによって生じた電荷を、圧電部内に蓄積することが可能となる。また、圧電部内に電荷を蓄積した分だけ端子間の電圧も増加するので、昇圧回路を別途用意しなくても、圧電材料の電気分極によって生じる電圧よりも高い電圧を発生させることができる。その結果、小型で効率の良い発電装置を得ることができる。
ここで、上記した発電動作を行うためには、圧電部とインダクターとを接続/開放する第1スイッチを能動的に制御することが必要となる。
即ち、一旦第1スイッチ制御装置に与えられる電圧が下限電圧を下回ってしまうと第1スイッチを能動的に制御させることが出来なくなり、上記した発電操作を行うことが出来なくなってしまう。
【0010】
この場合には、第2スイッチ制御装置を用いて第2スイッチを切り替え、直流電圧に変換する装置を倍電圧整流部に切り替える。そのため、第1スイッチ制御装置には圧電部での電圧の2倍に近い電圧が与えられるため、ブリッジ整流部と比較して蓄電部に高い電圧を蓄電することができる。これにより、第1スイッチ制御装置に与えられる電圧が下限電圧を下回っても、発電操作を継続することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例にかかる発電装置であって、前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に直列に接続される、第1蓄電素子と第2蓄電素子とを有し、前記第2スイッチは、前記第1蓄電素子と前記第2蓄電素子との間と、前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させることを特徴とする。
【0012】
上記した適用例によれば、ブリッジ整流部を、第2スイッチを閉じるだけで倍電圧整流部に切り替えることができる。そのため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することが可能となる。加えて、下限電圧以上の電圧を保っている場合に、第2スイッチを開放させておくことでブリッジ整流部として動作させることができるので、発電効率を落とすことなく発電を行うことができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例にかかる発電装置であって、前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に接続された蓄電素子を備え、前記第2スイッチは、前記ブリッジ整流部の前記アノード対側と前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させ、前記容量成分を前記倍電圧整流部を駆動させる場合の容量として用いることを特徴とする。
【0014】
上記した適用例によれば、ブリッジ整流部を、第2スイッチを閉じるだけで倍電圧整流部に切り替えることが可能となるため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することが可能となる。加えて、下限電圧以上の電圧を保っている場合に、第2スイッチを開放させておくことでブリッジ整流部となるため、発電効率を落とすことなく発電を行うことが可能となる。さらに、倍電圧整流部として動作させたときは、圧電部の容量成分を用いて半波倍電圧整流を行うため、蓄電素子を直列に接続せずに(同じ容量の蓄電素子を直列に接続した場合、実効的な容量は1/2になる)自己復帰可能な発電装置を提供することができる。
【0015】
[適用例4]上記適用例にかかる発電装置であって、前記第1スイッチは駆動電圧が掛からない場合には開放状態を取るノーマリーオフのスイッチであり、前記第2スイッチは、駆動電圧が掛からない場合には短絡状態を取るノーマリーオンのスイッチであることを特徴とする。
【0016】
上記した適用例によれば、発電装置の出力電圧が下限電圧よりも低い場合にはブリッジ整流部が倍電圧整流部に切り替えられる。また、圧電部と並列に繋がっているインダクターが切断されるため、圧電部に繰り返し変形を受けた場合に速やかに倍電圧整流が行われる。そのため、短時間で自己復帰可能で、かつ発電効率の高い発電装置を提供することができる。
【0017】
[適用例5]本適用例にかかる2次電池は、上記記載の発電装置を備えたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、2次電池が一旦放電し尽し、第1スイッチの制御が出来ない状態にあっても、圧電部に繰り返し変形を受けた場合に倍電圧整流が行われる。そして、下限電圧以上の電圧を得た後、速やかに発電効率の高い整流状態に移行させることで、発電効率が通常のブリッジ整流と比べ高く、かつ自己復帰可能な2次電池を提供することが可能となる。
【0019】
[適用例6]本適用例にかかる電子機器は、上記記載の2次電池を備えたことを特徴とする。
【0020】
これによれば、発電効率が通常のブリッジ整流と比べ高く、かつ自己復帰可能な2次電池を備えているため、電池交換することなく動作し得る電子機器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は、発電装置の構造を示した模式図、(b)は発電装置の回路図。
【図2】(a)〜(d)は、定常状態での発電装置の動作を示したグラフ。
【図3】(a)は、ブリッジ整流部が備えるスイッチを短絡させたときの電流経路を示す回路図、(b)は、電流が流れる経路に関する部分を抜き出した等価回路図。
【図4】(a)は、発電装置の回路図、(b)は、ブリッジ整流部が備えるスイッチを短絡させたときの電流経路を示す回路図。
【図5】第1スイッチSW1を開放し、第2スイッチSW2を短絡した場合に、有効に機能している部品を抜き出した回路図。
【図6】変形例1を説明するための回路図。
【図7】変形例2を説明するための回路図。
【図8】変形例3を説明するための回路図。
【図9】変形例4を説明するための回路図。
【図10】定常状態での動作と起動電圧を得る動作とのいずれかを取るか判断するためのフローチャート。
【図11】2次電池の回路図。
【図12】電子機器としての万歩計(登録商標)の概略構造を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態:第1の構成を備えた発電装置)
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
図1(a)は、本実施形態の発電装置の構造を示した模式図である。本実施形態に示す発電装置100が備える発電部125の機械的な構造は、先端に錘106が設けられた梁104が、基端側で支持端102に固定された片持ち梁構造となっている。また、支持体としての梁104の表面には、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料によって形成された圧電部108が固定支持されており、圧電部108の両面には、金属薄膜等の導体を用いた一対の電極としての第1電極109a、第2電極109bがそれぞれ設けられている。なお、図1に示した例では、梁104の上面側に圧電部108が設けられているが、梁104の下面側に圧電部108を設けても良く、あるいは梁104の上面側及び下面側の両方に圧電部108を設けても良い。なお、「上」とは、圧電部108から第1電極109aを見た方向(図中のuの正方向)を指し、「下」とは、「上」の反対方向を指すものとする。
【0023】
梁104は、基端側が支持端102に固定されており、先端側には錘106が設けられているので、振動等が加わると、図中に白抜きの矢印で示したように、梁104の先端が大きく振動する。その結果、梁104の表面に取り付けられた圧電部108は、外力による繰り返し変形を受け、圧縮力及び引張力が交互に作用することとなる。すると、圧電部108は圧電効果によって正負の電荷を発生し、その電荷が第1電極109a、及び第2電極109bに現れ、電流として取り出される。
【0024】
図1(b)は、本実施形態における発電装置の回路図である。圧電部108は、電気的には、電流源I0と、電荷を蓄えるコンデンサーC0として表すことができる。この圧電部108に対して並列にインダクターLが接続されて、圧電部108の容量成分C0と共に電気的な共振回路を形成している。そして、この共振回路を短絡/開放するための第1スイッチSW1が、インダクターLに対して直列に接続されている。第1スイッチSW1の短絡/開放及び、第2スイッチSW2の短絡/開放は、第1スイッチ制御装置及び第2スイッチ制御装置としてのスイッチ制御装置110によって制御されている。また、圧電部108に設けられた第1電極109a及び第2電極109bは、4つのダイオードD1〜D4から構成されるブリッジ整流部120に接続されている。より具体的には、直列に接続された蓄電素子Ca,Cbが、ブリッジ整流部120を構成するダイオードD1,D3のカソードが電気的に結合されたカソード対と、ダイオードD2,D4のアノードが電気的に結合されたアノード対との間に設けられている。
ここでは、ダイオードD1〜D4には接合型ダイオードと比べ順方向電圧降下が低いショットキーバリアダイオードを用いている。接合型ダイオード順方向電圧降下は0.6V程度であるが、ショットキーバリアダイオードの順方向電圧降下は0.3V程度である。そのため、全波整流や倍電圧整流を行う場合、ダイオードD1〜D4での電圧降下を抑えることができる。
ダイオードD1〜D4は、第2スイッチSW2を開放状態にした場合、ブリッジ整流部120として機能する。そして、蓄電素子Ca,Cbと共に交流電流を直流電圧に変える直流化装置140として機能する。
また、ダイオードD1〜D4は、第2スイッチSW2を短絡状態にした場合、倍電圧整流部120aとして機能する。そして、蓄電素子Ca,Cbを含む倍電圧直流化装置140aとして機能する。
圧電部108が発生させた正負の電荷は、第1電極109aや第2電極109bにより取り出され、交流電流となる。そして、この交流電流はダイオードD1〜D4を備えたブリッジ整流部120や倍電圧整流部120aにより脈流に変換される。そして、この脈流は蓄電素子Ca,Cbに蓄電される。
【0025】
(定常状態での動作)
図2(a)〜(d)は、定常状態での発電装置の動作を示したグラフである。ここで定常状態とは、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の動作を制御し得る電圧がスイッチ制御装置110に供給されている場合を示すものとする。
図2(a)は、梁104の先端の変位の位置の動きを示している。縦軸は変位u、横軸は時間tである。変位の単位は任意単位である。図2(a)に示すように、梁104の振動に伴って、梁104の先端の変位Uが変化することが示されている。なお、プラスの変位Uは、梁104が上向きに反った状態(梁104の上面側が凹となった状態)を表しており、マイナスの変位(−U)は、梁104が下向きに反った状態(梁104の下面側が凹となった状態)を表している。また、図2(b)には、梁104の変形に伴って、圧電部108が発生する電流の様子と、その結果として圧電部108の内部に生じる起電力とが示されている。なお、図2(b)では、圧電部108に電荷が発生する様子は、単位時間あたりに発生する電荷量(即ち、電流Ip)として表される。ここでは圧電部108に流れる電流Ipztを縦軸としている。また、圧電部108に生じる起電力は、第1電極109aと第2電極109bとの間に生じる電位差Vpztを縦軸として表している。定常状態の動作を行う場合には、第2スイッチSW2は開放されている。
【0026】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、梁104の変位が増加している間は、圧電部108は正方向の電流を発生させる。(即ち、電流Ipがプラスの値を取る)。これに伴って第1電極109a及び第2電極109bの電位差Vpは正方向へ増加する。正方向の電位差Vpが、蓄電素子Ca,Cb間の電圧VC1とブリッジ整流部120を構成しているダイオードの順方向電圧降下Vfの2倍との和、即ち、VC1+2Vfよりも大きくなれば、それ以降に発生した電荷は直流電流として取り出して、蓄電素子Ca,Cbに蓄えておくことができる。また、梁104の変位が減少している間は、圧電部108は負方向の電流を発生させる(即ち、電流Ipがマイナスの値を取る)。これに伴って第1電極109a及び第2電極109bの電位差Vpは負方向へ増加する。負方向の電位差Vpが、VC1とブリッジ整流部120の2Vfの和よりも大きくなれば、発生した電荷は直流電流として取り出して、蓄電素子Ca,Cbに蓄えておくことができる。これが一般的な発電方法である。ここで、第1スイッチSW1を制御して、より効率的な発電を行う方法について説明する。
【0027】
図2(c)は、第1スイッチSW1を短絡(ON)させるタイミングを示すグラフであり、”ON”と示された時間のみONしている。図2(d)は、図2(c)で示したタイミングで第1スイッチSW1を短絡(ON)させた場合に得られる電圧波形を示している。縦軸は発生電圧として第1電極109aと第2電極109bとの間に生じる電位差Vgenを縦軸として表している。
図2(c)に示すタイミング(圧電部108の変位が極大または極小を取るタイミング)で、第1スイッチSW1を短絡(ON)する。すると、図2(d)に示すように、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧波形が、第1スイッチSW1を短絡した瞬間にシフトしたかのような現象が発生する。例えば、図2(d)中に「B」と表示した期間Bでは、圧電部108の起電力に対応する細い破線で示した電位差Vpがマイナス方向にシフトしたような、太い破線で示した電圧波形が圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間に現れる。
また、図2(d)中に「C」と表示した期間Cでは、圧電部108の起電力に対応する電位差Vpがプラス方向にシフトしたような、太い破線の電圧波形が現れる。以降の期間D、期間E、期間F等についても同様に、圧電部108の起電力に対応する電位差Vpがプラス方向あるいはマイナス方向にシフトしたような、太い破線の電圧波形が現れる。
これは、インダクターLと圧電部108の容量成分C0とを備えた共振回路での共振現象を利用して得られるものである。圧電部108の変位が極小となるタイミング(図2(a)において変位が−uとなるとき)で第1スイッチSW1を短絡(ON)すると、インダクターLを流れる電流はインダクターLのインダクタンスに抗して徐々に流れ始める。そして、容量成分C0両端の電圧が0になるときインダクターLを流れる電流は最大となる。続けて、インダクターLのインダクタンスにより電流は流れ続け、電流は容量成分C0両端の電圧を反転させた状態で0になる。ここで、第1スイッチSW1を開放(OFF)する。
【0028】
このあと、圧電部108は逆方向に撓むこととなる。即ち、電流Ipは正の値を取り、容量成分C0を正の向きに充電する。上記した動作で、容量成分C0に蓄えられた電荷は反転させた状態で保持されているため、新たに正の電荷が加わることで、圧電部108が一般的な動作で発生させ得る値よりも大きな値を取る。
【0029】
そして、圧電部108の変位が極大となったところ(図2(a)において変位がuとなるとき)で同様の操作を行うことで、今度は絶対値が一般的な動作で発生させ得る値よりも大きい負の電位差Vgが生じる。即ち、圧電部108の変位が極大または極小を取るタイミングで、容量成分C0とインダクターLとにより構成される共振回路の共振周期の半周期の期間第1スイッチSW1を短絡させることで、圧電部108から、より効率良く電力を取り出すことが可能となる。
【0030】
この場合、圧電部108から電荷を流出させない限り、圧電部108を変形させる度に、圧電部108内の電荷は増えて行く。そのため、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧は大きくなる。
【0031】
ここでは、VC1と2Vfとの和を超えた部分(図2(d)中に斜線を付して示した部分)では、圧電部108で発生した電荷は蓄電素子Ca,Cbに蓄えられる。そのため、圧電部108から蓄電素子Ca,Cbに電荷が流出し、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧は、蓄電素子Ca,Cbと2Vfとの端子間電圧の和の電圧(VC1+2Vf)でクリップされる。その結果、第1電極109a及び第2電極109bの間の電圧波形は、図2(d)に太い実線で示した波形となる。
【0032】
図2(b)に示した第1スイッチSW1を開放したままの場合と、図2(d)に示したように、梁104の変形方向が切り換わるタイミングで第1スイッチSW1を短絡した場合とを比較すれば明らかなように、本実施例の発電装置100では、適切なタイミングで第1スイッチSW1を短絡/開放させることで、効率良く蓄電素子Ca,Cbに電荷を蓄えることが可能となる。
【0033】
また、蓄電素子Ca,Cbに電荷が蓄えられて、蓄電素子Ca,Cbの両端(ダイオードD1,D3の両カソードが繋がるカソード対側を一端、ダイオードD2,D4の両アノードが繋がるアノード対側を他端とする)の電圧が増加すると、それに従って電圧波形のシフト量も大きくなる。例えば、図2(d)中の期間B(蓄電素子Ca,Cbに電荷が蓄えられていない状態)と、図2(d)中の期間H(蓄電素子Ca,Cbに電荷が蓄えられた状態)とを比較すると、期間Hの方が電圧波形のシフト量が大きくなっている。同様に、図2(d)中の期間Cと期間Iとを比較すると、蓄電素子Ca,Cbに蓄えられた電荷が増えている期間Iの方が、電圧波形のシフト量が大きくなっている。この結果、本実施例の発電装置100では、圧電部108を変形させたことによって、第1電極109aと第2電極109bとの間に生じる電位差Vp以上の電圧を、蓄電素子Ca,Cbに蓄えることが可能となる。その結果、特別な昇圧回路を設ける必要がなくなり、小型で高効率の発電装置を得ることが可能となる。以降、この整流動作を昇圧整流動作と呼ぶ。
【0034】
(起動電圧が印加されていない場合の動作)
図1に戻る。
上記の昇圧整流動作により、初期状態として、スイッチ制御装置110が動作しうる電圧が供給された場合には従来技術と比べ高い効率で圧電部108から与えられた電力を取り出すことができるが、起動時点でスイッチ制御装置110に動作電圧(例えば3.3V)が与えられない場合には、第1スイッチSW1を短絡/開放することができず、昇圧整流動作が出来ない。そのため、スイッチ制御装置110を起動させるための電力を一旦蓄えることが必要となる。例えば、腕時計への応用を考えた場合、腕時計を腕から外している状態では圧電部108は発電できない。そのため、蓄電素子Ca,Cbが蓄えたエネルギーを使用し尽くしたとき、スイッチ制御装置110の再起動は困難となり、発電装置100は昇圧整流動作を起動できない。そのため、発電装置100を再起動するために必要な電力を一旦蓄積する必要がある。
【0035】
ここで、第2スイッチSW2を開放した状態、即ち昇圧整流動作の状態では、圧電部108が発生させた電圧をブリッジ整流部120で全波整流した電圧がスイッチ制御装置110に加えられることとなる。例えば、第1スイッチSW1にノーマリーオフのスイッチを用いてインダクターLを電気的に切り離し、ブリッジ整流部120で全波整流するものとする。圧電部108は、圧電部108の振幅にもよるが、概ね2.0V程度の電圧を発生する。この電圧をVCとする。
ブリッジ整流部120を用いて整流を行うと、ショットキーバリア型のダイオードを用いるものとして順方向電圧降下Vfを0.3Vとした場合、整流後の電圧は以下の式で示される値となる。なお、ブリッジ整流部120を用いる場合、ダイオードを2回通るため、Vfの2倍の電圧が失われる。
VC−2×Vf=2V−0.3V×2=1.4V。
この電圧では、スイッチ制御装置110を起動させるための電圧に達しないため、昇圧整流動作を起動することができない。
【0036】
そこで、第2スイッチSW2を短絡し、倍電圧整流部120aとして動作させる。電圧が低下した状態で第2スイッチSW2を短絡する方法として、第2スイッチSW2にノーマリーオンのスイッチを用いることも好適である。この場合には、ダイオードD1〜D4と、蓄電素子Ca,Cbとは倍電圧直流化装置140aとして機能する。図3(a)は、ブリッジ整流部120が備える第2スイッチSW2を短絡させたときの回路図及び電流経路を示す回路図、図3(b)は、電流が流れる経路に関する部分を抜き出した等価回路図である。図1(b)と図3(a)とは基本的には共通の構成要素を備えている。この共通の構成に対して、第2スイッチSW2を開放すると直流化装置140として動作する。そして第2スイッチSW2を短絡した状態では、倍電圧直流化装置140aとして動作する。そのため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置100を提供することができる。
以下、図3(a)に従って、第2スイッチSW2を短絡させることで倍電圧直流化装置140aとして動作させた場合の電流のフローについて説明する。
まず、第1電極109aが正、第2電極109bが負の場合、電流は実線の矢印に沿って流れていく。まず、第1電極109aを出た後、ダイオードD1を通って、蓄電素子Caを抜ける(ここで蓄電素子Caは充電される)。そして、短絡された第2スイッチSW2を抜け、第2電極109bに流れていく。
次に、第1電極109aが負、第2電極109bが正の場合、電流は破線の矢印に沿って流れていく。まず、第2電極109bを出た後、短絡された第2スイッチSW2を抜け、蓄電素子Cbを抜ける(ここで蓄電素子Cbは充電される)。そしてダイオードD2を抜け、第1電極109aに流れていく。
そして、図3(b)に示すように、電流が流れる経路に関する部分を抜き出したこの回路は、典型的な倍電圧整流回路であり、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧であるVCの略2倍の電圧が供給できる。
この工程において、蓄電素子Caと蓄電素子Cbとは、端子Aと端子Bの電位差が大きくなるように充電される。そのため、端子Aと端子Bの電位差は、以下の式で示されることとなる。
(VC−Vf)+(VC−Vf)=3.4V。
これだけの電圧がスイッチ制御装置110に加わるため、スイッチ制御装置110が動作可能となる。この場合、速やかに第2スイッチSW2を開いて第1スイッチSW1による充電操作を始めても良いが、若干余裕を持たせて蓄電素子Ca,Cbに電荷を蓄えさせた後、第1スイッチSW1を制御して昇圧整流動作を始めても良い。
【0037】
(第2の構成を備えた発電装置)
以下、第2の構成を備えた発電装置について図面に基づいて説明する。なお、第2の構成を備えた発電装置の説明にあたっては、第1の構成を備えた発電装置と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図4(a)は、本実施形態を説明するための回路図、図4(b)は、ブリッジ整流部120が備える第2スイッチSW2を短絡させたときの電流経路を示す回路図である。図4(a)に示す発電装置101と図3で示した発電装置100との回路図上での主な差異は、直列に接続された蓄電素子Caと蓄電素子Cbに代えて蓄電素子Cを用いていること、そして、第2スイッチSW2がダイオードD4の開放、短絡を行っていることである。
蓄電素子Cは、ブリッジ整流部120を構成するダイオードD1,D3のカソードが電気的に結合されたカソード対と、ダイオードD2,D4のアノードが電気的に結合されたアノード対との間に設けられている。
ここで、圧電部108が発生させた正負の電荷は、第1電極109aや第2電極109bにより取り出され、交流電流となる。そして、この交流電流はダイオードD1〜D4を備えたブリッジ整流部120や倍電圧整流部120aにより脈流に変換される。そして、この脈流は蓄電素子Cに蓄電され、直流電圧に変換される。
スイッチ制御装置110が安定状態で動作し、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2の動作を制御し得る電圧がスイッチ制御装置110に供給されている場合の動作については、前述した昇圧整流動作と同様に、ダイオードD1〜D4はブリッジ整流部120として動作し、ダイオードD1〜D4と蓄電素子Cとで直流化装置140として動作するので説明を省略する。
【0038】
(起動電圧が印加されていない場合の動作)
この場合でも、起動時点でスイッチ制御装置110に動作電圧(例えば3.3V)が無い場合には、第1スイッチSW1を短絡/開放することができず、昇圧整流動作が出来ない。そのため、この場合でもスイッチ制御装置110を起動させるための電力を一旦蓄えるため、倍電圧整流を行うことが必要となる。この場合でも、第1スイッチSW1を開放し、かつ、第2スイッチSW2を短絡し、ダイオードD1〜D4を倍電圧整流部120aに転用することで問題を解決できる。これは、例えば第1スイッチSW1にノーマリーオフのスイッチを用い、第2スイッチSW2にノーマリーオンのスイッチを用いることで対応できる。この場合には、ダイオードD1〜D4と、蓄電素子Cとが倍電圧直流化装置140aとして機能する。また、圧電部108の容量も倍電圧直流化装置140aとして機能する。図4(a)は第2スイッチSW2を短絡させたときの回路図、図4(b)は倍電圧直流化装置140aとして動作させたときの電流経路を示す回路図、図5は、電流が流れる経路に関する部分を抜き出した等価回路図である。図4(a)と図4(b)とは基本的には共通の構成要素を備えている。換言すれば、第2スイッチSW2を短絡した状態では、ダイオードD1〜D4、蓄電素子C、コンデンサーC0は倍電圧直流化装置140aとして動作する。そのため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することができる。
【0039】
続けて、起動電圧を蓄積する動作について図4(b)を用いて説明する。なお、圧電部108を電流源I0と電荷を蓄えるコンデンサーC0と書く記載は、倍電圧整流回路の図面としては余り一般的な図示方法ではないので、圧電部108を電圧源V0と、電荷を蓄えるコンデンサーC0とが直列に接続された等価回路に切り替えて説明を続ける。
第1電極109a側が負の電圧を出力し、第2電極109b側が正の電圧を出力している場合には、破線の矢印に沿って電流が流れる。
電圧源V0から供給された電流は、第2電極109bを通過した後、ダイオードD2、第1電極109aを抜けて、コンデンサーC0を充電して電圧源V0に戻る。
第1電極109a側が正の電圧を出力し、第2電極109b側が負の電圧を出力している場合には、実線の矢印に沿って電流が流れる。
この場合、電圧源V0からの電圧に加え、コンデンサーC0の電圧も加算されて一つの電圧源として機能する。コンデンサーC0の電圧は、圧電部108の電圧VCから、ダイオードD2の電圧降下分を差し引いたものである。
まずコンデンサーC0を通り、第1電極109aを抜けてダイオードD1を通って蓄電素子Cを充電する。そして第2電極109bを通って電圧源V0に戻る。ここで、蓄電素子Cを充電する際に、ダイオードD1の電圧降下Vfを受けるので蓄電素子Cの端子間電圧は以下の値を取る。
(VC−Vf)+(VC−Vf)=(2−0.3)+(2−0.3)=3.4V。
図5は、第1スイッチSW1を開放し、第2スイッチSW2を短絡した場合に、有効に機能している部品を抜き出した回路図である。この回路は、典型的な倍電圧整流回路であり、圧電部108を挟む第1電極109a、第2電極109b間の電圧であるVCの略2倍の電圧を供給していることが示される。
【0040】
(動作シーケンス)
以下、上記した発電装置の動作シーケンスについて説明する。図10は、定常状態での動作と起動電圧を得る動作とのいずれかを取るか判断するためのフローチャートである。
まず、ステップS1として、昇圧整流動作可能か否かを判断する。具体的には、スイッチ制御装置110の最小起動電圧以上の電圧が出ているか否かを判断している。
最小起動電圧未満の電圧が出ている場合(ステップS1:N)には、ステップS5に進む。
ステップS5では、昇圧整流動作ステータスをNG(昇圧整流動作不可)とする。
次に、ステップS6として、倍電圧整流を実行する。
次に、ステップS4として昇圧整流動作可能か否かを判断する。
最小起動電圧以上の電圧が出ている場合(ステップS4:Y)には、ステップS2に戻る。
最小起動電圧未満の電圧が出ている場合(ステップS4:N)には、ステップS5に戻る。
START時で最小起動電圧未満の電圧が出ている場合には、以上述べたシーケンスを取る。
そして、START時で最小起動電圧以上の電圧が出ている場合には、以下に述べるシーケンスを取る。
ステップS1において、最小起動電圧以上の電圧が出ている場合(ステップS1:Y)には、ステップS2に進む。
ステップS2では、昇圧整流動作ステータスをOK(昇圧整流動作可)とする。
次に、ステップS3として、昇圧整流動作を実行する。
次に、ステップS4として、昇圧整流動作可能か否かを判断する。
最小起動電圧以上の電圧が出ている場合(ステップS4:Y)には、ステップS2に戻る。
最小起動電圧未満の電圧が出ている場合(ステップS4:N)には、ステップS5に戻る。
この場合、動作シーケンスは無限ループを持って動作している。このままでは、動作を停止することが出来なくなる。そこで、ステップS4において外部からのBreak信号を待って、Break信号を受信した場合(ステップS4:Break信号有)には、発電を停止させる機能を備えることも好適である。なお、例えば半永久的に発電させる場合には、Break信号の入力処理を省略することができる。
なお、昇圧整流動作ステータスを変えることで、発電装置100,101に繋がる、図示せぬ負荷に対して、例えばステータスがOKになるまで起動開始を待つ等の制御を行うことができることとなる。
上記した発電回路は以下の効果を奏する。
【0041】
図2に示されるように、インダクターLと圧電部108の容量成分C0とを備えた共振回路での共振現象を利用することで、上述したように圧電部108が単独で出し得る電圧よりも大きな電圧を得ることができる。そのため、圧電部108から、より効率良く電力を取り出せるので小型で効率の良い発電装置を得ることができる。
【0042】
(定常状態での動作)に示されるように、圧電部108から電荷を流出させない限り、圧電部108を変形させる度に、圧電部108内の電荷は増えて行く。そのため、圧電部108の端子間の電圧は大きくなる。このため、電荷がインダクターLや第1スイッチSW1を流れる際の損失等を考えなければ、圧電部108の端子間の電圧を順次大きくすることができる。そのため、特別な昇圧回路を設けなくても、電気的負荷の駆動に必要な電圧まで自然に昇圧させて発電させることができる。
【0043】
昇圧整流動作に必要な下限電圧を一旦下回ると、第1スイッチSW1を能動的に制御させることが出来なくなり、上記した発電操作を行うことが出来なくなってしまうが、この場合には、スイッチ制御装置110をブリッジ整流部120から倍電圧整流部120aに切り替える動作が行われる。そのため、スイッチ制御装置110には圧電部108での電圧の2倍に近い電圧が与えられる。倍電圧整流を行うことでスイッチ制御装置110が昇圧整流動作可能な電圧に達したとき、スイッチ制御装置110をブリッジ整流部120側に切り替え、スイッチ制御装置110を上記した整流機構で動作させることで、自己復帰が可能でかつ発電効率の高い発電装置を提供することができる。
【0044】
ブリッジ整流部120を第2スイッチSW2を閉じるだけで倍電圧整流部120aに切り替えることが可能となるため、部品点数の増加を抑えて高い発電効率を備え、かつ自己復帰可能な発電装置を提供することが可能となる。加えて、下限電圧以上の電圧を保っている場合に、第2スイッチSW2を開放させておくだけでブリッジ整流部120となるため、発電効率を落とすことなく発電を行うことができる。
【0045】
ダイオードD1〜D4に接合型ダイオードと比べ順方向電圧降下が低いショットキーバリアダイオードを用いることで、より高い電圧を供給することができる。接合型ダイオード順方向電圧降下は0.6V程度であるが、ショットキーバリアダイオードの順方向電圧降下は0.3V程度である。そのため、全波整流を行う場合、ダイオードでの電圧降下を抑えることができる。
【0046】
倍電圧整流用のコンデンサーとして、圧電部108が等価的に備えるコンデンサーC0を用いて半波倍電圧整流を行うことで、コンデンサーを一つ省略することができる。加えて、直列に繋がれた蓄電素子Ca,Cbに代えて一つのコンデンサーCを用いることから、実効的な容量が2倍となるため、より安定した直流電流を出力することができる。
【0047】
第1スイッチSW1としてノーマリーオフのスイッチを用い、第2スイッチSW2としてノーマリーオンのスイッチを用いることで、蓄電素子Ca,Cbの両端からの電圧が途絶えた場合に、ブリッジ整流部120がダイオードD1,D2による倍電圧整流部120aとして動作するため、自己復帰が可能でかつ発電効率の高い発電装置を提供することができる。
【0048】
(2次電池)
以下、2次電池を形成した例について説明する。図11は、2次電池の回路図である。2次電池200は、発電装置101、電圧安定化回路130を備える。発電装置101については上述しているため、説明の重複を避けるものとする。
電圧安定化回路130は、発電装置101から電力の供給を受けて、図示せぬ負荷に対して電力を供給している。ここでは、発電装置101を用いた例について説明したが、これは発電装置100を用いても良い。
【0049】
上記した2次電池200は以下の効果を奏する。
蓄電素子Cの端子間電圧が上述した下限電圧を下回った状態となっても、一旦振動が加えられれば上述したように倍電圧整流が行われる。そして、下限電圧以上の電圧に達したとき、昇圧整流動作に切り替えられ、電圧安定化回路130により電圧調整を受けて図示せぬ負荷に対して安定化した電圧を効率良く提供することが可能となる。
【0050】
(電子機器)
以下、電子機器の例について説明する。図12は、電子機器としての万歩計(登録商標)の概略構造を示す概略図である。万歩計(登録商標)1は、リセットボタン10、表示部11、2次電池200を備えている。万歩計(登録商標)1が長期間静止している場合には、2次電池200が備える蓄電素子C(図11参照)の端子間電圧は上述した下限電圧を下回った状態となっている。
ここで、一旦、万歩計(登録商標)1に振動が加えられた場合には、2次電池200は、上述したように倍電圧整流を行い、下限電圧以上の電圧を蓄積した後、速やかに昇圧整流動作を行い、万歩計(登録商標)1が動作する。
なお、ここでは電子機器として万歩計(登録商標)1を例に挙げたが、これは万歩計(登録商標)に限定されることはなく、例えば腕時計や、ウェアラブル機器、また機械的振動を受けて動作する電子機器への適用も可能である。特に、昇圧整流動作は効率が高い整流手法であるため、消費電力が大きくかつワイヤレスで動作させたい用途に対応した電子機器に対して好適に用いることができる。
【0051】
上記した電子機器は以下の効果を奏する。
2次電池200は、発電効率が高い昇圧整流動作を行うため、小さな振動でも効率良く電力を提供できる。そのため、例えば万歩計(登録商標)1の機能としてカロリー計算等の電力を必要とする計算機能を付加することが可能となる。
【0052】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に示す。なお、変形例の説明にあたっては、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
[変形例1]
図3と、図6を引用して説明する。図6は、変形例1を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない。ショットキーバリアダイオードは順方向電圧降下が接合型ダイオードと比べ低いという特徴があるが、反面、逆方向リーク電流が多い短所もある。この場合、ダイオードD3とダイオードD4の少なくともいずれか片方を接合型ダイオードとすることで、リークを抑えることで速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。図6では、ダイオードD3とダイオードD4の両方を接合型ダイオードに置換えた場合の回路図を示している。
【0054】
[変形例2]
図3と、図7を引用して説明する。図7は、変形例2を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない。即ち、理想的には倍電圧整流する場合には、ない方が優れている。そこで、ダイオードD3とダイオードD4の少なくともいずれか片方をノーマリーオフのMOSスイッチを用いることでリークを抑え、速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。なお、一旦スイッチ制御装置110が動作した後は、MOSスイッチを同期整流させるようにすることで、順方向電圧ロスを抑えて全波整流を行わせることができる。図7では、ダイオードD3とダイオードD4をスイッチSW3、スイッチSW4に置換えた場合の回路図を示している。
【0055】
[変形例3]
図4と、図8を引用して説明する。図8は、変形例3を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない(但し、ダイオードD4はアノードとカソードが短絡した状態にあるため、実害は無い)。ショットキーバリアダイオードは順方向電圧降下が接合型ダイオードと比べ低いという特徴があるが、反面、逆方向リーク電流が多い短所もある。この場合、ダイオードD3を接合型ダイオードとすることで、リークを抑えることで速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。図8では、ダイオードD3を接合型ダイオードに置換えた場合の回路図を示している。
【0056】
[変形例4]
図4と、図9を引用して説明する。図9は、変形例4を説明するための回路図である。
上記した倍電圧整流部120aで動作する場合、ダイオードD3とダイオードD4は整流には寄与していない。(但し、ダイオードD4はアノードとカソードが短絡した状態にあるため、実害は無い)。即ち、理想的には倍電圧整流する場合には、ない方が優れているものである。そこで、ダイオードD3に代えてノーマリーオフのMOSスイッチ等を用いることでリークを抑え、速やかにスイッチ制御装置110が動作し得る電圧に到達させることができる。なお、一旦スイッチ制御装置110が動作した後は、MOSスイッチを同期整流させるようにすることで、順方向電圧ロスを抑えて全波整流を行わせることができる。図9では、ダイオードD3をスイッチSW5に置き換えた場合の回路図を示している。
【符号の説明】
【0057】
C…蓄電素子、Ca…蓄電素子、Cb…蓄電素子、D1…ダイオード、D2…ダイオード、D3…ダイオード、D4…ダイオード、L…インダクター、SW1…第1スイッチ、SW2…第2スイッチ、SW3…スイッチ、SW4…スイッチ、SW5…スイッチ、1…万歩計(登録商標)、10…リセットボタン、11…表示部、100…発電装置、101…発電装置、102…支持端、104…梁、106…錘、108…圧電部、109a…第1電極、109b…第2電極、110…スイッチ制御装置、120…ブリッジ整流部、120a…倍電圧整流部、125…発電部、130…電圧安定化回路、140…直流化装置、140a…倍電圧直流化装置、200…2次電池。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力に応じて変形方向を切り換えて繰り返し変形することによって電荷を発生する圧電材料を含む圧電部と、
前記圧電部が変形可能な状態で前記圧電部を支える支持体と、
前記圧電部の変形によって生じた電荷を電流として取り出すことに用いる一対の電極と、
前記一対の電極の片側と接続された第1スイッチと、
前記第1スイッチを介して前記一対の電極と接続され、前記圧電部の容量成分と共振回路を構成するインダクターと、
前記圧電部の前記変形方向が切り換わるときに前記第1スイッチを短絡させた後、前記共振回路の共振周期の半周期に相当する時間が経過したときと、前記第1スイッチを制御し得る下限電圧よりも低い電圧が供給されたときと、に前記第1スイッチを開放する第1スイッチ制御装置と、
前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、第1直流電圧に変換するブリッジ整流部と、
前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、前記一対の電極間の電圧よりも高い第2直流電圧に変換する倍電圧整流部と、
前記ブリッジ整流部もしくは倍電圧整流部から供給された脈流電流を蓄電する蓄電部と、
前記ブリッジ整流部と前記倍電圧整流部とのいずれかを選択する第2スイッチと、
前記第1直流電圧が前記下限電圧よりも低い場合には前記第2スイッチを用いて前記倍電圧整流部を選択する第2スイッチ制御装置と、を備え、
前記第1スイッチ制御装置及び第2スイッチ制御装置が、前記第1直流電圧及び前記第2直流電圧のいずれかを用いて駆動されていることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に直列に接続される、第1蓄電素子と第2蓄電素子とを有し、
前記第2スイッチは、前記第1蓄電素子と前記第2蓄電素子との間と、前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、
前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させることを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に接続された蓄電素子を備え、
前記第2スイッチは、前記ブリッジ整流部の前記アノード対側と前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、
前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させ、前記容量成分を前記倍電圧整流部を駆動させる場合の容量として用いることを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の発電装置であって、前記第1スイッチは駆動電圧が掛からない場合には開放状態を取るノーマリーオフのスイッチであり、前記第2スイッチは、駆動電圧が掛からない場合には短絡状態を取るノーマリーオンのスイッチであることを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の発電装置を備えたことを特徴とする2次電池。
【請求項6】
請求項5に記載の2次電池を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
外力に応じて変形方向を切り換えて繰り返し変形することによって電荷を発生する圧電材料を含む圧電部と、
前記圧電部が変形可能な状態で前記圧電部を支える支持体と、
前記圧電部の変形によって生じた電荷を電流として取り出すことに用いる一対の電極と、
前記一対の電極の片側と接続された第1スイッチと、
前記第1スイッチを介して前記一対の電極と接続され、前記圧電部の容量成分と共振回路を構成するインダクターと、
前記圧電部の前記変形方向が切り換わるときに前記第1スイッチを短絡させた後、前記共振回路の共振周期の半周期に相当する時間が経過したときと、前記第1スイッチを制御し得る下限電圧よりも低い電圧が供給されたときと、に前記第1スイッチを開放する第1スイッチ制御装置と、
前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、第1直流電圧に変換するブリッジ整流部と、
前記一対の電極から出力された交流電流を脈流電流に整流し、前記一対の電極間の電圧よりも高い第2直流電圧に変換する倍電圧整流部と、
前記ブリッジ整流部もしくは倍電圧整流部から供給された脈流電流を蓄電する蓄電部と、
前記ブリッジ整流部と前記倍電圧整流部とのいずれかを選択する第2スイッチと、
前記第1直流電圧が前記下限電圧よりも低い場合には前記第2スイッチを用いて前記倍電圧整流部を選択する第2スイッチ制御装置と、を備え、
前記第1スイッチ制御装置及び第2スイッチ制御装置が、前記第1直流電圧及び前記第2直流電圧のいずれかを用いて駆動されていることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に直列に接続される、第1蓄電素子と第2蓄電素子とを有し、
前記第2スイッチは、前記第1蓄電素子と前記第2蓄電素子との間と、前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、
前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させることを特徴とする発電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の発電装置であって、
前記蓄電部はブリッジ整流部のアノード対側とカソード対側との間に接続された蓄電素子を備え、
前記第2スイッチは、前記ブリッジ整流部の前記アノード対側と前記一対の電極のいずれか片側との間に設けられ、
前記第2スイッチ制御装置は、前記ブリッジ整流部を選択するときには、前記第2スイッチを開放し、前記倍電圧整流部を選択するときには、前記第2スイッチを短絡させ、前記容量成分を前記倍電圧整流部を駆動させる場合の容量として用いることを特徴とする発電装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の発電装置であって、前記第1スイッチは駆動電圧が掛からない場合には開放状態を取るノーマリーオフのスイッチであり、前記第2スイッチは、駆動電圧が掛からない場合には短絡状態を取るノーマリーオンのスイッチであることを特徴とする発電装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の発電装置を備えたことを特徴とする2次電池。
【請求項6】
請求項5に記載の2次電池を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−152009(P2012−152009A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8600(P2011−8600)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
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