説明

白色樹脂粒子および画像表示装置

【課題】十分な白色度を示す白色樹脂粒子を提供すること、および繰り返し駆動させても、コントラストに優れた画像を表示できる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤を有することを特徴とする白色樹脂粒子。少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示する画像表示装置であって、表示粒子として上記白色樹脂粒子を使用した画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色樹脂粒子、特に表示粒子を気相中で移動させて画像を表示する画像表示装置の表示粒子として使用されるのに適した白色樹脂粒子、および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示粒子を気相中で移動させて画像を表示する画像表示装置が知られている。画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子が粉体形態で封入されてなり、該基板間に電界を発生させることによって、表示粒子を少なくとも一方の基板に移動・付着させて画像を表示するものである。表示粒子としては一般に、白色樹脂粒子を含む少なくとも2色の樹脂粒子が使用される。そのような画像表示装置の駆動の際には、基板間に電圧を印加して電界を発生させ、当該電界方向に基づいて表示粒子が移動する。このとき、表示粒子に含まれる2色以上の樹脂粒子は、各色の樹脂粒子が有する帯電極性の差異に基づいて、一方の基板側に移動したり、または他方の基板側に移動したりする。その結果、画像表示が達成され、電界方向を適宜選択することによって画像の表示および消去を繰り返し実行できる。そのため、画像表示装置の表示粒子として使用される樹脂粒子には、コントラストの高い明瞭な画像を得るために、着色性に優れた粒子が求められる。特に白色樹脂粒子は、画像表示のベースとなるため、当該白色樹脂粒子からなる層の白色濃度は重要であり、白色度に優れた白色樹脂粒子が求められていた。
【0003】
白色樹脂粒子は一般に、樹脂(高分子)等の低屈折率材料中に、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等の高屈折率材料を分散させて製造され、それらの屈折率の差による反射・散乱により白色に見えるにようになっている。しかしながら、そのような白色樹脂粒子を用いても十分な白色度が得られない、という問題があった。
【0004】
そこで、顔料に加えて、蛍光増白剤を添加し、白色度を向上させる技術が提案されている(特許文献1)。しかしながら、そのような技術においても、十分な白色はやはり得られなかった。
【0005】
一方、上記画像表示装置においては、繰り返して駆動させた時、コントラストが低下するという問題があった。
【特許文献1】特開2004−3138008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、十分な白色度を示す白色樹脂粒子を提供することを目的とする。
【0007】
本発明はまた、表示粒子を気相中で移動させて画像を表示する画像表示装置において、繰り返し駆動させても、コントラストに優れた画像を表示できる白色樹脂粒子および該白色樹脂粒子を備えた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤を有することを特徴とする白色樹脂粒子に関する。
【0009】
本発明はまた、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示する画像表示装置であって、表示粒子として上記白色樹脂粒子を使用した画像表示装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る白色樹脂粒子は十分な白色度を示す。そのため、従来の電子写真方式を採用した画像形成装置において、本発明に係る白色樹脂粒子を用いると、白色度に優れた白色画像を提供できる。
本発明に係る白色樹脂粒子は、特に、表示粒子を気相中で移動させて画像を表示する画像表示装置において表示粒子として使用された場合、繰り返しの駆動時において帯電量の上昇が抑制される。その結果、本発明に係る白色樹脂粒子が有する優れた白色度向上効果と帯電量の上昇抑制効果との相乗効果により、当該白色樹脂粒子を表示粒子として用いた画像表示装置は、コントラストに優れた画像を繰り返して表示できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[白色樹脂粒子]
本発明に係る白色樹脂粒子は、ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤を有することを特徴とする。
【0012】
ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤はそれぞれ独立して、樹脂粒子に内添されて樹脂粒子の内部に存在してもよいし、または樹脂粒子に外添されて樹脂粒子の外部に存在してもよい。樹脂粒子の内部に存在するとは、樹脂粒子の製造過程で添加されて、樹脂粒子の内部に分散または相溶して存在することを意味する。樹脂粒子の外部に存在するとは、一旦、製造された樹脂粒子に対して添加されることにより、樹脂粒子表面に付着または/および固定化されることを意味する。
【0013】
酸化チタンには一般に、いわゆるルチル型,アナターゼ型,ブルカイト型の3つの結晶形態がある。このうち工業的に利用されているのはルチル型とアナターゼ型であるが、本発明においてはルチル型を用いる。アナターゼ型またはブルカイト型酸化チタンもしくは他の白色顔料を蛍光増白剤と組み合わせて使用しても、白色度の十分な向上をはかることはできない。
【0014】
ルチル型酸化チタンは波長−反射率曲線において、約410nm以下の波長域で反射を示さない反射特性を有するものであり、詳しくは波長を長波長側にシフトさせたとき、波長約410nmから反射を示し、その後は可視光全域〜800nmの波長域にわたって比較的大きな一定の反射率を示すものである。そのようなルチル型酸化チタンの波長−反射率曲線の一例を図1に示す。ルチル型酸化チタンの波長−反射率曲線は、ルチル型酸化チタン単体から、例えば、CM-3600d(コニカミノルタ社製)等の測定装置によって以下の条件で測定できる。
測定条件;
光源:キセノンランプ(D65)
測定モード:反射率測定,SCIモード(正反射光を含めて測定)
ターゲットマスク:Φ4mm
正反射光を含めて測定(SCI)
観察視野10°
【0015】
ルチル型酸化チタンは、上記した反射特性を有する限り、表面処理剤によって処理されていてもよいし、または処理されていなくてもよい。特にルチル型酸化チタンが樹脂中に内添される場合には、樹脂中での酸化チタンの分散性を良好にするために、アルミナ(Al),シリカ(Si)等の無機物処理,あるいはシリコーン樹脂,ポリオール樹脂等の有機物処理)が施されていることが好ましい。一般的に,無機物処理は親水性,有機処理は撥水性を付与する目的で使用され,これら処理によって酸化チタンの親水性・撥水性を調整することができる。これによって樹脂中での酸化チタン分散性を良好にできる。
【0016】
ルチル型酸化チタンはいわゆるルチル型として市販されている酸化チタンであればいずれも使用でき、例えば、R-630,R-550, CR-60(石原産業社製)、JR-600A, JR-800(テイカ社製)、TR-600, TR-700(富士チタン社製)、R-101, R-102, R103(Dupont社製)等として入手可能である。
【0017】
ルチル型酸化チタンの平均一次粒径は特に制限されず、白色度のさらなる向上の観点からは、50〜500nm、特に100〜300nmであることが好ましい。
【0018】
本明細書中、酸化チタンの平均一次粒径は一次粒子の個数平均粒径であり、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)によって測定された値を用いている。
測定手順としては、50mlのメスシリンダーに測定用無機微粒子を0.1g入れ、純水を25ml加え、超音波洗浄機「US−1(as one社製)」を用いて3分間分散させ測定用試料を作製する。次いで、測定用試料3mlを「マイクロトラックUPA−150」のセル内に投入し、Sample Loadingの値が0.1〜100の範囲にあることを確認する。そして、下記測定条件にて測定する。
測定条件;
Transparency(透明度):Yes
Refractive Index(屈折率):1.59
Particle Density(粒子比重):1.05g/cm3
Spherical Particles(球形粒子):Yes
溶媒条件
Refractive Index(屈折率):1.33
Viscosity(粘度):Hight(temp) 0.797x10-3Pa・S、Low(temp) 1.002x10-3Pa・S
【0019】
ルチル型酸化チタンの配合量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、樹脂100重量部に対して10〜200重量部であり、特に30〜150重量部が好ましい。ルチル型酸化チタンの配合量は、ルチル型酸化チタンが樹脂粒子に内添される場合であっても、または外添される場合であっても、樹脂粒子を製造する際に使用した樹脂100重量部に対する値である。
【0020】
蛍光増白剤は、従来から洗濯洗剤、紙、繊維、樹脂、壁紙等に添加され、白色を際立たせる,あるいは白色を維持する目的で使用されるものである。本発明においては、波長−反射率曲線において反射率ピークが440nm以下、特に360〜440nm、好ましくは360〜420nm、より好ましくは380〜410nmの波長域にある蛍光増白剤を用いる。そのような蛍光増白剤をルチル型酸化チタンと組み合わせて使用することにより、白色度を十分に向上させることができる。反射率ピークが上記波長域にある蛍光増白剤は、図1に示すように、反射特性をルチル型酸化チタンと互いに適度に補完し、それらトータルの反射率が可視光領域(380〜780nm)において十分に均一にすることができる。そのため、反射光に起因する色味はより一層、白色度が増し、結果として白色樹脂粒子の白色度が向上する。これに対して、アナターゼ型酸化チタンの波長−反射率曲線は、図7に示すようなものであり、約380nm以下の波長域では反射を示さないものの、波長を長波長側にシフトさせたとき、波長約380nmから反射を示し、その後可視光全域にわたって比較的大きな一定の反射率を示す。そのため、アナターゼ型酸化チタンと蛍光増白剤とを組み合わせて使用した場合、それらの反射特性が互いに補完されず、図8に示すように、それらトータルの反射率が比較的大きな極大を示すようになり、その分だけ白色以外の色味が付加され、白色度が低下するものと考えられる。
【0021】
蛍光増白剤の波長−反射率曲線は、蛍光増白剤単体から前記した同様の測定装置によって測定できる。
アナターゼ型酸化チタンの波長−反射率曲線は、アナターゼ型酸化チタン単体から前記した同様の測定装置によって測定できる。
【0022】
蛍光増白剤としては、例えば、ベンゾオキサゾイル系化合物,クマリン系化合物,スチレンビフェニル系化合物,ピラゾロン系化合物等が挙げられる。特にベンゾオキサゾイル系化合物としては、その置換基によってスチルベン系,ナフタレン系,チオフェン系等に分類されるものがさらに挙げられる。耐候性の観点からはスチルベン系化合物が好ましい。波長−反射率曲線における反射率ピーク波長は個々の化合物に特有なものであり、特に上記した各種化合物は、置換基の有無や種類等によっても、反射率ピーク波長が様々に変化するものであるので、本発明においては、上記化合物のうち、反射率ピークが上記波長域にあるものを適宜、選択して使用すればよい。
【0023】
反射率ピークが上記波長域にある蛍光増白剤は、例えば、市販のホスタルックス(Hostalux)KSN(反射率ピーク波長;約400nm、スチルベンベンゾオキサゾイル系化合物)、KS(同;約400)nm、スチルベンベンゾオキサゾイル系化合物)、KCB(同;約400)nm、ナフタレンベンゾオキサゾイル系化合物)(以上、クラリアント社製)、UVITEX OB(同;約400nm,チオフェンベンゾオキザゾイル系,チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、Kayalight B、Kayalight OS(同;約420nm)、Kayalight OSN(同;約420nm)(以上、日本化薬社製)等として入手可能である。
【0024】
蛍光増白剤は粒径数十ミクロンの固形形態を有するものであり、樹脂粒子に内添されると樹脂に対して溶解して相溶し、樹脂粒子に外添されると容易に解砕・固定化されるため、その粒径は特に制限されるものではない。
【0025】
蛍光増白剤の配合量は本発明の目的が達成される限り特に制限されず、例えば、樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部であり、特に0.1〜2重量部が好ましい。蛍光増白剤の配合量は、蛍光増白剤が樹脂粒子に内添される場合であっても、または外添される場合であっても、樹脂粒子を製造する際に使用した樹脂100重量部に対する値である。蛍光増白剤は2種類以上組み合わせて使用されてもよく、その場合、それらの合計配合量が上記範囲内であればよい。
【0026】
蛍光増白剤とルチル型酸化チタンとの配合比は、それぞれの配合量が前記した範囲内であれば特に制限されないが、白色度のさらなる向上の観点から、酸化チタン/蛍光増白剤の重量比で5〜1000、特に10〜300が好ましい。
【0027】
白色樹脂粒子を構成する樹脂は、特に限定されるものではなく、下記に示すビニル系樹脂と呼ばれる重合体がその代表的なものであり、ビニル系樹脂の他に、例えば、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂等の縮合系の樹脂が挙げられる。ビニル系樹脂の具体例としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリメタクリル樹脂、スチレンアクリル系樹脂の他、エチレン単量体やプロピレン単量体より形成されるポリオレフィン樹脂等が挙げられる。また、ビニル系樹脂以外の樹脂としては、前述した縮合系樹脂の他に、例えば、ポリエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0028】
白色樹脂粒子に使用可能な樹脂を構成する重合体は、これらの樹脂を形成する重合性単量体を少なくとも1種類用いて得られるものの他、複数種類の重合性単量体を組み合わせて製造することもできる。複数種類の重合性単量体を組み合わせて樹脂を製造する場合、たとえば、ブロック共重合体やグラフト共重合体、ランダム共重合体といった共重合体を形成する方法の他、複数種類の樹脂を混ぜ合わせるポリマーブレンド法による樹脂形成もある。
【0029】
白色樹脂粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、耐熱性,外添剤の固定化の観点から、5000〜200000、特に15000〜100000が好ましい。
本明細書中、重量平均分子量はHLC−8220(東ソー社製)によって測定された値を用いている。
【0030】
本発明の白色樹脂粒子は所望により荷電制御剤、流動化剤等の添加剤を有してもよい。荷電制御剤は白色樹脂粒子に内添されてもよいし、または外添されてもよい。流動化剤は白色樹脂粒子に外添される。
【0031】
荷電制御剤は、特に限定されるものではなく、例えば、電子写真用トナーの分野で公知の荷電制御剤が用いられる。具体例として、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、4級アンモニウム塩化合物、ニトリイミダゾール誘導体等の負荷電制御剤、ならびにニグロシン系染料、トリフェニルメタン化合物、イミダゾール誘導体等の正荷電制御剤が挙げられる。荷電制御剤の配合量は、例えば樹脂粒子中に内添される場合、樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、また例えば樹脂粒子に外添される場合、樹脂粒子100重量部に対して0.5〜2重量部が好ましい。
【0032】
流動化剤は、例えば、微粒子状の酸化チタン、微粒子状のシリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。流動化剤の平均一次粒径は通常、5〜100nmである。流動化剤の配合量は白色樹脂粒子100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。この際流動化剤の添加部数は白色顔料に比して少ないため白濃度への影響は小さい。よって流動化剤としてはアナターゼ型酸化チタンを用いることもできる。
【0033】
白色樹脂粒子の製造方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、電子写真方式の画像形成に使用されるトナーの製造方法等のような樹脂粒子を製造する公知の方法を応用することにより対応が可能である。白色樹脂粒子の具体的な製造方法としては、たとえば、以下の方法が挙げられる。
(1)樹脂と所定の内添成分を混練し、粉砕・分級した後、所望により外添成分を混合して白色樹脂粒子を製造する;
(2)水系媒体中で重合性単量体と所定の内添成分を機械的に撹拌して液滴を形成し、重合を行った後、所望により外添成分を混合して白色樹脂粒子を製造する(懸濁重合法);
(3)界面活性剤を含有させた水系媒体中に重合性単量体とルチル型酸化チタン以外の内添成分を滴下し、ミセル中で重合反応を行って100〜150nmの重合体粒子を製造した後、ルチル型酸化チタン粒子と凝集剤を添加してこれらの粒子を凝集・融着させる。その後、所望により外添成分を混合して白色樹脂粒子を製造する(乳化重合凝集法)。
【0034】
白色樹脂粒子の体積平均粒径は特に制限されるものではなく、用途に応じて適宜、決定されればよい。例えば、白色樹脂粒子を画像表示装置の表示粒子として使用する場合、白色樹脂粒子の体積平均粒径は通常、1〜50μmであり、好ましくは1〜30μmである。
【0035】
白色樹脂粒子の体積平均粒径は体積基準メディアン径(d50径)であって、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、サンプル0.02gを界面活性剤溶液20ml(粒子を分散させるためのもので、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、分散液を作製する。この分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は50μmのものを使用する。
【0036】
[用途]
本発明の白色樹脂粒子は、例えば、従来の電子写真方式を採用した画像形成装置においてトナーとして使用されてもよいし、または表示粒子を気相中で移動させて画像を表示する画像表示装置において表示粒子として使用されてもよい。好ましくは、画像表示装置の表示粒子として使用される。白色樹脂粒子の優れた白色度が白表示時の濃度向上に生かされるだけでなく、ルチル型酸化チタンが高誘電率であることによって繰り返し表示の安定化につながるためである。具体的には、画像表示装置では電界による表示粒子の移動時において表示粒子が互い摩擦接触するため、繰り返し駆動させた場合に摩擦帯電によって表示粒子の帯電量が上昇する。帯電量が上昇すると、表示粒子を駆動させるために必要な電圧が上昇するため、同等電圧におけるコントラストが低下する。本発明の白色樹脂粒子は高誘電率のルチル型酸化チタンが使用され、電荷の蓄積が抑制されるため、当該白色樹脂粒子を表示粒子として使用すると繰り返し表示の安定化が図れる。
【0037】
[画像表示装置]
本発明に係る画像表示装置は表示粒子として少なくとも上記した白色樹脂粒子を使用するものである。以下、本発明の画像表示装置について詳細に説明する。なお、本発明に係る画像表示装置は、「粉体ディスプレイ」とも呼ばれるものである。
【0038】
本発明に係る画像表示装置は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に上記した表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示するものである。
【0039】
本発明に係る画像表示装置の代表的な構成断面を図2に示す。図2(a)は、基板11、12上に層構造の電極15を設け、電極15表面に絶縁層16を設けたものである。図2(b)に示す画像表示装置は、装置内に電極を設けていない構造のもので、装置外部に設けられた電極を介して電界を付与させ、表示粒子の移動を行える様にしたものである。図2(a)および図2(b)における同じ符号は同じ部材を意味するものとする。図2は図2(a)および図2(b)を包含して意味するものとする。図2の画像表示装置10は、図に示す様に、基板11側より画像を視認するものとするが、本発明では基板11側より画像を視認するものに限定されるものではない。また、図2(b)に示すタイプは、装置自体に電極15が設けられていない分、装置の構造を簡略化させ、その製造工程を短縮化することができるメリットがある。図2(b)に示すタイプの画像表示装置10を電圧印加可能な装置にセットして電圧印加を行う様子を示すものを図4に示す。なお、本発明に係る画像表示装置の断面構成は図2(a)と(b)に示すものに限定されるものではない。
【0040】
図2(a)の画像表示装置10の最外部には、当該画像表示装置を構成する筐体である2つの基板11と12が対向して配置されている。基板11と12は双方が向き合う側の面上に電圧印加を行うための電極15が設けられ、さらに、電極15上に絶縁層16が設けられている。基板11と12には、電極15と絶縁層16が設けられ、電極15と絶縁層16を有する側の面を対向させて形成される隙間18には表示粒子が存在する。図2に示す画像表示装置10は、表示粒子として黒色表示粒子(以下、黒色粒子という)21と白色表示粒子(白色樹脂粒子;以下、白色粒子という)22の2種類の表示粒子を隙間18に存在させている。なお、黒色粒子の代わりに他の有色粒子を用いても良い。また、図2の画像表示装置10では、隙間18が基板11と12及び2つの隔壁17により四方を囲んだ構造となっており、表示粒子は隙間18に封入された状態で存在している。
【0041】
隙間18の厚さは、封入された表示粒子が移動可能で画像のコントラストを維持できる範囲であれば、特に限定されるものではなく、通常は10μm乃至500μm、好ましくは10μm乃至100μmである。隙間18内における表示粒子の体積占有率は、5%乃至70%であり、好ましくは30%乃至60%である。表示粒子の体積占有率を上記範囲にすることにより、隙間18内で表示粒子がスムーズに移動でき、また、コントラストのよい画像が得られる。
【0042】
次に、画像表示装置10の隙間18での表示粒子の挙動について説明する。
本発明に係る画像表示装置は、2枚の基板間に電圧を印加されて電界が形成されると、帯電している表示粒子は電界方向に基づいて移動する様になる。この様に、表示粒子が存在する基板間に電圧を印加することにより、帯電した表示粒子が基板間を移動して画像表示を行うものである。
【0043】
本発明に係る画像表示装置における画像表示は以下の手順により行われるものである。
(1)表示媒体として用いる表示粒子を、キャリアによる摩擦帯電等の公知の方法により帯電させる。
(2)対向する2枚の基板間に表示粒子を封入し、この状態で基板間に電圧を印加する。
(3)基板間への電圧印加により、基板間に電界が形成される。
(4)表示粒子は、電極間の電界の力の作用により表示粒子の極性と反対側の電界方向に沿って基板表面に引き寄せられ、画像表示が行える様になる。
(5)また、基板間の電界方向を変えることにより、表示粒子の移動方向を切り換える。この移動方向の切換えにより画像表示を様々に変えることができる。
【0044】
なお、上述した公知の方法による表示粒子の帯電方法としては、たとえば、キャリアに接触させて摩擦帯電により表示粒子を帯電させる方法、帯電極性の異なる2色の表示粒子を混合、撹拌して両者間の摩擦帯電により表示粒子を帯電させる方法等が挙げられるが、本発明では、キャリアを使用し、帯電した表示粒子を基板内に封入することが好ましい。
画像表示装置は電子写真現像方式によっても製造可能である。
【0045】
基板間への電圧印加に伴う表示粒子の移動の例を図3と図4に示す。
図3(a)は、基板11と12の間に電圧を印加する前の状態を示しており、電圧印加前は視認側の基板11近傍には正帯電した白色粒子22が存在している。この状態は画像表示装置10が白色画像を表示しているものである。また、図3(b)は、電極15に電圧を印加した後の状態を示しており、基板11に正の電圧を印加することで負に帯電した黒色粒子21が視認側の基板11近傍に移動し、白色粒子22は基板12側に移動している。この状態は画像表示装置10が黒色画像を表示しているものである。
【0046】
図4は、図2(b)に示した画像表示装置10に電極を有さないタイプのものを電圧印加装置30にセットし、この状態で電圧を印加する前の様子(図4(a))と電圧を印加した後の様子(図4(b))を示したものである。図2(b)に示すタイプの画像表示装置10も電極15を有する画像表示装置10と同様、基板11に正の電圧を印加することで負に帯電した黒色粒子21が視認側の基板11近傍に移動し、正に帯電した白色粒子22は基板12側に移動している。
【0047】
次に、図2に示す画像表示装置10を構成する基板11、12、電極15、絶縁層16、および隔壁17について説明する。
【0048】
先ず、画像表示装置10を構成する基板11と12について説明する。画像表示装置10では、観察者は基板11と12の少なくとも一方の側から表示粒子により形成される画像を視認するので、観察者が視認する側に設けられる基板は透明な材質のものが求められる。したがって、観察者が画像を視認する側に使用される基板は、たとえば可視光透過率が80%以上の光透過性の材料が好ましく、80%以上の可視光透過率を有することにより十分な視認性が得られる。なお、画像表示装置10を構成する基板のうち、画像を視認する側の反対側に設けられる基板の材質は必ずしも透明なものである必要はない。
【0049】
基板11、12の厚さは、それぞれ2μm〜5mmが好ましく、さらに、5μm〜2mmがより好ましい。基板11、12の厚さが上記範囲のとき、画像表示装置10に十分な強度を付与するとともに基板の間隔を均一に保つことができる。また、基板の厚さを上記範囲とすることでコンパクトで軽量な画像表示装置を提供することができるので、広い分野での当該画像表示装置の使用を促進させる。さらに、画像を視認する側の基板の厚みを上記範囲とすることにより、表示画像の正確な視認が行え表示品質に支障を与えない。
【0050】
可視光透過率が80%以上の材料としては、ガラスや石英等の可撓性を有さない無機材料や、後述する樹脂材料に代表される有機材料や金属シート等が挙げられる。このうち、有機材料や金属シートは画像表示装置にある程度の可撓性を付与することができる。可視光透過率を80%以上とすることが可能な樹脂材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等に代表されるポリエステル樹脂や、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、ポリメチルメタクリレート(PMMA)に代表されるアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体であるアクリル樹脂やポリエチレン樹脂等のビニル系の重合性単量体をラジカル重合して得られる透明樹脂も挙げられる。
【0051】
電極15は基板11と12の面上に設けられ、電圧印加により基板間すなわち隙間18に電界を形成するものである。電極15は、前述の基板と同様に、観察者が画像を視認する側に透明なものを設ける必要がある。
【0052】
画像を視認する側に設けられる電極の厚みは、導電性を確保するとともに光透過性に支障を来さないレベルにすることが求められ、具体的には3nm〜1μmが好ましく、5nm〜400nmがより好ましい。なお、画像を視認する側に設けられる電極の可視光透過率は、基板同様、80%以上とすることが好ましい。画像を視認する側の反対側に設けられる電極の厚みも上記範囲とすることが好ましいが、透明なものにする必要はない。
【0053】
電極15の構成材料としては、金属材料や導電性金属酸化物、あるいは、導電性高分子材料等が挙げられる。具体的な金属材料としては、たとえば、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等が挙げられ、導電性金属酸化物の具体例としては、インジウム・スズ酸化物(ITO)、酸化インジウム、アンチモン・スズ酸化物(ATO)、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられる。さらに、導電性高分子材料としては、たとえば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等が挙げられる。
【0054】
電極15を基板11や12上に形成する方法としては、たとえば、薄膜上の電極を設ける場合には、スパッタリング法や真空蒸着法、化学蒸着法(CVD法;Chemical Vapor Deposition)、塗布法等が挙げられる。また、導電性材料を溶媒やバインダ樹脂に混合させ、この混合物を基板に塗布して電極を形成する方法もある。
【0055】
絶縁層16は電極15の表面に設けられ、絶縁層16表面で表示粒子21,22と接触する構成となっているが、必ずしも設けなければならないというわけではない。絶縁層16は表示粒子21、22を移動させる際に印加される電圧によって帯電量の変化を緩和する役割をもっている。また、疎水性の高い構造をもつ樹脂、凹凸を付与することによって、表示粒子との物理的な付着力を低減でき、駆動電圧を低減させる働きももっている。絶縁層16を構成する材料としては、電気絶縁性を有する薄膜化可能な材料であって、所望により透明性を有するものである。画像を視認する側に設けられる絶縁層は可視光透過率を、基板同様、80%以上とすることが好ましい。具体例として、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0056】
絶縁層16の厚みは0.01μm以上10.0μm以下とすることが好ましい。すなわち、絶縁層16の厚みが上記範囲の時は、電極15間にそれほど大きな電圧を印加せずに表示粒子21,22が移動でき、たとえば、電気泳動法による画像形成で印加したレベルの電圧を付与して画像表示が行えるので好ましい。
【0057】
隔壁17は、上下基板間の隙間18を確保するものであり、図5上段の右側および左側の図に示すように基板11,12の縁部だけでなく、必要に応じて内部にも形成できる。隔壁17の幅、特に画像表示面18a側の隔壁の厚みは、例えば図5上段の右側の図に示すように、表示画像の鮮明性を確保する上からできるだけ薄くした方がよい。
【0058】
基板11,12の内部に形成される隔壁17は、図5上段の右側および左側の図中、表裏方向に連続的に形成されても、断続的に形成されてもよい。
隔壁17の形状および配置を制御することにより、隔壁17により仕切られた隙間18のセルを様々な形状で配置できる。隙間18を基板11の視認方向から見た時のセルの形状および配置の例を図5下段の図に示す。セルは、図5下段の図に示すように、四角形状、三角形状、ライン状、円形状、六角形状等にて、複数個で、ハニカム状や網目状に配置することができる。)
【0059】
隔壁17は、たとえば以下に挙げる方法を用いて画像を視認する側の反対側の基板上を加工処理することにより形成できる。隔壁17を形成する方法としては、たとえば、樹脂材料等によるエンボス加工や熱プレス射出成形による凹凸形成、フォトリソグラフ法やスクリーン印刷等が挙げられる。
【実施例】
【0060】
実験例1
[白色樹脂粒子の製造]
<実施例1>
下記した樹脂及び酸化チタンをヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理して混合物とした。
スチレンアクリル樹脂(重量平均分子量20,000) 100重量部
ルチル型酸化チタン 30重量部
(R-630;石原産業社製、平均一次粒径240nm)
蛍光増白剤(Hostalux KSN,クラリアント社製) 0.5重量部
上記混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粉砕処理し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行って、体積平均粒径が10.0μmの白色樹脂粒子を製造した。
【0061】
<実施例2>
蛍光増白剤を使用しなかったこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により樹脂粒子を製造した。次に、樹脂粒子100重量部に、蛍光増白剤(Hostalux KSN,クラリアント社製)0.5重量部を添加し、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所社製)に投入し、混合処理を行い、白色樹脂粒子を得た。
【0062】
<実施例3>
ルチル型酸化チタンを使用しなかったこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により樹脂粒子を製造した。次に、樹脂粒子100重量部に、ルチル型酸化チタン(R-630;石原産業社製、平均一次粒径240nm)30重量部を添加し、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所社製)に投入し、混合処理を行い、白色樹脂粒子を得た。)
【0063】
<実施例4>
ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤を使用しなかったこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により樹脂粒子を製造した。次に、樹脂粒子100重量部に、ルチル型酸化チタン(R-630;石原産業社製、平均一次粒径240nm)30重量部および蛍光増白剤(Hostalux KSN,クラリアント社製)0.5重量部を添加し、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所社製)に投入し、混合処理を行い、白色樹脂粒子を得た。
【0064】
<実施例5>
ルチル型酸化チタンとして、JR-600A(テイカ社製、平均一次粒径250nm)を30重量部用いたこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。)
【0065】
<実施例6>
ルチル型酸化チタンとして、R-102(Dupont社製、平均一次粒径230nm)を30重量部用いたこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。)
【0066】
<実施例7>
蛍光増白剤として、ホスタルックスKCB(クラリアント社製)を0.5重量部用いたこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。
【0067】
<実施例8>
蛍光増白剤として、UVITEX OB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を1重量部用いたこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。
【0068】
<比較例1>
蛍光増白剤を使用しなかったこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。
【0069】
<比較例2>
ルチル型酸化チタンの代わりに、アナターゼ型酸化チタン(TA-200, 富士チタン工業社製)を使用したこと以外、実施例1の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。
【0070】
<比較例3>
蛍光増白剤を使用しなかったこと以外、比較例2の白色樹脂粒子の製造方法と同様の方法により白色樹脂粒子を製造した。
【0071】
[評価]
白色樹脂粒子を透明ガラス基板に一層封入し、基板の裏に黒色紙を敷いた状態で濃度を測定した。濃度測定には、反射濃度計(コニカ社製反射濃度計:SakuraDENSITMETER PDA-65)を使用した。反射濃度は0.42以下が実用上問題のない範囲であり、0.40以下が好ましい範囲であり、0.42を超えると実用上問題がある。
【0072】
本発明の白色樹脂粒子は白色度に優れていることがわかった。その結果、画像表示装置に使用した際に高コントラストを得ることができる。
【0073】
実験例2
[白色表示粒子の製造]
実験例1で製造した白色樹脂粒子100重量部に、流動化剤として平均一次粒径が15nmのシリカ粒子(RA200;アエロジル社製)5重量部を添加し、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所社製)に投入し、混合処理を行い、白色表示粒子として用いた。
【0074】
[黒色表示粒子の製造]
下記した樹脂及びカーボンブラックをヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽根の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理して混合物とした。
スチレンアクリル樹脂(重量平均分子量20,000) 100重量部
カーボンブラック(平均一次粒径25nm) 10重量部
上記混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粗粉粉砕し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行って、体積平均粒径が10.0μmの黒色樹脂粒子を製造した。次に、上記黒色樹脂粒子100重量部に、流動化剤として平均一次粒径が15nmのシリカ粒子(R-805;アエロジル社製)4重量部を添加し、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所社製)に投入し、混合処理を行い、黒色表示粒子を製造した。
【0075】
[白色表示粒子を帯電させるためのキャリアA]
平均粒子径80μmのフェライトコア100重量部に対して、フッ素化アクリレート樹脂粒子を2部加え、これら原料を水平回転翼型混合機に投入し、水平回転翼の周速が8m/秒となる条件で22℃で10分間混合攪拌した後、90℃に加熱し40分攪拌して、キャリアAを製造した。
【0076】
[黒色表示粒子を帯電させるためのキャリアB]
平均粒子径80μmのフェライトコア100重量部に対して、シクロヘキシルメタクリレート樹脂粒子を2部加え、これら原料を水平回転翼型混合機に投入し、水平回転翼の周速が8m/秒となる条件で22℃で10分間混合攪拌した後、90℃に加熱し40分攪拌して、キャリアBを製造した。
【0077】
[画像表示装置の製造]
画像表示装置は、図2(a)と同様の構造を有するように、電子写真現像方式に従って製造した。長さ80mm、幅50mm、厚さ0.7mmのガラス基板11を2枚用意し、各基板面上には、厚さ300nmのインジウム・スズ酸化物(ITO)被膜(抵抗30Ω/□)からなる電極15を蒸着法により形成した。上記電極上に、ポリカーボネート樹脂12gを、テトラヒドロフラン80mlとシクロヘキサノン20mlの混合溶媒に溶解させてなる塗布液を、スピンコート法により塗布して厚さ3μmの絶縁層16を形成し、一対の電極付き基板を得た。
【0078】
黒色表示粒子1gおよびキャリアB 9gを振とう機(YS−LD(株)ヤヨイ製)により30分間混合することにより、表示粒子を帯電させた。得られた混合物(21,210)を、図6(a)に示すように、導電性のステージ100上に置き、一方の電極付き基板を、ステージ100と約2mmの間隔を空けて設置した。電極15とステージ100との間に、DCバイアス+50V,ACバイアス2.0kV,周波数2.0kHzを10秒間印加して、絶縁層16上に黒色表示粒子21を付着させた。
【0079】
白色表示粒子1gおよびキャリアA 9gを振とう機(YS−LD(株)ヤヨイ製)により30分間混合することにより、表示粒子を帯電させた。得られた混合物(22,220)を、図6(b)に示すように、導電性のステージ100上に置き、他方の電極付き基板を、ステージ100と約2mmの間隔を空けて設置した。電極15とステージ100との間に、DCバイアス−50V,ACバイアス2.0kV,周波数2.0kHzを10秒間印加して、絶縁層16上に白色表示粒子22を付着させた。
【0080】
黒色表示粒子を付着させた電極付き基板と、白色表示粒子を付着させた電極付き基板とを、図6(c)に示すように、間隔50μmになるように隔壁で調整して重ね、基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着し、画像表示装置とした。なお、2種類の表示粒子のガラス基板間への体積占有率は50%であった。白色表示粒子と黒色表示粒子との含有割合は白色表示粒子/黒色表示粒子の個数比でほぼ1/1にしてある。
【0081】
[評価]
画像表示装置に対して+100Vと−100Vの直流電圧を交互に印加し、電圧印加により得られる表示画像の反射濃度を測定することにより、表示特性を評価した。白表示の状態でプラスの電圧を印加した時に、表示が白から黒に変化することが確認された。なお、画像表示装置の視認方向上流側の電極に印加する電圧を変化させ、他方の電極は電気的に接地させた。
【0082】
(コントラスト耐久性)
+100Vと−100Vの交互の電圧印加を1万回繰り返した後のコントラストを測定した。
コントラストは、黒色濃度と白色濃度との差、すなわち、
コントラスト=黒色濃度−白色濃度
で定義される濃度差により評価した。
黒色濃度は、画像表示装置の視認方向上流側の電極に+100Vの電圧を印加した時に得られる表示面の反射濃度である。
白色濃度は、画像表示装置の視認方向上流側の電極に−100Vの電圧を印加した時に得られる表示面の反射濃度である。
濃度は、反射濃度計「RD−918(マクベス社製)」を用いて、表示面上の5カ所をランダムに測定して、その平均値とした。
コントラストは、濃度差が1.20以上を最優良「◎」、0.95以上を優良「○」、0.70以上を「△」、0.70未満を「×」とした。本発明において実用上問題のないレベルは「○」以上であり、「△」および「×」は実用上問題があるレベルである。
【0083】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明に係る白色樹脂粒子の反射特性を説明するための波長−反射率曲線を示すグラフである。
【図2】画像表示装置の断面構成の一例を示す概略図である。
【図3】基体間への電圧印加による表示粒子の移動の例を示す模式図である。
【図4】基体間への電圧印加による表示粒子の移動の例を示す模式図である。
【図5】画像表示面の形状例を示す模式図である。
【図6】表示粒子の封入方法の一例を示す模式図である。
【図7】ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンの反射特性を説明するための波長−反射率曲線を示すグラフである。
【図8】従来技術に係る白色樹脂粒子の反射特性を説明するための波長−反射率曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
【0085】
10:画像表示装置、11:12:基板、15:電極、16:絶縁層、17:隔壁、18:隙間、18a:画像表示面、21:黒色表示粒子、22:白色表示粒子(白色樹脂粒子)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤を有することを特徴とする白色樹脂粒子。
【請求項2】
ルチル型酸化チタンおよび蛍光増白剤がそれぞれ独立して樹脂粒子に内添または外添されてなる請求項1に記載の白色樹脂粒子。
【請求項3】
ルチル型酸化チタンの平均一次粒径が50〜500nmである請求項1または2に記載の白色樹脂粒子。
【請求項4】
蛍光増白剤の反射率のピーク波長が440nm以下である請求項1に記載の白色樹脂粒子。
【請求項5】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示する画像表示装置の表示粒子として使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の白色樹脂粒子。
【請求項6】
少なくとも一方が透明な2枚の基板間に表示粒子を粉体形態で封入し、該基板間に電界を発生させることによって、該表示粒子を移動させて画像を表示する画像表示装置であって、表示粒子として請求項1〜4のいずれかに記載の白色樹脂粒子を使用した画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−300939(P2009−300939A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158039(P2008−158039)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)