説明

皿重ね用具

【課題】 皿の形や大きさによらず用いることができ、省スペース化が図れる皿重ね用具の提供。
【解決手段】 皿7上に配置される本体部1と、本体部1に対して上下に移動可能に設けた可動部2とを備え、可動部2を上下に移動させることで全体の高さを調節可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料理を盛り付けた皿を複数重ねるときに使用する皿重ね用具に関する。
【背景技術】
【0002】
宴会やパーティー等で料理を提供する場合、同じ料理を多数の皿に盛り付けた上で、図10に示すように、皿枠と呼ばれる円形の枠90を間に置いて料理91を盛り付けた皿92を複数重ね、これを宴会等で料理を出す時間まで冷蔵庫に入れて冷やしている。皿枠90は、皿92よりも一回り小さいものでなくてはならず、皿92の大きさや形(円形、小判形…)に合わせて、皿枠90を多種類準備する必要があった。また皿枠90は、皿92のサイズごとに高さの違うものが複数用意されており、本来なら料理91のかさ(皿の表面からの高さ)に応じた高さの皿枠90を用いるのが好ましいが、大きさの違いだけでもたくさんの種類の皿枠90を揃えなければならないのに、高さの違うものまで揃えると費用がかさむため、通常は一番背の高い皿枠90を購入し、カルパッチョのように薄く盛り付ける料理91に対しても背の高い皿枠90を使用しており、そのため冷蔵庫内でかさばり、無駄にスペースをとってしまう不都合があった。また皿枠90は、使用しないときに棚等に収納する際にも、皿枠90自体が大きいので余分なスペースをとる。
【0003】
特許文献1,2には、皿枠の代わりに、皿の縁に引っ掛けて三つの皿重ね用具を分散配置して、料理を盛り付けた皿を重ねることが記載されている。この方式によれば、皿の大きさや形によらず同じものが使用できるし、皿重ね用具だけをまとめて収納する際にも場所をとらない。しかし従来のこうした皿重ね用具は、高さが一定のため、皿と皿の間に無駄なスペースができ、冷蔵庫内に入る皿の枚数を多くできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3130967号公報
【特許文献2】特開平11−76030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、皿の形や大きさによらず用いることができ、省スペース化が図れる皿重ね用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による皿重ね用具は、皿上に配置される本体部と、本体部に対して上下に移動可能に設けた可動部とを備え、可動部を上下に移動させることで全体の高さを調節可能としたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明による皿重ね用具は、請求項1記載の発明の構成に加え、本体部は、略円柱状に形成してあると共に、周囲にスリットが斜め又は上下に形成してあり、可動部は、本体部の周囲に嵌める略円筒状に形成してあると共に、本体部のスリットに差込まれる差込部を有し、本体部のスリット中に可動部の差込部が係止する係止部を間隔をおいて複数設けてあることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明による皿重ね用具は、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、可動部の上部を本体部の下部に嵌合させることで、上下に連結自在としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明による皿重ね用具は、皿の縁部に三つ程度分散して配置して皿を重ねられ、皿の大きさや形によらず用いることができる。しかも、可動部を上下に移動させることで全体の高さを調節可能としたので、皿に盛り付けた料理のかさに応じて皿と皿の間の間隔を適宜調節し、皿と皿の間に無駄なスペースができるのを防げるので、省スペース化が図られる。また、一つ一つの皿重ね用具は非常にコンパクトにできるので、使用しないときに棚等に収納する際にもスペースをとらない。
【0010】
請求項2記載の発明による皿重ね用具は、可動部を回転させて差込部を本体部に形成したスリット中の係止部に選択的に係止させることで、高さを容易に且つ段階的に調節できる。
【0011】
請求項3記載の発明による皿重ね用具は、可動部の上部を本体部の下部に嵌合させて上下に連結することにより、高さをより高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の皿重ね用具の正面図であって、高さを段階的に高くしていったときの状態を示している。
【図2】(a)は本発明の皿重ね用具の平面図、(b)は同正面図、(c)はA−A断面図である。
【図3】本発明の皿重ね用具の分解斜視図である。
【図4】(a)は本発明の皿重ね用具の使用状態を示す平面図、(b)は同正面図である。
【図5】可動部を本体部と分離し、分離した可動部を本体部の下に連結して高さを高くする手順を示す正面図である。
【図6】本発明の皿重ね用具を上下に連結することで、高さを順次高くする状態を示す正面図である。
【図7】本発明の皿重ね用具の使用状態の他の例を示す斜視図である。
【図8】浅バット上の皿及び皿重ね用具の配置例を示す平面図である。
【図9】本発明の皿重ね用具の他の実施形態を示す正面図であって、高さを段階的に高くしていったときの状態を示している。
【図10】従来の皿枠を用いて料理を盛り付けた皿を重ねた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の皿重ね用具8は、図4に示すように、料理9を盛り付けた皿7の縁部上面に分散して配置し、皿7を複数枚重ねるのに用いられる。
本皿重ね用具8は、図2,3に示すように、略円柱状に形成された本体部1と、本体部1に上方から嵌めた略円筒状の可動部2とから構成されている。本体部1と可動部2は、何れも硬質樹脂により形成されている。
【0014】
本体部1には、可動部2との摺接面に斜めのスリット3が形成してあり、可動部2に取付けたネジ5が本体部1のスリット3に差込んである。スリット3の両端部と中間部の2箇所には、ネジ5が係止する係止部4が形成してある。スリット3とネジ5は、背面側にも同じように形成してある。また本皿重ね用具8は、可動部2の上部と本体部1の下部とに、互いに嵌合する嵌合部6a,6bが設けられている。可動部2の嵌合部6aの外周面には略L形の係止爪10が形成され、本体部1の嵌合部6bの内周面には、係止爪10に係止する突起11が設けてある。
【0015】
本皿重ね用具8は、図1に示すように、可動部2を時計方向に回転させると、ネジ5が本体部1の斜めのスリット3にガイドされて可動部2が上昇し、スリット3中に形成された複数の係止部4にネジ5を選択的に係止させることで、高さを4段階に調節することができる。これにより、図4(b)に示すように、皿7に盛り付けた料理9のかさに応じて皿重ね用具8の高さを調節し、皿7と皿7の間に無駄なスペースができるのを防いで省スペース化を図ることができ、皿7を重ねた状態で冷蔵庫に入れて冷やす際に、極力たくさんの皿7を収容できる。
【0016】
図1(d)に示すように、ネジ5を最も高い位置の係止部4に係止してもまだ高さが足りない場合には、図5(a)に示すように、ネジ5を外して可動部2を本体部1の上方に抜き取り、図5(b)に示すように、可動部2の上部に形成した嵌合部6aを本体部1の下部に形成した嵌合部6b内に嵌合させ、本体部1と可動部2を上下に連結することで、高さをより高くすることができる。さらに図5(c)に示すように、可動部2を反時計方向に回転させ、可動部2の嵌合部6aに形成した係止爪10に本体部1の嵌合部6bに形成した突起11を係止させることで、本体部1と可動部2とを抜け止めできる。
【0017】
さらに本皿重ね用具8は、図6に示すように、可動部2と本体部1とを分離することなく可動部2と本体部1の嵌合部6a,6bを嵌合させ、上下に2つ、3つ、…と連結することもできる。このとき、係止爪10と突起11とにより、連結状態で抜け止めできる。
【0018】
以上に述べたように本皿重ね用具8は、可動部2を回転させることで高さを簡便に調節することができ、さらには上下に連結することにより高さをより一層高くすることができる。これにより、皿7に盛り付けた料理9のかさに応じて高さを適宜調節し、皿7と皿7の間に無駄なスペースができるのを防ぎ、省スペース化を図ることができる。また本皿重ね用具8は、皿7の大きさや形によらず用いることができる上、一つ一つがコンパクトなので、使用しないときに棚等に収納する場合でもスペースをとらない。さらに本皿重ね用具8は、構造がシンプルで材料費も少なくて済むので、安価に製作できる。
【0019】
図7,8は、本発明の皿重ね用具8の使用状態の他の例を示している。この例では、浅バット(パイレッシュとも呼ばれる)12上に料理9を盛り付けた皿7を複数並べ、浅バット12上の空いたスペースに複数の皿重ね用具8を分散配置して、浅バット12を重ねている。皿重ね用具8は、浅バット12上面からの皿7や料理9の突出高さに応じて、適宜高さを調節する。
従来の皿枠では、このように高さの異なる皿を載せた浅バット12を積み重ねることはできなかったが、本皿重ね用具8を用いれば、皿7の大きさや配置、高さ等に柔軟に対応し、浅バット12を安定的にしかも省スペースで容易に積み重ねられる。なお、浅バット12上に皿7を用いずに食材を直接並べることもできる。
【0020】
図9は、本発明の皿重ね用具8の他の実施形態を示している。本実施形態のものは、本体部1にスリット3が上下方向に形成され、スリット3の中間部と上端部とに係止部4が横向き形成してある。可動部2には、スリット3に差込まれる差込部13が、可動部2の内面に一体成形されている。図9(a)は高さを一番低くした状態を示し、高さを高くする場合には、可動部2をまっすぐ上に持ち上げてから、可動部2を反時計方向に少し回転させ、図9(b),(c)に示すように、差込部13をスリット3の中間や上端の係止部4に係止させる。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本体部1及び可動部2の具体的な形状や材質は、適宜変更することができる。可動部2の高さを調節自在とするための機構は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば可動部2を上下2段階に高さ調節できるもの、可動部2を本体部1にネジ結合し、可動部2を回転させることで無段階に高さ調節できるようにしたものであってもよい。本体部1と可動部2とは、必ずしも分離可能でなくてもよい。本体部1を皿7の縁に引っ掛けられるようにしたり、本体部1の下縁と可動部2の上縁とに、ゴムを付着させるなどの滑り止め処理を行ってもよい。本発明の皿重ね用具は、料理を盛り付けた皿に限らず、トレイ等の薄い皿状の容器や平板等を積み重ねる際に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 本体部
2 可動部
3 スリット
4 係止部
5 ネジ(差込部)
6a,6b 嵌合部
7 皿
8 皿重ね用具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皿上に配置される本体部と、本体部に対して上下に移動可能に設けた可動部とを備え、可動部を上下に移動させることで全体の高さを調節可能としたことを特徴とする皿重ね用具。
【請求項2】
本体部は、略円柱状に形成してあると共に、周囲にスリットが斜め又は上下に形成してあり、可動部は、本体部の周囲に嵌める略円筒状に形成してあると共に、本体部のスリットに差込まれる差込部を有し、本体部のスリット中に可動部の差込部が係止する係止部を間隔をおいて複数設けてあることを特徴とする請求項1記載の皿重ね用具。
【請求項3】
可動部の上部を本体部の下部に嵌合させることで、上下に連結自在としたことを特徴とする請求項1又は2記載の皿重ね用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−5638(P2012−5638A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143808(P2010−143808)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【特許番号】特許第4603096号(P4603096)
【特許公報発行日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(505444743)
【Fターム(参考)】