説明

監視カメラおよびその制御方法

【課題】 監視カメラが天井および壁のいずれに設置される場合でも、ユーザの設置作業負荷を軽減することができるとともに、撮影画像の上下方向と被写体の上下方向とを一致させることができる。
【解決手段】 レンズ部52を備え、設置面に設置される監視カメラ10は、設置面と垂直な軸である第1のパン回転軸14aの回りにレンズ部52を回転させることができ且つ設置面と平行な軸である第2のパン回転軸41aの回りにレンズ部52を回転させることができるモーター22と、設置面が天井部1aである場合には、第1のパン回転軸14aの回りにレンズ部52を回転させるようにモーター22を制御し、設置面が壁面部1bである場合には、第2のパン回転軸41aの回りにレンズ部52を回転させるようにモーター22を制御するCPU15aと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗、ホテル、銀行、駅などの建物に設置されて、不審者等を監視する監視カメラに関する。より詳細には、天井設置や壁設置などさまざまな設置条件で、取り付けて使用することができる監視カメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、店舗、ホテル、銀行、駅などの様々な場所で監視カメラが使用されている。このような監視カメラの一例であるパンチルト型監視カメラは、パン回転機構部とチルト回転機構部を有しており、ユーザが希望する撮影方向に撮影部の向きを変えて、画像を撮影することができる。
【0003】
ところで、パンチルト型監視カメラは、天井に取り付けられることを想定しているため、壁に取り付けられた場合、そのパン回転軸が水平になってしまうので、撮影部の撮影方向によっては、撮影画像の上下方向と被写体の上下方向とが一致しなくなってしまう。この結果、撮影画像が見づらくなってしまうことがあった。
【0004】
例えば、図8における監視カメラ200は、建物100の天井部100aに設置されており、監視カメラ300は、建物100の壁部100bに設置されている。ここで、監視カメラ200のパン回転軸P100は、天井部100aに対して垂直となるので、監視カメラ200がパン回転しても、撮影画像の上下方向と被写体の上下方向とが一致しなくなることはない。
【0005】
一方、監視カメラ300のパン回転軸P200は、壁部100bに対して垂直となり、天井部100aに対して平行となる。このため、監視カメラ300の撮影方向によっては、撮影画像の上下と被写体の上下とが一致せず、撮影画像が見づらくなってしまう。撮影画像が見づらいと、この撮影画像を監視している監視員にとって、監視対象の状況が即座に分かりにくく、万引きなどの犯罪が発生しても、すぐに気付くことができずに犯人を取り逃がしてしまうこともあり得る。
【0006】
特許文献1には、撮影画像の上下方向と被写体の上下方向とを一致させることができる監視カメラが開示されている。この監視カメラは、撮像レンズのパン回転軸が設置面と直交する第1の姿勢および撮像レンズのパン回転軸が設置面と平行になる第2の姿勢のうち、いずれかの姿勢を選択して撮像レンズを台座に取り付けることができる構造を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−035504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1に開示された監視カメラを壁に設置する場合には、この設置の前に、ユーザは、手作業で、監視カメラの外装カバーを取り外し、撮像レンズを第2の姿勢にして台座に取り付ける必要があった。また、上述の特許文献1に開示された監視カメラを天井に設置する場合には、この設置の前に、ユーザは、手作業で、監視カメラの外装カバーを取り外し、撮像レンズを第1の姿勢にして台座に取り付ける必要があった。
【0009】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものである。すなわち、本体が天井および壁のいずれに設置される場合でも、ユーザの設置作業負荷を軽減することができるとともに、撮影画像の上下方向と被写体の上下方向とを一致させることができる監視カメラおよびその制御方法を提供することができるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の監視カメラは、撮影光学系を含むレンズ部を備え、設置面に設置される監視カメラであって、前記設置面と垂直な軸である第1のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第1のパン回転手段と、前記設置面と平行な軸である第2のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第2のパン回転手段と、前記設置面が天井であるのか、壁であるのかを判定する設置面判定手段と、前記設置面判定手段により前記設置面が天井であると判定された場合には、前記第1のパン回転手段を制御し、前記設置面判定手段により前記設置面が壁であると判定された場合には、前記第2のパン回転手段を制御するパン制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明の監視カメラの制御方法は、撮影光学系を含むレンズ部と、設置面と垂直な軸である第1のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第1のパン回転手段と、前記設置面と平行な軸である第2のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第2のパン回転手段と、を備え、前記設置面に設置される監視カメラの制御方法であって、前記設置面が天井であるのか、壁であるのかを判定する設置面判定ステップと、前記設置面判定ステップにて前記設置面が天井であると判定された場合には、前記第1のパン回転手段を制御し、前記設置面判定ステップにて前記設置面が壁であると判定された場合には、前記第2のパン回転手段を制御するパン制御ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体が天井および壁のいずれに設置される場合でも、ユーザの設置作業負荷を軽減することができるとともに、撮影画像の上下方向と被写体の上下方向とを一致させることができる監視カメラおよびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る監視カメラ10の設置状態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る監視カメラ10の断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第1のパン回転機構部の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る、天井に設置された状態の監視カメラ10の断面斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る、壁に設置された状態の監視カメラ10の断面斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る監視カメラ10の制御のための構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係る、パン回転制御処理を示すフローチャートである。
【図8】従来の監視カメラの設置状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面、図1〜8に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における監視カメラ10が設置された状態を示す図である。図1では、監視カメラ10が建物1の天井部1aに設置された状態で使用される場合と、監視カメラ10が建物1の壁面部1bに設置された状態で使用される場合と、が示されている。
【0016】
図1に示すように、監視カメラ10が天井部1aに設置された状態では、軸P1は、天井部1aに対して垂直となり、軸P2は、天井部1bに対して平行となる。一方、監視カメラ10が壁面部1bに設置された状態では、軸P1は、壁面部1bに対して垂直となり、軸P2は、壁面部1bに対して平行となる。
【0017】
なお、本実施形態では、天井部1aまたは壁面部1bに監視カメラ10が直接設置される場合を示したが、これに限るものではない。例えば、ドームカバー11以外の部分が天井部1aまたは壁面部1bに埋め込まれた状態で設置されるように、監視カメラ10を構成しても良い。
【0018】
続いて、図2〜図5を参照しながら、本実施形態に係る監視カメラ10の構成を説明する。ここで、図2は、本実施形態における監視カメラ10の断面図である。図3は、本実施形態に係る監視カメラ10における、第1のパン回転機構部の構成の詳細を示す拡大断面図である。図4は、本実施形態に係る、天井に設置された状態の監視カメラ10の断面斜視図である。図5は、本実施形態に係る、壁に設置された状態の監視カメラ10の断面斜視図である。
【0019】
ドームカバー11は、透明または半透明のプラスチック製のカバー部材であり、半球形状に形成されている。このドームカバー11は、不図示のねじなどにより、上ケース12に対して固定される。
【0020】
上ケース12は、ドームカバー11が取り付けられ、下ケース13に対して固定される。下ケース13は、上ケース12が取り付けられ、電気基板15およびベース部14を支持する。この下ケース13の取り付け面には、天井部1aおよび壁面部1bに対する取り付け構造が備えられている。電気基板15には、CPU15aと、設置方向検出部15bと、撮影姿勢記憶部15cと、が実装されている。
【0021】
なお、本実施形態における電気基板15は、1枚の基板で構成されているが、これに限るものではない。例えば、2枚以上の基板で電気基板15を構成するようにしても良い。
【0022】
CPU15aは、後述するレンズ部52から出力された映像信号を処理し、処理した映像信号に対して圧縮符号化処理を施す。そして、CPU15aは、圧縮符号化処理を施した映像信号を、例えば、ネットワークを介して外部のカメラ制御装置へ配信する。さらに、CPU15aは、レンズ部52をパン回転およびチルト回転させるように、後述のモーター22などを制御する。
【0023】
ベース部14は、下ケース13に不図示のビスなどにより固定される。このベース部14には、第1のパン回転軸14aが配設される。ベース部14は、第1のパン回転台21を、第1のパン回転軸14aを回転軸として回転可能に支持する。(以下、第1のパン回転台21が第1のパン回転軸14aを中心として回転することを、「第1のパン回転動作」と称する。)
なお、図3などに示すように、第1のパン回転軸14aと軸P1とは、略一致する。また、本実施形態における第1のパン回転軸14aは、天井設置用パン回転軸に相当する。
【0024】
第1のパン回転台21は、第2のパン回転台41を、第2のパン回転軸41aを回転軸として回転可能に支持する。この第2のパン回転軸41aは、第2のパン回転台41に配設されているものである。(以下、第2のパン回転台41が第2のパン回転軸41aを中心として回転することを、「第2のパン回転動作」と称する。)
なお、図4および図5に示すように、第2のパン回転軸41aと軸P2とは、略一致する。また、本実施形態における第2のパン回転軸41aは、壁設置用パン回転軸に相当する。
【0025】
ここで、第1のパン回転台21には、モーター22と、ウォーム23と、第1のギア24と、第2のギア25と、第3のギア27と、第4のギア28と、が配設される。モーター22は、第1のパン回転動作の動力源且つ第2のパン回転動作の動力源であり、ウォーム23を回転させる。また、ウォーム23は、第1のギア24のウォームホイールと第3のギア27のウォームホイールとを回転させる。
【0026】
第1のギア24は、ウォームホイールと平歯車からなる減速用のギアであり、モーター22の動力を第2のギア25へ伝達する。この第2のギア25は、第1のパン回転軸14a中心として回転するギアである。ここで、第1のギア24の平歯車は、第2のギア25の一部25aに噛合する。なお、第1のギア24と第2のギア25は、第1のパン回転動作の動力を伝達する動力伝達機構に相当する。
【0027】
第3のギア27は、ウォームホイールと平歯車からなる減速用のギアであり、モーター22の動力を第4のギア28へ伝達する。第4のギア28は、第2のパン回転軸41aを中心として回転するギアである、第3のギア27と第4のギア28は、第2のパン回転動作の動力を伝達する動力伝達機構に相当する。
【0028】
第2のパン回転台41とチルト回転台51とには、図示しない公知のチルト回転機構部が配設される。これにより、第2のパン回転台41は、チルト回転台51を、チルト回転軸51aを回転軸として回転可能に支持する。なお、このチルト回転軸51aは、第2のパン回転軸41aと直交する軸である。(以下、チルト回転台51がチルト回転軸51aを中心として回転することを、「チルト回転動作」と称する。)
撮影光学系を含むレンズ部52は、ドームカバー11により覆われ、監視カメラ10の内部から外界(被写体)を撮影して映像信号を生成する。このレンズ部52は、鏡筒、鏡筒に固定される固定レンズ、ズーム調整やフォーカス調整を行う可動レンズ、可動レンズを可動させるモーター、CMOSセンサーなどの撮像素子、撮像素子が実装された電気基板などから構成される。
【0029】
なお、これらの固定レンズ、可動レンズ、モーター、撮像素子および電気基板については、図示していない。そして、レンズ部52により生成された映像信号は、不図示のケーブルなどにより、電気基板15に伝送される。
【0030】
続いて、本実施形態に係る監視カメラ10における、第1のパン回転機構部の構成の詳細を説明する。
【0031】
図3に示すように、第1の弾性部材26は、第1のパン回転軸14aの一部14cと第1のパン回転台21の一部21aとの間で、弾性変形している。この第1の弾性部材26の弾性変形により、第1のパン回転軸14a回りに負荷トルクT1が発生する。この負荷トルクT1により、モーター22が無通電の状態であって且つ第1のソレノイドアクチュエーター16が無通電の状態であっても、第1のパン回転台21の姿勢を保持すること(第1のパン回転台21をその停止位置に保持すること)ができる。
【0032】
なお、第1のパン回転軸14aの一部14bは、第1のパン回転台21と第2のギア25との間に挿入される。また、モーター22、ウォーム23、第1のギア24および第2のギア25で発生する第1のパン回転軸14a回りの発生トルクをT2とすると、T1とT2の関係は、T1<T2である。
【0033】
CPU15a(図3では不図示)は、第1のソレノイドアクチュエーター16のON/OFFを切り替えることにより、第1のパン回転動作のための動力伝達のON/OFFを制御する。具体的には、第1のソレノイドアクチュエーター16がONの状態では、プランジャー16aが、ストッパーとして第2のギア25の一部25bに当接し、第2のギア25をベース部14に対して固定する。
【0034】
そして、第1のソレノイドアクチュエーター16がONの状態における、ベース部14と第2のギア25との間の第1のパン回転軸14a回りの摩擦トルクをT3とすると、T2とT3の関係は、T2<T3である。したがって、第1のソレノイドアクチュエーター16がONの場合にモーター22が回転すると、T2<T3より、監視カメラ10は、第1のパン回転動作をする。
【0035】
一方、第1のソレノイドアクチュエーター16がOFFの状態では、プランジャー16aが第2のギア25に当接せず、モーター22が回転しても、第2のギア25は第1のパン回転軸14a回りに空回りする。したがって、第1のソレノイドアクチュエーター16がOFFの状態では、監視カメラ10が第1のパン回転動作をすることはない。
【0036】
続いて、本実施形態に係る監視カメラ10における、第2のパン回転機構部の構成の詳細を説明する。
【0037】
図4や図5に示すように、第2の弾性部材29は、第1のパン回転台21と第2のパン回転軸41aの一部との間で、弾性変形している。この第2の弾性部材29の弾性変形により、第2のパン回転軸41a回りに負荷トルクT4が発生する。この負荷トルクT4により、モーター22が無通電の状態であり且つ第2のソレノイドアクチュエーター42が無通電の状態であっても、第2のパン回転台41の姿勢を保持すること(第2のパン回転台41をその停止位置を保持すること)ができる。
【0038】
なお、モーター22、ウォーム23、第3のギア27および第4のギア28で発生する第2のパン回転軸41a回りの発生トルクをT5とすると、T4とT5の関係は、T4<T5である。
【0039】
CPU15aは、第2のソレノイドアクチュエーター42のON/OFFを切り替えることにより、第2のパン回転動作のための動力伝達のON/OFFを制御する。具体的には、第2のソレノイドアクチュエーター42がOFFの状態では、第2のソレノイドアクチュエーター42に含まれるプランジャー(不図示)が第4のギア28の一部28bに当接しない。したがって、モーター22が回転しても、第4のギア28は第2のパン回転軸41a回りに空回りする。すなわち、第2のソレノイドアクチュエーター42がOFFの状態では、監視カメラ10が第2のパン回転動作をすることはない。
【0040】
一方、第2のソレノイドアクチュエーター42がONの状態では、第2のソレノイドアクチュエーターに含まれるプランジャーが、ストッパーとして第4のギア28の一部28bに当接し、第2のパン回転台41を第4のギア28に対して固定する。
【0041】
そして、第2のソレノイドアクチュエーター42がONの状態における、第2のパン回転台41と第4のギア28との間の第2のパン回転軸41a回りの摩擦トルクをT6とすると、T5とT6との関係は、T5<T6である。また、第2のソレノイドアクチュエーター42がONの場合にモーター22が回転すると、T4<T5より、第1のパン回転台21と第2のパン回転台41との間で滑りが発生するので、監視カメラ10は、第2のパン回転動作をする。
【0042】
以上のように、本実施形態のCPU15a、第1のソレノイドアクチュエーター16および第2のソレノイドアクチュエーター42は、モーター22による動力を、第1のパン回転台21および第2のパン回転台41の一方へ選択的に伝達する動力伝達機能を有する。
【0043】
続いて、図6は、天井部1aと壁面部1bとのどちらに監視カメラ10が設置されているかに応じ、第1のパン回転台21および第2のパン回転台41のうち、いずれかを回転させるための構成を示すブロック図である。
【0044】
図6における設置方向検出部15bは、例えば、電気基板15に設けられた重力センサーなどから構成されており、CPU15aの指示を受け、監視カメラ10が設置されている方向(状態)を検出し、検出した情報を撮影姿勢情報としてCPU15aに出力する。ここで、撮影姿勢情報とは、監視カメラ10の撮影姿勢が、天吊姿勢であるのか、それとも壁付け姿勢であるのかを示す情報である。
【0045】
なお、本実施形態における設置方向検出部15bは、監視カメラ10の設置工事が完了した後、監視カメラ10が初めて起動した時に、CPU15aの指示を受け、監視カメラ10が設置されている方向を検出するものとする。
【0046】
撮影姿勢記憶部15cは、不揮発性のメモリであり、CPU15aから入力された撮影姿勢情報を記憶する。また、モーター22は、CPU15aの指示を受け、ウォーム23を回転させる。そして、第1のソレノイドアクチュエーター16は、CPU15aの指示を受け、プランジャー16aを第2のギア25の一部25bに当接させるか否かを切り替える。同様に、第2のソレノイドアクチュエーター42も、CPU15aの指示を受け、第2のソレノイドアクチュエーター42が備えるプランジャーを第4のギア28の一部28bに当接させるか否かを切り替える。
【0047】
CPU15aは、監視カメラ10の各部を統括的に制御する。CPU15aは、設置方向検出部15bから撮影姿勢情報を取得し、取得した撮影姿勢情報を撮影姿勢記憶部15cに出力し、出力した撮影姿勢情報を撮影姿勢記憶部15cに記憶させる。また、CPU15aは、撮影姿勢記憶部15cに記憶されている撮影姿勢情報に基づき、監視カメラ10が天井部1aに設置されているのか、それとも監視カメラ10が壁面部1bに設置されているのかを判定する。
【0048】
また、CPU15aは、水平判定機能を有しており、チルト回転軸51aが水平であるか否かを判定する。例えば、本実施形態におけるCPU15aは、絶対位置エンコーダ(不図示)などを用いることにより、チルト回転軸51aが水平であるか否かを判定する。
【0049】
そして、CPU15aは、監視カメラ10が天井部1aに設置されていると判定し且つチルト回転軸51aが水平でないと判定した場合には、チルト回転軸51aが水平になるまで第2のパン回転台41を回転させるよう、モーター22などを制御する。一方、CPU15aは、監視カメラ10が壁面部1bに設置されていると判定し且つチルト回転軸51aが水平でないと判定した場合には、チルト回転軸51aが水平になるまで第1のパン回転台21を回転させるよう、モーター22などを制御する。すなわち、本実施形態におけるCPU15aは、水平出し機能を有している。
【0050】
さらに、CPU15aは、ネットワークを介して接続された外部のカメラ制御装置からパン移動命令を受信することができる。すなわち、本実施形態におけるCPU15aは、パン移動命令の受信処理を実行する受信機能を有する。
【0051】
なお、本実施形態におけるCPU15aは、次のような受信制御機能を有しているものである。すなわち、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平であると判定した場合には、水平出し機能を実行することなく、受信機能による受信処理を実行するものである。一方、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平でないと判定した場合には、水平出し機能による制御処理の後、受信機能による受信処理を実行するものである。
【0052】
加えて、CPU15aは、監視カメラ10が天井部1aに設置されていると判定した場合には、次のような制御を行う。すなわち、CPU15aは、外部のカメラ制御装置から受信したパン移動命令が示すパン角度だけ、第1のパン回転台21を回転させるよう、モーター22と第1のソレノイドアクチュエーター16と第2のソレノイドアクチュエーター42とを制御する。一方、CPU15aは、監視カメラ10が壁面部1bに設置されていると判定した場合には、次のような制御を行う。すなわち、CPU15aは、外部のカメラ制御装置から受信したパン移動命令が示すパン角度だけ、第2のパン回転台41を回転させるよう、モーター22と第1のソレノイドアクチュエーター16と第2のソレノイドアクチュエーター42とを制御する。よって、本実施形態におけるCPU15aは、パン制御機能を有するものである。
【0053】
続いて、図7は、天井部1aと壁面部1bとのどちらに監視カメラ10が設置されているかに応じ、第1のパン回転台21および第2のパン回転台41のうち、いずれかを回転させるパン回転制御処理を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS101では、監視カメラ10は、監視カメラ10の電源がONされたか否かを判定する。そして、監視カメラ10の電源がONされたと監視カメラ10が判定した場合には、ステップS102に進み、監視カメラ10の電源がONされていないと監視カメラ10が判定した場合には、ステップS101に戻る。
【0055】
ステップS102では、CPU15aは、監視カメラ10の現在の撮影姿勢情報を撮影姿勢記憶部15cから読み出す。
【0056】
ステップS103では、CPU15aは、ステップS102で読み出された撮影姿勢情報に基づいて、監視カメラ10の設置面が天井であるのか、それとも壁であるのかを判定する。すなわち、本実施形態におけるCPU15aは、設置面判定機能を有する。
【0057】
具体的には、CPU15aは、ステップS102で読み出された撮影姿勢情報が天吊姿勢を示している場合には、監視カメラ10の設置面が天井であると判定する。一方、CPU15aは、ステップS102で読み出された撮影姿勢情報が壁付け姿勢を示している場合には、監視カメラ10の設置面が壁であると判定する。
【0058】
そして、監視カメラ10の設置面が天井であるとCPU15aが判定した場合には、ステップS104に進み、監視カメラ10の設置面が壁であるとCPU15aが判定した場合には、ステップS108に進む。
【0059】
ステップS104では、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平であるか否かを判定する。そして、チルト回転軸51aが水平であるとCPU15aが判定した場合には、ステップS106に進み、チルト回転軸51aが水平でないとCPU15aが判定した場合には、ステップS105に進む。
【0060】
ステップS105では、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平になるまで第2のパン回転台41を回転させるよう、モーター22および第1のソレノイドアクチュエーター16および第2のソレノイドアクチュエーター42を制御する。
【0061】
具体的には、まず、CPU15aは、第1のソレノイドアクチュエーター16をOFFにし、且つ、第2のソレノイドアクチュエーター42をONにする。次に、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平になるまで第2のパン回転台41が回転するよう、モーター22を回転させる。
【0062】
ステップS106では、CPU15aは、パン移動命令を受信したか否かを判定する。そして、パン移動命令を受信したとCPU15aが判定した場合には、ステップS107に進み、パン移動命令を受信していないとCPU15aが判定した場合には、ステップS106に戻る。
【0063】
ステップS107では、CPU15aは、ステップS106で受信されたパン移動命令が示すパン角度だけ第1のパン回転台21を回転させるように、モーター22と第1のソレノイドアクチュエーター16と第2のソレノイドアクチュエーター42とを制御する。
【0064】
具体的には、まず、CPU15aは、第1のソレノイドアクチュエーター16をONにし、且つ、第2のソレノイドアクチュエーター42をOFFにする。次に、CPU15aは、ステップS106で受信されたパン移動命令により示されるパン角度だけ第1のパン回転台21が回転するように、モーター22を回転させる。
【0065】
ステップS108では、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平であるか否かを判定する。そして、チルト回転軸51aが水平であるとCPU15aが判定した場合には、ステップS110に進み、チルト回転軸51aが水平でないとCPU15aが判定した場合には、ステップS109に進む。
【0066】
ステップS109では、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平になるまで第1のパン回転台21を回転させるよう、モーター22および第1のソレノイドアクチュエーター16および第2のソレノイドアクチュエーター42を制御する。
【0067】
具体的には、まず、CPU15aは、第1のソレノイドアクチュエーター16をONにし、且つ、第2のソレノイドアクチュエーター42をOFFにする。次に、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平になるまで第1のパン回転台21が回転するよう、モーター22を回転させる。
【0068】
ステップS110では、CPU15aは、パン移動命令を受信したか否かを判定する。そして、パン移動命令を受信したとCPU15aが判定した場合には、ステップS111に進み、パン移動命令を受信していないとCPU15aが判定した場合には、ステップS110に戻る。
【0069】
ステップS111では、CPU15aは、ステップS110で受信されたパン移動命令が示すパン角度だけ第2のパン回転台41を回転させるよう、モーター22と第1のソレノイドアクチュエーター16と第2のソレノイドアクチュエーター42とを制御する。
【0070】
具体的には、まず、CPU15aは、第1のソレノイドアクチュエーター16をOFFにし、且つ、第2のソレノイドアクチュエーター42をONにする。次に、CPU15aは、ステップS110で受信されたパン移動命令により示されるパン角度だけ第2のパン回転台41が回転するよう、モーター22を回転させる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、CPU15aは、監視カメラ10が設置される設置面が、天井であるのか、壁であるのかを判定する。さらに、CPU15aは、設置面が天井であると判定した場合には、設置面と垂直な軸である第1のパン回転軸14aの回りにレンズ部52を回転させるように、モーター22などを制御する。一方、CPU15aは、設置面が壁であると判定した場合には、設置面と平行な軸である第2のパン回転軸41aの回りにレンズ部52を回転させるようにモーター22などを制御する。
【0072】
これにより、第1のパン回転軸14aおよび第2のパン回転軸41aのうち、監視カメラ10の設置面(天井部1aまたは壁面部1b)に応じた適切なパン回転軸の回りに、レンズ部52を回転させることができる。これにより、被写体の上下方向と監視カメラ10による撮影画像の上下方向とを一致させることができる。
【0073】
また、従来、パン回転、チルト回転および光軸回転することができるレンズ部を備えた監視カメラがある。このような監視カメラの設置時における撮影方向の調整作業および設置後の撮影方向の変更作業では、この監視カメラが設置された場所(天井、壁)に応じて、ユーザがパン回転指示、チルト回転指示および光軸回転指示の3つの操作指示を出す必要があった。
【0074】
しかし、本実施形態では、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平であるか否かを判定する。さらに、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平でないと判定し且つ監視カメラ10の設置面が天井であると判定した場合、チルト回転軸51aが水平になるまで、第2のパン回転軸41a回りにレンズ部52を回転させるようにモーター22などを制御する。一方、CPU15aは、チルト回転軸51aが水平でないと判定し且つ監視カメラ10の設置面が壁であると判定した場合、チルト回転軸51aが水平になるまで、第1のパン回転軸14a回りにレンズ部52を回転させるようにモーター22などを制御する。
【0075】
これにより、天井部1aおよび壁面部1bのうち、いずれに監視カメラ10が設置されても、ユーザはパン回転指示およびチルト回転指示の2つの操作指示を監視カメラ10に出すだけでよくなる。この結果、監視カメラ10の設置時の撮影方向の調整作業および監視カメラ10の設置後の撮影方向の変更作業において、ユーザの作業性が向上する。
【0076】
また、本実施形態では、設置方向検出部15bが、監視カメラ10が設置されている方向を検出し、検出した情報を撮影姿勢情報として出力するものとしたが、これに限るものではない。
【0077】
例えば、CPU15aが、ユーザにより操作される外部のカメラ制御装置から、ネットワークを介して撮影姿勢情報を受信し、受信した撮影姿勢情報を撮影姿勢記憶部15cに出力し、出力した撮影姿勢情報を撮影姿勢記憶部15cに記憶させても良い。ここで、外部のカメラ制御装置から監視カメラ10へ送信される撮影姿勢情報は、監視カメラ10の設置時に、ユーザにより設定されるものとする。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1a 天井部
1b 壁面部
10 監視カメラ
14a 第1のパン回転軸
15a CPU
22 モーター
41a 第2のパン回転軸
52 レンズ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を含むレンズ部を備え、設置面に設置される監視カメラであって、
前記設置面と垂直な軸である第1のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第1のパン回転手段と、
前記設置面と平行な軸である第2のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第2のパン回転手段と、
前記設置面が天井であるのか、壁であるのかを判定する設置面判定手段と、
前記設置面判定手段により前記設置面が天井であると判定された場合には、前記第1のパン回転手段を制御し、前記設置面判定手段により前記設置面が壁であると判定された場合には、前記第2のパン回転手段を制御するパン制御手段と、
を有することを特徴とする監視カメラ。
【請求項2】
前記第1のパン回転軸とは異なる軸であって前記第2のパン回転軸と直交する軸であるチルト回転軸の回りに、前記レンズ部を回転させるチルト回転手段と、
前記設置面判定手段により前記設置面が天井であると判定された場合には、前記チルト回転軸が水平になるように前記第2のパン回転手段を制御し、前記設置面判定手段により前記設置面が壁であると判定された場合には、前記チルト回転軸が水平になるように前記第1のパン回転手段を制御する水平出し手段と、
前記チルト回転軸が水平であるか否かを判定する水平判定手段と、
前記水平判定手段により前記チルト回転軸が水平ではないと判定された場合に、前記水平出し手段に制御処理をさせる制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の監視カメラ。
【請求項3】
前記パン制御手段へのパン移動命令を外部の制御装置から受信することができる受信手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記水平判定手段により前記チルト回転軸が水平であると判定された場合には、前記水平出し手段に制御処理をさせることなく、前記受信手段に受信処理を実行させ、前記水平判定手段により前記チルト回転軸が水平ではないと判定された場合には、前記水平出し手段による制御処理の後、前記受信手段に受信処理を実行させる受信制御手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の監視カメラ。
【請求項4】
動力を発生する動力源と、
前記動力源が発生した動力を、前記第1のパン回転手段および前記第2のパン回転手段に伝達する動力伝達手段と、
をさらに有し、
前記パン制御手段は、前記設置面判定手段により前記設置面が天井であると判定された場合には、前記第1のパン回転手段へ動力を伝達するように前記動力伝達手段を制御し、前記設置面判定手段により前記設置面が壁であると判定された場合には、前記第2のパン回転手段へ動力を伝達するように前記動力伝達手段を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の監視カメラ。
【請求項5】
撮影光学系を含むレンズ部と、設置面と垂直な軸である第1のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第1のパン回転手段と、前記設置面と平行な軸である第2のパン回転軸の回りに前記レンズ部を回転させる第2のパン回転手段と、を備え、前記設置面に設置される監視カメラの制御方法であって、
前記設置面が天井であるのか、壁であるのかを判定する設置面判定ステップと、
前記設置面判定ステップにて前記設置面が天井であると判定された場合には、前記第1のパン回転手段を制御し、前記設置面判定ステップにて前記設置面が壁であると判定された場合には、前記第2のパン回転手段を制御するパン制御ステップと、
を有することを特徴とする監視カメラの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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