説明

監視カメラ付き照明装置

【課題】高所作業車を用いることなく、構造を簡単にして、監視カメラの保守・点検作業が容易な監視カメラ付き照明装置を提供すること。
【解決手段】地上に立設されるポール2と、このポール2の上部に装着される架台10と、この架台10に取り付けられる照明器具3と、架台10の下方側に配設される監視カメラ4とを具備する監視カメラ付き照明装置において、監視カメラ4を、架台10の床部*に設けられた開口部11を介して架台10の上方及び下方に昇降可能に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、監視カメラ付き照明装置に関するもので、更に詳細には、地上に立設されるポールの上部に設置される照明器具の下方側に配設される監視カメラの保守・点検を容易に行えるようにした監視カメラ付き照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港やコンテナヤード等に設置される照明装置は、地上に立設されるポールの上部に装着される架台を介して照明器具を取り付けており、防犯を目的として監視カメラが設置されている。この場合、監視カメラは視界を確保するために、照明器具の下方側に設置される。
【0003】
ところで、この種の照明装置においては、照明器具及び監視カメラの保守・点検が必要となる。照明器具に関しては管理者が、中空状に形成されたポールの内方又は外方に設けられた梯子を昇って架台の床部上で保守・点検作業を行うことができる。しかし、監視カメラは、架台の下方側に設置されており、管理者が昇って歩いていけない場所であるため、監視カメラを保守・点検する場合は、高所作業車が必要となる。
【0004】
また、従来では、監視カメラをポールに対して昇降可能に構成して、監視カメラの保守・点検を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−199691号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の特開2001−199691号公報に記載の技術は、ポールに対して監視カメラが設置された架台を昇降可能にする構造であるため、構造が複雑な上、監視カメラの保守・点検作業が大掛かりとなるという問題があった。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高所作業車を用いることなく、構造を簡単にして、監視カメラの保守・点検作業が容易な監視カメラ付き照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明の監視カメラ付き照明装置は、地上に立設されるポールと、このポールの上部に装着される架台と、この架台に取り付けられる照明器具と、上記架台の下方側に配設される監視カメラとを具備する監視カメラ付き照明装置を前提とし、上記監視カメラは、上記架台の床部に設けられた開口部を介して架台の床部の上方及び下方に昇降可能に形成されている、ことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
このように構成することにより、通常の使用時には監視カメラを架台の下方に配設して防犯に供することができ、監視カメラの保守・点検時には、監視カメラを架台の床部の上方に引き上げて保守・点検作業を行うことができる。
【0009】
この発明において、上記監視カメラは、上記架台の開口部周辺に立設される支持フレームに設置される昇降手段によって昇降可能に形成される方が好ましい(請求項2)。
【0010】
このように構成することにより、昇降手段を用いて監視カメラを容易に昇降することができる。
【0011】
また、上記監視カメラが上昇された状態を維持する固定手段を更に具備する方が好ましい(請求項3)。
【0012】
このように構成することにより、架台の上方に引き上げられた監視カメラの状態を固定手段によって維持することができる。
【0013】
また、上記架台の開口部を開閉可能な転落防止用のカバーを更に具備する方が好ましい(請求項4)。この場合、上記カバーは、上記架台の開口部の対向する2辺近傍から開口部の側方へ延在する一対のガイドフレーム間に摺動可能に嵌挿され、上記両ガイドフレームにおける上記開口部側及び開口部の外方側に架設される浮き上がり防止用のバーによって、ガイドフレームからの脱落が防止可能に形成されている方が好ましい(請求項5)。
【0014】
このように構成することにより、監視カメラを架台の上方へ引き上げた際に、転落防止用のカバーによって開口部を塞ぐことができる。この場合、カバーは、架台の開口部の対向する2辺近傍から開口部の側方へ延在する一対のガイドフレーム間に摺動可能に嵌挿され、両ガイドフレームにおける開口部側及び開口部の外方側に架設される浮き上がり防止用のバーによって、ガイドフレームからの脱落が防止可能に形成されているので、開口部の閉鎖時及び開口部の開放時において、例えば風圧等によって浮き上がることがない(請求項5)。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0016】
(1)請求項1記載の発明によれば、監視カメラの保守・点検時には、監視カメラを架台の上方に引き上げて保守・点検作業を行うことができるので、従来のように高所作業車を用いるものや、監視カメラをその架台毎自体を地上と設置位置に昇降させるものに比べて、監視カメラの保守・点検を容易にすることができる。
【0017】
(2)請求項2記載の発明によれば、昇降手段を用いて監視カメラを容易に昇降することができるので、上記(1)に加えて、更に監視カメラの昇降を容易にすることができると共に、監視カメラの保守・点検作業を容易に行うことができる。
【0018】
(3)請求項3記載の発明によれば、架台の上方に引き上げられた監視カメラの状態を固定手段によって維持することができるので、上記(1),(2)に加えて、更に監視カメラの保守・点検作業を安全に行うことができる。
【0019】
(4)請求項4記載の発明によれば、監視カメラを架台の上方へ引き上げた際に、転落防止用のカバーによって開口部を塞ぐことができるので、上記(1)〜(3)に加えて、更に監視カメラの保守・点検時に作業員が開口部から落下する危険性を防止することができ、保守・点検作業を安全に行うことができる。この場合、カバーは、開口部の閉鎖時及び開口部の開放時において、例えば風圧等によって浮き上がることがないので、開口部を確実に閉塞することができる(請求項5)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明に係る監視カメラ付き照明装置の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明に係る監視カメラ付き照明装置の一例を示す概略側面図、図2は、監視カメラ付き照明装置の要部の一部を断面で示す側面図、図3は、図2の平面図である。
【0022】
上記監視カメラ付き照明装置は、地上1に立設されるポール2と、このポール2の上部に装着される架台10と、この架台10に取り付けられる照明器具3と、架台10の下方側に配設され、架台10の床部に設けられた開口部11を介して架台10の床部の上方及び下方に昇降可能な監視カメラ4とを具備している。
【0023】
上記ポール2は、上方に向かって縮径テーパを有する中空状のアルミニウム合金製の筒体にて形成されている。この場合、アルミニウム合金製の板材を溶接してなる複数のテーパ状筒体を長手方向に接合し溶接することで、ポール2が形成されている。なお、ポール2の頂部には避雷針5が取り付けられている。
【0024】
上記ポール2の下部側と架台10より上方の上部側の一側には、それぞれ人が出入り可能なマンホール(図示せず)が設けられており、これらマンホールには、開閉扉12が開閉可能に装着されている(図1参照)。また、ポール2の内方には、下部マンホールから上部マンホールに渡って梯子13が配設されている(図1参照)。
【0025】
上記架台10は、図2及び図3に示すように、連結フレーム14によって連結される架台上部体15と架台下部体16とで構成されている。この場合、架台上部体15と架台下部体16は、それぞれポール2の外周から放射状に突設される複数例えば8本の桁フレーム17と、隣接する桁フレーム17の先端部を連結する略円弧状の取付フレーム18とを具備している。また、架台下部体16における桁フレーム17と取付フレーム18には複数のグレーチング材よりなるデッキパネル19が架設されて床部が形成されており、床部の一部に矩形状の開口部11が形成されている。なお、上記連結フレーム14、桁フレーム17、取付フレーム18及びデッキパネル19は、それぞれアルミニウム合金製の押出形材にて形成されている。なお、このグレーチング材は押出形材よりのエクスパント゛材で形成されている。
【0026】
このように構成される架台10における取付フレーム18にブラケット6を介して複数例えば18個の照明器具3が取り付けられている。
【0027】
また、上記架台下部体16における開口部11の周囲には、4本の縦フレーム部材21と、各縦フレーム部材21の上部を連結する上部フレーム部材22とからなる支持フレーム20が立設されている。この場合、縦フレーム部材21及び上部フレーム部材22は、それぞれアングル状のアルミニウム合金製の押出形材にて形成されている。
【0028】
このように構成される支持フレーム20の上部フレーム部材22には、昇降手段例えば巻き上げチェーン23を有する手動式のウィンチ24が設置されている。このウィンチ24によって監視カメラ4が、架台10に対して昇降可能に支持されている。この場合、監視カメラ4の上端部には、支持フレーム20の縦フレーム部材21に沿って移動可能なアルミニウム合金製の取付部材25が取り付けられており、取付部材25の両端部に突設されるアルミニウム合金製の取付金具26に設けられた取付孔27に繋着される索条例えばチェーン28が、ウィンチ24の巻き上げチェーン23に装着されたフック29によって吊持されている。
【0029】
また、監視カメラ4は上方へ引き上げられた際に固定手段30によって引上げ状態が維持されるようになっている。この場合、取付部材25の両端部に突設された取付金具26には、取付孔27の他に固定用ねじ孔31が設けられており、支持フレーム20の縦フレーム部材21の上部側に設けられた貫通孔32を貫通して固定用ねじ孔31に螺合される固定ボルト33によって固定手段30が構成されている(図5(b)参照)。なお、固定用ねじ孔31は、具体的には、取付金具26に溶接等によって固着されたナットにて形成されている(図5(b)参照)。また、不使用時に固定ボルト33が紛失するのを防止するために、例えば、固定ボルト33と支持フレーム20の縦フレーム部材21とが紛失防止用チェーン34で連結されている。なお、固定手段30は、必ずしもこのような構造である必要はなく、固定ボルト33に代えてラッチ等の掛け金を用いてもよい。
【0030】
上記のように構成することにより、ウィンチ24を作動して巻き上げチェーン23を巻き上げることによって監視カメラ4を架台10の下方側から上方側へ引き上げ、この状態で貫通孔32を貫通する固定手段30の固定ボルト33を固定用ねじ孔31に螺合して、監視カメラ4を引上げ状態に固定することができる。
【0031】
一方、上記架台下部体16の床部には、開口部11を開閉可能な転落防止用のカバー40が設けられており、上記監視カメラ4を架台10の上方へ引き上げた際に、カバー40によって開口部11が閉じられるように構成されている。
【0032】
この場合、カバー40は、開口部11の対向する2辺近傍から開口部11の側方へ延在する一対のガイドフレーム41間に摺動可能に嵌挿され、両ガイドフレーム41における開口部11側すなわち閉塞側及び開口部11の外方側すなわち開放側に両ガイドフレーム41を連結して架設される浮き上がり防止用のバー42によって、ガイドフレーム41からの脱落が防止可能に形成されている。なお、ガイドフレーム41の端部は端部連結フレーム43によって連結されている。これらガイドフレーム41、バー42及び端部連結フレーム43は、それぞれアルミニウム合金製のアングル状押出形材にて形成されている。
【0033】
上記のように構成することにより、カバー40は開口部11を閉じた状態又は開口部11を開放した状態のいずれの場合においても、風圧等によってカバー40が浮き上がろうとしてもバー42によって浮上りを防止することができる。
【0034】
上記のように構成されるこの発明に係る監視カメラ付き照明装置は、通常の使用状態では、ウィンチ24を作動して監視カメラ4を架台10の下方に下ろして、監視カメラ4の取付部材25の両端下面を支持フレーム20の下端部に設けられた載置ブロック7上に載置した状態で監視カメラ4を設置する(図4参照)。このとき、上記カバー40と監視カメラ4の取付部材25の位置関係を変更して上記カバー40により取付部材25の上を覆うように開口部11を閉塞してもよい。
【0035】
また、監視カメラ4の保守・点検を行うときは、作業員が梯子13を使って架台10の床部まで昇り、ウィンチ24を作動して監視カメラ4を架台10の上方側へ引上げ、カバー40を開口部11側に移動して開口部11を閉じて、固定手段30の固定ボルト33を固定用ねじ孔31に螺合して、監視カメラ4を引上げ状態に固定する。その後、監視カメラ4の保守・点検を行う。監視カメラ4の保守・点検が終了した後、固定手段30の固定ボルト33と固定用ねじ孔31との螺合を解除した状態で、カバー40を移動させ開口部11を開いた後にウィンチ24を逆方向に作動して監視カメラ4を架台10の下方位置に移動し、通常の設置状態にする。
【0036】
なお、上記実施形態では、監視カメラ4の昇降手段が手動式のウィンチ24である場合について説明したが、ウィンチ24以外の巻き上げ手段例えば監視カメラ4を吊持するワイヤを巻き取り又は繰り出すリールを用いてもよく、あるいは、自動式のウィンチやリールを用いてもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、開口部11を開閉する転落防止用のカバー40がスライド式である場合について説明したが、回動式の転落防止用のカバーを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明に係る監視カメラ付き照明装置の一例を示す概略側面図である。
【図2】上記監視カメラ付き照明装置の要部の一部を断面で示す側面図である。
【図3】図2の平面図である。
【図4】この発明における監視カメラの使用時の状態を示す側面図である。
【図5】上記監視カメラの保守・点検時の状態を示す側面図(a)及び(a)のI部拡大断面図(b)である。
【図6】図5の縦断面図である。
【符号の説明】
【0039】
2 ポール
3 照明器具
4 監視カメラ
10 架台
11 開口部
20 支持フレーム
24 ウィンチ(昇降手段)
25 取付部材
30 固定手段
31 固定用ねじ孔
32 貫通孔
33 固定ボルト
40 落下防止用カバー
41 ガイドフレーム
42 浮き上がり防止用バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に立設されるポールと、このポールの上部に装着される架台と、この架台に取り付けられる照明器具と、上記架台の下方側に配設される監視カメラとを具備する監視カメラ付き照明装置であって、
上記監視カメラは、上記架台の床部に設けられた開口部を介して架台の床部の上方及び下方に昇降可能に形成されている、ことを特徴とする監視カメラ付き照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の監視カメラ付き照明装置において、
上記監視カメラは、上記架台の開口部周辺に立設される支持フレームに設置される昇降手段によって昇降可能に形成されている、ことを特徴とする監視カメラ付き照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の監視カメラ付き照明装置において、
上記監視カメラが上昇された状態を維持する固定手段を更に具備する、ことを特徴とする監視カメラ付き照明装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の監視カメラ付き照明装置において、
上記架台の開口部を開閉可能な転落防止用のカバーを更に具備する、ことを特徴とする監視カメラ付き照明装置。
【請求項5】
請求項4記載の監視カメラ付き照明装置において、
上記カバーは、上記架台の開口部の対向する2辺近傍から開口部の側方へ延在する一対のガイドフレーム間に摺動可能に嵌挿され、上記両ガイドフレームにおける上記開口部側及び開口部の外方側に架設される浮き上がり防止用のバーによって、ガイドフレームからの脱落が防止可能に形成されている、ことを特徴とする監視カメラ付き照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−153534(P2007−153534A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351404(P2005−351404)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(500538715)株式会社住軽日軽エンジニアリング (58)