説明

監視システム及び情報提供方法

【課題】ビルなどの施設の外部からの要求に応じて、施設内の各機器の計測データに基づいた作成された情報を継続的に提供する監視システムを提供することにある。
【解決手段】ネットワーク30を介して情報を提供できるWebサーバ21を有する監視システム10において、ネットワーク30を介したコンピュータ31からの要求に応じて、Webサーバ21は定期的に計測データを収集し、当該計測データを使用した指定の形式の情報を作成する。メールサーバ32は、ネットワーク30を介してWebサーバ21から情報を受信すると、当該情報を添付ファイルとする電子メールを作成してコンピュータ31に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばビルなどの施設に設置された機器の動作状態を監視する監視システムの情報提供技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビル等の施設(または建物)内に設置された各種の機器の稼動状況や、電力、水道、ガスの使用量に関係する機器の使用状況を監視する監視システムから、例えば、各フロア毎の室内温度や湿度などの環境に関する情報を、外部に提供するための対策やサービスが推進されている。
【0003】
具体的には、例えばビル所有者や建物管理会社に対して、ビル内のエネルギーの消費状態を監視し、かつ省エネルギー対策に有効な情報を提供するための技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2008−102709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ビル等の施設内に設置された監視システムでは、機器の稼動状況や使用状況(総称して機器の動作状態と表記する場合がある)を示す計測データが内部の記憶装置に蓄積されている。システムは、内部に蓄積した計測データを、日報や月報などの帳票形式で出力する。
【0005】
しかしながら、日報・月報などの帳票形式の情報は、ビル管理担当者が機器を管理する目的として作成されるため、計測データ(ポイント)の名称順あるいは電気室単位などのように管理単位で出力される。このような情報では、例えばビルなどの改修計画を立案するために、事前に各機器の使用状況やビル内の環境状態を解析しなければならない設計者などには、利用し難い情報である。設計者は、帳票形式の情報の中から設計に必要な計測データを抽出するなどの煩わしい手間を要している。また、施設の外部の設計者は、当該帳票形式の情報を入手するためには、ビル管理担当者などから入手することが要求される。
【0006】
特に、ビルなどの改修計画を設計立案する場合に、必要な計測データを長期間継続して収集を行う場合が多い。具体的には、指定した時期でかつ継続的に、あるいは定期的に必要な計測データの収集を必要とする場合が多い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ビルなどの施設の外部からの要求に応じて、施設内の各機器の計測データに基づいた作成された情報を継続的に提供する監視システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の観点は、ネットワークを介して情報を提供できる監視システムにおいて、ネットワークを介して外部のコンピュータからの要求に応じて作成した情報を、コンピュータからの指定された時期または定期的に提供する機能を備えた監視システムである。
【0009】
本発明の観点に従った監視システムは、施設に設置された機器の計測データに基づいて、当該機器の動作を監視する監視制御手段と、ネットワークを介したコンピュータからの要求に応じて、前記監視制御手段から収集した計測データに基づいた情報を作成する第1のサーバと、前記ネットワークを介して前記コンピュータ及び前記第1のサーバに接続し、前記第1のサーバから送信される情報を、電子メール機能を使用して指定された時期又は定期的に前記コンピュータに送信する第2のサーバとを備えた構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ビルなどの施設の外部からの要求に応じて、施設内の各機器の計測データに基づいた作成された情報を継続的に提供する監視システムを提供できる。即ち、監視システムから出力される帳票形式の情報を利用することなく、施設の監視システムから必要な情報を長期間に亘って継続的に入手することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
(監視システムの構成)
図1は、本実施形態に関する監視システムの要部を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、監視システム10は、例えばビルなどの施設の内部に設置されており、ローカルエリアネットワーク(LAN)20に接続された統合コントロール装置11と、インターフェース12と、複数のローカルコントローラ13と、Webサーバ21とを有する。なお、本実施形態では、施設としては通常のオフィスビルなどのビルを想定する。
【0014】
統合コントロール装置11は、複数のローカルコントローラ13を統合制御する中央コントロールステーションに相当する。統合コントロール装置11は、各ローカルコントローラ13から、ビル内に設置された機器15a,15bの動作状態(稼動状況や使用状況)に応じた計測データを収集し、内部の記憶装置からなるデータベース(DB)16に蓄積する監視機能を有する。また、統合コントロール装置11は、各ローカルコントローラ13に対して機器15a,15bの動作を制御するための制御信号を出力し、機器15a,15bの動作を通じてビル内の照明、空調、あるいはエレベータなどの環境を管理する管理機能を有する。
【0015】
インターフェース12は、いわゆるヒューマン・マシンインターフェース(HMI)であり、オペレータの入力操作を行なうための入力装置や、統合コントロール装置11から出力される情報を表示する出力装置から構成されている。各ローカルコントローラ13はローカルコントロール・ステーション(LCS)とも呼ばれており、複数の機器15a,15bをリモート入出力装置(RIO)14a,14bを介して制御する。リモート入出力装置(RIO)14a,14bはそれぞれ、対応する機器15a,15bを制御するための制御信号を出力し、また機器15a,15bからの計測信号を入力する。
【0016】
また、各ローカルコントローラ13は、RIO14a,14bを介して各機器15a,15bの動作状態を示す計測信号を収集し、その計測信号をディジタル値に変換した計測データをLAN20を通じて統合コントロール装置11に伝送する。本実施形態では、便宜的に、1台のローカルコントローラ13が、2台の機器15a,15bを制御する場合を想定する。機器15a,15bは、例えばビル内の各フロアに設置された照明機器や空調器である。
【0017】
Webサーバ21は、LAN20を介して統合コントロール装置11と接続し、かつ広域のネットワーク(例えばインターネット)30を介してビルの外部に設置されているコンピュータ(PC)31及びメールサーバ32に接続し、それぞれとの間で情報の交換を行なう。本実施形態では、PC31は、例えばビルの改修計画を立案する設計者が操作するパーソナルコンピュータであり、ビルの外部に設置されている。また、メールサーバ32は、ネットワーク30を介してWebサーバ21及びPC31に接続し、それぞれとの間で情報の交換を行なう。
【0018】
(監視システムの動作)
以下、図2のフローチャート及び図3を参照して、本実施形態の監視システムの動作を説明する。
【0019】
本実施形態では、ビルの改修計画を設計立案する設計者がPC31を操作することにより、PC31から設計立案に必要な情報の要求をWebサーバ21に対して行なう(ステップS1)。ここで、PC31からは、要求項目を含む情報の指定と共に、収集周期(例えば、1週間単位や1ヶ月単位など)をWebサーバ21に指定する(要求100)。また、PC31から指定された情報とは、図3に示すように、例えばビル内のフロア毎の平均温度を示すビルの環境に関する環境情報である。
【0020】
Webサーバ21は、ネットワーク30を介したPC31からの要求(100)に応じて、指定された収集周期のタイミングで統合コントロール装置11にアクセスする(ステップS2)。具体的には、サーバ21は、統合コントロール装置11のDB16に蓄積されている計測データ群から、PC31からの要求(100)に応じた計測データ(110)を指定の周期(収集周期)で抽出する。統合コントロール装置11は監視機能により、予め決められた一定時間又は期間単位でローカルコントローラ13をアクセスし、機器15a,15bから取得される計測データを時系列的にDB16に蓄積している。
【0021】
次に、Webサーバ21は、抽出した計測データを使用して、CSV(Comma Separated Value)形式やXML(Extensible Markup Language)形式などの形式からなる情報を作成する(ステップS3)。Webサーバ21は、作成した情報(120)を内部の記憶装置に保存する共に、ネットワーク30を介してメールサーバ32に送信する(ステップS4)。
【0022】
メールサーバ32は、Webサーバ21から受信した情報を添付ファイルとする電子メール(所定の形式)130を作成し、当該電子メールをネットワーク30を介してPC31に送信する(ステップS5)。即ち、メールサーバ32は、Webサーバ21が統合コントロール装置11から計測データを収集する指定の収集周期に同期して、当該電子メールをPC31に送信する。これにより、PC31は、指定の収集周期(例えば、1週間単位や1ヶ月単位など)で、例えば図3に示すような要求項目を含む情報を添付ファイルとする電子メールを受信することになる(ステップS6)。
【0023】
PC31は、添付ファイルを開くことにより、ディスプレイ上に例えば図3に示すような要求項目を含む情報を表示する。これにより、ビルの改修計画を設計立案する設計者は、表示された情報を確認することにより、設計立案に役立てることができる。この場合、設計者は、当該情報を指定の収集周期(例えば、1週間単位や1ヶ月単位など)で取得することができるため、設計立案に必要な情報を時系列的に参照することが可能となる。
【0024】
ここで、メールサーバ32から提供される情報は、図3に示すように、例えばビルの各フロアにおいて、それらの東西南北の向き、指定した期間毎の平均温度、及び指定された期間での1日の時間帯毎の平均温度を示す環境情報である。このような環境情報により、ビルの改修計画を設計立案する設計者は、ビル内に設置された機器15a,15bの中で、例えば各フロアに設置された空調器の配置やその容量などの立案に利用することができる。また、当該環境情報が例えばビルの各フロアの明るさを示す情報の場合には、設計者は、ビル内に設置された機器15a,15bの中で、例えば各フロアに設置された照明機器の配置やその種類などの立案に利用することができる。
【0025】
以上のようにして本実施形態の監視システムであれば、例えばビルの改修計画を設計立案する設計者は、ネットワーク30に接続されたPC31を操作することにより、ビル内の照明、空調等の環境に関する情報を、メールサーバ32から取得することができる。この場合、PC31は、要求項目を含む情報の指定と共に、収集周期(例えば、1週間単位や1ヶ月単位など)をWebサーバ21に指定することにより、メールサーバ32から収集周期に同期したタイミングで、電子メールの添付ファイルとして当該情報を受信することができる。
【0026】
従って、ネットワーク30に接続されたPC31は、監視システム10に蓄積されている計測データに基づいてCSV形式やXML形式などの指定の形式で作成された環境情報などの情報を、指定した周期に従って定期的に取得することができる。本実施形態では、メールサーバ32により既存の電子メール機能を利用することで、PC31は、監視システム10により管理されている情報を、定期的かつ容易に取得することができる。これにより、例えばビル管理担当者などから帳票を授受するための煩わしい手間を要することなく、ネットワーク30を介してコンピュータ31を操作するだけで、例えばビル内の環境に関する情報を容易に入手することが可能となる。
【0027】
ここで、本実施形態では、PC31に対する情報提供機能を、Webサーバ21とメールサーバ32のそれぞれに分散させることにより、サーバの負荷分散を図ることができる。具体的には、Webサーバ21は、PC31から指定された周期で計測データを収集して情報を作成し、メールサーバ32に送信する機能に限定されている。一方、メールサーバ32は、Webサーバ21から送信された情報を受信すると、添付ファイルとする電子メールを作成してPC31に送信する機能に限定されている。なお、メールサーバ32が機能停止しても、Webサーバ21は作成した情報を内部の記憶装置に保存しているため、
PC31はWebサーバ21にアクセスして、必要な情報を任意に取得することが可能である。
【0028】
なお、本実施形態では、PC31から収集周期(例えば、1週間単位や1ヶ月単位など)をWebサーバ21に指定して、定期的に情報を提供する場合について説明したが、これに限ることなく、時期(例えば毎月の1週間などの期間を含む)を指定して情報を提供する場合にも適用できる。この場合には、Webサーバ21は、指定された時期(期間を含む)に計測データを収集した後に情報を作成して、メールサーバ32に送信することになる。メールサーバ32は、Webサーバ21から情報を受信すると、当該情報を添付ファイルとする電子メールを作成してPC31に送信する。
【0029】
以上要するに、本実施形態の監視システムであれば、ビルなどの施設の外部に設置されてPC31からの要求に応じて、施設内の各機器の計測データに基づいた作成された情報を継続的(定期的)に提供することができる。従って、設計者などの施設の外部者は、監視システムから出力される帳票形式の情報を利用することなく、施設の監視システムから必要な情報を長期間に亘って継続的に入手することが可能となる。
【0030】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に関する監視システムの要部を示すブロック図。
【図2】本実施形態に関する監視システムの動作を説明するためのフローチャート。
【図3】本実施形態に関するメールサーバにより提供される情報の一例を示す図。
【符号の説明】
【0032】
10…監視システム、11…統合コントロール装置、12…インターフェース、
13…ローカルコントローラ、14a,14b…リモート入出力装置(RIO)、
15a,15b…機器、20…ローカルエリアネットワーク(LAN)、
21…Webサーバ、30…ネットワーク、31…コンピュータ(PC)、
32…メールサーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置された機器の計測データに基づいて、当該機器の動作を監視する監視制御手段と、
ネットワークを介したコンピュータからの要求に応じて、前記監視制御手段から収集した計測データに基づいた情報を作成する第1のサーバと、
前記ネットワークを介して前記コンピュータ及び前記第1のサーバに接続し、前記第1のサーバから送信される情報を、電子メール機能を使用して指定された時期または定期的に前記コンピュータに送信する第2のサーバと
を具備したことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
前記第1のサーバは、
前記コンピュータから指定された時期または定期的に収集した前記計測データを使用し、前記情報を指定の形式で作成して前記第2のサーバに送信するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記第2のサーバは、
前記第1のサーバから指定の形式で作成された情報を添付ファイルとする電子メールを作成し、前記コンピュータから指定された時期または定期的に前記電子メールを前記コンピュータに送信するメールサーバであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視制御手段は、前記施設に設置された照明機器や空調器を含む機器による施設内の環境に関係する計測値を示す計測データをデータベースとして蓄積し、
前記第1のサーバは、前記コンピュータからの要求に応じて、前記環境の監視や分析に必要な項目毎の計測データを前記データベースから収集し、前記計測データを使用した情報を指定の形式で作成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の監視システム。
【請求項5】
施設に設置された機器の計測データに基づいて、当該機器の動作状態を監視する監視制御手段を有し、ネットワークを介して接続されたコンピュータからの要求に応じて、前記計測データに基づいた情報を作成して前記コンピュータに提供する監視システムに適用する情報提供方法であって、
前記ネットワークを介した前記コンピュータに接続した第1のサーバにより、前記コンピュータからの要求に応じて、前記監視制御手段から収集した計測データに基づいた情報を作成する処理と、
前記ネットワークを介して前記コンピュータ及び前記第1のサーバに接続した第2のサーバにより、前記第1のサーバから送信される情報を、電子メール機能を使用して指定された時期または定期的に前記コンピュータに送信する処理と
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
前記作成処理は、
前記第1のサーバにより、前記コンピュータから指定された時期または定期的に収集した計測データを使用し、前記情報を指定の形式で作成するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の情報提供方法。
【請求項7】
前記送信処理は、
前記第2のサーバにより、前記第1のサーバから指定の形式で作成された情報を添付ファイルとする電子メールを作成し、
前記コンピュータから指定された時期または定期的に前記電子メールを前記コンピュータに送信するように構成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれか1項に記載の情報提供方法。
【請求項8】
前記監視制御手段により、前記施設に設置された照明機器や空調器を含む機器による施設内の環境に関係する計測値を示す計測データをデータベースとして蓄積し、
前記第1のサーバにより、前記コンピュータからの要求に応じて、前記環境の監視や分析に必要な項目毎の計測データを前記コンピュータから指定された時期または定期的に前記データベースから収集し、
前記収集した計測データを使用した情報を指定の形式で作成するように構成されていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−92361(P2010−92361A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263064(P2008−263064)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】