説明

監視システム

【課題】火災発生場所や避難経路などの異常発生時に必要となる場所を適切に照明可能とする。
【解決手段】防災監視システムは、受信機10から引き出された伝送線12に接続したアナログ型火災感知器14により火災などの異常を検出して警報する。アナログ型火災感知器14には、監視エリアの一部または全部を照明する照明装置48と照明装置48を駆動させる照明判定制御部52が設けられ、受信機10には、火災を検出して警報した際に、火災を検出したアナログ型火災感知器14に対し照明駆動信号を送信して照明装置48を点灯させる照明遠隔制御部40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信機からの伝送線に接続した検知器により火災やガス漏れ、地震、侵入など各種の異常を検出して受信機で警報する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、異常を監視して警報する監視システムとして例えばビルなどの施設の防災監視システムがある。このような防災監視システムにあっては、受信機から引き出された伝送線に例えば伝送機能を備えた火災感知器を接続し、受信機から火災感知器に一定周期で一括A変換コマンドを送信して煙濃度や温度などのセンサデータを検出し、続いて、火災感知器のアドレスを指定したポーリングコマンドの送信によりセンサデータを応答受信し、受信したセンサデータを所定の閾値と比較し、閾値を超えたときに火災と判断して火災警報を行うようにしている。
【0003】
また、防災監視システムとは別に、ビルなどの施設にあっては、停電時に非常灯を点灯して安全を確保するため非常照明設備が設置されており、停電時には自動的にバッテリーによる非常電源に切り替わり、非常灯を所定時間点灯するようにしている。
【0004】
一方、現在、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、また近年にあっては、1つの住戸に複数の住警器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加している。
【0005】
このような住警器の分野では、住警器に照明装置を設け、停電時に非常灯として点灯させるものや(特許文献1)、火災を検出した時に発光表示部を作動して床面に向けて光を照射し、照明が消されている夜間などに火災が発生した場合の避難を行いやすくしたもの(特許文献2)が提案されている。
【0006】
また、火災を検出して避難誘導灯を点灯駆動する避難誘導システムも知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−293308号公報
【特許文献2】特開2006−039818号公報
【特許文献3】特開平10−240173号公報
【特許文献4】登録実用新案第3004116号公報
【特許文献5】特開平10−049775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来のビルなどに設置した監視システムは、照明が消えている夜間などに火災等の異常が発生した場合の現場確認や暗所に於ける安全避難などに細かく配慮されたものではないため、異常発生時に混乱を抑制する効果が、少なくとも不足していた。例えば非常口案内灯も出入り口付近等に点在して設置されているが、これだけでは充分な照明を得ることが出来なかった。
【0009】
また、このような従来の監視システムは、照明や避難誘導灯などの連動先機器やシステムを検知器とは別に設置しなければならず、システムの大規模化や複雑化と共に機器費用や設置、配線費用等が高額となる。さらに検知器とは別に照明装置の設置場所や配線場所を割かなければならないといったスペース上、美観上の問題点もあった。
【0010】
本発明は、火災等の異常発生場所や避難経路などを適切に照明する効率的な監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、受信機から引き出された伝送線に接続した複数の検知器により監視エリアの火災を検出して警報する監視システムに於いて、
検知器は、
火災を検出する火災センサと、
監視エリアの一部または全部を照明する照明装置と、
照明装置を点灯駆動させる照明制御信号の受信を判別した場合に、照明装置を点灯駆動する照明判定制御部と、
を備え、
受信機は、
検知器が火災を検出した場合に照明を連動させる検知器として、当該検知器の周辺に設置された検知器及び/又は避難経路に設置された検知器を検知器毎に登録した連動テーブルを記憶したメモリと、
検知器が火災を検出した場合に、照明制御信号当該検知器及び連動テーブルを参照して連動を認識した検知器へ送信する照明遠隔制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
検知器は、更に、人体を検出する人感センサを備え、照明判定制御部は、照明制御信号の受信と、人感センサによる人体検出状とを判別した場合に、照明装置を点灯駆動する。
【0013】
または、検知器は、更に、監視エリアの明るさを検出する明暗センサを備え、照明判定制御部は、照明制御信号の受信と、明暗センサによる明るさ低下検出とを判別した場合に、照明装置を点灯駆動する。
【0014】
または、検知器は、更に、
人体を検出する人感センサと、
監視エリアの明るさを検出する明暗センサと、
を備え、
照明判定制御部は、照明制御信号の受信と、人感センサによる人体検出と、明暗センサによる明るさ低下検出とを判別した場合に、照明装置を点灯駆動する。
【0015】
複数の検知器は、それぞれ固有のアドレスを有し、照明遠隔制御部は、照明制御信号を火災を検出した感知器及び連動を認識した感知器のアドレスを指定して送信する。
【0016】
照明判定制御部は、照明装置の点灯駆動を開始した後、駆動状態を少なくとも所定期間保持する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、受信機からの伝送線に接続された火災感知器などの検知器そのものに照明装置が設けられており、火災検出時には受信機からの遠隔駆動により火災を検出した火災感知器、その周辺の火災感知器、或いは非難経路に設置されている火災感知器の照明装置を点灯して監視エリアの一部又は全部を照明することができ、火災発生現場の確認や非難経路の安全確保が別の非常灯設備に依存せず、防災監視システムの機能として実現することができ、火災などの異常監視における対応処理が迅速且つ適切にでき、また不要な混乱を起こすとことなく安全に避難誘導する照明環境を構築できる。
【0018】
このようなシステムの検知器は、天井や壁面上部等、照明装置の設置にも適した場所に設置されるため、検知器に一体に照明装置を設けることはこの点でも好ましく、より効果的な照明を得ることが出来る。少なくとも、他の照明装置による照明の不足を効率的に補う効果を奏する。
【0019】
また、従来の監視システムに於いて照明や避難誘導灯などの連動先機器やシステムを検知器とは別に設置しなければならず、システムの大規模化や複雑化と共に機器費用や設置、配線費用等が高額となる問題点を改善又は解消することができる。
【0020】
また、検知器とは別に照明装置の設置場所や配線場所を割かなければならないといった、スペース上、美観上の問題点を改善又は解消することができる。
【0021】
また、火災などの異常を検出したときに、人感センサにより人体検出が行われた場合にのみ照明装置を駆動して監視エリアの一部または全部を照明して安全に避難できるようにし、人体検出が行われていない場合には、照明装置を点灯駆動しないようにして不必要な電力消費を回避して受信機の電源容量を小さくすることができる。
【0022】
また、火災などの異常を検出したときに、明暗センサにより明るさ低下検出が行われていた場合にのみ照明装置を点灯駆動して監視エリアの一部または全部を照明し、照明の必要のない昼間は照明装置を駆動しないようにして不必要な電力消費を回避し、受信機の電源容量を小さくすることができる。
【0023】
また、火災などの異常を検出したときに、人感センサにより人体検出が行われ且つ明暗センサにより明るさ低下が検出されにのみ照明装置を駆動して監視エリアの一部または全部を照明し、照明の必要な夜間であっても、人がいる場合にのみ照明装置を駆動し、安全確保を損なうことなく不必要な電力消費を回避し、受信機の電源容量を小さくすることができる。
【0024】
また一度照明装置を駆動したら所定時間の間は駆動状態を保持することにより、人感センサや明暗センサがオン、オフを繰り返しても、これに追従することなく、照明装置の駆動状態を安定させ、避難途中で突然周囲の照明が消えてしまう等の危険要因を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による防災監視システムの概略を示した説明図
【図2】本発明による防災監視システムの第1実施形態を示したブロック図
【図3】図2の受信機による火災監視処理を示したフローチャート
【図4】図2の感知器処理を示したフローチャート
【図5】本発明による防災監視システムの第2実施形態を示したブロック図
【図6】図5の感知器処理を示したフローチャート
【図7】本発明による防災監視システムの第3実施形態を示したブロック図
【図8】図7の感知器処理を示したフローチャート
【図9】本発明による防災監視システムの第4実施形態を示したブロック図
【図10】図9の感知器処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は本発明による防災監視システムの概略を示した説明図である。図1において、受信機10からは施設の警戒エリアに向けて伝送線12が引き出され、伝送線12に対し検知器としてアナログ型火災感知器14を接続している。
【0027】
また伝送線12には中継器16が接続され、中継器16から引き出された感知器回線18に検知器としてオンオフ型火災感知器20を接続している。更に別の中継器16にはガス漏れ検知器22が接続されている。
【0028】
アナログ型火災感知器14及び中継器16は、受信機10との間で情報を双方向伝送する伝送機能を備えており、それぞれ固有のアドレスが予め割り当てられている。1つの伝送線12に接続できるアナログ型火災感知器14及び中継器16の数は、例えば最大アドレス数が127アドレスの場合、127台を接続することができる。
【0029】
伝送線12に接続したアナログ型火災感知器14には照明装置48が設けられており、後の説明で明らかにするように、火災などの異常検出時に受信機10からの遠隔制御を受けて照明装置48を点灯駆動して、警戒エリアの一部または全部を照明できるようにしている。
【0030】
図2は本発明による防災監視システムの第1実施形態を示したブロック図であり、図1に示した受信機10及びアナログ型火災感知器14について、その詳細を示している。
【0031】
図2において、受信機10にはプロセッサ24が設けられ、プロセッサ24に対しては伝送制御部26、表示部28、操作部30、音響警報部32及び移報部34が設けられ、更に受信機10及び伝送線12を介してアナログ型火災感知器14側に電源を供給する電源部36が設けられている。
【0032】
ここでプロセッサ24は、CPU、ROM、RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどをハードウェアとして備えている。プロセッサ24にはプログラムの実行により実現される機能として、防災監視部38と照明遠隔制御部40が設けられている。
【0033】
一方、アナログ型火災感知器14にはプロセッサ42が設けられ、プロセッサ42に対しては伝送制御部44、火災センサ46及び照明装置48が設けられている。伝送制御部44は、受信機10に設けた伝送制御部26との間でコマンド、データなどの双方向データ伝送を行う。
【0034】
火災センサ46は火災に伴う煙濃度や温度を検出するもので、例えば煙濃度の検出については光電式検煙部が使用され、温度検出についてはサーミスタなどの半導体素子等が使用される。
【0035】
照明装置48は例えば白色LEDを使用しており、点灯駆動により警戒エリアの一部または全部を照明する。照明装置48の照度は、受信機10に設けている電源部36の電源容量に収まる範囲内で適宜の照度のものが使用され、例えば非常灯設備における非常灯と同程度の照明を可能とする。なお照明としての実質的な目的を達成することができれば、照明装置48の駆動は間欠的に行ってもよい。
【0036】
アナログ型火災感知器14に設けたプロセッサ42はワンチップマイコンとして知られたコンピュータであり、1チップにCPU、ROM、RAM、AD変換ポート、各種の入出力ポートなどを備えている。
【0037】
プロセッサ42には、プログラムの実行により実現される機能として火災検出処理部50と照明制御部52が設けられている。
【0038】
火災検出処理部50は、後の説明で明らかにする火報伝送アルゴリズムに従った受信機10からの指示に従って、火災センサ46の検出データを取り込んで受信機10側に伝送する。アナログ型火災感知器14からのセンサデータに基づき、受信機10のプロセッサ24に設けた防災監視部38で火災が判断されると、プロセッサ24に設けている照明遠隔制御部40が、火災を検出したアナログ型火災感知器14に対し照明制御信号としての照明点灯駆動コマンドを送信する。
【0039】
照明判定制御部52は、受信機10側の、たとえばプロセッサ24内に備えても良いが、ここでは検知器としてのアナログ型火災感知器14側のプロセッサ42内に備える例を示す。アナログ型火災感知器14に設けた照明判定制御部52は、受信機10からの照明点灯駆動コマンドを受信すると、照明装置48を駆動して、監視エリアの一部または全部を照明する。
【0040】
受信機10の照明遠隔制御部40は、火災検出時に、火災を検出したアナログ型火災感知器14に照明駆動コマンドを送信して照明装置48を点灯駆動することを基本とするが、更に、火災を検出しているアナログ型火災感知器14の周辺に設置されている他のアナログ型火災感知器に照明駆動コマンドを送信して点灯させることで、火災発生エリア及びそれに隣接した周辺エリアについても照明を行うことができる。
【0041】
更に、火災を検出した際には、例えばビルの火災であれば火災発生階及びその上下階にいる人を避難させる必要があり、このような避難のために照明遠隔制御部40は、避難経路に設置されているアナログ型火災感知器14に照明駆動コマンドを送信して点灯させることで、非難経路を照明して安全に非難を行わせることもできる。
【0042】
もちろん、全館のアナログ型火災感知器に一斉に照明駆動コマンドを送信して点灯させても良いし、たとえば各階のアナログ型火災感知器14に順次、段階的に照明駆動コマンドを送信して点灯させることも出来る。
【0043】
このように照明遠隔制御部40が火災を検出したアナログ型火災感知器以外の、他のアナログ型火災感知器に対し照明駆動コマンドを送信して駆動させる場合には、各感知器が火災検出した場合に、照明を連動させるかを、感知器毎の連動テーブルとして予め作成してプロセッサ24のメモリに記憶しておき、火災検出時に、この連動テーブルを参照して照明駆動する感知器を認識し、照明駆動コマンドを送信することになる。
【0044】
ここで、本実施形態における火報伝送アルゴリズムを説明すると次のようになる。まず受信機10からアナログ型火災感知器14及び中継器16に対する下り信号は電圧モードで伝送している。この電圧モードの信号は、伝送線12の電圧を例えば18ボルトと30ボルトの間で変化させる電圧パルスとして伝送される。
【0045】
これに対しアナログ型火災感知器14及び中継器16からの上り信号は電流モードで伝送される。この電流モードにあっては、伝送線12に伝送データのビット1のタイミングで信号電流を流し、いわゆる電流パルス列として上り信号が受信機に伝送される。
【0046】
受信機10は通常の監視時にあっては、端末アドレスを順次指定した正常監視用のポーリングコマンドを送信しており、アナログ型火災感知器14及び中継器16は自己の設定アドレスに一致するポーリングコマンドを受信すると正常監視応答を行う。このため受信機10にあっては、ポーリングコマンドに対し応答がなかったアナログ型火災感知器14または中継器16を障害として検出することができる。
【0047】
また受信機10は、すべての感知器アドレスに対するポーリングコマンドの送信周期ごとに一括AD変換コマンドを繰り返し送信している。アナログ型火災感知器14は受信機10からの一括AD変換コマンドを受信すると、火災センサ46により検出している煙濃度や温度などのアナログ検出データをサンプリングし、予め定めた火災レベルと比較している。
【0048】
サンプリングしたアナログ検出データが火災レベルを超えた場合には、受信機10に対しポーリングコマンドに対する応答タイミングで割込信号を送信する。この割込信号は、応答ビット列をオール1とするような通常は使用されない信号を送る。
【0049】
中継器16も、受信機10からの一括AD変換コマンドに基づき、感知器回線18に接続しているオンオフ型火災感知器20あるいはガス漏れ検知器22の受信状態をサンプリングし、火災発報あるいはガス漏れを検出した場合には、受信機10に対し割込信号を送信する。
【0050】
受信機10は、アナログ型火災感知器14または中継器16からの割込信号を受信すると、グループ検索コマンドを発行し、火災を検出したアナログ型火災感知器14または中継器16を含むグループからの割込応答を受信してグループを判別する。
【0051】
続いて、判別したグループに含まれる個々のアナログ型火災感知器や中継器に対し、順次アドレスを指定したポーリングを行い、アナログデータや火災発報データなどの火災応答を受けることで、火災を検出したアナログ型火災感知器14または中継器16の感知器アドレスを認識し、火災警報動作を行うことになる。
【0052】
更に、アナログ型火災感知器14は、一度火災割込みを送信した後、復旧されていない状態の時に、センサデータが変化して火災レベルを下回る所定のレベル(火災OFFレベル)以下になったときには、火災OFFと判定し、火災OFF割込みを送信する。火災OFFレベルは、ヒステリシスを考慮して、火災レベルよりもやや低い値に設定されている。
【0053】
受信機10はアナログ火災感知器14からの火災OFF割込みを受信すると、火災割込み時と同様なOFF検索処理を行って火災OFFとなった感知器アドレスを検索し、必要な照明遠隔制御処理を行う。
【0054】
図3は図2の受信機10に設けたプロセッサ24により実行される火災監視処理の概略を示したフローチャートである。実際の火災監視処理は更に複雑であるが、説明の簡単のためここでは簡略化している。図3において、受信機10の電源を投入すると、プロセッサ24はステップS1で初期化及び自己診断処理を行った後、ステップS2で所定周期ごとのサンプルタイミングへの到達をチェックしている。
【0055】
サンプルタイミングを判別すると、ステップS3に進み、一括AD変換コマンドを伝送線12に送信する。続いてステップS4で端末アドレスを順次指定してポーリングコマンドを送信するポーリング処理を実行し、このポーリングコマンドの送信に対し、正常応答の有無により端末側の障害監視を行っている。
【0056】
続いてステップS5で火災割込みの有無をチェックしており、火災割込みを受信すると、ステップS6に進み、グループアドレスの指定によるグループ検索、これに続くグループ内のアドレスを順次指定した火災検出アドレスの検索処理を行い、ステップS7で感知器アドレスまたは中継器の感知器アドレス(中継器アドレス)を特定した火災警報表示を行う。
【0057】
続いてステップS8で伝送線12に対し照明駆動コマンドを送信する照明遠隔処理を実行する。この照明遠隔処理は、火災を検出した感知器アドレスを指定した照明駆動コマンドの送信に加え、必要に応じて、その周辺の感知器アドレスを指定した照明駆動コマンドの送信や、予め連動テーブルに登録された避難経路に設置されている感知器アドレスを指定した照明駆動コマンドの送信も行うことができる。
【0058】
続いてステップS9に進み、復旧操作の有無を判別しており、復旧操作があれば、ステップS10で復旧処理を行った後、再びステップS2に戻る。
【0059】
なおアナログ型感知器14には、火災発報したことを表示する発報表示灯(赤色LED等)が設けられており、受信機の警報処理には、この発報表示灯の駆動制御が含まれ、復旧処理には同表示灯の駆動停止制御が含まれる。
【0060】
一方、ステップS6で火災割込みが無い場合は、火災OFF割込みのチェックを行い、火災OFF割込みを受信すると、ステップS12でステップS6と同様のOFF検索処理を行い、ステップS13で火災OFF処理を行い、続いてステップS8で火災OFFに伴う照明遠隔制御処理として、照明駆動保持期間のチェック等を行った上で照明駆動停止コマンドの送信等を行う。
【0061】
図4は図2のアナログ型火災感知器14のプロセッサ42による感知器処理の概略を示したフローチャートである。実際の火災監視処理は更に複雑であるが、説明の簡単のためここでは簡略化している。
【0062】
図4において、感知器処理は、アナログ型火災感知器14に対する伝送線12による電源供給を受けて起動し、ステップS11の初期化及び自己診断処理を行った後、ステップS12に進み、受信機10からの一括AD変換コマンド受信の有無をチェックしている。
【0063】
一括AD変換コマンドを受信すると、ステップS13に進み、火災センサ46から出力している煙濃度や温度などのセンサ出力をAD変換ポートから読み込んでAD変換することにより、センサデータをサンプリングする。
【0064】
続いてステップS14でセンサデータを火災レベルと比較し、火災レベル未満であった場合には、ステップS15で自己アドレスを指定したポーリングコマンドの受信を判別すると、ステップS16で正常応答を送信する。この応答信号には、煙検出レベルや温度検出レベル等のセンサデータアナログ値を含む。
【0065】
一方、ステップS14でセンサデータが火災レベルを越えて火災と判断した場合には、ステップS18で火災割込みを送信する。この火災割込みに対しては、受信機10からの検索によりグループ検索コマンド及びグループ内検索コマンドが送られてくることから、それぞれのコマンドに対し応答を行って、火災を検出した自己アドレスを受信機10側に認識させる。
【0066】
ステップS14でセンサデータが火災レベルを下回っていると判断した場合には、ステップS24に進み、火災OFFか否かを判断する。すなわち、アナログ型火災感知器14は一度火災割込みを送信した後、復旧されていない状態の時に、センサデータが変化して火災レベルを下回る所定のレベル(火災OFFレベル)以下になったときには、火災OFFと判定する。
【0067】
従ってアナログ型火災感知器14は、自己が火災割込みを送信した状態か否かを記憶しておかなければならない。火災OFFレベルは、ヒステリシスを考慮して、火災レベルよりもやや低い値に設定されている。ステップ24で火災OFFを判断した場合には、ステップS25、ステップS26と進んで所定の火災OFF処理を行う。
【0068】
続いてステップS20で照明駆動コマンドの受信の有無をチェックしており、照明駆動コマンドの受信を判別すると、ステップS21に進み、照明装置48を駆動制御して、警戒エリアの一部または全部を照明する。
【0069】
照明駆動コマンドは、火災を検出した場合のみならず、例えば近くに設置している他のアナログ型火災感知器で火災を検出した場合や、感知器が避難経路に設置されているような場合にも、受信機10からの照明駆動コマンドの受信が判別されて照明装置48を駆動することになる。
【0070】
照明装置48を駆動した後は、ステップS22で照明駆動停止コマンドの受信の有無を判別しており、照明駆動停止コマンドの受信を判別すると、ステップS23で照明装置48を駆動停止する。このとき、アナログ型火災感知器14の照明判定制御部で、照明装置48の駆動保持期間を管理させ、この期間経過の有無を参照した上で照明装置48の駆動を停止させても良い。
【0071】
図5は本発明による防災監視システムの第2実施形態を示したブロック図であり、アナログ型火災感知器14側に人感センサを設けたことを特徴とする。
【0072】
図5において、受信機10の構成は図2の第1実施形態と同じであり、アナログ型火災感知器14側についても、図2の実施形態に対し更に人感センサ54を新たに設けた点が相違する。
【0073】
人感センサ54の検出状況を受信機10に送信して、受信機側で火災発生状況と人体の存在状況を管理するようにすれば、照明判定制御部52は受信機10側の、たとえばプロセッサ24内に設けて、受信機10で照明判定制御を行っても良いが、ここでは検知器としてのアナログ型火災感知器14側のプロセッサ42内に備える例を示す。
【0074】
人感センサ54は、人体から放射される赤外線を検出して人体検出信号を出力する。人感センサ54を新たに設けたことに伴い、プロセッサ42に設けた照明判定制御部52は、受信機10から照明駆動コマンドを受信した際に、人感センサ54による人体検出が判別されていることを条件に照明装置48を駆動させる。即ち照明制御部52は、受信機10からの照明駆動コマンドと人感センサ54の人体検出の両方が判別された場合に照明装置48を駆動する。
【0075】
更に照明制御部52は、受信機10からの照明駆動コマンドと人感センサ54からの人体検出の両方に基づいて照明装置48を駆動した場合、照明装置48の駆動状態を予め定めた所定期間保持する。これによって、人の移動などにより人感センサ54による人体検出のオンオフが繰り返されても、人体検出がなくなったときに照明装置48を駆動停止するような不安定な動作をなくし、安定して照明装置48を所定時間、人体検出がなくなっても点灯駆動させることができる。
【0076】
図6は図5の感知器処理を示したフローチャートである。図6の感知器処理におけるステップS31〜S39の処理は、図4の第1実施形態におけるステップS11〜S19の処理と同じである。またステップS47から49の処理は、図4の第1実施形態におけるステップS24〜S26の処理と同じである。
【0077】
続いてステップS40で人感センサ54による人体検出の有無をチェックしており、ステップS39における照明駆動コマンドの受信に続いてステップS40で人体検出が判別されると、ステップS41に進んで照明装置48を駆動する。
【0078】
続いてステップS42でタイマをスタートし、ステップS43で所定時間経過したか否か判別している。所定時間を経過するまでは、ステップS46で照明停止コマンドの受信の有無をチェックしており、照明停止コマンドの受信がなければ、ステップS43からの処理を繰り返して照明装置48の駆動を継続する。即ちタイマスタートによる所定の時間の間は、人感センサ54による人体検出に依存することなく照明装置48の駆動を継続する。
【0079】
ステップS43で所定時間経過を判別すると、ステップS44に進み、人体検出の有無をチェックし、もし人体検出がなければ、ステップS45に進み、照明装置48の駆動を停止する。
【0080】
ステップS44で人体検出が判別されれば、ステップS46〜S43の処理を繰り返し、ステップS44で人体検出がされなくなると、ステップS45に進み、照明装置48の駆動を停止することになる。また、その間に照明駆動停止コマンドの受信がステップS46で判別されれば、同じくステップS45に進み、照明装置48を駆動停止することになる。
【0081】
図7は本発明による防災監視システムの第3実施形態を示したブロック図であり、この実施形態にあっては、アナログ型火災感知器14に明暗センサを設けたことを特徴とする。
【0082】
図7において、受信機10は図2の第1実施形態と同じであり、アナログ型火災感知器14も基本的には図2の第1実施形態と同じであるが、新たに明暗センサ56を設けている。明暗センサ56としてはフォトダイオードやフォトトランジスタなどが使用され、監視エリアの明るさに応じた明るさ検出信号を出力する。
【0083】
明暗センサ56の検出状況を受信機10に送信して、受信機側で火災発生状況と人体の存在状況を管理するようにすれば、照明判定制御部52は受信機10側の、たとえばプロセッサ24内に設けて、受信機10で照明判定制御を行っても良いが、ここでは検知器としてのアナログ型火災感知器14側のプロセッサ42内に備える例を示す。
【0084】
明暗センサ56を設けたことに伴い、プロセッサ42の照明判定制御部52は、受信機10から照明駆動コマンドを受信した際に、明暗センサ56の検出レベルが所定レベル以下の明るさとなる明るさ低下検出を判別すると、照明装置48を駆動して監視エリアの一部または全部を照明する。
【0085】
図8は図7の感知器処理を示したフローチャートであり、ステップS51〜S69の処理は図6に示した第2実施形態と基本的に同じであり、図6のステップS40,S44における人体検出の判別が、図8の第3実施形態にあっては、ステップS60及びS64の明るさ低下検出となっている点で相違するのみである。
【0086】
この明暗センサ56を設けた第3実施形態によれば、アナログ型火災感知器14で火災が検出され、且つ警戒エリアの明るさが所定レベル以下に低下している場合に、照明装置48を駆動して監視エリアの一部または全部を照明することになる。
【0087】
図9は本発明による防災監視システムの第4実施形態を示したブロック図であり、この実施形態にあっては、アナログ型火災感知器14に人感センサと明暗センサを設けるようにしたことを特徴とする。
【0088】
図9の受信機10は図2の第1実施形態と基本的に同じであり、アナログ型火災感知器14については、人感センサ54と明暗センサ56を設けた点以外は図2の第1実施形態と同じである。
【0089】
図9の第4実施形態にあっては、アナログ型火災感知器14に人感センサ54と明暗センサ56を設けたことに伴い、プロセッサ42の照明判定制御部52は、受信機10から照明駆動コマンドを受信した状態で、人感センサ54による人体検出と明暗センサ56による所定レベル以下の明るさ低下検出の両方が判定された場合に、照明装置48を駆動して監視エリアの一部または全部を照明することになる。
【0090】
図10は図9の感知器処理を示したフローチャートであり、ステップS71〜S89の処理は図6に示した第2実施形態と基本的に同じであり、図6の第2実施形態におけるステップS40,S44の人体検出のチェックが、図10の第4実施形態にあってはステップS80及びS84の人体検出及び明るさの低下検出となっている点で相違しているのみである。
【0091】
この図10の第4実施形態によれば、アナログ型火災感知器14で火災を検出した際の受信機10からの照明駆動コマンドの受信状態で、警戒エリアの人体検出が行われ、且つ明るさが所定レベル以下に低下した明るさ低下検出の場合、照明装置48の駆動が行われる。
【0092】
また照明装置の駆動はタイマスタートにより所定時間継続して行われ、途中で人感センサ54の人体検出や明暗センサ56による明るさ低下検出のオンオフがあっても、これによって照明装置の駆動が停止することなく、所定時間は安定的に照明装置48を駆動することができる。
【0093】
なお、上記の実施形態は、図1に示したように、アナログ型火災感知器14に設けた照明装置48を受信機10からの照明駆動コマンドに基づいて駆動して監視エリアの一部または全部を照明するようにしているが、中継器16に接続しているオンオフ型火災感知器20やガス漏れ検知器22に照明装置48を設けて駆動するようにしてもよい。
【0094】
この場合、中継器16からの感知器回線18に接続したオンオフ型火災感知器20は受信機10側との間に伝送機能を持たないことから、中継器16に照明判定制御部52を設けて回線毎の照明制御を行うか、オンオフ型火災感知器20自身に、火災による発報動作で照明装置を点灯するような機能を設ければよい。または、受信機10に照明判定制御部を設けて、受信機10からオンオフ型火災感知器に感知器回線とは別の照明装置駆動用制御線を配線しても良い。
【0095】
一方、ガス漏れ検知器22にあっては、中継器16と1対1に接続されることから、アナログ型火災感知器14と同様に、受信機10からの照明駆動コマンドの受信でガス漏れ検知器22に設けている照明装置を駆動することができる。もちろんこの場合も、適宜のシステム構成変更により照明制御部52はガス漏れ検知器22以外の中継器16や受信機10に設けることが出来る。
【0096】
本発明の実施の形態に於いては、検知器の異常検出に基づいて照明装置を点灯する場合について例を示したが、検知器の異常検出に基づいて照明装置を消灯することもできる。
【0097】
また本発明による照明装置の点灯とは、実質的な視認性向上効果が得られる程度の、適宜の点滅、明滅を含む。
【0098】
本発明には火災感知器や住警器、ガス漏れ検知器の他、感震センサを備える振動検知器、防犯用検知器、カメラ等の映像取得・撮像手段を備える異常検知器その他何らかの異常を検出する検知器が適用出来、本発明はこれら検知器を使用した各種の監視システムに適用することが出来る。
【0099】
本発明は、無線式の検知器を使用する無線式監視システムにも適用出来る。
【0100】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0101】
10:受信機
12:伝送線
14:アナログ型火災感知器
16:中継器
18:感知器回線
20:オンオフ型火災感知器
22:ガス漏れ検知器
24,42:プロセッサ
26,44:伝送制御部
28:表示部
30:操作部
32:音響警報部
34:移報部
36:電源部
38:防災監視部
40:照明遠隔制御部
46:火災センサ
48:照明装置
50:火災検出処理部
52:照明判定制御部
54:人感センサ
56:明暗センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機から引き出された伝送線に接続した複数の検知器により監視エリアの火災を検出して前記受信機により警報する監視システムに於いて、
前記検知器は、
火災を検出する火災センサと、
監視エリアの一部または全部を照明する照明装置と、
前記照明装置を点灯駆動させる照明制御信号の受信を判別した場合に、前記照明装置を点灯駆動する照明判定制御部と、
を備え、
前記受信機は、
前記検知器が火災を検出した場合に照明を連動させる検知器として、当該検知器の周辺に設置された検知器及び/又は避難経路に設置された検知器を検知器毎に登録した連動テーブルを記憶したメモリと、
前記検知器が火災を検出した場合に、前記照明制御信号を当該検知器及び前記連動テーブルを参照して連動を認識した検知器へ送信する照明遠隔制御部と、
を備えたことを特徴とする監視システム。
【請求項2】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記検知器は、更に、人体を検出する人感センサを備え、
前記照明判定制御部は、前記照明制御信号の受信と、前記人感センサによる人体検出とを判別した場合に、前記照明装置を点灯駆動することを特徴とする監視システム。
【請求項3】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記検知器は、更に、監視エリアの明るさを検出する明暗センサを備え、
前記照明判定制御部は、前記照明制御信号の受信と、前記明暗センサによる明るさ低下検出とを判別した場合に、前記照明装置を点灯駆動することを特徴とする監視システム。
【請求項4】
請求項1記載の監視システムに於いて、
前記検知器は、更に、
人体を検出する人感センサと、
監視エリアの明るさを検出する明暗センサと
を備え、
前記照明判定制御部は、前記照明制御信号の受信と、前記人感センサによる人体検出と、前記明暗センサによる明るさ低下検出とを判別した場合に、前記照明装置を点灯駆動することを特徴とする監視システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の監視システムに於いて、
前記複数の検知器は、それぞれ固有のアドレスを有し、
前記照明遠隔制御部は、前記照明制御信号を火災を検出した感知器及び前記連動を認識した感知器のアドレスを指定して送信することを特徴とする監視システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の監視システムに於いて、前記照明判定制御部は、前記照明装置の点灯駆動を開始した後、駆動状態を少なくとも所定期間保持することを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−69333(P2013−69333A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−274182(P2012−274182)
【出願日】平成24年12月17日(2012.12.17)
【分割の表示】特願2008−325249(P2008−325249)の分割
【原出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】