説明

目元周辺のメイク専用鏡

【課題】左右対称に仕上げたい対象物が正確に左右対称になっているかどうかを容易に判別できる構成物を提供する。
【解決手段】本発明は、反射面が直交する2枚の平面鏡の背後に、反射面が同一の交線で交わる平面鏡を配置し、反射面が直交する平面鏡の少なくとも一方を、その反射面を含む平面上で移動させられるように設置した構成物を用いることで、反射面が直交する平面鏡に映る左右反転像と、背後の平面鏡に映る鏡像とを、同一視線上で比較することができるため、容易に左右対称性を判別でき、目元周辺のメイクを正確に左右対称に仕上げるのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目元周辺のメイク専用鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
眉形状や目元のメイクアップを含む目元周辺のメイクは、男性女性を問わず、人物の印象に影響するとても重要なものとして広く一般的に行われている。また、目の大きさや角度が左右で異なることにコンプレックスを持ち、左右対称に見えるようにメイクすることを望む人も多い。しかしながら、例えば眉の長さやカーブを左右対称に揃えて仕上げることを望んでいても、自分でメイクする際には、どちらか一方を注視してメイクした後で全体を眺めたり、視線を交互に動かして左右の比較を行うしかない。
【0003】
通常の鏡像と左右対称の像を見ることができる左右対称鏡として、鏡面を直交させたり、直角二等辺三角形を底辺とした三角柱プリズムを用いる方法(特許文献1、非特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4)が知られている。これらは、鏡像ではなく左右反転した実像、すなわち第3者が見た自分を見られるもので、歪みのない像を映すために様々な工夫がなされているが、これを見て細かいメイクを施すことは難しく、左右対称であるかを確認する機構はない。つまり、例えば左目周辺の左右反転像と右目周辺の鏡像とを、視点を変えることなく見比べることができず、左右対称であるかを確認したいという欲求を満たすものではない。
【0004】
理想的な眉を容易に描くための化粧用具として、眉形が型抜きされた帯状部材(特許文献5)や、顔面に合わせて使用する眉形プレート(特許文献6)があるが、自分の好みの形や大きさの部材を容易に準備できず、部材の修正も容易ではないので、流行や外出目的に応じて変化させた各人の理想的な眉を整形することが難しい。
【0005】
各人の理想的な眉形を容易に描くために、眉形の特徴点をマークできるようにした化粧用具(特許文献7)もあるが、好みの形に描くことができたかどうかは仕上がるまで確認できるものではなく、更に、本来微妙に左右で形や大きさの異なる目元を基準に特徴点をマークすることは、メイクを施して左右対称に見えるように仕上げたいという欲求を満たすものではない。
【0006】
一方、ふたつ以上の像が同じかどうか確認する方法としては、印鑑照合の方法として、印影を重ねるように紙片を重ねてめくっては戻す作業を素早く繰り返し、残像で印影の照合を行う方法が、古くから比較的信頼性の高い方法として広く行われてきた。
【0007】
しかしながら、左右対称性を確認する方法として、鏡に映った左右反転像と鏡像とが同一視線上に重なるように配置した鏡を用いるという手法はこれまで用いられたことがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−103346
【特許文献2】特開2001−211977
【特許文献3】特許第3096697号
【特許文献4】特開2003−210292
【特許文献5】特開平9−70318
【特許文献6】特許第3265373号
【特許文献7】特開2009−28134
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】登録実用新案第3043239
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明においては、左右反転像と鏡像とが同一視線上に重なるように配置した鏡を構成し、それらを切り替えて視点や視線を変えることなく視認することで、左右対称にしたい対象物が正しく対称になっているかどうかを容易に判別できる構成物を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この様な課題を解決する為に、本発明は、反射面が直交する2枚の平面鏡による左右反転鏡の背後に、反射面が同一の交線で交わる平面鏡を左右反転鏡の反射面からの角度が約45度となるように設置し、左右反転像と鏡像とを交互に見えるように、反射面が直交する2枚の平面鏡の少なくともどちらか一方を、反射面を含む平面上でスライドできる機構を有した鏡を提供するものである。
【0012】
ガラスの背面に金属を蒸着したいわゆる普通の鏡を3枚用いた場合の模式図としては図1のようになる。反射面は平面鏡の背面であるので、「反射面が同一の交線で交わる」とは、すなわち、直交する鏡それぞれの背面の延長平面が交わる直線が、背後の鏡の反射面上に存在することを意味する。
【0013】
請求項1は、本発明の最も単純な構造で、顔面の正面に配置したとき、目元の左右反転像を確認できるだけの十分な大きさを持つ。顔面の正面に別の平面鏡を配置し、その反射面と、請求項1の本発明品の反射面とが同一の交線で交わるように請求項1の本発明品を設置したとき、反射面が直交する平面鏡の一方を、その反射面を含む平面上で視線から外れるようにスライドしていくと、見えていた左右反転像と重なる位置に正面の平面鏡に映った鏡像を見ることができる。
【0014】
請求項2は、左右反転鏡の背後に左右反転鏡と反射面が同一の交線で交わる別の平面鏡をあらかじめ設置しているもので、姿見や卓上の鏡を必要とせず、携帯して外出先で使用することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、反射面が直交する2枚の平面鏡のうち、少なくとも一方の鏡を、反射面を含む平面上でスライドさせられる構造を有する。スライドする鏡の背後に、反射面が同一の交線で交わるように設置した鏡の像とスライドする鏡の像の、それぞれの残像を重ねて比較することができ、眉形や目元周辺の左右対称性を確認しながらメイクしたり、左右対称に仕上げることができたかどうか容易に確認できることを特徴とする目元周辺のメイク専用鏡である。
【0016】
例えば、本発明品を使用したとき、右目の正面に、右目で見える像を示した模式図が図2である。反射面が直交する2枚の平面鏡が、双方顔面の正面にある場合には(図2−a)、左目の左右反転像が見える。反射面が直交する平面鏡のうち、右目の正面にあった平面鏡を右目の視線から外れるようにスライドさせると(図2−b)、背後の平面鏡に映った右目の鏡像が見える。本発明品の使用イメージを図3に示した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明で使用する平面鏡とは、可視光線を反射する物体であれば良く、ガラスの背面に金属を蒸着したいわゆる普通の鏡でも、プラスチックの表面に金属を蒸着したものでも良いし、プリズムを用いたものでも良い。
【0018】
鏡をスライドさせる方法としては、レールに沿って平行移動する方法や、反射面と直交するように設けた回転軸を中心に、反射面を含む平面上で回転させてスライドする方法が挙げられる。スライドする反射面が、元々の平面上で移動することができれば特に限定されるものではなく、これらの方法を組み合わせても良い。更に、このスライド動作には、電力やバネの力などを動力として用いて、使用者が触れていない状態で動作するための機構を設けても良い。
【0019】
上記鏡は、手鏡として用いても良いが、眉形のお手入れやアイメイクを行いながら確認するために、卓上に設置する台を設けたり、鏡台に貼り付けて固定したり、メガネのフレームやヘアバンド、カチューシャ等顔面周辺に支持できるような機構を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】レールに沿ってスライドさせる機構の、本発明品の水平面での断面図
【図2】鏡をスライドさせる前後の、右目の正面に見える像の模式図
【図3】使用イメージ
【図4】卓上設置台を設けた例
【図5】回転軸でスライドさせる機構の、本発明品の俯瞰図
【0021】
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明の目元周辺のメイク専用鏡の製造例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図4は、卓上用の鏡として使用する台を設けたものである。平面鏡の反射面の前に、反射面から45度の角度で別の2枚の平面鏡が反射面を向かい合わせるように設置されている。更にこの反射面が直交する2枚の平面鏡の一方は、反射面を含む平面上でスライドさせるためのレールに嵌めてあり、裏面に取り付けたつまみを持って容易にスライドさせることができる。
【実施例2】
【0023】
図5は、回転軸を中心にして回転させてスライドさせる機構のものである。左右反転鏡は、背後の平面鏡と45度の角度に固定された面と直交する回転軸で支持されており、スライドする際に指を掛けるための孔を取り付けてある。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の鏡は、卓上用や携帯用として使用する目元周辺のメイク用鏡として適用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の平面鏡を反射面が直交するように配置し、直交する2枚の平面鏡のうち少なくとも一方の鏡を、その反射面を含む平面上でスライドできる構造を有し、反射面が直交する2枚の平面鏡の背後に、反射面が同一の交線で交わる平面鏡を配置できる構造を有する鏡。
【請求項2】
反射面が直交する2枚の平面鏡の背後に、反射面が同一の交線で交わる別の平面鏡を配置した請求項1記載の鏡。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−212283(P2011−212283A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84044(P2010−84044)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(592262543)日本メナード化粧品株式会社 (223)
【Fターム(参考)】