説明

盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法

【課題】被介助者の存在を介助者に知らせ、被介助者が安心して歩行等の移動ができる街環境を提供できる盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法を得る。
【解決手段】盲導犬又は介助犬に取り付けられ盲導犬又は介助犬を特定するための識別情報を保持したRFIDタグ12と、構造物18に取り付けられたリーダライタ14と、識別情報と盲導犬又は介助犬の飼い主とを対応付けた特定データを記憶するメモリ16Dを備えリーダライタ14に対して通信可能なデータ記憶装置16と、を有する盲導犬・介助犬の探知システム10であって、リーダライタ14は、RFIDタグ12からの信号を受信したときに、RFIDタグ12の検出信号をデータ記憶装置16に対して送信し、データ記憶装置16は、リーダライタ14の検出信号と特定データに基づいて、盲導犬又は介助犬の飼い主を特定し、特定した飼い主の情報を示す信号を通信装置22に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法に関し、特に、盲導犬・介助犬と共にその飼い主である被介助者(介助を必要としている人)を探知できる盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、視覚障害者が安心して歩行等の移動を行うことができるようにするサービス提供が可能なシステムが知られている。
【0003】
例えば、ネットワークを介して外部機器とデータ通信を可能とする無線通信手段を有する視覚障害者用の杖と、視覚障害者の行動を支援するサービスを提供するサービスプロバイダによるサーバとが該ネットワークを介して接続され、前記サービスプロバイダと前記杖との間で情報交換を行うことにより、前記視覚障害者の支援サービスを提供することができるようにしたことを特徴とする視覚障害者支援システムが提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−98953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、杖にはネットワークを介して外部機器とデータ通信を可能とする無線通信手段が設けられているため、杖を壁、公共施設、その他の物にぶつけると、その衝撃力により無線通信手段が破損し、機能しなくなるおそれがある。特に、視覚障害者は杖を動かしながら歩行するため、杖が壁や公共物などに衝突することが多々あり、その度に杖には衝撃力が作用する。無線通信手段は、いわゆる電子機器であり、衝撃力には弱いため、杖に小さな衝撃力が作用する場合でも、破損するおそれがある。そして、杖の無線通信手段が破損すると、外部機器とのデータ通信が不可能になり、視覚障害者が安心して歩行を行うことができなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、被介助者の存在を関係者あるいは介助者に知らせ、被介助者が安心して歩行等の移動ができる街環境を提供できる盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、盲導犬又は介助犬に取り付けられ、当該盲導犬又は介助犬を特定するための識別情報を保持したRFIDタグと、構造物に取り付けられたリーダライタと、前記識別情報と前記盲導犬又は介助犬の飼い主とを対応付けた特定データを記憶する記憶部を備え、前記リーダライタに対して通信可能なデータ記憶装置と、を有する盲導犬・介助犬の探知システムであって、前記リーダライタは、前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの検出信号を前記データ記憶装置に対して送信し、前記データ記憶装置は、前記リーダライタの前記検出信号と前記特定データに基づいて、前記盲導犬又は介助犬の飼い主を特定し、当該特定した飼い主の情報を示す信号を通信装置に対して送信する、ことを特徴とする。
【0008】
前記データ記憶装置は、前記RFIDタグの前記検出信号に基づいて、前記盲導犬又は介助犬の入場又は出場を判定し、当該判定内容を示す信号を前記通信装置に送信することが好ましい。
【0009】
前記盲導犬又は介助犬の飼い主に取り付けられ、前記盲導犬又は介助犬を特定するための前記識別情報と同じ情報又は関連付けられた情報を保持したRFIDタグを有し、前記リーダライタは、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグからの信号、あるいは前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの前記検出信号を前記データ記憶装置に対して送信し、前記データ記憶装置は、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグの前記検出信号、又は前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグの前記検出信号のいずれか一方のみを受信したときに、異常を示す信号を前記通信装置に送信することが好ましい。
【0010】
本発明は、盲導犬又は介助犬に取り付けられ、当該盲導犬又は介助犬を特定するための識別情報を保持したRFIDタグと、構造物に取り付けられたリーダライタと、前記識別情報と前記盲導犬又は介助犬の飼い主とを対応付けた特定データを記憶する記憶部を備え、前記リーダライタに対して通信可能なデータ記憶装置と、を利用した盲導犬・介助犬の探知方法であって、前記リーダライタは、前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの検出信号を前記データ記憶装置に対して送信する工程と、前記データ記憶装置は、前記リーダライタの前記検出信号と前記特定データに基づいて、前記盲導犬又は介助犬の飼い主を特定し、当該特定した飼い主の情報を示す信号を通信装置に対して送信する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
前記データ記憶装置は、前記RFIDタグの前記検出信号に基づいて、前記盲導犬又は介助犬の入場又は出場を判定し、当該判定内容を示す信号を前記通信装置に送信する工程、を有することが好ましい。
【0012】
前記盲導犬又は介助犬の飼い主に取り付けられ、前記盲導犬又は介助犬を特定するための前記識別情報と同じ情報又は関連付けられた情報を保持したRFIDタグを用い、前記リーダライタは、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグからの信号、あるいは前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの前記検出信号を前記データ記憶装置に対して送信する工程と、前記データ記憶装置は、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグの前記検出信号、又は前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグの前記検出信号のいずれか一方のみを受信したときに、異常を示す信号を前記通信装置に送信する工程と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被介助者の存在を関係者あるいは介助者に知らせ、被介助者が安心して歩行等の移動ができる街環境を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る盲導犬・介助犬の探知システム全体の概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る盲導犬・介助犬の探知システムのRFIDタグの構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る盲導犬・介助犬の探知システムのリーダライタの構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る盲導犬・介助犬の探知システムのデータ記憶装置の構成図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る盲導犬・介助犬の探知処理のフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る盲導犬・介助犬の探知処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態の盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法について、図面を参照して説明する。なお、「被介助者」の一例として、視覚障害者を例に挙げて説明する。
【0016】
図1に示すように、盲導犬・介助犬の探知システム10は、盲導犬又は介助犬に取り付けられ、当該盲導犬又は介助犬Dを特定するための識別情報を保持したRFIDタグ12と、構造物18に取り付けられたリーダライタ14と、識別情報と盲導犬又は介助犬Dの飼い主とを対応付けた特定データを記憶する記憶部を備えリーダライタ14に対して通信可能なデータ記憶装置16と、を有している。なお、盲導犬又は介助犬Dを特定するための「識別情報」の一例として、識別番号である「シリアル番号」が用いられる。
【0017】
RFIDタグ12は、盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられた電子鑑札である。RFIDタグ12のメモリ12Eには、盲導犬・介助犬Dを特定するための識別番号としてのシリアル番号が記憶されている。
【0018】
RFIDタグ12は、無線又は電磁誘導を使用してタグやカードにデータを書き込み、または、読み取る既存の技術である。図2に示すように、RFIDタグ12は、アンテナ12Aと、RFID・IC12Bと、を有している。RFID・IC12Bには、無線部12Cと、制御部12Dと、メモリ(RAM又はROM)12Eと、が内蔵されている。なお、RFIDタグ12には、適宜、バッテリを設けてもよい。
【0019】
リーダライタ14は、構造物18に取り付けられている。構造物18とは、駅、バスターミナル、病院等の公共施設であることが好ましい。そして、リーダライタ14は、公共施設の出入口に取り付けられている。
【0020】
図3に示すように、リーダライタ14は、アンテナ14Aと、送信部14Bと、受信部14Cと、制御部14Dと、を備えている。なお、リーダライタ14には、適宜、バッテリを設けても良いが、構造物の内部に電源が内蔵されている場合には、構造物の電源を使用するようにしてもよい。また、リーダライタ14には、適宜、メモリ(RAM又はROM)を備えてもよい。
【0021】
リーダライタ14は、RFIDタグ12からの信号を受信すると、RFIDタグ12の検出信号にシリアル番号を含めて、データ記憶装置16に対して送信する。
【0022】
図4に示すように、データ記憶装置16は、送信部16Aと、受信部16Bと、制御部16Cと、メモリ16Dと、を備えている。
【0023】
データ記憶装置16のメモリ16Dには、データ記憶装置16の動作プログラムや、リーダライタ14からの検出信号に含められたシリアル番号と、そのRFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主Mと、を対応付けたデータテーブル(特定データ)が記憶されている。このデータテーブルには、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主Mの個人情報が含められている。
【0024】
また、データ記憶装置16のメモリ16Dには、リーダライタ14からの検出信号に含められるリーダライタ固有の固有番号と、当該検出信号を送信したリーダライタ14が取り付けられている構造物18を管理する通信装置と、の対応関係を示した管理テーブルが記憶されている。
【0025】
データ記憶装置16の制御部16Cは、リーダライタ14からの検出信号を受信すると、シリアル番号とデータテーブルに基づいて、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主(被介助者)Mの個人情報を特定する。これにより、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主Mの個人情報が特定できる。
【0026】
データ記憶装置16は、リーダライタ14からの検出信号を受信すると、固有番号と管理テーブルに基づいて、当該検出信号を送信したリーダライタ14が取り付けられている構造物18を管理する通信装置22を特定する。これにより、盲導犬・介助犬Dの飼い主Mの個人情報の送信先となる通信装置22を特定できる。
【0027】
データ記憶装置16の送信部16Aは、構造物18を管理している通信装置22に対して、特定した個人情報を示す信号を送信する。これにより、通信装置22の液晶表示画面などに、個人情報が表示される。構造物18を管理している管理者等は、通信装置22の液晶表示画面などに表示された個人情報を視認して、構造物18に介助が必要な被介助者がいることを把握する。そして、被介助者のもとに駆けつけ、被介助者の介助を行う。
【0028】
(RFIDタグ12とリーダライタ14の基本原理)
ここで、RFIDタグ12とリーダライタ14の基本原理について説明する。RFIDタグ12は、アンテナ12Aを介してリーダライタ14からの電波を受信する。受信した電波はRFID・IC12Bの無線部12Cを通過する。その際、制御部12Dはメモリ12Eから読み出したシリアル番号等の情報を無線部12Cを通過する電波にエンコードする。無線部12Cを通過した後、エンコードされた電波は再びアンテナ12Aを介しリーダライタ14に向け送信される。リーダライタ14の受信部14Cが自身のアンテナ14Aを介してRFIDタグ12から送信された信号を受信する。リーダライタ14が受信した信号は、制御部14Dでデコード処理された後、検出信号(シリアル番号を含む)として、データ記憶装置16に対して送信される。データ記憶装置16の受信部16Bは、リーダライタ14からの検出信号を受信する。そして、データ記憶装置16の制御部16Cが、リーダライタ14からの検出信号を受信すると、シリアル番号とデータテーブルに基づいて、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主(被介助者)Mの個人情報を特定する。
【0029】
なお、通信装置22とは、携帯電話装置でもよいし、パーソナルコンピュータでもよい。これらの液晶画面において、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主(被介助者)Mの個人情報(身元情報など)が図形情報、文字情報、画像などにより表示される。
【0030】
次に、本発明の第1実施形態の盲導犬・介助犬の探知処理の一例について、フローチャートに基づいて説明する。
【0031】
図5に示すように、盲導犬・介助犬Dが構造物18に近づくと、当該構造物18のリーダライタ14の受信部14Cは、盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの信号を受信する(S100)。この盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの信号には、盲導犬・介助犬Dを特定するためのシリアル番号が含まれている。
【0032】
リーダライタ14の送信部14Bは、盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの信号を受信すると、データ記憶装置16に対して検出信号を送信する(S110)。この検出信号には、RFIDタグ12に記憶されたシリアル番号の他に、検出信号を送信しているリーダライタ固有の固有番号が含まれている。
【0033】
データ記憶装置16の受信部16Bは、リーダライタ14の送信部14Bから送信された検出信号を受信する(S120)。そして、データ記憶装置16の制御部16Cは、この検出信号のシリアル番号とメモリ16Dに記憶されているデータテーブルを用いて、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主の個人情報を特定する(S130)。また同時に、データ記憶装置16の制御部16Cは、この検出信号の固有番号とメモリ16Dに記憶されている管理テーブルを用いて、検出信号を送信したリーダライタ14が取り付けられた構造物18を管理する通信装置22を特定する(S140)。
【0034】
そして、データ記憶装置16の送信部16Aは、S140において特定した通信装置22に対して、S130において特定した個人情報を示す信号を送信する(S150)。これにより、通信装置22の液晶表示画面に、「被介助者有り」の情報が表示される。これを見た、管理者は、構造物18内部の現場に駆けつけ、被介助者を介助する。
【0035】
以上のように、第1実施形態によれば、構造物18に被介助者Mが進入したときに、被介助者Mが連れている盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12の信号を、構造物18に取り付けられているリーダライタ14で受信する。そして、リーダライタ14から検出信号がデータ記憶装置16に対して送信され、データ記憶装置16によって、リーダライタ14が取り付けられた構造物18を管理する通信装置22及び盲導犬・介助犬Dの飼い主Mの個人情報がそれぞれ特定される。さらに、データ記憶装置16は、特定した通信装置22に対して、盲導犬・介助犬Dの飼い主Mの個人情報を示す信号を送信する。通信装置22の液晶表示画面には、「被介助者有り」の情報が表示され、管理者は被介助者がいることを認識する。このようにして、第1実施形態では、被介助者が安心して外出・歩行することができる街環境を実現することができる。
【0036】
RFIDタグ12は、盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているため、破損することがない。このため、従来技術のように杖に無線通信手段を設けている構成と比較して、被介助者の存在を管理者に確実に知らせることができる。
【0037】
RFIDタグ12には、盲導犬・介助犬Dを特定するためのシリアル番号が記憶されているが、被介助者の個人情報そのものではないため、たとえ、RFIDタグ12が盲導犬・介助犬Dの首輪から落下して、他人が拾ってしまった場合でも、被介助者の個人情報が他人にばれてしまうことがない。
【0038】
また、RFIDタグ12は、被介助者ではなく、盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているため、安定した読取が可能になる。すなわち、被介助者がRFIDタグ12を保持していると、被介助者が電波(通信)を遮る物を持っていた場合に、RFIDタグ12の信号がリーダライタ14に受信され難くなる。これに対して、盲導犬・介助犬Dの首輪にRFIDタグ12が取り付けられている構成では、盲導犬・介助犬Dが電波(通信)を遮る物を持ち歩かないので、RFIDタグ12とリーダライタ14との通信状況に悪影響を及ぼさない。この結果、RFIDタグ12からの信号をリーダライタ14で確実に受信することができる。
【0039】
さらに、RFIDタグ12が盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているため、盲導犬・介助犬Dが何かの事情で逃げ出したときや迷子になったときに、盲導犬・介助犬Dがリーダライタ14の近傍を通りかかると、リーダライタ14はRFIDタグ12からの信号を受信する。そして、リーダライタ14は、RFIDタグ12の検出信号をデータ記憶装置16に対して送信する。データ記憶装置16は、検出信号を受信することにより、盲導犬・介助犬D及び飼い主Mの個人情報と、リーダライタ14が取り付けられている構造物18の位置を特定する。これにより、迷子の盲導犬・介助犬Dの居場所が判明し、迷子の盲導犬・介助犬Dを捕獲することができる。このようにして、RFIDタグ12を盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けることにより、盲導犬・介助犬Dの管理を徹底させることもできる。この結果、盲導犬・介助犬Dの管理と、飼い主Mである被介助者の管理と、を同時に行うことができる。
【0040】
また、リーダライタ14が公共施設の構造物18の出入口に設けられている場合、盲導犬・介助犬Dを連れている被介助者が構造物18に入るときに、リーダライタ14はRFIDタグ12からの信号を受信する。そして、盲導犬・介助犬Dを連れている被介助者が構造物18から出て行くときにも、リーダライタ14はRFIDタグ12からの信号を受信する。このため、データ記憶装置16は、同じシリアル番号と同じ固有番号の検出信号を複数回受信することにより、盲導犬・介助犬Dを連れた飼い主Mが構造物18に出入りしたことを判別することができる。さらに、データ記憶装置16は、盲導犬・介助犬Dを連れた飼い主Mが構造物18に出入りしたことを示す信号を通信装置22に対して送信することにより、被介助者の行動内容を管理者に報知することができる。
【0041】
また、構造物18の近傍にカメラなどの撮像手段を設けておき、通信装置22で被介助者の個人情報が表示され、かつ撮像手段で被介助者を写して確認することもできる。このとき、撮像手段に被介助者が写らなければ、被介助者の身に何かが起こったと判断することができ、救急車両を迅速に手配することができる。
【0042】
また、通信装置22として、パーソナルコンピュータや携帯電話装置を利用することにより、インターネット回線を利用することができる。これにより、データ記憶装置16と通信装置22をインターネット回線網で接続することができ、電子メールなどの通信手段が利用可能になる。
【0043】
また、リーダライタ14の出力を上げ、受信部14Cの受信レンジを広げるようにしてもよい。これにより、リーダライタ14の受信機能を高めることができ、構造物18から盲導犬・介助犬Dが離れていた場合でも、そのRFIDタグ12からの信号を受信することができる。
【0044】
なお、盲導犬・介助犬Dの他に、被介助者を介助できる動物であれば、その他の種類の動物に対しても適用できる。
【0045】
本発明の第2実施形態の盲導犬・介助犬の探知システム及びその探知方法について、図面を参照して説明する。なお、第1実施形態の盲導犬・介助犬の探知システムの構成と同様の構成については同符号を付すと共に、その説明を適宜省略する。
【0046】
第2実施形態では、盲導犬・介助犬Dを連れている被介助者が、RFIDタグ12を保持している。このため、盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているRFIDタグ12と被介助者が保持するRFIDタグ12の2種類のRFIDタグを使用する。被介助者が保持するRFIDタグ12には、被介助者が連れている盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているRFIDタグ12のシリアル番号と同じシリアル番号か、あるいは、被介助者が連れている盲導犬・介助犬DのRFIDタグ12のシリアル番号と関連性があるシリアル番号が記憶されている。
【0047】
データ記憶装置16のメモリ16Dには、盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているRFIDタグ12のシリアル番号と、被介助者が保持するRFIDタグ12のシリアル番号と、の対応付けをするためのシリアル番号対応テーブルが記憶されている。
【0048】
データ記憶装置16は、盲導犬・介助犬Dの首輪に取り付けられているRFIDタグ12のシリアル番号に基づいて、盲導犬・介助犬Dを特定する。また、データ記憶装置16は、被介助者が保持するRFIDタグ12のシリアル番号に基づいて、被介助者を特定する。そして、両者は、シリアル番号対応テーブルによって、対応付けられる。
【0049】
なお、被介助者が保持するRFIDタグ12のシリアル番号は、個人情報そのものではないため、他人に見られても、被介助者の個人情報が公知になることはない。
【0050】
次に、本発明の第2実施形態の盲導犬・介助犬の探知処理の一例について、フローチャートに基づいて説明する。
【0051】
図6に示すように、被介助者及び盲導犬・介助犬Dが構造物18に近づくと、当該構造物18のリーダライタ14の受信部14Cは、盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの信号と、被介助者が保持しているRFIDタグ12からの信号と、を受信する(S200)。この盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの信号には、盲導犬・介助犬Dを特定するためのシリアル番号が含まれている。被介助者が保持しているRFIDタグ12からの信号には、被介助者を特定するためのシリアル番号が含まれている。
【0052】
リーダライタ14の送信部14Bは、被介助者及び盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの信号を受信すると、データ記憶装置16に対して検出信号を送信する(S210)。これらの検出信号には、RFIDタグ12に記憶されたシリアル番号の他に、検出信号を送信しているリーダライタ固有の固有番号が含まれている。
【0053】
データ記憶装置16の受信部16Bは、リーダライタ14の送信部14Bから送信された検出信号を受信する(S220)。
【0054】
ここで、データ記憶装置16の制御部16Cは、被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と、盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号と、の両方を受信しているか否かを判別する(S230)。
【0055】
被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号との両方を受信している場合(S230:YES)には、データ記憶装置16の制御部16Cは、この検出信号のシリアル番号とメモリ16Dに記憶されているシリアル番号対応テーブルを用いて、RFIDタグ12が取り付けられた盲導犬・介助犬Dの飼い主の個人情報を特定する(S240)。また同時に、データ記憶装置16の制御部16Cは、この検出信号の固有番号とメモリ16Dに記憶されている管理テーブルを用いて、検出信号を送信したリーダライタ14が取り付けられた構造物18を管理する通信装置22を特定する(S250)。
【0056】
そして、データ記憶装置16の送信部16Aは、S250において特定した通信装置22に対して、S240において特定した個人情報を示す信号を送信する(S260)。これにより、通信装置22の液晶表示画面に、「被介助者有り」の情報が表示される。これを見た、管理者は、構造物18内部の現場に駆けつけ、被介助者を介助する。
【0057】
一方、被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号との両方を受信していない場合(S230:NO)には、データ記憶装置16の送信部16Aは、警告情報を示す信号を通信装置22に対して送信する(S270)。警告情報のデータは、データ記憶装置16のメモリ16Dに予め記憶されている。
【0058】
被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号との両方を受信していない場合とは、被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号のいずれの信号も受信していない場合の他に、被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号のいずれか一方の信号のみを受信している場合が該当する。
【0059】
特に、被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号のみを受信していない場合には、盲導犬・介助犬Dが被介助者のもとから逃げ出したケースや、被介助者の安否が気になるケースになる。これを、データ記憶装置16で判別することができる。
【0060】
通信装置22は、警告情報を示す信号を受信すると、液晶表示画面に「警告情報」を表示シテ、アラーム機能を利用して警告音を出力する。
【0061】
以上のように、第2実施形態によれば、被介助者が保持するRFIDタグ12からの検出信号と盲導犬・介助犬Dに取り付けられたRFIDタグ12からの検出信号との両方を受信しているか否かを判定することにより、被介助者が危険な状態になっていることを早急に警告することができる。警告情報を見た管理者は、早急に現場にかけつけ、倒れている被介助者の介助をしたり、場合によっては救急車で病院に運ぶ手配をする。このようにして、第2実施形態では、被介助者の安否までも確認し、かつ対応することができる。
【0062】
RFIDタグ12は、ペット(盲導犬)の首輪等に設ける体外装着型RFIDのほか、体内埋め込み型RFIDを用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 盲導犬・介助犬の探知システム
12 RFIDタグ
14 リーダライタ
16 データ記憶装置
16D メモリ(記憶部)
18 構造物
D 盲導犬・介助犬
M 飼い主


【特許請求の範囲】
【請求項1】
盲導犬又は介助犬に取り付けられ、当該盲導犬又は介助犬を特定するための識別情報を保持したRFIDタグと、
構造物に取り付けられたリーダライタと、
前記識別情報と前記盲導犬又は介助犬の飼い主とを対応付けた特定データを記憶する記憶部を備え、前記リーダライタに対して通信可能なデータ記憶装置と、
を有する盲導犬・介助犬の探知システムであって、
前記リーダライタは、前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの検出信号を前記データ記憶装置に対して送信し、
前記データ記憶装置は、前記リーダライタの前記検出信号と前記特定データに基づいて、前記盲導犬又は介助犬の飼い主を特定し、当該特定した飼い主の情報を示す信号を通信装置に対して送信する、
ことを特徴とする盲導犬・介助犬の探知システム。
【請求項2】
前記データ記憶装置は、前記RFIDタグの前記検出信号に基づいて、前記盲導犬又は介助犬の入場又は出場を判定し、当該判定内容を示す信号を前記通信装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の盲導犬・介助犬の探知システム。
【請求項3】
前記盲導犬又は介助犬の飼い主に取り付けられ、前記盲導犬又は介助犬を特定するための前記識別情報と同じ情報又は関連付けられた情報を保持したRFIDタグを有し、
前記リーダライタは、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグからの信号、あるいは前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの前記検出信号を前記データ記憶装置に対して送信し、
前記データ記憶装置は、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグの前記検出信号、又は前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグの前記検出信号のいずれか一方のみを受信したときに、異常を示す信号を前記通信装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の盲導犬・介助犬の探知システム。
【請求項4】
盲導犬又は介助犬に取り付けられ、当該盲導犬又は介助犬を特定するための識別情報を保持したRFIDタグと、構造物に取り付けられたリーダライタと、前記識別情報と前記盲導犬又は介助犬の飼い主とを対応付けた特定データを記憶する記憶部を備え、前記リーダライタに対して通信可能なデータ記憶装置と、を利用した盲導犬・介助犬の探知方法であって、
前記リーダライタは、前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの検出信号を前記データ記憶装置に対して送信する工程と、
前記データ記憶装置は、前記リーダライタの前記検出信号と前記特定データに基づいて、前記盲導犬又は介助犬の飼い主を特定し、当該特定した飼い主の情報を示す信号を通信装置に対して送信する工程と、
を有することを特徴とする盲導犬・介助犬の探知方法。
【請求項5】
前記データ記憶装置は、前記RFIDタグの前記検出信号に基づいて、前記盲導犬又は介助犬の入場又は出場を判定し、当該判定内容を示す信号を前記通信装置に送信する工程、
を有することを特徴とする請求項4に記載の盲導犬・介助犬の探知方法。
【請求項6】
前記盲導犬又は介助犬の飼い主に取り付けられ、前記盲導犬又は介助犬を特定するための前記識別情報と同じ情報又は関連付けられた情報を保持したRFIDタグを用い、
前記リーダライタは、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグからの信号、あるいは前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグからの信号を受信したときに、前記RFIDタグの前記検出信号を前記データ記憶装置に対して送信する工程と、
前記データ記憶装置は、前記盲導犬又は介助犬の前記RFIDタグの前記検出信号、又は前記盲導犬又は介助犬の飼い主の前記RFIDタグの前記検出信号のいずれか一方のみを受信したときに、異常を示す信号を前記通信装置に送信する工程と、
を有することを特徴とする請求項4又は5に記載の盲導犬・介助犬の探知方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−139183(P2012−139183A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294570(P2010−294570)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【出願人】(501474450)株式会社シーデックス (5)
【出願人】(511003992)株式会社ダーウィン (2)