説明

直流電力を供給するように適応された電源ユニットを有する磁気共鳴撮像システム

MRI画像データを収集するMRIシステムは、MRI画像データを収集するための複数のサブユニットを有するデータ収集手段と、MRI画像データを収集するための前記手段に電力を供給する電力配給手段とを有し、前記電力配給手段は、交流電気幹線から直流電力を供給するように適応された電源ユニットと、前記サブユニットに前記直流電力を供給するように適応された電力バスと、前記電力バスによる前記サブユニットへの前記直流電力の供給を制御する制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴撮像システムに関し、特に磁気共鳴撮像システム内での電力の配給に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内の画像を生成する手順の一部として原子の核スピンを整列させるために、磁気共鳴撮像(MRI)スキャナによって、静磁場が使用されている。MRIスキャン中、送信器コイルによって生成される無線周波数(RF)パルスが局所的な磁場に揺動を生じさせ、核スピンによって放射されるRF信号が受信器コイルによって検出される。これらのRF信号が、MRI画像を構築するために使用される。これらのコイルはアンテナと呼ぶこともできる。また、送信器コイル及び受信器コイルはまた、双方の機能を果たす単一の送受信器コイルに統合されることもできる。理解されるように、送受信器コイルという用語の使用は、別個の送信器コイル及び受信器コイルが使用されるシステムをも表し得る。
【0003】
MRIシステムは、各々が幹線電圧で給電される数多くの部分ユニット(サブユニット)で構成される。問題は、異なる国又は地域によって異なる幹線電圧が使用されていることである。例えば、欧州の設備は50Hzの周波数のAC電力を供給しているが、米国及びカナダにおいては60Hzが標準である。米国における単相交流(AC)電力は120Vであり、欧州における単相AC電力は240Vである。MRIシステムのサブユニットが供給AC電力で動作することができない場合、該ユニットは電力変圧器及び整流器を必要とすることになる。変圧器は大きい装置であるとともに、磁気的に遮蔽されない限り、磁石の近くで使用されることができない。AC電力及び変圧器によって生成される電磁場は、MRI画像データの収集と干渉し得る。これら個々のサブユニット全ての電力が効率的に管理されているわけではない。MRIシステムは多数のサブユニットを有するので、これら全てのサブユニットに電力供給するためには多数の変圧器及びアダプタが存在することになり得る。これらの変圧器は全て、高価であり、且つ病院内の貴重な空間を消費する。MRIシステムの配線は極めて複雑なものになり得るし、使用される電圧は危険なものである。
【0004】
特許文献1に、遠隔的に電力供給される磁気共鳴注入器(インジェクタ)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0068011号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、MRI画像データを収集するMRIシステムを提供する。本発明の実施形態が従属請求項にて与えられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、MRIシステムに直流(DC)配電を用いることによって、上述の問題を解決する。幹線電圧接続の位置にDC配電システムが配置され、電力が単一のDC電圧又は複数のDC電圧に変換される。そして、MRIシステムの個々のサブユニットにDC電圧が配給される。
【0008】
大部分のサブユニットには標準電圧が配給される。例えば勾配増幅器又はRF増幅器などの大電力サブユニットは、特殊化された電力の恩恵を受け得る。DC電力の配給には、例えば40Vといった、より安全な電圧が選択されてもよい。必要に応じて、各装置は、DC−DC変換を介して、それ自身の所望のDC電圧を局所的に生成することができる。DC−DC電力変換は周知の信頼できる小型技術である。
【0009】
本発明の実施形態は、以下の利点のうちの少なくとも一部を有する:
− 装置ごとの電源を除去することによるコスト削減、
− 容積低減(変圧器なし)、
− 世界規模で必要とされる要求電圧範囲(50/60Hz、110/220/等々V(ボルト))で各サブユニットを試験する必要がないことによる、開発コスト削減、
− 例えば40VなどのDC電圧、例えば220V/50Hzといったものより安全である、
− 50Hz又は60Hzの雑音がMRIシステムと干渉する可能性が排除される、
− 唯一の電圧のみが存在するため、システムフィルタボックスが簡略化される。
【0010】
更なる利点が、後述の実施形態にて説明される。
【0011】
本発明の実施形態は、MRI画像データを収集するための複数のサブユニットを有するデータ収集手段を有する、MRI画像データを収集するMRIシステムを提供する。サブユニットとは、MRIシステムの個々の構成要素である。サブユニットの例は、勾配増幅器、無線周波数増幅器、結合されたRF増幅器及び受信器、高次シム供給、冷却システム、低温冷却器、患者支持台、生理学センター、傾斜磁場コイル、RFコイル及びアンテナ、検査室内の電子装置、観察カメラ、患者観察用のコンピュータディスプレイ及びモニタ、並びにコンピュータシステムである。コンピュータシステムは、1つ又は幾つかの異なるコンピュータを有することができ、コンソール内のホストであるスキャン制御コンピュータ、画像を再構成する再構成コンピュータ、及びMRIシステムを制御するコントローラとし得る。MRIシステムはまた、MRI画像データを収集するための手段に電力を供給するために使用される電力配給手段を有する。
【0012】
電力配給手段は、交流電気幹線から直流電力を供給するように適応された電源ユニットと、サブユニットに前記直流電力を供給するように適応された電力バスと、電力バスによるサブユニットへの直流電力の供給を制御する制御手段とを有する。
【0013】
電力バスは、幾つかの異なる手法で構築され得る。単一の電圧がサブユニットに提供されるとして、それらが単純に電力バスに接続されてもよいし、あるいは、提供される様々な電圧が存在してもよい。MRIの全てのサブユニットが接続される電力バスが電源の背後に存在してもよいし、検査室内まで導かれる配線が存在し、短いリード線が個々のサブユニットと電力バスとの間に接続されてもよい。単一電圧の電力バスは、システムフィルタボックスがより単純であるという利点を有する。電力バスに制御手段を接続し、MRIシステムのサブユニットをオン及びオフの間で切り替えるために使用することができる。電力消費を制御するコントローラを制御手段の部分としてもよく、これは、電源内に組み込まれるか、コンピュータシステムのうちの1つを介して制御されるかし得る。
【0014】
本発明の実施形態は、単一のサブユニットごとに別個のACコネクタが使用されないという利点を有する。通常、各サブユニットは、AC電気幹線へのそれ自身の接続を有する。サブユニットの各々にDC電力を供給することにより、複数のAC接続の必要性が排除される。これにより、サブユニットを構築するのに必要な金額が削減されるとともに、より良好なMRI画像が提供される。何故なら、変圧器は典型的に、正しく遮蔽されないと、画像内にゴーストを発生させ得る50Hz又は60Hzの雑音を生成するからである。DC電圧を供給することは、DC電圧はAC電圧より危険でないことからも有利である。より致命的でない電源システムとするよう、例えば40V又は12Vなどの低電圧が選択されて使用され得る。また、集中的な電力バスを有することは、全体的な電力の制御及び調整を可能にする。
【0015】
他の一実施形態において、電力配給手段は更に、電力を供給するように適応された無停電電源を有する。交流電気幹線の電力が中断されたとき、無停電電源は、MRIシステムが機能を継続するようにエネルギーを供給する。この実施形態において、無停電電源は、電力バスに直流電力を供給するように適応された少なくとも1つの電池を有する。この実施形態の利点は、電力障害の発生時に、システム全体のためのDC電力が電池によって供給されることである。故に、電源が中断されたときに、必要な電力を供給することが非常に容易である。通常は、先ず、AC幹線に給電するのに使用されるAC電力を生成するために発電機が必要とされ、その後、多くのサブユニットによって、該電力が直流に変換される。これは極めて非効率であり、また、電池は非常用発電機より遙かに安価である。MRIシステム用のACユニバーサル電源は、約20000ユーロのコストが掛かる。この機能が、DC電源に並列に大容量電池を付加することによって実現される。電池はAC発電機より相当に安価になり得る。
【0016】
他の一実施形態において、サブユニットのうちの1つは、傾斜磁場コイルに給電する勾配増幅器である。勾配増幅器は、交流電気幹線から直流電力を供給するように適応される。勾配増幅器は更に、電力バスに直流電力を供給するように適応され、前記電源ユニットはこの勾配増幅器である。勾配増幅器はMRIシステム内の最大の電力消費物であるか、その1つであるため、この実施形態は非常に有利である。勾配増幅器は、MRIシステムの動作中に傾斜コイルに巨大な電流を供給する必要がある。上記の電源ユニット及び勾配増幅器を有することは非常に効率的であり、これらのユニットを1つに結合することはコスト効率に優れる。基本的に、勾配増幅器は、MRIシステムの残りの部分に電力を供給するように変更される。
【0017】
他の一実施形態において、サブユニットのうちの1つは、無線周波数コイルに給電する無線周波数増幅器である。RF増幅器はDC電圧で給電されることができる。RF増幅器の電源を除去し、コストを節減することができる。さらに、これにより、より小型のRF増幅器を構築することが可能になる。このことは、MRIシステムをより小型で空間効率の良いものにすることを可能にする。MRIシステムにおいて、無線周波数増幅器は、MRIシステム内でスピンを倒すために使用される無線周波数信号を生成する。無線周波数コイルが、検査されている患者内のボリュームに無線周波数エネルギーを送り届ける。多くの場合、無線周波数増幅器及び送信コイルは無線周波数受信器と統合され、受信器コイルが無線周波数送信器コイルと統合される。理解されるように、無線周波数増幅器に言及するとき、そのような言及は無線周波数増幅器と受信器とを結合したものにも及ぶ。同じことが無線周波数コイルにも当てはまり、それへの言及は、無線周波数エネルギーを送信するコイルと、無線周波数エネルギーの送信及び受信を行うコイルとの双方に及ぶ。無線周波数増幅器が直流電力から直接的に稼働されるので、この実施形態は非常に有利である。それらにDC電流を供給することにより、無線周波数増幅器に変圧器を付加するコストが排除され、コストの低減となり得る。
【0018】
他の一実施形態において、サブユニットのうちの1つは、熱放散流体を冷却する液冷キャビネットである。液冷キャビネットは、電力バスにより供給される直流電力で給電されるように適応される。多くの液冷キャビネットは幹線電力によって決定される周波数の交流電力を用いて稼働されているので、これは有利である。高いレベルの冷却が不要であるとき、バルブにより、流体システム中の流れが抑制されている。ポンプがバルブに反して動作してエネルギーを浪費するので、これは非効率である。DC電圧から稼働させることにより、可変的な流速を有するようにシステムを設計することができ、電力量を低減することにより、MRIシステムの稼働コストの低減がもたらされる。
【0019】
現行の液冷キャビネット(Liquid Cooling Cabinet;LCC)は、幹線周波数に結合された一組のポンプを含んでおり、システム内での実際の放散とは無関係な一定のポンプ速度を有している。圧力制御は、(大きい)圧力低下を誘起する流量制限器を付加することによって行われている。これはエネルギーを無駄にしている。可変速度を有する一組のポンプが好ましい。集中的に配給されるDC電力を用いることは、この改善を容易にする。
【0020】
本発明の実施形態はまた、サブユニットのうちの1つである低温冷却器を提供する。低温冷却器は、極低温を作り出す装置であり、対象物を冷却するために使用される。低温冷却器は、超電導磁石の内側の一部と接触する熱伝導路を有し、冷却能力はガス流の振動周波数によって決定される。典型的に、過剰な冷却能力は、低温圧力容器内に電気ヒータを追加することによって調整される。冷却能力はまた、ガス流の周波数を制御することによって調整され得る。DC電源による稼働は、この技術を用いて低温冷却器の冷却能力の調整を容易にする。
【0021】
他の一実施形態において、サブユニットのうちの1つは超電導磁石であり、サブユニットのうちの他の1つは、超電導磁石に給電する磁石電源である。この磁石電源は、MRIシステムの電力バスとの接続に使用可能な電力接続を有する。磁石電源は典型的に、磁石に常時接続されていようとなかろうとサービスツールであるので、この実施形態は有利である。AC電源を排除することにより、サービススタッフが超電導磁石電源を持ち歩くことが容易になる。この場合も、変圧器を除去することにより、磁石電源のコストが削減される。電力バスとの接続に使用可能な電力接続の付加はまた、個人が磁石電源を取り外すことを容易にする。
【0022】
他の一実施形態において、電源は、複数の異なる電圧を電力バスに供給するように適応される。異なるサブユニットは異なる電圧を有することを必要とすることがあるため、これは有利である。単一の電圧のみを有する場合、個々のサブユニットが適切な動作電圧を得るためにDC−DC変換器を必要とすることが起こり得る。RF電源、及び特に勾配電源は、MRIシステムにおける主要な電力消費物である。複数の電圧源を備えた電力バスを有することは、大きい電流を用いる品目をそれら自身の電気回路上に配置することを可能にする。
【0023】
他の一実施形態において、電源ユニットは、単一の電圧のみを電力バスに供給するように適応される。単一電圧システムも利点を有する。単一の電圧を有することは、中央的な電力配給を遙かに単純にする。1つの電圧を有するケーブル群の単一システムが構築され得る。この場合、フィルタボックスは単一の電圧値のみをフィルタリングすればよい。これはコストの低減をもたらす。
【0024】
他の一実施形態において、制御手段は更に、サブユニットへの電流の配給を制御することによって電力消費を低減するように適応される。中央制御システムから、磁石の全てのサブユニットがターンオフされることができ、あるいは電力が抑制されることができ、これは有利である。全てのサブユニットが自身のAC電気接続上にあるとき、電力消費を調整すること、また、使用中でないサブユニットをターンオフすることは一層困難である。
【0025】
他の一実施形態において、制御手段は更に、MRIシステムによる電力消費を調整するために使用可能なユーザインタフェースを有する。MRIシステムは多量の電力を消費するので、これは有利である。ユーザインタフェースを提供すること、又は電力消費を調整することにより、システムが使用されていないときの電気エネルギーを低減することができる。
【0026】
他の一実施形態において、制御手段は更に、MRIシステムが使用されていない時の電力配給を管理するように適応される。患者検査の合間又は作業の休止中に、より少ない電力を使用するようにシステムが設定され得るので、これは有利である。システムはまた、MRIシステムが使用されない夕方に多量のエネルギーを節約するように設定されることもできる。直流電力の集中的な配給及び制御システムは、この電力節減を促進するように個々のサブユニットが効率的にターンオン・オフされることを可能にする。サブユニットの全てが個々のAC電力に接続される場合、エネルギーの節減を調整することは一層困難である。
【0027】
他の一実施形態において、電力バスは更に、電力配給手段とサブユニットとの間でデータを伝送するように適応される。これは、サブユニットへの電力を調整する制御手段の一部として電力バスが使用され得るという利点を有する。電力バスは、例えばカテゴリー5ケーブル又は光ファイバなどのネットワークケーブルを付加することによって適応され得る。電力バスはまた、電力を伝送するために使用される導電体のうちの1つ以上に高周波搬送波を与えることによって適応されてもよい。これは、追加のケーブルを付加する必要がないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
以下では、以下の図を含む図面を参照して、単なる例として、本発明の好適実施形態を説明する。
【図1】分散された電力バスを備えたMRIシステムの一実施形態を示す理想化された図である。
【図2】集中型の電力バスを備えたMRIシステムの一実施形態を示す理想化された図である。
【図3】MRIシステムの一実施形態の配電システムを示す図である。
【図4】コンピュータのグラフィカルユーザインタフェースの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
これらの図中の似通った参照符号を付された要素は、同一の要素であるか、同一の機能を果たすかの何れかである。既に説明された要素については、機能が同一である場合、後続の図においては必ずしも説明しないこととする。
【0030】
図1は、データ収集手段100内まで延在する電力バス112を備えたMRIシステムの一実施形態を示しており、且つサブユニット群104を電力バス112に接続する手法を提示している。この図は、電気システムのレイアウトを示すための理想化された図である。AC電力を供給するAC電気幹線108が存在している。これは電源106に接続されている。そして、電源は電力バス112に接続され、電力バスがデータ収集手段100の近傍まで延在している。データ収集手段100は、電力バス112と全てのサブユニット104との間に電気接続114を有している。サブユニット104ごとに、これらの接続114のうちの1つが存在する。サブユニット104は制御手段110に接続され、そして、制御手段110が、電力バス112とサブユニット104との間の電気接続114に接続される。制御手段110は、サブユニット104の電力をオン又はオフに切り換えるように、あるいは電力量を調整するように適応される。サブユニット104はまた、各制御手段110に専用の電気制御部を介して制御されるか、ネットワークを介してそれらをコンピュータに接続することによって制御されるかすることができる。
【0031】
図2もMRIシステムの一実施形態を示している。この図もやはり、電気システムのレイアウトを示すための理想化された図である。この実施形態において、電力バス212は電源106の近傍に局在している。電源106に接続されたAC電気幹線108が存在している。電源106は、電力バス212に接続され、DC電力を提供する。電力バス212は、電力の遮断又は調整の何れかを行う能力を有する制御手段210に接続されている。制御手段210は、電力バス212とサブユニット104との間の電気接続214に接続されている。この構成の利点は、各サブユニットまで単一のケーブルが存在し、サブユニット104ごとに異なるDC電圧を有することが可能なことである。この実施形態は、個々のサブユニット104の各々に対して電圧が調整されることを可能にする。
【0032】
図3は、MRIシステムの一実施形態の、より詳細な模式図を示している。この実施形態において、電源106に接続されたAC電気幹線108が存在している。電源106には、無停電電源316も接続されている。無停電電源316は、1つ以上の電池を有し、AC電力が失われた場合に電源106及び電力バス312にDC電力を供給するように適応される。電源106は、電力バス312も接続されるとともに、電源コントローラ318に接続されている。電源コントローラは、電力バス312へのDC電流の供給を制御する制御手段の部分として機能する。電源コントローラ318は通信ネットワーク322に接続されている。これは、例えばイーサネット(登録商標)などのコンピュータネットワークを用いて実現され得る。データフローを輸送するために電力バス312自体を用いることも可能である。これは、電力バス312にネットワークケーブルを組み込むこと、又は電力を伝送するために使用される導電体のうちの1つ以上に高周波搬送波を負わすことによって実現され得る。高周波搬送波は、データの伝送に適応された導電体上に重畳される低振幅電圧であり、サブユニット324、334、336、338、340、344への電力の伝送に影響を及ぼさない。この実施形態において、ネットワーク322がデータ収集手段100に接続されるとともに、電力バス312がデータ収集手段100に接続されている。電力バス312と電力バスコントローラ320との間に接続が存在する。電源コントローラ318とコンピュータシステム324及び電力バスコントローラ320との間にネットワーク接続322が存在する。この実施形態において、コンピュータシステム324は、電源コントローラ318との直接接続を有している。
【0033】
この実施形態において、コンピュータシステム324は、電源コントローラ318と相互作用することができ、MRIシステム内の電力を調整する制御システムの部分を形成する。これはまた、電力バスコントローラ320を直接的に制御する電源コントローラ318を用いて実現されてもよい。データ収集手段100は、コンピュータシステム324、液冷キャビネット344、勾配電源340、低温冷却器336、磁石電源338、及びRF増幅器及び/又は受信器334を有している。これらのサブユニット324、334、336、338、340、344の各々は電力バスコントローラ320に接続されている。各電力バスコントローラ320は、電力バス312とサブユニット324、334、336、338、340、344との間の電気接続314に接続されるとともに、ネットワーク接続322を有している。これらのサブユニット324、334、336、338、340、344の全てが、電力バス312に接続されてDC電力を受け取り、且つコンピュータネットワーク322を介して共に接続される。この実施形態におけるコンピュータネットワーク322は、サブユニット324、334、336、338、340、344の各々が受け取るDC電力を調整するように動作可能である。
【0034】
DC電力は個々のサブユニット324、334、336、338、340、344に対して遮断されることができ、あるいは、電力を調整するために信号がネットワーク322上で電力バスコントローラ320に送られることができる。DC電力バス312が単一の電圧を供給して、各ユニットが同一のDC電圧を受け取ることができる。この場合、一部のユニットは、異なる電圧を生成するDC−DC変換器を有することができる。代替的な一実施形態において、電力バス312は幾つかの異なる電圧を供給してもよい。
【0035】
図3においては、MRI磁石326も存在している。MRI磁石326内には、患者330を受け取る患者支持台328が存在している。患者支持台328は検査中あるいは治療中の患者を支持する。RF送受信器コイル332が患者の上方にあり、RF増幅器334に接続されている。磁石のボア内には、傾斜コイル342が存在している。傾斜コイル342は勾配電源340に接続されている。冷却ホース系346が傾斜コイル342に接続されている。これらの冷却ホース346は、冷却ホース346内部の流体を冷却するように適応された冷却キャビネット344と、傾斜コイル342とを接続する。MRI磁石326はまた、磁石電源338に接続されている。磁石電源338は、MRI磁石326に給電したり給電を解除したりすることができる。磁石電源338は、常時適所に残されてもよいし、取り外し可能にされてもよい。磁石電源338は、ネットワーク接続322なし且つ電力バスコントローラ320なしで動作されてもよい。それは、磁石電源338がサービスツールとして使用されるような場合である。低温冷却器336は、MRI磁石326を冷却するために使用され、熱伝導路を用いてMRI磁石326に接続される。
【0036】
他の一実施形態において、サブユニット324、334、336、338、340、344及び電源コントローラ318の全てが同一のコンピュータネットワーク322上にあるわけではない。コンピュータシステム324と電源コントローラ318との間、そして様々なサブユニット324、334、336、338、340、344へと、専用回線が走っていてもよい。例えば、個々のサブユニット324、334、336、338、340、344の各々に対して接続が存在し、電源コントローラ318から電力バスコントローラ320へと専用回線が走っていてもよい。
【0037】
図4は、MRIシステムのエネルギー消費を制御するために使用可能なダイアログ・ボックス450の一実施形態を示している。このダイアログ・ボックス450は、自動モードと手動モードとの間での選択に使用可能な選択手段452を有している。手動モードでは、オペレータが手作業で電力設定を制御して、MRIシステムのエネルギー消費を制御する。自動モードでは、オペレータは、MRIシステムによる電力の消費を自動的に設定することができる。例えば、システムは、或る期間の後に一部のサブユニットへの電力を低減し、その後、更なる期間の後に、電力消費を更に低減し得る。このダイアログ・ボックスは幾つかの手動制御部を示しており、第1のものは通常システム使用454であり、オペレータがこのボタンを押すとMRIシステムの全てのサブユニットが動作可能モードに置かれる。‘小休止’と記された別のボタン456が存在している。これはMRIシステムを、短期間だけシステムが使用されないモードに置く。これは、短期間必要でなくエネルギー節減のためにオフにされ得るサブユニットを止めることとし得る。そして、‘エネルギー節約’と付された別のボタン458が存在しており、これは、MRIシステムの不可欠なサブユニットを除く全てのサブユニットが電力節減のために停止されられる動作モードを選択するために使用可能である。一例は、夜間にシステムが使用されないときにこれを使用するものである。さらに、このダイアログ・ボックスを終了するための選択部460が存在している。‘設定’と付された選択部462は、各モードにおいて何れのユニットが停止される、あるいは低減電力を有するようにされるかをオペレータが設定することを可能にする、より複雑な別のダイアログ・ボックスを開く。それはまた、自動的な電力システム調整をオペレータが設定することを可能にする。
【符号の説明】
【0038】
100 データ収集手段
104 サブユニット
106 電源
108 AC電気幹線
110 制御手段
112 電力バス
114 電力バスとサブユニットとの間の電気接続
210 制御手段
212 電力バス
214 電力バスとサブユニットとの間の電気接続
312 電力バス
314 電力バスとサブユニットとの間の電気接続
316 無停電電源
318 電源コントローラ
320 電力バスコントローラ
322 ネットワーク
324 コンピュータシステム
326 MRI磁石
328 患者支持台
330 患者
332 送受信器コイル
334 RF増幅器/受信器
336 低温冷却器
338 磁石電源
340 勾配電源
342 傾斜コイル
344 液冷キャビネット
346 冷却ホース
450 ダイアログ・ボックス
452 手動制御と自動制御との間での選択部
454 システムを通常動作モードに置く
456 システムをスタンバイモードに置く
458 不可欠でないサブユニットを停止
460 ダイアログ・ボックスを終了
462 エネルギー節減設定を設定

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRI画像データを収集するための複数のサブユニットを有するデータ収集手段と、MRI画像データを収集するための前記手段に電力を供給する電力配給手段とを有する、MRI画像データを収集するMRIシステムであって、
前記電力配給手段は:
− 交流電気幹線から直流電力を供給するように適応された電源ユニットと、
− 前記サブユニットに前記直流電力を供給するように適応された電力バスと、
− 前記電力バスによる前記サブユニットへの前記直流電力の供給を制御する制御手段と
を有し、且つ
前記サブユニットのうちの1つは、無線周波数コイルに給電する無線周波数増幅器であり、前記無線周波数増幅器は、直流電力で給電されるように適応されている、
MRIシステム。
【請求項2】
前記電力配給手段は更に、前記交流電気幹線の電力が中断されたときに電力を供給するように適応された無停電電源を有し、前記無停電電源は、前記電力バスに直流電力を供給するように適応された少なくとも1つの電池を有する、請求項1に記載のMRIシステム。
【請求項3】
前記サブユニットのうちの1つは、傾斜磁場コイルに給電する勾配増幅器であり、前記勾配増幅器は、交流電気幹線から直流電力を供給するように適応され、前記勾配増幅器は更に、前記電力バスに直流電力を供給するように適応され、且つ前記電源ユニットは前記勾配増幅器である、請求項1又は2に記載のMRIシステム。
【請求項4】
前記サブユニットのうちの1つは、熱放散流体を冷却する液冷キャビネットであり、前記液冷キャビネットは、前記電力バスにより供給される直流電力で給電されるように適応されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載のMRIシステム。
【請求項5】
前記サブユニットのうちの1つは、低温流体を冷却する低温冷却器であり、前記低温冷却器は、前記電力バスにより供給される直流電力で給電されるように適応されている、請求項1乃至4の何れか一項に記載のMRIシステム。
【請求項6】
前記サブユニットのうちの1つは超電導磁石であり、前記サブユニットのうちの1つは、前記超電導磁石に給電する磁石電源であり、前記磁石電源は、前記電力バスとの接続に使用可能な電力接続を有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載のMRIシステム。
【請求項7】
前記電源ユニットは、前記電力バスに、複数の電圧の直流電力を供給するように適応され、前記サブユニットの各々は、前記複数の電圧のうちの1つを有する直流電力によって給電されるように適応されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載のMRIシステム。
【請求項8】
前記電源ユニットは、前記電力バスに、単一の電圧の直流電力を供給するように適応され、前記サブユニットの各々は、前記単一の電圧を有する直流電力によって給電されるように適応されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載のMRIシステム。
【請求項9】
前記制御手段は更に、前記サブユニットへの直流電力の配給を制御することによって電力消費を低減するように適応されている、請求項1乃至8の何れか一項に記載のMRIシステム。
【請求項10】
前記制御手段は更に、当該MRIシステムによる電力消費を調整するために使用可能なユーザインタフェースを有する、請求項9に記載のMRIシステム。
【請求項11】
前記制御手段は更に、当該MRIシステムが使用されていない時の電力配給を管理するように適応されている、請求項9又は10に記載のMRIシステム。
【請求項12】
前記電力バスは更に、前記電力配給手段と前記サブユニットとの間でデータを伝送するように適応されている、請求項1乃至11の何れか一項に記載のMRIシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−507329(P2012−507329A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533905(P2011−533905)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054796
【国際公開番号】WO2010/052616
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】