説明

省エネアドバイスシステム、省エネアドバイス方法及び省エネアドバイスプログラム

【課題】ユーザが長期にわたり、継続して省エネルギー方策を実行していくことを促すようなアドバイスを提示することを目的とする。
【解決手段】省エネアドバイスシステムは、省エネに関する複数のアドバイスからユーザに提示するアドバイスを選択する場合に、ユーザ情報に基づいた各アドバイスの評価を、アドバイスを今までに提示した回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択し、選択したアドバイスを提示し、回数を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギー方策に関するアドバイスを選択する技術に関し、特に、ユーザ毎に効果的なアドバイスを選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅におけるエネルギーの消費量を削減するための様々な手法が考えられている。
【0003】
住宅における省エネルギーの手法としては、まず、住宅自体の性能向上やエネルギー消費機器の効率向上があげられる。例えば、ペアガラスや断熱シートを用いて住宅の断熱性を向上させる等である。
【0004】
また、住宅における省エネルギーの他の手法として、世帯員の省エネルギー行動がある。例えば、冷房の設定温度を上げる等である。
【0005】
世帯員の行動による省エネルギー手法においては、世帯員が省エネルギー行動をとることによって、エネルギー消費量が削減されたり、エネルギーコストが節約できたり等のメリットがある一方で、快適性が損なわれたり、手間がかかったり等のデメリットも生じ得る。従って、省エネルギー行動によって、世帯員が受ける便益が著しく損なわれる場合には、省エネルギーの効果が大きいとしても、結局その行動が定着しないこととなりかねない。
【0006】
そこで、家庭内の様々な省エネルギー方策(行動)を採択する際に、その省エネルギー効果のみならず、世帯員が省エネルギー行動により受ける影響や選好を考慮して、方策を順位付けするモデルが提案されている(非特許文献1等参照)。このモデルでは、世帯員の価値観、すなわち、省エネルギー量や手軽さ等といった項目に対する重要度、また各項目に及ぼす各省エネルギー方策の影響を相対的に評価し、各人に対して最適な省エネルギー方策を提示するものである。このモデルを用いれば、各人の価値観を考慮した、各人に最適な省エネルギー方策を提示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「居住者の選好を考慮した省エネ方策選択モデル−モデルの開発とその特性−」研究報告:R06006、財団法人電力中央研究所、平成19年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このモデルによれば、各人の価値観が変わらない限り、各人にとって最適な省エネルギー方策も変わらないことになる。
【0009】
すなわち、省エネルギー方策は長期にわたって継続して実行していくことが望ましいが、いつも同じ省エネルギー方策が提示されると、ユーザは飽きてしまい、その方策を実行しなくなってしまう場合があり得る。また、実行したとしても、同じ方策しか実行しないこととなる。更に、その方策のデメリットがユーザにとって予想外に大きかった場合には、省エネルギー方策を行わなくなってしまうこともあり得る。
【0010】
そこで、本発明は、ユーザが長期にわたり、継続して省エネルギー方策を実行していくことを促すようなアドバイスを提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかる一態様では、省エネに関する複数のアドバイスを記憶しているアドバイス記憶手段と、ユーザに関するユーザ情報を記憶しているユーザ情報記憶手段と、アドバイスを提示した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している提示履歴記憶手段と、前記複数のアドバイスからアドバイスを選択する選択手段であって、前記ユーザ情報に基づいて予め求められた各アドバイスの評価を、前記提示履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択する選択手段と、前記選択手段で選択されたアドバイスをユーザに提示する提示手段と、前記提示手段で提示されたアドバイスと対応付けて提示履歴記憶手段に記憶されている回数を更新する更新手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明の他の一態様に係る省エネアドバイス方法は、省エネに関する複数のアドバイスを記憶しているアドバイス記憶手段と、ユーザに関するユーザ情報を記憶しているユーザ情報記憶手段と、アドバイスを提示した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している提示履歴記憶手段とを有する省エネアドバイスシステムで用いられる省エネアドバイス方法であって、前記複数のアドバイスからアドバイスを選択する選択ステップであって、ユーザ情報に基づいて予め求められた各アドバイスの評価を、前記提示履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択する選択ステップと、前記選択工程で選択されたアドバイスをユーザに提示する提示ステップと、前記提示ステップで提示したアドバイスと対応付けて提示履歴記憶手段に記憶されている回数を更新する更新ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
そして、本発明の他の一態様に係る省エネアドバイスプログラムは、コンピュータに実行させるための省エネアドバイスプログラムであって、省エネに関する複数のアドバイスを記憶しているアドバイス記憶手段と、ユーザに関するユーザ情報を記憶しているユーザ情報記憶手段と、アドバイスを提示した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している提示履歴記憶手段と、前記複数のアドバイスからアドバイスを選択する選択手段であって、ユーザ情報に基づいて予め求められた各アドバイスの評価を、前記提示履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択する選択手段と、前記選択手段で選択されたアドバイスをユーザに提示する提示手段と、前記提示手段で提示したアドバイスと対応付けて提示履歴記憶手段に記憶されている回数を更新する更新手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0014】
このような構成の省エネアドバイスシステム、省エネアドバイス方法及び省エネアドバイスプログラムによれば、ユーザに適したアドバイスであるが、同じアドバイスが続けて提示される可能性が低くなるので、ユーザが長期にわたり、飽きずに、継続して省エネルギー方策を実行していくことが可能となる。
【0015】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、アドバイスを実行した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している実行履歴記憶手段と、提示されたアドバイスを実行したことをユーザから取得する実行結果取得手段とを備え、前記更新手段は、前記実行結果取得手段で取得された実行したアドバイスと対応付けて実行履歴記憶手段に記憶されている回数を更新し、前記選択手段は、各アドバイスの評価を、前記実行履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、ユーザが実行したアドバイスは提示される可能性が低くなるので、ユーザは飽きずに省エネルギー方策を継続することが可能となる。
【0017】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、ユーザが所定期間に消費したエネルギー量を、所定期間と対応付けて記憶している消費実績記憶手段を備え、前記選択手段は、直近の所定期間に対応付けられているエネルギー量が、過去の所定期間に対応付けられているエネルギー量より大きい場合は評価を上げ、小さい場合は評価を下げることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、省エネルギーが増えた可能性がある機器に対するアドバイスが提示される可能性が高くなるので、より省エネ効果が高くなると思われるアドバイスの提示が可能となる。
【0019】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、ユーザが所有しているエネルギー消費機器を記憶している所有機器記憶手段を備え、前記選択手段は、アドバイスを実行する対象である機器が、前記所有機器記憶手段に記憶されていない場合は、当該アドバイスの評価を無効とすることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ユーザが所有していない機器に対して行うアドバイスは提示されないので、実効性のあるアドバイスが提示される可能性が高くなる。
【0021】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、現在の季節を判定する季節判定手段を備え、前記選択手段は、アドバイスの実行対象である機器をユーザが使用する季節が、判定された季節ではない場合は、当該アドバイスの評価を無効とすることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、アドバイスの対象となる機器を使用していない季節には、その機器に対するアドバイスは提示されないので、実効性のあるアドバイスが提示される可能性が高くなる。
【0023】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、前記選択手段は、評価が無効でないアドバイスのうちから、無作為にアドバイスを選択し、選択されたアドバイスの評価を上げることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、ユーザ情報等に基づいただけでは選択され難いアドバイスが提示されるので、バラエティに富むアドバイスが提示され、ユーザは飽きずに省エネルギー方策を実行することが可能となる。
【0025】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、前記アドバイス記憶手段は、アドバイスと対応付けてアドバイスの属性の値を記憶し、前記ユーザ記憶手段は、ユーザが有する前記属性に対する価値観の度合いを記憶しており、前記省エネアドバイスシステムは、更に、アドバイスに対する評価をユーザから取得する評価取得手段と、前記取得した評価に基づいてアドバイスの属性の値を変更する属性変更手段を備え、前記選択手段は、アドバイス記憶手段に記憶されているアドバイスの属性の値と、前記ユーザ記憶手段に記憶されている属性に対する価値観の度合いとに基づいて、各アドバイスの評価を求めることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、ユーザの価値観に応じたアドバイスが提示され易くなるので、ユーザはアドバイスの実行を行う可能が高くなる。
【0027】
また、上述の省エネアドバイスシステムにおいて、前記属性変更手段は、前記属性変更手段は、他のユーザから取得したアドバイスに対する評価に基づいて、アドバイスの属性の値を変更することが好ましい。
【0028】
この構成によれば、他のユーザの評価が加味されたアドバイスを提示できるので、よりバラエティに富むアドバイスが提示され、ユーザは飽きずに省エネルギー方策を実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる省エネアドバイスシステムは、ユーザが長期にわたり、継続して省エネルギー方策を実行していくことを促すようなアドバイスを提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】省エネアドバイスシステムの全体構成例を示す図である。
【図2】サーバ装置及びユーザ端末の機能ブロックの構成を示す図である。
【図3】図2に示すサーバ装置におけるアドバイス情報の構成及び内容の例を示す図である。
【図4】図2に示すサーバ装置における実行評価履歴情報の構成及び内容の例を示す図である。
【図5】図2に示すサーバ装置における表示履歴情報の構成及び内容の例を示す図である。
【図6】図6(a)は、図2に示すサーバ装置における所有機器情報の構成及び内容の例を示す図であり、図6(b)は、ユーザの価値観情報の構成及び内容の例を示す図である。
【図7】図2に示すサーバ装置における消費実績記憶部に記憶されている消費実績データを、グラフで示した例を示す図である。
【図8】出力部のディスプレイに表示される画面例を示す図である。
【図9】ユーザが入力する情報の項目例を示す図である。
【図10】アドバイス表示処理を示すフローチャートである。
【図11】アドバイス選択処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施形態>
<概要>
実施形態の省エネアドバイスシステムは、ユーザの価値観だけでなく、各アドバイスの表示回数、実際の消費エネルギー量、ユーザの所有機器、季節等の様々な項目を考慮したアドバイスを表示(提示)する。
【0032】
表示回数や消費エネルギー量等のいわゆる変化し続ける項目を考慮することで、表示されるアドバイスが固定化されることを防ぐことが可能となる。また、ユーザの所有機器や季節を考慮することで、ユーザが実行不可能な方策、すなわち、なユーザにとって無意味なアドバイスを表示することがなくなる。
【0033】
本省エネアドバイスシステムを使用するユーザは、本省エネアドバイスシステムを長期間使用しても飽きることなく、表示されるアドバイスを活用して、省エネルギー型のライフスタイルをおくることが期待できる。
【0034】
更に、本省エネアドバイスシステムは、アドバイスの実行の有無、アドバイスに対する評価等の情報をユーザから取得し、その後に表示するアドバイスの選択に際して、取得した情報を考慮する。考慮する情報は、本人から取得した情報だけでなく、他のユーザから取得した情報も含む。
【0035】
すなわち、全ユーザが自分の価値観等の個人情報のみならず、提示されたアドバイスの実行の有無、評価等の情報をシステムに入力することにより、より省エネルギー効果があり高評価のアドバイスが導きだされ、そのアドバイスが各ユーザにフィードバックされ、各ユーザはそのアドバイスに基づいて省エネルギー行動を実行する。そして、更に、アドバイスの実行、評価等の情報をシステムに入力することにより、アドバイスに関する情報が継続的に循環し、ユーザが省エネルギー型のライフスタイルへと移行することが期待できることとなる。
【0036】
以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。尚、実施形態では、電力の消費量を削減する場合を例にとって説明するが、ガス及び灯油等のエネルギー消費量の削減であってもよい。
【0037】
<構成>
図1は、省エネアドバイスシステム10の全体構成例を示す図である。
【0038】
省エネアドバイスシステム10は、サーバ装置100、ユーザ端末200A、ユーザ端末200B、ユーザ端末200C及びネットワーク11から構成される。なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0039】
ユーザ端末200は、サーバ装置100から送信されるアドバイス等を表示するパソコン等の端末装置であり、基本的に一家に一台あるものとする。ユーザ端末200は、インターネット等のネットワーク11を介してサーバ装置100と通信を行う。
【0040】
また、サーバ装置100は、ユーザ端末200からのアドバイスの表示要求に対して、アドバイスを選択して表示させるというサービスを提供するいわゆるサーバであり、省エネアドバイスシステム10の管理会社等に設置されているものとする。
【0041】
まず、サーバ装置100及びユーザ端末200の構成について説明する。
【0042】
図2は、サーバ装置100及びユーザ端末200の機能ブロックの構成を示す図である。
【0043】
サーバ装置100は、記憶部110、演算制御部120及び通信部130を備える。
【0044】
記憶部110は、機能的に、ユーザ端末200に表示するアドバイスに関する情報を記憶するアドバイス情報記憶部1000と、表示されたアドバイスの実行等に関する情報を記憶する実行履歴記憶部1100と、アドバイスの表示回数及び表示したアドバイスを記憶する表示履歴記憶部1200と、ユーザに関する情報を記憶するユーザ情報記憶部1300と、電力の消費量の履歴を記憶する消費実績記憶部1400とを備える。これら記憶部に記憶されているデータについては、<データ>の項で説明する。
【0045】
また記憶部110は、アドバイス選択プログラム等の各種プログラム、および、各種プログラムの実行に必要なデータやその実行中に生じるデータ等の各種データを記憶する装置であり、例えば、演算制御部120のいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、ROM(Read Only Memory)や書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子、および、各種プログラムや各種データを格納しておくハードディスク等を備えて構成される。
【0046】
演算制御部120は、例えば、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、アドバイス選択部121と、季節判定部122、及び、情報更新部123を備え、制御プログラムに従い記憶部110及び通信部130を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
【0047】
アドバイス選択部121は、記憶部110に記憶されている情報を参照して、ユーザに最適なアドバイスを選択する機能を有する。選択方法の詳細は、図11を用いて後で説明する。
【0048】
季節判定部122は、アドバイス選択部121から依頼を受け、依頼を受けた時に基づいて季節を判定する機能を有する。詳細には、季節判定部122は、月日と季節との対応表、例えば、11月1日から3月10日までが「冬」である等のデータを記憶しておく。サーバ装置100の内部のタイマ(不図示)から、現在の月日を取得し、取得した月日を基に季節を判定する。例えば、1月1日であれば「冬」であると判定する等である。
【0049】
情報更新部123は、記憶部110に記憶されている情報を必要に応じて更新する機能を有する。情報更新部123は、大きく2つの情報を更新する。1つめの情報は、ユーザ毎に記憶している情報、具体的には、アドバイスの表示回数、アドバイスの実行回数等である。例えば、アドバイス選択部121が選択したアドバイスが表示されると、表示履歴記憶部1200に記憶されているそのアドバイスの表示回数をカウントアップする等である。
【0050】
2つ目の情報は、ユーザ共通のアドバイスの属性の値、具体的には、アドバイス毎のお手軽度やお勧め度に関する情報である。例えば、多くのユーザが勧めるアドバイスのお勧め度を上げる等である。実施形態では、この情報の更新は、6か月ごとに行うものとする。尚、ユーザから入力されたデータが一定量となった時やシステム管理者が所定のコマンドを入力した時等に行うこととしてもよい。
【0051】
通信部130は、ユーザ端末200とデータの送受信を行う機能を有する。
【0052】
尚、サーバ装置100における記憶部110、演算制御部120、及び、通信部130は、信号を相互に交換することができるようにバス101でそれぞれ接続されている。
【0053】
ユーザ端末200は、出力部210、入力部220、通信部230及び制御部240を備える。
【0054】
出力部210は、入力部220から入力されたコマンドやアドバイス等を表示する機器であり、例えば、CRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置である。尚、プリンタ等の印刷装置等であってもよい。
【0055】
入力部220は、アドバイスを表示するプログラムを起動するコマンド等の各種コマンドやユーザ情報等をユーザ端末200に入力する機器であり、例えば、キーボードやマウス等である。
【0056】
制御部240は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路等を備えて構成され、機能的に、アドバイス表示部211、消費実績表示部212、ユーザ情報入力部221、消費量入力部222、及び、評価入力部223を備え、制御プログラムに従い出力部210、入力部220及び通信部230を当該機能に応じてそれぞれ制御する。
【0057】
アドバイス表示部211は、入力部220からアドバイスの表示指示が入力された場合に、サーバ装置100にアドバイスを選択するよう依頼し、サーバ装置100から受信したアドバイスを出力部210に表示する機能を有する。
【0058】
消費実績表示部212は、入力部220から表示指示が入力された場合に、サーバ装置100の消費実績記憶部1400からデータを取得して、電力の消費量のグラフ等を出力部210に表示する機能を有する。
【0059】
ユーザ情報入力部221は、ユーザに関する情報、例えば、性別、年齢、自宅のエネルギー利用形態、新規家電・システム導入時に重視する価値観等の情報を入力部220から入力する機能を有する。入力されたユーザ情報は、サーバ装置100のユーザ情報記憶部1300に記憶される。
【0060】
消費量入力部222は、電力の消費量の実績を入力部220から入力する機能を有する。実施形態では、ユーザが毎月の消費量を入力するものとする。尚、電力メータ等から自動的に消費量が入力されるものとしてもよい。
【0061】
評価入力部223は、前回表示したアドバイスの実行の有無、各アドバイスに対する評価等を入力部220から入力する機能を有する。
【0062】
ここで、図8に、出力部210のディスプレイに表示される画面例を示す。
【0063】
表示画面2100には、アドバイス表示エリア2110、及び、実行・評価入力エリア2120が表示される。アドバイス表示エリア2110には、今月のアドバイスが表示され、実行・評価入力エリア2120には、先月に表示されたアドバイスと、そのアドバイスの実行の有無及び評価を入力するチェックボックス2121が表示されている。ユーザは、先月に表示されたアドバイスを実行した場合、実行が「手軽である」と評価した場合、実行することが「お勧めである」と評価した場合には、アドバイス毎に設けられた各チェックボックスにチェックを入れる。
【0064】
通信部230は、サーバ装置100とデータの送受信を行う機能を有する。
【0065】
ユーザ端末200における出力部210、入力部220、通信部230、及び、制御部(不図示)は、信号を相互に交換することができるようにバス201でそれぞれ接続されている。
【0066】
また、ユーザ端末200は記憶部(不図示)を備え、この記憶部は、アドバイス表示プログラム等の各種プログラム、および、各種プログラムの実行に必要なデータやその実行中に生じるデータ等の各種データを記憶する装置であり、例えば、制御部240のいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶素子、ROM(Read Only Memory)や書換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子、および、各種プログラムや各種データを格納しておくハードディスク等を備えて構成される。
【0067】
尚、必要に応じてサーバ装置100又はユーザ端末200は、外部記憶部(不図示)をさらに備えてもよい。外部記憶部は、例えば、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc Recordable)、DVD−R(Digital Versatile DiscRecordable)およびブルーレイディスク(Blu-ray Disc、登録商標)等の記録媒体との間でデータを読み込みおよび/または書き込みを行う装置であり、例えば、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、DVD−Rドライブおよびブルーレイディスクドライブ等である。
【0068】
ここで、サーバ装置100にアドバイス選択プログラム及び各種データ等が格納されていない場合や、ユーザ端末200にアドバイス表示プログラム及び各種データ等が格納されていない場合は、プログラム及びデータを記録した記録媒体から前記外部記憶部を介してサーバ装置100の記憶部110又はユーザ端末200の記憶部にインストールされるように、サーバ装置100が構成されてもよい。
【0069】
尚、実施形態では、サーバ装置100でアドバイスを選択することとしているが、ユーザ端末200でその一部又は全部の機能を実行するようにしてもよい。
【0070】
<データ>
以下、省エネアドバイスシステム10で用いる主なデータについて、図3〜図7を用いて説明する。
【0071】
図3は、アドバイス情報1010の構成及び内容の例を示す図である。
【0072】
アドバイス情報1010は、アドバイス情報記憶部1000に1つ記憶されており、全アドバイスが登録されている。実施形態では、104個のアドバイスが登録されている。
【0073】
尚、実施形態では、説明の便宜上、アドバイス情報1010は1つとして説明するが、ユーザをユーザの属性に基づいて複数のグループに分け、グループ毎に内容の異なるアドバイス情報1010を記憶することとしてもよい。その場合は、例えば、ユーザがどのグループに属しているかを示す情報をユーザ毎に記憶しておいて、該当するアドバイス情報からアドバイスを選択することとする。
【0074】
アドバイス情報1010は、アドバイス番号1011、アドバイス文1012、機器ID1013、省エネ量1014、CO2削減量1015、コスト削減量1016、目標実行回数1017、手軽さ度1018、お勧め度1019、季節1020、及び、エリア1021で構成される。
【0075】
アドバイス番号1011は、登録されている複数のアドバイスから個々のアドバイスを特定し区別するための識別子である。実施形態では、1アドバイスを1レコードとして登録している
アドバイス文1012は、アドバイス番号1011で示されるアドバイスの内容を示す文字列を示す。尚、表示時には、適時、文の語尾等は変更して表示するものとする。
【0076】
機器ID1013は、アドバイス番号1011で示されるアドバイスの対象となるエネルギー消費機器を特定するための識別子である。例えば、テレビ、温風ヒーター等の具体的な機器であり、同じ種類の機器であっても、燃費等の性能が異なれば、異なる識別子が振られる。
【0077】
省エネ量1014は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を行った場合の、1年間の省エネルギー量であり、単位はMJ(メガジュール)である。
【0078】
CO2削減量1015は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を行った場合の、1年間のCO2削減量であり、単位はg−Co2(グラムシーオーツー/CO2換算グラム)である。
【0079】
コスト削減量1016は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を行った場合の、1年間のコスト削減量であり、単位は円である。
【0080】
目標実行回数1017は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を、1年間に行うべき回数を示す。この回数は、実行できる上限の回数でもある。
【0081】
手軽さ度1018は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を実行する場合の手間を示す。実施形態では、1〜5までの数値で示すものとし、「5」が最も手間が少ない、すなわち、お手軽であることを示すものとする。
【0082】
お勧め度1019は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を実行する場合の、手間と効果等を勘案したお勧め度を示す。実施形態では、1〜5までの数値で示すものとし、「5」が最もお勧めできることを示すものとする。
【0083】
季節1020は、機器ID1013で示される機器に対して、アドバイス文1012で示される省エネルギー行動を実行することができる季節、言い換えれば、ユーザがその機器を使用している季節を示す。「冬」が設定される。実施形態では、「0」が通年を通して表示可能であることを示し、「1」は夏に表示可能であることを示し、「2」は冬に表示可能であることを示す。また、「3」は春と秋に表示可能であることを示し、「4」は冬以外に表示可能であること示すものとする。例えば、アドバイス番号1011が「5」のアドバイス文1012「暖房時間を減らす」は、暖房器具に対するアドバイスであるので、季節1020として「2」、すなわち「冬」を示す番号が設定されている。
【0084】
エリア1021は、機器ID1013で示される機器が設置されている場所を示す。このエリア単位で、エネルギー消費量を測定しているものとする。実施形態では、浴室及び台所等のいわゆる水回りと、それ以外の2つのエリアに分けて消費電力を測定しているものとする。「0」が水回りのエリアを示し、「1」がそれ以外のエリアを示す。
【0085】
尚、各レコードのアドバイス番号1011〜目標実行回数1017、季節1020、及び、エリア1021として設定されている内容は、予め設定されているものとするが、手軽さ度1018及びお勧め度1019は、適時、サーバ装置100の情報更新部123によって変更がなされるものとする。例えば、多くのユーザが「お勧めである」という評価を行ったアドバイスは、お勧め度1019として設定されている数値を上げるなどである。
【0086】
次に、図4〜図7について説明する。この図4〜図7で説明するデータは、1ユーザについてのデータであり、各記憶部には、全ユーザのデータがユーザ毎に記憶されているものとする。
【0087】
図4は、実行評価履歴情報1110の構成及び内容の例を示す図である。
【0088】
実行評価履歴情報1110は、実行履歴記憶部1100に記憶されており、ユーザによるアドバイスの実行回数等が記憶されている。
【0089】
実行評価履歴情報1110は、アドバイス番号1111、実行回数1112、手軽さ回数1113、及び、お勧め回数1114で構成される。
【0090】
アドバイス番号1111は、複数のアドバイスから個々のアドバイスを特定し区別するための識別子であり、アドバイス情報1010のアドバイス番号1011と同じ識別子が設定されている。例えば、アドバイス番号1111が「1」のレコードには、アドバイス情報1010におけるアドバイス番号1011が「1」のアドバイスに関する情報が設定されている。
【0091】
実行回数1112は、アドバイス番号1111で示すアドバイスを実行した回数を示す。
【0092】
手軽さ回数1113は、アドバイス番号1111で示すアドバイスを、「手軽である」と評価した回数を示す。
【0093】
お勧め回数1114は、アドバイス番号1111で示すアドバイスを、「お勧めである」と評価した回数を示す。
【0094】
この実行回数1112〜お勧め回数1114は、アドバイスの実行の有無及びアドバイスの評価をユーザが入力すると(図8参照)、サーバ装置100の情報更新部123によって更新がなされる。
【0095】
尚、実行評価履歴情報1110の実行回数1112〜お勧め回数1114は、アドバイス情報1010の目標実行回数1017が1年間に行うべき回数が設定されていることから、年に一度クリアされるものとする。
【0096】
図5は、表示履歴情報1210の構成及び内容の例を示す図である。
【0097】
表示履歴情報1210は、表示履歴記憶部1200に記憶されており、全アドバイスの表示回数が記憶されている。
【0098】
表示履歴情報1210は、アドバイス番号1211、及び、表示回数1212で構成される。
【0099】
アドバイス番号1211は、複数のアドバイスから個々のアドバイスを特定し区別するための識別子であり、アドバイス情報1010のアドバイス番号1011と同じ識別子が設定されている。
【0100】
表示回数1212は、アドバイス番号1111で示すアドバイスを表示した回数を示す。
【0101】
この表示回数1212は、アドバイス表示エリア2110にアドバイスが表示されると(図8の参照)、更新がなされる。
【0102】
尚、表示履歴情報1210の表示回数1212は、適時、例えば、1年ごとにクリアされる。
【0103】
図6(a)は、所有機器情報1310の構成及び内容の例を示す図であり、図6(b)は、ユーザの価値観情報1320の構成及び内容の例を示す図である。
【0104】
これらの情報は、ユーザ情報記憶部1300に記憶されているユーザ情報のうちの、アドバイスを選択する場合に関係する情報である。また、これらの情報は、ユーザ端末200のユーザ情報入力部221から、ユーザが入力した情報に基づいて、所定の方法で予め作成されるものとする。このユーザが入力する情報の項目例を図9に示す。
【0105】
図6(a)の所有機器情報1310は、項番1311、機器ID1312、及び、機器名1313で構成される。
【0106】
項番1311は、所有機器情報1310に登録されているレコードの番号である。ユーザが所有する機器毎に、1レコードが所有機器情報1310に登録されている。例えば、ユーザが同じ機器を2台所有している場合は、2レコードが登録される。
【0107】
機器ID1312は、ユーザが所有するエネルギー消費機器を特定するための識別子である。機器ID1312に設定されるIDは、アドバイス情報1010の機器ID1013に設定されている識別子のいずれかである。
【0108】
機器名1313は、機器ID1312で示される機器の名称を示す。
【0109】
尚、所有機器情報1310は、ユーザが機器を買ったり、買い替えたり、処分したりしたときには、ユーザによって、更新がなされることが望ましい。
【0110】
図6(b)の価値観情報1320は、価値項目1321、及び、係数1322で構成される。
【0111】
価値項目1321は、省エネルギーを実行した場合に、生ずる効果の項目を示す。実施形態では、「省エネ量」、「CO2削減量」、「省コスト量」、「手軽さ」及び「お勧め」の5項目とする。
【0112】
係数1322は、ユーザが、価値項目1321で示す項目に対して、どの程度重要視しているか、言い換えれば、どの程度の価値を感じているかを示す度合いである。実施形態では、合計で「1」となるように設定している。
【0113】
この価値観情報1320は、図9で示す項目のうち、例えば、「b.調査項目 9」の「ご家族で重視している価値観を教えてください。」に対する回答や、他の項目を総合的に判断して作成されるものとする。尚、ユーザに、係数1322の値を入力してもらうこととしてもよい。
【0114】
価値観情報1320の係数1322は、ユーザの考える重要度が変わったときには、ユーザによって変更されることが望ましい。
【0115】
図7は、消費実績記憶部1400に記憶されている消費実績データを、グラフで示した例を示す図である。消費実績データは、消費量入力部222を介して取得され、少なくとも、昨年1年間の消費データと、今年の消費データを記憶しているものとする。また、アドバイス情報1010(図3参照)のエリア1021で示されているエリアごとに記憶されているものとする。実施形態では、水回りのエリアとその他のエリアの2つである。
【0116】
消費実績グラフ1410は、縦軸が消費電力を示し、横軸が月を示す。棒グラフが前年の消費実績を示し、折れ線が今年の消費実績を示す。図7では、今年の4月までの実績が出ていることから、5月に表示させたグラフであることになる。
【0117】
<動作>
以下、省エネアドバイスシステム10の動作について、図10、及び、図11を用いて説明する。図10は、アドバイス表示処理を示すフローチャートであり、図11は、図10で示すアドバイス表示処理の一部(ステップS11)の処理であるアドバイス選択処理を示すフローチャートである。
【0118】
<アドバイス選択処理>
まず、図11を用いて、アドバイス選択処理について説明し、後で、図10を用いてアドバイス表示処理を説明する。
【0119】
このアドバイス選択処理は、サーバ装置100のアドバイス選択部121(選択手段)が行う処理である。
【0120】
省エネアドバイスシステム10では、ユーザの価値観やアドバイスの表示履歴等を考慮して各アドバイスを評価し、その評価が高い順に所定数、例えば、10個のアドバイスをユーザに提示する。実施形態では、アドバイス毎に評価点数を算出し、点数が高いほど評価が高いと判断する。
【0121】
用意したアドバイス、すなわち、アドバイス情報1010に登録されているアドバイスはいずれも有用なものであるとの考えられる。従って、省エネアドバイスシステム10では、ユーザの価値観や表示回数等を考慮した場合には評価が高くならないであろうと考えられるアドバイスも、表示できるような方法をとる。具体的には、ランダムにアドバイスを選択して、そのアドバイスの評価を上げることを行う。
【0122】
まず、アドバイス情報1010のアドバイス番号1011が「1」のレコードを参照し(ステップS30:NO)、ユーザの価値観を考慮した評価点pを、以下の(式1)を用いて算出する(ステップS31)。
【0123】
=Σ (式1)
実施形態では、ユーザの価値観を5つの項目で表す。具体的には、ユーザ情報記憶部1300に記憶されている価値観情報1320(図6(b)参照)の、価値項目1321の項目である。すなわち、「省エネ量」、「CO2削減量」、「省コスト量」、「手軽さ」、及び、「お勧め」の5つである。従って、(式1)のiは、1〜5となる。
【0124】
この5つの価値項目は、各アドバイスの属性である、アドバイス情報1010の省エネ量1014、CO2削減量1015、コスト削減量1016、手軽さ度1018、お勧め度1019の5項目と対応する。
【0125】
は、アドバイス情報1010において、アドバイスに設定されているこれら5つの項目の値を正規化した値である。アドバイス情報1010に設定されている値は、その数値の絶対値が各項目間で大きく異なるため、全アドバイスのうちの最大値を1とする正規化を行うものとする。すなわち、aの最大値はすべての項目で1である。
【0126】
は、価値観情報1320の係数1322として設定されている値であり、以下の(式2)を満たす値である。
【0127】
Σ=1 (式2)
次に、何度も同じアドバイスが表示されないように、表示回数に応じて評価点の減点を行う(ステップS32)。具体的には、表示回数を考慮した評価点pを、以下の(式3)を用いて算出する。
【0128】
=knd (式3)
kは減衰定数であり、例えば、k=0.95である。nはアドバイスが表示された回数である。実施形態では、nは、表示履歴情報1210(図5参照)の表示回数1212を参照して求める。例えば、アドバイス番号が「1」のアドバイスの評価点を算出している場合は、アドバイス番号1211として「1」が設定されているレコードに表示回数1212として設定されている値「3」が表示された回数となる。
【0129】
次に、アドバイスを実際に実行した回数に応じて評価点の減点を行う(ステップS33)。
【0130】
各アドバイスには、年間に実行されるべき、又は、実行できる限界の回数が、アドバイス情報1010の目標実行回数1017として設定されている。実際に実行した回数が、目標実行回数に近づく程大きく減点する。何度も実行されているアドバイスは点数を下げ、あまり実行されていないアドバイスが表示される可能性を上げるためである。また、目標実行回数に足したものは、表示しないものとする。具体的には、実行回数を考慮した評価点pを、以下の(式4)を用いて算出する。
【0131】
=(n−n)p/n (式4)
は、アドバイスが実行された回数であり、nは、アドバイスが表示された回数である。nは、実行評価履歴情報1110(図4参照)の実行回数1112を参照して求める。例えば、アドバイス番号が「1」のアドバイスの評価点を算出している場合は、アドバイス番号1111として「1」が設定されているレコードに実行回数1112として設定されている値「1」が実行された回数となる。
【0132】
また、nは、表示履歴情報1210(図5参照)の表示回数1212を参照して求める。例えば、アドバイス番号が「1」のアドバイスの評価点を算出している場合は、アドバイス番号1211として「1」が設定されているレコードに表示回数1212として設定されている値「3」が表示された回数となる。
【0133】
次に、エネルギー消費実績に応じて評価点の減加点を行う(ステップS34)。
【0134】
ユーザのエネルギー消費量が増えた時には、省エネルギー行動の必要性が高いと判断して加点をする。逆に、エネルギー消費量が減った場合には、省エネルギー行動の必要性が低いと判断して減点をする。具体的には、エネルギー消費実績を考慮した評価点pを、以下の(式5)を用いて算出する。
【0135】
=(c/c)p (式5)
は、アドバイスにかかわるエネルギーの昨年の作月の消費量であり、cは、今年の昨月の消費量である。消費量は、消費実績記憶部1400に記憶されている消費実績データを参照して求める。アドバイスにかかわる消費実績とは、アドバイス情報1010において、評価対象のアドバイスのレコードにエリア1021として設定されている番号が示すエリアの消費実績である。
【0136】
尚、実施形態では、エリアごとの消費量に基づいて評価点を変えることとしているが、ガス、灯油などのエネルギーの種類ごとの消費量に応じて評価点の減点、加点を行ってもよい。この場合、アドバイス毎に、アドバイスの対象となる機器のエネルギー源を示すデータ、例えば、電気、ガス等を示すデータを持つ。また、実施形態では、昨年の同月の消費量と比較しているが、ユーザの省エネルギー行動の必要性が判断できればよく、他のもの、例えば、他のユーザの消費量、先月の消費量、基準値などと比較することとしてもよい。
【0137】
次に、機器所有状況に応じて評価点の修正を行う(ステップS35)。
【0138】
ユーザが所有していない機器に対するアドバイスを表示しても意味がないため、評価を無効とし、そのアドバイスの点数を「0」とする。具体的には、ユーザの機器所有状況を考慮した評価点pを、以下の(式6)を用いて算出する。
【0139】
機器を所有している場合 :p=p
機器を所有していない場合:p=0 (式6)
アドバイスの対象となる機器を、ユーザが所有しているか否かは、ユーザ情報記憶部1300に記憶されている所有機器情報1310(図6(a)参照)を参照して判断する。
【0140】
例えば、アドバイス番号が「1」のアドバイスの評価点を算出している場合、アドバイス情報1010において、アドバイス番号1011として「1」が設定されているレコードに機器ID1013として設定されている機器の識別番号「35」を読み出す。そして、読み出した機器の識別番号「35」が機器ID1312として設定されているレコードが、所有機器情報1310に登録されている場合は、ユーザが「機器を所有している」と判断する。また、レコードが登録されていない場合は、ユーザが「機器を所有していない」と判断する。
【0141】
次に、季節に応じて評価点の修正を行う(ステップS36)。
【0142】
アドバイスが示す行動の対象となる機器を使用していない季節に、その機器に対するアドバイスを表示しても意味がないため、そのアドバイスの点数を「0」とする。具体的には、季節考慮した評価点pを、以下の(式7)を用いて算出する。
【0143】
季節外れでない場合 :p=p
季節外れである場合 :p=0 (式7)
アドバイス選択部121は、季節判定部122に季節の判定を依頼し、季節判定部122からアドバイスを表示するとき、すなわち、今の季節が「春」、「夏」、「秋」、「冬」のいずれかであるのかを取得する。そして、アドバイス情報1010の季節1020を参照して、季節外れか否かを判断する。
【0144】
例えば、アドバイス番号が「4」のアドバイスの評価点を算出している場合、アドバイス情報1010において、アドバイス番号1011として「4」が設定されているレコードに季節1020として設定されている値「1」を読み出す。「1」は夏に表示可能であることを示すので、季節判定部122から「春」、「秋」、「冬」のいずれかを取得した場合は、「季節外れである」と判断する。
【0145】
アドバイス選択部121は、算出した評価点pを、評価したアドバイス番号と対応付けて記憶する。
【0146】
アドバイス選択部121は、ステップS31〜ステップ36の処理を、アドバイス情報1010に登録されているすべてのアドバイス、すなわち、アドバイス番号1011が「104」のレコードまで行うと(ステップS30:YES)、無作為にアドバイスを1つ選択して、そのアドバイスの評価点に加点を行う(ステップS37)。具体的には、以下の(式8)を用いて評価点pを算出する。
【0147】
=p+{0、1、2、3、4、5} (式8)
アドバイス選択部121は、記憶しておいた評価点Pが「0」ではない、すなわち、評価が無効ではないアドバイスから、無作為に1つのアドバイスを選択し、一定の確率で加点する。確率値は、例えば、4分の1である。また、加点幅も、無作為に0から5までの整数とする。
【0148】
無作為に選んだアドバイスに加点を行ったアドバイス選択部121は、評価点pの降順にアドバイスを並び替え、上位s番目までのアドバイスを、表示するアドバイスとして選択する。例えば、s=10、すなわち、10個のアドバイスを選択する(ステップS38)。
【0149】
このように、省エネアドバイスシステム10は、ユーザに適したアドバイスであって、バラエティに富むアドバイスを選択して表示することができる。
【0150】
<アドバイス表示処理>
図10は、省エネアドバイスシステム10のアドバイス表示処理を説明するためのフローチャートである。点線矢印は、データの送信を示す。
【0151】
まず、ユーザは入力部220を操作して省エネアドバイスの表示指示を行う。
【0152】
入力部220に入力された省エネアドバイスの表示指示を検出したアドバイス表示部211は、アドバイスの選択指示を通信部230を介してサーバ装置100に送信する(ステップS20)。
【0153】
サーバ装置100の演算制御部120は、通信部130を介してアドバイスの選択指示を待ち(ステップS10:NO)、選択指示を受信すると(ステップS10:YES)、アドバイス選択部121にアドバイスの選択を依頼する。
【0154】
依頼を受けたアドバイス選択部121は、アドバイス情報記憶部1000等から必要なデータを読み出して、図11を用いて上述したようにアドバイスを選択する(ステップS11)。アドバイスを選択したアドバイス選択部121は、選択したアドバイスのアドバイス番号を、最新(今月)のアドバイスとして表示履歴記憶部1200に記憶させる。
【0155】
アドバイスを選択したアドバイス選択部121は、選択したアドバイスを表示する為のデータを生成し、通信部130を介してユーザ端末200に送信する(ステップS12)。
【0156】
ユーザ端末200のアドバイス表示部211(提示手段)は、サーバ装置100からアドバイスを表示する為のデータを受信すると、出力部210に表示画面2100を表示し、アドバイス表示エリア2110に受信したアドバイスを表示する(ステップS21、図8参照)。
【0157】
一方、サーバ装置100において、選択したアドバイスを表示する為のデータをユーザ端末200に送信したアドバイス選択部121は、選択したアドバイスのアドバイス番号を、情報更新部123に渡して、表示履歴の記録を依頼する。
【0158】
依頼を受けた情報更新部123(更新手段)は、表示履歴記憶部1200(提示履歴記憶手段)に記憶されている表示履歴情報1210に設定されているデータの更新を行う(ステップS13)。具体的には、アドバイス選択部121から受け取ったアドバイス番号が、アドバイス番号1211として設定されているレコードの、表示回数1212として設定されている数値に1を加算する。
【0159】
次に、アドバイス選択部121は、前回(先月)選択してユーザ端末200に送信したアドバイスを表示履歴記憶部1200から読み出して、前回のアドバイスを表示する為のデータを生成し、ユーザ端末200に送信する(ステップS14)。
【0160】
ユーザ端末200の評価入力部223(実行結果取得手段、評価取得手段)は、サーバ装置100から前回のアドバイスを表示する為のデータを受信し、出力部210に表示されている表示画面2100の実行・評価入力エリア2120に、チェックボックス2121とともに受信したアドバイスを表示する(ステップS22、図8参照)。
【0161】
出力部210に表示された表示画面2100を見たユーザは、アドバイスの実行の有無及び評価を入力する(ステップS23)。すなわち、該当するチェックボックス2121にチェックを入れる。
【0162】
例えば、前回表示されたアドバイスに従ってユーザがパソコンの使用時間を減らした場合は、「パソコンの時間を減らしましたか?」というアドバイスの「実行」チェックボックスにチェックを入れる。また、パソコンの使用時間を減らすという行動が、お勧めの省エネルギー行動であると考えた場合には、「お勧め」チェックボックスにチェックを入れる。
【0163】
アドバイスの実行の有無及び評価を入力したユーザは、評価の入力が終了した旨の操作を行う、例えば、確定キー(不図示)を押下する。
【0164】
終了操作がなされたことを検出した評価入力部223は、チェックボックスのチェックの有無をサーバ装置100に送信する。具体的には、例えば、「「パソコンの時間を減らす」というアドバイスの「実行」及び「お勧め」のチェックボックスにチェックが入った」ことを示す評価データを送信する。
【0165】
評価データを受信した情報更新部123(属性変更手段)は、受信した評価データに基づいて、実行評価履歴情報1110を更新する(ステップS16)。
【0166】
具体的には、表示履歴記憶部1200に記憶されている前回選択したアドバイスのデータと、受信した評価データとから、チェックボックスにチェックが入ったアドバイスのアドバイス番号を取得する。
【0167】
「実行」チェックボックスにチェックが入っている場合、情報更新部123は、実行評価履歴情報1110(図4参照)において、取得したアドバイス番号がアドバイス番号1111として設定されているレコードの実行回数1112として設定されている値に1を加算する。また、「手軽さ」チェックボックスにチェックが入っている場合、情報更新部123は、そのレコードの手軽さ回数1113として設定されている値に1を加算し、「お勧め」チェックボックスにチェックが入っている場合、そのレコードのお勧め回数1114として設定されている値に1を加算する。
【0168】
次に、情報更新部123は、修正時期が来た場合、例えば、前回の修正時から半年経過したことをタイマから検出すると(ステップS17)、全ユーザの実行評価履歴情報1110を参照して、アドバイス情報1010の手軽さ度1018及びお勧め度1019を修正する(ステップS18)。
【0169】
具体的には、例えば、全ユーザの実行評価履歴情報1110の手軽さ回数1113又はお勧め回数1114に設定されている値を、アドバイス毎に合計する。その合計が予め決められている閾値より大きいアドバイスについては、手軽さ度1018として設定されている値に、例えば0.1加算し、その合計が閾値よりも小さい場合は、例えば0.1減算するなどである。
【0170】
すなわち、他のユーザの評価が、次に表示されるアドバイスを選択する際に反映されることとなり、よりユーザに適したアドバイスであって、省エネルギー行動を継続しやすいと思われるアドバイスが表示されることになる。
【0171】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0172】
10 省エネアドバイスシステム
11 ネットワーク
100 サーバ装置
110 記憶部
120 演算制御部
130 230 通信部
200 ユーザ端末
210 出力部
211 アドバイス表示部
212 消費実績表示部
220 入力部
221 ユーザ情報入力部
222 消費量入力部
223 評価入力部
240 制御部
1000 アドバイス情報記憶部
1010 アドバイス情報
1100 実行履歴記憶部
1110 実行評価履歴情報
1200 表示履歴記憶部
1210 表示履歴情報
1300 ユーザ情報記憶部
1310 所有機器情報
1320 価値観情報
1400 消費実績記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
省エネに関する複数のアドバイスを記憶しているアドバイス記憶手段と、
ユーザに関するユーザ情報を記憶しているユーザ情報記憶手段と、
アドバイスを提示した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している提示履歴記憶手段と、
前記複数のアドバイスからアドバイスを選択する選択手段であって、前記ユーザ情報に基づいて予め求められた各アドバイスの評価を、前記提示履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択されたアドバイスをユーザに提示する提示手段と、
前記提示手段で提示されたアドバイスと対応付けて提示履歴記憶手段に記憶されている回数を更新する更新手段と
を備えることを特徴とする省エネアドバイスシステム。
【請求項2】
アドバイスを実行した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している実行履歴記憶手段と、
提示されたアドバイスを実行したことをユーザから取得する実行結果取得手段とを備え、
前記更新手段は、前記実行結果取得手段で取得された実行したアドバイスと対応付けて実行履歴記憶手段に記憶されている回数を更新し、
前記選択手段は、各アドバイスの評価を、前記実行履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正する
ことを特徴とする請求項1に記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項3】
ユーザが所定期間に消費したエネルギー量を、所定期間と対応付けて記憶している消費実績記憶手段を備え、
前記選択手段は、直近の所定期間に対応付けられているエネルギー量が、過去の所定期間に対応付けられているエネルギー量より大きい場合は評価を上げ、小さい場合は評価を下げる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項4】
ユーザが所有しているエネルギー消費機器を記憶している所有機器記憶手段を備え、
前記選択手段は、アドバイスを実行する対象である機器が、前記所有機器記憶手段に記憶されていない場合は、当該アドバイスの評価を無効とする
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項5】
現在の季節を判定する季節判定手段を備え、
前記選択手段は、アドバイスの実行対象である機器をユーザが使用する季節が、判定された季節ではない場合は、当該アドバイスの評価を無効とする
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項6】
前記選択手段は、評価が無効でないアドバイスのうちから、無作為にアドバイスを選択し、選択されたアドバイスの評価を上げる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項7】
前記アドバイス記憶手段は、アドバイスと対応付けてアドバイスの属性の値を記憶し、
前記ユーザ情報記憶手段は、ユーザが有する前記属性に対する価値観の度合いを記憶しており、
前記省エネアドバイスシステムは、更に、アドバイスに対する評価をユーザから取得する評価取得手段と、
前記取得した評価に基づいてアドバイスの属性の値を変更する属性変更手段とを備え、
前記選択手段は、アドバイス記憶手段に記憶されているアドバイスの属性の値と、前記ユーザ情報記憶手段に記憶されている属性に対する価値観の度合いとに基づいて、各アドバイスの評価を求める
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項8】
前記属性変更手段は、他のユーザから取得したアドバイスに対する評価に基づいて、アドバイスの属性の値を変更する
ことを特徴とする請求項7に記載の省エネアドバイスシステム。
【請求項9】
省エネに関する複数のアドバイスを記憶しているアドバイス記憶手段と、
ユーザに関するユーザ情報を記憶しているユーザ情報記憶手段と、
アドバイスを提示した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している提示履歴記憶手段とを有する省エネアドバイスシステムで用いられる省エネアドバイス方法であって、
前記複数のアドバイスからアドバイスを選択する選択ステップであって、前記ユーザ情報に基づいて予め求められた各アドバイスの評価を、前記提示履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択されたアドバイスをユーザに提示する提示ステップと、
前記提示ステップで提示したアドバイスと対応付けて提示履歴記憶手段に記憶されている回数を更新する更新ステップと
を備えることを特徴とする省エネアドバイス方法。
【請求項10】
コンピュータに実行させるための省エネアドバイスプログラムであって、
省エネに関する複数のアドバイスを記憶しているアドバイス記憶手段と、
ユーザに関するユーザ情報を記憶しているユーザ情報記憶手段と、
アドバイスを提示した回数を、各アドバイスと対応付けて記憶している提示履歴記憶手段と、
前記複数のアドバイスからアドバイスを選択する選択手段であって、前記ユーザ情報に基づいて予め求められた各アドバイスの評価を、前記提示履歴記憶手段に記憶されている回数に応じて修正し、修正後の評価が高いアドバイスを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択されたアドバイスをユーザに提示する提示手段と、
前記提示手段で提示したアドバイスと対応付けて提示履歴記憶手段に記憶されている回数を更新する更新手段
してコンピュータを機能させることを特徴とする省エネアドバイスプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−185608(P2012−185608A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47319(P2011−47319)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)