説明

省エネルギー支援装置、省エネルギー支援方法および省エネルギー支援プログラム

【課題】ユーザの行動パターンが通常日と異なる例外日を精度良く判別し、該例外日の消費電力量を演算対象から除外することが可能な省エネルギー支援装置を提供する。
【解決手段】任意日と該任意日前日との単位時間ごとに測定した消費電力量を時間帯別消費電力量合算部31であらかじめ定めた時間帯ごとに区分けして、任意日と該任意日前日との時間帯別合算消費電力量としてそれぞれ合算し、時間帯別差分消費電力量比演算部32で任意日と該任意日前日との時間帯別合算消費電力量の差分の任意日の時間帯別合算消費電力量に対する割合を時間帯別差分消費電力量比として算出し、季節別例外日識別部33で該時間帯別差分消費電力量比を消費電力量の測定日時が属する季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較し、時間帯ごとの該時間帯別差分消費電力量比のいずれか1つでも該閾値以上であった場合、当該任意日は演算対象から除外すべき例外日と判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネルギー支援装置、省エネルギー支援方法および省エネルギー支援プログラムに関し、特に、通常日とは異なる例外日を、消費電力量の変動に基づいて識別して、省エネルギーの支援用としてユーザの電力使用傾向を求める際の消費電力量の演算対象から除外する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー化特に省電力化を促進しようとする機運が益々旺盛になってきている。これに伴い、省電力化を支援するための仕組みも各種提案されるようになっている。例えば、特許文献1の特開2010−176373号公報「省エネルギー支援システムおよび省エネルギー支援プログラム」においては、ユーザ(電力需要者)の省エネルギー特に省電力対策への意欲を維持させ、省エネルギー行動を継続的に実施させるために、ユーザが使用する各種負荷機器の消費電力量の定期的な測定結果に基づいて、消費電力量の削減が見込まれる負荷機器を特定して、当該負荷機器の消費電力量削減に対応する省エネルギー行動案を当該ユーザの端末に対して定期的に表示する仕組みを提案している。
【0003】
前記特許文献1においては、より具体的には、次のような仕組みを提案している。まず、ユーザが使用する各種負荷機器のタイプを、電子レンジやドライヤのように、使用時に一時的にあらかじめ定めたピーク電力閾値以上の大きな消費電力(以下、「ピーク電力」と称す)になる第1機器、テレビの待機電源やルータ装置や暖房便座のように、ユーザの生活行動に関係することなく常時電力(以下、「ベース電力」と称す)を消費する第2機器、照明やエアコンのように、ユーザの生活に応じて、前記ピーク電力閾値よりも少ないものの、それぞれ使用している間継続して電力(以下、「常用電力」と称す)を消費することになる第3機器、の3つのタイプに分類してあらかじめ登録しておくとともに、負荷機器全体の消費電力量を分電盤等に配置した電力測定器によりあらかじめ定めた単位時間(例えば1分間隔)ごとに定期的に測定して蓄積していく。
【0004】
しかる後、あらかじめ定めた所定期間(例えば1週間)に亘る負荷機器全体の消費電力量の定期的な測定結果に基づいて、負荷機器全体の消費電力量について単位時間ごとに各日の同一時刻の平均値を算出して、該平均値が大きい順に並べた負荷持続曲線を作成することにより、ユーザの電力使用傾向を示す消費電力パターンを判別する。つまり、作成した負荷持続曲線上における「ピーク電力」、「ベース電力」、「常用電力」それぞれの全体消費電力量に対する比率を求めることによって、ユーザの消費電力パターンが、「ピーク電力量過大型」、「ベース電力量過大型」、「常用電力量過大型」のいずれかを判別する。
【0005】
判別したユーザの消費電力パターンに基づいて、前記第1機器、前記第2機器、前記第3機器の中から消費電力量が過多になっている負荷機器を特定して、あらかじめ用意している省エネルギー行動案を、ユーザに提示する。このとき、ユーザから当該省エネルギー行動案を実行可能か否かの回答を得ることにより、実行可能との回答が得られたものについては、さらに具体的な省エネルギー行動用のアドバイス情報を提供する。しかる後、消費電力量の定期的な測定結果に基づいて、省エネルギー行動の実施状況のフォローを行う。
【0006】
かくのごとき省エネルギー支援動作を定期的に行うことによって、ユーザに省エネルギー行動の困難さを感じさせることを防ぎ、ユーザの省エネルギー対策への意欲を継続させることを可能にする仕組みを提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−176373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、省エネルギー支援用としてユーザの電力使用傾向を求める際の演算対象とする消費電力量については、旅行や出張などで不在になる等、ユーザの生活スタイルが大きく変動して、当該ユーザの消費電力量の傾向に大きな影響を与えるイベントが生じた場合、その影響により消費電力量の演算結果に大きな誤差が含まれることを防ぐために、ユーザが通常時とは異なる生活行動を行っていると想定される日を、例外日として、演算対象の消費電力量からは除外して評価することが望ましい。
【0009】
例えば、前記特許文献1に提案されている仕組みにおいては、負荷持続曲線上における「ピーク電力」、「ベース電力」、「常用電力」により、前記第1機器、前記第2機器、前記第3機器の中から消費電力量が過多になっている負荷機器を検出しようとする際に、ユーザの生活行動パターンが旅行期間中などの通常とは異なる生活をした日(以下、「例外日」と称す)の消費電力量を除外して演算することが重要である。つまり、負荷持続曲線を作成する際に、「例外日」を除外して通常の生活をしていた日のみにおける消費電力量に基づいて、負荷持続曲線を作成することが重要である。また、例外日か否かを消費電力量の異常値に基づいて判別しようとする際に、通常の生活行動パターンを行っている日であっても、消費電力量が季節や時間帯によって大きく変動してしまうため、例外日か否かを正確に判別するためには、例外日識別用に用いる閾値についても十分な配慮が必要である。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ユーザの生活行動パターンが通常とは異なる例外日を精度良く判別し、該例外日の消費電力量を省エネルギー用の演算対象から除外することを可能とする省エネルギー支援装置、省エネルギー支援方法および省エネルギー支援プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。
【0012】
第1の技術手段は、ユーザが使用する負荷機器の消費電力量をあらかじめ定めた時間間隔で定期的に測定して蓄積し、あらかじめ定めた所定期間が経過する都度、蓄積した前記消費電力量の演算結果に基づいて、ユーザの電力使用傾向を分析することにより、消費電力量の削減が見込まれる負荷機器を特定し、当該負荷機器の消費電力量削減に対応する省エネルギー行動案をユーザに提供する仕組みを有する省エネルギー支援装置であって、蓄積した前記消費電力量のうち、適宜選択した任意日の消費電力量と該任意日の前日の消費電力量とを、それぞれの測定日時に基づいてあらかじめ設定した時間帯ごとに区分けして、区分けしたそれぞれの時間帯ごとに、該当する消費電力量を合算して、前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量として求める時間帯別消費電力量合算部と、該時間帯別消費電力量合算部において求められた前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量との差分の前記任意日の時間帯別合算消費電力量に対する割合を、それぞれの時間帯別に、時間帯別差分消費電力量比として算出する時間帯別差分消費電力量比演算部と、該時間帯別差分消費電力量比演算部において求めたそれぞれの時間帯別の前記時間帯別差分消費電力量比を、消費電力量の測定日時が属する季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較した結果、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記閾値よりも少ない場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象として用いるべき通常の日であると判別し、一方、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれか1つでも、前記閾値以上であった場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象から除外すべき例外日であると判別する季節別例外日識別部と、を少なくとも備えて構成されていることを特徴とする。
【0013】
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載の省エネルギー支援装置において、前記季節別例外日識別部にて例外日か否かを判別するために用いる前記閾値は、任意にあらかじめ定義した夏季、冬季、および、春または秋に該当する中間期の3つに分けて、それぞれの季節ごとに適宜定めることを特徴とする。
【0014】
第3の技術手段は、ユーザが使用する負荷機器の消費電力量をあらかじめ定めた時間間隔で定期的に測定して蓄積し、あらかじめ定めた所定期間が経過する都度、蓄積した前記消費電力量の演算結果に基づいて、ユーザの電力使用傾向を分析することにより、消費電力量の削減が見込まれる負荷機器を特定し、当該負荷機器の消費電力量削減に対応する省エネルギー行動案をユーザに提供する仕組みを有する省エネルギー支援方法であって、蓄積した前記消費電力量のうち、適宜選択した任意日の消費電力量と該任意日の前日の消費電力量とを、それぞれの測定日時に基づいてあらかじめ設定した時間帯ごとに区分けして、区分けしたそれぞれの時間帯ごとに、該当する消費電力量を合算して、前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量として求める時間帯別消費電力量合算ステップと、該時間帯別消費電力量合算ステップにおいて求められた前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量との差分の前記任意日の時間帯別合算消費電力量に対する割合を、それぞれの時間帯別に、時間帯別差分消費電力量比として算出する時間帯別差分消費電力量比演算ステップと、該時間帯別差分消費電力量比演算ステップにおいて求めたそれぞれの時間帯別の前記時間帯別差分消費電力量比を、消費電力量の測定日時が属する季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較した結果、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記閾値よりも少ない場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象として用いるべき通常の日であると判別し、一方、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれか1つでも、前記閾値以上であった場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象から除外すべき例外日であると判別する季節別例外日識別ステップと、を少なくとも有していることを特徴とする。
【0015】
第4の技術手段は、前記第3の技術手段に記載の省エネルギー支援方法において、前記季節別例外日識別ステップにて例外日か否かを判別するために用いる前記閾値は、任意にあらかじめ定義した夏季、冬季、および、春または秋に該当する中間期の3つに分けて、それぞれの季節ごとに適宜定めることを特徴とする。
【0016】
第5の技術手段は、前記第4の技術手段請求項4に記載の省エネルギー支援方法において、夏季および中間期用の前記閾値を0.1以上0.2以下の範囲内の任意の値とし、冬季用の前記閾値を0.1とすることを特徴とする。
【0017】
第6の技術手段は、前記第3ないし第5の技術手段のいずれかに記載の省エネルギー支援方法において、深夜、朝、午前、午後、夕方、夜の6つの時間帯をユーザごとに任意にあらかじめ定義し、前記季節別例外日識別ステップにて例外日か否かを判別するために用いる前記時間帯別差分消費電力量比の時間帯として、季節ごとに、ユーザごとに任意にあらかじめ定義した前記6つの時間帯のうち、いずれか1ないし複数の時間帯を選択することを特徴とする。
【0018】
第7の技術手段は、前記第6の技術手段に記載の省エネルギー支援方法において、前記季節別例外日識別ステップにて例外日か否かを判別するために用いる前記時間帯別差分消費電力量比の時間帯を、ユーザごとに任意にあらかじめ定義した前記6つの時間帯のうち、季節が夏季および中間期の場合、深夜、午前、午後、夜の4つの時間帯とし、季節が冬季の場合、深夜、午後、夕方、夜の4つの時間帯とすることを特徴とする。
【0019】
第8の技術手段は、前記第3ないし第7の技術手段のいずれかに記載の省エネルギー支援方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施している省エネルギー支援プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の省エネルギー支援装置、省エネルギー支援方法および省エネルギー支援プログラムによれば、以下のごとき効果を奏することができる。
【0021】
第1に、例外日か否かを判別するために用いる閾値を季節ごとに適切な値に変えているので、季節ごとにそれぞれにおける例外日を適切に識別することが可能となる。なお、該閾値は、サンプル数として十分な人数(例えば20人)のユーザのモニタによる実証実験結果に基づいて、適切と判断した根拠のある値を用いることが望ましい。
【0022】
第2に、1日の消費電力量としては、一般に、消費電力量が大きく異なる時間帯と消費電力量があまり異ならない時間帯とが存在するが、例外日か否かを判別する際には、ユーザが例外的な行動を行ったときには消費電力量が大きく異なる時間帯のみを比較対象とすることも可能にしているので、1日全体の消費電力量を比較する場合に比して、より少ない演算量で、例外日の検出精度を落とすことなく、正確に例外日を識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る省エネルギー支援装置のブロック構成の一例を示す装置構成図である。
【図2】図1の消費電力量登録テーブルの登録例を示すテーブルである。
【図3】図1の季節・時間帯登録テーブルの登録例を示すテーブルである。
【図4】図1の省エネルギー支援装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る省エネルギー支援装置、省エネルギー支援方法および省エネルギー支援プログラムの好適な実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、本発明による省エネルギー支援装置および省エネルギー支援方法について説明するが、かかる省エネルギー支援方法をコンピュータにより実行可能な省エネルギー支援プログラムとして実施するようにしても良いし、さらに、かかる省エネルギー支援プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0025】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。一般に、各ユーザが通常の行動を行っている日の消費電力量の計算結果に基づいて省電力用の行動を支援するためのアドバイスを提供することを可能にするために、消費電力量に大きな影響を及ぼすことになるユーザの生活行動パターンが通常の日とは異なる例外的な行動となっているか否かを判別し、例外的な行動になっている日を例外日として、消費電力量の計算から除外することが重要であるが、本発明は、ユーザの生活行動パターンがかくごとく通常の日の生活行動パターンとは異なる行動になっている例外日を正確に判別することを可能にすることを、主要な特徴としている。
【0026】
より具体的には、ユーザの或る任意日の消費電力量を該任意日の前日の消費電力量と比較して、乖離があらかじめ定めた値以上に大きかった場合には、当該任意日を例外日として特定するものであり、ユーザの或る任意日の時間帯ごとの消費電力量の、前日の同一時間帯ごとの消費電力量からの変化の割合を、季節ごとに適切な値としてあらかじめ定めた閾値と比較した結果に基づいて、該閾値以上の大きな変化が発生していた日を例外日として判別することを、主要な特徴としている。
【0027】
すなわち、任意日当日が、例えば出張や旅行で留守にして電力を殆ど消費していなかったり、あるいは、ホームパーティ等を挙行して昼夜に亘って電力を大幅に消費していたりする等、ユーザの例外的な生活行動パターンによって、大幅な電力使用量の変動が生じている例外日か否かを判別しようとしても、通常の日における消費電力量の変動について、1日の時間帯(深夜、朝、午前、午後、夕方、夜)のみならず、季節(夏季、中間期(春、秋)、冬季、等)によっても発生することを考慮することが必要である。
【0028】
したがって、本発明においては、例外日か否かを識別する際に、季節に応じて、例外日識別用に、それぞれで異なる閾値を用いて、例外日を正確に判別することを可能にするとともに、任意日の消費電力量の変動を把握するために、該任意日の前日の同一時間帯の消費電力量と比較しようとする時間帯についても、ユーザごとに適宜定義した時間帯を適用することによって、例外日をより正確に判別することを可能にし、さらには、1日を複数に区分けした時間帯のうち、例外日を識別し易い時間帯として季節に応じて異なる時間帯を1ないし複数選択して、選択した1ないし複数の時間帯を対象にして、任意日の消費電力量の変動を把握することも可能にすることによって、例外日の検出精度を落とすことなく、演算量を削減して、例外日をより迅速に判別することも可能にしている。
【0029】
(実施形態の構成例)
次に、本発明に係る省エネルギー支援装置の構成例について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る省エネルギー支援装置のブロック構成の一例を示す装置構成図であり、消費電力量に関する省エネルギー支援を行う際に、通常の日とは異なる行動が行われた例外日の消費電力量を省エネルギー用の消費電力量の演算対象から除去するために、当該例外日を識別することに関連がある部位のみを中心に抽出して示している。
【0030】
図1に示す省エネルギー支援装置100は、消費電力量管理部10、季節・時間帯管理部20、例外日演算部30、省エネルギー行動管理部40を少なくとも備えている。消費電力量管理部10は、ユーザの消費電力量を登録管理する。季節・時間帯管理部20は、あらかじめ任意に定義した季節や時間帯を登録管理する。例外日演算部30は、ユーザの電力使用傾向を把握するための演算対象の消費電力量の測定日の中から除外すべき例外日を特定する。省エネルギー行動管理部40は、省エネルギー支援用の行動をユーザに促す。
【0031】
消費電力量管理部10は、消費電力測定部11、消費電力登録部12、消費電力抽出部13、消費電力量登録テーブル14を少なくとも備えている。消費電力測定部11は、ユーザの消費電力量をあらかじめ定めた時間間隔(例えば1分間隔)で定期的に測定する。消費電力登録部12は、消費電力測定部11によって定期的に測定した消費電力量を消費電力量登録テーブル14に順次登録する。消費電力抽出部13は、消費電力量登録テーブル14から指定した任意の日時の消費電力量を抽出する。
【0032】
消費電力量登録テーブル14の登録例を図2に示している。消費電力量登録テーブル14は、ユーザ(電力需要者)の住居ごとの分電盤等に設置された電力測定器によって各住居全体の消費電力量を、あらかじめ定めた時間間隔で定期的に測定して、測定日時とともに、登録するテーブルであり、図2に示す登録例では、2010年8月13日の14時08分から1分ごとに或るユーザの住居全体の消費電力量を逐次登録している例を示している。
【0033】
季節・時間帯管理部20は、季節・時間帯登録部21、季節判別部22、時間帯判別部23、季節・時間帯登録テーブル24を少なくとも備えている。季節・時間帯登録部21は、季節・時間帯登録テーブル24に季節および時間帯をユーザごとに適宜定義してあらかじめ登録する。季節判別部22は、季節・時間帯登録テーブル24に登録された季節情報に基づいて、消費電力抽出部13によって消費電力量登録テーブル14から抽出された消費電力量の測定日時がどの季節であるかを判別する。時間帯判別部23は、季節・時間帯登録テーブル24に登録された時間帯情報に基づいて、消費電力抽出部13によって消費電力量登録テーブル14から抽出された消費電力量の測定日時がどの時間帯であるかを判別する。
【0034】
季節・時間帯登録テーブル24の登録例を図3に示している。図3(A)の季節登録テーブル24aは、季節の定義を登録しており、消費電力量を測定した日付が7月、8月、9月であれば、「夏季」であり、消費電力量を測定した日付が12月、1月、2月であれば、「冬季」であり、消費電力量を測定した日付が、それらの月以外の3月、4月、5月、6月、10月、11月であれば、「中間期(春・秋)」である旨が定義されている例を示している。なお、季節の定義は、ユーザ(電力需要者)が居住する環境に応じて、それぞれで異なる定義を設定登録することが可能である。
【0035】
また、図3(B)の時間帯登録テーブル24bは、6つの時間帯の定義を登録しており、消費電力量を測定した時刻が、就寝時刻〜起床時刻の間の時刻であれば、「深夜」の時間帯であり、消費電力量を測定した時刻が、起床時刻〜朝食終了時刻の間の時刻であれば、「朝」の時間帯であり、消費電力量を測定した時刻が、朝食終了時刻〜昼食終了時刻の間の時刻であれば、「午前」の時間帯であり、消費電力量を測定した時刻が、昼食終了時刻〜午後5時の間の時刻であれば、「午後」の時間帯であり、消費電力量を測定した時刻が、午後5時〜夕食終了時刻の間の時刻であれば、「夕方」の時間帯であり、消費電力量を測定した時刻が、夕食終了時刻〜就寝時刻の間の時刻であれば、「夜」の時間帯である旨が定義されている例を示している。なお、各時間帯の具体的な開始時刻、終了時刻は、ユーザ(電力需要者)の通常の行動パターンに応じて、ユーザそれぞれで定義して設定登録することが可能である。
【0036】
例外日演算部30は、時間帯別消費電力量合算部31、時間帯別差分消費電力量比演算部32、季節別例外日識別部33、を少なくとも備えている。時間帯別消費電力量合算部31は、消費電力抽出部13によって消費電力量登録テーブル14から抽出された任意日および該任意日の前日それぞれの(1日分)の消費電力量を時間帯別に合算する。すなわち、消費電力量登録テーブル14に蓄積した消費電力量のうち、適宜選択した任意日の消費電力量と該任意日の前日の消費電力量とを、それぞれの測定日時に基づいてあらかじめ設定した時間帯ごとに区分けして、区分けしたそれぞれの時間帯ごとに、該当する消費電力量を合算して、当該任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量として求める。
【0037】
時間帯別差分消費電力量比演算部32は、時間帯別消費電力量合算部31によって時間帯別に合算された消費電力量の前日の同一時間帯別の消費電力量との差分の比率を演算する。すなわち、時間帯別消費電力量合算部31において求めた任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量との差分の任意日の時間帯別合算消費電力量に対する割合を、それぞれの時間帯別に、時間帯別差分消費電力量比として算出する。
【0038】
季節別例外日識別部33は、時間帯別差分消費電力量比演算部32によって演算された前日との時間帯別の差分消費電力量を季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較することによって、例外日か否かを識別する。すなわち、時間帯別差分消費電力量比演算部32において求めたそれぞれの時間帯別の時間帯別差分消費電力量比を、消費電力量の測定日時が属する季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較した結果、時間帯ごとの時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記閾値よりも少ない場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象として用いるべき通常の日であると判別し、一方、時間帯ごとの時間帯別差分消費電力量比のいずれか1つでも、前記閾値以上であった場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象から除外すべき例外日であると判別する。
【0039】
さらに詳細に説明すると、次の通りである。時間帯別消費電力量合算部31においては、消費電力量登録テーブル14から抽出された任意日および該任意日の前日の消費電力量のそれぞれの測定日時を、時間帯判別部23の判別結果に基づいて、図3(B)に示した6つの時間帯別に分けて、それぞれの時間帯ごとに、該当する消費電力量を合算して時間帯別合算消費電力量として求めることになる。
【0040】
また、時間帯別差分消費電力量比演算部32においては、時間帯別消費電力量合算部31において任意日の時間帯別に求めた時間帯別合算消費電力量それぞれと、当該任意日の前日における同一時間帯における時間帯別合算消費電力量それぞれとの差分の比率を、時間帯別差分消費電力量比として、次の式(1)によって算出することになる。
【0041】
【数1】

また、季節別例外日識別部33においては、時間帯別差分消費電力量比演算部32において求めた時間帯別の時間帯別差分消費電力量比に関する任意日の日付を季節判別部22によって判別した結果に基づいて、図3(A)に示した3つの季節(夏季、冬季、中間期)に分類して、それぞれの季節ごとにあらかじめ定めた閾値と、時間帯別差分消費電力量比演算部32において求めた時間帯別差分消費電力量比とを比較することによって、当該任意日が、通常の日とは異なるユーザ行動になっている例外日に該当しているか否かを識別することになる。
【0042】
季節別例外日識別部33において、例外日であると識別された任意日の消費電力量は、省エネルギー支援装置100としてユーザの通常時の電力使用傾向を把握するために実施する演算対象の消費電力量としては用いることが不適当であると看做して、省エネルギー行動管理部40の消費電力量演算部41における演算対象の消費電力量から除外することになる。
【0043】
なお、時間帯別消費電力量合算部31、時間帯別差分消費電力量比演算部32、季節別例外日識別部33においては、例外日を正確に判別することが可能であれば、必ずしも、6つの時間帯のすべてについて、それぞれの消費電力量に関する演算を実施しなくとも良く、例えば、季節ごとに、例外日であることがより顕在化し易い1ないし複数の時間帯のみを選択して、選択した時間帯についてのみそれぞれの消費電力量に関する演算を実施するようにしても良い。
【0044】
例えば、一例として、季節が「夏季」および「中間期」の場合には、「深夜」、「朝」、「午前」、「午後」、「夕方」、「夜」の6つの時間帯のうち、通常の日において、消費電力量が比較的多くなり、例外日がより顕在化し易い時間帯として、「深夜」、「午前」、「午後」、「夜」の4つの時間帯を選択し、季節が「冬季」の場合には、通常の日において、消費電力量が比較的多くなり、例外日がより顕在化し易い時間帯として、「深夜」、「午後」、「夕方」、「夜」の4つの時間帯を選択する。
【0045】
かくのごとく、季節ごとに異なる4つの時間帯の消費電力量の演算を行う場合には、時間帯別消費電力量合算部31においては、6つの時間帯それぞれの時間帯別合算消費電力量を算出する必要はなく、季節が「夏季」および「中間期」の場合には、時間帯として、「深夜」、「午前」、「午後」、「夜」の4つの時間帯における時間帯別合算消費電力量のみを算出し、季節が「冬季」の場合には、時間帯として、「深夜」、「午後」、「夕方」、「夜」の4つの時間帯における時間帯別合算消費電力量のみを算出すれば良いことになる。
【0046】
また、時間帯別差分消費電力量比演算部32においても、同様であり、6つの時間帯それぞれの時間帯別差分消費電力量比を算出する必要はなく、季節が「夏季」および「中間期」の場合には、時間帯として、「深夜」、「午前」、「午後」、「夜」の4つの時間帯における時間帯別差分消費電力量比のみを式(1)を用いて算出し、季節が「冬季」の場合には、時間帯として、「深夜」、「午後」、「夕方」、「夜」の4つの時間帯における時間帯別差分消費電力量比のみを式(1)を用いて算出すれば良いことになる。
【0047】
また、季節別例外日識別部33においても、同様であり、季節が「夏季」および「中間期」の場合には、前記閾値を、夏季・中間期閾値として、例えば、
0.1≦夏季・中間期閾値≦0.2
の範囲内の任意の値とし、「深夜」、「午前」、「午後」、「夜」の4つの時間帯における時間帯別差分消費電力量比のいずれかにおいて、1つでも、該夏季・中間期閾値以上の比率になっている場合には、当該任意日は例外日であると判別し、一方、季節が「冬季」の場合には、前記閾値を、冬季閾値として、例えば、
冬季閾値=0.1
とし、「深夜」、「午後」、「夕方」、「夜」の4つの時間帯における時間帯別差分消費電力量比のいずれかにおいて、1つでも、該冬季閾値以上の比率になっている場合には、当該任意日は例外日であると判別すれば良いことになる。
【0048】
ここで、夏季・中間期閾値、冬季閾値として説明した値は、ユーザ20人のモニタによる実証実験結果に基づいて、適切であると判断することができた根拠のある値であるが、あくまでも、一例であり、ユーザの生活行動パターンに応じて適切な値を適宜設定するようにしても構わないし、また、夏季用、中間期用としてそれぞれで異なる閾値を用いるようにしても良い。
【0049】
省エネルギー行動管理部40は、消費電力量演算部41、省エネルギー行動提案部42、消費電力量評価部43を、少なくとも備えている。消費電力量演算部41は、消費電力量管理部10の消費電力量登録テーブル14に登録されている消費電力量のうち、例外日演算部30の季節別例外日識別部33によって識別された例外日の消費電力量を除外して、残った消費電力量を演算対象として、ユーザの電力使用傾向を把握するための消費電力量の演算を行う。省エネルギー行動提案部42は、消費電力量演算部41により算出された消費電力量の演算結果に基づいて、ユーザに省エネルギー行動を促すための省エネルギー行動案を提案する。消費電力量評価部43は、省エネルギー行動案の提案を行った結果の消費電力量を評価する。
【0050】
以上の説明においては、省エネルギー支援装置100を構成する消費電力量管理部10、季節・時間帯管理部20、例外日演算部30、省エネルギー行動管理部40の各部位をハードウェアにより実現する例を示しているが、それぞれの部位をソフトウェアやファームウェア等の他の手段を用いて実現するようにしても良く、例えば、省エネルギー支援方法として、あるいは、コンピュータによって実行可能なコンピュータプログラムつまり省エネルギー支援プログラムとして、消費電力量管理部10、季節・時間帯管理部20、例外日演算部30、省エネルギー行動管理部40それぞれを、消費電力量管理ステップ10、季節・時間帯管理ステップ20、例外日管理ステップ30、省エネルギー行動管理ステップ40として実施するようにしても良い。
【0051】
省エネルギー支援方法として実施する場合やコンピュータプログラムとして実施する場合には、消費電力量管理部10、季節・時間帯管理部20、例外日演算部30、省エネルギー行動管理部40それぞれに含まれている消費電力測定部11、消費電力登録部12、消費電力抽出部13、季節・時間帯登録部21、季節判別部22、時間帯判別部23、時間帯別消費電力量合算部31、時間帯別差分消費電力量比演算部32、季節別例外日識別部33、消費電力量演算部41、省エネルギー行動提案部42、消費電力量評価部43も、それぞれ、消費電力測定ステップ11、消費電力登録ステップ12、消費電力抽出ステップ13、季節・時間帯登録ステップ21、季節判別ステップ22、時間帯判別ステップ23、時間帯別消費電力量合算ステップ31、時間帯別差分消費電力量比演算ステップ32、季節別例外日識別ステップ33、消費電力量演算ステップ41、省エネルギー行動提案ステップ42、消費電力量評価ステップ43として実施することになる。
【0052】
さらには、かくのごとき各ステップからなる省エネルギー支援プログラムをコンピュータによる読取りが可能な記録媒体に記録したプログラム記録媒体として提供するようにしても良い。かかる記録媒体としては、ハードディスクドライブ等の磁気ディスクやCD−ROM、DVD−ROM等の光ディスク、半導体メモリ等のデジタルデータを記録することが可能な任意の媒体を用いることができる。
【0053】
(実施形態の動作例)
次に、図1に示した省エネルギー支援装置100の動作について、図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。図4は、図1の省エネルギー支援装置100の動作の一例を説明するフローチャートであり、本発明に係るエネルギー支援方法の一例として、省エネルギー支援動作に必要とする所要期間の中から任意に選択した或る日について、当日の消費電力量を、省エネルギー用の演算対象から除外すべき例外日であるか否かを識別する際の動作の一例を示している。
【0054】
なお、図4のフローチャートに先立って、消費電力量管理部10の消費電力測定部11によってあらかじめ定めた時間間隔(例えば1分間隔)で定期的にユーザの住居全体の消費電力量を測定して、消費電力量登録テーブル14に、消費電力登録部12によって、図2に示すような形式で、省エネルギー支援動作に必要な所要期間に亘る消費電力量があらかじめ登録されている状態にあるものとする。
【0055】
また、季節・時間帯管理部20の季節・時間帯登録部21によって、当該ユーザの生活行動に基づいて決定される「夏季」、「冬季」、「中間期」の季節に関する定義、および、「深夜」、「朝」、「午前」、「午後」、「夕方」、「夜」の時間帯に関するユーザごとの定義が、季節・時間帯登録テーブル24にあらかじめ登録されている状態にあるものとする。
【0056】
消費電力量登録テーブル14、季節・時間帯登録テーブル24に既に所要のデータが登録されている状態で、図4のフローチャートが起動されると、まず、消費電力量管理部10の消費電力抽出部13は、ユーザの省エネルギー支援動作に必要とする所要期間内の各日のうち、適宜定めている順番に選択した任意日と該任意日の前日との2日分について、各消費電力量に関するデータを、測定日時とともに消費電力量登録テーブル14から抽出する(ステップS1)。
【0057】
次いで、季節判別部22を用いて、消費電力量登録テーブル14から抽出した2日分(つまり任意日および該任意日の前日)の消費電力量の測定日時のうち、任意日に関する測定日時を、季節・時間帯登録テーブル24の季節登録テーブル24aにあらかじめ登録している定義内容と比較することによって、当該測定日時が示す季節が、「夏季」、「中間期」、「冬季」のいずれであるかを判別する(ステップS2)。
【0058】
当該測定日時が示す季節が、「夏季」であると判別した場合は(ステップS2の「夏季」の場合)、次に、時間帯判別部23を用いて、消費電力量登録テーブル14から抽出した2日分(つまり任意日および該任意日の前日)の消費電力量それぞれの測定日時を、季節・時間帯登録テーブル24の時間帯登録テーブル24bにあらかじめ登録しているユーザごとの定義内容と比較することによって、当該測定日時が示す時間帯が、「深夜」、「朝」、「午前」、「午後」、「夕方」、「夜」の6つの時間帯のいずれであるかを判別する(ステップS31)。
【0059】
しかる後、ステップS31にて判別された時間帯に基づいて、時間帯別消費電力量合算部31によって、2日分の消費電力量それぞれを、任意日および該任意日の前日ごとに、それぞれに該当する時間帯別に区分けして、それぞれの時間帯別に消費電力量を合算することによって、任意日と該任意日の前日とについて、6つの時間帯それぞれの時間帯別合算消費電力量を求める(ステップS41)。
【0060】
さらに、時間帯別消費電力量合算部31にて算出された任意日と該任意日の前日とのそれぞれの6つの時間帯別の時間帯別合算消費電力量を、時間帯別差分消費電力量比演算部32により、前述した式(1)を用いて、任意日の時間帯別に求めた時間帯別合算消費電力量それぞれと、6つの時間帯それぞれの当該任意日の前日における同一時間帯における時間帯別合算消費電力量との差分の比率を、夏季における時間帯別差分消費電力量比として算出する(ステップS51)。
【0061】
最後に、時間帯別差分消費電力量比演算部32にて算出された6つの時間帯別の夏季における時間帯別差分消費電力量比それぞれを、季節別例外日識別部33によって、夏季用としてあらかじめ定めた閾値すなわち夏季閾値と比較する。6つの時間帯別の夏季における時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記夏季閾値よりも低い比率であった場合には、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象とすべき通常の日であるものと判別し、一方、6つの時間帯別の夏季における時間帯別差分消費電力量比のうちいずれか1つでも、前記夏季閾値以上の比率になっていた場合には、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象から除外すべき例外日であるものと判別する(ステップS61)。例外日と識別された日の消費電力量は、省エネルギー行動管理部40の消費電力量演算部41において、省エネルギー支援用としてユーザの電力使用傾向を分析する際の演算対象から除外されることになる。
【0062】
測定日時が示す季節が、「中間期」、「冬季」であった場合も、「夏季」の場合と全く同様の手順で処理が行われる。
【0063】
すなわち、測定日時が示す季節が、「中間期」であると判別した場合は(ステップS2の「中間期」の場合)、時間帯判別部23を用いて、消費電力量登録テーブル14から抽出した任意日および該任意日の前日の2日分の消費電力量それぞれの測定日時を、時間帯登録テーブル24bの定義内容と比較して、当該測定日時が示す時間帯が、「深夜」、「朝」、「午前」、「午後」、「夕方」、「夜」の6つの時間帯のいずれであるかを判別し(ステップS32)、しかる後、時間帯別消費電力量合算部31によって、2日分の消費電力量それぞれを、任意日および該任意日の前日ごとに、それぞれに該当する時間帯別に区分けして、任意日と該任意日の前日とについて、6つの時間帯それぞれの時間帯別合算消費電力量を求める(ステップS42)。
【0064】
さらに、任意日と該任意日の前日とのそれぞれの6つの時間帯別の時間帯別合算消費電力量を、時間帯別差分消費電力量比演算部32により、前述した式(1)を用いて、中間期における時間帯別差分消費電力量比を算出し(ステップS52)、最後に、算出された6つの時間帯別の中間期における時間帯別差分消費電力量比それぞれを、季節別例外日識別部33によって、中間期用としてあらかじめ定めた閾値すなわち中間期閾値と比較する。6つの時間帯別の中間期における時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記中間期閾値よりも低い比率であった場合には、当該任意日は、通常の日と判別し、一方、いずれか1つでも、前記中間期閾値以上の比率になっていた場合には、当該任意日を例外日と判別する(ステップS62)。
【0065】
また、測定日時が示す季節が、「冬季」であると判別した場合は(ステップS2の「冬季」の場合)、時間帯判別部23を用いて、消費電力量登録テーブル14から抽出した任意日および該任意日の前日の2日分の消費電力量それぞれの測定日時を、時間帯登録テーブル24bの定義内容と比較して、当該測定日時が示す時間帯が、「深夜」、「朝」、「午前」、「午後」、「夕方」、「夜」の6つの時間帯のいずれであるかを判別し(ステップS33)、しかる後、時間帯別消費電力量合算部31によって、2日分の消費電力量それぞれを、任意日および該任意日の前日ごとに、それぞれに該当する時間帯別に区分けして、任意日と該任意日の前日とについて、6つの時間帯それぞれの時間帯別合算消費電力量を求める(ステップS43)。
【0066】
さらに、任意日と該任意日の前日とのそれぞれの6つの時間帯別の時間帯別合算消費電力量を、時間帯別差分消費電力量比演算部32により、前述した式(1)を用いて、冬季における時間帯別差分消費電力量比を算出し(ステップS53)、最後に、算出された6つの時間帯別の冬季における時間帯別差分消費電力量比それぞれを、季節別例外日識別部33によって、冬季用としてあらかじめ定めた閾値すなわち冬季閾値と比較する。6つの時間帯別の中間期における時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記冬季閾値よりも低い比率であった場合には、当該任意日は、通常の日と判別し、一方、いずれか1つでも、前記冬季閾値以上の比率になっていた場合には、当該任意日を例外日と判別する(ステップS63)。
【0067】
なお、以上の図4のフローチャートの説明においては、消費電力量を演算する対象の時間帯を、「深夜」、「朝」、「午前」、「午後」、「夕方」、「夜」の6つの時間帯すべてとして説明したが、前述したように、例外日の識別を確実に実施することが可能であれば、6つの時間帯すべてではなく、限定した1ないし複数の時間帯のみを対象とするようにしても良い。つまり、留守のような例外状況が発生している日の消費電力量と通常の日の消費電力量との差が顕在化し易い時間帯に制限するようにしても良い。また、消費電力量を演算する対象とする時間帯を限定する場合、季節に応じて、対象とする時間帯を異なる時間帯とするようにしても良い。
【0068】
さらには、季節についても、図4のフローチャートの説明においては、「夏季」、「中間期(春、秋)」、「冬季」のそれぞれで異なる動作シーケンスとしているが、かかる場合に限るものではなく、季節に応じて、消費電力量の演算対象とする時間帯を変更する必要もなく、また、例外日の識別用に用いる閾値を変更して設定する必要もない季節については、他の季節の動作シーケンスと統合するようにしても良い。例えば、前述したように、「夏季」と「中間期」とを同一の動作シーケンスとして統合するようにしても良い。
【符号の説明】
【0069】
10…消費電力量管理部、11…消費電力測定部、12…消費電力登録部、13…消費電力抽出部、14…消費電力量登録テーブル、20…季節・時間帯管理部、21…季節・時間帯登録部、22…季節判別部、23…時間帯判別部、24…季節・時間帯登録テーブル、24a…季節登録テーブル、24b…時間帯登録テーブル、30…例外日演算部、31…時間帯別消費電力量合算部、32…時間帯別差分消費電力量比演算部、33…季節別例外日識別部、40…省エネルギー行動管理部、41…消費電力量演算部、42…省エネルギー行動提案部、43…消費電力量評価部、100…省エネルギー支援装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する負荷機器の消費電力量をあらかじめ定めた時間間隔で定期的に測定して蓄積し、あらかじめ定めた所定期間が経過する都度、蓄積した前記消費電力量の演算結果に基づいて、ユーザの電力使用傾向を分析することにより、消費電力量の削減が見込まれる負荷機器を特定し、当該負荷機器の消費電力量削減に対応する省エネルギー行動案をユーザに提供する仕組みを有する省エネルギー支援装置であって、
蓄積した前記時間間隔ごとの前記消費電力量のうち、適宜選択した任意日の消費電力量と該任意日の前日の消費電力量とを、それぞれの測定日時に基づいてあらかじめ設定した時間帯ごとに区分けして、区分けしたそれぞれの時間帯ごとに、該当する消費電力量を合算して、前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量として求める時間帯別消費電力量合算部と、
該時間帯別消費電力量合算部において求められた前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量との差分の前記任意日の時間帯別合算消費電力量に対する割合を、それぞれの時間帯別に、時間帯別差分消費電力量比として算出する時間帯別差分消費電力量比演算部と、
該時間帯別差分消費電力量比演算部において求めたそれぞれの時間帯別の前記時間帯別差分消費電力量比を、消費電力量の測定日時が属する季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較した結果、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記閾値よりも少ない場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象として用いるべき通常の日であると判別し、一方、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれか1つでも、前記閾値以上であった場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象から除外すべき例外日であると判別する季節別例外日識別部と、
を少なくとも備えて構成されていることを特徴とする省エネルギー支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の省エネルギー支援装置において、前記季節別例外日識別部にて例外日か否かを判別するために用いる前記閾値は、任意にあらかじめ定義した夏季、冬季、および、春または秋に該当する中間期の3つに分けて、それぞれの季節ごとに適宜定めることを特徴とする省エネルギー支援装置。
【請求項3】
ユーザが使用する負荷機器の消費電力量をあらかじめ定めた時間間隔で定期的に測定して蓄積し、あらかじめ定めた所定期間が経過する都度、蓄積した前記消費電力量の演算結果に基づいて、ユーザの電力使用傾向を分析することにより、消費電力量の削減が見込まれる負荷機器を特定し、当該負荷機器の消費電力量削減に対応する省エネルギー行動案をユーザに提供する仕組みを有する省エネルギー支援方法であって、
蓄積した前記時間間隔ごとの前記消費電力量のうち、適宜選択した任意日の消費電力量と該任意日の前日の消費電力量とを、それぞれの測定日時に基づいてあらかじめ設定した時間帯ごとに区分けして、区分けしたそれぞれの時間帯ごとに、該当する消費電力量を合算して、前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量として求める時間帯別消費電力量合算ステップと、
該時間帯別消費電力量合算ステップにおいて求められた前記任意日の時間帯別合算消費電力量と該任意日前日の時間帯別合算消費電力量との差分の前記任意日の時間帯別合算消費電力量に対する割合を、それぞれの時間帯別に、時間帯別差分消費電力量比として算出する時間帯別差分消費電力量比演算ステップと、
該時間帯別差分消費電力量比演算ステップにおいて求めたそれぞれの時間帯別の前記時間帯別差分消費電力量比を、消費電力量の測定日時が属する季節ごとにあらかじめ定めた閾値と比較した結果、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれも、前記閾値よりも少ない場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象として用いるべき通常の日であると判別し、一方、時間帯ごとの前記時間帯別差分消費電力量比のいずれか1つでも、前記閾値以上であった場合は、当該任意日は、当該任意日の消費電力量をユーザの電力使用傾向を分析するための演算対象から除外すべき例外日であると判別する季節別例外日識別ステップと、
を少なくとも有していることを特徴とする省エネルギー支援方法。
【請求項4】
請求項3に記載の省エネルギー支援方法において、前記季節別例外日識別ステップにて例外日か否かを判別するために用いる前記閾値は、任意にあらかじめ定義した夏季、冬季、および、春または秋に該当する中間期の3つに分けて、それぞれの季節ごとに適宜定めることを特徴とする省エネルギー支援方法。
【請求項5】
請求項4に記載の省エネルギー支援方法において、夏季および中間期用の前記閾値を0.1以上0.2以下の範囲内の任意の値とし、冬季用の前記閾値を0.1とすることを特徴とする省エネルギー支援方法。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれかに記載の省エネルギー支援方法において、深夜、朝、午前、午後、夕方、夜の6つの時間帯をユーザごとに任意にあらかじめ定義し、前記季節別例外日識別ステップにて例外日か否かを判別するために用いる前記時間帯別差分消費電力量比の時間帯として、季節ごとに、ユーザごとに任意にあらかじめ定義した前記6つの時間帯のうち、いずれか1ないし複数の時間帯を選択することを特徴とする省エネルギー支援方法。
【請求項7】
請求項6に記載の省エネルギー支援方法において、前記季節別例外日識別ステップにて例外日か否かを判別するために用いる前記時間帯別差分消費電力量比の時間帯を、ユーザごとに任意にあらかじめ定義した前記6つの時間帯のうち、季節が夏季および中間期の場合、深夜、午前、午後、夜の4つの時間帯とし、季節が冬季の場合、深夜、午後、夕方、夜の4つの時間帯とすることを特徴とする省エネルギー支援方法。
【請求項8】
請求項3ないし7のいずれかに記載の省エネルギー支援方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする省エネルギー支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33319(P2013−33319A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168028(P2011−168028)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(501436861)株式会社イーアンドイープラニング (12)