説明

真空作動式ハンドリング装置

【課題】装置自身の機能性、効率及び寿命を改善し、さらに容積を最小化することが可能で安価な真空作動式ハンドリング装置を提供する。
【解決手段】チャンバ内には、第一端に隣接する後退位置と、本体11の第二端に隣接する前進位置との間で移動可能なピストン14が収容される。ピストンは第二端から出て把持端吸引機を支持する軸方向貫通ロッド15を備え、ピストンを後退位置へ移動させる戻りばね23へ接続される。ピストンは第一端に隣接するチャンバの第一部と、ピストンロッド15の側のチャンバの第二部とに分割する。第二チャンバは、ピストンを前進させるため、真空ポンプと直接連通する一方、第二チャンバは環状区画と、ガイドシリンダ13の上端の少なくとも1つの通路31とを通して、真空ポンプと連通し、吸引機がオンの場合、ピストンを後退位置へ戻すため、ピストンの軸方向孔と連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気圧式ハンドリング装置に関し、特に別の作業場への移送と、そこでの解放のため、ある場所で受け取られる品物を把持し、かつ持ち上げるのに適した、真空作動式把持装置に言及する。
【0002】
特に、ここで及び今後使用されるように、語句“真空作動式”では、それはシリンダ内で作動するピストンの2つの対向面間の圧力差が、ピストンを非作動位置と作動位置の間で、及びその反対に軸方向へ移動させるように誘導するように、負の空気圧により作動する装置を意図し、それにも拘らず、語句“真空”は、全く圧力なしでということを意味しない。
【背景技術】
【0003】
把持装置、例えば、異なる作動又は取扱いステップの場合、品物をある作業場から別の作業場へ移送するために、様々な工業分野で使用できる、前記のそれらは、すでに知られている。例えば、それは、紙シートの連続した、把持、上昇、移送及び解放動作が、作動、印刷及び分類プロセスが連続した作業場で実施される間に、必要とされる紙及びグラフ工業の場合である。
【0004】
ここで、考えられるタイプで、かつ最新技術を示す把持装置は、例えば、文献US6,612,633で知られる。それは、シリンダに囲まれるチャンバ内にあり、前記シリンダ端から軸方向へ突出するロッドを有し、かつ把持端吸引機を支持するロッドを有する可動ピストンからなる真空作動式装置である。
【0005】
シリンダ部は真空ポンプへ接続される。ピストンは、吸引機が受け取られ、かつ移送される要素上へ設置されると、吸引機作動が始まる真空ポンプにより、シリンダ部からの空気吸引を介して、後退方向の休止位置から作動前進位置へロッドと吸引機と共に動くことができる。次に、吸引は続行し、ピストンは戻りばねによっても案内されてシリンダ内を戻るように動く一方、吸引機はなお作動し、吸引が終わるまで、受け取られた要素を保持する。
【0006】
次に、吸引機はエレメントを解放することにより停止し、ピストンは戻りばねにより保持される後退位置にとどまる。
【0007】
しかし、上記前記文献に記載されるように、真空作動式把持装置は、比較的複雑で、かつ実現されるのに費用がかかり、それはその構成要素の実施に費用がかかる機械的操作を必要とし、非常な寸法誤差を含むこれらの構成要素の構成及び結合の精度にその機能性を付与する。これらの構成要素は消耗に曝されるので、それにも拘らず、この種の精度は短時間で失われ、装置の操作信頼性はそれとともに下降する。
【0008】
文献FR2,564,811は最新技術も示すが、それに記載される装置は単一本体からなり、吸引ピストンは前記本体内に直接得られ、かつ作動流体が供給されるチャンバ内に収納され、かつこの中で移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US6,612,633
【特許文献2】FR2,564,811
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の目的は、既知技術の欠点を克服し、次に、装置自身の機能性、効率及び寿命を改善し、さらに容積を最小化することが可能な、簡単かつ安価に実現される真空作動式ハンドリング装置を提供することである。
【0011】
このような目的は、基本的に;第一及び第二閉止端を備える内部空間を画定する内部表面を有する軸方向中空本体と;前記内部空間へ挿入され、かつ軸方向チャンバを囲み、前記2つの閉止端間に伸び、かつ前記本体の内面を有する概ね環状区画を画定するガイドシリンダと;前記本体の第一端に隣接する後退位置と、第二端に隣接する前進位置との間の前記円筒型チャンバ内で移動可能なピストンと;前記本体の第二端から誘導され、かつここから出現し、かつ把持端吸引機を支持する前記ピストンと一体化され、かつ移動可能なロッドと;前記ロッドへ接続され、かつ前記後退位置にピストンを維持することを目的とする戻りばねと;及び、第一に、それが受け取られる要素へ傾斜すると吸引機が作動するために、後退位置から前進位置へのピストンの移動、その後、受け取られる要素を有する吸引機と共に戻りばねの助けで後退位置へのピストンの戻り、および次に吸引中断による受け取られた要素を解放するための吸引機の停止、の順に連続して誘導するため、前記ガイドシリンダ内で空気圧吸引を環状区画と軸方向チャンバへ適用する手段、からなるハンドリング装置で、本願発明により達成される。
【0012】
有利なことに、中空本体、ガイドシリンダ、ロッドを有するピストン、及びばねは、同軸で互い接続され、これによりガイドシリンダにより画定される環状区画と軸方向チャンバも同心である。この構成要素の組み合わせは、特に簡単に実現され、かつそれは類似性能を有する他の装置に比べて、装置の全体容積を実際に最小化することを可能にする。
【0013】
中空本体により画定される内部空間の第一端は、ヘッドフランジにより閉止される一方、前記内部空間の第二端は、ベース、好ましくは全体のフランジにより閉止され、即ち、ガイドシリンダと単一部品を形成する。
【0014】
更に、前記ベースフランジの実施において、スリーブ部が備えられ、全体としてもピストンロッド用ガイドとして作動する。
【0015】
このように、ガイドシリンダと共に、そのように一体化されたベースフランジとスリーブ部は、装置を組み立てる必要がある場合、多くの部品に代わり、単一部品をハンドリングすることができる利点を有する。更に、同一単一部品は、ベースフランジにより内部空間の第二端を閉止し、スリーブ部でロッドピストンのガイド手段を構成するために、中空本体内のガイドシリンダのセンタリングを容易にすることを可能にする。
【0016】
次に、有利なことに、中空本体と各ロッドを有するピストンは、アルミニウム又はその合金からできている:好ましくは、第一は突出部を切断した長さで得られ、第二は射出成型により得られる。他方、ヘッドフランジ;ベースフランジを有するガイドシリンダ、およびスリーブ部は、熱可塑性材料で実現される。具体的には、ガイドシリンダは、高精度で実現することができるが、後の機械的操作に頼る必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
付属図面は本発明による把持装置の実施例を示し、これは以降、図示のため、かつ限定目的ではなく、より詳細に記述される。
【0018】
【図1】装置構成要素の展開図を示す。
【図2】組み立てられた装置の斜視図を示す。
【図3】ピストンを有する装置の後退位置での正面図を示す。
【図4】図3の位置での装置の長さ方向断面図を示す。
【図5】ピストンを備える装置の前進位置での正面図を示す。
【図6】図5の位置における装置の長さ方向断面を示す。
【図7】要素がハンドリングされる把持位置での装置の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
提示されている本装置は、その中にガイドシリンダ13が挿入され、その次にピストン14を収容し、該ピストン14はロッドピストン15を有し、全体は同軸である概ね円筒型内部空間12を囲む内面を有する中空本体11からなる。
【0020】
有利なことに、外側体11は、アルミニウム又はその合金からできた突出部から得られる;ガイドシリンダ13は熱可塑性材料で鋳造することにより実現される;ピストン14とロッド15は本体11と同様にアルミニウム又はその合金からできている。
【0021】
特に、中空本体11は、外部が四角形を有し、かつそれは横向きに長手方向のスロート16を有し、内部空間12の周りに溝又は長手方向孔17を有する。ガイドシリンダ13は、横向きに突出する長手方向リブ18を有する。その端部で、それはベースフランジ19を備え、その実施では、スリーブ部20を備える。ベースフランジ19及びスリーブ部20はガイドシリンダと結合され、好ましくはこれと一体化される。
【0022】
ピストン14はガスケット21とロッドを備え、それは戻りばね23が好ましくは螺旋形に伸びる軸方向貫通孔22を有する。
【0023】
外側体11の内部空間12は、一つの第一端で閉止され、図面の上端はヘッドフランジ24で閉止され、その反対側端、即ち下側端で、ガイドシリンダ13と一体のベースフランジ19により閉止される。フランジ24,19は、両方とも内部空間12の周りに備えられる溝又は長手方向孔16へ噛み合う各ねじ24’、19’により前記外側体11へ固定される。
【0024】
特に、および図4と6に示すように、ガイドシリンダ13は、上端13’がヘッドフランジ24の方へ面し、スリーブ部20が前記本体の外側へ軸方向に面するベースフランジ19と一体で、外側体11へ挿入される。ガイドシリンダ13は、前記本体11の内面で環状区画25を囲むように、各サイドリブ18により外側体11内の中心にある。更に、ガイドシリンダ13は、その内側にチャンバ26を囲み、ピストン14はこのチャンバ内にスライド式に収容され、そのロッド15はスリーブ部20内に伸び、かつ誘導され、ガイドシリンダ13のベースフランジ19の実施でその中を通過する。
【0025】
ピストン14は、それがヘッドフランジ24へ接近する後退位置と、それがガイドシリンダ13と一体のベースフランジ19に近い前進位置との間で移動可能である。シリンダロッド15は、スリーブ部20を越えて伸び、それは、軸方向貫通孔22と連通するその自由端で把持吸引機27を支持する。戻りばね23は、ピン28によりヘッドフランジ24へ拘束されるその一端部と、別のピン29によりピストンロッド15へ拘束される反対側端と、を有する(図6)。
【0026】
全体として、ピストン14が組み立てられる場合、それはガイドシリンダ13内の前記チャンバ26を2つの部分へ分割され:すなわち、ピストンとヘッド部24の間の第一チャンバ部と、ロッド15の側、すなわちピストン14と、ガイドシリンダ13と一体のベースフランジ19の間の前記ロッド周りの第二チャンバ部とである。
【0027】
外側体は、好ましくは、内部チャンバ22の第二部と重なるベースフランジ19に隣接し、外側体11とガイドシリンダ13の間の環状区画25と連通する吸引孔30を有する。環状チャンバ25は、その次にガイドシリンダ13の上部13の第一半径方向開孔31を通して第一チャンバ部と連通し、かつ前記ガイドシリンダ13の壁に得られる第二半径方向開孔32を通して第二チャンバ部と連通するが、好ましくは、必ずしも吸引孔30の前である必要はない。他方、チャンバの第一部はピストンロッド15の軸方向孔22と連通し、これを通して把持吸引機27と連通する。
【0028】
吸引源、即ち、真空ポンプは、例え表示されていなくても、この吸引孔30へ接続され、前者は環状区画25内の空気圧低下を生成するように意図され、およびガイドシリンダ13内のピストン14により画定される2つのチャンバ部は、装置を起動するように意図され、同時に把持吸引機27を作動するように意図される。特に、開口31は、ピストン14の両側で2つのチャンバ内に圧力差を生成するような寸法に設定され、及び/又は流量調節器を備える。
【0029】
組み立てられる場合、上記装置は、ハンドリングされる要素100の第一上昇場所とこの要素の少なくとも1つの解放場所との間のその空間変位のため、移動アーム(表示なし)へ結合され、かつ固定される。装置は、例えば、外側体11のサイドスロート16で、及び/又はこれを通してムーバアームへ固定される。
【0030】
装置は、空気圧吸引が真空ポンプにより適用されるまで、図3と4に示すように、休止状態にとどまる。その位置で、各ロッド15を有するピストン14は、それに接続される戻りばね23によりガイドシリンダ13へ引き込まれる作動状態にとどまる。この同じ位置で、把持吸引機27は作動せず、それはある作業場から受け取られ、かつハンドリングされる要素100からある距離に保持される。
【0031】
反対に、主として第二部、正確には、図6における矢印Fの方向の、ガイドシリンダ13内のチャンバ26のピストン14ロッド15の側からの空気を真空にする意味で、装置への吸引適用は、ピストンを後退位置から前進位置へ移動させるように誘導する。事実、チャンバの部分において、圧力低下がこのように起こる一方、チャンバの部分においては、それがロッド14の軸方向孔22を通して外部と連通するので、雰囲気圧力にとどまる。チャンバの2つの部分の間の圧力差は、次にピストン14の前進移動を起こし、ロッド15と吸引機27は、受け取られる要素100の方へ向かい、同時に戻りばね23を引っ張る。
【0032】
次に、吸引を進めると、吸引機27は図5と6に示すように、受け取られる要素100の上に設置されるので、ピストン14のロッド15の軸方向孔22は塞がれる。次に、圧力低下はガイドシリンダ13の環状区画26と、上部開口31を通して、チャンバの部分にも伝播し、次に、前記チャンバからの吸引機27へのロッド15の軸方向孔22を通して、それを起動する。
次に、チャンバ26の2つの部分における圧力低下はバランスするようになり、これにより戻りばね23は、同時にロッドと受け取られた要素100を有する吸引機27を後退させるピストン14の後退位置への変位を決定する。装置は、次に、吸引操作が図7の矢印Gにより、この他の場所の要素を解放するように停止する、別の作業場でそれが噛み合うアームにより変位する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端と第二端が各ヘッドフランジとベースフランジにより閉止され、内部空間(12)を画定する内面を有する軸方向中空本体(11)と、
第一端へ隣接する後退位置と、前記本体(11)の第二端に隣接する前進位置との間を移動可能なピストン(14)と、
前記本体の第二端から誘導され、かつこれから出て、把持端吸引機(27)を支持する、前記ピストン(14)と一体で移動可能なロッド(15)と、
前記ロッド(15)へ接続され、かつ前記ピストン(14)を前記後退位置に維持すること目的とする戻りばね(23)と、
前記後退位置と前記前進位置との間の前記ピストンの移動を制御する吸引空気圧手段と、からなる真空作動式ハンドリング装置であって、
ガイドシリンダ(13)は、内部空間(12)へ挿入され、前記中空本体(11)の2つの閉止端間に保持され、軸方向チャンバ(26)を囲み、かつ前記本体(11)の内面で概ね環状区画(25)を画定し、
前記ピストン(14)は、前記軸方向チャンバ(26)に収容され、かつこの中を移動可能であり、
前記空気圧手段は、空気圧吸引を前記ガイドシリンダ(13)内の前記環状区画(25)と前記軸方向チャンバ(26)へ適用するために備えられ、これにより、第一に、対応するロッドと吸引機を備える前記ピストン(14)を、それが受け取られる要素上に傾斜する場合、前記吸引機を作動させるため、前記後退位置から前記前進位置への移動、その後、前記戻りばね(2)の助けと、受け取られた要素を有する吸引機と共に、対応するロッドを備える前記ピストン(14)の戻り、次に吸引中断により、受け取られた要素の解放のため吸引機の停止、を順に誘導する装置。
【請求項2】
前記中空本体(11)と、前記ガイドシリンダ(13)と、対応する前記ロッド(15)を備える前記ピストン(14)と、前記戻りばね(23)とが、互いに同軸で結合され、かつ前記ガイドシリンダ(13)により画定される前記環状区画(25)と前記軸方向チャンバ(26)は、同心であることを特徴とする、請求項1に記載の真空作動式ハンドリング装置。
【請求項3】
前記中空本体(11)により画定される前記内部空間(12)の第一端は、ヘッドフランジ(24)により閉止され、前記内部空間(12)の第二端は、前記ガイドシリンダ(13)と一体化され、かつ前記ピストン(14)のガイドロッド(15)を受けるためのスリーブ部(20)を有するベースフランジ(19)により閉止されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の真空作動式ハンドリング装置。
【請求項4】
前記ガイドシリンダ(13)は、前記中空本体の内部空間へセンタリングするため、およびそれで前記環状区画(25)を囲むためのサイドリブ(18)を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の真空作動式ハンドリング装置。
【請求項5】
前記ピストン(14)は前記ガイドシリンダ(13)内の前記チャンバ(26)を、前記ピストンと前記ヘッドフランジ(24)の間のチャンバ()の第一部と、前記ピストン(14)と前記ガイドシリンダ(13)のベースフランジ(19)との間の前記ロッド(15)の側のチャンバ()の第二部と、に分割し、および前記第二チャンバ()は空気圧吸引手段と直接連通する一方、前記第二チャンバ()は、前記環状区画(25)と前記ガイドシリンダ(13)の上端の少なくとも1つの通路(31)とを通して、前記吸引機と流体連通し、吸引機がオンの場合、対応する前記ロッド(14、15)を備える前記ピストン(14)の軸方向孔と連通することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の真空作動式ハンドリング装置。
【請求項6】
前記空気圧吸引手段は前記装置と直接または間接的に接続される真空ポンプを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の真空式ハンドリング装置。
【請求項7】
前記中空本体(11)と、対応する前記ロッド(15)を備える前記ピストン(14)は、アルミニウム又はその合金からできており、前記本体は突出部から得られ、対応するロッドを備えるピストンは射出成型により得られることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の真空作動式ハンドリング装置。
【請求項8】
前記ヘッドフランジと、前記ベースフランジを備える前記ガイドシリンダと、前記スリーブ部は、鋳造により得られる熱可塑性材料から作られることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の真空作動式ハンドリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−192515(P2012−192515A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53721(P2012−53721)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(508337008)ギマティック エス.ピー.エー. (16)
【Fターム(参考)】