説明

真空吸引式採尿装置の制御装置

【課題】従来の真空吸引式採尿装置においては、センサを構成する電極間が汚れると正常な自動真空吸引動作が行えなくなってしまったり、使用者に不安感を与えてしまう場合もあった。
【解決手段】そこで、本発明では、尿受け器から輸尿用チューブを経て尿タンクに至る尿真空吸引経路の、尿受け器側に設置した対を成す電極間の抵抗を制御装置において測定することにより尿を検知して真空吸引装置を動作させるように構成した真空吸引式採尿装置において、上記電極に直列に検出用抵抗を接続すると共に、電極と検出用抵抗の直列回路に並列に手動操作スイッチを接続して状態検出用回路を構成した真空吸引式採尿装置の制御装置を提案している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿受け器から輸尿用チューブを経て尿タンクに至る尿真空吸引経路の、尿受け器側に設置した対を成す電極間の抵抗を制御操作手段において測定することにより尿を検知して自動的に真空吸引装置を動作させるように構成した真空吸引式採尿装置の制御装置に関するものである。
【0002】
上述したような真空吸引式採尿装置は、例えば特許文献1に示されるように、従来から提案されている。この特許文献1の採尿装置は、排尿部位に当てる尿吸込開口部を前面側に形成した尿受け器の後側に尿出口を形成して、この尿出口に尿タンクに連なる輸尿用チューブを接続し、尿タンクの上部には真空吸引装置を接続すると共に、尿出口には対を成す電極を間隔をおいて設け、上記尿吸込開口部から尿受け器内に排尿された尿によって前記対を成す電極間の抵抗が低下した際に上記真空吸引装置を動作させて、尿を真空吸引するようにしたものである。
【特許文献1】実願昭55−033371号(実開昭56−135728号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したような従来の真空吸引式採尿装置においては、以下に示すような課題がある。
1.真空吸引装置を動作させて尿の真空吸引を開始させる手段は、対を成す電極によるセンサだけであり、電極間が汚れて抵抗が常時低下した状態になると、尿による抵抗の低下を識別できなくなり、正常な自動真空吸引動作が行えなくなってしまう。
2.使用者によっては、自動的な尿の真空吸引動作が本当に行われるのかを不安に感じたり、漏れや溢れに対して不安を感じたりすることがあり、自動動作の採尿器を使用することに抵抗を感じる人がいる。
【0004】
本発明は以上の課題を解決することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以上の目的を達成するために、まず、尿受け器から輸尿用チューブを経て尿タンクに至る尿真空吸引経路の、尿受け器側に設置した対を成す電極間の抵抗を制御装置において測定することにより尿を検知して真空吸引装置を動作させるように構成した真空吸引式採尿装置において、上記電極に直列に検出用抵抗を接続すると共に、電極と検出用抵抗の直列回路に並列に手動操作スイッチを接続して状態検出用回路を構成した真空吸引式採尿装置の制御装置を提案する。
【0006】
また本発明では、上記の構成において、制御装置には、状態検出用回路の抵抗測定手段と、抵抗測定手段で測定した抵抗を区分に区分けする区分け手段と、区分けした抵抗の区分を記憶する区分記憶手段と、区分け手段により区分けした抵抗の区分と、区分記憶手段に記憶されている抵抗の区分とを比較して、区分の変化を検出する区分変化検出手段と、区分変化検出手段により検出した区分の変化と、状態検出用回路の抵抗から検出される手動操作スイッチの状態とから動作モードを設定する動作モード設定手段と、設定された動作モードに基づいて真空吸引装置を制御する制御操作手段とを構成した真空吸引式採尿装置の制御装置を提案する。
【0007】
また本発明では、上記の構成において、動作モードは、手動操作スイッチのONにおける手動操作動作モードと、手動操作スイッチのOFFにおける尿検知動作モードとから構成される真空吸引式採尿装置の制御装置を提案する。
【0008】
また本発明では、上記の構成において、抵抗の区分は、電極間の汚れが実質的にない状態に対応する抵抗が高い正常区分と、電極間の汚れが大きく、それだけでは尿の検知が困難な状態に対応する抵抗が低い警報区分と、それらの区分間の状態に対応する適数の中間区分とから構成され、制御操作手段は、採尿装置の電源ON時に区分け手段により区分けされた区分が警報区分の場合に、汚れの警報処理を行うことを提案する。
【0009】
また本発明では、上記の構成において、抵抗の区分は、電極間の汚れが実質的にない状態に対応する抵抗が高い正常区分と、電極間の汚れが大きく、それだけでは尿の検知が困難な状態に対応する抵抗が低い警報区分と、それらの区分間の状態に対応する適数の中間区分とから構成され、動作モード設定手段は、他の区分から警報区分への変化を検出した際に尿検知動作モードを設定し、また警報区分から他の区分への変化により尿検知動作モードを解除して制御操作手段を動作させることを提案する。
【0010】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段には、計時手段を備え、尿検知動作モードの解除時点から設定時間(β)経過後に真空吸引装置の動作を停止することを提案する。
【0011】
また本発明では、上記の構成において、設定時間(β)は、尿検知動作モードの設定時点から解除時点までの経過時間(α)の係数倍として設定することを提案する。
【0012】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段には、計時手段を備え、尿検知動作モードの設定時点からの経過時間が設定時間(δ)を越えた場合に、センサ汚れの警報処理を行うと共に真空吸引装置の動作を停止することを提案する。
【0013】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段には、計時手段を備え、手動操作スイッチがONとなって手動操作動作モードが設定された時点から設定時間(φ)経過後に真空吸引装置の動作を停止することを提案する。
【0014】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段には、計時手段を備え、手動操作スイッチがONとなって手動操作動作モードが設定された時点から設定時間(φ)が経過する前に、再度手動操作スイッチがONとなった場合には、その時点から設定時間(γ)経過後に真空吸引装置の動作を停止することを提案する。
【0015】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段は、設定時間(γ)が経過した時点において、その時点の状態検出用回路の抵抗の区分を参照し、警報区分の場合には尿検知動作モードに移行し、警報区分以外の場合には真空吸引装置を停止することを提案する。
【0016】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段は、設定時間(γ)が経過した時点において、その時点の状態検出用回路の抵抗の区分と、区分記憶手段に記憶されている抵抗の区分を参照し、記憶されている抵抗の区分が警報区分以外の場合において、その時点の抵抗の区分が警報区分の場合には尿検知動作モードに移行し、警報区分以外の場合には真空吸引装置を停止すると共に、記憶されている抵抗の区分が警報区分の場合には真空吸引装置を停止することを提案する。
【0017】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段は、尿検知動作モードにおいては真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させると共に、手動操作動作モードにおいては真空吸引装置を吸引力が尿検知動作モードよりも小となるように動作させることを提案する。
【0018】
また本発明では、上記の構成において、制御操作手段は、手動操作動作モードにおいて、それまでの抵抗の区分が警報区分の場合には、真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させることを提案する。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明に係る状態検出用回路では、手動操作スイッチがOFFの状態においては、制御装置の抵抗測定手段は、対を成す電極と検出用抵抗の直列回路の抵抗を測定することになり、従って、対を成す電極間に存在する尿による抵抗の低下を検出することにより、尿を検知することができ、こうして真空吸引装置を尿検知動作モードで動作させて尿を尿タンクに自動的に吸引して採尿することができる。そして排尿が終わり、対を成す電極間の抵抗が上昇した場合には、これを検出して自動的に真空吸引装置を停止することができる。
【0020】
制御装置の抵抗測定手段は、対をなす電極と検出用抵抗の直列回路の抵抗を測定するものであるが、検出用抵抗の抵抗は既知であるので、測定した抵抗から既知の抵抗を減ずることにより、対を成す電極間の抵抗を求めることができる。
【0021】
排尿が終わり、対を成す電極間の抵抗が上昇した場合の真空吸引装置の停止は、オフ遅延時間としての設定時間(β)経過後に行うことにより、輸尿用チューブ内の尿を全て尿タンク内に排出することができる。
【0022】
設定時間(β)は、尿検知動作モードの設定時点から尿を検出しなくなった時点までの経過時間(α)の係数(c)倍、例えば1/2等、1よりも小さい数を係数として、
式:β=c×αにより算出して設定することにより、輸尿用チューブ内の尿を全て尿タンク内に確実に排出することができると共に、真空吸引装置が必要以上の長い間、動作状態を維持することを防止することができる。
【0023】
尿を検知して真空吸引装置が動作した時点から相当長い時間を経過した後も尿の検知状態が継続している場合には、電極間の汚れにより抵抗が低い状態に維持されているものと考えられるので、本発明においては、上記経過時間が設定時間(δ)を越えた場合には、汚れ警報処理を行うと共に真空吸引装置を停止することとしており、こうして電極間の汚れによって真空吸引装置の停止が行えなくなる不都合を防止することができる。
【0024】
次に手動操作スイッチをONとすると、制御装置の抵抗測定手段で測定している状態検出回路の抵抗は0となる。一方、手動操作スイッチがOFF状態において制御装置の抵抗測定手段で測定している状態検出回路の抵抗は、対をなす電極と検出用抵抗の直列回路の抵抗であるから、対を成す電極間の尿により仮に抵抗が0となったり、あるいは汚れにより抵抗が0の近くに低下したとしても、測定される抵抗は検出用抵抗の抵抗又はそれ以上となる。
【0025】
従って本発明では、手動操作スイッチのON状態と、手動操作スイッチのOFF状態における尿による対を成す電極間の抵抗の低下とを、明確に確実に識別することができ、従って動作モードの設定と、設定した動作モードによる真空吸引装置の動作を確実に行うことができる。
【0026】
手動操作スイッチをONとした状態における手動操作動作モードでは、手動操作スイッチがONとなって手動操作動作モードの動作が開始した時点から設定時間(φ)経過後に真空吸引装置の動作を停止することにより、手動操作スイッチ等の操作を行わないで自動的に真空吸引装置の動作を停止することができる。
【0027】
この設定時間(φ)は、想定される最長排尿時間よりも長い適宜の値に設定することにより、尿を全て尿タンク内に排出することができる。
【0028】
また手動操作動作モードでは、動作開始後の手動操作スイッチの再度のON操作を排尿終了信号として利用することができる。即ち、本発明において、排尿に先立って手動操作スイッチをONとして排尿を行っている際に、更に手動操作スイッチをONとした場合には、2度目にONとなった時点からγ秒経過後に真空吸引装置の動作を停止するようにすることができる。
【0029】
この2度目の手動操作スイッチは、排尿が終わった時点で操作するようにすれば、排尿終了後に尿が全て尿タンク内に排出されるのに十分な時間、即ち設定時間γの経過後に真空吸引装置の動作を停止させることができる。
【0030】
この動作は、上記設定時間φよりもかなり短い時間の中に排尿が終了したような場合には、上述したように手動操作スイッチを2度目にONとすることにより、上記所定時間φが経過する時点よりも、早い時点で真空吸引装置の動作を停止することができ、真空吸引装置の無駄な動作を抑制することができる。
【0031】
以上の動作を行わせるために、本発明では、上述したとおり、制御装置に、状態検出用回路の抵抗測定手段と、抵抗測定手段で測定した抵抗を区分に区分けする区分け手段と、区分けした抵抗の区分を記憶する区分記憶手段と、区分け手段により区分けした抵抗の区分と、区分記憶手段に記憶されている抵抗の区分とを比較して、区分の変化を検出する区分変化検出手段と、区分変化検出手段により検出した区分の変化と、状態検出用回路の抵抗から検出される手動操作スイッチの状態とから動作モードを設定する動作モード設定手段と、設定された動作モードに基づいて真空吸引装置を制御する制御操作手段とを構成しており、これらの各手段は、コンピュータ装置により構成することができる。
【0032】
動作モードは、手動操作スイッチのONにおける手動操作動作モードと、手動操作スイッチのOFFにおける尿検知動作モードとから構成しており、抵抗の区分は、電極間の汚れが実質的にない状態に対応する抵抗が高い正常区分と、電極間の汚れが大きく、それだけでは尿の検知が困難な状態に対応する抵抗が低い警報区分と、それらの区分間の状態に対応する適数の中間区分とから構成している。
【0033】
このような構成において、動作モード設定手段は、他の区分から警報区分への変化を検出した際に尿検知動作モードを設定して真空吸引装置を動作させることができ、また警報区分から他の区分への変化により尿検知動作モードを解除して真空吸引装置を停止することができる。
【0034】
また制御装置は、採尿装置の電源ON時点の抵抗の区分が警報区分の場合や、他の区分から警報区分へ変化し、尿を検知している状態が設定時間(δ)を経過した場合において、これらを検出して汚れの警報処理を行うことができる。
【0035】
次に本発明では、上述したように手動操作動作モードの動作において、真空吸引装置が動作を開始してから、設定時間(γ)又は(φ)が経過した時点に、その時点の状態検出用回路の抵抗の区分を参照し、それが警報区分の場合には尿検知動作モードに移行し、警報区分以外の場合には真空吸引装置を停止する動作を行わせることができる。
【0036】
この動作においては、仮に、上述したように真空吸引装置の動作が停止する、手動操作動作モードの設定時間(γ)又は(φ)が経過した時点で排尿が済んでなくても尿検知動作モードにより確実に全ての尿を尿タンクに排出することができる。
【0037】
上述した手動操作動作モードから尿検知動作モードへの移行は、区分記憶手段に記憶されている抵抗の区分が警報区分以外の場合においてのみ行わせるようにすることができる。
【0038】
この動作においては、抵抗の区分が警報区分の場合において、手動操作スイッチをONとして手動操作動作モードで動作させていた場合には、尿検知動作モードに移行しても、その動作の経過時間が設定時間(δ)を越えて、真空吸引装置が停止するまで動作が継続することが明らかで、無駄な動作が継続してしまうことを防止するためである。
【0039】
更に本発明では、尿検知動作モードにおいては真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させると共に、手動操作動作モードにおいては真空吸引装置を吸引力が尿検知動作モードよりも小となるように動作させることができる。
【0040】
このような動作によれば、手動操作運転モードでは、尿が電極間に存在する前である可能性が高いため、真空吸引装置の吸引力を抑えた運転が可能で、この運転では、吸引音等の動作音を低減することができる。また、尿検知運転モードでは、尿が電極間に存在している可能性が高いため、真空吸引装置は吸引力の大きな運転を行うことにより、確実に尿を吸引することができる。
【0041】
また以上の動作において、更に、手動操作動作モードにおいて、それまでの抵抗の区分が警報区分の場合には、真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させるように動作させることができる。
【0042】
このような動作によれば、手動操作運転モードにおいて、それまでの抵抗の区分が警報区分の場合には、手動操作スイッチがONになった時点において、既に尿が電極まで至っている可能性があるので、手動操作運転モードではあっても、真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させることにより、確実に尿を吸引することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
次に本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
まず図1は本発明に係る真空吸引式採尿装置の実施の形態の全体構成を概念的に示す説明図であり、図2は要部の説明図である。
【0044】
図において、符号1は女性用の尿受け器を示すもので、この尿受け器1は前面側に尿吸込開口部2を形成し、後側に取っ手3を形成すると共に後側下部に尿出口4と、後側上部に通気孔5を形成している。そして尿出口4には状態検出部6を介して輸尿用チューブ7の一端側を接続しており、その他端側は尿タンク8の上部に接続している。符号9は真空吸引装置であり、その真空吸引チューブ10を尿タンク8の上部に接続している。
【0045】
状態検出部6には間隔をおいた一対の電極11を設け、この電極11に直列に検出用抵抗12を接続して直列回路を構成すると共に、この直列回路に並列に手動操作スイッチ13を接続して状態検出用回路14を構成している。一対の電極間の抵抗は、尿や汚れにより抵抗が変化するので図2においては可変抵抗器として表し、抵抗をrと表示している。また検出用抵抗12は抵抗が一定であり、抵抗をRと表示している。
【0046】
符号15は制御装置であり、この制御装置15には、信号線16を介して状態検出用回路14に接続した抵抗測定手段17と、抵抗測定手段17で測定した抵抗を区分に区分けする区分け手段18と、区分けした抵抗の区分を記憶する区分記憶手段19と、区分け手段18により区分けした抵抗の区分と、区分記憶手段19に記憶されている抵抗の区分とを比較して、区分の変化を検出する区分変化検出手段20と、区分変化検出手段20により検出した区分の変化と、抵抗測定手段17で測定した状態検出用回路14の抵抗から検出される手動操作スイッチ13の状態とから動作モードを設定する動作モード設定手段21と、設定された動作モードに基づいて真空吸引装置9を制御する制御操作手段22とを構成している。また符号23は尿タンク8の水位センサである。
【0047】
以上の構成において、手動操作スイッチ13がOFFの状態においては、制御装置15の抵抗測定手段17は、対を成す電極11と検出用抵抗12の直列回路の抵抗を測定することになり、従って、後に詳述するように、対を成す電極11間に存在する尿による抵抗の低下を検出することにより、尿を検知することができ、こうして真空吸引装置9を尿検知動作モードで動作させて尿を尿タンク8に自動的に吸引して採尿することができる。そして排尿が終わり、対を成す電極11間の抵抗が上昇した場合には、これを検出して自動的に真空吸引装置9を停止することができる。
【0048】
この実施の形態では、手動操作スイッチ13がONの場合には、抵抗測定手段17で測定する状態検出回路14の抵抗が0となるので、この信号を受けた動作モード設定手段21は動作モードを手動操作動作モードに設定して制御操作手段22に出力し、制御操作手段22は、この手動操作動作モードに基づいて真空吸引装置9を制御する。
【0049】
一方、手動操作スイッチ13がOFFの場合には、抵抗測定手段17は、対を成す電極11と検出用抵抗12の直列回路の抵抗を測定することになり、従って、対を成す電極11間に存在する尿による抵抗の低下を検出することにより、尿を検知することができ、こうして後に詳述するように、真空吸引装置9を尿検知動作モードで動作させて尿を尿タンク8に自動的に吸引して採尿することができる。そして排尿が終わり、対を成す電極11間の抵抗が上昇した場合には、これを検出して自動的に真空吸引装置9を停止することができる。
【0050】
このように抵抗測定手段17は、対をなす電極11と検出用抵抗12の直列回路の抵抗を測定するものであるが、検出用抵抗12の抵抗Rは既知であるので、測定した抵抗から既知の抵抗Rを減ずることにより、対を成す電極11間の抵抗を求めることができる。
【0051】
抵抗測定手段17で測定した抵抗は、区分け手段18により所定の区分に区分けする。例えば、この実施の形態では、抵抗は、電極11間の汚れの程度に対応して下記の4区分(区分A〜区分D)に区分けし、区分けされた区分を、区分記憶手段19に記憶する。
区分A:正常(汚れなし) r> Ra
区分B:汚れ小 Ra≧r>Rb
区分C:汚れ中 Rb≧r>Rc
区分D:汚れ大 Rc≧r>0
但し、 Ra>Rb>Rc>0である。
ここで、区分Dは警報区分であり、区分け手段18により区分Dに区分けされた場合には、この情報は図中に矢印で示すように区分記憶手段19を介して制御操作手段22に伝達して、制御操作手段22において警報処理を行わせることができる。
【0052】
抵抗測定手段17による状態検出用回路14の抵抗の測定は継続的に行われて、その変化の監視が行われる。
【0053】
即ち、抵抗測定手段17により抵抗が測定され、区分け手段18に区分けされて区分記憶手段19に記憶された時点から、時間が経過した時点で抵抗測定手段17により抵抗が測定され、区分け手段18に区分けされた区分は、区分変化検出手段20において比較されて、変化が検出される。
【0054】
区分変化検出手段20における比較の結果、現在区分けされた区分が区分Dであり、且つ、記憶されている区分が、区分A、区分B又は区分Cの場合には、区分記憶手段19の記憶内容が区分Dに置き換えられると共に、その結果が動作モード設定手段21に出力され、動作モード設定手段21は尿検知動作モードの設定信号を制御操作手段22に出力する。従って、制御操作手段22は尿検知動作モードの所定のシーケンスに基づいて真空吸引装置9を制御する。
【0055】
以上の動作が行われるようにするため、区分記憶手段19は、区分け手段18により現在区分けされた区分と、前回の区分とが記憶可能としたり、区分が記憶されている区分記憶手段19の記憶内容の書換は、区分変化検出手段20による区分の変化を検出した際に行えるようにすることができる。
【0056】
一方、区分変化検出手段20における比較の結果、現在区分けされた区分が区分A、区分B又は区分Cであり、且つ、記憶されている区分が、区分Dの場合には、その結果が動作モード設定手段21に出力され、動作モード設定手段21は尿検知動作モードの解除信号を制御操作手段22に出力する。従って、制御操作手段22は尿検知動作モードの所定のシーケンスに基づいて真空吸引装置9の停止動作を行う。尚、尿検知動作モードの解除信号を出力するための現在区分けされた区分は、区分A又は区分Bとし、区分Cの場合には尿検知動作モードの解除を行わないようにすれば、輸尿用チューブ内の尿の残留を、より確実に防止することができる。
【0057】
次に、以上の動作及び尿検知動作モードと手動操作動作モードの動作の詳細を、図3〜図8に示すフローチャートと、図9〜図12に示すタイムチャートに基づいて説明する。
【0058】
まず図3は本発明に係る制御の流れの全体を示すものである。
まず電源ON等により制御が開始すると、抵抗測定手段17により、状態検出用回路14の現在の抵抗を測定し、ステップS1において、その抵抗が0であるか否か、即ち、手動操作スイッチ13がONとされたか否かを判断する。
【0059】
抵抗が0の場合には手動操作スイッチ13がONとされたと判断して、ステップS2として示している手動操作動作モードに移行する。この手動操作動作モードの制御の流れは、図4〜図7を参照して後に詳述する。
【0060】
一方、ステップS1において抵抗が0でなく、手動操作スイッチ13がOFFと判断された場合には、ステップS3に移行して、区分け手段18により区分された現在の抵抗区分を判断する。即ち、ステップS3において、現在の抵抗区分が上述した警報区分である区分Dであるか否かを判断し、区分Dでない場合にはステップS1に移行し、抵抗の監視を継続して待機する。
【0061】
一方、現在の抵抗区分が区分Dの場合には、ステップS4に移行して、区分記憶手段19に記憶されている抵抗区分が区分Dであるか否かを判断する。
【0062】
記憶されている抵抗区分が区分Dの場合には、区分Dの状態が現在まで継続しているとして、ステップS4からステップS5に移行し、ステップS5において、電極間が汚れているとしてセンサ汚れの警報処理を行った後、ステップS1に移行する。即ち、この場合には、手動操作動作モード及び尿検知動作モードのいずれにも移行せず、警報処理のみを行って待機する。
【0063】
即ち、電極間が汚れていて抵抗区分が警報区分である区分Dの場合には、警報処理がされて尿検知動作モードには移行できないが、手動操作スイッチ13をONとすることにより、手動操作動作モードに移行することはできる。この制御の流れは図12のタイムチャートに示している。
【0064】
一方、記憶されている抵抗区分が区分Dでない場合には、区分A、B又はCの状態が、区分Dの状態に変化したことであるので、電極間に尿が存在するとして、ステップS6で示す尿検知動作モードに移行し、そのモードでの制御終了後、ステップS1に移行する。尿検知動作モードの制御の流れは図8を参照して後に詳述する。
【0065】
次に図4は、手動操作動作モード(S2)の制御の流れの一例を示すものである。
【0066】
図3のステップS1から手動操作動作モード(S2)に移行すると、まずステップS7において、区分記憶手段19に記憶されている抵抗区分が区分Dであるか否かを判断する。
【0067】
即ち、区分Dの場合には、電極間が汚れていることから、そこに尿が存在しても検知が困難で、既に尿が存在している場合があるので、ステップS8に移行して真空吸引装置9の吸引力を大に設定する。一方、区分Dでなく、区分A、区分B又は区分Cの場合には、尿の存在を良好に検出可能であり、手動操作スイッチ13をONとした時点では、電極間に尿が存在する可能性が少ないことから、ステップS9に移行して真空吸引装置9の吸引力を小に設定する。
【0068】
ステップS8、S9において真空吸引装置9の吸引力を設定した後、ステップS10に移行して、真空吸引装置9を動作させると共に、動作時間の計時を行う。
【0069】
次いでステップS11において動作時間が設定時間φを経過したか否かを判断し、設定時間φを経過していない場合には、ステップS10に移行して真空吸引装置9の動作と計時を継続し、一方、設定時間φを経過した場合にはステップS12に移行して真空吸引装置9を停止し、ここで手動操作動作モード(S2)が終了する。終了後は、図3に示すようにステップS1に移行して、状態検出用回路14の抵抗の監視を継続しながら待機する。
【0070】
以上の制御の流れでは、ステップS7の判断により、ステップS8とステップS9に分岐させて、それまでの抵抗の区分が区分Dの場合には、真空吸引装置9を吸引力が大となるように動作させ、またその他の区分A、区分B又は区分Cの場合には吸引力を小となるように動作させているが、別の制御の例として、このような吸引力の調節を行わず、手動操作動作モード(S2)に移行したら、直ちに、ステップS10に移行して、予め設定した所定の吸引力で真空吸引装置9を動作させるような制御の流れとすることもできる。
【0071】
いずれにしても、手動操作スイッチ13をONとした状態における手動操作動作モード(S2)では、図10のタイムチャートに示すように、動作が開始した時点から設定時間(φ)経過後に真空吸引装置9の動作を停止することにより、手動操作スイッチ13等による停止操作を行わないで自動的に真空吸引装置13の動作を停止することができる。
【0072】
次に図5は、手動操作動作モード(S2)の制御の流れの他例を示すもので、ステップS7〜ステップS10までの流れは図4の流れと同様であるので、同一の符号を付して重複する説明は省略する。また図4の流れにおけるステップに相当するステップにも同一の符号を付している。
【0073】
この制御の流れでは、真空吸引装置9の動作と、動作時間の計時を行うステップS10からステップS13に移行して、状態検出用回路14の現在の抵抗から、手動操作スイッチ13が、再びONとされたか否かを判断して制御の流れを分岐する。
【0074】
即ち、手動操作スイッチ13がOFFの場合には、抵抗が0でないため、図4の流れと同様に、ステップS13からステップS11に移行し、動作時間が設定時間φを経過した時点でステップS12に移行して真空吸引装置9を停止する。
【0075】
一方、抵抗が0の場合には、手動操作スイッチ13がONとされたと判断され、ステップS14に移行して計時を開始し、次いでステップS15において経過時間を判断する。即ち、経過時間がγに至るまでステップS14、ステップS15の処理を繰り返し、経過時間がγに至り、ステップS15において判断すると、ステップS12に移行して、真空吸引装置9を停止し、手動操作動作モード(S2)が終了する。この制御の流れは図11、図12のタイムチャートに示している。そして終了後は、図3に示すようにステップS1に移行して、状態検出用回路14の抵抗の監視を継続して待機する。
【0076】
以上の説明した図5に示す制御の流れにおいては、動作開始後の手動操作スイッチ13の再度のON操作を排尿終了信号として利用することができる。即ち、排尿に先立って手動操作スイッチ13をONとして排尿を行っている際に、更に手動操作スイッチ13をONとした場合には、2度目にONとなった時点からγ秒経過後に真空吸引装置9の動作を停止することができるので、この2度目の手動操作スイッチ13のON操作は、排尿が終わった時点で行うようにすれば、排尿終了後に尿が全て尿タンク8内に排出されるのに十分な時間、即ち設定時間γの経過後に真空吸引装置9の動作を停止させることができる。
【0077】
この動作は、上記設定時間φよりもかなり短い時間の中に排尿が終了したような場合には、手動操作スイッチ13を2度目にONとすることにより、上記所定時間φが経過する時点よりも早い時点で真空吸引装置9の動作を停止することができ、従って、真空吸引装置9の無駄な動作を抑制することができる。
【0078】
次に図6は、手動操作動作モード(S2)の制御の流れの、更に他例を示すもので、ステップS7〜ステップS11、ステップS15までの流れは図5の流れと同様であるので、同一の符号を付して重複する説明は省略する。また図5の流れにおけるステップに相当するステップにも同一の符号を付している。
【0079】
この制御の流れでは、上記ステップS11又はステップS15において、経過時間φ又はγが経過して、ステップS12において真空吸引装置9を停止する前に、ステップS16において現在の抵抗の区分が区分Dであるか否かを判断する。そして抵抗の区分が区分Dでない場合、即ち抵抗の区分が区分A、区分B又は区分Cのいずれかの場合には、図4、図5の流れと同様にステップS12に移行して真空吸引装置9を停止して、手動操作動作モード(S2)が終了し、終了後は、上述と同様に図3に示すようにステップS1に移行して、状態検出用回路の抵抗の監視を継続する。
【0080】
一方、ステップS16において区分Dと判断した場合には、ステップS6で示す尿検知動作モード(S6)に移行して、この尿検知動作モード(S6)での制御が行われる。この尿検知動作モードの制御の流れは後述する。
【0081】
このような制御の流れでは、手動操作動作モード(S2)の制御動作において、真空吸引装置9を停止する前に、電極間の抵抗を再確認して、尿検知状態と同等の場合には、尿検知動作モード(S6)に移行することができるので、思わず排尿時間が長引いてしまった場合にも確実に尿を尿タンク8内に排出することができる。
【0082】
次に図7は、手動操作動作モード(S2)の制御の流れの、更に他例を示すもので、ステップS7〜ステップS11、ステップS15までの流れは図6の流れと同様であるので、同一の符号を付して重複する説明は省略する。また図6の流れにおけるステップに相当するステップにも同一の符号を付している。
【0083】
この制御の流れでは、上記経過時間φ又はγが経過して、上記ステップS11又はステップS15において経過時間φ又はγが経過して、ステップS16の現在の抵抗の区分が区分Dか否かを判断するステップS16に移行する前に、ステップS17に移行して、ステップS17において、記憶されている抵抗の区分が区分Dか否かを判断する。
【0084】
即ち、ステップS17において記憶されている抵抗の区分が区分Dと判断された場合には、現在の抵抗の区分は、確認するまでもなく区分Dであろうと判断し、ステップS12に移行して真空吸引装置9を停止して、手動操作動作モード(S2)が終了し、終了後は、上述と同様に図3に示すようにステップS1に移行して、状態検出用回路の抵抗の監視を継続する。
【0085】
一方、ステップS17において記憶されている抵抗の区分が区分D以外、即ち、区分A、区分B又は区分Cであると判断された場合には、ステップS16に移行して現在の抵抗の区分が区分Dであるか否かを判断する。
【0086】
現在の抵抗の区分が区分D以外の場合には、尿が電極間に存在しないということであるので、ステップS16からステップS12に移行し、真空吸引装置を停止して手動操作動作モードが終了する。
【0087】
一方、ステップS16において、現在の抵抗の区分が区分Dであると判断されたとすると、区分D以外の区分から、現在の区分Dに移行したということであるので、電極間に尿が存在する可能性が高く、従ってこの場合にはステップS16からステップS6の尿検知動作モード(S6)に移行して、この尿検知動作モード(S6)での制御が行われる。
【0088】
この制御の流れでは、現在の抵抗の区分が区分Dではあっても、記憶されている抵抗の区分が区分Dの場合には、手動操作動作モード(S2)の動作中であることから、現在の区分Dは尿の検知によるものではないと推定することができ、また尿検知動作モード(S6)に移行した場合には、真空吸引装置9が停止しないことになるので、真空吸引装置9の必要以上の動作の継続を防止することができる。
【0089】
次に図8は尿検知動作モード(S6)の制御の流れの一例を示すものである。
図3のステップS4から尿検知動作モード(S6)に移行すると、まずステップS18において、真空吸引装置9を動作させると共に、動作時間の計時を行う。
【0090】
次いでステップS19に移行して、現在の抵抗の区分が区分A又は区分Bであるか否かを判断する。
【0091】
ステップS19において現在の抵抗の区分が、区分A又は区分Bのいずれでもない場合、即ち、区分C又は区分Dの場合には、電極間に現在も尿が存在するとして、ステップS20に移行し、このステップS20において動作時間がδに至っていないと判断した場合には、ステップS18に移行して、真空吸引装置9の動作と、動作時間の計時を継続する。
【0092】
真空吸引装置9の動作時間がδに至った場合は、想定される排尿時間を大きく越えた場合であり、従ってステップS20において動作時間がδに至ったと判断した場合には、ステップS21に移行してセンサ汚れ警報処理を行った後、ステップS22に移行して真空吸引装置9を停止する。
【0093】
一方、ステップS19において、現在の抵抗の区分が区分A又は区分Bである判断した場合は、電極間に尿が存在しないこと、即ち、排尿が終了していることであるため、ステップS19からステップS23に移行し、オフ遅延時間βの算出を行うと共に、オフ遅延時間βのための経過時間の計時を行う。
【0094】
オフ遅延時間βは、上述したように、ステップS23に移行した時点までの真空吸引装置9の動作時間αの係数倍、例えば1/2等、1よりも小さい数を係数cとして、
式:β=c×α により設定することにより、輸尿用チューブ7内の尿を全て尿タンク8内に確実に排出することができると共に、真空吸引装置9が必要以上の長い間、動作状態を維持することを防止することができる。この制御の流れを図9のタイムチャートに示している。
【0095】
ステップS23においてオフ遅延時間βを算出した後、ステップS24に移行して、オフ遅延時間βの経過を判断し、オフ遅延時間βの経過後にステップS22に移行して真空吸引装置9を停止し、尿検知動作モード(S6)の制御を終了する。
【0096】
この制御の流れでは、ステップS19において、現在の抵抗の区分が区分A又は区分Bの場合にのみ電極間に尿が存在しないと判断して、設定時間β経過後に真空吸引装置9を停止し、区分Cの場合には真空吸引装置9の動作を継続しており、これにより電極間に尿が存在しないことの検出を確実に行なうことができるが、他の制御の例としては、区分Cの場合、即ち、区分Dから区分Cに変化した場合も電極間に尿が存在しないと判断するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は以上の通りであるので、真空吸引式採尿装置を使用する人の排尿に際しての意識レベルが異なっても、確実に排尿を処理することができ、病院等での使用には勿論のこと、家庭等での使用にも最適な真空吸引式採尿装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る真空吸引式採尿装置の制御装置の実施の形態を、全体構成として概念的に示す説明図である。
【図2】要部の説明図である。
【図3】本発明に係る制御の全体の流れの例を示すフローチャートである。
【図4】手動操作動作モードの制御の流れの例を示すフローチャートである。
【図5】手動操作動作モードの制御の流れの他の例を示すフローチャートである。
【図6】手動操作動作モードの制御の流れの更に他の例を示すフローチャートである。
【図7】手動操作動作モードの制御の流れの更に他の例を示すフローチャートである。
【図8】尿検知動作モードの制御の流れの例を示すフローチャートである。
【図9】制御の流れの一部を示すタイムチャートである。
【図10】制御の流れの他の一部を示すタイムチャートである。
【図11】制御の流れの更に他の一部を示すタイムチャートである。
【図12】制御の流れの更に他の一部を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 尿受け器
2 尿吸込開口部
3 取っ手
4 尿出口
5 通気孔
6 状態検出部
7 輸尿用チューブ
8 尿タンク
9 真空吸引装置
10 真空吸引チューブ
11 一対の電極
12 検出用抵抗
13 手動操作スイッチ
14 状態検出用回路
15 制御装置
16 信号線
17 抵抗測定手段
18 区分け手段
19 区分記憶手段
20 区分変化検出手段
21 動作モード設定手段
22 制御操作手段
23 水位センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿受け器から輸尿用チューブを経て尿タンクに至る尿真空吸引経路の、尿受け器側に設置した対を成す電極間の抵抗を制御装置において測定することにより尿を検知して真空吸引装置を動作させるように構成した真空吸引式採尿装置において、上記電極に直列に検出用抵抗を接続すると共に、電極と検出用抵抗の直列回路に並列に手動操作スイッチを接続して状態検出用回路を構成したことを特徴とする真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項2】
制御装置には、状態検出用回路の抵抗測定手段と、抵抗測定手段で測定した抵抗を区分に区分けする区分け手段と、区分けした抵抗の区分を記憶する区分記憶手段と、区分け手段により区分けした抵抗の区分と、区分記憶手段に記憶されている抵抗の区分とを比較して、区分の変化を検出する区分変化検出手段と、区分変化検出手段により検出した区分の変化と、状態検出用回路の抵抗から検出される手動操作スイッチの状態とから動作モードを設定する動作モード設定手段と、設定された動作モードに基づいて真空吸引装置を制御する制御操作手段とを構成したことを特徴とする請求項1に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項3】
動作モードは、手動操作スイッチのONにおける手動操作動作モードと、手動操作スイッチのOFFにおける尿検知動作モードとから構成されることを特徴とする請求項2に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項4】
抵抗の区分は、電極間の汚れが実質的にない状態に対応する抵抗が高い正常区分と、電極間の汚れが大きく、それだけでは尿の検知が困難な状態に対応する抵抗が低い警報区分と、それらの区分間の状態に対応する適数の中間区分とから構成され、制御操作手段は、採尿装置の電源ON時に区分け手段により区分けされた抵抗の区分が警報区分の場合に、汚れの警報処理を行う構成としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項5】
抵抗の区分は、電極間の汚れが実質的にない状態に対応する抵抗が高い正常区分と、電極間の汚れが大きく、それだけでは尿の検知が困難な状態に対応する抵抗が低い警報区分と、それらの区分間の状態に対応する適数の中間区分とから構成され、動作モード設定手段は、他の区分から警報区分への変化を検出した際に尿検知動作モードを設定し、また警報区分から他の区分への変化により尿検知動作モードを解除して制御操作手段を動作させることを特徴とする請求項2又は3に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項6】
制御操作手段には、計時手段を備え、尿検知動作モードの解除時点から設定時間(β)経過後に真空吸引装置の動作を停止することを特徴とする請求項5に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項7】
設定時間(β)は、尿検知動作モードの設定時点から解除時点までの経過時間(α)の係数倍として設定することを特徴とする請求項6に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項8】
制御操作手段には、計時手段を備え、尿検知動作モードの設定時点からの経過時間が設定時間(δ)を越えた場合に、真空吸引装置の動作を停止すると共に警報を発することを特徴とする請求項5に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項9】
制御操作手段には、計時手段を備え、手動操作スイッチがONとなって手動操作動作モードが設定された時点から設定時間(φ)経過後に真空吸引装置の動作を停止することを特徴とする請求項2又は3に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項10】
制御操作手段には、計時手段を備え、手動操作スイッチがONとなって手動操作動作モードが設定された時点から設定時間(φ)が経過する前に、再度手動操作スイッチがONとなった場合には、その時点から設定時間(γ)経過後に真空吸引装置の動作を停止することを特徴とする請求項2又は3に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項11】
制御操作手段は、設定時間(γ)が経過した時点において、その時点の状態検出用回路の抵抗の区分を参照し、警報区分の場合には尿検知動作モードに移行し、警報区分以外の場合には真空吸引装置を停止することを特徴とする請求項10に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項12】
制御操作手段は、設定時間(γ)が経過した時点において、その時点の状態検出用回路の抵抗の区分と、区分記憶手段に記憶されている抵抗の区分を参照し、記憶されている抵抗の区分が警報区分以外の場合において、その時点の抵抗の区分が警報区分の場合には尿検知動作モードに移行し、警報区分以外の場合には真空吸引装置を停止すると共に、記憶されている抵抗の区分が警報区分の場合には真空吸引装置を停止することを特徴とする請求項10に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項13】
制御操作手段は、尿検知動作モードにおいては真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させると共に、手動操作動作モードにおいては真空吸引装置を吸引力が尿検知動作モードよりも小となるように動作させることを特徴とする請求項2〜12までのいずれか1項に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。
【請求項14】
制御操作手段は、手動操作動作モードにおいて、それまでの抵抗の区分が警報区分の場合には、真空吸引装置を吸引力が大となるように動作させることを特徴とする請求項13に記載の真空吸引式採尿装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−66328(P2009−66328A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−240363(P2007−240363)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(390039985)パラマウントベッド株式会社 (165)
【Fターム(参考)】