説明

真贋判定装置及び真贋判定方法

【課題】本人確認資料或いはそのコピーの画像データから本人確認資料の真贋判定を精度よく効率よく行うこと。
【解決手段】画像解析部22はスキャニングシステム4でスキャニングされた本人確認資料5或いはそのコピーの画像データ41における文字列や画像のレイアウトに関する解析を行い、OCRエンジン23はその文字列や画像の認識を行う。真贋判定処理部25は、前記の解析結果、認識結果と、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12に記憶された本人確認資料に記載された文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートとを照合して本人確認資料5の真贋を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置により読み取った本人確認資料の真贋判定を行う真贋判定装置及び真贋判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関など犯罪収益移転防止法に定められた特定事業者のサービス、本人確認の必要な配送業者の配送サービス、レンタルビデオ店でのレンタルサービスなど、特定の事業者のサービスを利用するためにサービス利用者の本人確認が必要となる場合がある。この場合、サービス利用者は、サービスを提供する事業者に保険証や免許証などの本人確認資料を提出し、事業者は提出された本人確認資料の実物、或いはそのコピーをとるなどして目視で確認し、問題がなければサービス利用者にサービスを提供する。
また、本人確認資料の文字部分をOCR(Optical Character Reader)で読み取り、読み取った情報と、予め登録された情報と照合して、本人確認を行う場合もある(特許文献1参照)。
【0003】
また、最近では、社員証や保険証などICチップや磁気記憶装置を備える本人確認資料も多い。この場合の認証方法としては、例えば、ICチップを発行する際にICチップにパスワードを予め記憶しておき、ICチップの読取装置が、ユーザから入力されるパスワードをICチップに送信し、ICチップが送信された情報と予め記憶された情報とを照合して一致した場合に、本人確認資料が本物であり、本人確認が正しく行われたとするPIN(Personal identification number)認証を行う方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平03−094592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本人確認資料やそのコピーを目視で確認する作業は負荷が大きく、また精巧に作成された本人確認資料の偽造に気づかないという問題がある。また、本人確認資料の真贋を目視で正しく判定するためにはある程度の経験が必要であり、この判定作業を行う人により判定結果にばらつきがあるという問題も生じる。
また、OCRを用いて本人確認資料の文字部分を読み取る場合、文字配列、書体、画像位置などの情報を考慮して判定しないため、本人確認資料が偽造されたものであっても、記載された情報が正しければ、本人確認資料が本物であると判定するという問題もある。
また、OCRで読み取る対象として、本人確認資料原本を対象としており、本人確認資料のコピーには対応していないという問題もある。例えば、サービス利用者がメールオーダーや本人確認資料のコピーを添付して事業者にサービス利用の申請を行う場合において、本人確認資料の偽造による不正が増えている。
また、ICチップや磁気情報等を読み取る場合では、本人確認資料のコピーには適用できない。また、ICチップや磁気情報を備える本人確認資料の情報を読み取るためには、それらの情報を読み取る専用の読取装置等が必要となり、設備や経費がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、本人確認資料がコピーであっても、ICチップ等を備えない本人確認資料であっても、本人確認資料の外観(レイアウト等)の画像データを解析し、本人確認資料の真贋判定を精度よく効率よく行うことのできる真贋判定装置及び真贋判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために本発明は、本人確認資料に記載された文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートを記憶する真贋判定ロジックテンプレート記憶部と、前記本人確認資料或いは前記本人確認資料のコピーをスキャニングするスキャニング装置によってスキャニングされた画像データを記憶する画像データ記憶部と、前記画像データを解析する解析部と、前記解析部によって得られた前記画像データのレイアウトと、前記真贋判定ロジックテンプレートとを照合して、前記本人確認資料の真贋を判定する真贋判定部と、を備えることを特徴とする真贋判定装置である。
【0008】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記真贋判定ロジックテンプレート記憶部は、前記文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートを、前記本人確認資料の発行者に対応させて記憶し、前記解析部は、前記画像データから当該本人確認資料の発行者を認識し、前記真贋判定部は、前記解析部によって認識された当該本人確認資料の発行者に対応させて記憶された真贋判定ロジックテンプレートを用いて、当該本人確認資料の真贋を判定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記真贋判定ロジックテンプレート記憶部は、前記本人確認資料に記載された文字に使用するフォントに関する真贋判定ロジックテンプレートを記憶し、前記解析部は前記画像データの前記文字に使用されるフォントを認識し、前記真贋判定部は、前記解析部によって認識された前記文字に使用されるフォントと、前記フォントに関する真贋判定ロジックテンプレートとを照合して、前記本人確認資料の真贋を判定することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記真贋判定ロジックテンプレート記憶部は、日付の条件に関する真贋判定ロジックテンプレートを記憶し、前記解析部は前記画像データの前記日付を認識し、前記真贋判定部は、前記解析部によって認識された前記日付が、前記日付の条件に関する真贋判定ロジックテンプレートに適合するかどうかを判定して前記本人確認資料の真贋を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、本人確認資料に記載された文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートを予め記憶するステップと、スキャニング装置により前記本人確認資料或いは前記本人確認資料のコピーをスキャニングして生成された画像データを解析するステップと、前記解析によって得られた前記画像データのレイアウトと、前記真贋判定ロジックテンプレートとを照合して、前記本人確認資料の真贋を判定するステップと、を備えることを特徴とする真贋判定方法である。
【0011】
本発明によれば、本人確認資料或いは本人確認資料のコピーの真贋判定作業の負荷を低減し、判定精度を向上させることが可能である。また、本発明では、本人確認資料或いはそのコピーの画像データを解析して外観的特徴(レイアウト)を取得すればいいため、従来のように記載された情報の内容を一つ一つ読み出して登録された情報と比較する処理に比べれば、判定スピードも向上する。また、本発明によれば、従来の方法では不可能であった、文字のフォントや日付の条件等に関する判定ロジックを用いて本人確認資料の真贋を判定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る真贋判定装置を含む真贋判定システムのブロック構成図である。
【図2】同実施形態に係る真贋判定装置の動作を説明するための図である。
【図3】同実施形態に係る文字配列の真贋判定ロジックの一例を示す図である。
【図4】同実施形態に係る文字配列の真贋判定ロジックテンプレートの一例を示す図である。
【図5】同実施形態に係る本人確認資料の一例を示す図である。
【図6】同実施形態に係る真贋判定ロジックテンプレートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、真贋判定システム1の概略機能ブロック構成図である。真贋判定システム1は、真贋判定装置3、スキャニングシステム4、外部システム6を備える。ここでは、真贋判定装置3、スキャニングシステム4、外部システム6は、ネットワーク2を介してデータ送受信可能に接続される。ネットワーク2は、インターネットやLAN(Local Area Network)であり、有線、無線を問わない。
【0014】
スキャニングシステム4は、サービス利用者の本人確認が必要となるサービスを提供する事業者(金融機関等)に設置される。スキャニングシステム4は、本人確認資料5及びそのコピーをスキャンする機能を有するスキャニング装置、或いはスキャニング装置を含めたシステムである。例えば、スキャニングシステム4は、ネットワーク2に接続してデータ送受信可能なコンピュータとスキャナーであってもよいし、ネットワーク2に接続してデータ送受信可能なスキャン機能を有する事務機器(複写機など)であってもよい。
【0015】
スキャニングシステム4は、サービスの利用を希望するサービス利用者(本人確認対象者)の本人確認資料5(及び本人確認資料のコピーでも可)をスキャニングして、本人確認資料5の画像データ41を生成し、記憶するとともに、ネットワーク2を介して真贋判定装置3に送信する。
【0016】
真贋判定装置3は、真贋判定ロジックテンプレート編集部11、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12、比較元フォント/画像記憶部13、暗号処理部14、HSM15、判定対象スキャニング画像キャッシュ部21、画像解析部22、OCRエンジン23、取得文字情報取得画像記録部24、真贋判定処理部25、真贋判定結果記録部26、真贋判定傾向分析学習AI27を備える。真贋判定装置3は、コンピュータ等を用いたスタンドアロンシステムであっても良いし、ASP(Application Service Provider)などとしてネットワーク2を介して事業者等に提供されてもよい。
【0017】
真贋判定ロジックテンプレート編集部11は、真贋判定用のロジックを生成するため、複数の本人確認資料5の外観(印刷面)を読み出して、本人確認資料5の表面に印刷された文字、画像、印章、記号等の配列、位置、文字フォントといったレイアウトを解析してレイアウトに関する真贋判定情報を取得する。また、真贋判定装置3の管理者等が、本人確認資料のレイアウトに関する既知の真贋判定情報、本人確認資料5に記載された情報の論理条件や数式計算条件等を収集し取得して、真贋判定ロジックテンプレート編集部11に入力し、真贋判定ロジックテンプレート編集部11はレイアウトに関する真贋判定情報として受け付けることもできる。真贋判定ロジックテンプレート編集部11は、取得した真贋判定情報を基に真贋判定ロジックを生成し、XML(Extensible Markup Language)などによって、本人確認資料5の種類、発行母体、発行事業所、発行世代、発行時期などの最小カテゴリーごとに真贋判定ロジックをテンプレート化する。
【0018】
真贋判定ロジックテンプレート記憶部12は、真贋判定ロジックテンプレート編集部11によって生成された真贋判定ロジックテンプレートを記憶する。
比較元フォント/画像記憶部13は、比較元となる本人確認資料5のフォントや画像に関する情報を記憶する。例えば、比較元フォント/画像記憶部13は、本人確認資料5に記載されたフォントの種類、色、サイズに関する情報、画像の色、コントラスト、明度に関する情報等を記憶する。
【0019】
暗号処理部14は、HSM(Hardware Security Module)15を用いて、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12、比較元フォント/画像記憶部13に記憶された情報を暗号化する。HSM15は、秘密鍵などの暗号化に必要な秘密情報を生成し、管理するモジュールである。HSM15は市販品でもよく、例えばFIPS(Federal Information Processing Standardization) 140−2 Level3以上の規格を満たすHSMを適用することができる。
【0020】
判定対象スキャニング画像キャッシュ部21は、スキャニングシステム4から送信される、真贋判定の対象となる本人確認資料5の画像データ41を一時的に記憶し、画像解析部22に送信する。ここでは、上述のようにスキャニングシステム4がスキャニングした画像データ41が真贋判定装置3に送信されて記憶される例を説明するが、スキャニングされCD(Compact disk)等の記憶媒体に記憶された画像データ41が、真贋判定装置3によって読み込まれて判定対象スキャニング画像キャッシュ部21に記憶されるようにしても良い。
【0021】
画像解析部22は、判定対象スキャニング画像キャッシュ部21に記憶されている画像データ41を解析し、文字、画像、印章、記号等の配列や位置といった外観的特徴(レイアウト)を真贋判定対象情報として検出し、OCRエンジン23、真贋判定処理部25に送信する。OCRエンジン23は、画像解析部22によって検出された文字配列や画像等の認識処理を行い、取得文字情報取得画像記録部24、真贋判定処理部25に認識結果を送信する。このように、画像解析部22とOCRエンジン23とが画像データ41を解析する。
【0022】
取得文字情報取得画像記録部24は、OCRエンジン23によって認識された文字や画像に関する認識結果を外部システム6に通知し、記憶させる。真贋判定部25は、画像解析部22によって解析された、文字、画像、印章、記号等の配列や位置といったレイアウトに関する真贋判定対象情報と、OCRエンジン23によって認識した文字や画像等の認識結果をもとに対象となる本人確認資料手5の真贋判定に適用する真贋判定ロジックテンプレートを真贋判定ロジックテンプレート記憶部12から読み出し、真贋判定処理、即ち、スキャニングされた本人確認資料5が本物であるか偽造されたものであるかの判定を行う。
【0023】
また、真贋判定処理部25は、対象となる本人確認資料手5の比較元フォント或いは比較元画像を、比較元フォント/画像記憶部13から読み出して、OCRエンジン23で読み取った認識結果と比較し、画像データ41の真贋判定、即ち、スキャニングされた本人確認資料5が本物であるか偽造されたものであるかの判定を行う。
【0024】
真贋判定結果記録部26は、真贋判定処理部25の判定結果を自身の記憶領域に記憶する。また、真贋判定結果記録部26は、真贋判定処理部25の判定結果をスキャニングシステム4(事業者)に通知する。また、真贋判定結果記録部26は、真贋判定処理部25の判定結果を外部システム6の事業者管理システム61、個人認証データベース62、ブラックリストデータベース63に通知、記憶させる。
【0025】
真贋判定傾向分析学習AI27は、真贋判定処理部25の真贋判定結果を元に、真贋判定対象情報の傾向分析を行う。真贋判定傾向分析学習AI27は、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12に記憶された真贋判定ロジックテンプレートのうち真贋判定エラー頻度が多い真贋判定ロジックを検出し、修正が必要な場合は修正を行い、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12に再記憶する。
【0026】
次に、本真贋判定システム1の動作について説明する。図2は、真贋判定システム1の真贋判定ロジックテンプレートの登録処理、真贋判定処理の流れを示す図である。
図2において、本人確認資料5の真贋判定サービスの提供者は、様々な種類の本人確認資料5の真贋判定ロジックを収集し、真贋判定装置に入力する(ST101)。真贋判定装置3の真贋判定ロジックテンプレート編集部11は、真贋判定ロジックの入力を受け付け、発行母体、発行時期などの最小カテゴリーごとに真贋判定ロジックをテンプレート化し(ST102)、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12に記憶する(ST103)。ここで、真贋判定ロジックテンプレートは暗号処理部14によってHSM15を用いて暗号化され、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12に記憶される。
【0027】
ST101における真贋判定ロジックの収集は、真贋判定サービス提供者が様々な本人確認資料5のサンプルを収集して解析し入力する。また、真贋判定サービス提供者が収集した本人確認資料5のサンプルのOCR等を含むスキャニング処理を行い、解析して入力することも可能である。また、本人確認資料5の種類によっては、その本人確認資料5の発行母体が真贋判定ロジックを公開、提供している場合もあり、それらをそのまま真贋判定ロジックテンプレート編集部12に対して入力することも可能である。
【0028】
図3は、真贋判定ロジックの一例を示す図である。図4は、図3に示す真贋判定ロジックをテンプレート化した真贋判定ロジックテンプレートの一例を示す図である。
図3に示す真贋判定ロジックは、例えば、本人確認資料5である保険証の氏名記載欄に記載された姓名の文字配列を判定するための真贋判定ロジックである。
【0029】
ここで、図3に示す真贋ロジックは、本保険証を発行した発行母体は「××健康保険組合」であること、氏名文字列において、「姓」が「2文字」、「名」が「2文字」の場合は、姓名の文字配列が「スペース、文字、スペース2つ、文字、スペース3つ、文字、スペース2つ、文字、スペース(図3では白丸がスペースを、黒丸が文字を示す)」となり、文字間のスペースの数は「1・2・3・2」であることを示す。また、「姓」が「2文字」、「名」が「3文字」の場合は、姓名の文字配列が「スペース、文字、スペース、文字、スペース3つ、文字、スペース、文字、スペース、文字、スペース」となり、文字間のスペースの数は「1・1・3・1・1」であることを示す。本人確認資料5の発行母体により文字配列が決まっている場合は、図3に示すように発行母体に対応させて真贋判定ロジックを入力する。
【0030】
図4に示す真贋判定ロジックテンプレート70は、図3に示す文字配列に関する真贋判定ロジックをXMLでテンプレート化した真贋判定ロジックテンプレートである。真贋判定ロジックテンプレート70において、符号71は、保険証の発行母体が「××健康保険組合」であることを示し、符号71は、氏名記入欄の文字列で「姓」が「2文字」、「名」が「2文字」の場合は「×○××○×××○××○×」(×はスペース、○は文字を示す)という文字配列になることを示し、符号72は、氏名記入欄の文字列で「姓」が「2文字」、「名」が「3文字」の場合は「×○×○×××○×○×○×」という文字配列になることを示す。
【0031】
次に、真贋判定装置3による本人確認資料5の判定処理について説明する。
図2において、スキャニングシステム4が真贋判定の対象となる本人確認資料5をスキャニングし(ST201)、画像データ41を真贋判定装置3に送信する。
真贋判定装置3の判定対象スキャニング画像キャッシュ部21は、画像データ41を取り込み(ST202)、画像解析部22に送信する。画像解析部22は、画像データ41の外観的特徴(レイアウト)の解析を行い、OCRエンジン23は画像データ41の文字や画像を識別する(ST203)。
【0032】
ST203では、例えば、画像解析部22が、画像データ41の画像の特徴点を検出し、その特徴点を基点として画像データ41における画像や文字列の位置や大きさ等を検出し、OCRエンジン23は、検出された画像や文字列の位置や大きさ等を参照して、文字列の文字認識、フォントの書体、色、サイズの認識、画像の色(本人確認資料5に使用されている色を含めて)等を認識する。
【0033】
ST203の解析結果(真贋判定対象情報)は真贋判定処理部25に通知される。真贋判定処理部25は、通知された画像データ41の解析結果と、真贋判定ロジックテンプレート記憶部12に記憶された真贋判定ロジックテンプレートとを用いて画像データ41、即ち本人確認資料5の真贋の判定を行う(ST204)。判定方法としては、文字列や画像の位置、配列等の真贋判定ロジックテンプレートとその解析結果のマッチングを調べて、真贋の判定を行う方法がある。
【0034】
さらに、判定情報が不足する場合は、真贋判定処理部25は、解析結果から得られた本人確認資料5に記載された文字情報を読み出し、外部システム6の個人認証データベース62から本人確認資料5を発行する際に記憶された本人確認資料5の所有者の情報を読み出し、両者を比較して判定することも可能である。また、真贋判定処理部25は、解析結果から得られた本人確認資料5に記載された文字情報を読み出し、当該本人確認資料5の所有者に関する過去の判定履歴(真贋判定装置3で記憶してもよい)やブラックリストデータベース63に記憶された情報を参照して判定することも可能である。
【0035】
図2に戻り、ST204で真贋判定処理部25が画像データ41を「真(本物である)」と判断した場合、真贋判定処理部25は、スキャニングシステム4に判定結果を通知する(ST205)。スキャニングシステム4を有する事業者は、本人確認資料5が正しいものとして本人確認を行い、本人確認資料5の所有者に対してサービスを提供する(ST206)。
【0036】
ST204で真贋判定処理部25が画像データ41を「贋(偽造品である)」と判断した場合、真贋判定処理部25は、ブラックリストデータベース63や自身の判定履歴記憶部等に判定結果を記憶する(ST207)。
真贋判定処理部25は、解析結果から得られた本人確認資料5に記載された文字情報を個人情報データとして読み出し(ST208)、対象となる外部システム6(例えば、当該事業者の事業者管理システム61や個人認証データベース62)に記憶する(ST209)。
【0037】
真贋判定傾向分析学習AI27は、判定結果後も判定結果のエラーに関する情報の入力を受け付け(ST210)、必要であれば、真贋判定ロジックテンプレートを更新して記憶する(ST211)。真贋判定傾向分析学習AI27は、例えば、同じ種類の本人確認資料5において、同じ文字列の真贋判定におけるエラーが多数あった場合に、真贋判定ロジックの見直しを管理者等に通知してもよい。また、同じ発行母体の本人確認資料5において判定エラーが多数あった場合は、本人確認資料5のレイアウトが変更された可能性もあるため、真贋判定装置3はその旨を管理者等に通知し、管理者は真贋判定ロジックを発行母体に確認することも可能である。
【0038】
次に、図2のST204における真贋判定処理部25による真贋判定ロジックテンプレートと画像データ41の解析結果のマッチングによる判定について説明する。
図5は、判定対象となる本人確認資料5の一例を示す図である。図5に示す本人確認資料5の一例は、写真付の社員証80である。社員証80には、事業所名81、氏名82、社員番号83、顔画像84、有効期限85等が印刷されている。
【0039】
社員証80がスキャニングシステム4でスキャンされると、その画像データ41は真贋判定装置3に送信され、画像解析部22によって解析され、OCRエンジン23によって文字や画像の認識が行われる。その解析結果、認識結果は真贋判定処理部25に通知される。
【0040】
真贋判定処理部25は、OCRエンジン23による事業所名81の認識結果から、発行母体が事業所名81である真贋判定ロジックテンプレートを真贋判定ロジックテンプレート記憶部12から読み出す。図6は、図5に示す本人確認資料5用の真贋判定ロジックテンプレートの一例を示す図である。図6に示す真贋判定ロジックテンプレートにおける符号91は事業所名81と一致する。これは、図6に示す真贋判定ロジックテンプレートが事業所名81に属する社員の社員証の真贋判定を行うための真贋判定ロジックテンプレートであることを意味する。
【0041】
真贋判定処理部25は、社員証80の画像データ41の解析認識結果と、図6に示す真贋判定ロジックテンプレートとのマッチングを行う。真贋判定処理部25は、図5に示す氏名82の位置、文字配列の認識結果が、真贋判定ロジックテンプレートの符号92と一致するかどうかを調べる。真贋判定ロジックテンプレートの符号92は、図4で説明したものと同様の文字配列の真贋判定ロジックテンプレートである。
【0042】
次に、真贋判定処理部25は、図5に示す社員番号83の画像データ41の認識結果が図6に示す真贋判定ロジックテンプレートの符号93に一致するかどうかを判定する。真贋判定ロジックテンプレートの符号93は、社員番号に関する「AA事業所(事業所名81)」の特有の計算ロジックであり、真贋判定処理部25は、認識された社員番号83がその計算ロジックに適合した番号かどうかを調べる。また、図6に示す真贋判定ロジックテンプレートの符号94は、数字フォントの画像が格納されている比較元フォント/画像記憶部13のパスを示す。真贋判定処理部25は、図5に示す社員番号83の画像データ41の認識結果から社員番号83の数字のフォントと、真贋判定ロジックテンプレートの符号94に記載されたパスに格納されたフォントと一致するかどうかを判定する。
【0043】
図6に示す真贋判定ロジックテンプレートの符号95は、顔画像84の位置座標を示す真贋判定ロジックであり、例えば、社員証80の画像データ41における特徴点を基準点としたときの顔画像の左下x座標と左下y座標を示す。画像解析部22は、画像データ41の特徴点を抽出し、社員証80における顔画像84の位置座標を求め、真贋判定処理部25に通知する。真贋判定処理部25は、画像解析部22が求めた顔画像84の位置座標と、真贋判定ロジックテンプレートの符号95とが一致するかどうかを判定する。
なお、ここでは顔画像84の位置を例に説明したが、その他の文字列や印章等の位置に関して同様に真贋判定することが可能である。
【0044】
図6に示す真贋判定ロジックテンプレートの符号96は、社員証の有効期限に関する真贋判定ロジックを示し、例えば、「読み取った有効期限は、現在の日付以降でなくてはならない」という日付に関する条件を示すものである。真贋判定処理部25は、社員証80の画像データ41の認識結果から読み出した有効期限85が、真贋判定ロジックテンプレートの符号96の条件を満足するかどうかを判定する。
【0045】
以上述べたように、真贋判定処理部25は、本人確認資料5の画像データ41の解析結果、認識結果と、真贋判定ロジックテンプレートとをマッチングして、全ての真贋判定ロジックテンプレートに対して正しいと判定された本人確認資料5を本物であると判定する。
なお、真贋判定処理部25による真贋判定ロジックの他の例として、チェックディジットを用いてもよい。また、色の明度に関する情報等を真贋判定に用いてもよい。
また、本実施の形態では社員証を例に真贋判定処理を説明したが、本人確認資料5としては、保険証、運転免許証、会員証、本人確認資料5のコピーなどにおいても、その外観的特徴(レイアウト)を抽出し、真贋判定ロジックテンプレートとをマッチングして真贋判定を行うことが可能である。
【0046】
なお、本発明における処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより真贋判定を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0047】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1………真贋判定システム
3………真贋判定装置
4………スキャニングシステム
5………本人確認資料
6………外部システム
11………真贋判定ロジックテンプレート編集部
12………真贋判定ロジックテンプレート記憶部
13………比較元フォント/画像記憶部
14………暗号処理部
15………HSM
21………判定対象スキャニング画像キャッシュ部
22………画像解析部
23………OCRエンジン
24………取得文字情報取得画像記録部
25………真贋判定処理部
26………真贋判定結果記録部
27………真贋判定傾向分析学習AI
41………画像データ
61………事業者管理システム
62………個人認証データベース
63………ブラックリストデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本人確認資料に記載された文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートを記憶する真贋判定ロジックテンプレート記憶部と、
前記本人確認資料或いは前記本人確認資料のコピーをスキャニングするスキャニング装置によってスキャニングされた画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記画像データを解析する解析部と、
前記解析部によって得られた前記画像データのレイアウトと、前記真贋判定ロジックテンプレートとを照合して、前記本人確認資料の真贋を判定する真贋判定部と、
を備えることを特徴とする真贋判定装置。
【請求項2】
前記真贋判定ロジックテンプレート記憶部は、前記文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートを、前記本人確認資料の発行者に対応させて記憶し、
前記解析部は、前記画像データから当該本人確認資料の発行者を認識し、
前記真贋判定部は、前記解析部によって認識された当該本人確認資料の発行者に対応させて記憶された真贋判定ロジックテンプレートを用いて、当該本人確認資料の真贋を判定する
ことを特徴とする請求項1記載の真贋判定装置。
【請求項3】
前記真贋判定ロジックテンプレート記憶部は、前記本人確認資料に記載された文字に使用するフォントに関する真贋判定ロジックテンプレートを記憶し、
前記解析部は前記画像データの前記文字に使用されるフォントを認識し、
前記真贋判定部は、前記解析部によって認識された前記文字に使用されるフォントと、前記フォントに関する真贋判定ロジックテンプレートとを照合して、前記本人確認資料の真贋を判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真贋判定装置。
【請求項4】
前記真贋判定ロジックテンプレート記憶部は、日付の条件に関する真贋判定ロジックテンプレートを記憶し、
前記解析部は前記画像データの前記日付を認識し、
前記真贋判定部は、前記解析部によって認識された前記日付が、前記日付の条件に関する真贋判定ロジックテンプレートに適合するかどうかを判定して前記本人確認資料の真贋を判定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真贋判定装置。
【請求項5】
本人確認資料に記載された文字や画像のレイアウトに関する真贋判定ロジックテンプレートを予め記憶するステップと、
スキャニング装置により前記本人確認資料或いは前記本人確認資料のコピーをスキャニングして生成された画像データを解析するステップと、
前記解析によって得られた前記画像データのレイアウトと、前記真贋判定ロジックテンプレートとを照合して、前記本人確認資料の真贋を判定するステップと、
を備えることを特徴とする真贋判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−178075(P2011−178075A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45733(P2010−45733)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】