説明

眼の焦点を合わせやすく薄く折り畳める書見台

【課題】本発明は、書物を読む際に眼が疲れにくく、折り畳みが簡単にできる書見台を提供する。
【解決手段】書物全体を支える本体枠と、書面を保持する一対の支持枠と、本体枠に摺動する伸縮枠と、本体枠を支える底枠と、底枠と伸縮枠を着脱可能に接合された背柱枠を具備し、それぞれの枠を接手で接合した構造体からなり、伸縮枠を本体枠の縦軸に沿って摺動させることにより、書物の起立角度を調整させることができ、支持枠に取付けたアームを底枠の両側に取付けた支持枠保持板の係止溝に係合させることにより、書物の見開角度を左右それぞれ独立して調整させることができ、また伸縮枠と背柱枠の接手を外すことにより薄く折り畳めるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読みやすく持ち運びに便利な書見台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の書見台は、書物を読みやすくするために、書物の起立角度を可変するものや、書面の付勢を防止する押さえ具を設けて机上で使用するものが多く提案されてきたが、書面を受ける支持部を左右独立して傾斜させ、薄く折り畳めて、見やすく持ち運びを容易にする書見台はなかった。
【0003】
書物の起立角度を調整する書見台として特許文献1があるが、これは基台に対して引出を出し入れし、係止位置を変えることで、起立角度を段階的に変えられるようにしたもので、左右の書面に対し眼の焦点を合わせやすくするものではなかった。
また、起立角度を無段階に変えられるフーム構造の書見台として特許文献2があるが、これは従来の書見台をフレーム構造にして使いやすくしたもので、
折り畳めて持ち運びを容易にするものではなかった。
【特許文献1】特開平7−313260
【特許文献2】特表2004−508154
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、書物を読む機会は多様化し、屋内では机上以外の膝の上やソファーに座った姿勢で、さらには布団やトイレの中で、屋外では公園のベンチや移動する車中などで楽な姿勢で安定して読書のできる書見台が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
書物を支える本体枠と、本体枠に摺動可能に挿入された伸縮枠と、書面を保持する一対の支持枠と、本体枠を支える底枠と、底枠と伸縮枠を着脱可能に接合する背柱枠を、それぞれの接手で接合した構造体からなり、
【0006】
伸縮枠を本体枠の2本の柱に沿って摺動させることにより、書物の起立角度を調整させることができ、支持枠に取付けたアームを底枠の両側に取付けた支持枠保持板の係止溝に係合させることにより、書物の見開角度を左右それぞれ独立して調整させることができ、また伸縮枠と背柱枠の接合を外すことにより薄く折り畳めるようにした書見台である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の本体枠の2本の柱内に挿入された伸縮枠の位置を調整させることで書物の起立角度を変えられるようにし、支持枠に取付けられたアームの位置を調整させることで書面の見開角度を変えられるようにしたことで、書面と目線の角度をほぼ垂直になるようにできたので、眼の焦点が合わせやすくなり、疲れることなく読書をすることができた。また、眼の焦点を合わせる最適条件は一般に起立角度が60°〜80°、見開角度が110°〜180°、焦点距離が30cm〜40cmとされており、この条件に調整範囲を定めることができた。
【0008】
請求項2記載のそれぞれの枠を同一平面上に配置させ、接手で接合する構造にしたため、折り畳み厚さを薄くすることができた。
【0009】
請求項3記載の左右の支持枠にアームを取付け、底枠の両側に複数の溝を有する支持枠
保持板を設けてアームと溝を係合するようにし、書物を受台に載せたまま独立して見開角度を調整するようにできたため、書物と正対していない姿勢でも書面と目線の角度をほぼ直角になるようにできるため、疲れることなく読書をするようにできた。
【0010】
請求項4記載の伸縮枠と背柱枠の接合を着脱可能な接手で外せるようにしたため、容易
に折り畳むことができた。
【0011】
請求項5記載の上下ケース内に書見台を格納し、上ケースが背柱枠の代わりをなし、下ケースが底枠の代わりをなすようにしたため、コンパクトで、持ち運びを容易にすることができた。
【0012】
請求項6記載の書物や新聞を固定する付属品を備えるようにしたため、書見台の構造を簡素化することができた。
【0013】
請求項7記載の書物の高さを変えられる補助台を備えるようにしたため、書物や新聞を楽な姿勢で読めるようにできた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
伸縮枠を摺動させることにより起立角度を調整し、アームを支持枠保持板に係合させることにより見開角度を調整できる書見台の実施例を示す。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の書見台を示す図である。
書物の背部を支える本体枠10と、書面を保持する一対の支持枠20と、書物の起立角度を調整する伸縮枠30と、書面の見開角度を調整するアーム40と、本体枠10を下面から支える底枠50と、底枠50と伸縮枠30を連結する背柱枠60からなる。
【0016】
本体枠10と、支持枠20と、伸縮枠30と、アーム40と、底枠50と、背柱枠60、および本体枠10と底枠50、底枠50と背柱枠60を連結する接手53,54は軽くて丈夫な軽合金材で、本体枠10と支持枠20、支持枠20とアーム40、伸縮枠30と背柱枠60を連結する接手24,25,43,61は安価で成形性のよい合成樹脂材で製作されている。また、軽合金材の代わりにスチール材、ステンレス材、合成樹脂材を使用することもできる。
【0017】
本体枠10は、2本の柱からなる本体枠縦軸11,12と、L字状に折り曲げられた一対の本体枠横軸13,14を備え、本体枠縦軸11,12の下端に本体枠横軸13,14の上端が挿入固定されている。
【0018】
支持枠20は、略コ字状に形成され、両端部が本体枠10の本体枠縦軸11,12と支持枠接手24,25により揺動可能に接合されている。支持枠接手24,25は、図2に示すように、4本の平行溝を有し、内側の2本溝は本体枠10の本体枠縦軸11,12に圧入固定され、外側の2本溝は支持枠20の両端部と揺動可能に接合されている。支持枠接手24には溝に平行して中心部に軸穴26が設けられている。また支持枠20の対向する上下軸に架けて、書類や原稿などを載せられ、さらには書物付属品の取付板71を保持するU字状の受台23が支持枠(左)(右)21,22にスポット溶接されている。
【0019】
伸縮枠30は、長いコ字状に形成され、両端は本体枠縦軸11,12のパイプ内に摺動可能に挿入されている。伸縮枠30の先端を本体枠縦軸11,12から遠ざけると起立角度が小さくなり、近づけると起立角度が大きくなる。起立角度は45°〜85°の範囲で調整することができる。また本体枠縦軸11,12のパイプ内から伸縮枠30が抜け出るのを防止するために、ワイヤ31にリング32を結合した抜止が支持枠接手24の軸穴26を通して伸縮枠30の先端部に取付けられている。また、図3に示すように、外筒64と内筒63からなる伸縮棒62に、上端は着脱可能な接手65を、下端は回転可能な接手66を設けて、底枠50と本体枠縦軸11,12に直接連結させ、外筒64を回転させることにより内筒63を軸方向に変化させて起立角度を無段階に可変させることもできる。
【0020】
アーム40は、略三角形状に形成され、一端部が支持枠20に取付けられたアーム接手43に接合されている。アーム接手43は、図4に示すように、2本の平行溝を有し、一方の溝はそれぞれの支持枠(左)(右)21,22の下軸に圧入固定され、他方の溝はアーム(左)(右)41,42の一端部に揺動可能に接合されている。図5に示すように、アーム(左)(右)41,42一端部の対面軸が、底枠50両側の軸方向に離間して複数の係止溝を有する支持枠保持板52の係止溝と係合させることにより、支持枠20の見開角度を変えることができる。
【0021】
底枠50は、両側枠を中間枠51で結合した略H状に形成され、一方の端部は本体枠10のそれぞれの本体枠横軸13,14と、他方の端部は背柱枠60の端部と、揺動可能に底枠接手(前)(後)53,54で接合されている。
【0022】
背柱枠60は、長い略コ字状に形成され、先端部は着脱可能に伸縮枠30の先端部と背柱枠接手61で接合されている。
【0023】
図6に示すように、伸縮枠30と、背柱枠接手61で接合された長い略コ字状の背柱枠60を外すことで、全ての枠と接手は同一平面上に載るように構成されている。
【実施例2】
【0024】
図7は、本発明の他の実施例の書見台を示した図である。この実施例の書見台は、重ねた際に、内部に空間を形成する箱形長方形状の上下ケース内67,55に、前述の書見台の本体枠横軸13,14を下ケース55に揺動可能に取付け格納させたものである。
【0025】
前述の実施例との相違は、上ケース67が背柱枠60の代わりを、下ケース55が底枠50の代わりをするようになっている。また、上ケース67には、上下ケース67,55の開閉を固定する引掛片68が取付けられており、これが着脱可能な背柱枠接手61の代わりをする。また、下ケース55の両側の側壁には複数の係止溝が設けられており、これが支持枠保持板52の代わりをする。
【0026】
本発明の実施例によれば、上ケース67を開いて、図8に示すように伸縮枠30を引掛片68に設けられた楕円穴69に取付け、アーム40を側壁の係止溝に係合させ、見開角度と起立角度を調整して、書物を読むことができる。
【実施例3】
【0027】
図9は、上記実施例に付属品を取付けて書物を読む状態を示した図である。上記の実施例に書物用付属品70を取付けて書物を読む方法を以下に説明する。
【0028】
書物用付属品70は、図10に示すように、書物を固定する一対の挟み具75と、書物を支える置台73を取付けた一対の取付板71と、取付板71を開閉可能に結合した背部72からなり、背部72に取付けられた凸部74を本体枠10の2本の縦軸11、12の隙間に差し込み、取付板71の下端部を受台23のU字状凹部に載せて書見台に固定される。
【0029】
取付板71の両側階段形状は、単行本程度の小さいサイズからグラビア雑誌程度の大きなサイズまでの書物に合わせて、下から上に向かって形成されている。書物を取付ける際は、書物をヒンジ結合された置台73に載せ、書物の背を凹溝72に落し込み、書物のサイズが取付板の両側階段状と合った位置で、挟み具75の書物固定クランプを用いて書物の見開き頁と取付板71の階段形状とを重ね合わせて書物の左右を挟み、安定保持させる。また頁捲りは、挟み具75の頁クランプを用いて交互に開閉して行う。
【0030】
図11は、挟み具75の詳細を示した図である。図11(A)に示すように、挟み具75は書物を取付板71に固定する固定クランプと頁を固定する頁クランプを備えている。これは頁捲りをする際に固定クランプを弛めると書物が動くのを防止するために、固定クランプを頁クランプと分離している。また挟み具75を収納ケース内に入れて持ち運びができるように、固定クランプのレバーは折り畳みを可能とするために図11(B)に示すように、h寸法を小さくしている。
【実施例4】
【0031】
図12は、高さを調整できる補助台90に前述の書見台を載せ、付属品を取付けて新聞を読む状態を示した図である。前述の実施例に新聞用付属品80を取付けて新聞を読む方法を以下に説明する。
【0032】
図13(A)は、新聞用付属品80を示す図である。新聞面を支える左右に開閉可能な一対の取付板81と、新聞の折畳み背部を固定する挟み具83と、それを案内する凹溝84と、新聞の捲れを防止する止部82からなっており、新聞付属品80の背部に取付けられた凸部85を本体枠10の本体枠縦軸11,12の隙間に差し込んで書見台に固定される。
【0033】
取付板の新聞取付面には新聞の折り畳み背部を固定する着脱可能な挟み具83が上下端に設けられ、挟み具間には新聞の折り曲げ部を落とし込む凹溝84が設けられている。また取付板の下部には新聞紙が不測に乱れるのを防止するヒンジ結合された止部82が備えられている。
【0034】
新聞を取付ける際は、図13(B)に示すように、左右の取付板81を見開き角度300°近く開き、新聞取付面が上を向くようにし、挟み具83を取り外して新聞紙の折り畳み背部の両端に差込み挟んだ後に、折り畳み背部を凹溝84に落とし込みながら上下端の挟み具83を取付板の背部に弾性力で固定する。図に示していないが、挟み具83の底面に鉄板を設けて、新聞取付板背部に取付けられた磁石で固定することもできる。
以上、実施例をあげて本発明を詳細に説明した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
1.書物などの起立角度と書面の左右見開角度を独立して調整できるため、眼の焦点があわせやく、疲れない。
2.軽量でコンパクトにできるため、屋内だけでなく屋外でも、読む人の楽な姿勢に合わせて読書をすることができる。
3.書物を読む際に、書物を保持する必要がないので、読む人の両手は道具を持つなり記録するなど自由に使える。
4.ブックケース内に書物や備品などを収納できるので、物を探す手間が省け、忘れることもない。
5.付属品を用いることで、書物に応じた保持が確実にでき、サイズの小さな書物から新聞などの大きな書物まで安定した状態で読むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態1を示す書見台の構成図で、(A)は組立時の図、(B)は折り畳み時の図。
【図2】上記書見台の支持枠接手を示す図。
【図3】上記書見台に伸縮棒を用いた構成を示す図。
【図4】上記書見台のアーム接手を示す図。
【図5】上記書見台のアームと支持枠保持板の係合動作を示す図。
【図6】上記書見台のそれぞれの枠と接手を同一平面上に展開した構成を示す図。
【図7】本発明の実施形態2を示す書見台のケース内に格納する構成図で、(A)は組立時の図、(B)は折り畳み時の図。
【図8】上記書見台の伸縮枠をケース引掛片に接合した構成を示す図。
【図9】上記書見台に書物用付属品を取付けた状態を示す図。
【図10】上記書見台の書物取付板を示す図で、(A)は表図、(B)は裏図。
【図11】上記書見台の書物取付板に書物を取付る挟み具を示す図で、(A)は詳細図、(B)は折り畳み図。
【図12】上記書見台に新聞用付属品を取付けて新聞を読む状態を示す図。
【図13】上記書見台の新聞取付板を示す図で、(A)は取付板、(B)は新聞取付けの状態を示す図。
【符号の説明】
【0037】
10 本体枠
11 本体枠縦軸
12 本体枠縦軸
13 本体枠横軸
14 本体枠横軸
20 支持枠
21 支持枠(左)
22 支持枠(右)
23 受台
24 支持枠接手
25 支持枠接手
30 伸縮枠
40 アーム
41 アーム(左)
42 アーム(右)
43 アーム接手
50 底枠
52 支持枠保持板
53 底枠接手(前)
54 底枠接手(後)
55 下ケース
60 背柱枠
61 背柱枠接手
67 上ケース
68 引掛片
70 書物用付属品
80 新聞用付属品
90 補助台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書物を支える2本の柱からなる縦軸と一対の横軸を備えた本体枠と、本体枠の柱と摺動可能に挿入された伸縮枠と、本体枠の柱と揺動可能に接合され、書面を保持する左右一対の受台を備えた支持枠と、支持枠と揺動可能に接合されたアームと、前側が本体枠の横軸と揺動可能に接合され、複数の係止溝を有する支持枠保持板を両側に設けた底枠と、後側が底枠と揺動可能で、伸縮枠と接合された背柱枠を具備することを特徴とする書見台。
【請求項2】
本体枠と支持枠、支持枠とアーム、本体枠と底枠、底枠と背柱枠、背柱枠と伸縮枠を接手で接合し、同一平面上に展開できることを特徴とする請求項1記載の書見台。
【請求項3】
支持枠に取付けたアームを底枠の両側に設けた支持枠保持板の溝に係合させて、支持枠の見開角度を左右独立して調整できることを特徴とする請求項1記載の書見台。
【請求項4】
伸縮枠と背柱枠の接手が着脱できることを特徴とする請求項1記載の書見台。
【請求項5】
開閉可能に結合され、重ねると内部に空間を形成する上下ケースで、上ケースが背柱枠の代わりをなし、下ケースが底枠の代わりをなすことを特徴とする請求項1記載の書見台。
【請求項6】
書物や新聞を固定する付属品を備えていることを特徴とする請求項1または請求項5記
載の書見台。
【請求項7】
書物の大きさや読む位置に応じて、書物や新聞を読む高さを変えられる補助台を備えていることを特徴とする請求項1または請求項5記載の書見台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−18084(P2009−18084A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184213(P2007−184213)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(307019192)有限会社パールハート (5)
【Fターム(参考)】