説明

眼屈折力測定装置

【課題】信頼性を向上した測定データを得ることができる眼屈折力測定装置を提供する。
【解決手段】被検眼60の瞳孔内に測定光を投影し検影法を利用して被検眼60の乱視軸を含む眼屈折力を測定する眼屈折力測定装置51に、被検眼によって反射された測定光を受光する受光部60hと、水平方向の軸Yに対する受光部60hの傾き角度を検出する傾き水平センサ64と、測定光検出結果に対応した情報を測定者に対して表示するモニタ70とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の眼屈折力測定を行う眼屈折力測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、眼科を含む各医療現場において、眼屈折力を測定する眼屈折力測定装置が広く使用されている。例えば、特許文献1、特許文献2に記載された眼屈折力測定装置のように、検影法が適用された眼屈折力測定装置等である。
【特許文献1】特開平7−213485号公報
【特許文献2】特開平8−164114号公報
【0003】
しかし、眼屈折力測定装置が被検眼に対して回転して配置された場合には、乱視軸(乱視の軸角度)の測定データの信頼性が低下する。特に、手持型眼屈折力測定装置を使用する場合には、測定者の手振れ等により乱視軸の信頼性は低い状況であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、信頼性を向上した測定データを得ることができる眼屈折力測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1の発明は、検影法を利用して被検眼の乱視軸を含む眼屈折力を測定する眼屈折力測定装置において、被検眼(60)の瞳孔内に測定光を投影する測定光投影部(61)と、前記被検眼によって反射された測定光を受光する受光部(61h)と、測定基準(Y)に対する前記受光部の傾き角度を検出する傾き角度検出部(64)と、前記傾き角度検出部の検出結果に対応した情報を測定者に対して告知する告知部(70)と、を備えることを特徴とする眼屈折力測定装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の眼屈折力測定装置において、前記測定基準は、水平方向(Y)又は鉛直方向(Z)の基準線であり、前記傾き角度検出部(64)は、前記基準線に対する前記受光部(61h)の傾き角度を検出すること、を特徴とする眼屈折力測定装置である。
請求項3の発明は、請求項1に記載の眼屈折力測定装置において、前記測定基準は、被検者の左眼の略中心と右眼の略中心とを結ぶ基準線であり、前記傾き角度検出部は、前記基準線に対する前記受光部の傾き角度を検出すること、を特徴とする眼屈折力測定装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の眼屈折力測定装置において、前記告知部(70)は、前記傾き角度検出部(64)の検出結果に対応した情報を表示する表示部(75)を備えること、を特徴とする眼屈折力測定装置である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の眼屈折力測定装置において、前記傾き角度検出部の検出結果に基づいて、測定した前記乱視軸に関するデータを補正する屈折力測定部を備えること、を特徴とする眼屈折力測定装置である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5でのいずれか1項に記載の眼屈折力測定装置において、この測定装置(51)は、測定者が把持して測定を行う手持ち型であること、を特徴とする眼屈折力測定装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、測定基準に対する受光部の傾き角度を検出して測定者に告知するので、測定者が告知に従って装置の傾き角度を修正できるため、特に乱視軸の測定データの信頼性を向上することができる。
(2)本発明は、測定基準が水平方向又は鉛直方向の基準線であるので、被検者が直立して水平方向を向いている通常の測定における測定データの信頼性を向上することができる。
【0009】
(3)本発明は、測定基準は、被検者の左右の眼の略中心を結ぶ基準線であるので、基準線が水平方向から傾いている場合、例えば被検者の顔が左右に傾いている場合や被検者が横になっている場合に、その傾いた基準線に合わせるように傾き角度を修正できるので、測定データの信頼性を向上することができる。
(4)本発明は、被検眼と傾き角度検出部の検出結果に対応した情報とを表示するので、測定者は、表示を確認することにより、傾き角度を修正することができる。
【0010】
(5)本発明は、傾き角度検出部の検出結果に基づいて乱視軸に関するデータを補正するので、傾き角度がずれている状態でも信頼性の高い測定データを得ることができる。
(6)本発明は、測定者が把持して測定を行う手持ち型であるので、据え置き型の装置のように被検者の体勢を制約することがなく、様々な被検者に対して信頼性を向上した測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、信頼性を向上した測定データを得ることができる眼屈折力測定装置を提供するという目的を、検影法を利用して被検眼の乱視軸を含む眼屈折力を測定する眼屈折力測定装置に、被検眼によって反射された測定光を受光する受光部と、水平方向の軸Yに対する受光部の傾き角度を検出する傾き角度検出と、測定光検出結果に対応した情報を測定者に対して表示するモニタとを備えることによって実現した。
【0012】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の眼屈折力測定装置の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本実施形態の眼屈折力測定装置51の構成を示す図である。
図2は、本実施形態のチョッパ61aの縞模様を示す図である。
図3は、本実施形態の受光部61hの受光領域A1〜A4を示す図である。
図4は、本実施形態のモニタ70の表示例を示す図である。
以下、図中において水平方向の1軸を軸X、軸Xに直交する水平方向の軸を軸Y、鉛直方向の軸を軸Zと図示して説明する。
眼屈折力測定装置51は、検影法を利用して被検眼の球面度数、乱視度数、乱視軸を含む眼屈折力を測定する測定装置である。
図1に示すように、眼屈折力測定装置51は、測定者がグリップ53を把持して測定を行う手持ち型の測定装置であり、測定者は、測定光の光軸Oが軸Xに平行になるように眼屈折力測定装置51を配置して被検眼60に測定光を入光させる。
【0013】
眼屈折力測定装置51は、ケース52、グリップ53、撮像部59と、測定部61、投影部62、ダイクロイックミラー63、水平センサ64(傾き角度検出部)、制御部65、モニタ70等を備えている。
グリップ53は、測定時に測定者が把持しやすいように、測定時においてその長手方向が鉛直方向になるようにケース52に固定されている。
【0014】
撮像部59は、被検眼60の画像を撮像し、画像情報を制御部65に出力するための部分である。撮像部59は、ハーフミラー59aと、レンズ59bと、CCD(charge coupled device)59cと、凸レンズ59dとを備えている。被検眼60からの近赤外光は、ダイクロイックミラー63に反射されハーフミラー59aを透過してCCD59cの撮像面に導かれ、この間に凸レンズ59d及び凸レンズ59bを通過することによりCCD59cの撮像面に結像される。これにより、撮像部59は、被検眼60の画像情報を取得することができる。
【0015】
投影部62は、被検眼60に近い側から順に、凸レンズ62c、視標62a、可視光光源62bが配置されており、さらに、モータ62dを備えた視標投影手段である。
可視光光源62bによって照明された視標62aからの光束は、凸レンズ62cを通過しハーフミラー59aにより反射した後、さらに凸レンズ59dを通過してダイクロイックミラー63により反射されて被検眼60へ入射し、被検眼60の網膜上で結像する。なお、視標62aからの光束は、凸レンズ62c及び凸レンズ59dを通過することにより平行光束に近い状態に変換され、被検眼60へ入射する。したがって、被検眼60から見ると、視標62aの位置は、実際の位置よりも遠方にあるように見える。
投影部62では、モータ62dの回転により不図示の視標移動機構を介して視標62a、可視光光源62bを光軸方向(図1中の矢印B方向)に移動可能になっている。このとき、視標62aと可視光光源62bとは、互いの位置関係を不変にした状態で、被検眼60の光軸方向に移動する。
【0016】
測定部61は、測定原理として検影法を利用して、網膜上における陰影の動きの位相差を検出することにより眼屈折力を測定する部分である。
測定部61は、スリットが形成されたチョッパ61a、チョッパ61aを回転させるモータ61i、チョッパ61aを照明する赤外光光源61b及びレンズ61c、チョッパ61aにより形成される縞模様を被検眼60の瞳孔内の眼底に投影するレンズ61d等を有した縞模様投影手段(測定光投影部)と、被検眼60の眼底により反射され戻る光が形成する縞模様の移動速度を検出する受光部61hの他、ハーフミラー61e、レンズ61f、絞り61g等を備えている。
測定部61から出射される測定光(赤外光)は、ハーフミラー61eにより被検眼60へ導かれ、一方投影部62から出射される測定光(可視光)は、ハーフミラー59a、ダイクロイックミラー63により被検眼60へ導かれる。ここで、測定部61のチョッパ61aが回転するので、被検眼60の眼底に投影される縞模様は移動する。そして、被検眼60から戻る赤外光により、受光部61h上に形成される縞模様の移動速度は、被検眼60の眼屈折力に応じて変化する。
【0017】
図2に示すように、チョッパ61aは、縞模様として2種類の方向の縞61j、61kが形成されており、1周するとその像が被検眼の瞳孔から反射して受光部61hに結像する。
【0018】
受光部61hは、被検眼の瞳孔からの反射光を撮像可能な撮像素子が用いられている。
図3に示すように、受光部61hは、被検眼60に対して縞を走査する方向である軸My方向に対向配置された円弧状の受光領域A1,A2が信号処理上で設定されている。同様に、被検眼に対して縞を走査する方向であり、軸My方向に直交する軸Mz方向に対向配置された受光領域A3,A4が信号処理上で設定されている。なお、軸My及び軸Mzに直交する方向が光軸Oである。受光部61hは、これらの対になった受光領域の出力信号の位相差を測定することにより、光パターンの動きの方向、大きさを測定することができ、球面度数、乱視度数、乱視軸等の眼屈折力が算出される。本実施形態ではモータ61iの1周(チョッパ61aの1周)により、1回の測定値を得ることが可能となる。
後述するように、信頼性の高い乱視軸の眼屈折力データを測定するためには、走査する軸My方向が測定基準である水平方向の軸Y(基準線)に平行になるように、眼屈折力測定装置51を配置する必要がある。
【0019】
ダイクロイックミラー63は、被検眼60から戻る赤外光については、透過させて測定部61へ戻し、一方被検眼からの可視光については、反射させてCCD59cの方向に導く働きをする。
【0020】
図1に戻って、水平センサ64は、センサに働く重力を測定する加速度センサである。水平センサ64は、2軸の加速度センサであり、軸X回り(矢印θx参照)及び軸Y回り(矢印θy参照)の受光部61hの傾き角度を検出することができる。水平センサ64の検出信号は、制御部65に出力される。水平センサ64は、1つの軸方向が走査方向の軸My(図4参照)の方向に一致するように配置されている。このため、軸Myが水平方向の軸Yに平行になるように配置されている場合、軸Yに直交する軸X回りの受光部61hの傾き角度を示す出力が「0」となる。
なお、水平センサ64は、加速度を測定するもう1つの軸方向が、受光部61hの測定光の光軸O(図1参照)の方向に一致するように配置され、受光部61hの軸Y回りの傾き角度を検出することができる。
【0021】
制御部65は、CPU、及びその動作に使用されるメモリを備えた回路等からなり、受光部61hの出力する信号を参照して、可視光光源62b、赤外光光源61b、モータ62d、61iを駆動制御したり演算を行ったりする。制御部65は、測定部61を駆動しながらその出力を参照するとともに、可視光光源62bを駆動しながらモータ62dを駆動制御することにより、視標62a及び可視光光源62bの配置、及び、位置の走査を行う。また、制御部65は、撮像部59からの被検眼60の画像情報を、モニタ70に出力する。
【0022】
制御部65は、屈折力測定部66、水平算出部67を備えている。
屈折力測定部66は、測定部61及び投影部62を制御しながら通常屈折力の測定を行う。
水平算出部67は、測定時に常時動作しており、水平センサ64から出力された検出信号に基づいて、眼屈折力測定装置51の光軸O回りの軸Xに対する受光部61hの傾き角度を算出してリアルタイムでモニタ70に出力している。これにより、測定者は、眼屈折力測定装置51の傾き角度を認識することができる。
【0023】
モニタ70は、撮像部59が撮像した被検眼の画像と、撮影時の各種情報が表示するためのLCD(液晶表示装置)等の表示部であり、眼屈折力測定装置51の背面に配置されている。測定者は、モニタ70に表示される情報を確認しながら測定を行う。
図4(a)に示すように、モニタ70の表示エリアには、被検眼60の画像が表示され、測定モードを表示する測定モード表示エリア71と、バッテリ容量を表示するバッテリ容量表示部72と、被検者の左右の被検眼の測定回数をそれぞれ表示する測定回数表示エリア73と、測定データを表示する測定データ表示エリアア74a〜74cと、受光部61hつまり眼屈折力測定装置51の傾き角度を表示する傾き角度表示部75等とを有している。
測定データ表示エリア74a〜74cには、近視又は遠視の度合の測定データ、乱視の度合の測定データ、乱視軸の傾きの度合の測定データがそれぞれ表示される。
【0024】
傾き角度表示部75には、水平センサ64による出力に基づいて算出された眼屈折力測定装置51の傾き角度に関する情報が、水平算出部67によって表示(告知)される。傾き角度表示部75には、傾き角度に関する情報を表示するために、眼屈折力測定装置51の模式的な外形図(矢印X方向からの外形図)75aと、傾き角度の修正指示を表示する修正指示75b等とが表示される。
【0025】
図4(a)に示す状態では、受光部61hすなわち眼屈折力測定装置51の傾き角度が適性であり、傾き角度表示部75には、正立の状態である外形図75aが表示され、また修正指示75b「OK」が表示されている。
図4(b)に示す状態では、眼屈折力測定装置51が軸X回り右側に2度回転している状態であり、傾き角度表示部75には、右側に回転した状態の外形図75aが表示され、また測定者に眼屈折力測定装置51を正位置に修正させるために、修正方向を矢印75cで示すともに修正指示75b「左へ2度修正」が表示されている。
逆に図4(c)に示す状態では、眼屈折力測定装置51が軸X回り左側に2度回転している状態であり、傾き角度表示部75には、左側に回転した状態の外形図75aが表示され、また測定者に眼屈折力測定装置51を正位置に修正させるために、修正方向を矢印75cで示すともに修正指示75b「右へ2度修正」が表示されている。
なお、傾き角度の修正指示に関する情報は、2度程度毎(つまり2度、4度,6度,・・・・)に表示するのが、測定者にとっては使い勝手がよい。例えば1度毎に表示されると、表示の変更が頻繁に行われ、測定者が煩わしさを感じるからである。
【0026】
(眼屈折力測定時の動作)
次に、この構成の装置を用いて、制御部65が行う眼屈折力測定の動作について説明する。
前述のようにモータ61iの1周(チョッパ61aの1周)により、1回の測定値(サンプリング値)を得ることが本実施形態では可能であることから、この1周で得られる1回の測定値を1サンプリング数とする。これは、例えばモータ61iが6000rpmで回転しているとすると、1回転には0.01秒かかる。しかしこれだけ早いと、測定データの安定度を得にくいため、複数回サンプリングし安定度(サンプリングデータの最大値−最小値の差分等)の判定を行う。
【0027】
(水平算出部の出力情報に基づく傾き角度の修正)
測定時に被検者は、体を直立した状態で目線を水平方向の軸X方向に向ける。このため、左眼の略中心と右眼の略中心とを結ぶ線は水平方向の軸Yに平行となる。この状態で、眼屈折力測定装置51の測定光の光軸Oを被検眼60の目線に合わせて、測定光を被検眼60に入光させ(図1参照)、かつ走査する軸My方向が水平方向の軸Yに平行になるように(図3参照)、眼屈折力測定装置51を配置するのが測定時の理想的な配置である。
眼屈折力測定装置51の測定光を被検眼に入光させ測定が開始されると、水平算出部67が、水平センサ64の出力に基づいて軸X回りの受光部61hの傾き角度を算出してリアルタイムでモニタ70に出力する。
【0028】
このため、図4(a)〜図4(c)を用いて説明したように、測定者は、眼屈折力測定装置51の傾き角度を認識することができる。測定者は、モニタ70に表示される情報に基づいて測定時の眼屈折力測定装置51の傾き角度を認識し、傾き角度を調整することができる。
これにより、眼屈折力測定装置51は、走査する軸My方向が水平方向の軸Yに平行になるように配置され、走査方向が水平方向(軸Y)及び鉛直方向(軸Z)に一致する。このため、眼屈折力測定装置51は、傾き角度にともなう測定データの誤差を低減することができ、特に乱視軸の測定データの信頼性を向上することができる。
【0029】
ところで、眼科を含む各医療現場では、低年齢の被検者(乳幼児、小児等)や、車椅子に座っている被検者等の場合、テーブル上に設置された据え置き型の眼屈折力測定装置では被検者の体勢を制約するために測定できないことが多い。このため、本実施形態のような手持型の測定装置を使用する場合が多い。しかし、従来の手持型眼屈折力測定装置の場合、測定者の手振れ等により測定項目である乱視軸(乱視の軸角度)の信頼性は、低い状況であった。これに対して、本実施形態の眼屈折力測定装置51は、前述したように測定者が傾き角度を容易に修正することができ、測定データの信頼性を向上することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の眼屈折力測定装置51は、測定基準に対する傾き角度を検出してモニタ70に表示するので、測定者が傾き角度を修正することができるため、特に乱視軸の測定データの信頼性を向上することができる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0032】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)本実施形態において、測定時の基準線は水平方向の軸である例を示したが、これに限定されない。例えば、基準線を被検者の左眼の略中心と右眼の略中心とを結ぶものとして、測定者が眼屈折力測定装置の傾き角度を修正してもよい。この場合、被検者の左右の眼を同時に撮像可能なCCD等のイメージセンサを設け、制御部が撮像データを処理して基準線を判定すればよい。これにより、被検者が直立した姿勢でない状態でも、測定者がその傾きに合わせて眼屈折力測定装置の傾き角度を修正し、信頼性の高い測定データを得ることができる。また、この場合、加速度センサ等の検出部が不要であるので、眼屈折力測定装置は、被検者が体を水平にして視線を鉛直方向又は水平方向に向けている状態でも測定をすることができる。
【0033】
(2)本実施形態において、眼屈折力測定装置の傾き角度を修正することにより信頼性の高い測定データを得られる例を示したが、これに限定されない。例えば、水平算出部は、メモリ装置等に測定時の傾き角度を記憶しておき、測定終了後に傾き角度に基づいて測定データを補正するようにしてもよい。この場合、測定された乱視軸データに水平検出部から得られた角度データを加算し求めればよい。これにより、眼屈折力測定装置は、傾き角度がずれている状態でも信頼性の高い測定データを得ることができる。
【0034】
(3)本実施形態において、眼屈折力測定装置は、手持ち型である例を示したが、これに限定されない。例えば、眼屈折力測定装置は、机等に配置される据え置型でもよい。この場合、机等が傾いていても、眼屈折力測定装置の傾き角度を修正するように配置することにより、信頼性の高い測定データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態の眼屈折力測定装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態のチョッパの縞模様を示す図である。
【図3】本実施形態の受光部の受光領域を示す図である。
【図4】本実施形態のモニタの表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
51 眼屈折力測定装置
59 撮像部
61 測定部
61a チョッパ
61b 赤外光光源
61c,61d レンズ
61e ハーフミラー
61f レンズ
61g 絞り
61h 受光部
61i モータ
62 投影部
62a 視標
62b 可視光光源
62c 凸レンズ
62d モータ
63 ダイクロイックミラー
64 水平センサ
65 制御部
66 屈折力測定部
67 水平算出部
70 モニタ
75 傾き角度表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検影法を利用して被検眼の乱視軸を含む眼屈折力を測定する眼屈折力測定装置において、
被検眼の瞳孔内に測定光を投影する測定光投影部と、
前記被検眼によって反射された測定光を受光する受光部と、
測定基準に対する前記受光部の傾き角度を検出する傾き角度検出部と、
前記傾き角度検出部の検出結果に対応した情報を測定者に対して告知する告知部と、
を備えることを特徴とする眼屈折力測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の眼屈折力測定装置において、
前記測定基準は、水平方向又は鉛直方向の基準線であり、
前記傾き角度検出部は、前記基準線に対する前記受光部の傾き角度を検出すること、
を特徴とする眼屈折力測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の眼屈折力測定装置において、
前記測定基準は、被検者の左眼の略中心と右眼の略中心とを結ぶ基準線であり、
前記傾き角度検出部は、前記基準線に対する前記受光部の傾き角度を検出すること、
を特徴とする眼屈折力測定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の眼屈折力測定装置において、
前記告知部は、前記傾き角度検出部の検出結果に対応した情報を表示する表示部を備えること、
を特徴とする眼屈折力測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の眼屈折力測定装置において、
前記傾き角度検出部の検出結果に基づいて、測定した前記乱視軸に関するデータを補正する屈折力測定部を備えること、
を特徴とする眼屈折力測定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の眼屈折力測定装置において、
この測定装置は、測定者が把持して測定を行う手持ち型であること、
を特徴とする眼屈折力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−307104(P2008−307104A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155225(P2007−155225)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(500400205)株式会社ライト製作所 (17)