説明

眼科装置、眼科システム、眼科装置の制御方法、及び該制御方法のプログラム

【課題】断層画像を解析することにより得られる情報に基づき、網膜の湾曲を補正する。
【解決手段】画像処理装置10を、被検眼の眼底の断層画像を取得する画像取得部100と、断層画像から層を抽出する層抽出部140と、前記断層画像の撮影時のコヒーレンスゲートの位置から抽出層までの距離を求める算出手段と、基準位置とコヒーレンスゲートと距離と被検眼の眼軸長とを取得する情報取得手段110と、被検眼との距離である作動距離を、コヒーレンスゲートの位置までの距離、被検眼の眼軸長、及び網膜距離から求める演算手段150と、求めた作動距離に基づいて断層画像を補正する補正手段160と、から構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置、眼科システム、眼科装置の制御方法、及び該制御方法のプログラムに関し、特に眼科診療等に用いられるこれら装置等に好適な画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣病や失明原因の上位を占める疾病の早期診断を目的として、眼底部の検査が広く行われている。光の干渉を利用して眼底の断層画像を撮影する光断層画像撮影装置(OCT;Optical Coherence Tomography)は、眼底の網膜の内部構造の状態を3次元的に観察することが可能であるため、疾病の診断に有用である。眼底の網膜は複数の層構造を示しており、各層の厚みが疾病の進行を示す指標となることが知られているが、OCTによりそれら層構造の定量的観察が可能となったため、疾病の進行のより正確な把握が期待されている。
【0003】
近年、アジア地域で多くみられる近視眼のOCTによる観察に注目が集まっている。近視眼では近視眼でない眼底よりも、網膜の湾曲が大きくなる場合があることが知られており、疾病との相関に関心が集まっている。
【0004】
図3に、近視眼眼底の黄斑付近の断層画像の模式図を示す。図3においてL1〜L4は網膜の層構造の境界を示しており、L1は内境界膜とその上部の組織との境界(以下ILMとする)、L2は神経線維層とその下部の層との境界(以下NFLとする)、L3は視細胞内節外節接合部との上部の層との境界(以下IS/OSとする)、L4は網膜色素上皮とその下部の組織との境界(以下RPEとする)を示している。図3に示すように、一般に近視等で湾曲が大きくなった眼底の断層画像においては、網膜層の層厚が実際の層厚より薄くなることが知られている。
【0005】
OCTで網膜の撮影を行う場合、OCTの対物レンズから被撮影眼までの距離を作動距離(WD)という。この距離は装置によって最適な値が指定され、前眼部を用いたピント合わせの段階で大体この最適値の付近となるよう操作法が決められている。しかし近視眼のように眼軸長が長く湾曲が大きな眼球の場合には、1枚の断層画像内に網膜層を収めるためにこの最適値からはずれたところで撮影を行うことも多い。
【0006】
OCTによる撮影では、このWDが変化すると撮影された断層画像において網膜の湾曲が変化する。近視眼の観察においては、湾曲の定量的な観察が必要となるため、この湾曲を補正する必要が生じる。
【0007】
ここで、2つのOCTにより取得される被検眼の前眼部の断層画像と眼底の断層画像とに基づいて該被検眼の眼軸長を計測することが、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US2007/0026217A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の手法を用いると眼軸長の計測は高精度で行うことができるが、2つのOCTが必要であるため、2つのミラーシステムで構成されることとなり、装置が大型化する。
【0010】
ところで、上述した湾曲を補正するためには、OCT断層画像を1枚取得するごとにWDを計測する必要がある。そのため、特許文献1のように、OCT断層画像を1枚取得するごとにメカ的に眼軸長を計測することになり、OCT断層画像1枚を取得する速度が参照ミラーの駆動速度に律束されることになる。あるいは、OCT断層画像1枚を取得する程度に高速駆動可能な参照ミラーを用いる必要がある。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するために好適な、眼科装置、眼科システム、眼科装置の制御方法、及び該制御方法のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、被検眼の眼底の断層画像を取得する画像取得手段と、前記断層画像の所定の層と、コヒーレンスゲートの位置と、前記被検眼の眼軸長と、に基づいて前記断層画像の撮影時の前記被検眼と前記画像取得手段との距離である作動距離を演算する演算手段と、前記作動距離に基づいて前記断層画像を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、断層画像を解析することにより得られる情報に基づき、網膜の湾曲を補正することができる。これにより、近視眼における湾曲の定量的な解析結果を行うことが可能になり、経時的な観察や被検眼間での比較を行うことも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1に係る画像処理装置10の機能構成を示す図
【図2】実施形態1に係る画像処理装置10の処理手順を示すフローチャート
【図3】湾曲の大きな網膜断層像の模式図
【図4】OCTを説明する図
【図5】WDと眼球、撮影画像内の網膜との位置関係を説明する図
【図6】模型眼による湾曲補正の例を示した図
【図7】模型眼による湾曲補正の例を示した図
【図8】実施形態2に係る画像処理装置10の機能構成を示す図
【図9】実施形態2に係る画像処理装置10の処理手順を示すフローチャート
【図10】被検眼の屈折要素のモデルを示す図
【図11】作動距離と回転中心から網膜までの距離の例を示す図
【図12】実施形態3に係る画像処理装置10の機能構成を示す図
【図13】実施形態3に係る画像処理装置10の処理手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
本実施例は、近視眼など湾曲が大きくなることが知られている疾病眼の網膜の湾曲を定量的に計測する場合に、撮影時の作動距離(WD)を用いて撮影された断層画像の網膜の湾曲の変化を補正し、正確な湾曲を計測する。より具体的には、被検眼の眼軸長を取得し、撮影時のコヒーレンスゲート位置と撮影された断層画像の網膜位置からWDを計算し、このWDの値を基に撮影された断層画像の補正を行う。このような補正を行うことにより、正確な湾曲を計測することが可能となり、被検眼間の比較や経時変化の評価が可能となる。
即ち、基準点から対物レンズまでの距離を取得しておき、被検眼の眼軸長及び撮影時のコヒーレンスゲート位置、撮影された断層画像の網膜位置を取得することによってWDを算出することで、湾曲の補正を行っている。
【0016】
図1は、本実施例に係る画像処理装置10の機能構成を示したものである。図中の100は本発明の画像取得手段にあたる画像取得部であり、光断層画像撮影装置(OCT)により撮影された断層像、もしくは外部のデータベースに保存された断層画像を直接、あるいは、ネットワーク等を介して取得する。110は入力情報取得部であり、被検眼の眼軸長や撮影時のコヒーレンスゲートの位置の情報を、OCTあるいはデータベースから取得する。取得した情報は制御部120を通じて記憶部130に記憶される。140は網膜層検出部、150は作動距離算出部、160は画像補正部であり、算出された作動距離に基づき撮影された断層像の検出された層の湾曲が補正されるように画像全体を補正し、その結果は、記憶部130に記憶される。170は出力部であり、補正された断層像をモニタ等に出力する他、記憶部130に記憶されている処理結果をデータベースに保存する。
【0017】
図4は本実施例で用いられる光断層画像撮影装置の構成を示す図である。光断層画像撮影装置はマイケルソン干渉系で構成されている。光源101の出射光102はシングルモードファイバ107に導かれて光カプラ108に入射し、光カプラ108にて参照光103と測定光104とに分割される。そして測定光104は、観察対象の網膜125の測定個所によって反射あるいは散乱され、戻り光105となって光カプラ108に戻る。そして光カプラ108によって、参照光路を経由してきた参照光103と合波され合波光106となり、分光器119に到達する。
【0018】
光源101は代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)である。波長は眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。さらに波長は、得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましく、ここでは中心波長840nm、波長幅50nmとする。当然観察対象の測定部位によっては、他の波長を選んでも良い。なお光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等も用いることができる。
【0019】
次に、参照光103の参照光路について説明する。光カプラ108によって分割された参照光103は、レンズ109−1にて略平行光となって出射される。その後参照光103は分散補償用ガラス310を通過してミラー111にて方向を変える。そして再び光カプラ108を介して分光器119に導かれる。なお、分散補償用ガラス310は被検眼124および走査光学系を測定光104が往復した時の分散を、参照光103に対して補償するものである。ここでは、日本人の平均的な眼球の直径として代表的な値を想定し24mmとする。参照光の光路長は電動ステージ112でミラー111を矢印の方向に移動することによって調整可能であり、この光路長と対応するコヒーレンスゲートの位置を調整することができる。コヒーレンスゲートとは、測定光路における参照光路と等距離になる位置のことである。電動ステージ112の制御はコンピュータ120によって行われ、コンピュータ120は撮影が行われる時の電動ステージ112の位置の情報と撮影された断層画像とを対応付けて記憶する。
【0020】
次に、測定光104の測定光路について説明する。光カプラ108によって分割された測定光104は、レンズ109−2にて、略平行光となって出射され、走査光学系を構成するXYスキャナ113のミラーに入射される。図4においてXYスキャナ113は一つのミラーとしているが、実際にはXスキャン用ミラーとYスキャン用ミラーとの2枚のミラーが近接して配置されている。測定光はレンズ114、対物レンズ128を介して被検眼124に到達する。被検眼124に到達した測定光104は、網膜125等により反射され反射光105として測定光104の経路を逆に辿って光カプラ108に入り、参照光103と合波される。
【0021】
また、光カプラ108により合波された合波光106は、分光器119により波長毎に分割されて、それぞれの強度が検出され、コンピュータ320に出力される。そして、コンピュータ320においてフーリエ変換等の処理が行われて断層画像が生成される。なお、コンピュータ320の記憶部には、OCTの設計値等があらかじめ記憶されており、外部に対して出力可能となっている。
【0022】
次に作動距離(WD)について説明する。ここでは、WD126を角膜122表面から対物レンズ128表面までの距離とする。まず、一般的なOCTの光学系は、眼球の瞳孔129が網膜125を測定光104が走査する際の回転中心となるようにWD126の値が設計されている。そのためWD126を設計値になるように調整して断層画像の撮影を行うことが望ましい。ただし、OCTは光学系のNAが小さいため焦点深度が深く、その結果設計値からはずれても撮影できる。なお、設計値から大きくはずれると光彩127によって光がブロックされたり、焦点がぼけたりすることになる。
【0023】
本実施例において、図1の画像処理装置10は、図4の光断層画像撮影装置のコンピュータ320から直接断層画像を取得する構成であってもよいし、ネットワークを介して断層画像を取得してもよい。その場合には、ネットワークを介して接続されたデータベースに光断層画像撮影装置で撮影された断層画像及び被検眼の情報が保存され、画像処理装置10はそのデータベースから断層画像及び被検眼情報を取得する構成となる。
【0024】
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を説明する。
【0025】
<ステップS210>
ステップS210において、入力情報取得部110は、OCTについての情報、例えば図5に示す基準位置121から対物レンズ128までの距離である基準距離155をコンピュータ320から取得し、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。ここで、図5を用いて撮影の基準位置121についてより詳細に説明する。本実施例における撮影の基準位置121とは、ミラー111が原点(ミラー111の移動範囲で、参照光路長が最も短くなる位置)に移動した際のコヒーレンスゲートの位置とする。この基準位置121から対物レンズまでの距離155は固定であり、つねに決まった値となるように設定されている。図5ではわかりやすいように、基準位置121が対物レンズ128から見て眼球と反対側に書かれているが、実際には対物レンズ128からみて眼球と同じ側に存在する。これはミラー111の移動範囲が、コヒーレンスゲートの位置が測定対象の想定範囲をカバーしていればよいためである。このため図5に示したように位置関係を定義すると、基準距離155はマイナスの値となる。
【0026】
なお、基準位置121は、上記の場合に限定されるものではなく、ミラー111の任意の位置の場合としてもよい。参照光路長がある値となる場合のミラー位置を原点とするように調整することで、装置によらず一定の基準距離155とすることができる。
【0027】
<ステップS220>
ステップS220において、本発明における眼情報取得手段である入力情報取得部110は、データベースもしくは操作者の入力部(不図示)による入力により被検眼の情報を取得する。ここで被検眼の情報とは、眼軸長などに代表される被検眼固有の特徴である眼パラメータ等のことであり、これら取得した情報は、制御部120を通じて記憶部130に記憶される。即ち、眼情報取得手段は、基準位置121からコヒーレンスゲートの位置までの距離、及び被検眼の眼軸長等の眼パラメータを取得する。なお、光の性質として、光束は被検眼の内部で曲がって進む。そこで、眼軸長以外に、前眼部(角膜や水晶体等)の屈折率や曲率を用いることにより、上記光の性質を考慮することができるため、断層画像を補正する精度を向上させることができる。
【0028】
<ステップS230>
ステップS230において、画像取得部100は、画像処理装置10に接続される図4の光断層画像撮影装置、もしくは光断層画像撮影装置により撮影された断層画像を保存するデータベースから、解析対象となる断層画像を取得する。取得された断層画像は、制御部120を通じて記憶部130に記憶さる。
【0029】
またこのとき、取得された断層画像が撮影された際のコヒーレンスゲートの位置126を取得し、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。コヒーレンスゲートの位置126は、断層画像に付加している画像撮影情報ファイルに記載されている場合もあれば、画像のタグ情報として含まれている場合もある。また、基準位置121はミラー111が原点となるときのコヒーレンスゲートの位置としたため、撮影時のコヒーレンスゲートの位置126の値に基づき、コヒーレンスゲートの原点からの移動距離を実距離長に換算すると図5に示したように距離153となる。
【0030】
<ステップS240>
ステップS240において、網膜層検出部140は、記憶部130に記憶されている断層画像から網膜層境界を検出する。網膜層検出部140は、本発明において断層画像から所定の層を抽出する層抽出部として機能する。層のセグメンテーション手法に関しては様々な手法が知られているが、本実施形態ではエッジ強調フィルタを用いて層境界となるエッジを抽出し、その後網膜層に関する医学知識を用いて検出されたエッジと層境界を対応づける手法を用いた場合について説明する。眼軸長を計測する場合の網膜位置は一般的にILMであるため、ここではILMとより高輝度となるRPEの検出について述べるが、他の層境界についても同様の手法により検出することが可能である。
【0031】
まず網膜層検出部140は、断層画像に対して平滑化フィルタ処理を行い、ノイズ成分を除去する。そして、エッジ検出フィルタ処理を行い断層画像からエッジ成分を検出し、層の境界に相当するエッジを抽出する。さらに、エッジ検出をした断層画像から背景領域を特定し、背景領域の輝度値特徴を断層画像から抽出する。そして、次に、エッジ成分のピーク値と、ピーク間の輝度値特徴を用いることで、各層の境界を判定する。
【0032】
例えば網膜層検出部140は、硝子体側から眼底の深度方向にエッジを探索し、エッジ成分のピークと、その上下の輝度特徴と、背景の輝度特徴から、硝子体と網膜層との境界(ILM)を判定する。さらに、眼底の深度方向にエッジを探索し、エッジ成分のピークと、ピーク間の輝度特徴と、背景の輝度特徴を参照して、網膜色素上皮層境界(RPE)を判定する。以上の処理によって、層の境界を検出することができる。
【0033】
このようにして検出したILMの境界(コントロールポイント)を制御部110へ送信するとともに、記憶部130に記憶する。
【0034】
今、撮影画像の中心301におけるILM境界の位置302の高さ(y座標)から、ピクセル分解能、屈折率を用いて実距離に換算し、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0035】
<ステップS250>
ステップS250において、作動距離算出部150は、ステップS210〜ステップS230で取得された基準距離155、眼軸長152、コヒーレンスゲートの距離153を記憶部130から取得する。当該作動距離算出部150は、本発明においてコヒーレンスゲートの位置までの距離、被検眼の眼軸長及び網膜距離に基づいて断層画像の撮影時の被検眼との距離である作動距離を演算する演算手段として機能する。またステップS240において検出された網膜位置のコントロールポイントを記憶部130から取得し、画像内の網膜位置までの画像網膜距離154を計算する。この撮影時のコヒーレンスゲートから抽出された層までの画像網膜距離154の計算は、前述した構成において算出手段として規定される領域において実行される。具体的には、図3で示したように、画像の中心301におけるILMの位置302を取得し、そのz座標を求めることで画像の上限から網膜位置までのピクセル数がわかる。画像のピクセル分解能、硝子体の屈折率から実距離長に換算することで、図5の画像網膜距離154を取得する。
【0036】
図5にこれらの距離の位置関係が示されている。
コヒーレンスゲート位置の距離153+画像網膜距離154
= 基準距離155+作動距離151+眼軸長152 (式1)
の関係がある。ここで、画像の上端部がコヒーレンスゲート126となるように画像が作成されているとする。仮に画像の上端部とコヒーレンスゲート位置にズレΔLがある場合には、基準距離155から上記ズレΔLを引いた値を新たな基準距離とすることで、同様に計算することができる。式1より作動距離151を取得することができる。
このようにして取得した作動距離151を、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0037】
<ステップS260>
ステップS260において、画像補正部160は、ステップS250で取得した作動距離に基づき、撮影画像の補正を行う。ステップS260の処理は、図2(b)に示したようにステップS261の回転中心の計算、ステップS262の空間座標への変換,ステップS263の補正画像の作成の3つに分けられる。各ステップに関して、以下に詳細に説明する。
【0038】
<ステップS261>
ステップS260において、画像補正部160は、ステップS250で取得した作動距離に基づき、回転中心の計算を行う。当該画像補正部160は、本発明において、求めた作動距離に基づいて断層画像を補正する補正手段にあたる。
【0039】
図5(b)に回転中心を求めるための,光線追跡の概要を説明するための模式図を示す。図5(b)でE1,E2,E3,E4はそれぞれ角膜、前房、水晶体、硝子体を示す。209は対物レンズから見た回転中心、202は網膜からみた実効の回転中心を示す。回転中心209から角度θ0で入射した光線は、すべて球面で近似された角膜表面、角膜・前房境界、前房・水晶体境界、水晶体・硝子体境界で屈折し網膜に入射する。回転中心209から入射した光線は、網膜から見ると実効回転中心202から入射したように見える。
【0040】
角膜、前房、水晶体、硝子体それぞれに対して、曲率半径、厚さ、屈折率のパラメータが与えられる。人眼の場合の平均パラメータを図10に示す。また模型眼のパラメータは、用いた模型眼ごとに設計された値を用いる。
【0041】
光線追跡は以下のように行う。まず、ピボット位置から角度θ0で入射する光線は、ピボット位置を原点とすると以下の式で表される。
【数1】

【0042】
角膜表面は、角膜表面がx軸と交わる点のxの値をL1、角膜表面の曲率半径をR1とすると以下の式で表される。
【数2】

入射光が角膜表面と交わる交点(x1, y1)は式1と式2より求められる。
【0043】
上記交点における、角膜表面に垂直な方向と入射光線とのなす角度をθ01とすると、角度φ1は以下のように求められる。
【数3】

【0044】
また、角膜表面での屈折は、屈折後の光線が角膜表面と垂直な方向となす角をθ1とすると、スネルの公式を用いて以下のように表わされる。
【数4】

ここでnは各媒質の屈折率であり、空気中での屈折率n0は1とする。
【0045】
次に、角膜で屈折した光線が角膜・前房境界に入射する場合を考える。角膜表面で屈折した光線は、交点(x1, y1)と通り、傾きtan(θ11)をもつ直線で表わされ、角膜・前房境界は、(式2)の場合と同様に、角膜・前房境界がx軸と交わる点のxの値をL2,曲率半径をR2とすると、それぞれ以下の式で表される。
【数5】

【0046】
以下同様に、入射光と角膜・前房境界との交点(x2, y2)を式5と式6から求め、この交点における角膜・前房境界に垂直な方向と入射光線とのなす角をθ1−φ1+φ2とすると、角度φ2は以下のように求められる。
【数6】

【0047】
スネルの公式より、角膜・前房境界での屈折は、屈折後の光線が角膜・前房境界と垂直な方向となす角をθ2とすると以下のように表わされる。
【数7】

【0048】
このように、すべて球面で近似された角膜表面、角膜・前房境界,前房・水晶体境界、水晶体・硝子体境界での屈折を求めることで、網膜までの光線追跡を行うことができる。ここで、光線と界面の交点を求める際に、(式1)と(式2)、(式5)と(式6)の解は、円と直線の交点であるため、2つ存在するが,眼球の形状を考慮して適切な方の解を選択している。
【0049】
また、網膜に入射する光線の式は、水晶体・硝子体境界での交点(x4, y4)を通り、傾きtan(θ44)をもつ直線より、
【数8】

と表わされる。網膜からみると、この直線とx軸との交点(xp, 0)を回転中心とするスキャンが行われているように見えるため、この交点を実効回転中心202とする。
【数9】

【0050】
次に作動距離の変化と実効回転中心202の位置関係について説明する。図11のシミュレーション結果が示すように、回転中心202から網膜125までの距離は作動距離の変化に比例していない。その理由は角膜や水晶体で屈折するためである。ここで横軸は瞳孔からの作動距離の変化であり、縦軸は回転中心202から網膜125までの距離である。作動距離が設計値よりも短い場合には、作動距離の変化量より回転中心の移動が小さいことがわかる。逆に作動距離が設計値よりも長い時は、作動距離の変化量より回転中心の移動が大きいことがわかる。
【0051】
<ステップS262>
ステップS262において、画像補正部160は、ステップS261で算出した回転中心に基づき、撮影画像の空間座標への変換を行う。図5(c)に座標変換を説明するための模式図を示す。
【0052】
OCTによる断層像の撮影は、実効ピボット位置202を中心として同心円上に、コヒーレンスゲートの位置126より扇形の領域で取得されたシグナルを、四角形に画像化することで取得される(図5(c))。図5(c)では図5(b)と異なり、実効ピボット位置202を座標の原点とし、網膜方向をz軸、スキャンの振り角に相当する方向をx軸としている。
【0053】
断層画像は画像の左上を原点とし、網膜の深さ方向にj、網膜に平行な方向にiとする。画像のサイズは深さ方向にNh、幅方向にNwとする。また網膜からみた走査角をΘとする。
【0054】
画像のj行目の位置はコヒーレンスゲートから等距離の位置であるため、以下のような関係がある。
【数10】

ここでLは実効ピボット位置からコヒーレンスゲート位置までの実際の距離であり、hは網膜深さ方向のピクセル解像度,nは屈折率である。(式11)では画像の上端をコヒーレンスゲート位置としている。
【0055】
(式11)、(式12)の関係を用いると、画像上のピクセル(i,j)の空間座標上での位置は以下のように表わされる。
【数11】

【0056】
<ステップS263>
ステップS263において、画像補正部160は、ステップS263の空間座標への変換に基づき、補正画像の作成を行う。そして作成された補正画像を、制御部120を通じて記憶部130に保存する。
【0057】
補正画像は、断層像が撮影された領域の実際の位置を反映させて作成する。但し、図5(c)に示したように、その領域は扇形となるため、撮影領域がほぼ含まれるように領域を拡大して画像化する。その際に、OCT断層像においては、網膜に平行な方向(画像の横方向)と、網膜の深さ方向(画像の縦方向)で解像度が異なっていることに注意する。これは網膜の深さ方向の情報をより多く取得するためのもので、縦方向に拡大表示されている。補正画像を作成する際には、この縦横比は保存したまま作成する。これは医師にとって、網膜の深さ方向の詳細情報が重要であるためである。
【0058】
以下に、補正画像を作成する方法の例を示す。入力画像となる断層画像はサイズが縦Nh、横Nwで撮影画角が9mmとする。断層画像上のピクセルを(i,j)で表わす。これに対して、補正画像上のピクセルを(m, l)とし、サイズは断層画像と等しく縦Nh、横Nwとする。但し、補正画像に含まれる領域は、断層画像の領域よりも大きく、幅Wを約10mm、高さHは撮影時の縦横比を保存するサイズとする。また、撮影画像の中心(Nw/2, Nh/2)が補正画像の中心となるように変換する。
【0059】
まず、断層画像の中心の空間座標を(0,zcenter)とする。
【数12】

【0060】
補正画像上のピクセル(m, l)に対応する空間座標(x, z)は以下のように表わされる。
【数13】

【0061】
上記(x, z)に対応する断層画像上のピクセルは、(式13)、(式14)の逆変換として以下で表わされる。
【数14】

上記(式18)、(式19)で求められる(i, j) は実数であるため、その実数を切り捨て、切り上げによって整数値とした断層画像上のピクセル4点の線形補完より、補正画像上のピクセル(m,l)の画素値を算出する。
【0062】
<ステップS270>
ステップS270において、出力部170は、ステップS260で作成された補正画像を、出力部170を通じてモニタに表示する。図6に撮影された断層画像とその補正画像の例を示す。図6(a)は同一の模型眼を、作動距離を変えながら撮影した断層画像であり、01が作動距離が最も大きく、番号が増えるにつれて作動距離が小さく(押し込み量が大きく)なる。図6(a)に示すように、作動距離が変化すると画像上の湾曲が変化することがわかる。
【0063】
図6(b)は、図6(a)の画像を、本実施低により補正した画像である。また、図7(a)は、図6(a)の各画像を重ね合わせたものであり、図7(b)は補正後の各画像を重ね合わせたものである。ここで補正画像の大きさは、形状の変化が見やすいように画角を広くして作成してある。図6(b)に示されているように、補正画像においては、湾曲の大きさがほぼ一定となっていることが示される。
【0064】
<ステップS280>
ステップS280において、出力部170は、ステップS210〜ステップS250で取得された被検眼情報及びそれに基づき算出された作動距離を、データベースに保存する。
【0065】
以上の構成により、OCTにより網膜の撮影を行う際に、撮影時の作動距離の違いによる湾曲の違いを補正して表示することが可能となり、異なる被検眼における湾曲の差や、同一被検眼の湾曲の変化を定量的に比較することが可能になるという効果がある。
【0066】
(実施例2)
本実施例では、実施例1で示した方法により撮影時の作動距離を取得した際に、同一被検眼を以前に撮影した場合の作動距離と比較し、その差を提示することで、操作者に同一作動距離で撮影を行うことの撮像支援を行う場合を示す。実施例1によって、例え作動距離が異なって撮影した場合であっても、同一の湾曲となるように補正をすることが可能であることを示したが、一般に補正画像の画質は元の断層画像よりも劣化する。これより、前回撮影の場合の作動距離にできるだけ近い作動距離で撮影を行うことにより、補正しない画像間で網膜の状態を比較することが可能になる。
【0067】
本実施例に関わる画像処理装置10の機能構成を図8に示す。但し図中860の比較部以外は図1に示したものと変わらないので、説明は省略する。比較部860は、取得された断層画像から算出された作動距離と、前回撮影時の作動距離を比較する演算を行う。この場合、前回撮影時の作動距離は、今回の撮影の際の作動距離についての基準となる基準作動距離として扱われる。なお、当該基準作動距離は、前回撮影時の作動距離そのままであっても良く、或いは前回作動距離に所定の係数を乗算する等、該作動距離に基づいて設定されることとしても良い。更には、前述したように回転中心から網膜までの距離を前回撮影時と等しくする作動距離を基準作動距離として扱っても良い。
【0068】
次に、図9のフローチャートを参照して、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を説明する。ここでステップS210、S220、S240、S250に関しては、実施例1で示した処理手順と変わらないために、説明は省略する。但し実施例1においては、撮影終了後に撮影された断層画像の湾曲を補正する構成であったが、本実施形態においては、撮影時に前回撮影と同じ作動距離となるよう操作者に情報提示する必要がある。よってステップS210からステップS250に関してその処理手順は同様であるが、ステップS930において取得する断層画像は、実施例1においては撮影された断層画像であったのに対して、本実施例においては、撮影前のプレスキャン画像である点が異なっている。ここでプレスキャン画像とは、粗いサンプリングで高速度に撮影した画像のことで、コヒーレンスゲート位置やフォーカスなどの調整を行うために操作者に提示される。このプレスキャン画像を区別するために、通常通り撮影された断層画像を本スキャン画像と呼ぶ。
【0069】
本実施例においては、プレスキャン時にコヒーレンスゲート調整等を行う段階で、撮影されているプレスキャン画像の作動距離をリアルタイムで算出して表示する構成となる。
【0070】
<ステップS925>
ステップS925において、入力情報取得部110は、記憶部130に記憶されている被検眼情報から、同一被検眼の前回撮影時の作動距離をデータベースより取得する。そして制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0071】
<ステップS930>
ステップS930において、画像取得部100は、画像処理装置10に接続されるOCTから断層画像を取得する。そして取得した断層画像を、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0072】
またこのとき、取得画像が撮影された際のコヒーレンスゲートの位置126、及び取得した断層画像がプレスキャン画像として得られたものであるか本スキャン画像として得られたものであるかを取得し、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0073】
<ステップS960>
ステップS960において、比較部860は、ステップS925で取得された前回撮影時の作動距離と、ステップS250で取得されたプレスキャン画像撮影時の作動距離を比較し、その差を計算する。そして表示部170を通じて不図示のモニタに、計算された差を表示する。
【0074】
ここで作動距離の前回撮影時との差を表示する方法としては、様々な方法が考えられる。例えばプレスキャン画像の表示画面上に、前回撮影時よりも大きい値であれば正、小さい値であれば負で差分値を提示する方法が考えられる。このとき差分値がプラスマイナス1mmの範囲に収まっていれば数値を青、それよりも大きな差がある場合には赤で表示し、また表示サイズを大きくするなどして注意を促すなどするとより有効となる。
【0075】
<ステップS970>
ステップS970において、制御部120は、ステップS930において取得された、撮影画像がプレスキャン画像であるか否かの情報に基づき、処理の分岐を行う。プレスキャン画像であった場合には、ステップS930に戻り、次の画像を取得して同様の処理を繰り返す。本スキャン画像であった場合には、ステップS980に進む。
【0076】
<ステップS980>
ステップS980において、出力部170は、ステップS210〜ステップS960で取得された被検眼情報及びそれに基づき算出された作動距離を、データベースに保存する。
【0077】
即ち、上記実施形態では、基準作動距離を用いて行われる被検眼の撮影結果を表示手段に表示することとし、更に、当該基準作動距離を用いて撮影支援を行ったことを示す表示形態を併せて表示することとしている。以上の構成により、OCTにより網膜の撮影を行う前にコヒーレンスゲートやフォーカスなどを調整する際に、作動距離の調整も同時に行うことが可能となる。前回撮影時と近い作動距離で撮影を行うことにより、一般に画質が劣化する補正画像ではなく、補正を行わない画像間で網膜の様子を比較することが可能となるという効果がある。なお、上述した、作動距離に基づいて設定された基準作動距離での被検眼の撮影支援が実行されている表示形態を表示手段に表示させる操作は、制御部120において本発明における表示制御手段として機能する領域によって実行される。
【0078】
(実施例3)
実施例2では、前回撮影時と同じ作動距離で撮影することにより、補正を行わない画像間でも、湾曲を含めた網膜の比較を可能とする方法について示した。しかし近視眼において、後部ぶどう腫等の進行が見られる被検眼においては、経過観察の間に眼軸長の伸長が見られる場合がある。このような場合には、作動距離を等しくすることで(前眼部に経時変化がみられなと仮定すると)前眼部からの位置関係が等しい場所に測定光の走査の回転中心を置くことができる。しかし眼軸長の伸長によって、その回転中心から網膜までの距離が変化するため、コヒーレンスゲートの位置の調整を行っても得られる画像間の比較は困難になる。
【0079】
本実施例においては、特に黄斑周辺の網膜の構造に着目するために、黄斑を中心とした撮影において、黄斑からの距離が等しくなるように回転中心の調整を行うことを特徴とする。黄斑からの距離が前回撮影時と等しくなる作動距離を基準として、現在のプレスキャン画像の作動距離が、その基準からどれだけずれているかの情報を操作者に提示することで、操作者の作動距離の調整をサポートする。
【0080】
本実施例に関わる画像処理装置10の機能構成を図12に示す。但し図中1260の回転中心演算部以外は図1に示したものと変わらないので、説明は省略する。回転中心演算部1260は、取得された断層画像から算出された作動距離に基づき、回転中心と網膜との距離を算出する。これは実施例1におけるステップS261の操作に対応する。そして前回撮影時の回転中心から網膜までの距離と等しくなる場合の作動距離と、対象画像における作動距離との差を求める。
【0081】
さらに、図13のフローチャートを参照して、本実施形態の画像処理装置10の処理手順を説明する。ここでも実施例1、実施例2と同じであるステップに関して説明は省略し、内容の異なるステップS1320、S1325、S1360についてのみ詳細に説明する。
【0082】
また本実施例においては、実施例2と同様に、プレスキャン時にコヒーレンスゲートの位置の調整等を行う段階で、撮影されているプレスキャン画像から回転中心をリアルタイムで算出し、その値に基づいた表示を行う構成とする。算出された回転中心の値から、回転中心と網膜間の距離を算出し、その距離が前回撮影時の回転中心から網膜間の距離と等しくなるように、作動距離を調節するよう操作者に促す表示となる。
【0083】
<ステップS1320>
ステップS1320において、入力情報取得部110は、データベースもしくは操作者による入力部(不図示)からの入力により被検眼の情報を取得する。ここで被検眼の情報とは、眼軸長や角膜の曲率などに代表される被検眼の眼パラメータ等のことであり、これら取得した情報を、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0084】
次に、回転中心演算部1260は、ステップS261と同様の手法を用いて,取得した被検眼の眼パラメータに基づき、作動距離と回転中心の関係を求める。得られた結果の一例が図11であり、この結果を記憶部130に記憶する。
【0085】
ここで、撮影の際に黄斑を中心に撮影を行う場合には、網膜から回転中心までの距離を黄斑から回転中心までの距離とすることができる。
【0086】
<ステップS1325>
ステップS1325において、入力情報取得部110は、記憶部130に記憶されている被検眼情報から、同一被検眼の前回撮影時の情報をデータベースより取得する。ここで前回撮影時の情報とは、前回撮影時の眼軸長や作動距離、回転中心、網膜から回転中心までの距離などのことである。そしてこれら取得した情報を、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。
【0087】
<ステップS1360>
ステップS1360において、回転中心演算部1260は、ステップS1325で取得された前回撮影時の網膜から回転中心までの距離を取得する。そしてステップS1320で求めた作動距離と回転中心から網膜までの距離の関係を用いて、網膜から前回撮影時と等しい距離に回転中心がくるような作動距離を算出する。
【0088】
ステップS250で算出された、現撮影画像の作動距離と比較し、その差を表示部170を通じて不図示のモニタに表示する。
【0089】
以上の構成により、経過観察中に眼軸長が伸長する場合において、網膜とくに黄斑中心から回転中心が前回撮影時と等しくなるように調整して、撮影を行うことが可能となる。同一被検眼でない場合でも、黄斑からつねに等しい距離に回転中心をおいて撮影を行うことにより、黄斑周辺の網膜の様子を同じ条件で観察することが可能になるという効果がある。
【0090】
(その他の実施形態)
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0091】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0092】
10 画像処理装置
100 画像取得部
110 入力情報取得部
120 制御部
130 記憶部
140 網膜層抽出部
150 作動距離算出部
160 画像補正部
170 出力部
860 比較部
1260 回転中心演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼底の断層画像を取得する画像取得手段と、
前記断層画像の所定の層と、コヒーレンスゲートの位置と、前記被検眼の眼軸長と、に基づいて前記断層画像の撮影時の前記被検眼と前記画像取得手段との距離である作動距離を演算する演算手段と、
前記作動距離に基づいて前記断層画像を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記断層画像から前記所定の層を抽出する層抽出手段と、
前記断層画像の撮影時の前記コヒーレンスゲートの位置から前記所定の層までの距離である網膜距離を算出する算出手段と、を有し、
前記演算手段は、前記網膜距離と、前記コヒーレンスゲートの位置と、前記被検眼の眼軸長と、に基づいて前記作動距離を演算することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
基準位置から前記コヒーレンスゲートの位置までの距離と、前記被検眼の眼軸長と、を取得する眼情報取得手段を有し、
前記演算手段は、前記網膜距離と、前記基準位置から前記コヒーレンスゲートの位置までの距離と、前記被検眼の眼軸長と、に基づいて前記作動距離を演算することを特徴とする請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記作動距離に基づいて設定される基準作動距離での前記被検眼の撮影支援の実行を示す表示形態を表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記基準作動距離が、
前回撮影時と同じ作動距離、
回転中心から網膜までの距離を前回撮影時と等しくする作動距離、
のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
被検眼の眼底の断層画像を取得する画像取得手段と、
前記断層画像の所定の層と、コヒーレンスゲートの位置と、前記被検眼の眼軸長とに基づいて前記断層画像の撮影時の前記被検眼と前記画像取得手段との距離である作動距離を演算する演算手段と、
前記作動距離に基づいて前記断層画像を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする眼科システム。
【請求項7】
被検眼の眼底の断層画像を取得する画像取得工程と、
前記断層画像の所定の層と、コヒーレンスゲートの位置と、前記被検眼の眼軸長と、に基づいて前記断層画像の撮影時の前記被検眼と画像取得手段との距離である作動距離を演算する演算工程と、
前記作動距離に基づいて前記断層画像を補正する補正工程と、
を有することを特徴とする眼科装置の制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載の眼科装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−223(P2013−223A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132328(P2011−132328)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)