説明

眼科装置

【課題】 被検眼に対して測定部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置において、検査者の意図通りに測定部を微動又は粗動させることを可能とする。
【解決手段】 ベース12に対して測定部16をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、検査者によって操作される操作装置24と、操作装置24に入力された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置を有する。操作装置24の操作部材は測定部16を1方向に移動させるために2自由度の入力が可能とされる。そして、制御装置は、操作部材に一方の自由度に関する入力が行われると測定部16を微動させ、操作部材に他方の自由度に関する入力が行われると測定部16を粗動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼に対して検査部(例えば、被検眼を検査するための測定系、被検眼を観察・撮影するための観察系等)を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科装置では、通常、被検者の顔を固定する顔受けがベース(基台)に設けられる。そして、ベースに対して検査部をX方向(被検眼に対して左右方向),Y方向(被検眼に対して前後方向),Z方向(被検眼に対して上下方向)に移動させるためのジョイスティック等の操作部材と、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置を装備する。検査者がジョイスティック等の操作部材を操作すると、操作部材に入力された操作量は検出装置によって検出される。制御装置は、検出装置によって検出された操作量に基づいて駆動装置を制御する。これによって、検査者は被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントすることができる。
【0003】
この種の眼科装置では、検査部を被検眼に対して細かく位置合わせする場合には検査部を小さく動かし(すなわち、微動)、検査部を被検眼に対して大まかに位置合わせする場合(例えば、検査部を被検者の片眼から他眼に移動させる場合や、モニタに被検眼が映し出されていない状態から映し出された状態に調整する場合等)には検査部を大きく動かすこと(すなわち、粗動)ができると便利である。このため、検査部の微動操作と粗動操作を可能とした眼科装置が開発されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の眼科装置では、ジョイスティックが所定の傾動角度範囲(−20°〜+20°)で操作されたときは検査部を微動させ、ジィステックが所定の傾動角度範囲を超えて操作されたときは検査部を粗動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−369799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の眼科装置では、ジョイスティックの傾動角度に応じて検査部を微動させるか粗動させるかの切換えを行うため、ジョイスティックの誤操作によって検査部が検査者の意図通りに動かないといった事態が生じる。例えば、検査者は、検査部を微動させようとしてジョイスティックを傾動させたのに、ジョイスティックの傾動角度が大きくなりすぎて検査部が粗動するといった事態が生じる。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査者の誤操作を防止でき、検査者の意図通りに検査部を微動又は粗動させることが可能となる眼科装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る眼科装置は、被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置である。この眼科装置は、ベースと、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、検査者によって操作される操作装置と、操作装置に入力された操作量を検出する検出装置と、検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置とを有する。
操作装置は、X,Y,Z方向の少なくも1方向に検査部を移動させるための操作部材を備え、その操作部材は検査部を1方向に移動させるために2自由度の入力が可能となっている。また、検出装置は、操作部材の一方の自由度に関する操作量を検出する第1センサと、操作部材の他方の自由度に関する操作量を検出する第2センサとを備えている。そして、制御装置は、(1)第1センサと第2センサの一方のセンサで検出された操作量に基づいて検査部を微動させ、(2)第1センサと第2センサの他方のセンサで検出された操作量に基づいて検査部を粗動させる。
この眼科装置では、検査者が操作部材を操作すると、操作部材に入力された操作量が検出装置によって検出される。制御装置は、検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する。駆動装置が駆動されると、検査部がベースに対して移動し、被検眼に対する検査部のアライメント(位置合わせ)が行われるようになっている。
ここで、操作部材は、検査部を1方向に移動させるために2自由度の入力が可能となっており、操作部材の各自由度に関する操作量は異なるセンサによって検出される。そして、一方のセンサで検出された操作量に基づいて検査部が微動され、他方のセンサで検出された操作量に基づいて検査部が粗動される。したがって、微動操作を行うときの操作部材への入力と粗動操作を行うときの操作部材への入力とが異なる態様(異なる自由度の運動)となり、検査者の誤操作を防止することができる。このため、検査者の意図通りに検査部を微動又は粗動させることが可能となる。
【0007】
上記眼科装置の一態様では、前記操作部材に、ベースに対して検査部をX,Y方向に移動させるジョイスティックを用いることができる。ジョイスティックは、X,Y方向の各方向について、ベースに対して傾動可能で、かつ、ベースに対してスライド移動可能とする。そして、前記検出装置は、X,Y方向の各方向について、ジョイスティックの傾動角度を検出する第1センサと、ジョイスティックのスライド位置を検出する第2センサをそれぞれ備えている。このような構成によると、ジョイスティックに傾動とスライド移動の一方の操作を入力することで検査部が微動し、他方の操作を入力することで検査部が粗動する。
なお、上記の態様の眼科装置においては、ジョイスティックを傾動させたときに検査部を微動させ、ジョイスティックをスライド移動させたときに検査部を粗動するようにすることが好ましい。この場合は、電気的に検査部を駆動する駆動装置を持たない眼科装置における操作方法と同一の操作方法で検査部を微動又は粗動させることができる。このため、従前の眼科装置の操作に慣れた検査者に違和感を与えることがない。
【0008】
上記眼科装置の他の態様では、前記操作部材に、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向のうちの1方向に移動させる回転ノブを用いることができる。回転ノブは、軸に対して回転可能で、かつ、軸方向にスライド移動可能とする。そして、前記第1センサは回転ノブの回転角を検出し、前記第2センサは回転ノブの軸方向の位置を検出する。このような構成によると、回転ノブに回転と軸方向移動の一方の操作を入力することで検査部を微動でき、他方の操作を入力することで検査部を粗動できる。
【0009】
なお、上記眼科装置において制御装置は、(a)駆動装置を微動させるときは、検出された操作量に基づいて検査部の位置を制御し、(b)駆動装置を粗動させるときは、検出された操作量に基づいて検査部の移動速度を制御することが好ましい。
また、上記のように位置制御又は速度制御を行う場合は、前記操作装置は、操作部材が微動操作に関する自由度に操作されたときに当該操作部材をその操作後の位置で維持するための摩擦機構と、操作部材が粗動操作に関する自由度に操作されたときに当該操作部材を中立位置に復帰させる付勢手段を備えていることが好ましい。
このような構成によると、操作部材に微動操作を入力して位置合わせを行うと、位置合わせ後に操作部材から手を離しても操作部材は操作後の位置で維持され、検査部も位置合わせ後の位置で停止している。一方、操作部材に粗動操作を入力して検査部を粗動する際は、操作部材に付勢手段の付勢力に抗して操作力を入力している間だけ検査部が移動し、操作部材から手を離すと操作部材が中立位置に復帰して検査部も停止する。したがって、アライメント操作を容易に行うことができる。
【0010】
本願に係る第2の眼科装置は、被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置である。この眼科装置は、ベースと、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、検査者によって操作される操作装置と、操作装置に入力された操作量を検出する検出装置と、検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置を有する。
操作装置は、X,Y,Z方向の少なくも1方向に検査部を移動させるための操作部材を備え、その操作部材は、検査部を微動させるための第1の入力と、検査部を粗動させるための第2の入力が可能とされる。また、検出装置は、操作部材への第1の入力を検出する第1センサと、操作部材への第2の入力を検出する第2センサを備える。そして、制御装置は、(1)第1センサで検出された操作量に基づいて検査部を微動させ、(2)第2センサで検出された操作量に基づいて検査部を粗動させる。
この眼科装置では、操作部材に入力される第1の入力(微動操作のための入力)と第2の入力(粗動操作のための入力)が異なるセンサで検知される。このため、操作部材に入力される第1の入力と第2の入力を全く異なる操作とすることが可能となる。したがって、検査者の誤操作を防止することができ、検査者の意図通りに検査部を微動又は粗動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例に係る眼科装置の斜視図である。
【図2】図1に示す眼科装置の正面図である。
【図3】図1に示す眼科装置の側面図である(ただし、顔受けの図示を省略している)。
【図4】顔受けと測定ユニットとジョイスティック装置の位置関係を示す図である。
【図5】操作パネルを拡大して示す図。
【図6】駆動装置を被検者側から見た一部破断断面図である。
【図7】駆動装置の側面図である。
【図8】駆動装置の背面図である。
【図9】ジョイスティック装置の斜視図である。
【図10】ジョイスティック装置を検査者側から見た図である。
【図11】ジョイスティック装置の側面図である。
【図12】図11の断面図である。
【図13】ジョイスティックを被検者側からみたときの断面図である。
【図14】回転ノブのグリップへの組付け状態を拡大して示す図である。
【図15】本実施形態の眼科装置を制御する制御系の構成を示すブロック図である。
【図16】測定装置を微動するときの、操作部材の操作角度と測定ユニットの移動距離との関係を示すグラフである。
【図17】測定装置を粗動するときの、操作部材の操作位置と測定ユニットの移動速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、以下に説明する実施例の他の目的と、その目的を達成するための最良の実施形態を列記する。
(1)本願の他の目的は、検査部を電動で駆動する眼科装置において、運搬時の梱包を容易に行うことである。すなわち、従前の検査部を電動で駆動しない眼科装置では、梱包時に検査部を手動で適切な位置に動かして、ダンボール等に梱包することができた。しかしながら、検査部を電動で駆動する眼科装置では、装置の電源を切る前に検査部を適切な位置(梱包位置)に移動させなければならない。また、その移動を手動で行うことは、被検眼に対する位置合わせと異なり、目標がないため困難である。そこで、眼科装置に梱包スイッチを設け、電源を切る際にユーザに注意を喚起し、また、中立位置への移動を制御装置によって行わせことでユーザによる検査部の移動を不要とするものである。
上記目的を達成する眼科装置は、被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置であって、ベースと、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、検者によって操作される操作装置と、操作装置に入力された操作量を検出する検出装置と、検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置を有する。そして、ユーザによって操作される梱包スイッチをさらに有し、制御装置は、梱包スイッチが操作されると、検査部を予め設定された梱包位置に移動させることを特徴とする。なお、この技術は検査部を電動で駆動する眼科装置であれば、どのような眼科装置にも適用することができる。
【0013】
(2)本願の他の目的は、検査部を電動で駆動する眼科装置において、検査部を駆動するための駆動装置の構成を簡易化することである。すなわち、被検眼と検査部との位置合わせは、被検眼に対して検査部をX,Y,Z方向の3方向に移動させる必要がある。このため、Z,Y,Z方向の各方向にそれぞれ1つの駆動源(モータ等)が必要となり、その構成が複雑化・大型化する。そこで、3つの駆動源を1枚の板に固定することで、駆動装置の構成を単純化し、その小型化を可能とする。
上記目的を達成する眼科装置は、被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置であって、ベースと、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、検者によって操作される操作装置と、操作装置に入力された操作量を検出する検出装置と、検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置を有する。そして、駆動装置は、ベースに対してZ方向に移動する第1板と、第1板に対してX方向とY方向のいずれか一方に移動する第2板と、第2板に対してX方向とY方向のいずれか他方に移動する第3板と、ベースに対して第1板をZ方向に移動させる第1駆動源と、第1板に対して第2板をX方向とY方向のいずれか一方に移動させる第2駆動源と、第2板に対して第3板をX方向とY方向のいずれか他方に移動させる第3駆動源を備える。そして、第1板に第1,2,3駆動源のいずれもが固定されている。なお、この技術も検査部を電動で駆動する眼科装置であれば、どのような眼科装置にも適用することができる。
【実施例1】
【0014】
以下、本発明の一実施例に係る眼科装置について図面を参照して説明する。図1は本実施例に係る眼科装置の斜視図であり、図2は図1に示す眼科装置の正面図であり、図3は図1に示す眼科装置の側面図である。図1〜3によく示されるように、本実施例の眼科装置10は、ベース12と、ベース12上に立設された支持部14と、支持部14上に配設された測定部16等を備えている。
【0015】
ベース12の一端には顔受け20が設けられている。顔受け20は、被検者の顎が載せられる顎置き台21と(図3参照)、被検者の額が当てられる額当て22から構成されている。被検者が顔受け20に顔を固定することで、ベース12に対して被検者の顔(すなわち、被検眼)が固定される。
【0016】
ベース12の他端には、ジョイスティック装置24が設けられている。ジョイスティック装置24の上端には測定スイッチ30が設けられ、ジョイスティック装置24の基部にはスライド部材28が固定されている。後で詳述するように、検査者がジョイスティック装置24及びスライド部材28を操作することで、測定部16が被検眼(すなわち、顔受け20に固定された被検者)に対してX方向(左右方向),Y方向(前後方向),Z方向(上下方向)に移動する。また、検査者が測定スイッチ30を操作すると、被検眼に対して測定(検査)が行われるようになっている。
【0017】
ジョイスティック装置24の側方、ベース12の上面には、操作パネル32が設けられている。操作パネル32には、種々のスイッチ33〜39が設けられている。各スイッチ33〜39には、各スイッチの機能を表すシンボルが描かれている。例えば、スイッチ33は梱包スイッチであり、梱包スイッチ33が操作されると測定部16は予め設定された梱包位置に移動する。また、スイッチ34a,34bは顎置き台21を上下動させるための顎置き台上下操作スイッチであり、顎置き台上下操作スイッチ34a,34bを操作することで顎置き台21の高さを調整することができる。
【0018】
測定部16の検査者側にはモニタ18が配されている。図2に示すように、測定部16のアライメント時にはモニタ18に被検眼が表示される。被検眼とのアライメントを行う際は、検査者はモニタ18に表示される被検眼がモニタ18の測定中心位置指標Aに位置するようにジョイスティック装置24を操作して、被検眼に対する測定部16の位置を調整する。
【0019】
次に、上述した測定部16を移動させる駆動装置40と、検査者によって操作されるジョイスティック装置24について説明する。図4に示すように、ベース板26(ベース12内に収容される)の一端には顎置き台21が配設され、その他端にはジョイスティック装置24が配設される。そして、顎置き台21とジョイスティック装置24の略中間に駆動装置40が配設されている。駆動装置40上には測定ユニット42が載置されている。駆動装置40は支持部14内に収容され、測定ユニット42は測定部16内に収容されている。測定ユニット42は、被検眼の眼屈折力や角膜形状等を測定するための光学系や、被検眼の前眼部像を撮影する撮影系を有している。測定ユニット42で撮影された被検眼の前眼部像は、前述したようにモニタ18に表示されるようになっている。
【0020】
まず、駆動装置40について説明する。図6は駆動装置40を被検者側から見た一部破断断面図であり、図7は駆動装置40を側方から見た一部破断断面図、図8は駆動装置40の背面図である。
図6に示すように、駆動装置40は中空状の支柱74を備えている。支柱74の下端はベース12(詳しくは、ベース板26)に固定されている。支柱74の内部で、その下端には送りナット76が嵌合している。支柱74の内部で、その上端にはスライドブッシュ82が嵌合している。スライドブッシュ82には、軸80が上下方向に移動可能に組付けられている。軸80の下端と送りナット76との間にはスプリング78が介装されている。スプリング78は、軸80に作用する下方向の力を受けるための部材である。軸80の上端には第1板部材58が固定されている。第1板部材58は、第1板部材58から垂下した回転止め106(図7,8参照)が支柱74に固定された回転受け105(図7,8参照)で保持されることで、支柱74に対して回転することが規制されている。
【0021】
図6に示すように、第1板部材58の下面にはモータ88(ステッピングモータ)が固定されている。モータ88の出力軸は第1板部材58の上方に突出し、その出力軸にプーリ90が固定されている。プーリ90の回転はタイミングベルト92によってプーリ94に伝達される。プーリ94には、送りネジ70の上端が固定されている。送りネジ70は、ベアリング86によって軸80に対して回転可能に組みつけられている。送りネジ70の下端にはネジが形成されており、そのネジが形成された部分が送りナット76に螺合している。したがって、モータ88が回転するとプーリ90が回転し、プーリ90の回転がタイミングベルト92によってプーリ94に伝達される。プーリ94が回転すると送りネジ70が回転する。上述したように、第1板部材58は回転止め106によって支柱74に対する回転が規制されている。このため、送りネジ70の回転に応じて第1板部材58は上下方向(図中のU−D方向)に移動することとなる。
【0022】
なお、第1板部材58の支柱74に対する上下方向の位置は、センサ取付け部材63を介して第1板部材58に取り付けられた位置センサ65によって検出される(図7参照)。位置センサ65は、発光体(例えば、LED)と、その発光体からの光を受光する受光体(例えば、フォトトランジスタ)によって構成される。図7に示すように、支柱74にはリセット板67が固定されており、そのリセット板67を挟むように位置センサ65の発光体と受光体が配される。リセット板67は、第1板部材58がリセット位置(中心位置)にあるか否かを検出するための板である。位置センサ65によって第1板部材58がリセット位置にあることが検出されると、その位置を基準にモータ88(ステッピングモータ)を駆動するためのパルス信号の数に基づき第1板部材58の位置制御が行われる。
【0023】
図6,7によく示されるように、上述した第1板部材58の上面にはレール56が配設されている。レール56は前後方向(図中のF−B方向)に伸びている。レール56にはブロック54が係合し、ブロック54は第2板部材52の下面に固定されている。したがって、第2板部材52は、レール56に案内されて前後方向に移動することができる。
図7によく示されるように、第2板部材52には送りナット51が固定されている。送りナット51は、第1板部材58と第2板部材52の間に配された送りネジ50と螺合する。送りネジ50の一端にはプーリ69が固定され(図7参照)、プーリ69にタイミングベルト60によってプーリ66の回転が伝達される。プーリ66にはモータ68の出力軸が固定されている。モータ68も第1板部材58の下面に固定されている。モータ68が回転するとプーリ66が回転し、プーリ66の回転によって送りネジ50が回転する。送りネジ50が回転すると、送りネジ50に螺合する送りナット51(すなわち、第2板部材52)が前後方向に移動する。
なお、図6,8によく示されるように、第2板部材52の第1板部材58に対する前後方向の位置は、第2板部材52の下面に取り付けられた位置センサ62と、第1板部材58の上面に取り付けられたリセット板64によって検出される。位置センサ62及びリセット板64の構成は、上述した位置センサ65及びリセット板67と同様である。
【0024】
図6〜8に示すように、上述した第2板部材52の上面にはレール48が配設されている。レール48は左右方向(図中のR−L方向)に伸びている。レール48にはブロック46が係合し、ブロック46は第3板部材44の下面に固定されている。したがって、第3板部材44は、レール48に案内されて左右方向に移動することができる。第3板部材44の上面には測定ユニット42が載置されている。
図7,8によく示されるように第3板部材44には、送りナット96が左右方向にスライド不能で、かつ、前後方向にスライド可能に取付けられている。送りナット96は、第1板部材58と第3板部材44の間に配された送りネジ98と螺合する。送りネジ98の一端にはプーリ101が固定され(図8参照)、このプーリ101にタイミングベルト103によってプーリ102の回転が伝達される。プーリ102にはモータ104の出力軸が固定されている。モータ104も第1板部材58の下面に固定されている。モータ104が回転するとプーリ102が回転し、プーリ102の回転によって送りネジ98が回転する。送りネジ98が回転すると、送りネジ98と螺合する送りナット96(すなわち、第3板部材44)が左右方向に移動する。
なお、図7によく示されるように、第3板部材44の第2板部材52に対する左右方向の位置は、第3板部材44の下面に取り付けられた位置センサ43と、第2板部材52の上面に取り付けられたリセット板45によって検出される。位置センサ43及びリセット板45の構成は、上述した位置センサ65及びリセット板67と同様である。
【0025】
上述した説明から明らかなように、第1板部材58は支柱74に対して上下方向に移動し、その第1板部材58に対して第2板部材52は前後方向に移動する。そして、第3板部材44は、第2板部材に対して左右方向に移動する。したがって、第3板部材44は、支柱74(すなわち、ベース12)に対して上下方向、前後方向及び左右方向に移動することができる。第3板部材44には測定ユニット42が載置されることから、測定ユニット42もベース12に対して上下方向、前後方向及び左右方向に移動する。
【0026】
次に、ジョイスティック装置24について説明する。図9はジョイスティック装置24の斜視図、図10は検査者側から見た図、図11は側面図、図12は図11の断面図、図13は被検者側からみたときの断面図である。
図9〜11によく示されるように、ジョイスティック装置24は、ベース板26(図4参照)の上面に固定される取付け板146を備える。取付け板146の上面にはレール150が配設されている。レール150は取付け板146上を左右方向に伸びている。レール150にはブロック152が係合している。ブロック152は、第1スライド板148の下面に固定されている。したがって、第1スライド板148は、レール150に案内されて左右方向に移動することができる。
なお、第1スライド板148の取付け板146に対する左右方向の移動量は位置センサ154で検出される。位置センサ154は、投光部と受光部を持ち、対象物(反射板)に当てている反射光から得られる受光部の電圧に基づいて対象物との距離を測定する光センサである。本実施例では、第1スライド板148に位置センサ154が取付けられる一方、取付け板146に反射板147が取付けられ、取付け板146に対する第1スライド板148の移動量が検出される。
また、図13に示すように、第1スライド板148の下方には軸160が配設されている。軸160にはスプリング162が遊嵌されている。第1スライド板148が左右に移動すると、スプリング162が圧縮されるようになっている。これによって、第1スライド板148には中立位置に復帰するような付勢力が働くこととなる。
【0027】
図9〜11によく示されるように、第1スライド板148の上面にはレール142が配設されている。レール142は第1スライド板148上を前後方向に伸びている。レール142にはブロック140が係合している。ブロック140は、第2スライド板144の下面に固定されている。したがって、第2スライド板144は、レール142に案内されて前後方向に移動することができる。なお、第2スライド板144の第1スライド板148に対する前後方向の移動量は位置センサ156で検出される。位置センサ156は、上述した位置センサ154と同様に構成されている。すなわち、位置センサ156は、第1スライド板148に取付けられ、第2スライド板144には反射板157が設けられる。位置センサ156は、反射板157からの反射光の強度に基づいて、第1スライド板148に対する第2スライド板144の移動量を検出する。
また、図12に示すように、第2スライド板144の下方には軸166が配設されている。軸166にはスプリング164が遊嵌されている。第2スライド板144が前後に移動すると、スプリング164が圧縮されるようになっている。これによって、第2スライド板144には中立位置に復帰するような付勢力が働くこととなる。
【0028】
上述した説明から明らかなように、第1スライド板148は取付け板146に対して左右方向に移動し、この第1スライド板148に対して第2スライド板144が前後方向に移動する。第2スライド板144にはスライド部材28が固定される(図1参照)。したがって、検査者はスライド部材28を前後・左右に移動させることができ、その移動量が位置センサ154,156によって検出される。
【0029】
図12,13によく示されるように、第2スライド板144の上面には、前後方向及び左右方向に傾動可能に操作桿軸114が取付けられている。操作桿軸114には回転軸121が組み付けられている。操作桿軸114が前後に傾動すると、回転軸121が回転するようになっている。回転軸121の一端にはギア118が固定され、ギア118にはギア122が噛合している(図9参照)。ギア122の回転軸には回転角センサ124(例えば、ボリューム,ロータリエンコーダ等)が配設されている。したがって、操作桿軸114が前後に傾動するとギア118,122が回転し、ギア122の回転角が回転角センサ124で検出される。このため、回転角センサ124によって操作桿軸114の前後方向の傾動角度を検出することができる。
図11によく示すように、回転軸121の他端は把持部材134によって把持されている。把持部材134には割り溝が形成されており、回転軸121を把持する力を調整できるようになっている。回転軸121が把持部材134に把持されることで、回転軸121と把持部材134との間に摩擦力が発生する。この摩擦力によって、操作桿軸114を傾動した状態に保つことが可能となる。
【0030】
また、図12,13によく示されるように、操作桿軸114には回転軸131が組み付けられている。操作桿軸114が左右に傾動すると、回転軸131が回転するようになっている。回転軸131の一端にはギア132が固定され、ギア132にはギア128が噛合している(図9参照)。ギア128の回転軸には回転角センサ126(回転角センサ124と同一部材)が配設されている。したがって、操作桿軸114が左右に傾動するとギア132,128が回転し、ギア128の回転角が回転角センサ126で検出される。このため、回転角センサ126によって操作桿軸114の左右方向の傾動角度を検出することができる。
なお、図10によく示すように、回転軸131の他端は把持部材116によって把持されている。把持部材116によって回転軸131の一端を把持することで、回転軸131と把持部材116との間に摩擦力が発生し、操作桿軸114を傾動した状態に保つことが可能となる。
【0031】
操作桿軸114の上端には、検査者によって握られるグリップ112が取付けられている。グリップ112には、回転ノブ110が設けられている。回転ノブ110は、グリップ112に対して回転し、また、軸方向にスライド移動可能となっている。
【0032】
回転ノブ110のグリップ112への組付け状態について図14を参照して説明する。図14に示すように、グリップ112を形成するハウジング190には上軸受け部材178と、下軸受け部材179が組み付けられている。上軸受け部材178と下軸受け部材179には回転軸172が回転可能に支持されている。回転軸172の下端にはディスク170が取り付けられており、ディスク170の回転が回転角センサ168(LEDとフォトトランジスタからなる)によって検出されるようになっている(図12参照)。したがって、回転軸172の回転角を回転角センサ168によって検出することができる。
【0033】
図14に戻って、上軸受け部材178と回転軸172との間には、スプリング192とワッシャ194が配されている。スプリング192は予め圧縮された状態で配設されるため、ワッシャ194から回転軸172に対してはスラスト荷重が作用する。このため、回転軸172とワッシャ194との間に摩擦力が発生し、この摩擦力によって回転軸172が容易に回転しないようになっている。
【0034】
上述した回転軸172には、回転ノブ110が軸方向にスライド可能で、かつ、回転方向には相対移動不能に組み付けられている。このため、回転ノブ110を回転させると回転軸172も回転する一方、回転ノブ110を軸方向に移動させても回転軸172は移動しないこととなる。回転ノブ110と回転軸172が一体となって回転することから、回転ノブ110の回転角は回転角センサ168によって検出されることとなる。また、回転軸172には摩擦力が作用しているため、回転ノブ110もある程度の力が作用しないと回転しないこととなる。
回転ノブ110の上面には蓋体174が取付けられている。回転ノブ110と蓋体174との間には、座金184を介してスプリング180が収容されている。座金184及びスプリング180の内部には回転軸172が挿通している。図から明らかなように、回転ノブ110が軸方向に移動すると、一方の座金184は回転ノブ110と共に移動するが、他方の座金184はスペーサ177によって移動することができない。このため、回転ノブ110が軸方向に移動すると、スプリング110によって回転ノブ110は中立位置に付勢される。
なお、下軸受け部材179には、回転ノブ110の軸方向の移動量(位置)を検出するための位置センサ182が配置されている。位置センサ182は、投光部と受光部を持つ光センサである。投光部は対象物(反射板)に光を照射し、受光部は対象物から反射される反射光を受光する。そして、受光部から出力される信号の電圧から対象物との距離を測定する。本実施例では、回転ノブ110の底面に反射板が取付けられており、その反射板との距離を位置センサ182で検出している。
【0035】
図15は、眼科装置10を制御する制御系の構成を示すブロック図である。眼科装置10はコントローラ200によって制御される。コントローラ200は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)によって構成されている。コントローラ200には、測定スイッチ30や操作パネル32等のスイッチ類が接続され、また、測定ユニット42,モニタ18及びモータ68,88,104等が接続されている。測定スイッチ30が操作されると、コントローラ200は、測定ユニット42を作動させて被検眼の検査を行う。操作パネル32のスイッチ類33〜39が操作されると、コントローラ200は、操作されたスイッチに対応したプログラムを実行する。例えば、梱包スイッチ33が操作されると、コントローラ200は、モータ68,88,104を駆動して測定ユニット42(測定部16)を所定の梱包位置に移動させる。
【0036】
また、コントローラ200には、回転ノブ110の回転量を検出する回転角センサ168と、回転ノブ110の軸方向の移動量(位置)を検出する位置センサ182が接続されている。コントローラ200は、回転角センサ168で検出された回転ノブ110の回転量又は位置センサ182で検出された回転ノブ110の軸方向の移動量に基づいてモータ88を駆動する。したがって、検査者は回転ノブ110を回転又は軸方向にスライド移動させることで、測定ユニット42(測定部16)を上下方向に移動することができる。
ここで、コントローラ200は、回転角センサ168で検出された回転量に基づいて測定ユニット42を微動(位置制御)する。すなわち、図16に示すように、回転角センサ168で検出された回転量(回転ノブ110の回転量)に基づいて測定ユニット42の位置を変化させる。一方、コントローラ200は、位置センサ182で検出された回転ノブ110の位置に基づいて測定ユニット42を粗動(速度制御)する。すなわち、図17に示すように、位置センサ182で検出された回転ノブ110の位置に基づいて測定ユニット42の移動速度を変化させる。したがって、検査者は回転ノブ110を回転させることで測定ユニット42を上下方向に微動でき、また、回転ノブ110を軸方向(すなわち、上下)に移動させることで測定ユニット42を上下に粗動できる。
【0037】
測定ユニット42の前後方向の移動も、上述した測定ユニット42の上下方向の移動と同様に、微動操作と粗動操作が可能となっている。すなわち、コントローラ200には、ジョイスティック装置24(すなわち、操作桿軸114)の前後方向の傾動角度を検出する回転角センサ124と、ジョイスティック装置24(すなわち、第2スライド板144)の前後方向の位置を検出する位置センサ156が接続されている。コントローラ200は、回転角センサ124で検出された傾動角度又は位置センサ156で検出されたスライド位置に基づいてモータ68を駆動する。したがって、検査者はジョイスティック装置24を前後方向に傾動又はスライドさせることで、測定ユニット42を前後方向に移動することができる。
ここで、コントローラ200は、回転角センサ124で検出された傾動角度に基づいて測定ユニット42を微動(位置制御)し、位置センサ156で検出されたスライド位置に基づいて測定ユニット42を粗動(速度制御)する。したがって、検査者はジョイスティック装置24を前後に傾動することで測定ユニット42を前後に微動でき、また、ジョイスティック装置24(すなわち、スライド部材28)を前後にスライド移動させることで測定ユニット42を前後に粗動できる。
【0038】
同様に、測定ユニット42の左右方向の移動も微動操作と粗動操作が可能となっている。すなわち、コントローラ200には、ジョイスティック装置24の左右方向の傾動角度を検出する回転角センサ126と、ジョイスティック装置24の左右方向の位置を検出する位置センサ154が接続されている。コントローラ200は、回転角センサ126で検出された傾動角度又は位置センサ154で検出されたスライド位置に基づいてモータ104を駆動する。したがって、検査者はジョイスティック装置24を左右に傾動又はスライドさせることで、測定ユニット42を左右に移動することができる。
ここで、コントローラ200は、回転角センサ126で検出された傾動角度に基づいて測定ユニット42を微動(位置制御)し、位置センサ154で検出されたスライド位置に基づいて測定ユニット42を粗動(速度制御)する。したがって、検査者はジョイスティック装置24を左右に傾動することで測定ユニット42を左右に微動でき、また、ジョイスティック装置24(すなわち、スライド部材28)を左右にスライド移動させることで測定ユニット42を左右に粗動できる。
【0039】
上述の説明から明らかように、本実施例に係る眼科装置10では、検査者はジョイスティック装置24のグリップ112を手で握り、スライド部材28の上に手を置くことで、ジョイスティック装置24(操作桿軸114)を前後左右のそれぞれの方向に傾動及びスライドさせることができる。このため、検査者は、ジョイスティック装置24のグリップ112を握った状態で測定ユニット42を前後方向及び左右方向のそれぞれに微動及び粗動させることができる。また、検査者はジョイスティック装置24のグリップ112に配された回転ノブ110を軸方向にスライド移動又は回転させることで、測定ユニット42を上下に微動又は粗動させることができる。
【0040】
さらに、本実施例の眼科装置10では、ジョイスティック装置24の粗動操作と微動操作が独立した異なる操作であるため、粗動操作によって移動させた位置から前後・左右並びに上下に測定ユニット42を微動させることができる。したがって、本実施例の眼科装置10では、特許文献1の眼科装置と比較して、被検眼に対する位置合わせをより容易な操作で行うことが可能となる。このことを、測定ユニットを一方向(例えば、右側)に移動させて位置合わせを行う場合を例に、具体的に説明する。
特許文献1の眼科装置においては、まず、検査者はジョイスティックを右側に大きく傾けて、測定ユニットを右側に粗動させる。測定ユニットの大まかな位置合わせが完了すると、検査者はジョイスティックの傾動を停止する(ジョイスティックに加えている力を0とする)。ジィステックには復元力と摩擦力が作用しているため、ジョイスティックは右側に所定の角度だけ傾いた状態で停止する。このとき、測定ユニットが右側に移動し過ぎている場合は、ジョイスティックを左側に小さく傾動することで測定ユニットを左側に微動させ、測定ユニットの位置合わせを行うことができる。一方、測定ユニットが右側に移動し足りない場合は、測定ユニットを右側に微動させなければならないが、ジョイスティックは右側に傾いた状態となっている。したがって、その状態からジョイスティックを右側にさらに傾けると測定ユニットは粗動し、測定ユニットを微動させることはできない。そこで、このような事態を防ぐために検査者は、測定ユニットを粗動させるときは必ず移動し過ぎた状態まで移動させるか、粗動を停止する際には素早くジョイスティックを垂直の状態に復帰させる必要がある。
一方、本実施例の眼科装置10では、ジョイスティック装置24を垂直状態としたままジョイスティック装置24を右側にスライドさせて、測定ユニット42を右側に粗動させることができる。測定ユニット42の粗動が停止した時にジョイスティック装置24は垂直状態であるため、測定ユニット42が右側に移動し足りないときは、ジョイスティック装置24を右側に傾動させて、測定ユニット42を右側にさらに微動させることができる。したがって、検査者は、特別な操作を行うことなく、測定ユニット42の位置合わせを行うことができる。
【0041】
以上説明したように、本実施例の眼科装置10では、測定ユニット42(測定部16)を前後・左右・上下の各方向に微動又は粗動させる際に、それぞれ異なる操作態様でジョイスティック装置24を操作する。したがって、操作者の意図通りに操作ユニット42を微動又は粗動させることができ、ジョイスティック装置24の誤操作を防止できる。
また、測定ユニット42を微動させる際はジョイスティック装置24の操作桿軸114又は回転ノブ110に摩擦力が作用して、これらの部材は操作後の位置に保持される。一方、測定ユニット42を粗動させる際は、ジョイスティック装置24の操作桿軸114(詳しくは、スライド部材28)又は回転ノブ110を中立位置に復帰させるような復元力が作用する。したがって、従来の電動の駆動装置を装備しない眼科装置における操作態様と同一の操作態様で測定ユニット42を粗動又は微動できるため、検査者に対して違和感を与えることなく、使い勝手のよい眼科装置を提供することができる。
また、操作パネル32に梱包スイッチ33を設けることでユーザの注意を喚起し、輸送時に測定部16を所定の梱包位置に移動し忘れることがないようにすることができる。また、梱包スイッチ33を操作すると、コントローラ200によって測定ユニット42(測定部16)が所定の梱包位置に移動させられるため、梱包作業の容易化と短時間化を図ることができる。
さらに、測定ユニット42をXYZ方向に駆動するための3つの駆動源68,88,104が1枚の板部材58に固定されるため、駆動装置40がユニット化され組立作業・メンテナンス性が向上する。また、3つの駆動源68,88,104が1枚の板部材58に固定されるため、各駆動源68,88,104を駆動しても板部材58に対する駆動源68,88,104の位置は変化せず、駆動装置40を小型化することができる。
【0042】
以上、本発明のいくつからの実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施例では、ジョイスティック装置のスライド操作量に応じて測定ユニットの移動速度(すなわち、粗動時の移動速度)を変えたが、本発明はこのような例に限られない。例えば、ジョイスティック装置がスライド操作されたときに、測定ユニットをそのスライド方向に一定の速度で移動させるようにしてもよい。
かかる場合は、ジョイスティック装置がスライド操作されたか否かを検出するセンサを装備し、そのセンサからの出力に応じて、コントローラが測定ユニットを一定の速度で粗動させることができる。このようなセンサには、上述した実施例の位置センサ(光センサ)をそのまま用いることができる。すなわち、コントローラは、位置センサからの出力に応じて、(1)ジョイスティック装置が一方にスライド操作されたか、(2)他方にスライド操作されたか、(3)中立位置に維持されているのかを判断する。そして、ジョイスティック装置が一方にスライド操作されたと判断したときは、測定ユニットを一方に一定の速度で粗動し、ジョイスティック装置が他方にスライド操作されたと判断したときは、測定ユニットを他方に一定の速度で粗動させる。なお、このようなセンサには、光センサ以外にも磁気センサ等を用いることもできる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0043】
10・・眼科装置
12・・ベース
16・・測定部
18・・モニタ
20・・顔受け
24・・ジョイスティック装置
28・・スライド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置であって、
ベースと、
ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、
検査者によって操作される操作装置と、
操作装置に入力された操作量を検出する検出装置と、
検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置と、を有し、
操作装置は、X,Y,Z方向の少なくも1方向に検査部を移動させるための操作部材を備え、その操作部材は検査部を1方向に移動させるために2自由度の入力が可能であり、
検出装置は、操作部材の一方の自由度に関する操作量を検出する第1センサと、操作部材の他方の自由度に関する操作量を検出する第2センサとを備え、
制御装置は、(1)第1センサと第2センサの一方のセンサで検出された操作量に基づいて検査部を微動させ、(2)第1センサと第2センサの他方のセンサで検出された操作量に基づいて検査部を粗動させることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
前記操作部材は、ベースに対して検査部をX,Y方向に移動させるためのジョイスティックであり、
そのジョイスティックは、X,Y方向の各方向について、ベースに対して傾動可能で、かつ、ベースに対してスライド移動可能であり、
前記検出装置は、X,Y方向の各方向について、ジョイスティックの傾動角度を検出する第1センサと、ジョイスティックのスライド位置を検出する第2センサをそれぞれ備えていることを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記操作部材は、ベースに対して検査部をX,Y,Z方向のうちの1方向に移動させるための回転ノブであり、
その回転ノブは、軸に対して回転可能で、かつ、軸方向にスライド移動可能であり、
前記第1センサは回転ノブの回転角を検出し、前記第2センサは回転ノブの軸方向の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の眼科装置。
【請求項4】
制御装置は、(a)駆動装置を微動させるときは、検出された操作量に基づいて検査部の位置を制御し、(b)駆動装置を粗動させるときは、検出された操作量に基づいて検査部の移動速度を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の眼科装置。
【請求項5】
前記操作装置は、操作部材が微動操作に関する自由度に操作されたときに当該操作部材をその操作後の位置で維持するための摩擦機構と、操作部材が粗動操作に関する自由度に操作されたときに当該操作部材を中立位置に復帰させる付勢手段とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
被検眼に対して検査部を所定の位置にアライメントして検査を行う眼科装置であって、
ベースと、
ベースに対して検査部をX,Y,Z方向に移動させる駆動装置と、
検査者によって操作される操作装置と、
操作装置に入力された操作量を検出する検出装置と、
検出装置で検出された操作量に基づいて駆動装置を駆動する制御装置と、を有し、
操作装置は、X,Y,Z方向の少なくも1方向に検査部を移動させるための操作部材を備え、その操作部材は、検査部を微動させるための第1の入力と、検査部を粗動させるための第2の入力が可能であり、
検出装置は、操作部材への第1の入力を検出する第1センサと、操作部材への第2の入力を検出する第2センサとを備え、
制御装置は、(1)第1センサで検出された操作量に基づいて検査部を微動させ、(2)第2センサで検出された操作量に基づいて検査部を粗動させることを特徴とする眼科装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−234133(P2010−234133A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169758(P2010−169758)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【分割の表示】特願2004−325280(P2004−325280)の分割
【原出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(501299406)株式会社トーメーコーポレーション (48)