説明

眼鏡フレーム及びその眼鏡フレームを備えた眼鏡

【課題】軽量で、着用者が掛け心地のよいと感じ得る、新たな眼鏡フレーム及び眼鏡を提供することを目的とする。
【解決手段】眼鏡10を構成する眼鏡フレーム50のフロントフレーム200を形成するリム102A,102Bの内周に形成した嵌合部と、レンズ120A,120Bの外周に形成された溝と、を嵌合させるとともに、リム102A,102Bの外周に、弾力性のある素材で形成されたリム枠116を装着して、レンズ120A,120Bを止着することとしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズを止着する眼鏡フレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズの外周に形成された溝に、眼鏡フレームのリムの内周を嵌合させてレンズを止着した眼鏡がある。このような眼鏡は、リムの幅を薄くすることが可能で、それ故、眼鏡、具体的には、眼鏡フレームを軽量にすることができる。
【0003】
このように軽量化可能な眼鏡(眼鏡フレーム)において、レンズに局部的な応力集中が発生することを防止可能な構成が提案されている。具体的には、リムの内周が部分的に切り欠かれた眼鏡フレームのリムが提案されている。この眼鏡フレームのリムによれば、レンズがリムに嵌った場合に、リムの内周の切り欠かれていない部分が溝に嵌合する一方、切り欠かれている部分は溝に嵌らず、レンズの外周との間に隙間が形成される。
【0004】
なお、この眼鏡フレームのリムは、その一部が切断され、レンズを嵌めた後、切断部(切口)の裏側に設けたブローチ片をねじ止めすることで、切断部が開口しないようにしている。また、レンズ外周の隙間に関し、切欠きにより形成される段差寸法は、レンズ外周に形成された溝の深さ寸法より大きく、レンズを止着した眼鏡を正面視したとき、隙間を視認することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−281605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
眼鏡は、長時間にわたり着用されるものである。したがって、着用者が快適に長時間着用できるようにすることは、解決すべき重要な課題の一つである。
【0007】
本発明は、軽量で、着用者が掛け心地のよいと感じ得る、新たな眼鏡フレーム及び眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の眼鏡フレーム及び眼鏡は、眼鏡フレームのリムの内周に形成した嵌合部と、レンズの外周に形成された溝と、を嵌合させるとともに、リムの外周にリム枠を装着してレンズを止着することとしたものである。
【0009】
本発明に係る第1の課題解決手段は、レンズの外周に形成された溝に嵌合する嵌合部を形成したリムを備える眼鏡フレームであって、前記リムには、前記リムの一部を切断した切断部が形成され、前記リムの外周には、リム枠が装着されていることを特徴とする眼鏡フレームである。これによれば、切断部を利用してリムにレンズを取り付けた状態において、切断部の開口をリムの外周に装着したリム枠によって抑制することができる。なお、第1の課題解決手段の構成によれば、眼鏡フレームの軽量化を実現することができる。
【0010】
第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段の眼鏡フレームであって、前記リム枠には、内周に溝が形成され、前記リムの外周と、前記リム枠の内周に形成された溝と、が嵌合して、前記リムの外周に前記リム枠が装着されていることを特徴とする。これによれば、リム枠をリムの外周に確実に装着することが可能で、切断部の開口を抑制することができる。
【0011】
第3の課題解決手段は、前記第1又は第2の課題解決手段の眼鏡フレームであって、前記リムの外周には、前記リム枠の外周方向に突き出た突起部が形成され、前記リム枠には、前記突起部が嵌め込まれる窪み部が形成されていることを特徴とする。これによれば、リム枠をリムに装着する際、リムとリム枠との相対的位置を容易に決めることができる。
【0012】
第4の課題解決手段は、前記第3の課題解決手段の眼鏡フレームであって、前記突起部は、前記切断部の両側に形成されていることを特徴とする。これによれば、切断部を介してその両側部分に生じるずれ(開口)の発生を、特に、抑制することができる。
【0013】
第5の課題解決手段は、第1から第4の課題解決手段のいずれか1つの眼鏡フレームであって、前記嵌合部は、凸状部と凹状部とで形成されていることを特徴とする。これによれば、レンズ外周の溝への応力集中を抑制することができる。
【0014】
第6の課題解決手段は、第1から第5のいずれか1つの眼鏡フレームと、前記眼鏡フレームに止着されたレンズと、を備えたことを特徴とする眼鏡である。これによれば、フロント部分が軽量化された眼鏡とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軽量で、着用者が掛け心地のよいと感じ得る、新たな眼鏡フレーム及び眼鏡を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を反映した上記課題解決手段を実施するための実施形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。上記課題解決手段は以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。
【0017】
図1は、本実施形態に係る眼鏡フレームを構成するフロントフレームを示す図である。フロントフレーム100は、左右のリム102A,102Bと、リム102A,102Bを連結するブリッジ104と、により形成されている。リム102A,102Bとブリッジ104とは板状部材(板厚:0.6mm/リム102A,102Bが板状部材で形成されていることについては、図4参照)を加工し、一体的に形成されている。フロントフレーム100を形成する素材としては、例えば、チタン、より詳細には、βチタンが採用される。これによれば、軽量・高剛性を実現することができる。
【0018】
リム100A,100Bには、切断部106A,106Bが各々形成されている。環状のリム100A,100Bは、切断部106A,106Bで切断されている。これは、レンズをリム100A,100Bに取り付けるためである。
【0019】
リム100A,100Bの外周には、切断部106Aを中心として両側、詳細には切断部106Aを中心として上側(図1を正面視した状態で上側)に突起部108Aと、切断部106Aを中心として下側(図1を正面視した状態で下側)に突起部110Aと、が略水平方向(図1を正面視してた状態で略横方向)外側(ブリッジ104と反対側方向)に向けて形成されている。リム102Aを例に、より詳細に説明すると、リム102Aは、切断部106Aで略鉛直方向(図1を正面視して略上下方向。図2に記載の矢印a・a’参照)に開口させることが可能であるところ、突起部108A,110Aは共に、この開口する方向に対して略垂直な方向(前記略水平方向)に向けて突出した形状に形成されている。
【0020】
ブリッジ104から略鉛直方向(略鉛直方向については上記参照)に突出して突起部112A,112Bが形成されている。なお、突起部112A,112Bはフロントフレーム100の中心線上(図1において1点鎖線にて描画)に形成されている
【0021】
リム102A,リム102Bの内周には、レンズ120A,120B各々の外周に形成された溝(図4参照)に嵌合する嵌合部114A,114Bが形成されている。図1のフロントフレーム100において、嵌合部114A,114Bは、凸状部と凹状部とを交互に配列した形状(凸状部及び凹状部が各4個形成)に形成されている。図1のフロントフレーム100のリム102A,102B各々にレンズ120A,120B各々を取り付けた場合、嵌合部114A,114Bの凸状部及びレンズ外周の溝が嵌合する一方、凹状部では、レンズ120A,120B各々の外周に形成された溝の底面との間に空隙が形成される。フロントフレーム100において、凹状部は、略四角形状のリム102A,102Bの各角部に形成されている。角部において応力集中が発生し易いことを考慮したものである。
【0022】
ここで、凸状部と凹状部により形成される段差寸法(図1に記載の寸法L参照)を、レンズ120A,120B各々の外周に形成された溝の深さ寸法(図4に記載の寸法H参照)より小さくすると、レンズレンズ120A,120B各々をリム102A,102B各々に止着した場合、凹状部により形成される空隙をレンズ120A,120Bの外周に形成される溝の側面にて覆うことができる。これによれば、例えば、埃その他の異物が、空隙を通過することを抑制できる。
【0023】
なお、嵌合部114A,114Bには必ずしも凹形状を形成する必要はなく、凹状部を形成していない、換言すれば、凹凸形状を成していない嵌合部とすることもできる(図3参照)。嵌合部114A,114Bを、このような形状とした場合、嵌合部114A,114Bと、レンズの外周に形成された溝と、は全周において嵌合する。
【0024】
図2は、リムにレンズを取り付ける際の態様を示す図である。詳細は後述するが、レンズ120A,120Bの外周には、上述しているとおり溝が形成されており、この溝と、板状のリム102A,102Bと、を嵌合させる構成を採用する眼鏡10では、接合部106A,106Bを、略鉛直方向(図2に記載の矢印a・a’参照)に開口させた状態で、レンズ120A,120Bがリム102A,102Bに取り付けられる。
【0025】
図3は、本実施形態に係る眼鏡を示す図であり、図3(a)は、眼鏡の上面図を示し、図3(b)は、眼鏡の正面図を示す。なお、図3(a)において、テンプルについては、その描画を省略している。適宜所定の形状を成すテンプルを採用することができる。また、図3に示す眼鏡10は、上述したとおり、凹凸形状を成していない嵌合部114A、114Bを備えたフロントフレーム200を採用している。しかし、フロントフレーム100及びフロントフレーム200は、嵌合部の凹凸形状を除き、同一の形状であるため、以下の説明では、フロントフレーム200の各構成について、フロントフレーム100と同一の符号を用いて説明する。フロントフレーム200についての詳細は省略する。
【0026】
眼鏡10において、眼鏡フレーム50は、リム102A,102B及びブリッジ104の外周、換言すれば、フロントフレーム200の外周に、フロントフレーム200の外周形状と略同一形状の環状を成したリム枠116が装着され、構成されている。リム枠116は、弾性力を備える素材により形成することができる。例えば、アセテートを採用することができる。眼鏡フレーム50では、リム枠116が備える弾性力により、レンズ120A、120Bが、リム枠102A,102Bに止着された状態を維持することが可能となる。なお、眼鏡10は、従来採用されているブローチを使用せず、ねじ止めする構成を採用していない。
【0027】
図4は、図3に記載のA−A断面を示す図である。リム102Aの嵌合部114Aは、レンズ120Aの外周(外周側面)に形成された溝122Aに嵌合している。レンズ120Aが止着された状態において、嵌合部114Aとレンズ120Aの外周に形成された溝122Aとの間には、所定の隙間が形成されている。また、リム102Aの外周部118Aと、リム枠116の内周に形成された溝と、は嵌合している。外周部118Aにリム枠116が装着された状態において、外周部118Aとリム枠116の内周に形成された溝とは密着している。リム102B側についても図4と同一の構成となる。嵌合部114Aと、レンズ120Aの外周に形成された溝122Aと、のはめ合いは、各種の点が考慮され、決定される。また、嵌合部114A及びレンズ120Aの外周に形成された溝122Aの形状について、図4に示す形状とは異なる形状を採用し得る。リム102Aの外周部118Aとリム枠116との関係についても各種の点が考慮され、決定されるとともに、各種形状を採用し得る。
【0028】
説明を図3に戻し、リム枠116について説明を続ける。リム枠116には、窪み部が形成され、リム102A,102B及びブリッジ104の所定の箇所に形成された突起部108A,108B,110A,110B及び112A,112Bが嵌め込まれる。図5は、リム枠及びリム枠における各窪み部の位置を示す図である。
【0029】
図5から明らかなとおり、リム枠116には、合計6箇所に窪み部124A〜124Fが形成されている。窪み部124A〜124F各々は、フロントフレーム200にリム枠116が装着された場合において、突起部108A,108B,110A,110B及び112A,112B各々に対応する位置に形成されている。例えば、窪み部124Aは突起部108Aが配置される位置に、窪み部124Dは突起部110Bが配置される位置に形成されている。また、窪み部124Fは突起部112Bが配置される位置に形成されている(図3及び図5参照)。
【0030】
窪み部124A〜124F各々は、リム枠116の所定の一部を切り欠き、形成されている。窪み部124A〜124F各々は、例えば、リム枠116の内周に形成された溝から、その奥側(リム枠116の外周側)に向かう穴とすることができる。図6(a)に、図5に記載のB−B断面(窪み部124Dの断面)を、図6(b)に図5のC−C断面(窪み部124E、124Fの断面)を示す。
【0031】
図6(a)に示すとおり窪み部124Dは、リム102Bの外周部が嵌合する、リム枠116の内周に形成された溝の奥側(図6(a)を正面視して水平方向右側)に向かう非貫通の穴(リム枠116の幅方向に非貫通)として形成されている。窪み部124Dは、リム枠116の外周(幅方向)に貫通した穴とすることもできる。突起部108A,108B,110Aの形状が、突起部110Bの形状と同一又は類似の形状であれば、窪み部124A,124B,124Cは、窪み部124Dと同様(同一)の形状を成すよう形成することができる。
【0032】
図6(b)に示す窪み部124E,124Fについても、図6(a)の窪み部124Dと同じ態様で、ブリッジ104が嵌合するリム枠116の所定の位置に、非貫通の穴として形成されている。穴の形状を貫通穴とすることもできる。窪み部124A〜124Fを非貫通又は貫通のいずれとするかは、各種の点が考慮され、決定される。例えば、窪み部124A〜124Dをリム枠116の幅方向に非貫通の穴、窪み部124E,124Fを貫通する穴とすることもできる。また、窪み部124A〜124F各々の形状を穴以外の形状とすることもできる。例えば、溝状であってもよい。
【0033】
再度、説明を図3に戻し、眼鏡10について説明を続ける。眼鏡10は、通常の眼鏡同様、鼻パッド126A,126Bを備える。鼻パッド126A,126Bはフロントフレーム200に、例えば、ロウ付けされている。
【0034】
また、眼鏡10は、一端側がフロントフレーム200に接続されたヨロイ128A,128Bを備える。ヨロイ128A,128Bはフロントフレーム200に、例えば、ロウ付けされている。ここで、ヨロイ128A,128Bは、リム102A,102B各々の上側の所定の位置(レンズ120A,120Bが止着され、リム枠116が装着された状態において、これらと重複しない位置)にロウ付けされている。ヨロイ128A,128Bの他端側には、蝶番部130A,130Bが一体的に形成されている。蝶番部130A,130Bが一体的に形成されたヨロイ128A,128Bは、フロントフレーム200と同一の素材、例えば、チタン(βチタン)により形成されている。
【0035】
なお、上記説明では、フロントフレーム200の外周にリム枠116を装着した眼鏡フレーム50を含む眼鏡10とした。眼鏡フレーム50の構成として、フロントフレーム100の外周にリム枠116を装着した構成とすることもできる。この場合においても、リム枠116の機能により、レンズ120A、120Bが、リム枠102A,102Bに止着された状態を維持できる。
【0036】
(本実施形態の構成に基づく有利な効果)
上述の本実施形態の構成、具体的には、フロントフレーム100,200の外周に、リム枠116を装着した眼鏡フレーム50によれば、眼鏡10のフロント部分を軽量にすることができるとともに、次に記載の有利な効果を得ることができる。
【0037】
(1)眼鏡フレーム50は、リム枠116が備える弾性力により、切断部106A,106bの相互に対向する面(断面)が当接するように、押圧されている。すなわち、リム枠116による弾性力を、このフロントフレーム100,200がレンズ120A,120Bを止着するための押圧力として利用可能で、レンズ120A、120Bに応力集中等が発生することなく、レンズ120A、120Bをソフトな押圧力で止着できる。
【0038】
(2)デザイン性を持たせたリム枠116とすることで、眼鏡10に要求されるファッション性と機能性を両立することができる。また、リム枠116を各種取り揃え、これを取り替えることで、異なるイメージの眼鏡10とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態におけるフロントフレームを示す図
【図2】本発明の実施形態におけるフロントフレームにレンズを取り付ける状態を示す図
【図3】(a)及び(b)は、本発明の実施形態における眼鏡を示す図
【図4】本発明の実施形態における眼鏡の断面を示す図
【図5】本発明の実施形態におけるリム枠を示す図
【図6】(a)及び(b)は、本発明の実施形態におけるリム枠の断面を示す図
【符号の説明】
【0040】
10 眼鏡
50 眼鏡フレーム
100,200 フロントフレーム
102A,102B リム
106A,106B 切断部
114A,114B 嵌合部
116 リム枠
120A,120B レンズ
122A 溝(レンズ120Aの外周に形成)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの外周に形成された溝に嵌合する嵌合部を形成したリムを備える眼鏡フレームであって、
前記リムには、前記リムの一部を切断した切断部が形成され、
前記リムの外周には、リム枠が装着されていることを特徴とする眼鏡フレーム。
【請求項2】
前記リム枠には、内周に溝が形成され、
前記リムの外周と、前記リム枠の内周に形成された溝と、が嵌合して、前記リムの外周に前記リム枠が装着されていることを特徴とする請求項1に記載の眼鏡フレーム。
【請求項3】
前記リムの外周には、前記リム枠の外周方向に突き出た突起部が形成され、
前記リム枠には、前記突起部が嵌め込まれる窪み部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の眼鏡フレーム
【請求項4】
前記突起部は、前記切断部の両側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の眼鏡フレーム。
【請求項5】
前記嵌合部は、凸状部と凹状部とで形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の眼鏡フレーム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の眼鏡フレームと、前記眼鏡フレームに止着されたレンズと、を備えたことを特徴とする眼鏡。

【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−85523(P2010−85523A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252228(P2008−252228)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(508292958)
【Fターム(参考)】