説明

眼鏡用ツル

【課題】軽く、薄く簡単な構造で、捩れや撓みを生じさせずに、バネ丁番と同様の弾性をツルに付与すること。
【解決手段】少なくとも二枚以上の板状ツル(11a,11b)の前方テンプル部(15a,15b)に切り込み部(30,30a,‥)を設け、前記板状ツル(11a,11b)を上下に水平に並べ、そして、それぞれの前端部にはヒンジ結合用の軸受け(12a,12b)を設け、それぞれの後端部(14a,14b)は互いに固着し、モダンを嵌着した構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼鏡用のツルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼鏡を掛ける際にツルを外側に過開拡させ掛け易くする為にバネ丁番や、特開2003−315744と特許第3359700の様にツル部又はツル部端部のヒンジ部に切り込み部を互い違いに入れて、撓み又は弾性により外側に拡げられるようにした物が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−315744号公報
【特許文献2】特許第3359700号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記バネ丁番に於いては、バネ丁番を付けるのにも手間と時間がかかり費用が高くついた。
【0005】
又、上記特開2003−315744号や特許第3359700号の様に切り込みを設ける場合に於いては、十分な厚みが無いとその効果が充分に現れないという課題があった。すなわち、図6のように薄い板状ツルに切込みを入れて外側に開拡すると、過開拡はするが同時に長軸に対し回転する力すなわち捩れが生じてしまった。又、撓みも生じてしまっていた。その事によりツルを薄くする事が出来ず、厚く重いツルになってしまい、眼鏡自体の重さも増してしまった。又、形状も単純なデザインしか採れなくて野暮ったい物となってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明に於いては、先ず上記課題を解決する為に、少なくとも二枚以上の所望形状の板状ツルが、上下に水平に並べられ、そして、それぞれの前端部にはヒンジ結合用の軸受け部を有し、後端部は互いに固着されモダンに嵌着された事を特徴とする眼鏡用ツルの提供を図り、更にその少なくとも二枚以上の板状ツルの前方テンプル部に切り込み部を設ける事により上記課題の解決を図った。
【0007】
更に少なくとも二枚以上の板状ツルの、それぞれの色、形状、又は切り込み部の形状を異なった様にした事によりデザイン的にも多様性を表示できる事となった。そして、少なくとも二枚以上の板状ツルに相対する様に嵌合用凹部と凸部を設ける事により上下のツルのズレ防止とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、軽く薄く、しかも外側への過開拡の際にも捩れや撓みを起こす事無く出来る掛け易い眼鏡のツルが提供可能となった。又、デザイン的にも上下の板状ツルのそれぞれの色、形状、切り込みの形状を変える事等により多くの変化を持つ様に出来る。そしてその様に、機能性と装飾性を併せ持った眼鏡の提供が可能となった。又上下に薄く横に広くなっているので指で摘み易く眼鏡の掛け外しも楽に行える事となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
少なくとも二枚以上の板状ツルの前方テンプル部に切り込み部が設けられ、前記板状ツルは上下に水平に並べられ、そして、それぞれの前端部にはヒンジ結合用の軸受け部を有し、後端部は互いに固着されモダンに嵌着された事を特徴とする眼鏡用ツル。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明の眼鏡用ツルの要部分解斜視図であり、前端部13a,13bにヒンジ結合用の軸受け部12a,12bが設けられた二枚の所望形状の板状ツル11a,11bを上と下に水平に並べて配置されている。そして、板状ツル11a,11bの後端部14a,14bは互いに固着される。これは例えば、ロウ付け、スポット溶接、カシメ等の手段で良い。そして、次に後端部はモダン16に嵌着される。上の板状ツル11aの前方テンプル部15aと下の板状ツル11bの前方テンプル部15bには、それぞれ切り込み部(30、30a,30b‥‥)が設けられ、眼鏡を掛ける際に、外側に過開拡出来、掛け易くするようになっている。
【0011】
又、上下の板状ツルのそれぞれで色や形状、そして切り込み部の形状、模様を変えられるので、デザイン、装飾面での応用も広い。
【0012】
前記板状ツルは、材質的には金属板の打ち抜き、又は切削で得られたものが好ましいが、勿論これにこだわるものではない。
【0013】
図2は、図1の状態から組立てられた全体斜視図であり、掛け外しの際ツルが横に広がっているので指で摘み易く取り扱いが容易である。板状であるので切り込みの模様等も簡単に変えられるのでデザインも大いに楽しめる。
【0014】
図3は、上下の板状ツルがズレないようにそれぞれ凸部17と凹部18を設けた図である。こうする事により上下の板状ツルのズレを防止する。
【0015】
又、図4の様に、上下の板状ツルの間にスペースを設けても良いし、図5の様にスペースをなくして密着して設けても良い。
【0016】
図6は切り込み部入りのツルを薄くした場合の不具合を説明する為の斜視図であり、矢印Fの方向に過開拡する力を加えると、薄い板状ツル11Pは、外側に広がる方向にも弾性を持って拡がるが、長軸を中心とする回転する力である捩れGも同時に発生する。又、薄い故に上下への撓みHも発生する。頻繁に過開拡する力を加え続けると、徐々に曲げ癖が付きツルの安定性が悪くなり、眼鏡をかけた際にアンバランスになり視線まで狂ってくることになる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
ファッション性と機能性を併せ持った事により、矯正用の眼鏡は勿論、サングラス、としての応用使途は広い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の眼鏡用ツルの要部分解斜視図
【図2】図1の状態から組立てた全体斜視図
【図3】板状ツルの凹凸嵌合部要部断面図
【図4】本発明の実施例の側面図
【図5】本発明の他の実施例の側面図
【図6】不具合を説明する為の斜視図
【符号の説明】
【0019】
10 眼鏡用ツル
11a,11b 板状ツル
12a,12b 軸受け部
13a,13b 板状ツル前端部
15a,15b 板状ツル前方テンプル部
16 モダン
17 板状ツル係止用凸部
18 板状ツル係止用凹部
20 ヒンジ部コマ
22 フロントフレーム
30、30a,30b、 切込み部
F 開拡方向
G 捩れ
H 撓み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二枚以上の所望形状の板状ツルが、上下に水平に並べられ、そして、それぞれの前端部にはヒンジ結合用の軸受け部を有し、それぞれの後端部は互いに固着されモダンに嵌着された事を特徴とする眼鏡用ツル。
【請求項2】
前記少なくとも二枚以上の板状ツルの前方テンプル部に切り込み部が設けられた事を特徴とする請求項1に記載の眼鏡用ツル。
【請求項3】
前記少なくとも二枚以上の板状ツルの、それぞれの色、形状、又は切り込み部の形状を異なった様にした事を特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の眼鏡用ツル。
【請求項4】
前記少なくとも二枚以上の板状ツルに相対する様に嵌合用凹部と凸部を設けた事を特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の眼鏡用ツル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−191329(P2008−191329A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24482(P2007−24482)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【特許番号】特許第4047367号(P4047367)
【特許公報発行日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(391015638)アイテック株式会社 (16)