説明

着座イオン交換ビーズを含むバリア及び方法

第1のチャンバー内のイオンを、第2のチャンバー内の液体に、ビーズ座内に密封したイオン交換ビーズを含む壁によって輸送するイオン輸送装置(例えば、電解質溶離剤生成器又はイオンクロマトグラフィー用のサプレッサ)。上記の壁は、イオンを輸送し得るが、バルク液流は実質的に遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン輸送バリア、とりわけ、高純度の酸、塩基又は塩の生成用、又はイオンクロマトグラフィー系におけるサプレッサ用の装置のようなイオン輸送装置において使用するイオン輸送バリアに関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフィーにおいては、分離すべき多くの成分を含有する液体サンプルは、クロマトグラフィーセパレーター、典型的にはイオン交換樹脂床に向かわせる。各成分は、上記の床からの溶出時に溶離剤溶液中に分離される。液体クロマトグラフィーの1つの好ましい様式は、イオンクロマトグラフィーと称する。この既知の方法においては、水溶液中のイオンからなるサンプル中の検出すべきイオンは、クロマトグラフィーカラムのようなクロマトグラフィーセパレーター内で、酸又は塩基を含有する溶離剤を使用して分離し、その後、サプレッサに送り、次いで、典型的には導電度検出器による検出を行う。上記サプレッサ内では、分離イオンの導電度ではなく電解質の導電度を抑制して、分離イオンの導電度を導電度検出器によって検出し得るようにする。米国特許第6,325,976号に記載されている1つのそのようなスプレッサーは、連続的で電解質である。抑制は、イオン交換樹脂の充填床内においてである。他のサプレッサは、米国特許第4,999,098号、第4,500,430号、第4,647,380号及び第5,352,360号に記載されている。これらにおいて、サプレッサは、再生剤溶液がイオン交換膜の一方側を流れ、サンプル流が他方側を流れる膜サプレッサの形である。抑制は、溶離剤中のサンプルイオンとは反対電荷を有する電解質イオンの上記膜を通って再生剤溶液中への輸送によって生じる。従って、サプレッサは、イオン輸送装置として機能する。
【0003】
液体クロマトグラフィーにおいて、とりわけ、イオンクロマトグラフィーにおいて溶離剤として使用する好都合な高純度の酸、塩基又は塩源は、米国特許第5,045,204号及び第6,225,129号に開示されている。開示されているように、塩基又は酸を生成するには、カチオン又はアニオン源を、流動している又は流動していないカチオン又はアニオン源容器内で処理する。水性液は、イオン交換膜の形のイオン交換バリアによって上記カチオン又はアニオン源容器から分離されている塩基又は酸生成チャンバーを通って流れ、上記膜を通る液流を実質的に遮断するとともにカチオン又はアニオン輸送ブリッジをもたらしている。電位を加えて、水酸化物又はヒドロニウムイオンを上記塩基又は酸生成チャンバー内で電気分解により生成させる。従って、米国特許第5,352,360号のサプレッサ同様、米国特許第6,225,129号又は第5,045,204号の酸又は塩基生成装置或いは米国特許出願第20060211125号に記載されている装置は、イオンを、イオン交換膜を通して輸送するイオン輸送装置である。
そのような従来技術のイオン輸送装置においては、そのようなイオン輸送装置のイオン交換膜を上回る改良を有する形のイオン輸送バリアを提供する有益性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの実施態様においては、ビーズ座及び該ビーズ座内に密封したイオン交換ビーズを有する壁を含むイオン輸送バリアを提供する。上記ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ、また、バルク液流を実質的に遮断し得る。
本発明のもう1つの実施態様においては、第1又は第2のチャンバー内の液体中の正又は負の電荷を有するイオンを、上記第1及び第2チャンバーの他方内の液体へ、上記第1及び第2チャンバー間のバルク液流を遮断するバリアによって輸送するイオン輸送装置を提供する。該装置は、入口及び出口を有する第1チャンバー及び隣接の第2チャンバー、並びに上記第1及び第2チャンバーを分離する第1壁を含む。該第1壁は、該第1壁内の第1ビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含む。該第1イオン交換ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ、且つバルク液流を遮断することができる。
【0005】
特定のイオン輸送装置としては、電解質溶離剤生成器及びイオンクロマトグラフィー用のサプレッサがある。スプレッサーの1つの実施態様は、入口及び出口を有するイオン受入れ流チャネル及び隣接の液体サンプルフロースルーチャンネル、並びに上記イオン受入れ流チャネル及び上記サンプルフロースルーチャンネルを分離する第1の壁を含む。上記第1壁は、第1壁内のビーズ座内に密封した第1のイオン交換ビーズを含み、上記第1イオン交換ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ、且つバルク液流を遮断し得る。
【0006】
本発明のもう1つの実施態様においては、第1チャンバー内の液体中の正又は負の電荷を有するイオンを、第2チャンバー内の液体に、上記第1及び第2チャンバー間の液流を遮断するバリアによって輸送する工程を含む方法を提供する。上記方法は、正又は負の電荷を有する選定したイオンを含有する第1のイオン源を第1のチャンバー内で調製する工程;イオン受入れ液流を、上記第1チャンバーに隣接するイオン受入れ流チャネル中に流入させる工程;及び、上記第1チャンバーを上記イオン受入れ流チャネルから分離する第1の壁を設ける工程を含み、上記第1の壁は、上記第1の壁内のビーズ座内に密封した第1のイオン交換ビーズを含む。選定したイオンは、上記イオン源から上記流動イオン受入れ流に上記第1イオン交換ビーズによって輸送される。
【0007】
そのような方法は、イオンクロマトグラフィーにおける液体の抑制のため、或いは酸又は塩基の生成方法としてであり得る。抑制方法の1つの実施態様は、入口及び出口を有するイオン受入れ流チャネル及び隣接の液体サンプルフロースルーチャネルを設け、上記イオン受入れ流チャンネルと上記サンプルフロースローチャネルを分離する第1の壁を設ける工程を含む。上記第1の壁は、上記第1の壁内のビーズ座内に密封した第1のイオン交換ビーズを含む。上記第1イオン交換ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ、且つバルク液流を遮断し得る。サンプルイオンとは反対電荷の選定したイオンを含む溶離剤中にクロマトグラフィーによって分離した正又は負の電荷を有するサンプルイオンを含むサンプル溶液は、前記液体サンプルフロースルーチャネル中に流入する。上記選定したイオンは、上記選定したイオンを上記サンプル流流動チャネルから上記第1イオン交換ビーズにより上記イオン受入れ流チャネル中に輸送することによって抑制する。
【0008】
もう1つの実施態様は、酸又は塩基の生成のための電気分解方法である。該方法は、水性液中のアニオン又はカチオン源を、第1チャンバー内のアニオン又はカチオン源容器内で調製する工程;及び、水性液流を、上記第1チャンバーと酸又は塩基生成フロースルーチャンネルとを分離する第1壁によって上記アニオン又はカチオン源容器から分離されている酸又は塩基生成チャンバー中に流入させる工程を含む。上記第1壁は、上記第1壁内のビーズ座内に密封した第1のイオン交換ビーズを含む。上記第1イオン交換ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ、且つバルク液流を実質的に遮断し得る。電位を、上記アニオン又はカチオン源容器と上記酸又は塩基生成チャンバー間それぞれに、上記イオン交換ビーズを介して加える。上記アニオン又はカチオン源容器からの上記アニオン又はカチオンを、上記第1のイオン交換ビーズを介して上記酸又は塩基生成チャンバーに輸送して、酸、塩基又は塩を電気分解により生成させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に従うイオン輸送装置の略図である。
【図2】本発明に従うイオン輸送装置の略図である。
【図3】図3a及び図3bは、それぞれ本発明に従うビーズアレーバリアの平面図及び側面図である。
【図4】図4aは、ビーズアレーバリアの側面図であり;図4bは、図4aのビーズアレーバリアのビーズ座内の1つのビーズ拡大断面図である。
【図5】高圧ビーズ系電気透析生成器、カソード及びアノードチャンバー双方における4M KOHの電流‐電圧‐濃度挙動を示すグラフである。
【図6】低圧平坦膜溶離剤生成器、10mM KOHアノード供給物、カソード供給水によって実施したクロマトグラムである。AS 11ラテックスでコーティーングした75μm×5mの溶融石英カラム、流量 1.7μL/分。サンプル 20nL中200ピコ当量の各アニオン。グラフ下方:アイソクラチッククロマトグラム、2.1mM KOH溶離剤。グラフ上方の勾配クロマトグラムにおける実際の勾配プロフィールは、図面に示している。
【図7】モノリスAS-18ラテックスコーティーングイオン交換体(0.25×260mm、ΔP = 2,758kPa (400 psi))上でのアイソクラチック(上方:5.5mM KOH、3.2μL/分)及び勾配(下方)クロマトグラムを示す。勾配プロフィールの2つの繰返しは、挿入図で示している。KOHは、カソード及びアノードチャンバーの双方において存在していた。検出器背景は、実行中に11fFまで上昇し、排除した。注入容量 200nL;上方:200pモルの各イオン;下方:F-では100pモル、他のイオンでは300pモル。カーボネートは、意図的に添加しなかった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の方法及び装置は、イオン輸送装置及び方法、とりわけ、上述したようなクロマトグラフィー溶離剤を生成させるため及びイオンクロマトグラフィー抑制のための方法及び装置において、とりわけ、イオン交換膜バリアを、イオン交換ビーズを着座させている壁で置き換えることによって応用可能である。また、本発明の方法及び装置は、サプレッサを使用せず且つ異なる検出器、例えば、紫外線(UV)検出器を使用するイオンクロマトグラフィー以外の液体クロマトグラフィー用の溶離剤の生成にも応用可能である。溶離剤は、酸又は塩基以外の形(例えば、塩)であってもよい。従って、用語“水性流”は、純水又はそのような添加剤を含む水を包含する。また、“塩基を含む溶離剤”、“酸を含む溶離剤”、“酸”又は“塩基”なる用語は、上記イオン輸送装置において生成させた酸又は塩基及びその組合せを含む水性流に合致する。上述したように、本発明の方法及び装置は、サプレッサ並びに溶離剤精製機(米国特許出願第20030127392号)又は水性流精製機(米国特許出願第20030132163号)等のような他の電気分解装置にも応用可能である。説明の簡素化のため、本発明のシステムを、先ず、高純度塩基を生成させるシステムに関連して説明する。試薬及び電極の極性の適切な変更によって、上記システムは、高純度酸の生成にも応用可能であることを理解すべきである。
【0011】
上記システムを、クロマトグラフィーセパレーター、例えば、アニオン交換樹脂を充填したクロマトグラフィーカラム中でのアニオンの分析における溶離剤として使用するのに適する塩基の生成に関連して先ず説明する。この場合、生成させる塩基は、典型的に、アニオン分析用の水酸化ナトリウム又はカリウムのようなアルカリ金属水酸化物である。カチオンの分析においては、生成させる溶離剤は、メタンスルホン酸のような酸である。
【0012】
米国特許第6,225,129号に例示されているように、水酸化物溶離剤、例えば、KOHを電気透析によって生成させる1つの方法は、実質的に静置状の又は非流動性のKOH流をイオン交換バリアの一面上で使用する。例えば、金属、例えば、貴金属から形成され、KOH溶液と電気的に連通しているアノードとして機能する電極を、上記溶液中で好ましく処理している。KOH溶液は、他の面とは、カチオン交換膜(CEM)又はCEMの積重ね体(高加圧下の機械的安定性のための)によって分離されている。水溶液、好ましくは精製水は、CEMの反対面を流れる。電場下では、Kイオンは、上記129号米国特許に説明されている原理に従い、膜を通って移動する。
本発明においては、ビーズ座内にイオン交換ビーズを有する壁を含むバリア又はビーズのアレーを含むバリアが、例えば上記129号又は976号米国特許の装置におけるイオン交換膜と置換わる。また、アニオン又はカチオン源は、204号米国特許に示されているような流動性の流れであり得る。
【0013】
上記129号又は204号米国特許の操作原理は、本発明にも応用可能である。水酸化物溶離剤、例えば、KOHの電気透析による生成を、一面上でのKOHの静置又は流動流及びイオン交換バリアを電気透析溶離剤生成器(EDG)内に配置したアノードとして機能する貴金属電極と一緒に使用して実施する。KOH溶液は、他の面とは、カチオン交換バリアによって分離する。純水は、陰極を配置している他の面に流入する。電場下においては、Kは、上記膜を通って移動し、カソード反応は、下記のとおりである:
K + H2O + e- → KOH + 1/2 H2 …(1)
一方、酸素は、アノードにおいて生成する:
2OH- − 2e- → H2O + 1/2 O2 …(2)
【0014】
アノード面上では、任意のK+化合物をK+源として使用することができる;K+化合物は、KOHでなければならないことはない。しかしながら、負イオンが、固定した陰性部位を担持するカチオン交換体を通って輸送されるのを阻止するドナンバリアは、絶対的ではない。濃度勾配が十分に高い場合、幾分かのドナン禁止帯漏出が生じ得る。例えば、K3PO4を電解質として使用する場合、リン酸根の生成溶離剤中への幾分かの浸透が起り得る。KOHがKOHを生成させるための好ましい電解質であるのは、この理由による。従来技術のEDGは、単一(又は積重ねた、厚い単一膜として有効に機能する)膜を使用している。また、これらのEDGは、二次元導電度検出において使用する小量ではあるが一定量の塩基を生成させるのに使用されている。これらのEDGは、1に近いファラデー効果Eの特徴を有し、Eは、下記によって得られる:
【数1】

【0015】
上記においては、i nAの電流が、QμL/分で流動するC mMの生成物KOHを生成させている。これらのEDGは、生成物が大量のガス、この場合はH2 (酸溶離剤生成においてはO2)を伴い、このガスは除去しなければならないという明白な欠点を有する。典型的には管状の多孔質ポリプロピレン及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を、EDGが低圧系のポンプ上にあるときのガス除去において使用している。高圧系のポンプ上にある溶離剤EDGは、そのような場合ポンプが水のみしか吸引する必要がないことから好ましい。勾配を生じる場合、高圧置換は、潜在的に有意なポンプ内の遅延容量及びミキサーのような補助構成要素を排除している。しかしながら、このことは、ガス除去を今や高圧下で行うことを必要とする。多孔質の膜は、この目的においては使用できない。高圧下でのガス除去においては、高圧に耐え得る透過性の壁毛細管、例えば、ポリスチレン、PTFE及び他のTeflon AFRのような各種フルオロカーボン類、及びポリプロピレン等から製造した壁毛細管の使用は可能性がある。そのような毛細管の寸法は、ガス除去を最大にし且つ遅延容量を最小にするように最適化する。従って、溶離剤を、ガスを含まない形で直接製造し得るような装置が、とりわけそれら装置を高圧下で操作する場合は望ましい。
【0016】
本発明の1つの局面によれば、ビーズ座及び該ビーズ座内に密封したイオン交換ビーズを含む壁を含むイオン輸送バリアを提供する。上記ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ、且つバルク液流を実質的に遮断し得る。本明細書において使用するとき、実質的に遮断するとは、小量の液体漏出を除く全ての流れを遮断することを意味する。好ましくは、本質的に全てのバルク液流を遮断する。本発明を、先ずは、上記イオン輸送バリアを含むイオン輸送装置に関して説明する。
【0017】
酸又は塩基生成器の形のイオン輸送装置の1つの実施態様においては、第1のチャンバー内の水性液中の正又は負の電荷を有するイオン、例えば、K+イオンを、第2のチャンバー内の水性液に、イオンの流動は阻止するがバルク液流を遮断するバリアを介して輸送する。'129号米国特許の装置においては、第1チャンバーはイオン源チャンバーとして稼動し、第2チャンバーは、流動水溶液、典型的には流動精製水の流れを含む。本発明によれば、イオン交換膜の代りに、バリアは、第1チャンバーと第2チャンバーを分離し、1以上のビーズ座内に密封した少なくとも第1のイオン交換ビーズを含む壁である。上記イオン交換ビーズは、上記第1チャンバー内のイオン源液及び上記第2の溶離剤生成チャンバー内の水性液と流体連通しており、正又は負イオンを通過させ且つバルク液流を遮断することが可能である。好ましくは、第1の電極は、上記イオン源(第1)チャンバーと電気的に連通しており、反対電荷の第2の電極は、酸又は塩基溶離剤を生成させる上記溶離剤生成(第2)チャンバー内の溶液と電気的に連通している。好ましくは、上記第2チャンバーは、細長く概して管状の構造、とりわけ毛細管構造を有している。上記イオン交換ビーズは、第2チャンバーにおける高圧系及び毛細管のような小寸法の系において使用するのにとりわけ有効である。上記ビーズは、好ましくは、球形を有する。他の形状も、ビーズをビーズ座内で密封する限りにおいて可能である。また、本発明は、ビーズ構造物のアレーも説明する。
【0018】
図1に関しては、例えば、約689.5kPa (100psi)よりも高い又は約6,895kPa (1000psi)よりも高い、34,474kPa (5000psi)以上の高圧系での溶離剤の製造において使用するのに極めて有効である本発明に従う電気透析生成器の1つの実施態様を例示している。この系は、精製水源、好ましくは脱イオン(DI)水10を含み、この脱イオン水は、適切なコネクタ14を有する導管、即ち、チューブ12を経て、適切なコネクタ20によって出口導管、即ち、チューブ22に連結している円筒状導管、即ち、チューブ18内のフロースルー溶離剤生成チャンバー16に流れる。チューブ24a及び24bは、それぞれ、チャンバー16に隣接する出口を有する1端で終端するイオン源容器26a及び26bを構成している。チャンバー16とチャンバー26a及び26bとの間には、それぞれ同じ又は反対の電荷を有するイオン交換ビーズ28a及び28bを配置している。ビーズ28aはチャンバー26a及び16と流体連通しており、一方、ビーズ28bはチャンバー26b及び16と流体連通している。これらのイオン交換ビーズは、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を遮断し得る。ビーズ28a及び28bは、チューブ18に隣接するチューブ24a及び24bの部分内の凹所の形の空洞、即ち、ビーズ座24c及び24d内に密封されている。この実施態様においては、各ビーズ及びチューブ24a及び24bの周囲内壁の組合せが、液体シールを構成するビーズ座24c及び24dである。
【0019】
本明細書において定義するとき、用語“壁”は、ビーズ(1個以上)を密封するビーズ座(1以上)構成する壁又は壁部分を包含する。イオン輸送装置における使用に当っては、壁は、その周囲において装置の内部に対して密封されて壁周りのバルク液流を遮断する。本発明に従う壁の他の実施態様としては、平坦もしくは湾曲シート状壁、又はチューブのような導管の内壁のような任意の形状を有する壁がある。
【0020】
好ましくは、上記の壁は、不活性で、導電性ではなく、水和により実質的に膨潤しない。好ましい基体としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、PEEK、PTFE等のような実質的に非膨潤性のプラスチック又は非膨潤性のポリマー材料がある。基体材料の厚さは、典型的には5000ミクロン(μm)未満、好ましくは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満である。ビーズ座開口は、丸型開口においては直径で、また、他の形状の開口においては、匹敵する断面で、典型的には5000ミクロン未満、好ましくは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満である。ビーズ座凹所は、イオン交換ビーズが凹所内に何らの実質的な漏出なしでしっかり保持されている限りにおいて任意の形状を有し得る。ビーズ座凹所は、機械ドリル開孔してもよい。また、ビーズ座凹所は、皿穴として形成してもよく、或いは半球形状を有し得る。更に、上記壁は、所定のビーズ座構造を有する基体シートの形状又は他の形状に射出成形し得る。成形バージョンにおいては、そのハードウェアに対する適切な詳細を統合して、ビーズがチェックバルブタイプの形状のビーズ座凹所内に内包されるのを確実にする。他のシーリング方式も使用し得る。
【0021】
密封を形成する1つの方法は、乾燥形のビーズをチューブ内のビーズ座24c及び24dに挿入することである。その後、ビーズが湿潤して膨張して、好ましくはPEEKのような硬質で非導電性(例えば、プラスチック)材料から形成されたチューブ内に密封を形成する。ビーズは、ビーズ座内に捕捉されて両側で液体に暴露される。そのようなアッセンブリは、流れがビーズとビーズを着座させているチューブの表面との間の密封を確実にすることから、座内ボール型(ball-in-seat)チェックバルブとして機能する。1つの実施態様においては、1つの実施態様においては、乾燥ビーズは、液体と接触したときに所定の場所で膨張してタイトフィットを確保する。また、ビーズを収縮させ、その後、ビーズ座にあるときに膨張させることも可能である。例えば、アニオン交換体樹脂ビーズをは、収縮ニトレート形とし、その後、水酸化物形に転換して膨張させて空洞に対して物理的密封をもたらし得る。同様に、カチオン交換体樹脂ビーズにおいては、ナトリウム形をヒドロニウム形に転換して、PEEK空洞に対する密封を作るのに使用し得るビーズの膨張を生じさせ得る。
【0022】
また、熱シーリング法をビーズの周りで使用してビーズ座に対して密封することも可能である。例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン壁を使用して、ビーズ座の周囲周りを加熱して、隣接ポリマー壁を溶融させ得る。溶融ポリマー璧の冷却時の樹脂ビーズとの接着により、ビーズ座の周囲に対する密封が生じる。また、周囲周りでのシリコーン接着剤のような接着剤もシーリングに使用し得る。もう1つの方法は、イオン交換ビーズ樹脂を通常の重合方法によってポリマー壁内にその場で形成させることである。この場合、ビーズ形状を決定するテンプレートを使用し得る。ビーズ座を形成する壁、例えば、ポリマー壁は、好ましくは、樹脂合成試薬又は薬品と反応しないように選定する。
【0023】
適切には、上記樹脂ビーズは、概して球形の形状を有し、クロマトグラフィーから水精製までの種々の用途において使用する樹脂床において使用する種類及びサイズを有し得る。好ましくは、上記ビーズは、構造強度を付与するに十分な程度まで、例えば、少なくとも2%、より好ましくは少なくとも約8%、更に、50%以上ほどに高く架橋させる。上記ビーズは、イオン交換材料である。そのような材料は、従来技術において周知であり、典型的には、例えば、スチレン ジビニルベンゼン系の架橋樹脂等をベースとするポリマーである。
【0024】
本発明方法の有意な利点が存在する。例えば、本発明の単一ビーズ又はビーズアレーにおいては、構造膨張は、ビーズ座内の侵入型孔においてのみ生じる。従って、ポリマー壁を使用する場合、その壁は、何ら実質的な膨張又は収縮を示さないことが好ましい。このことは、イオン交換膜と比較して、有意な取扱い上の利点を提供する。通常のイオン交換膜は、湿潤したとき膨潤し、膜は滑りやすくなり、膜の取扱いに困難をもたらし得る。更に、浄水器のような装置において使用する場合、膜寸法は、膨潤によって変動し得、装置アッセンブリ及び性能に影響を与え得る。例えば、通常のイオン交換膜により、湿潤形状で組立てたとき、膜は、湿潤後の寸法変化に対してサイズ変更する必要があり得る。このサイズ変更は、組立て過程における追加の工程である。乾式で組立てる場合、水分含有量がイオン交換膜の寸法に影響を与えることから、水分含有量に大きな変動にないように確実にする適切な予防策を講じなければならない。
【0025】
イオン交換膜を上回る本発明のもう1つの利点は、膜性能に対するそのような膨潤の影響を回避することである。例えば、サプレッサ膜が乾燥し過ぎて組立てられた場合、その膨潤力は、膜の膨張による総値内部の逆圧の上昇をもたらし得る。スプレッサー装置又は浄水器装置における高い内部圧は、これらの装置が漏水する原因となり得るので望ましくない。イオン輸送を、本発明の壁内の特定の領域におけるイオン交換ビーズにより選択的に可能にすることによって、イオン交換膜の上記の問題は、最小限となるか又は克服される。
単一ビーズ又はビーズアレー構造を有する装置構築物は、高圧条件下において高い回復力を示す。対照的に、通常のイオン交換膜を有する装置構築物は、液もれし得、貧弱な圧力回復力しか示し得ない。
【0026】
1つの実施態様においては、本発明の樹脂ビーズは、好ましくは、密封がビーズの膨潤によって生じたときに、ビーズ座の孔よりも僅かに小さい。樹脂を空洞内に圧入する場合は、樹脂ビーズは、ビーズ座凹所よりも僅かに大きくあり得る。また、大きい樹脂ビーズを使用し、ビーズ座を介して樹脂表面の小さい部分のみを暴露させることも可能である。これは、樹脂を、ビーズ座周囲に対して、例えば、上述したように加熱することにより密封することによって適所に保持した場合に使用し得る。
【0027】
樹脂ビーズは、好ましくは、実質的に球形であるが、他の形状も使用し得る。樹脂ビーズは、微小装置のようなある種の装置において使用するのに、例えば、毛細管内に着座させるとき、公称直径で典型的には5000ミクロン未満、好ましくは1000ミクロン未満、より好ましくは500ミクロン未満である。壁中のイオン交換ビーズ(1個以上)によるイオン輸送の割合は、ビーズを着座させる壁に対するビーズの露出表面積の比によって調整し得る。所望の輸送度合に応じて、露出ビーズ表面積対ビーズ座を含む露出周囲壁の表面積の比は、少なくとも1:1、より好ましくは少なくとも2:1、最も好ましくは少なくとも5:1〜10:1以上であることが好ましい。
【0028】
1つの実施態様においては、イオン源30、例えば、水溶液中のKOHは、それぞれ、チャンバー26a及び26b内に配置された導電性(金属)チューブ32a及び32bの内部に流入し、KOH溶液をビーズ28a及び28bに近いチャンバー26a及び26b内の出口に向わせる。KOH溶液は、それぞれ、チューブ32a及び32bから出口チューブ34a及び34bに流入する。また、チューブ32a及び32bは、反対極性を有する電極としても機能し、図示していない電源に連結している。操作中、電流は、チャンバー26a及び26b間をチャンバー16を経て流れる。図示していないもう1つの実施態様においては、イオン源は、水溶液中のイオン交換床のようなイオン交換媒体である。
図していない別の実施態様においては、1基のイオン源チャンバー26a及び1個のビーズ24cのみを使用する。その場合、第2電極が、溶離剤生成チャンバーと、好ましくはその中の溶液との接触で連通している。
【0029】
2個のビーズを同じ水平面内に並べているもう1つの実施態様を図2に例示している。同種の部材は、同じ番号で表示している。ビーズ28aはカチオン交換ビーズであり、ビーズ28bはアニオン交換ビーズである。この方式においては、水は、装置上部の入口チューブ36に流入し、導管38を経て導管40を通り、生成したKOHは、導管42及び出口導管44を流れ上る。この実施態様は、この実施態様を容易に改変して、以下で説明するような複数の樹脂ビーズ又はビーズアレーを適応させるという利点を有する。
【0030】
図1及び2の構造と同様な他の実施態様においては、ビーズのアレーを使用して、概して平坦な又は湾曲シート状構造を有し得る壁内の複数の座内に着座させる。ビーズアレー構造の平坦構造を、図3a及び3b並びに図4a及び4bに示している。好ましい構造においては、1つのビーズ露出表面を他の露出ビーズ表面積とそれらビーズそれぞれの座内で極めて接近させて又は接触させて配列させている。得られる構造は、従来技術のイオン輸送装置において使用するようなイオン交換膜と同様な機能性シート状(例えば、薄膜)イオン交換表面を生成させる。イオン交換膜を上回るビーズアレー構造の利点としては、物理的剛性及び強度がある。座内ボール型チェックバルブタイプの構造故に、優れた密封が、ビーズ座空洞と樹脂ビーズ間に形成される。ビーズアレーは、溶離剤生成器サプレッサ、電気透析系浄水器等のような、現在イオン交換膜を使用している用途において適しているであろう。
【0031】
ビーズアレーの幾つかの実施態様においては、1個のイオン交換ビーズが、ビーズの反対面で、各チャンバー内の流体と流体連通している。図4a及び4bに例示しているような他の実施態様においては、2個以上のイオン交換ビーズを。2つのチャンバー内の流体間に延びているタンデムライン内に積重ねている。この場合、第1のビーズが第1のチャンバーと流体連通しており、第2のビーズが第2のチャンバーと流体連通している。中間のビーズを、第1及び第2ビーズ間に割り込ませ得る。タンデムビーズは、互いに接触して、第1及び第2チャンバー間の連続イオン輸送通路を提供している。これらの実施態様の全てにおいて、イオンは、第1チャンバーから第2チャンバーに、少なくとも1個のイオン交換ビーズを介して輸送される。
【0032】
もう1つの実施態様においては、逆電気バイアスを本発明の系において適用し得る。電位を正常に適用した電流の逆方向に加えて溶離剤を生成させる。正常条件下においては、電解質を高濃度でイオン交換ビーズ又は膜の1面上に置き、更に、水が膜の他の面上を流れる場合、電解質の水中への小さな漏出が、高濃度勾配故に、膜内の固定電荷に対する符号における同様な電荷を有する1つのタイプのイオンの通路がドナン電位により抑制されたとしても生じる。例えば、KOH溶離剤生成器をカチオン交換膜によって受容体水流から分離された供給KOHによって操作する場合、生成物流中のKOH濃度は、等式3に従って、適用電流によって直線的に上昇する(KOH側は正電極を含み、水側は負電極を含む)。しかしながら、電流を適用しない場合でも、出口流は、有限のゼロ以外の量のKOHを含有する。溶離剤を生成させるとき、この漏出は、生成する全体濃度に影響を与える。電流を逆方向に適用することにより、即ち、KOH容器側を負に、水側を正に保持することにより、この望ましくない漏出を極めてうまく最少化し得る。
【0033】
必要に応じてほぼ純粋な水を生成させ得(即ち、水は電圧を印加しない条件下で漏出したであろうよりも少ないKOHを含有する)、更にまた、必要に応じて高KOH濃度を生成させ得る溶離剤生成器は、少なくとも2つの電極を含む双極性の可変電圧電源を備え得、1つの電極は接地電位に維持し水側と接続し、一方、電位が上記接地電極に対して負の値から上記接地電極に対して正の値まで連続して変動し得る第2電極は供給KOH側に配置する。操作においては、溶離剤組成をほぼ純水から比較的高濃度のKOHに変えることを欲する場合は、KOH側の電極の電位を、必要に応じて、負の値か正の値に連続して変動させる。
【0034】
別の実施態様においては、端子1を接地電位に維持し、端子2が端子1に対して0〜+15Vの任意の電位を見込み得、端子3が端子1に対して0〜−15Vの任意の電位を見込み得る多くの場合可変二重電源と称する3端子双極性可変電圧電源を使用し得る。上記生成器においては、電極の1つを端子1に接続する。他の電極は、自動リレーによって選択するようにして端子2又は端子3のいずれかに接続し、適切な時点で切り替える。
【0035】
上記の双極性可変電圧電源は、対の電極に反対極性の2つの電圧を印加して反対極性を有する2つの異なる電圧をプログラム化した方法で印加できるようにし得る単一電源であり得る。この態様は、逆電気バイアス実施態様とも称する。もう1つの実施態様においては、2つの独立電源がこの逆極性機能を奏し得る。逆電気バイアスの関連において使用するとき、用語“電源”は、これらの二重機能を奏する単一電源及び2以上の独立電源の双方を称する。
【0036】
上記の方式は、溶離剤生成器に関連して説明している。しかしながら、上記方式は、他のイオン輸送装置及び方法においてイオン交換膜の代りに上記着座イオン交換ビーズバリアを使用することにも適用可能である。例えば、米国特許第5,352,360号に例示されているようなイオンクロマトグラフィー装置におけるサプレッサにおいて、上記イオン交換ビーズをイオン交換膜に代って使用する。(しかしながら、逆電気バイアス実施態様は、サプレッサには適用可能ではあり得ない)。本出願の図1及び2に示したKOH溶液は、上記'360号米国特許の図1のクロマトグラフィーカラム10から出る抑制剤すべき電解質を含有する液体サンプル流を含み得る。イオン交換ビーズ28a及び28bの他の面上の溶液は、上記'360号米国特許の液体サンプル流からイオン交換膜の他の面上を流れる再生剤溶液(例えば、電解質サプレッサ用の水)を含み得る。
【0037】
他の実施態様においては、イオン源は、電極チューブに流入させることなく、イオン源チャンバーに供給し得る。更に、イオン源チャンバーは、米国特許第5,352,360号の大容量容器内に示されているような実質的に非流動性の溶液であり得る。この実施態様においては、ビーズアレー法がとりわけ有効である。また、上記イオン交換ビーズ法は、電極を使用しない非電気分解イオン輸送装置及び方法にも応用可能である。ビーズアレーは、一次元アレー(1×n)である必要はないことに留意すべきである;むしろ、アレーは、mn個のビーズをm×nアレーで使用する多次元アレーであり得る。
【実施例1】
【0038】
図1の設計物を市販のクロス・フィッティング(cross fitting)から作製し、データはこの装置に基づく。10-32クロス・フィッティングの両アームを有するスルーチャネル(P-730、Upchurch社)を、1,587.5ミクロン(1/16インチ)外径のPEEKチューブが丁度通りぬけるように開孔した。508ミクロン(0.020インチ)外径、1,587.5ミクロン(1/16インチ)外径のPEEKチューブの2本のセグメントの各々において、一端の末端孔を、889ミクロン(0.035インチ)に、深さ約1mmに拡げた。イオン交換樹脂ビーズ(カチオン交換樹脂(CER)用のRexyn 101 H+タイプ及びアニオン交換樹脂(AER)用のDowex AG-2X8 Cl-形)をデシケーター内で乾燥させ、手で摘んで0.8〜0.85mm粒度範囲の樹脂ビーズを得た。1個のCERと1個のAERビーズを、PEEKチューブ内のそれぞれのドリル開孔した空洞内に入れ、水で湿潤させ、その時点で、各ビーズは、膨張し空洞内にしっかり収まった。図1に示すようにこれらの2本のビーズ担持チューブを互いに相対して置き、10-32ナット及び継手によって適所に固定し、水入口及び溶離剤出口チューブを同様にして連結した。裏面で、各ビーズ担持チューブを、保持用ナットの背部を本質的に埋込むように切断し、Tygonスリーブチューブの小セグメントを1,587.5ミクロン(1/16インチ)外径のPEEKチューブの各末端上に置いた。平滑末端白金ニードル(0.25mm内径、0.45mm外径、26ゲージ、2.54cm (1インチ)長;P/N 21126 PT 3、Hamilton社、ネバダ州リーノー)を、上記PEEKチューブ内に行き着くところまで差込み、ビーズと(ほぼ)接触させた。TygonチューブからのPtニードルの出口は、ホットメルト接着剤で密封した。Ptニードルは、電極及び液体入口チューブの双方として機能した;液体出口は、Tygonチューブ壁を突き抜ける0.25mm内径、0.51mm外径のPEEKチューブ(P/N 1542、Upchurch社)によって設け、接着剤で適所に取付けた。この生成器の、球形ビーズの突起部が占める空間を考慮しない公称内容積、即ち、容量は、約3.2μLである。
【実施例2】
【0039】
高圧毛細IC装置は、0.25mm内径、1.6mm外径のPEEKチューブによりフロースルー圧力センサー(SP70 A-3000、www.senso-metrics.com)と連結した高圧シリンジ及び高圧ヘッダーバルブ(P/N 23994及び26098、Kloehn社)からなっていた。流れは、上述したように、上記高圧生成器を通過する。特に断らない限り、上記生成器においては、100〜200mMのKOHを、両電極チャンバーに供給するのに使用する。容器を8,274kPa (12psi)で加圧した(空気配管は、液体中へのCO2の侵入を防ぐためのソーダ石灰トラップを含んでいた);この加圧は、アノード及びカソードチャンバー双方への各々約500μL/分の流量を確保するのに十分であった。流出液は、原理的にはリサイクルし得るが、今回は、実施しなかった。注入容量は、200nLであった。3.2μL/分のクロマトグラフィー流量を、他で断らない限り、全体に亘って使用した。生成器産出は、10-32 PEEKユニオンで連結した2本の4.5cm長、0.25mm開孔、1.6mm外径のステンレススチール(SS)チューブからなり、2本のSSチューブ間の間隙が約1mmである第1の導電率セルによって進行した。SSチューブは、両極性パルス導電率検出電子機器(CDM-1、Dionex社)に接続したフロースルー電極として機能した。コンダクタンス較正データを使用して測定コンダクタンス値をKOH濃度に換算した。従って、この検出器産出値を使用して生成KOH濃度を測定した。
【0040】
この作業において使用したモノリスアニオン交換カラム(0.25mm内径×0.365mm外径×260mm長の溶融石英毛細管内にハウジングした)は、出発点としてスルホン化官能性アクリレートカチオン交換体を使用した。これを、アニオン交換体ナノ粒子のコロイド状溶液(AS18ラテックス、Dionex社)をラテックスのさらなる滞留が見えなくなるまでポンプ吸引することによってアニオン交換体に転換した。
また、内径で50μm及び75μm、各々5m長のシリカ毛細管カラムを、Dionex社が供給するAS-11アニオン交換体ラテックスナノ粒子でコーティーングした。要するに、水を上記生成器中に典型的には0.5〜1.5μL/分で汲み上げる1mLのガラスシリンジを有するKloehn V6シリンジポンプ(www.Kloehn.com)を使用した。上記生成器のアノードコンパートメントに、10〜20mM (特に断らない限りは、10mM)のKOHを蠕動ポンプによって供給した。カソードコンパートメントには、同じ液体又は純水を個々に供給した。この場合、20nLループ容量内部ループサンプル注入器を使用した。
【0041】
カラム流出液は、10mM H2SO4によって再生された管状Nafion膜サプレッサを通って非接触導電率検出器に流入した。この検出器を、低導電率範囲で機能するように、従って、分析物シグナルを測定するように修正した。検出器電極として、2本の管状SSセグメント(0.41mm内径×0.66mm外径×15mm長)を、1mmの電極間ギャップでもって、サプレッサを出るシリカ毛細管上にエポキシ接着剤により直接取付けた。各電極をAD7746 (www.analogdevices.com)キャパシタンス‐電圧デジタルコンバータ評価ボードに連結させ、その後、測定シグナルがこの作業に関連する低コンダクタンス領域内の溶液コンダクタンスに比例する完全な非接触コンダクタンス検出器を形成させる。
使用した水は、蒸留し、脱イオン処理して、比抵抗 ≧18.2 MΩ・cm.を有していた。全ての試験を、22±1℃の実験室温度で実施した。
【実施例3】
【0042】
本実施例は、図3a及び3bのビーズアレーを例示する。381ミクロン(0.015インチ)の厚さを有するポリプロピレンシート(48)を、ビーズ座を構成する508ミクロン(0.02インチ)直径孔(50、図示せず)のアレーを有するよう機械的にドリル開孔した。図3a及び3bに関しては、Rohm & Haas社から購入し、Amberjet UP1400半導体級カチオン交換樹脂として販売されているカチオン交換樹脂ビーズ(52)を寸法合わせして上記508ミクロン孔にぎりぎりにはめ込んだ。上記イオン交換樹脂ビーズは、この工程においては、乾燥形である。上記膜を脱イオン水で水和させたとき、上記孔即ちビーズ座の外径とぴったりフィットするのを可能にする上記樹脂ビーズの十分な膨張がある。最終結果は、イオン交換樹脂ビーズを、図3aの平面図及び図3bの側面図で示すように、平坦表面壁上に着座させることである。この膜は、DI水又は酸に暴露させたとき、本発明の通りに、何ら体積寸法変化を示さず、ASRSサプレッサにおいてカチオン交換膜として使用するのに適している。
【実施例4】
【0043】
本発明実施例は、図4a及び4bのビーズ領域を例示する。実施例3からのポリプロピレンシートの集めの変形(厚さ1524ミクロン(0.06インチ))を、表面48aから1397ミクロン(0.055インチ)の深さまで508ミクロン(0.02インチ)内径の複数の管路を有するようドリル開孔した。管路の底部を、48b表面上で、381ミクロン(0.015インチ)の寸法まで開口して、ビーズ座を作成した。実施例3からの乾燥カチオン交換樹脂を使用して、管路毎に3個のビーズを詰めた。最終製品は、実施例3に示す膜と同様な厚いカチオン交換膜である。底部層の樹脂をビーズ座に対して適所に保持されて、密封を形成する。ポリプロピレンスクリーンのような適切な裏打ち材(図示せず)を表面48aに沿って置き、樹脂ビーズを適所に保持するのを確実にする。表面48aに沿ういずれの液流もカチオン交換ビーズを48b表面に対して押し付け、従って、本発明通りの高圧密封を形成する。樹脂ビーズ座シーリング界面の拡大図を図4bに示している。この膜は、ASRSサプレッサ装置におけるアッセンブリ用に適しており、そのカチオン交換膜と置換わる。
【0044】
結果及び考察
ゼロ電流での溶離剤生成はドナン禁止帯漏出に大いに起因しているが、この漏出が生じるメカニズムは立証されていない。図1の生成器による以下の試験においては、漏出は、(a) 4MのKOHがカチオン交換樹脂(CER)及びアニオン交換樹脂(AER)コンパートメント(26a及びb)の双方において存在していた或いは(b) 正しくCERコンパートメントが4MのKOHを含有しAERコンパートメントは純水を含有していたのいずれにしても、107pモルKOH/秒であった。対照的に、CERチャンバーが水のみを含有し、AERチャンバーが4MのKOHを含有していた場合、OCPは、はるかに低く、僅かに3〜4pモルKOH/秒であった。明らかに、それは、観察された漏出を優位に支配するCERビーズでの過程である。1つのタイプのイオン交換樹脂がもう1つのタイプよりもドナン禁止帯漏出に対して感受性である説得し得る理由は存在しない;従って、ドナン禁止帯漏出がCERビーズによって生じるがAERビーズにはよらないということは論理的ではない。しかしながら、カチオン交換プロセスは、K+負荷CERビーズと流動水中のH+間で生じて水中でのKOHの形成に至る。対照的に、OH-負荷AERビーズからのOH-の水中のOH-との交換は、観察し得る変化には至らないであろう。K+‐H+交換プロセスの可能性は水中のH+の極めて低い濃度故に低いようであり得るが、イオンに対する有効な選択性因子はイオンが極めて低濃度で存在する場合に増大することも長い間知られている。
【0045】
図5は、CER及びAERチャンバーの双方中に4MのKOHを含む図1の樹脂ビーズ系生成器における電流‐電圧及び印加電圧対生成KOH濃度の双方についてのプロットを示す。この場合、印加電圧は、負から正に及ぶ。これらの装置においては、有意な電流は、極性が、誘発されたイオン輸送を促進する電場がそれぞれの交換体によって可能になるようである場合にのみ流れる。このことは、半導体ダイオードの挙動と同様であるが、装置を通る電流は、イオン輸送によって運ばれる。小さい負電流は、負の印加電圧(水受入れ面に対して負のKOH供給面)によって発生する;これは、印加電圧が+veであるときの正i-V勾配よりもはるかに小さい勾配を示す。ゼロ電流レベルを達成するには、およぞ−1Vのバイアスをこれらの特定の条件下では必要とする。
【0046】
正印加電圧においては、生成KOH濃度は、生成器設計にかかわらず、電流に直線的に関連している。図5においては、電流と濃度トレースが正印加電圧領域においてほぼ重なり合うような縱座標尺度を意図的に選択した。
逆電圧を生成器に印加することによる漏出の最少化は、このことが、十分な逆電圧を印加したときに生成器がゼロに近いKOH濃度をもたらすのを確実にするので、重要である。これらのデータは図5に存在しているものの、高負電位での生成KOH濃度を正確に見分けることは容易ではない。4MのKOH及び4μL/分で流動する水を含有する両電極コンパートメントを有する図1の生成器においては、AER面上の接地電極に対比してCER面電極に印加した−12Vで開始することができ、そこから、出口流において観察されたKOH濃度は、ゼロに近い(0.03mM)ことが観察されている。この電圧を約+5Vまで掃引したときは、生成KOH濃度は130mMであること、即ち、4000×よりも大きい変化が観察されている。
【0047】
上記樹脂ビーズ法の大きな利点は、堅調な座内ボール型チェックバルブとして機能するその能力である。交換ビーズの十分な機械的強度を確保するために、8%以上の架橋を有する樹脂ビーズでもって作業したのみであり、50%までの架橋を有するビーズが製造されていることは周知である。第2の要素は、ボールと座間に密封を確保していることである。低倍率顕微鏡で観察したときに観察し得る表面欠陥又は亀裂の無いビーズを選別している限りにおいて、問題に遭遇しなかった。高逆圧及び生成器チャンバーからの漏出に耐える能力を探究した。EDGを、7μL/分のプログラム化シリンジ流量において965.3MPa (1400psi)逆圧(シリンジヘッダーバルブにおける最高定格圧力は1,034.3MPa (1500psi)であった)を発生させたカラムと連結した。この装置における終端流をカラム有り及び無しで測定した。この期間中、EDGは操作せず(即ち、電圧を印加せず)、更に、電極チャンバー内の毛細管を通る流体の30分の時間長に亘るあり得る漏出も測定した。観察し得る漏出は無かった。
【0048】
充填毛細管上でのビーズ系EDGによって得られたアイソクラチック及び勾配クロマトグラムを図6及び7に示している。また、挿入図は、勾配プロフィールの反復性も示している。滞留時間再現性は、アイソクラチック条件下では0.6〜1.2%の範囲であった(詳細なデータは表1に示している);これらは、本発明のポンプ装置の流量の再現性に匹敵している。再現性は、勾配溶出条件下では、フッ化物を除く全てのイオンにおいて0.3%〜1.5%で変動していた。フッ化物の溶出は、前のサイクルからカラムに残存する溶離剤に対して極めて感受性であった;勾配条件下でのフッ化物における滞留時間再現性は3.0%であった。
【0049】
溶離剤濃度の迅速な上昇は、多くの場合、勾配ICにおいては望まれる。5μL/分の操作流量において、10%から90%への上昇時間は約1.3分であり、90%から10%への落込み時間は、はるかに長い約8分であった;しかしながら、試験は、この時間を、逆電圧を印加することによって短縮し得ることを示している。以前に観察されているように、EDG電流が突然落ち込む場合、溶離剤濃度の細かい一時的な上昇が、濃度が低下する前に生じる。
【0050】
要するに、本発明者等は、イオン輸送に関して、これらの装置の挙動が半導体ダイオードの挙動に十分に相応することをここで初めて証明した。逆バイアスを適用して電解質漏出又はイオン交換を最小限にし得る。樹脂ビーズ装置においては、独特の機械的利点も存在する:イオン交換樹脂ビーズの球形形状は、これらビーズをミニチュア“座上ボール型”バルブ用の理想的な候補にしており、従って、膜を含まなければならないあらゆる高圧装置に固有のシーリング問題とは極めて異なって、ミニチュアフォーマットでの高圧装置の作製を簡単にしている。本発明者等は、これらの装置が長時間に亘って確実に稼動すること証明している。また、適切なタイプのイオン交換体、電極コンパートメント内での電解質の性質及び選択した電極極性により、そのような装置が“サプレッサ”又は“純水器”として使用し得ることも観察している。事実、逆バイアス下に操作する生成器は、あり得る電解質漏出物を電気的に吸引して戻す純水器として機能的に作動している。
【符号の説明】
【0051】
10 精製水
12 導管
14 コネクタ
16 フロースルー溶離剤生成チャンバー
18 導管
20 コネクタ
22 出口導管
24a及び24b チューブ
24c及び24d ビーズ座
26a及び26b イオン源容器
28a及び28b イオン交換ビーズ
30 イオン源
32a及び32b 導電性チューブ
34a及び34b 出口チューブ
36 入口チューブ
38 導管
40 導管
42 導管
44 出口導管
48 ポリプロピレンシート
48a及び48b ポリプロピレンシート表面
52 カチオン交換樹脂ビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チャンバー内の正又は負の電荷を有するイオンを、第2チャンバー内の液体に、前記第1及び第2チャンバー間のバルク液流を実質的に遮断するバリアによって輸送するイオン輸送装置であって、
(a) 入口と出口を有する第1チャンバー及び隣接の第2チャンバー、及び、
(b) 前記第1及び第2チャンバーを分離する第1壁であって、該第1壁における第1ビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含み、前記第1イオン交換ビーズが、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、第1壁、
を有することを特徴とするイオン輸送装置。
【請求項2】
前記第1イオン交換ビーズが、前記第1チャンバーと流体連通している、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項3】
前記第1イオン交換ビーズが、前記第2チャンバーと流体連通している、請求項2記載のイオン輸送装置。
【請求項4】
前記第2チャンバーが、細長い概して管形状を有する、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項5】
前記第2チャンバーが、毛細管である、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項6】
前記第1又は第2チャンバーと流体連通している第1の水性液源を更に含む、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項7】
前記第1チャンバーと電気的に連通している第1の電極を更に含む、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項8】
前記第2チャンバーと電気的に連通している第2の電極を更に含む、請求項7記載のイオン輸送装置。
【請求項9】
前記第1及び第2電極に電位を加えるための電源を更に含む、請求項8記載のイオン輸送装置。
【請求項10】
前記電源が、第1電圧を第1電極と第2電極間に第1極性にて加え、更に、前記第1極性と反対の第2極性の第2電圧を加えることができる、請求項9記載のイオン輸送装置。
【請求項11】
更に、
(c) 前記第2チャンバーと隣接する第3チャンバー、及び、
(d) 前記第3チャンバーを前記第2チャンバーと分離する第2壁であって、前記第1壁と離間しており、該第2壁における第2ビーズ座に密封された第2イオン交換ビーズを含み、前記第2イオン交換ビーズが、前記第2及び第3チャンバーと流体連通しており、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、第2壁、
を含む、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項12】
(e) 前記第1及び第3のチャンバーと電気的に連通している第1及び第2電極を更に含む、請求項11記載のイオン輸送装置。
【請求項13】
電解質溶離剤生成器を含む、請求項12記載のイオン輸送装置。
【請求項14】
前記第1及び第2イオン交換ビーズが、同じ正又は負電荷を有する、請求項11記載のイオン輸送装置。
【請求項15】
前記第1及び第2イオン交換ビーズが、正又は負の反対電荷を有する、請求項11記載のイオン輸送装置。
【請求項16】
サプレッサを含む、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項17】
前記第1の壁内の複数のビーズ座内に密封し、前記第1ビーズ以外で且つ前記第1ビーズと同じ正又は負の電荷を有する複数のイオン交換ビーズを含む、請求項1記載のイオン輸送装置。
【請求項18】
イオンクロマトグラフィー用のサプレッサであって、
(a) 入口及び出口を有するイオン受入流チャネル及び隣接の液体サンプルフロースルーチャネル、及び、
(b) 前記イオン受入れ流チャネル及び前記サンプルフロースルーチャネルを分離する第1壁であって、該第1壁におけるビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含み、前記第1イオン交換ビーズが、前記イオン受入れ流チャネルと流体連通しており、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、第1壁、
を有することを特徴とするサプレッサ。
【請求項19】
(c) 前記液体サンプル流フロースルーチャネルに隣接する第2チャンバー、及び、
(d) 前記第2チャンバーを前記サンプルフロースルーチャネルと分離する第2壁であって、前記第1壁と離間しており、該第2壁におけるビーズ座に密封された第2イオン交換ビーズを含み、前記第2イオン交換ビーズが、前記第2チャンバー及び前記サンプルフロースルーチャネルと流体連通しており、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、第2壁、
を更に含む請求項18記載のサプレッサ。
【請求項20】
前記サンプルフロースルーチャネル入口と流体連通するクロマトグラフィーセパレーターと組合せた請求項18記載のサプレッサ。
【請求項21】
酸、塩基又は塩を電気分解的に生成させるための装置であって、
(a) 第1チャンバー及び入口及び出口を有する隣接の溶離剤生成フロースルーチャネル、
(b) 前記第1チャンバーと前記溶離剤生成フロースルーチャネルを分離する第1壁であって、該第1壁におけるビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含み、前記第1イオン交換ビーズが正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液体流を実質的に遮断し得る、第1壁、及び、
(c) 前記第1チャンバー及び溶離剤生成フロースルーチャネルとそれぞれ電気的に連通している第1及び第2電極、
を有することを特徴とする装置。
【請求項22】
前記サンプル流流動チャネル出口がクロマトグラフィーセパレーターと流体連通している、クロマトグラフィーセパレーターと組合せた請求項21記載の輸送装置。
【請求項23】
(c) 前記溶離剤生成フロースルーチャネルに隣接する第2チャンバー、及び、
(d) 前記溶離剤生成フロースルーチャネルを前記第2チャンバーと分離する第2壁であって、前記第1壁と離間しており、該第2壁におけるビーズ座に密封された第2イオン交換ビーズを含み、前記第2イオン交換ビーズが、前記第2チャンバー及び前記溶離剤生成フロースルーチャネルと流体連通しており、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、第2壁、
更に含む、請求項21記載の装置。
【請求項24】
第1チャンバー内の液体中の正又は負の電荷を有するイオンを、第2チャンバー内の液体に、前記第1及び第2チャンバー間の液体流を遮断するバリアによって輸送する方法であって、
(a) 正又は負の電荷を有する選定したイオンを含有する第1のイオン源を、第1チャンバー内で調製する工程、
(b) イオン受入液体流を、前記第1チャンバーに隣接するイオン受入流チャネルに流入させる工程、
(c) 前記第1チャンバーを前記イオン受入れ流チャネルと分離する第1壁を提供する肯定であって、該第1壁が、該第1壁におけるビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含み、前記第1イオン交換ビーズが、正又は負の電荷を有するイオンを輸送し且つバルク液流を実質的に遮断し得る、工程、及び、
(d) 前記選定したイオンを、前記第1のイオン交換ビーズによって、前記イオン源から前記流動イオン受入流に輸送する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項25】
前記イオン受入流チャネルが、毛細管内にある、請求項24記載の方法。
【請求項26】
(e) 水性液体を含む第2チャンバーを、前記イオン受入流チャネルに隣接して設ける工程、及び、
(f) 前記第2チャンバーを前記イオン受入流チャネルから分離する第2壁を提供する工程であって、該第2壁におけるビーズ座に密封された第2イオン交換ビーズを含み、前記第2イオン交換ビーズが、正又は負の電荷を有するイオンを輸送し且つ前記第2チャンバーと流体連通しているバルク液流を実質的に遮断し得る、工程、
を更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
第1電位を、前記第1チャンバーと電気的に連通している第1電極と前記イオン受入流チャネルと電気的に連通している第2電極間に通す、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記第1電位とは反対極性の第2電位を、前記第1電極と第2電極間に通す、請求項27記載の方法。
【請求項29】
電流を、前記第1チャネル内の前記イオン源と前記イオン受入流チャネル間に、前記第1イオン交換ビーズを介して通すことを更に含む、請求項24記載の方法。
【請求項30】
イオンクロマトグラフィーにおける液体の抑制方法であって、
(a) イオン受入流チャネル及び入口及び出口を有する隣接の液体サンプルフロースルーチャネルを提供する工程、
(b) 前記イオン受入流チャネルと前記サンプルフロースルーチャネルを分離する第1壁を提供する工程であって、該第1壁におけるビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含み、前記第1イオン交換ビーズが、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、工程、
(c) サンプルイオンとは反対電荷の選定したイオンを含む溶離剤中にクロマトグラフィーによって分離した正又は負の電荷を有するサンプルイオンを含むサンプル溶液を、前記液体サンプルフロースルーチャネル内に流入させる工程、及び、
(d) 選定したイオンを含む前記溶離剤を、前記選定したイオンを前記サンプル流流動チャネルから前記第1イオン交換ビーズにより前記イオン受入れ流チャネルに輸送することによって抑制する工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項31】
電流を、前記サンプル流流動チャネルと前記イオン受入流チャネル間に、前記第1イオン交換ビーズを介して通すことを更に含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
酸又は塩基生成のための電気分解方法であって、
(a) 水性液中のアニオン又はカチオン源を、第1チャンバー内のアニオン又はカチオン源容器内で調製する工程、
(b) 水性液流を、前記第1チャンバーと酸又は塩基生成フロースルーチャンネルとを分離する第1壁によって、前記アニオン又はカチオン源容器から分離されている酸又は塩基生成チャンバー中に流入させる工程であって、前記第1壁は、ビーズ座に密封された第1イオン交換ビーズを含み、前記第1イオン交換ビーズが、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液流を実質的に遮断し得る、工程、
(c) 電位を、前記アニオン又はカチオン源容器と前記酸又は塩基生成チャンバー間それぞれに、前記イオン交換ビーズを介して加える工程、及び、
(d) 前記アニオン又はカチオンを、前記アニオン又はカチオン源容器から、前記第1イオン交換ビーズを介して前記酸又は塩基生成チャンバーに輸送して、酸、塩基又は塩を電気分解により生成させる工程、
を有することを特徴とする方法。
【請求項33】
ビーズ座及び該ビーズ座に密封されたイオン交換ビーズを含む壁を含み、該ビーズ座が、正又は負の電荷を有するイオンを通過させ且つバルク液体流を実質的に遮断し得ることを特徴とするイオン輸送バリア。
【請求項34】
前記第1ビーズとともに、前記第1ビーズと同じ正又は負の電荷を有し、前記第1壁内の複数のビーズ座に密封された複数のイオン交換ビーズを更に含む、請求項32記載のイオン輸送バリア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−504411(P2011−504411A)
【公表日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534147(P2010−534147)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/083256
【国際公開番号】WO2009/064797
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(591025358)ダイオネックス コーポレイション (38)
【出願人】(510134433)ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ テキサス システム (1)