説明

矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニット

【課題】糸による有価紙葉の不正な引き抜きを確実に防止する。
【解決手段】径方向内側に向って傾斜する案内面(26a)をローラ(24)の各フィン(26)の外側縁に設け、有価紙葉(70)の搬送時に有価紙葉(70)を搬送する円弧状通路(53)に沿って複数のディスク(25)を同時に回転するとき、有価紙葉(70)に接続される糸(71)は、自重又は引張力によりフィン(26)の案内面(26a)に沿って径方向内側に移動し、フィン(26)の内縁(26c)に係止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有価紙葉に接続される糸を引張することにより書面取扱装置の内部から有価紙葉を不正に引抜くことを防止する矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動販売機、両替機、現金自動支払機、自動預金機、ゲーム機等に搭載される紙幣鑑別装置は、挿入された紙幣の鑑別動作を終了した後、紙幣の後端に予め固定された糸、紐又はテープ等の引抜手段を引き戻すことにより、紙幣を抜き取る不正行為を防止するため、通常、引抜手段に連結された紙幣の引き抜きを防止する紙幣引抜防止装置が設けられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、屈曲した紙幣通路を形成する凸に屈曲する通路面に紙幣の搬送方向に沿う長溝を設け、紙幣通路の横断方向に複数の長溝を配列し、複数の長溝の各側壁又は底面から突出する突起を備える紙幣処理装置を開示する。この紙幣処理装置では、長溝の底面側に傾斜して配置されて紙幣と共に搬送される糸を長溝内に誘導する第1の面と、水平又は第1の面よりも小さな角度で長溝の底面側に傾斜して配置されて一旦長溝に進入する糸の長溝からの離脱を阻止する第2の面とが突起に設けられる。搬送される紙幣に貼着される糸が長溝の側壁上を移動せずに長溝内に進入すると、突起の第1の面に誘導される糸が、長溝の底部に向かって移動する。長溝の底部に到達する糸は、突起の第2の面により、長溝の内部へ拘束されて、紙幣通路内に復帰できない。このため、紙幣に貼着される糸を引っ張ると、紙幣が長溝の側壁に係止され、紙幣の引抜方向の更なる移動が阻止されて、紙幣の抜き取りが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−338593公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、突起を有する側壁が回転しない上記特許文献1の紙幣処理装置では、紙幣に接続される糸を引張しても、糸が長溝の側壁に設けられる一列突起に係止し難く、異物が突起に係止しないと、引抜方向に異物を移動して、紙幣が不正に引抜かれる危険がある。
【0006】
そこで、本発明は、有価紙葉に接続される引抜手段を引張することにより、関連する装置内に既に収容され又は集積される有価紙葉の引抜を防止する矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニットを提供することを目的とする。また、本発明は、有価紙葉に接続される引抜手段を巻き付けて書面の不正引抜を防止する回転可能なロータを備える矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニット(21)は、ロータ(22)と、ロータ(22)を回転可能に支持するフレーム(43)とを備える。ロータ(22)は、同軸上に一列にかつ互いに間隔を空けて配置される複数のディスク(25)と、間隔を空けて隣り合うディスク(25)の対向する径方向面(25a)に向ってディスク(25)の少なくとも一方の径方向面(25a)から軸方向に突出する矢羽根状の複数のフィン(26)とを備える。各フィン(26)は、フィン(26)の径方向外側縁に形成される径方向外側に先細の案内面(26a)と、フィン(26)の径方向内側縁に形成される顎(26b)とを備える。搬送される紙葉(70)に接触するディスク(25)の各外縁に沿って搬送される紙葉(70)と共にロータ(22)が回転して、紙葉(70)に接続される引抜手段(71)をフィン(26)の先細の案内面(26a)に沿って径方向内側に移動させて、フィン(26)の顎(26b)に係止し、これにより、ロータ(22)及び単数又は複数のフィン(26)に引抜手段(71)を絡ませて紙葉(70)の不正な引抜を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明による矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニットの前記目的及び利点並びに他の目的及び他の利点は、添付図面について説明する好適な実施の形態に関する下記説明から明らかとなろう。
【図1】本発明の回転式引抜防止ユニットを紙幣鑑別装置に組み込んだ実施の形態の要部を示す断面図
【図2】図1の紙幣鑑別装置の全断面図
【図3】回転式引抜防止ユニットに向かって搬送される紙幣を示す紙幣鑑別装置の断面図
【図4】回転式引抜防止ユニットを通過する紙幣を示す紙幣鑑別装置の断面図
【図5】回転式引抜防止ユニットを通過した紙幣を示す紙幣鑑別装置の断面図
【図6】搬送装置に識別装置を駆動接続する前の識別装置と搬送装置を有する紙幣鑑別装置の斜視図
【図7】識別装置を搬送装置に駆動接続させた後の紙幣鑑別装置の斜視図
【図8】搬送装置の分解斜視図
【図9】上ケーシングを除去した搬送装置の平面図
【図10】図9に示す搬送装置の斜視図
【図11】回転式引抜防止ユニットの背面図
【図12】回転式引抜防止ユニットの後底面斜視図
【図13】回転式引抜防止ユニットの前底面斜視図
【図14】図11のXIV-XIV線に沿う断面図
【図15】図11のXV−XV線に沿う断面図
【図16】回転式引抜防止ユニットに設けられるロータの断面図
【図17】ロータに使用されるローラの端面斜視図
【図18】ローラの平面斜視図
【図19】ローラの平面図
【図20】ローラの端面図
【図21】ローラの断面図
【図22】ロータプーリの斜視図
【図23】ロータに巻き取られる糸を示す部分側面図
【図24】図23に示すロータの部分斜視図
【図25】ロータ駆動装置の他の実施の形態を示す搬送装置の斜視図
【図26】図25に示すロータ駆動装置に内蔵されるロータの斜視図
【図27】ロータ駆動装置の別の実施の形態を示す搬送装置の斜視図
【図28】図27に示すロータ駆動装置に内蔵されるロータの斜視図
【図29】約180度の角度範囲で湾曲する円弧状通路を示す実施の形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
書面取扱装置又は紙幣鑑別装置に適用した矢羽根状フィンを有する本発明の回転式引抜防止ユニットに関する実施の形態を図1乃至図29について以下説明する。
図6及び図7に示すように、本実施の形態の紙幣鑑別装置は、本発明による有価紙葉用ローラ装置を組み込む搬送装置(D)と、搬送装置(D)に着脱可能に装着又は連結される識別装置(H)とを備える。
【0010】
図8乃至図14に示すように、搬送装置(D)は、本発明による矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニット(21)を備える。図11乃至図14に示すように、回転式引抜防止ユニット(21)は、支持フレーム(43)と、回転可能に支持フレーム(43)に支持されるロータ(22)と、ディスク(25)の各外縁に沿って紙葉が搬送されるときにロータ(22)を回転するロータ駆動装置(23)とを備える。図16に示すように、ロータ(22)は、支持フレーム(43)上に回転可能に、同軸上にかつ一列に支持される複数のローラ(24)と、ローラ(24)に同軸上に支持されかつロータ駆動装置(23)の一部を構成してローラ(24)と一体に回転されるロータプーリ(36,37)とを備える。図16乃至図21に示すように、ローラ(24)は、円柱部(29)と、円柱部(29)に固定されかつ円柱部(29)から径方向外側に延伸する複数のディスク(25)と、互いに間隔を空けて配置される複数のディスク(25)の各径方向面(25a)から対向するローラ(24)のディスク(25)の径方向面(25a)に向かってディスク(25)の軸方向に突出する複数の矢羽根又はフィン(26)とを備える。
【0011】
換言すれば、一方のディスク(25)の一方の径方向面(25a)は、間隔を空けて隣り合う他方のディスク(25)の対向する径方向面(25a)に向って軸方向に突出するフィン(26)を備え、間隔を空けて隣り合う他方のディスク(25)の対向する径方向面(25a)は、一方のディスク(25)の一方の径方向面(25a)に向って軸方向にかつ逆方向に突出するフィン(26)を備える。一方及び他方の径方向面(25a)の最接近する2つのフィン(26)は、一対となり、一対となるフィン(26)間に円周方向の間隙(47)が形成される。図示の実施の形態では、ディスク(25)の各径方向面(25a)は、90度の等角度間隔で径方向面(25a)に形成される4つの軸方向フィン(26)を備え、各ディスク(25)は、軸方向に突出するフィン(26)が形成される背中合わせの径方向面(25a)を備える。しかしながら、必要に応じて規則的又は不規則的な角度間隔で径方向面(25a)に形成される2つ又はそれ以上のフィン(26)をディスク(25)の各径方向面(25a)に設けてもよい。ローラ(24)は、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂から選択される材料により一体に形成される。図16に示すロータ(22)は、3個のローラ(24)と、隣り合うローラ(24)間に配置されるロータプーリ(36,37)を備えるが、ローラ(24)の数とロータプーリ(36,37)の数及び形状は、必要に応じて当業者が適宜決定することができる。
【0012】
図17〜図20に示すように、各ローラ(24)の両側面の円柱部(29)には、扇状の窪み(44)が形成され、図16及び図22に示すように、ロータプーリ(36,37)の両側面のボス(29a)には、各ローラ(24)の円柱部(29)の扇状の窪み(44)に相補的な形状を有する扇状の突起(45)が形成される。ロータプーリ(36,37)のボス(29a)に形成された扇状の突起(45)と、各ローラ(24)の円柱部(29)に形成された扇状の窪み(44)とを互いに嵌合すると、隣り合うロータプーリ(36,37)とローラ(24)を一体に回転する嵌合一体化構造を構成できる。換言すれば、少なくとも一対の扇状の窪み(44)と扇状の突起(45)をローラ(24)の円柱部(29)とロータプーリ(36,37)の一方と他方とに形成し、扇状の突起(45)を扇状の窪み(44)に嵌合すれば、隣り合うローラ(24)とロータプーリ(36,37)とを有効かつ強固に接合して、機械的に軸方向に連結しかつ一体に回転する嵌合構造を形成することができる。嵌合一体化構造は、扇形の突起と窪みの形状に限定されず、円筒状断面、矩形断面又は他の断面を有する形状に形成できる。別法として、複数のディスク(25)と円柱部(29)とを単一のローラ(24)に一体成型し又は溶着若しくは接着して連結することができる。各ディスク(25)は、その中心軸に対して対称な形状を有する。
【0013】
図12及び図13に示すように、支持フレーム(43)は、ロータ(22)を支持するブラケット(28)を備える。この目的で、図16は、固定されるボス(28a)に対して相対的に円滑に回転できるローラ(24)の円柱部(29)に対向しかつ直接接触する一対のボス(28a)を備えるブラケット(28)を示す。ロータ(22)の軸方向端部にロータプーリ(36,37)を配置すれば、突起(45)を設けずに、ロータプーリ(36,37)のボス(29a)をブラケット(28)のボス(28a)に直接接触させることができる。ブラケット(28)は、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂又はこれらの混合組成物から選択される樹脂材料又は金属材料により形成される。
【0014】
図12〜図15に示すように、ロータ駆動装置(23)は、支持フレーム(43)内に保持される駆動モータ(32)と、支持フレーム(43)内に保持されて駆動モータ(32)により駆動されるピニオン(93)及び伝達歯車(94〜100)により構成される歯車装置(33)と、歯車装置(33)により駆動される駆動プーリ(34,35)と、ローラ装置(21)のロータプーリ(36,37)と駆動プーリ(34,35)とに捲回される駆動ベルト(38,39)と、駆動ベルト(38,39)を所定の位置に保持する複数のアイドルローラ(40)とを備える。搬送される紙幣(70)に接触するディスク(25)の外縁に沿って紙幣(70)が搬送されるとき、ロータプーリ(36,37)は、駆動モータ(32)の作動によりロータ(22)と一体に回転される。紙幣(70)が引抜防止ユニット(21)を通過したとき、駆動ベルト(38,39)は、傾斜路(63)の出口(82)に向って紙幣(70)を更に搬送する機能がある。フレーム(43)は、ロータ駆動装置(23)及び引抜防止ユニット(21)を一体に支持する。
【0015】
図16に示す実施の形態では、ロータ(22)は、ブラケット(28)のボス(28a)の中心に形成される対応する凹部(30)内に両端が支持される支持軸(31)を備える。ローラ(24)の円柱部(29)内に貫通孔(24a)が形成され、図22に示すように、ロータプーリ(36,37)のボス(29a)に同様の貫通孔(36a,37a)が形成され、支持軸(31)は、ローラ(24)の貫通孔(24a)とロータプーリ(36,37)の貫通孔(36a,37a)内に配置され、ロータ(22)は、支持軸(31)上に回転可能に支持される。各ローラ(24)の円柱部(29)とロータプーリ(36,37)のボス(29a)とを一体形成構造で、機械的に接続し又は溶着等の接続手段で接続して、各ローラ(24)の円柱部(29)とロータプーリ(36,37)のボス(29a)と中心軸として使用してすれば、支持軸(31)を使用せずに、回転可能にロータ(24)をブラケット(28)に支持することができる。
【0016】
図17乃至図21に示すように、フィン(26)の径方向外側縁に先細となる案内面(26a)が各フィン(26)に形成され、フィン(26)の径方向内側縁には、顎(26b)が形成され、案内面(26a)と顎(26b)との間のフィン(26)の先端には、フック(46)が形成されるので、各フィン(26)は、全体的にほぼ矢羽根状又は三角形状に形成される。平坦に、湾曲して又は平坦と湾曲を組み合わせ傾斜する面に先細の案内面(26a)を形成することができる。平坦に、湾曲して又は平坦と湾曲とを組み合わせた平面に顎(26b)を形成し又はローラ(24)の中心軸に対して平行に又は傾斜して顎(26b)を形成することができる。図示の便宜上一対のフィン26をフィン27として図20及び図21に示すように、4つのフィン(27a)は、径方向中心線(L0)から時計方向に一定距離(P)だけ離間して軸線(L1)に沿って90度の角度間隔でディスク(25)の各径方向面(25a)に形成され、軸線(L1)と径方向中心線(L0)とは、互いに平行である。これに対して、間隔を空けて隣り合うディスク(25)の対向する径方向面(25a)には、点線で示す4つのフィン(27b)が形成され、フィン(27a)及びフィン(27b)、即ち、フィン(26)は、径方向中心線(L0)から時計方向に一定距離(P)だけ離間して軸線(L1)に沿って90度の角度間隔で形成される。4つのフィン(27a)と4つのフィン(27b)は、互いに反対方向に対で交互に突出しかつ径方向中心線(L0)に対して互いに対称に形成される。このように、各フィン(26)は、ディスク(25)の回転軸を通る径方向中心線(L0)から距離(P)だけ離間する位置に形成され、フィン(26)の各案内面(26a)は、径方向中心線(L0)を含む長さ方向の中心面に対して平行な矢羽根形状又は三角形状を形成する。
【0017】
図17及び図18に示すように、フィン(26)の先端に形成されるフック部(46)は、幅方向かつ内側に、即ち円周方向にかつ径方向内側にフィン(26)から突出して、顎(26b)と円柱部(29)との間に形成される捕捉空間(26c)から糸、紐又はテープ等の引抜工具71が抜け出ることを防止し、これにより、紙幣(70)の不正な引抜を阻止することができる。図17に示すように、各フィン(26)は、間隔を空けた隣り合うディスク(25)の対向する径方向面(25a)に向ってディスク(25)の径方向面(25a)からこれに対しほぼ直角に軸方向に突出し、案内面(26a)は、ディスク(25)に対し鋭角に形成されるので、フック部(46)は、対向する径方向面(25a)から軸方向に突出するフック部(46)より間隔を空けて隣り合うディスク(25)の対向する径方向面(25a)により接近する。従って、対向するフィン(26)は、円周方向の間隙(47)(図19及び図23)を空けて間隔を空けた隣り合うディスク(25)の対応する径方向面(25a)から逆方向に延伸し、フィン(26)の少なくとも一部、即ち、フック部(46)の全体又は一部及び必要に応じて案内面(26a)の一部と軸方向に重複する。
【0018】
図1乃至図6に示すように、搬送装置(D)は、搬送通路(5)を形成する水平通路(20)と、水平通路(20)に接続される円弧状通路(53)と、円弧状通路(53)と出口(82)とを接続する傾斜通路(63)とを備える。また、図1及び図2に示すように、搬送装置(D)は、搬送通路(5)の上壁を形成する上案内部材(51)と、搬送通路(5)の下壁を形成する下案内部材(52)とを備える。上案内部材(51)は、上平板部材(54)と、上平板部材(54)に対して一定角度傾斜する上傾斜部材(55)と、上平板部材(54)と上傾斜部材(55)との間に設けられる円弧状部材(66)とを備える。図1及び図9に示すように、下案内部材(52)は、下平板部材(64)と、下平板部材(64)に対して一定角度傾斜する下傾斜部材(65)とを備え、下平板部材(64)と下傾斜部材(65)との間にロータ(22)を配置する円弧状間隙(67)が形成される。円弧状部材(66)とロータ(22)とにより円弧状通路(53)が形成される。
【0019】
円弧状通路(53)は、ロータ(22)の支持軸(31)の周りに角度約90度の範囲で湾曲し、ディスク(25)の各外縁は、円弧状通路(53)の内部にかつこれに沿って配置される。上平板部材(54)と下平板部材(64)は、搬送装置(D)の入口(81)から円弧状通路(53)まで延伸する水平路(20)を一体に構成し、上傾斜部材(55)と下傾斜部材(65)は、円弧状通路(53)から搬送装置(D)の出口(82)まで延伸する傾斜路(63)を一体に形成する。円弧状通路(53)は、水平路(20)から傾斜路(63)まで中心軸(31)の周りに約θ=120度の角度で湾曲するが、60度と360度の間の角度範囲で湾曲角度θを変更することができる。図1、図2及び図8に示すように、上案内部材(51)に設けられる押圧ローラ(41,42)は、駆動ベルト(38,39)に対して搬送される紙幣を押圧して、駆動ベルト(38,39)と押圧ローラ(41,42)との間に紙幣(70)を挟持して、紙幣(70)を確実に搬送することができる。図示の例では、ローラ装置(21)は、下案内部材(52)に取り付けられるが、必要に応じて上案内部材(51)又は両方に取り付けることができる。
【0020】
図1、図2、図10、図23及び図24に示すように、ローラ装置(21)を取り付けた下案内部材(52)の平板部材(64)には、ローラ装置(21)に向かって延伸する延長部となる舌片(56)が形成され、同様に、下案内部材(52)の傾斜部材(65)からローラ装置(21)に向かって延伸する延長部となる舌片(57)が形成される。図9、図10、特に図23に示すように、各舌片(56,57)は、ローラ装置(21)の対向するディスク(25)の案内面(26a)に向かいかつ案内面(26a)から一定距離離間して下案内部材(52)の平板部(64)及び傾斜部材(65)からそれぞれ延伸する。図23及び図24に示すように、下平板部材(64)と下傾斜部材(65)のそれぞれから何れも引抜防止ユニット(21)の対向するディスク(25)の案内面(26a)に向って舌片(56,57)が延出して、舌片(56,57)は、最も近い案内面(26a)に対して傾斜間隙(58)による間隔を空けて配置される。隣り合う谷部(59,60)間に形成される各舌片(56,57)は、ローラ(24)の支持軸(31)の中心軸を通る平面に沿いかつこれと同一平面(面一)となる偏向面(61,62)を有する。
【0021】
図2に示すように、搬送装置(D)は、下ケーシング(86)に回転可能に固定されて識別装置(H)の搬送駆動歯車(85)に駆動連結する連結歯車(84)と、連結歯車(84)を介して識別装置(H)の搬送駆動歯車(85)に回転駆動力を伝達する駆動出力歯車(83)と、ロータ駆動装置(23)の駆動を制御する制御装置(87)と、下ケーシング(86)の底部に装着される底部トレイ(88)と、水平通路(20)の下壁を形成する下ケーシング(86)の背面部と対向して配置されて水平通路(20)の上壁を形成する上ケーシング(91)(図8)と、下ケーシング(86)の上面に設けられて識別装置(H)に嵌合するガイドレール(92)と、下ケーシング(86)の右側部及び左側部に夫々装着される右ケーシング(89)及び左ケーシング(90)とを備える。
【0022】
図2乃至図6、図9及び図10に示すように、識別装置(H)は、上部ケース(19)と下部ケース(18)に固定された下部フレーム(17)との間に配置されて搬送通路(5)を形成するケース(1)と、搬送通路(5)の水平通路(20)に沿って紙幣(70)を搬送する図9及び図10に示す搬送ベルト(2a)と、水平通路(20)に沿って移動される紙幣(70)の物理的特徴を検出して検出信号を発生する光学式及び磁気式のセンサ(3a, 3b, 3c, 3d)を有するセンサ装置(3)とを備える。制御装置(87)は、センサ装置(3)からの検出信号を受信して、図9及び図10に示す識別装置(H)の搬送ベルト(2a)の駆動を制御する。ケース(1)は、下部光学センサ(3a)及び他の電気電子素子を収容する下部カバー(7)及び下部トレイ(8)を有する下部ケース(18)と、上部光学センサ(3b)及び他の電気電子素子を収容する上部トレイ(11)及び上部カバー(12)を有する上部ケース(19)とを備える。センサ装置(3)は、下部ケース(18)内に収容される下部光学センサ(3a)と、上部ケース(19)内に収容される上部光学センサ(3b)及び受光素子(3c)と、紙幣の挿入を検出する光学式入口センサ(図示せず)と、紙幣の印刷面のインクに含まれる鉄分を検出する磁気センサ(3d)とを備える。制御装置(87)は、センサ装置(3)からの信号を受信して、搬送装置(D)に制御出力信号を送出し、図9及び図10に示す識別装置(H)内の搬送装置(D)の搬送ベルト(2a)と、図13及び図14に示す搬送装置(D)内のローラ装置(21)及び駆動ベルト(38,39)の駆動を制御する。
【0023】
図1乃至図5に示すように、下部光学センサ(3a)及び他の電気電子素子は、下部カバー(7)と下部トレイ(8)との間に配置される。同様に、上部光学センサ(3b)及び他の電気電子素子は、上部トレイ(11)と上部カバー(12)との間に配置される。図3乃至図5に示すように、下部トレイ(8)に取り付けられる駆動歯車(85)は、搬送装置(D)の連結歯車(84)に駆動連結されて図8及び図9に示す搬送装置(D)の搬送ベルト(2a)を駆動する。下部カバー(7)に形成される4つの開口部(13)に部分的に配置される搬送ベルト(2a)は、開口部(13)を通じて水平通路(20)内に突出して、識別装置(H)内の運搬装置の上部及び下部搬送ベルト(2a)の間に紙幣(70)を挟持して、開口部(13)に沿って紙幣(70)を搬送する。センサ装置(3)の下部光学センサ(3a)と上部光学センサ(3b)は、それぞれ接触イメージセンサ(CIS)を備え、各接触イメージセンサは、複数の発光素子と、各発光素子から照射されて、下部カバー(7)又は上部トレイ(11)を通り紙幣(70)で反射した後又は紙幣(70)を透過した後、下部カバー(7)又は上部トレイ(11)を通る光を受光する複数の受光素子とを備える。
【0024】
図1及び図2に示す紙幣鑑別装置を組み立てる際に、識別装置(H)の図示しないラッチを搬送装置(D)のガイドレール(92)に係合することにより、識別装置(H)を搬送装置(D)に取り付けて、図6に示すように、ガイドレール(92)に沿って識別装置(H)を奥に移動しラッチを滑動させる。ラッチが完全な挿入位置に到達すると、識別装置(H)の搬送通路(5)の出口(図示せず)は、搬送通路(5)の円弧状通路(53)に連通する搬送装置(D)の搬送通路(5)の入口(81)に連絡し、同時に、識別装置(H)の搬送駆動歯車(85)が、搬送装置(D)の連結歯車(24)に駆動連結されるため、搬送装置(D)内の駆動モータ(32)により識別装置(H)内で紙幣(70)を搬送する運搬装置を駆動することができる。
【0025】
紙幣鑑別装置の組み立て後に、識別装置(H)の挿入口(5c)に紙幣(70)を挿入すると、挿入口(5c)への紙幣(70)の挿入を光学式入口センサが検出して、制御装置(87)に検出信号を発生するので、制御装置(87)は、搬送装置(D)のロータ駆動装置(23)の駆動モータ(32)の動作を開始する。これにより、図9及び図10に示す識別装置(H)の運搬装置の搬送ベルト(2a)が回転し、同時に、搬送装置(D)内の引抜防止ユニット(21)のロータ(22)と共に、ロータプーリ(36,37)が回転し、紙幣(70)は、水平通路(20)に沿って搬送通路(5)の奥に搬送される。このとき、紙幣(70)の後端に糸(71)が接続されていると、紙幣(70)の前進移動に伴い、糸(71)も水平通路(20)内に牽引されると共に、上部光学センサ(3b)、下部光学センサ(3a)及び磁気センサ(3d)は、水平通路(20)内を通過する紙幣(70)の物理的特徴を検出して発生する検出信号を制御装置(87)に送出する。
【0026】
その後、識別装置(H)の水平路(20)から搬送装置(D)の入口(81)を通り、上部案内部材(51)の円弧状部材(66)とロータ(22)のディスク(25)との間に形成される円弧状通路(53)内に紙幣(70)が送出され、紙幣(70)は、駆動ベルト(38,39)と押圧ローラ(41,42)とにより挟持されて、円弧状通路(53)を通り傾斜通路(63)の出口(82)に向けて搬送される。このとき、搬送される紙幣(70)に接触するディスク(25)の外縁に沿って搬送される紙幣(70)と同時にロータ(22)が回転され、紙幣(70)に接続される糸(71)は、フィン(26)の傾斜する案内面(26a)に沿って径方向内側に移動されて、フィン(26)の顎(26b)に係合する。この場合に、水平路(20)から円弧状通路(53)を通り傾斜路(63)に至る全搬送通路(5)を通じて糸(71)が延伸し、駆動ベルト(38,39)と押圧ローラ(41,42)の前進運動により、紙幣(70)と糸(71)を牽引する引張力が発生する。場合により重力と共に引張力により、直線距離又は最短距離で延伸させる作用が湾曲通路(53)内の糸(71)に与えられるので、引張力と重力は、円弧状通路(53)内のフィン(26)の案内面(26a)の周りに糸(71)を押し付けて、舌片(56,57)と案内面(26a)との間に形成される傾斜間隙(58)を通りかつ対向する複数のフィン(26)間に形成される円周方向間隙(47)を通り、糸(71)を強制的に径方向内側に移動させ、これにより、引張力又は緊張力と自身の重力により対向するフィン(26)の案内面(26a)上で糸(71)を滑動させ、最終的に図5、図23及び図24に示すように、顎(26b)と縁中部(29)との間の捕捉空間(26c)(図19、図21、図23)内に糸(71)を追い込み係止させることができる。換言すれば、ロータ(22)の回転と舌片(56,57)の案内により、紙幣(70)に接続される糸(71)を舌片(56,57)とフィン(26)との間に形成される傾斜間隙(58)を通りかつ複数のフィン(26)間に形成される円周方向間隙(47)を通り糸(71)を移動させて、少なくとも1つのフィン(26)又はフィン(26)の少なくとも1つの顎(26b)に係合させることができる。このとき発生する緊張力により、フィン(26)の案内面(26a)に可撓性の糸(71)が押し付けられ、案内面(26a)に沿って糸(71)が径方向内側に滑動して、舌片(56,57)と案内面(26a)との間に形成される傾斜間隙(58)を通りかつ対向する複数のフィン(26)間に形成される円周方向の間隙(47)を通り、糸(71)が顎(26b)と円柱部(29)との間の捕捉空間(26c)内に押込まれる。従って、可撓性の糸(71)は、捕捉空間(26c)内に円滑に押込まれ、ロータ(22)の回転により円柱部(29)と単一又は複数のフィン(26)に可撓性の糸(71)を絡めることができる。
【0027】
この場合に、図1及び図2に示されるように、糸(71)が捕捉空間(26c)内に追い込まれると、ロータ(21)の回転により、ロータ(21)に接近せずには解けないように、捕捉空間(26c)を通じてロータ(21)に糸(71)が巻き取られ、フィン(26)の単一又は複数の顎(26b)に糸(71)が巻き取られ、これにより、紙幣(70)の不正引抜を確実に防止すると共に、紙幣鑑別機の安全性と信頼を明らかに向上することができる。この目的で、フィン(26)の各先端に形成されるフック部(46)のフランジ(46a)は、顎(26b)と円柱部(29)との間の捕捉空間(26c)から糸(71)が離脱することを確実に阻止する。正規の係員が搬送装置(D)の上部案内部材(51)を開放位置(図示せず)に移動してロータ(21)に接近するとき、係員は、露出する円柱部(29)から糸(71)を容易に除去することができる。
【0028】
本実施の形態による紙幣鑑別装置は、下記の作用及び効果を生ずる。
<1> ロータ駆動装置(23)の駆動ベルト(38,39)及び押圧ローラ(41,42)は、紙幣(70)に接続される糸(71)を牽引又は引張しながら、引抜防止ユニット(21)を通過して傾斜路(63)に沿って紙幣(70)を搬送する機能を有する。
<2> 発生する緊張力と重力により、円周方向に隣り合うフィン(26)の案内面(26a)上に糸(71)を押し付けて、径方向内側に案内面(26a)に沿って可撓性の糸(71)を滑動させ、これにより、図5、図23及び図24に示すように、舌片(56,57)と案内面(26a)との間に形成される傾斜間隙(58)を通じてかつ対向する複数のフィン(26)間に形成される円周方向の間隙(47)を通じて顎(26b)と円柱部(29)との間の捕捉空間(26c)内に追い込むことができる。
<3> 図1及び図2に示すように、ロータ(22)の回転により、捕捉空間(26c)に追い込まれる可撓性の糸(71)は、円柱部(29)と単一又は複数のフィン(26)に絡められる。
<4> 搬送装置(D)に引抜防止ユニット(21)を取り付ければ、引抜防止ユニット(21)のない簡素な構造で短縮される搬送通路(5)を識別装置(H)に設けることができる。
<5> 中心軸に対して対称な形状に各ディスク(25)を形成できるので、ロータ(22)には初期回転位置がなく、ロータ(22)を回転して出口(82)に向かって紙幣(70)を搬送しても、後続の紙幣(70)を搬送すべきロータ(22)を初期位置に戻す必要がない。
【0029】
本発明は、前記実施の形態に限定されず、更に種々の変更が可能である。例えば、搬送装置Dの代わりに又はこれに加えてローラ装置(21)を識別装置(H)に設けてもよい。ロータ(22)に組み込むロータプーリ(36,37)をロータ(22)の一端又は両端に配置してもよい。また、前記実施の形態では、ロータ駆動装置(23)にロータ(22)を駆動接続して、搬送する紙幣との接触とは無関係にロータ(22)を積極的に回転することができる。このように、本発明の装置は、巻き戻し不能に糸(71)をロータ(22)の周りに巻き付けて、フィン(26)の顎(26b)に糸(71)を強固に係合することができる。しかしながら、本発明は、ロータ駆動装置(23)を設けずに、ロータ(22)を単に回転可能にフレーム(43)で支持して、ディスク(25)の各外縁に接触する紙幣(70)を搬送することによりディスク(25)に加えられる摩擦力により自動的にロータ(22)を回転できる他の構造も企図する。従って、本発明の特定の実施の形態では、ロータ駆動装置(23)及びロータプーリ(36,37)を必ずしも必要としない。複数のローラ(41,42)間にロータプーリ(36,37)を設けずに、ロータ(22)の一方又は両端にロータプーリ(36,37)を設けてもよい。図25及び図26に示すように、ロータプーリ(36,37)を使用せずに、ロータ(22)に従動歯車(48)を設けて、ピニオン(93)と動力伝動歯車(94〜100)を介して駆動モータ(32)によりロータ(22)を回転してもよい。別法として、図27及び図28に示すように、一体回転可能にロータ(22)又はローラ(50)に別の受動歯車(49)を取り付けてもよい。90度の等角度間隔の代わりに、異なる等角度間隔又は不規則角度間隔でフィン(26)をディスク(25)に形成してもよい。
【0030】
図29に示す実施の形態は、水平通路(20)の途中に設けられて中心軸(31)周りにθ=180度の角度で湾曲する円弧状通路(53)を示す。円弧状通路(53)及びロータ(22)を通過した紙幣(70)は、糸(70)に接続される糸(71)を牽引又は引っ張り、糸(71)に引張力又は近張力を発生しながら、水平通路(20)の延長上に形成されて出口(82)に接続される出口通路(20a)を通り搬送される。この実施の形態では、ディスク(25)の外縁と、ディスク(25)から径方向に間隔を空けて配置される上案内部材(51)及び下案内部材(52)と円弧状部材(66)との間の円弧状間隙に円弧状通路(53)が形成される。水平に形成した出口(82)に出口通路(20a)を接続してもよく、傾斜し又は湾曲する通路を通じて出口(82)に出口通路(20a)を接続してもよい。
【0031】
本発明の前記実施の形態では、有価紙葉を紙幣として説明したが、紙幣以外の銀行券、クーポン券等の有価紙葉に本発明を適用できることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、糸又は紐等の不正抜取手段に接続される有価紙葉の不正抜き取りを防止する引抜防止装置を有する有価紙葉搬送装置に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
(20)・・搬送通路、 (21)・・ローラ装置、 (22)・・ロータ、 (23)・・ロータ駆動装置、 (24)・・ローラ、 (24a)・・貫通孔、 (25)・・フランジ、 (25a)・・側壁、 (26)・・フィン、 (26a)・・案内面、 (28)・・ブラケット、 (29)・・円柱部、 (29a)・・支持ボス、 (30)・・凹部、 (31)・・中心軸、 (32)・・駆動モータ、 (33)・・歯車装置、 (34,35)・・駆動プーリ、 (36,37)・・ロータプーリ、 (36a,37a)・・貫通孔、 (38,39)・・駆動ベルト、 (40)・・アイドルローラ、 (41,42)・・押圧ローラ、 (43)・・支持フレーム、 (44)・・窪み、 (45)・・突起、 (46)・・フック部、 (47)・・間隙、 (48,49)・・歯車、 (51)・・上案内部材、 (52)・・下案内部材、 (53)・・円弧状通路、 (54)・・平板部材、 (55)・・傾斜部材、 (56,57)・・舌片、 (58)・・間隙、 (59,60)・・谷部、 (61,62)・・偏向面、 (64)・・平板部材、 (65)・・傾斜部材、 (70)・・紙幣(有価紙葉)、 (71)・・糸(引抜手段)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、ロータを回転可能に支持するフレームとを備え、
ロータは、同軸上に一列にかつ互いに間隔を空けて配置される複数のディスクと、間隔を空けて隣り合うディスクの対向する径方向面に向ってディスクの少なくとも一方の径方向面から軸方向に突出する矢羽根状の複数のフィンとを備え、
各フィンは、フィンの径方向外側縁に形成される径方向外側に先細の案内面と、フィンの径方向内側縁に形成される顎とを備えることを特徴とする矢羽根状フィンを有する回転式引抜防止ユニット。
【請求項2】
軸方向に突出するフィンを形成した対向する径方向面を各ディスクに設けた請求項1に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項3】
ロータは、ロータの中心に形成される円柱部を備え、
円柱部の両端は、フレームにより回転可能に支持され、
複数のディスクは、互いに軸方向に間隔を空けて円柱部に固定され、円柱部から径方向外側に延伸する請求項1又は2に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項4】
搬送される紙葉に接触するディスクの各外縁に沿って搬送される紙葉と共にロータが回転して、紙葉に接続される引抜手段をフィンの先細の案内面に沿って径方向内側に移動して、フィンの顎に引抜手段を係止する請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項5】
ディスクの各外縁に沿って紙葉が搬送されるとき、ロータを回転するロータ駆動装置を設けた請求項1乃至4の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項6】
フレームは、ロータを回転可能に支持するブラケットを備え、
ブラケットは、ロータの軸方向の両端に対向して配置される一対の支持ボスを備える請求項3に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項7】
ロータ駆動装置は、駆動モータと、ロータ上に同軸上に設けられて搬送される紙葉に接触するディスクの各外縁に沿って紙葉を搬送するときに、駆動モータの作動により一体に回転する少なくとも1つのロータプーリ又は歯車とを備える請求項5に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項8】
各ディスクは、ディスクの中心軸に対して対称な形状を有する請求項1〜7の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項9】
ロータは、ブラケットに形成される対応する溝に両端が支持される支持軸を備える請求項6に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項10】
ロータは、複数のディスクが形成される少なくとも1つのローラを備え、
ローラに形成される貫通孔内に支持軸を配置した請求項9に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項11】
ロータ駆動装置は、駆動モータと、駆動モータにより駆動される歯車列と、歯車列により駆動される少なくとも1つの駆動プーリと、ロータに同軸上に取り付けられる少なくとも1つのロータプーリと、ロータプーリと駆動プーリとの相互に捲回される駆動ベルトとを備える請求項5に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項12】
駆動ベルト上に紙葉を押圧する少なくとも1つの押圧ローラを備え、押圧ローラは、駆動ベルトと押圧ローラとの間に紙葉を挟持して搬送する請求項11に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項13】
各ディスクは、案内面と顎との間でフィンの先端部に形成されるフック部を備え、
フック部は、フィンの円周方向及び径方向内側方向に突出する請求項1乃至12の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項14】
各フィンは、間隔を空けた隣り合うディスクの対向する径方向面に向かって軸方向に突出し、そのフィンのフック部は、隣り合うディスクの対向する径方向面から軸方向に突出するフック部よりも隣り合うディスクの対向する径方向面に接近する請求項13に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項15】
ディスクの各径方向面は、規則的な角度間隔又は不規則な角度間隔で径方向面上に形成される2つ又はそれ以上のフィンを有する請求項1乃至14の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項16】
一方のディスクの一方の径方向面は、間隔を空けて隣り合う他方のディスクの対向する径方向面に向って軸方向に突出するフィンを備え、間隔を空けて隣り合う他方のディスクの対向する径方向面は、一方のディスクの一方の径方向面に向って軸方向にかつ逆方向に突出するフィンを備え、
一方及び他方の径方向面の最接近する2つのフィンは、一対となり、一対となるフィン間に円周方向の間隙が形成される請求項1〜15の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項17】
ディスクの回転軸を通る直径方向面から一定距離だけずれた位置に各フィンを形成し、
直径方向面に平行な矢羽根形状又は三角形状にフィンの各案内面を形成した請求項1乃至16の何れか1項に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項18】
最接近する一対のフィンは、一方及び他方の径方向面から逆方向に延伸する請求項14に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項19】
紙葉を案内する搬送通路の上壁及び下壁をそれぞれ形成する上案内部材及び下案内部材を有する紙葉鑑別装置の搬送装置に設けられる請求項4に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項20】
上案内部材は、上平板部材と、上平板部材に対して一定角度傾斜する上傾斜部材とを備え、
下案内部材は、下平板部材と、下平板部材に対して一定角度傾斜する下傾斜部材とを備え、
下平板部材と下傾斜部材との間に、ロータを配置する長さ方向の円弧状間隙が形成され、ロータと上案内部材の円弧状部材との間に円弧状通路を形成し、
60度と180度との間の角度範囲でロータの支持軸周りに円弧状通路を湾曲させた請求項19に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項21】
上平板部材と下平板部材は、搬送装置の入口から円弧状通路まで延伸する搬送路を一体に形成し、
上傾斜部材と下傾斜部材は、円弧状通路から搬送装置の出口まで延伸する傾斜路を一体に形成する請求項20に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項22】
下案内部材の各下平板部材と各下傾斜部材は、ロータに向って突出する舌片を有する請求項21に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項23】
各舌片は、フィンの傾斜する案内面に向って案内面の手前まで延伸して、各舌片と傾斜する案内面との間に傾斜間隙を形成する請求項22に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項24】
各下平板部材と各下傾斜部材は、ロータの支持軸の中心軸を通る平面と同一平面となる切除面を有する請求項22に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項25】
ディスクの各外縁に沿って紙葉が搬送されるとき、ロータを回転するロータ駆動装置を設け、ロータ駆動装置の牽引力により引抜防止ユニットを通過した紙葉を更に傾斜路に沿って前方に搬送して、紙葉に接続される引抜手段に引張力を発生する請求項21に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項26】
発生する引張力により、フィンの案内面に引抜手段を押し付けて、案内面に沿って径方向内側に可撓性の引抜手段を摺動させ、これにより、舌片と案内面との間に形成される傾斜間隙及び対向する複数のフィン間に形成される円周方向の間隙を通じて、顎と円柱部との間の捕捉空間内に可撓性の引抜手段を移動する請求項25に記載の回転式引抜防止ユニット。
【請求項27】
可撓性の引抜手段が捕捉空間内に移動させた後に、ロータの回転により円柱部及び単一又は複数のフィンに可撓性の引抜手段を絡める請求項26に記載の回転式引抜防止ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−65309(P2011−65309A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213928(P2009−213928)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000230858)日本金銭機械株式会社 (43)
【Fターム(参考)】