説明

石油燃焼器具

【課題】消火時の消火時間を短縮すると共に、消火時の臭いを低減する石油燃焼器具を提供する。
【解決手段】
火皿部5の下端と芯案内外筒3のテーパー部27の下方とが接触している部分の上部で、テーパー部27の中間部分と同じくらいの高さの位置にテーパー部用孔28を形成したもので、消火時にテーパー部用孔28を通過して冷却空気が芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間に流入してその空間の残火を消火して消火時間の短縮ができると共に、消火時にフランジ部26に溜まった燃油がテーパー部用孔28を通過して一気に芯案内内筒と芯案内外筒との間に流れて回収されるので、フランジ部26に溜まった燃油が蒸発することによる臭いを防止できるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油燃焼器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、燃芯上端には、最上昇の点火位置で火皿部より下方となるように凹部を形成し、更に燃芯最下降の消火位置で凹部と対向する芯案内外筒には、通常燃焼時閉塞され消火時には開放されて冷却空気を凹部に供給する通気孔を備え、この通気孔は燃芯最下降の消火位置での燃芯上端位置より上位に備えた上孔と、燃芯上端と凹部底面の約中間部位置に備えた下孔とを設けたものがあり、これにより確実に消火させると共に、消火時間を短縮していた。
(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開平2004−225974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、放電点火を行う放電電極と対極板のうち、前記対極板の先端が位置する凹部が燃芯の上端部分に形成されていて、消火時にこの凹部部分の残火は素早く消火されるものの、芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間は凹部以外の周りにもあり、その凹部以外の周りの空間にも残火があってその残火が消火時間を短縮する妨げとなっていた。
【0004】
また、電極を伝って灯油が芯案内外筒の火皿部分に溜まることがあり、これが消火後の臭いの原因のひとつとなることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、芯案内内筒と、芯案内外筒と、該芯案内外筒上端に設けられた火皿部とから成る芯案内筒内に昇降自在の燃芯を備え、更に火皿部上に燃焼筒を載置したものに於いて、前記芯案内外筒にフランジ部を設けると共に、該フランジ部と芯案内外筒との間にテーパー部を形成し、芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周に、前記テーパー部と同位置にテーパー部用孔を形成したものである。
【0006】
又請求項2に係る石油燃焼器具では、特にその構成を請求項1において、前記テーパー部用孔は、芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周で、前記テーパー部と同位置に複数形成したものである。
【0007】
又請求項3に係る石油燃焼器具では、特にその構成を請求項2において、前記燃芯上端には、最上昇の点火位置で火皿部より下方となるように凹部を形成し、更に燃芯最下降の消火位置で凹部と対向する芯案内外筒には、通常燃焼時閉塞され消火時には開放されて冷却空気を凹部に供給する通気孔を備え、この通気孔は燃芯最下降の消火位置での燃芯上端位置より上位に備えた上孔と、燃芯上端と凹部底面の約中間部位置に備えた下孔とを設けたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の請求項1によれば、芯案内外筒に設けたフランジ部と芯案内外筒との間にテーパー部を形成し、芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周に、前記テーパー部と同位置にテーパー部用孔を形成したので、消火時にテーパー部用孔28を通過して冷却空気が芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間に流入してその空間の残火を消火できるものである。
【0009】
また、消火時にフランジ部に溜まった燃油がテーパー部用孔を通過して芯案内内筒と芯案内外筒との間に流れて回収されるので、フランジ部に溜まった燃油が蒸発することによる臭いを防止できるものである。
【0010】
又本発明の請求項2に記載の石油燃焼器具によれば、請求項1に於いて、前記テーパー部用孔は、芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周で、前記テーパー部と同位置に複数形成したので、冷却空気が芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間に四方から流入して凹部以外の空間の残火を一気に消火するので、更に消火時間の短縮ができるものである。
【0011】
また、消火時にフランジ部に溜まった燃油が、各テーパー部用孔を通過して一気に芯案内内筒と芯案内外筒との間に流れてより早く回収されるので、フランジ部に溜まった燃油が蒸発することによる臭いを防止できるものである。
【0012】
又本発明の請求項3に記載の石油燃焼器具によれば、請求項2に於いて、前記燃芯上端には、最上昇の点火位置で火皿部より下方となるように凹部を形成し、更に燃芯最下降の消火位置で凹部と対向する芯案内外筒には、通常燃焼時閉塞され消火時には開放されて冷却空気を凹部に供給する通気孔を備え、この通気孔は燃芯最下降の消火位置での燃芯上端位置より上位に備えた上孔と、燃芯上端と凹部底面の約中間部位置に備えた下孔とを設けたので、火皿部からのヒートバックで残火が残る凹部に、対極板の板バネ部の降下で開放された通気孔の上孔からの冷却空気の流入と、下孔による凹部内に充満した燃油の蒸気を芯案内外筒の外へ排出するし、それにより凹部の残火を瞬時に吹き消してより消火時間の短縮を計ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明一実施例を付した石油燃焼器具の燃焼時を示す要部断面図。
【図2】同消火時を示す要部断面図。
【図3】同要部の正面図。
【図4】同燃芯の斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明に係る発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は芯案内内筒2と芯案内外筒3から構成された芯案内筒で、内方には昇降自在の燃芯4を備え、更に芯案内外筒3の上端に圧入されて、芯案内外筒3とスポット溶接された火皿部5には、内筒6及び中筒7及び外筒8から成る複筒式の燃焼筒9の内筒6及び中筒7が載置されている。
【0015】
10は燃芯4上端に形成された凹部で、燃芯4の点火位置である最上昇位置でも火皿部5より低い位置となるように形成されており、この凹部10には芯止バンド11に一端を固定した対極板12の先端部が芯案内外筒3側から位置している。
【0016】
前記対極板12は、燃芯4外周に沿って全体にR状に形成され、下部には芯止バンド11に固定する為の引掛け片13と折り曲げ片14とを有し、上部には燃芯4外周方向から凹部10内に向かうように屈曲した対極部15が形成されている。
【0017】
16は燃芯4の点火位置である最上昇位置で、凹部10と対向する芯案内外筒3に形成された開口から成る窓部で、この窓部16を介して碍子部分17が固定金具18で固定された放電電極19が凹部10に対向して位置され、対極板12の対極部15とは凹部10の燃芯4上で接近している。
【0018】
20は火皿部5外周に備えられたフランジ状部で、燃焼筒9の外筒8下端との間には空気流通用の隙間を形成している。
【0019】
21は燃芯4の最下降の消火位置で凹部10と対向する芯案内外筒3に形成された4個の通気孔で、燃芯4上端位置より上位置で凹部10上方の芯案内外筒3に形成された上孔22と、燃芯4上端と凹部10底面の垂直方向の約中央の位置に形成された下孔23で、上孔22と下孔23の距離を大きく設ける事によって、前記上孔22は冷却空気を流入させる為に、直径1.3mmの穴を複数設け、消火時に残る炎を吹き消すものであり。前記下孔23は燃芯4凹部10内に充満した燃油の蒸気を芯案内外筒3の外へ排出する事で、確実な消火と共に、消火時間の短縮が計られるものである。又、前記下孔23は上孔22とほぼ同じ垂線上に設けた事で、更なる確実な消火と共に、消火時間の短縮が計られるものである。又、上孔22の位置があまり高すぎた場合には、上孔22による炎を吹き消す作用が小さくなるものであり、この実施例では燃芯4上端より上孔22の距離は約2〜5mm程のものである。
【0020】
24は対極板12の中央を下端を残して逆U字状に切り欠き、下端を支点に外方側にやや折り曲げてバネ性を与えた板バネ部で、燃芯4の火力調節範囲では、バネ性を利用して芯案内外筒3内面に密着して上下動し、通気孔21を閉塞し空気の流入を阻止すると共に、燃芯4の最下降の消火位置では通気孔21を開放状態として、空気を凹部10に流入させて残火を吹き消すと共に、充満した燃油の蒸気を芯案内外筒3の外へ排出するようにさせたものである。
【0021】
25は対極板12内面の燃芯4側に形成された4個の係止爪で、三角状に立ち上げられ燃芯4にくい込み対極板12を支持するものである。尚、この実施例では上下に2対合計4個の通気孔21を形成したが、凹部10の大きさに応じて上下に3対合計6個の通気孔21を形成しても良いものである。
【0022】
26は芯案内外筒3上端に形成されたフランジ部で、該フランジ部26と芯案内外筒3との間には傾斜面であるテーパー部27が形成され、芯案内外筒3の上端から圧入された火皿部5の下端が前記テーパー部27の下方に接触し、その接触している部分がスポット溶接されているものである。
【0023】
28は火皿部5の下端に形成されたテーパー部用孔で、火皿部5の下端と芯案内外筒3のテーパー部27の下方とが接触している部分の上部で、テーパー部27の中間部分と同じくらいの高さの位置に形成されているもので、本件には火皿部5の下端の外周に、孔と孔とを略90度ずらして4箇所形成してあり、該テーパー部用孔28は点火時及び燃焼時には燃芯4にて閉塞され、消火時には解法されるものである。
【0024】
次にこの発明一実施例の作動について説明する。
今燃芯4を上昇させ点火位置である最上昇位置まで上昇させれば、凹部10は放電電極19が突出している窓部16に対極板12と共に位置することになる。
【0025】
そしてここで点火スイッチ(図示せず)を押圧して放電電極19に一定時間通電するようにすれば、該放電電極19から対極板12の対極部15に向かって放電が行われ、この放電で凹部10上端の燃芯4部分に火が付き、これが燃芯4上端全周に周り、点火が行われるものである。
【0026】
次に消火操作を行い燃芯4を降下させ、最下降の消火位置で燃芯4上端の火炎は消火され、又火皿部5からのヒートバックで残火が残る凹部10には、対極板12の板バネ部24の降下で開放された通気孔21の上孔22からの冷却空気の流入と、下孔23による凹部10内に充満した燃油の蒸気を芯案内外筒3の外へ排出する事で、凹部10の残火は瞬時に吹き消され、消火時間の短縮が計られるものである。
【0027】
しかも燃焼中通気孔21は、対極板12の板バネ部24で確実に閉塞されているので、通気孔21からの空気流入で異常燃焼が発生すると言うことがなく、常に安心して使用することが出来るものである。
【0028】
従って、石油燃焼器具の消火時に、上孔22と下孔23の距離を大きく設ける事ができる事で、更なる確実な消火と共に、消火時間の短縮が計られ、常に安心して使用することが出来るものである。
【0029】
又、消火時にはテーパー部用孔28を通過して冷却空気が芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間に流入して凹部以外の空間の残火を消火し、更に芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周で、前記テーパー部と同位置に複数形成したことにより、冷却空気が芯案内内筒と芯案内外筒との間の空間に四方から流入して凹部以外の空間の残火を一気に消火するので、更に消火時間の短縮ができるものである。
【0030】
又、フランジ部26には放電電極19や碍子部分17に結露して液化した燃油が垂れて溜まることがあるが、消火時にフランジ部26に溜まった燃油がテーパー部用孔28を通過して一気に芯案内内筒と芯案内外筒との間に流れて回収されるので、フランジ部26に溜まった燃油が蒸発することによる臭いを防止できるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 芯案内筒
2 芯案内内筒
3 芯案内外筒
4 燃芯
5 火皿部
9 燃焼筒
26 フランジ部
27 テーパー部
28 テーパー部用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯案内内筒と、芯案内外筒と、該芯案内外筒上端に設けられた火皿部とから成る芯案内筒内に昇降自在の燃芯を備え、更に火皿部上に燃焼筒を載置したものに於いて、前記芯案内外筒にフランジ部を設けると共に、該フランジ部と芯案内外筒との間にテーパー部を形成し、芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周に、前記テーパー部と同位置にテーパー部用孔を形成したことを特徴とする石油燃焼器具。
【請求項2】
前記テーパー部用孔は、芯案内外筒の上から圧入された火皿部の下端の外周で、前記テーパー部と同位置に複数形成したことを特徴とする請求項1記載の石油燃焼器具。
【請求項3】
前記燃芯上端には、最上昇の点火位置で火皿部より下方となるように凹部を形成し、更に燃芯最下降の消火位置で凹部と対向する芯案内外筒には、通常燃焼時閉塞され消火時には開放されて冷却空気を凹部に供給する通気孔を備え、この通気孔は燃芯最下降の消火位置での燃芯上端位置より上位に備えた上孔と、燃芯上端と凹部底面の約中間部位置に備えた下孔とを設けた事を特徴とする請求項2記載の石油燃焼器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−102659(P2011−102659A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256972(P2009−256972)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)