説明

石綿繊維飛散防止処理剤、石綿繊維飛散防止方法及び石綿繊維層除去方法

【課題】 石綿繊維飛散防止処理剤を石綿施工面に吹き付けたときの浸透性を向上し、且つ繊維相互の結合を図る。
【解決手段】 無機質粒子を水に分散させた無機質コロイド分散液からなる石綿繊維飛散防止処理剤である。この処理剤は、フローカップ法による流下時間が30秒以下という低い粘度を有し、石綿繊維に付着して石綿繊維相互を接合する繊維結束能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石綿施工面に適用する石綿繊維飛散防止処理剤及び石綿繊維飛散防止方法並びに石綿繊維層除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石綿は耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に優れており、建築資材、電気製品、自動車など広い用途に使用されてきた。しかし、空中に飛散した石綿繊維を肺に吸入すると長期間の潜伏期間を経た後に中皮腫や肺がんを誘発する確率が高いという問題があり、このような健康障害の発生を防止するため、既設の石綿に対する予防対策が施されている。
【0003】
石綿を建築資材として適用する場合、石綿を壁面に吹付け塗工するか、或いは石綿を含有したボードを壁に取り付けて施工されている。既設石綿に対する予防対策として、石綿施工面に薬液を含浸するか又は表面に塗膜を形成させることにより、石綿繊維の飛散を防止する、いわゆる封じ込め作業と、石綿繊維層を施工面より剥離して除去する除去作業がある。
【0004】
除去作業において、石綿施工面に水又は薬剤を吹き付けて石綿を湿潤させながら石綿の除去を行うが、石綿は他に比類がない程の大きな表面積を有するため、たとえ一旦、湿潤されても保湿能が乏しい性状により乾燥速度が速く、石綿繊維の飛散を効果的に防止し得ないという問題点がある。
【0005】
また、石綿施工面は極めて微細な繊維構造のため、処理用薬剤の石綿層に対する浸透性が一般的に小さく、また石綿施工面において石綿の塗工密度の大きい部分と小さい部分とがあり、塗工密度の大小により薬剤の浸透度合いが異なり、層全体に亘って均一に薬剤を浸透させることが困難であり、薬剤が浸透しない部位においては、石綿繊維飛散の原因を作るという問題点がある。
【0006】
従来の石綿(アスベスト)除去方法として、特許文献1には、混気ジェット洗浄ノズルを使って圧縮エアと高圧水の混気ジェット噴流による直接洗浄を行うことにより建築物の建材に付着しているアスベストを剥離するアスベスト除去方法が開示されている。この方法によれば、剥離されたアスベストと噴霧水滴とが混じり合ってアスベストの飛散を防止するものである。
【0007】
特許文献2には、水と金属鉄製の強磁性粒状物とを含む投射物を湿式ショットブラストによりアスベストの表面に噴射してアスベストを剥離し、剥離したアスベストを脱水処理し、これに接着剤を混合して固化一体化させるアスベストの回収除去方法が開示されている。
【0008】
また、特許文献3には、水溶性バインダーを霧状に噴霧し、このバインダー液滴をアスベスト表面に付着させてアスベスト繊維を相互に結合させるアスベスト繊維飛散防止方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−92387号公報
【特許文献2】特開2007−146639号公報
【特許文献3】特開2007−247240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたいずれの方法も、噴射用処理剤として水を用いているためアスベスト繊維相互を結合することはできず、剥離除去されたアスベストの廃棄処理工程中に水分の蒸発による乾燥状態に至ったとき、一旦湿潤されたアスベストは単繊維化が促され更に発塵性が増加するという欠点がある。
【0011】
また、特許文献3の方法では、霧状に噴霧されて被処理空間に滞留するバインダー液滴はその絶対量が極微量のためアスベスト層内部に十分に浸透せず、しかも均一な浸透は行われず、アスベスト層内部において、バインダーにより結合されないアスベスト繊維層が存在し、アスベスト繊維飛散防止を十分には達成し得ないという欠点がある。
【0012】
本発明は上記従来技術の欠点を解消するもので、石綿繊維層への浸透性に優れ、しかも均一に浸透することができる石綿繊維飛散防止処理剤を提供することを目的とする。
また本発明は、処理剤を石綿施工面に吹き付けて石綿繊維層の内部にまで十分に且つ均一に処理剤を浸透させ、石綿繊維の飛散を確実に防止できる石綿繊維飛散防止方法を提供することを目的とする。
更に、本発明は、石綿施工面から石綿繊維層を除去するに当たり、処理剤により石綿繊維層を湿潤させて石綿繊維の飛散防止を図りながら石綿繊維層の剥離除去を行えるようにした石綿繊維層除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、無機質粒子を水に分散させた無機質コロイド分散液からなり、フローカップ法による流下時間が30秒以下である粘度を有し、石綿繊維に付着して石綿繊維相互を接合する繊維結束能を有することを特徴とする石綿繊維飛散防止処理剤である。フローカップ法は、JIS K 5600−2−2に規定された粘度測定法である。
【0014】
本発明の処理剤は、無機質粒子を水に分散させた無機質コロイド分散液からなり、この無機質コロイド分散液における無機質粒子の含有量は、3重量%〜35重量%が好ましい。また、無機質粒子の粒子径は、2nm〜100nmが好ましい。
【0015】
無機質粒子としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾルのうちの1種又はそれらの2種以上の混合物からなるものを用いることができる。
【0016】
本発明の処理剤は低粘度であり、石綿層に対する浸透性に優れているが、界面活性剤を添加することにより、更に浸透性を増大できる。添加する界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が用いられる。
【0017】
また本発明は、石綿繊維飛散防止方法に関するもので、本発明の石綿繊維飛散防止方法は、無機質粒子を水に分散させた無機質コロイド分散液からなり、フローカップ法による流下時間が30秒以下である粘度を有する石綿繊維飛散防止処理剤を石綿施工面に吹き付けて、前記処理剤により石綿繊維を湿潤させるとともに、石綿繊維層内に前記処理剤を浸透させて石綿繊維相互を接合するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明処理剤を石綿施工面に吹き付けるに当たり、予め作業空間内に前記処理剤を濃霧状に噴霧し、飛散している石綿繊維を湿潤させて石綿繊維を非飛散状態とさせ、作業環境を安全なものにすることが好ましい。
【0019】
更に、本発明の石綿繊維層除去方法は、請求項1記載の石綿繊維飛散防止処理剤を石綿施工面に高圧噴射により吹き付けて、前記処理剤により石綿繊維を湿潤させ、石綿繊維層内に前記処理剤を浸透させて石綿繊維相互を接合すると共に、噴射流体の打力により石綿繊維層を石綿施工面より剥離除去するようにしたことを特徴とするものである。
【0020】
この石綿繊維層除去工程においても、前述したと同様、予め作業空間内に前記処理剤を濃霧状に噴霧し、飛散している石綿繊維を湿潤させて石綿繊維を非飛散状態とさせ、作業環境を安全なものにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の処理剤は、無機質コロイド分散液からなり、フローカップ法による流下時間が30秒以下という低粘度のものであるから、石綿繊維層に対する浸透性に優れており、繊維層内部の奥深くまで浸透して繊維を湿潤することができる。
このように、本発明処理剤は石綿繊維層に対する浸透性に優れているため、石綿の塗工密度の大きい部分と小さい部分とがあっても、層全体に亘って均一に処理剤を浸透させることが可能となる。その結果、繊維層全体に亘って繊維相互を接合し、繊維を結束することができ、石綿繊維の飛散防止を確実に図ることができる効果がある。
【0022】
本発明の処理剤において、無機質コロイド分散液における無機質粒子の含有量を3重量%〜35重量%としたので、十分な繊維結束能を保有しつつ、浸透性に優れたものとすることができる。
【0023】
本発明の処理剤において、無機質コロイド分散液を構成する無機質粒子の粒子径を、2nm〜100nmとしたので、処理剤が石綿繊維に付着したときの石綿繊維に対する接着力に優れ、石綿繊維相互を接合して結束する力が大きい。
【0024】
石綿繊維に付着した本発明の処理剤は、乾燥により硬質の被膜を形成するので、石綿繊維層を確実に固定化でき、無害化できる。従って、除去した石綿の廃棄処理に当っても、石綿繊維の飛散を起こす虞はなく、作業の安全を確保できる。
【0025】
乾燥により形成される硬質被膜は、耐水性、耐薬品性、耐熱性、耐候性に優れており、従って、封じ込め処理を行った後も物性に優れた壁面を形成できる。
【0026】
本発明の石綿繊維飛散防止方法によれば、石綿繊維の飛散を確実に防止でき、また作業者に対する石綿繊維の曝露の虞もなく、安全な作業環境を確保できる。本発明方法は、浸透性に優れた処理剤を用いて行うので、処理能率に優れ、作業コストを低減できる効果がある。
【0027】
本発明の石綿繊維層除去方法によれば、本発明処理剤が石綿繊維層の奥深くまで均一に浸透して石綿繊維相互を接合した状態で、石綿繊維層の剥離、脱落を行わせるため、脱落した石綿繊維塊状物が床面に落下した際に石綿繊維が飛散する虞がなく、作業上安全であり、且つ周囲の環境汚染を防止できる効果がある。
【0028】
本発明処理剤を吹き付けて石綿繊維の封じ込め作業を行う場合、或いは石綿繊維層の除去作業を行う場合において、予め作業空間内に前記処理剤を濃霧状に噴霧し、飛散している石綿繊維を湿潤させて石綿繊維を非飛散状態とさせることにより、作業者による石綿繊維曝露の危険性を解消でき、作業環境を安全なものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の石綿繊維飛散防止処理剤は、無機質粒子を水に分散させた無機質コロイド分散液からなる。無機質コロイド分散液は、ナノサイズの微小無機質粒子をコロイド状に水に分散させてなるもので、無機質粒子の粒子径としては、2nm〜100nmが好ましい。粒子径が2nm未満では、処理剤としての作用を十分に発揮できず、また粒子径が100nmを超えると石綿繊維相互を接合する繊維結束能が得られない。本発明において、石綿繊維層内に浸透し、石綿繊維相互を接合する繊維結束能を得るためには、無機質粒子の粒子径が2nm〜100nmである必要がある。
本発明における繊維結束能とは、石綿繊維に付着した処理剤が、石綿繊維の飛散を防止できる程度に繊維相互を接合し、結束することができる能力をいう。
【0030】
世界保健機関(WHO)が定義する有害なアスベスト(石綿)繊維とは、長さが5μm以上、幅が3μm未満、アスペクト比が3以上とされている。本発明の処理剤は、石綿繊維層内に浸透し、石綿繊維に付着して繊維を被覆し、石綿繊維被覆体を形成する。
一般に、石綿繊維層に何らかの外力が及ぼされた場合、石綿繊維が石綿繊維層から脱離して空中に飛散し、また、石綿施工面からの石綿繊維層除去作業時に、石綿繊維塊状物が剥離落下した際にも同様に、微細な石綿繊維が空中に飛散して、周囲環境を汚染する。
本発明によれば、本発明処理剤が石綿繊維に付着して石綿繊維被覆体を形成するが、この石綿繊維被覆体は、微細な石綿繊維に比べて外径寸法が大きく且つ質量が増加すると共に、結束された状態にあるので、石綿繊維被覆体は空中に飛散することなく床面に落下する。その結果、周囲環境の汚染は防止される。
このような石綿繊維被覆体を形成するためには、本発明処理剤が石綿繊維に対し、十分な接着力を持つ必要がある。石綿繊維に対し、十分な接着力を持たせるために、本発明の処理剤において無機質粒子の粒子径が2nm〜100nmである必要がある。
【0031】
無機質粒子として、コロイダルシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾルが挙げられ、それらのうちの1種を用いても或いはそれらの2種以上の混合物を用いてもよい。本発明における無機質粒子は、石綿繊維が含有するアルカリ土類等の多価金属イオンと反応し、石綿繊維層内においてゲル化を起こす。また、乾燥によりコロイド粒子が接近し、相互に重なり合って乾燥ゲルを形成する。生成したゲルは、乾燥が進むことによって固化し、石綿繊維を被覆する硬質の被覆層を形成する。
【0032】
本発明において、無機質粒子としてコロイダルシリカが好適に用いられる。本発明におけるコロイダルシリカは、二酸化珪素を主成分とし、その他の成分として、アルカリ金属イオン(リチウム、ナトリウム、カリウム)の酸化物を含有する。
【0033】
本発明において、無機質コロイド分散液における無機質粒子の含有量が3重量%〜35重量%となるように、分散質(溶質)である無機質粒子を水に分散させる。3重量%未満では、石綿繊維に対する繊維結束能が不十分となり、また35重量%を超えると、石綿繊維層に対する浸透性が低下する。石綿繊維層に対する浸透性を最適なものとするため、上記含有量は3重量%〜20重量%が好ましく、また、浸透性を向上しつつ、十分な繊維結束能を得ることを考慮すると、4重量%〜15重量%が更に好ましい。
【0034】
本発明処理剤の粘度は極めて低く、フローカップ法による流下時間が30秒以下である粘度を有する。本発明において、フローカップ法による流下時間は、処理剤の温度を23℃に設定したときの測定値である。ここでフローカップ法とは、JIS K 5600−2−2に規定された粘度測定法を指す。この粘度測定法は、試験液の温度を23℃に設定し、フローカップの下に受け容器を置き、フローカップのオリフィスを指で押さえて試験液をフローカップに注ぎ、指をオリフィスから離して試験液を流下せしめ、試験液がオリフィスから流下し始めた瞬間から、流れが最初に切れる瞬間までの時間を流下時間として測定する。
【0035】
本発明における無機質コロイド分散液は、それ自体が低粘度であり、フローカップ法による流下時間が15秒〜30秒という粘度を示す。
本発明は、以下に述べるような界面活性剤を処理剤に添加することができ、界面活性剤の添加により、本発明処理剤の粘度を調整することができる。
本発明処理剤の粘度は、フローカップ法による流下時間が5秒〜30秒という数値を示すものが好ましい。
【0036】
本発明処理剤に添加される界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられ、これらは無機質コロイド分散液におけるコロイド粒子(無機質粒子)の安定性に悪影響を与えないという点から好ましい。
界面活性剤の添加量は、固形分換算で0.01重量%〜0.2重量%である。0.01重量%未満では処理剤の粘度低下の効果がなく、0.2重量%を超えると処理剤の繊維結束能を低下させる虞がある。本発明において、界面活性剤の好ましい添加量は、0.01重量%〜0.10重量%である。
【0037】
本発明処理剤に界面活性剤を0.01重量%〜0.10重量%添加することにより、フローカップ法による流下時間が8秒〜22秒という粘度を示す。この粘度は、清水の粘度(23℃におけるフローカップ法による流下時間が20.4秒)と略同等か、或いはそれより小さい値を示す。
【0038】
本発明において用いられるノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル等が挙げられる。
また、本発明において用いられるアニオン系界面活性剤としては、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩等が挙げられる。
【0039】
本発明の処理剤は、石綿施工面に吹き付けて石綿繊維を固定化する封じ込め処理にも、或いは石綿施工面に吹き付けながら石綿を剥離除去する除去処理にもいずれにも適用できる。
また、石綿繊維層が石綿施工材料を建物躯体の天井、壁面等に吹き付けることにより形成されている場合や、予めボード形成材料内に石綿繊維を混入してボードを製作し、このボードを建物躯体に取り付けて石綿施工面とすることにより形成されている場合のいずれにおいても、本発明の処理剤を適用することができる。
本発明はもとより建物躯体に形成される石綿施工面への適用に限定されるものではなく、他の態様、例えば、電気製品、自動車等における石綿施工面への適用も可能であるが、以下、建物躯体に形成された石綿施工面への適用を例にとり説明する。
【0040】
本発明の処理剤を石綿施工面に吹き付けるに当っては、作業現場から外部への石綿の飛散を防止するため、石綿施工面を除いて作業空間をシートで養生する。また、作業現場の出入り口にクリーンルームを設置し、このクリーンルームを通って作業現場へ出入りするようにする。
作業者は全身を防護服で覆い、作業者の石綿による曝露を防止する。
【0041】
本発明処理剤は、pH9〜11に調整される。石綿施工面に本発明処理剤を吹き付けるに当たり、予め作業空間内に本発明処理剤を噴霧して、濃霧状の液滴を浮遊させる。この噴霧作業にはスプレーガン及びコンプレッサーが用いられる。スプレーガンのノズル口径は、0.7mmφ〜1.2mmφが好ましく、またコンプレッサーの圧力は、0.1Mpa〜10Mpaが好ましい。
噴霧により発生した濃霧状の液滴の粒子径は、10μm〜100μmであり、作業空間に飛散している石綿繊維(長さが5μm以上、幅が3μm以下)に液滴が付着して石綿繊維が液滴により被覆されることにより、質量が重くなり床面に落下する。また石綿繊維は、液滴に吸収されて床面に落下する。これにより、石綿繊維を非飛散状態とさせることができるため、作業者による石綿繊維曝露の危険性が解消される。
【0042】
濃霧状の液滴を作業空間内に充満させた後、本発明処理剤を石綿施工面に直接、吹き付ける。石綿の封じ込め処理を行うためには、スプレーガンのノズル口径及びコンプレッサーの圧力を調整する。スプレーガンのノズル口径は、1.2mmφ〜2mmφとし、またコンプレッサーの圧力は、0.4Mpa〜4.0Mpaに設定する。
ノズルからの吐出量は、0.4リットル/分〜4.0リットル/分が好ましい。
同様に、一般塗装用のエアレススプレーも好適に使用される。
【0043】
スプレーガンより吹き付けられた本発明処理剤は石綿繊維に付着して石綿繊維層の表面のみならず内部を一様に湿潤する。本発明処理剤はフローカップ法による流下時間が30秒以下という低粘度であるから、石綿繊維層に対する濡れ性がよく、浸透性に優れており、浸透する処理剤は石綿繊維層の厚み方向の最奥部まで達して、石綿繊維層の隅々まで濡らす。
また、本発明処理剤の無機質粒子は2nm〜100nmという微細な粒子径を有するので、石綿繊維に対する接着力に優れ、石綿繊維層表面の繊維に付着した処理剤及び石綿繊維層内部に浸透して石綿繊維に付着した処理剤は、石綿繊維相互を接合し、この接合力により石綿繊維相互を結束する。
【0044】
石綿繊維に付着した処理剤は、乾燥により乾燥ゲルを生成し、更に乾燥が進むと固化して硬質の被膜層を形成する。この硬質被膜層の形成により、石綿繊維相互は一段と強固に結束し、固定化される。
【0045】
図1A〜図1Cは、このような繊維結束機構を説明する模式図である。
図1Aにおいて、1a、1bは石綿繊維を示す。石綿繊維1a、1bの長さは一般に5μm〜20μmである。この石綿繊維1a、1bに本発明処理剤2が付着すると、図1Bに示すように、石綿繊維1a、1bはその周囲が処理剤2の無機質コロイド分散液によって湿潤され、被覆される。処理剤2は、石綿繊維1a、1bに対する浸透力に優れ、この湿潤状態において石綿繊維1a、1b相互を接合して結束する繊維結束能を発揮する。このように、石綿繊維1a、1bは処理剤2によって相互に接着されるので、最早、単独で遊離することは不可能となり、周囲への飛散が防止される。
【0046】
石綿繊維1a、1b相互を結束している処理剤2は、石綿繊維1a、1bが含有するアルカリ土類金属イオンとの反応及び乾燥により乾燥ゲルを生成し、更に乾燥が進むと固化して図1Cに示すように、硬質の被膜層3を形成する。処理剤2の無機質コロイド分散液における無機質粒子がコロイダルシリカである場合、被膜層3は、ガラス質の硬い薄膜として形成される。
【0047】
図2A、図2Bは、石綿繊維の処理前後の状態を示す位相差顕微鏡写真(倍率5000倍)を示すもので、図2Aは処理前の状態を示し、図2Bは処理後の状態を示す。図2Bによれば、石綿繊維が処理剤の硬質被膜によって完全に被覆されている様子が判る。
【0048】
図1A〜図1Cの模式図を用いた説明からも理解されるように、石綿繊維層を構成する繊維群は、繊維間隙内に浸透し付着した処理剤により三次元的に接合され、繊維同士が三次元網状構造的に結束された繊維結束体を形成する。
【0049】
この繊維結束体の様子は図3Bに示されている。図3A、図3Bは、石綿繊維層の処理前後の状態を示す走査型電子顕微鏡写真(倍率500倍)を示すもので、図3Aは処理前の状態を示し、図3Bは処理後の状態を示す。図3Bによれば、繊維間隙内に充填された処理剤が繊維を被覆し、処理剤の乾燥によって形成された硬質被膜によって繊維層全体が固く結束されている様子が判る。
【0050】
上記の如く、石綿繊維層は表面及び内部の全体に亘って、本発明処理剤によって湿潤され、処理剤の乾燥によって繊維層全体が硬い被膜で被覆され、固定化される。本発明処理剤は粘度が低く(清水の粘度と同等程度若しくはそれ以下)浸透性に優れるため、吹き付け処理の際、石綿施工面における建物躯体の壁部にまで到達し、それにより石綿繊維層と壁部との結合が行われる。従って、本発明処理剤により、石綿繊維相互の結合及び石綿繊維層と壁部との結合が行われる。
【0051】
このように、本発明処理剤を用いて吹き付け処理を施すことにより、石綿繊維層は固定化され、繊維の飛散を確実に防止することができる。従って、本発明の封じ込め処理によって、石綿繊維の曝露を防止し、安全な環境整備を実現でき、石綿による健康被害の問題を解消できる。
【0052】
石綿繊維層の除去処理を行う場合にも、事前に作業空間内に本発明処理剤を噴霧して、濃霧状の液滴を浮遊させる。この噴霧作業に用いるスプレーガンのノズル口径や、コンプレッサーの圧力は、前述した封じ込め処理の際の噴霧処理の場合と同様である。
濃霧状の液滴を作業空間内に充満させた後、本発明処理剤を石綿施工面に高圧で吹き付ける。ここで用いるスプレーガンとパイプラインは高圧用のものを採用し、スプレーガンのノズルとしては、噴射角度の狭い扇型ノズル又は直進ノズルを用いる。スプレーガンのノズル口径は、1mmφ〜1.8mmφとし、またコンプレッサーの圧力は、5Mpa〜20Mpaに設定する。
【0053】
この除去作業においては、石綿施工面に対して至近距離から高圧スプレーガンによる噴射を行う。その噴射距離は、剥離作業の効率の面から、10cm〜80cmが好ましく、15cm〜50cmが最も好ましい。ノズルからの吐出量は、1.0リットル/分〜6.0リットル/分が好ましい。
【0054】
石綿施工面に高圧噴射される本発明処理剤は、石綿繊維層の表面を湿潤すると共に、内部に浸透して繊維層内部を湿潤し、その接着力で繊維相互を接合し、結束する。
石綿繊維層は、この繊維結束状態において、高圧噴射により及ぼされる噴射流体の打力により物理的に破壊し、石綿施工面より剥離する。即ち、繊維層内で層間剥離するか、或いは建物躯体壁面との間で剥離する。石綿繊維層の表面のみでなく、建物躯体壁面との境目や石綿繊維層の側面にも処理剤を噴射することにより、繊維層の剥離を効率よく行うことができる。
【0055】
石綿繊維層は、湿潤状態及び繊維結束状態において剥離されるので、剥離の際、石綿繊維の飛散は起こらず、作業者が石綿繊維により曝露される危険はない。
また、剥離した石綿繊維の塊が床面に落下したときも同様に、石綿繊維の飛散は起こらず、作業上、安全である。
石綿施工面より剥離して落下し床に堆積した石綿は、湿潤状態において撤去されるので、撤去作業中も石綿繊維の飛散は起こらず、安全である。処理剤の乾燥後は、石綿は硬質被膜により三次元的に被覆されて固定化されるので、廃棄処理作業を安全に行うことができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を示す。
実施例1
コロイダルシリカを水に分散させ、コロイダルシリカの含有量が35重量%であるコロイダルシリカ分散液(コロイド分散液(A)という)及びコロイダルシリカの含有量が10重量%であるコロイダルシリカ分散液(コロイド分散液(B)という)を調製した。これらのコロイダルシリカ分散液(本発明処理剤)について、JIS k 5600−2−2に規定されたフローカップ法により、粘度を測定した。試験液の温度を23℃に設定し、オリフィス径3mmのフローカップを用いて測定した。
比較のため、清水についても同様の方法により粘度を測定した。
【0057】
その結果、コロイド分散液(A)、コロイド分散液(B)、清水の流下時間はそれぞれ、28.9秒、20.8秒、20.4秒であった。コロイド分散液(A)は清水より高い粘度を示すが、コロイド分散液(B)は清水と同等の粘度を示し、極めて低粘度のものが得られていることが判明した。
【0058】
実施例2
コロイダルシリカを水に分散させ、コロイダルシリカの含有量が10重量%であるコロイダルシリカ分散液(コロイド分散液(B))(本発明処理剤)を調製し、このコロイド分散液(B)の液滴重量を懸滴法(ペンダントドロップ法)により測定した。即ち、コロイド分散液(B)を20ccの自動ビューレットに注入し、先端部から100滴を時計皿に滴下し、その重量を化学天秤で精秤した。清水についても同様な方法により液滴重量を測定した。
【0059】
また、コロイダルシリカ分散液(B)に対して、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン系界面活性剤)を0.01重量%から0.10重量%までの添加量で、次第にその添加量を増やすようにして添加し、上記と同様な方法により液滴重量を測定し、界面活性剤の添加量の増加に伴って、液性特性がどのように変化するかについて実験した。
【0060】
コロイド分散液(B)、清水の液滴重量は、それぞれ6.0g、5.80gであり、コロイド分散液(B)は清水に比べ3%程度高い液滴重量を示した。これは、コロイド分散液(B)は、清水よりも粘度が高いことを示している。

コロイド分散液(B)に対してポリオキシエチレンアルキルエーテルを0.01重量%添加した液滴重量は、4.6gであり、清水よりも低い粘度を示している。界面活性剤の添加量が増加するにつれて液滴重量も次第に低下し、その添加量が0.03重量%の場合には清水の液滴重量の約44%減となる。このことは、清水に比べ粘度が50%程度減少することを意味する。添加量が0.05重量%を過ぎると、液滴重量の減少度合いはほぼ横ばいとなった。尚、添加量は固形分換算値である。
【0061】
同様に、孔径が1.6〜1.8mmガラス製毛細管による毛管上昇法による粘性係数の簡易測定においても極めて近似した結果が得られ、表面張力の調整が界面活性剤によって可能であることが明らかとなった。
【0062】
実施例3
吹き付け石綿層から無作為に石綿小塊を20個分取し、そのうち10個を試料1とし、残りの10個を試料2とした。試料1、試料2のそれぞれを10日間室内に放置して風乾した後、それぞれの重量を測定し、平均重量を求めた。その結果は次の通りである。

試料1の平均重量(石綿小塊10個の平均重量):5.3g
試料2の平均重量(石綿小塊10個の平均重量):6.2g
【0063】
コロイダルシリカを水に分散させたコロイダルシリカ分散液(コロイダルシリカの含有量:10重量%)を調製し、この分散液(コロイド分散液(B))(本発明処理剤)1000mlをビーカーに入れ、液温を23℃に調整した。このコロイド分散液(B)内に試料1を浸漬し、一昼夜放置し完全に飽水したことを確認した後、試料1を取り出して濾紙上に3時間放置して余剰水を乾燥除去し、化学天秤でそれぞれの重量を計測し、平均重量を求めた。
このときの平均重量を「100重量%」としたとき、その後の経時的な乾燥により、どのような重量減少を示すかを測定した。この測定方法として、試料を室内に放置し、毎日10時に試料の重量を測定して平均重量を求め、重量減少の割合から、試料の平均重量を「重量%」(測定開始時の試料の平均重量を100重量%としたときの相対値)として算出した。結果を図4に示す。
【0064】
比較のため、23℃に調整した清水1000mlを用い、同様に清水中に試料2を浸漬し、飽水させた後、同様に乾燥させてから重量を計測し、平均重量を求めた。
このときの平均重量を「100重量%」としたときの、その後の経時的な乾燥による重量減少を上記方法と同様な方法により測定した。結果を図4に示す。
【0065】
同図に示すように、清水で湿潤処理した試料2は乾燥による重量減少速度が大きく、測定開始後4日で恒量に達した。これに対し、コロイド分散液(B)で湿潤処理した試料1は乾燥による重量減少速度が小さく、恒量に達するには14日以上が必要であることが明らかになった。
このことは、コロイド分散液(B)で湿潤処理した試料1においては、長期間湿潤状態が維持されていることを意味している。これによれば、本発明処理剤は石綿繊維飛散防止機能に優れていることが裏付けられる。
【0066】

試料1の平均重量(石綿小塊10個の平均重量):5.6g
試料2の平均重量(石綿小塊10個の平均重量):6.2g

上記によれば、湿潤処理前の平均重量に比較して、試料1の場合は平均重量が5.5重量%増加していることが判明した。このことから、試料1の場合は、コロイド分散液の繊維への付着により繊維を被覆する被膜が形成されていることが確認された。
これに対し、試料2の場合は湿潤処理前の平均重量に比較して、平均重量の変化はほとんど認められなかった。
【0067】
実施例4
厚さ12mmの日本農林規格に定める合板(コンクリート型枠用合板1類)の周辺に、40mm×30mm×470mmの木枠を取り付けて型枠を作り、この型枠における木枠で取り囲まれた空間に疑似石綿を厚さが40mmになるように吹き付け、疑似石綿層を形成し、次いで、周囲の木枠を取り除き、これを試験体とした。
疑似石綿の組成は、ロックウール35重量%、ポルトランドセメント15重量%及び水50重量%からなる。
【0068】
コロイダルシリカを水に分散させたコロイダルシリカ分散液(コロイダルシリカの含有量:10重量%)を調製し、この分散液(コロイド分散液(B))(本発明処理剤)を、エアレススプレーを用いて試験体の疑似石綿層に15分間の間隔をあけて2回吹き付けた。吹き付け量は平均値で2.8Kg/mとした。
上記の如くコロイド分散液(B)を吹き付けた試験体について、エアーエロージョン試験及び付着強度試験を行った。
【0069】
エアーエロージョン試験(国土交通省告示第1168号に準拠):
コロイド分散液(B)を吹き付けた試験体を60℃±3℃、相対湿度95%±5%の環境下に16時間放置し、その後直ちに60℃±3℃の環境下で乾燥を8時間行う過程を10回繰り返した。このような、乾湿繰返し処理を行ったものと、それを行わないものとについて、エアーエロージョン試験を行った。
【0070】
エアーエロージョン試験は次の方法により行った。
拡散角度90度のノズルを備えた空気噴出し装置内に試験体を設置し、ノズルから圧力差98Kpaの空気を吹き出し、空気を15cm離れた位置から試験体に均一に吹き付け、装置内の空気を径25mmのメンブランフィルターで、毎分1.5リットルずつ、60分間採取し、採取された空気中の繊維の本数を、位相差顕微鏡を用いてJIS K 3850−1の測定方法により測定した。結果を表1に示す。
【0071】
(表1)

【0072】
前記試験において、採取された繊維の本数が10以下であれば、合格点である。表1に示す試験結果によれば、本発明処理剤を吹き付けた試験体は、いずれも採取繊維の本数が10以下であり、合格点を示している。
【0073】
付着強度試験(国土交通省告示第1168号に準拠):
コロイド分散液(B)を吹き付けた試験体の中央付近に10cm四方の鋼板を無溶剤型の2液形エポキシ接着剤で接着させ、重量1kgのおもりを載せて24時間静置する。
その後、鋼板の周囲に沿ってカッターで20mmまで切り込みを入れ、これを試験面の鉛直方向に毎分1mmの速度で引張力を加え試験体の疑似石綿層が破断したときの破断応力を測定し、付着強度(N/cm)を求めた。また、そのときの破断深さを測定した。
比較のため、コロイド分散液(B)を吹き付けず、石綿飛散防止剤吹付け処理を行わなかった試験体についても、上記と同様な付着強度試験を行った。結果を表2に示す。
【0074】
(表2)


【0075】
表2中、無処理とは、石綿飛散防止剤吹付け処理を行わなかったものを示す。同表に示すように、本発明処理剤を吹き付けた試験体は付着強度が大きい。このことは、本発明処理剤を吹き付けることにより繊維相互が結合し、結束されることを意味している。
また本発明処理剤を吹き付けた試験体は破断深さの数値も大きい。破断深さの数値が大きいということは、表面層付近では破断しないことを示しており、このことから、繊維層の奥深くまで繊維が結束されていることが裏付けられている。
上記のエアーエロージョン試験及び付着強度試験により、本発明処理剤は、石綿飛散防止剤に適合する品質性能を備えていることが証明された。
【0076】
実施例5
実施例4と同様の方法により、疑似石綿層を形成した試験体を作り、この試験体の疑似石綿層にコロイド分散液(B)を高圧噴射により吹き付けた。このときの噴射流体の打力
による疑似石綿層の切断性及び剥離性について試験を行った。
【0077】
使用したノズルは直流タイプの口径1.2mmφを備えるもので、噴射量が5リットル/分、圧縮空気圧が10Mpaで、厚さ40mmの疑似石綿層を噴射流体の打力により切断した場合、一分間に換算して切断距離が3.5mという切断能力を示すことが確認された。尚、切断された溝幅は約15mm程度であった。また、圧縮空気圧が5Mpa以下になると一分間における切断距離は、30cm〜50cmであった。
上記結果より、直流タイプの口径1.2mmφのノズルを用い、噴射量を5リットル/分、圧縮空気圧を10Mpa以上にすれば、耐振動性を考慮した石綿層硬質部に対して、切断及び剥離を良好に行えることが判明した。
【0078】
また、石綿層軟質部又は厚みが4cm未満の石綿層に対しては、ノズルとして、噴射角度が12°〜15°の扇形タイプのものを用いて、噴射量を5リットル/分、 圧縮空気圧を10Mpaとすると、0.8m/分の石綿層の剥離を行うことができると共に、洗浄性も良好であることが確認された。
更に、圧縮空気圧は、8Mpa以上が好適であることも確認された。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】(A)は、石綿繊維を示す模式図であり、(B)は、石綿繊維に本発明処理剤が付着して繊維を湿潤し、繊維相互を接合、結束している状態を示す模式図であり、(C)は、石綿繊維相互を結束している本発明処理剤が乾燥して硬質被膜を形成し、この硬質被膜により石綿繊維が固定化されている状態を示す模式図である。
【図2】(A)は、本発明処理剤による飛散防止処理を施す前の石綿繊維を示す位相差顕微鏡写真であり、(B)は、本発明処理剤による飛散防止処理を施した後の石綿繊維を示す位相差顕微鏡写真である。
【図3】(A)は、本発明処理剤による飛散防止処理を施す前の石綿繊維層を示す走査型顕微鏡写真であり、(B)は、本発明処理剤による飛散防止処理を施した後の石綿繊維層を示す走査型顕微鏡写真である。
【図4】湿潤した石綿層の乾燥挙動を示すグラフである。
【符号の説明】
【0080】
1a 石綿繊維
1b 石綿繊維
2 本発明処理剤
3 被膜層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機質粒子を水に分散させた無機質コロイド分散液からなり、フローカップ法による流下時間が30秒以下である粘度を有し、石綿繊維に付着して石綿繊維相互を接合する繊維結束能を有することを特徴とする石綿繊維飛散防止処理剤。
【請求項2】
無機質コロイド分散液における無機質粒子の含有量が、3重量%〜35重量%である請求項1記載の石綿繊維飛散防止処理剤。
【請求項3】
無機質粒子の粒子径が2nm〜100nmである請求項1又は2記載の石綿繊維飛散防止処理剤。
【請求項4】
ノニオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤を添加してなる請求項1〜3のいずれかに記載の石綿繊維飛散防止処理剤。
【請求項5】
無機質粒子がコロイダルシリカ、アルミナゾル、ジルコニアゾルのうちの1種又はそれらの2種以上の混合物からなる請求項1〜4のいずれかに記載の石綿繊維飛散防止処理剤。
【請求項6】
請求項1記載の石綿繊維飛散防止処理剤を石綿施工面に吹き付けて、前記処理剤により石綿繊維を湿潤させるとともに、石綿繊維層内に前記処理剤を浸透させて石綿繊維相互を接合するようにしたことを特徴とする石綿繊維飛散防止方法。
【請求項7】
石綿施工面に請求項1記載の石綿繊維飛散防止処理剤を吹き付けるに当たり、予め作業空間内に前記処理剤を濃霧状に噴霧し、飛散している石綿繊維を湿潤させて石綿繊維を非飛散状態とさせる請求項6記載の石綿繊維飛散防止方法。
【請求項8】
請求項1記載の石綿繊維飛散防止処理剤を石綿施工面に高圧噴射により吹き付けて、前記処理剤により石綿繊維を湿潤させ、石綿繊維層内に前記処理剤を浸透させて石綿繊維相互を接合すると共に、噴射流体の打力により石綿繊維層を石綿施工面より剥離除去するようにしたことを特徴とする石綿繊維層除去方法。
【請求項9】
石綿施工面に請求項1記載の石綿繊維飛散防止処理剤を高圧噴射により吹き付けるに当たり、予め作業空間内に前記処理剤を濃霧状に噴霧し、飛散している石綿繊維を湿潤させて石綿繊維を非飛散状態とさせる請求項8記載の石綿繊維層除去方法。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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