説明

砂粒を満たした香炉に装着する線香の燃え残り除去ストレーナー

【課題】 従来、香炉内の灰や砂・ビーズ等の中に線香の燃え残りが溜まると、ストレーナーに空けて篩落としたり、水で洗い出す等してから、香炉に入れ戻していた。この一連の作業において、微細軽量な灰はすぐにストレーナの網目を塞いで目詰まりを起こす上、飛散して周囲を汚すことも多かった。また、砂やビーズを洗うと、再度乾燥するまで香炉に戻して使えない難点があった。
【解決手段】 碗型形状の金網よりなるストレーナー本体の上端部外周部に取っ手となるツバを設ける。これを乾燥珪砂等の小粒状体を満たした香炉または香炉に収めた容器にねじ入れると、ストレーナー内に、網目を通って珪砂等が流入し、そこに線香を立てる環境が整う。線香の燃え残りを除去するには、ツバを持ってゆっくり真上に引き上げれば、珪砂等は自重で網目より香炉内に落ちるので、線香の燃え残りだけを取り出せ、周囲を汚すことも殆どない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灰の代わりに乾燥珪砂等の小粒状体を満たした香炉または香炉に収めた容器に装着し、周囲を汚すことなく且つ容易に線香の燃え残り除去が行えるストレーナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、香炉の灰中に溜まった線香の燃え残りを取り除くにあたっては、小さな金網で少しずつ掬い上げたり、ストレーナーに空けて紙や器の上等に篩落とす方法等が一般的であった。また、灰に代えて砂やビーズ等の小粒状体を香炉に入れている場合には、やはりストレーナーに空けて漉し取る他に、線香の燃え灰と一緒に水で洗い出す方法等が一般的であった。なお、特許文献1に示すように、円筒容器の上縁外周囲に巾のある灰受けツバを、底面に金網製の灰篩網を設けた線香立てが存在した。
【0003】
以下、図2、図3、図5により特許文献1の灰受けつば及び灰篩網付き線香立てについて説明する。図2において、1は灰を入れる筒で、2は筒上縁外周に設けた灰受けつば、3は筒内底面に設けた金網目、4は底フタである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3072115号(図2、図3、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に述べた従来の用具や方法には、次のような欠点があった。
【0006】
そもそも灰は、極微細で軽量な粉末であるため、香炉の灰中に溜まった線香の燃え残りを取り除くにあたり、小さな金網で掬い上げたりストレーナーに掛けて紙や器の上等に篩落とそうとすると、無数の灰粉末が集合体となってすぐに金網やストレーナーの網目を塞ぎ、目詰まりを起こしてしまう。よって、濾し終えるまで絶えず網をゆすったりストレーナーの側面を叩いたりする手間暇がかかる上、こうした作業中や漉し終えた灰を再度香炉に戻す際に、灰が飛び散ったりこぼれたりして、周囲を汚してしまうことも多かった。
【0007】
灰に代え、砂やビーズ等の小粒状体を使用している場合も、線香の燃え残りを取り除くにあたり、ストレーナーに空けて紙や器の上に篩落とす際や掃除後に香炉に入れ戻す際に、線香の燃え灰が周囲に飛散したり、また、水で線香の燃え灰と共に洗い出す方法では、砂やビーズまで水に流してしまったり、水に濡らした砂やビーズは再度乾燥するまで香炉に戻せず使用できない等の難点があった。
【0008】
なお、線香の燃え残り除去時の灰の飛散を防ぐ密閉式の漉し器等も市販されているが、小さな仏壇では、こうした嵩張る用具を置く場所や収納するスペースがないと言う問題があった。
【0009】
特許文献1の灰受けつば及び灰篩網付き線香立ては、上部に設けた巾のある灰受けツバ2により、確かに線香から落ちる燃え灰は受け止めることはできる。しかし、線香の燃え残りが混ざった筒1内の灰は、図5に示されたように底面に設けた金網目3より、下に敷いた紙等の上に篩出す仕組みなので、前述の通り、極微細で軽量な灰はすぐに集合体となって金網目3を塞いでしまうため、漉し終えるまで絶えず筒1をゆすったりその側面をたたく等の手間がかかり、その際に灰が飛散し周囲を汚しやすい、と言った問題点はなんら解消されていない。
【0010】
本発明は、以上のような欠点を解決すべく、置き場所や収納スペースに困らないように常時香炉に装着でき、紙や器等の上に篩落としたり水で洗う等の手間を掛けず、且つ周囲を殆ど汚すことなく、線香の燃え残りを除去することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーを装着する香炉には、前提として、湿気易く微細で軽量な灰に代え、湿気にくく線香を立て易く且つ保持するのに適当な比重と硬度を併せ持つ粒度0.1〜0.6mm程度の乾燥珪砂等の小粒状体を満たす。
【0012】
さて、本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーの構成は以下の通りである。すなわち、網目幅2〜3mm程度の金網よりなる碗状形体のストレーナー本体の上端部外周囲に、持ち手となるツバを取り付ける。ストレーナー本体の径と深さは、装着対象とする香炉内に収まる範囲とするが、ツバの外周径は、装着対象とする香炉の開口部外周囲径と同等以上の大きさとする。
【0013】
なお、ストレーナー本体である碗状形体部とその上端部外周囲に設ける持ち手となるツバ部を一体成型し、碗状形体部に前述の金網の網目と同様な大きさのパンチング孔を多数空けてもよい。
【0014】
本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーは以上の様な構造であるから、これを、前述の乾燥珪砂等の小粒状体を満たした香炉に装着するには、ストレーナー本体上端部に設けたツバの外周部を持って軽く左右にひねりながら、碗状形体のストレーナー本体を、香炉に満たされた乾燥珪砂等の小粒状体中にねじ込んでいく。すると、硬度の高い粒度0.1〜0.6mm程の乾燥珪砂等の小粒状体は、灰の様に押しつぶされることなく、網目幅2〜3mm程の網目を難なく通り抜けてストレーナー内に入り込み、ツバ裏が香炉の開口部上端に接する装着完了時点までには、ストレーナー本体内部には、線香を立て保持するに必要十分な量の珪砂等の小粒状体が流入し、そこに線香を立てる環境が整う。
【0015】
また、持ち手となるツバの外周径が、装着対象とする香炉の開口部外寸径と同等以上の大きさであるため、掴み易く、またストレーナー本体を珪砂等の中にねじ込む際に、回転半径に比例した大きいなトルクが得られるので、非力な人でも無理なく装着出来る。
【0016】
さて、ストレーナー内の乾燥珪砂等の小粒状体中に溜まった線香の燃え残りを除去するには、ツバの外周部を掴んで真上にゆっくりと引き上げさえすれば良い。すなわち、ストレーナー内の細かな乾燥珪砂等の小粒状体は、ゆすったり叩いたりしなくても、自重でサラサラと網目より香炉内へ流れ落ちてしまうので、ストレーナー中には、2〜3mmの網目幅を容易には通過できない線香の燃え残りだけが残るためである。
【0017】
なお、香炉には胴中央部を大きく膨らませた形状のものが多く見受けられるが、こうした形状の香炉に直接珪砂等を満たすとなると、珪砂等の使用量が増え、重く扱いにくくなる。このような場合には、香炉内に収まる円筒または多角形の容器を用意し、これに珪砂等を満たすようにすれば、使用する珪砂等の量を大幅に削減し、香炉総重量を抑えることができる。なお、本容器の上端外周部に、ストレーナー同様、装着する香炉の開口部外寸径より大きなツバを設けておけば、香炉への着脱時に掴み易い。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーは、香炉または香器に常時装着しておけるので、小さな仏壇でも置き場所や収納スペースに困ることがない。
【0019】
また、灰に代え香炉に満たした粒度0.1〜0.6mm程の乾燥珪砂等の小粒状体は、湿気にくく適当な比重を持つので、湿気易く微細軽量な灰のようにすぐに集合体となって網目を塞ぐことない。よって、装着時には、ねじ入れた2〜3mmのストレーナーの網目よりスムーズにストレーナー内に流入する一方、ストレーナー内に溜まった線香の燃え残りを除去する際には、ゆっくりと真上に引き上げさえすれば、自重でサラサラとストレーナーの網目より香炉内へ流れ落ちので、ゆすったり叩いたりする必要がない。
【0020】
従って、これまでの線香の燃え残り除去時のように、香炉の中に入った灰や砂・ビーズ等を、篩に空けて紙上等に篩落としたり、密閉式の漉し器内で篩分けたり、或いは水で洗い乾燥させる等した後に、香炉に入れなおすと言った手間が要らず、周囲を汚す心配も殆どない。
【0021】
また、胴中央部を大きく膨らませた形状の大型香炉等には、ツバ付きの円筒形や多角形の容器を炉内に収め、これに珪砂等を満たすようにすれば、珪砂等の使用量を大幅に削減でき、また、砂の交換時やストレーナーの装着時には、重い香炉は仏壇に置いたまま、本容器とストレーナーだけを取り出して、楽に作業をすることも出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明の実施形態1と装着対象となる香炉との関係を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施形態2を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施形態1の使用例を示す斜視図である。
【図4】 本発明の実施形態1の使用例を示す斜視図である。
【図5】 本発明の実施形態1とツバ付き香炉用砂容器の併用例を示す斜視図である。
【図6】 本発明の実施形態1とツバ付き香炉用砂容器の併用例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーの装着対象とする香炉1は、一般家庭で使用する4.5寸モデル(外径約13cm)位までの大きさで、図に示したように、蓋がなく上部に大きな開口部2を設けた形状の、線香立て或いは前香炉等とも呼ばれるもので、前提として、同香炉1内には、灰に代え、湿気にくく適当な比重と高い硬度を併せ持つ粒度0.1〜0.6mm程度の乾燥珪砂等の小粒状体3を満たす。
【0024】
図1に示した通り、本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーは、碗状形体の金網よりなるストレーナー本体4の上端外周に、持ち手となるツバ5をしっかりと固定した構造となるが、図2に示した実施形態2のように、ストレーナー本体である碗状形体部とその上端部外周に設ける持ち手となるツバ部を一体成型し、碗状形体部に前述の金網の網目と同様な大きさのパンチング孔6を多数空けてもよい。なお、ストレーナー本体4及びツバ5の素材としては、不燃性で変形しにくく丈夫なステンレス等が好適である。
【0025】
本発明の線香の燃え残り除去ストレーナーを、乾燥珪砂等の小粒状体3を満たした香炉1に装着するには、ストレーナー本体4上端部に設けたツバ5の外周部を持って軽く左右にひねりながら、碗状形体のストレーナー本体4を、香炉1に満たされた乾燥珪砂等の小粒状体3中にねじ込んでいくが、硬度の高い粒度0.1〜0.6mm程の乾燥珪砂等の小粒状体3は、灰の様に押しつぶされることなく、網目幅2〜3mm程の金網をスムーズに通ってストレーナー本体4内に入り込む。よって、ツバ5裏が香炉1の開口部2上端に接する装着完了時点までには、図3のように、ストレーナー本体4内部に線香7を立て保持するに必要十分な量の珪砂等の小粒状体3が流入し、そこに線香7を立てる環境が整う。なお、ツバ5の外周径を、装着対象とする香炉1の開口部2外寸径と同等以上の大きさにしてあるため、着脱時に掴み易く、且つストレーナー本体4を珪砂等の小粒状体3中にねじ込む際に、その回転半径に比例した大きいなトルクが得られるので、非力な人でも無理なく装着出来る。
【0026】
なお、ストレーナー本体4内の乾燥珪砂等の小粒状体3中に溜まった線香の燃え残り8を取り出すには、図4に示すように、ツバ5の外周部を掴んで真上にゆっくりと引き上げさえすれば、ストレーナー本体4内の細かな乾燥珪砂等の小粒状体3は、ゆすったり叩いたりしなくても、自重でサラサラと網目より香炉1内へ流れ落ちてしまうので、ストレーナー本体4の中には線香の燃え残り8だけが残り、且つ周囲を汚す心配がない。数値上、太さ2mm前後の一般的な線香7がストレーナーの網目に対して垂直になった状態では、網目幅2〜3mmのストレーナーを通過してしまうが、実験の結果、短くなった線香の燃え残り8は、こぼれ落ちる砂粒等の影響を受け、殆どが大きく傾くため、実際にストレーナーを通り抜けることは稀であった。
【0027】
図5・6は、請求項3に記載したツバ付き香炉用砂容器の形状と使用例を示す斜視図及び部分断面図である。図に示したように、本ツバ付き香炉用砂容器9は、それ自体が香炉1内に収まり、且つ、中に線香の燃え残り除去ストレーナー本体4が収まる径と深さを有する円筒または多角形の器の上端部外周囲に、着脱時に掴み易いように、前記香炉の開口部2外寸径同等以上の大きさのツバを設けている。よって、本容器9を、胴中央部を大きく膨らませた形状の香炉1に装着し、これに珪砂等の小粒状体3を満たすようにすれば、直接香炉1に満たす場合に比べ、使用する珪砂等の小粒状体3の量を大幅に削減でき、且つ、砂の交換時や線香の燃え残り除去ストレーナーの装着時には、重い香炉1は仏壇に置いたまま、本ツバ付き香炉用砂容器9とストレーナーだけを取り出して、楽に作業をすることも出来る。
【符号の説明】
【0028】
1 香炉
2 開口部
3 乾燥珪砂等の小粒状体
4 ストレーナー本体
5 ツバ
6 パンチング孔
7 線香
8 線香の燃え残り
9 ツバ付き香炉用砂容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂粒大のものは難なく通すが線香の燃え残り大のものは容易に通さない網目幅を持つ丈夫な金網よりなり、装着対象とする香炉内に収まる径と深さを有する碗状形体のストレーナー本体の上端部外周囲に、前記香炉の開口部外寸径と同等以上の大きさの持ち手となる堅牢なツバをしっかりと固定した、乾燥珪砂等の小粒状体を満たした香炉に装着する線香の燃え残り除去ストレーナー。
【請求項2】
前記碗状形体のストレーナー本体部と前記持ち手となるツバ部を一体として形成し、前記碗状形体のストレーナー本体部には、前述の金網の網目と同等な大きさのパンチング孔を多数空けた請求項1記載の、乾燥珪砂等の小粒状体を満たした香炉に装着する線香の燃え残り除去ストレーナー。
【請求項3】
請求項1・2に記載の線香の燃え残り除去ストレーナーの装着対象とする香炉内に入り、且つ、その内側には前記線香の燃え残り除去ストレーナー本体を収めることができる径と深さ有する円筒または多角形の器で、その上端外周囲に、前記香炉の開口部外寸径と同等以上の大きさのツバを一体形成した、ツバ付き香炉用砂容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45345(P2012−45345A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203693(P2010−203693)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(597090804)