説明

研掃材回収装置

【課題】研掃材の回収工数が増大することのない研掃材回収装置を提供する。
【解決手段】底板21の下方に配置されたブラシ部30と、ブラシ部30の駆動源となるエアーモータ117と、真空エジェクター133に配管接続される吸引ノズル41とを備え、エアーモータ117の駆動力により回動するブラシ部30によって床面に堆積した研掃材を掃き上げ、この研掃材を吸引ノズル41から吸引し、ブラシ部30が回動する際にブラシ部30と床面との間に発生する反力によって自走する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブラスト作業によって床面に堆積した研掃材を回収する研掃材回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船体を構成する鋼材の腐食を防ぐため、鋼材表面には防食用の塗装が施されている。このとき、鋼材表面と塗装膜の固着性を上げるため、塗装前の下地処理として、鋼材表面にブラスト処理が施される。例えばバラストタンク内のブラスト作業では、作業者は専用の保護具を装着してバラストタンク内に入る。そして、研掃材噴出用の専用ホースから研掃材を噴出させ、バラストタンク内の鋼板表面に研掃材を衝突させて錆びや汚れ等を除去する。ブラスト作業後、ブラスト作業によってバラストタンク内の床面に落下、堆積した研掃材は、作業者が吸引源に接続されたバキューム用ホースを用いて回収する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
船体の高寿命化を図るには、船体を構成する鋼材の腐食を防ぐことが重要である。溶接技術や鋼材の防食化が発展した現在、防食のために鋼材表面に施される塗装の寿命が船体の寿命に大きく影響してきている。特に、積荷がないときに海水を注入して船体の安定航行を可能にするためのバラストタンクは、海水による厳しい腐食環境下にある。したがって、バラストタンク内の塗装寿命を延ばすことは、船体の高寿命化を図る上で非常に重要である。
【0004】
塗装寿命を延ばすために、鋼材表面にはより高品質な下地処理が求められている。このため、ブラスト量が増加し、床面に落下、堆積する研掃材の量も増加する。従来より、この床面に堆積した研掃材の回収は作業員によって行われていたため、床面に堆積する研掃材の量の増加に伴い、研掃材の回収工数が増大してしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、ブラスト量の増加によって床面に堆積する研掃材の量が増加しても、研掃材の回収工数が増大することのない研掃材回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る研掃材回収装置は、本体部の下方に配置されたブラシ部と、該ブラシ部の駆動源となるエアーモータと、吸引手段に配管接続される吸引ノズルとを備え、前記エアーモータの駆動力により回動する前記ブラシ部によって床面に堆積した研掃材を掃き上げ、該研掃材を前記吸引ノズルから吸引し、前記ブラシ部が回動する際に前記ブラシ部と前記床面との間に発生する反力によって自走するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る研掃材回収装置においては、ブラスト作業中、研掃材回収装置が床面を自走しながら床面に堆積した研掃材を回収する。つまり、研掃材回収装置は、作業員の手を借りることなく自動的に床面に堆積した研掃材を回収する。このため、ブラスト作業後に作業者が床面に堆積した研掃材を除去する必要がないので、研掃材の除去工数が増加することを防止することができる。
【0008】
また、本発明に係る研掃材回収装置はエアー源と接続することで自走可能となり、電源を必要としない。通常、ブラスト作業所の近傍には、ホースから研掃材を噴出させるためにエアー源(ブラスト作業所から離れたエアー源と配管接続された中継部も含む)が設けられている。一方、ブラスト作業所の近傍には電源が設けられていない場合も多い。本発明に係る研掃材回収装置はエアー源と接続することで自走可能となっているので、ブラスト作業所から離れた電源から電力供給をするための電線を設置する必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態.
以下、本実施の形態における研掃材回収装置について説明する。なお、本実施の形態ではバラストタンク内で研掃材回収装置を使用した場合について説明する。
【0010】
船舶の船殻構造は船種によって様々であるが、例えば、ばら積み貨物船、タンカー、LPGないしLNG船等においては、船底が二重底構造となっている。そして、二重底構造では、その内部が通常バラストタンクとして利用されている。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態におけるバラストタンクの全体斜視図である。また、図2は、本発明の実施の形態における研掃材回収装置をこのバラストタンク内で使用している状態を示す斜視図である。
バラストタンク1は、外板2と二重底板3との間をガーダー(縦通桁材)16及びトランス(横桁材)5で閉塞することにより形成されている。このバラストタンク1内には、底面(外板2側)にトランス5を貫通して複数の外板ロンジ6aが立設されており、上面(二重底板側)にトランス5を貫通して複数の二重底ロンジ6bが立設されている。また、外板ロンジ6aと二重底ロンジ6bとの間には、上端部、下端部、及び側縁部がそれぞれ外板ロンジ6a、二重底ロンジ6b及びトランス5に溶接接合されたスチフナ7が設けられている。また、トランス5には、作業員がバラストタンク1を出入りする等のためのマンホール8が形成されている。
【0012】
研掃材回収装置10はマンホール8からバラストタンク1内に持ち込まれるため、研掃材回収装置10の大きさはマンホール8よりも小さくなっている。そして、マンホール8からバラストタンク1内に持ち込まれた研掃材回収装置10は、図2に示すように、その上部にエアーホース100及び研掃材回収ホース150が装着され、外板ロンジ6a間に配置される。また、エアーホース100及び研掃材回収ホース150は、研掃材回収装置10の自走の障害とならないように、例えば二重底ロンジ6bに設けられたフックによって弛みを持たせて吊り下げられている。そして、研掃材回収装置10は、エアーホース100を介してバラストタンク1外から圧送される圧縮空気によって作業員の手を借りることなく自走し、バラストタンク1内のブラスト作業によって外板ロンジ6a間に堆積した研掃材を回収する。この回収された研掃材は、研掃材回収ホース150を介してバラストタンク1外に排出される。
【0013】
なお、研掃材回収装置10による研掃材の回収作業は、作業員がバラストタンク1内のブラスト作業を行っている間にされてもよいし、ブラスト作業終了後にされてもよい。また、本実施の形態では、研掃材回収装置10によって回収された研掃材は研掃材回収ホース150を介して直接バラストタンク1外に排出されているが、研掃材回収装置10によって回収された研掃材を一端バラストタンク1内に設けられた回収タンク等に貯えた後にバラストタンク1外に排出してもよい。
【0014】
(構造)
次に、研掃材回収装置10の構造について説明する。
図3及び図4は本発明の実施の形態における研掃材回収装置の全体斜視図であり、図3はカバーを装着した状態の全体斜視図、図4はカバーを取り外した状態の全体斜視図を示す。また、図5はこの研掃材回収装置の裏側を示す斜視図である。これら図3〜図5を用いて本実施の形態における研掃材回収装置10の構造について説明する。
【0015】
研掃材回収装置10は、本体部20、ブラシ部30及び吸引口41等から構成されている。
本体部20は、底板21、支柱22、天板23、カバー24、把持部25、及び車輪26等から構成されている。略円板形状の底板21の上面部には複数の支柱22が立設しており、この支柱22の上端部には、底板21よりも若干小さい略円板形状の天板23が設けられている。また、底板21の下面部には複数の車輪26が回動自在に設けられている。これら底板21と天板23との間を囲い込むようにカバー24が設けられている。このカバー24は、中空円筒形状の円筒部24a、及び円筒部24aの上部に形成され、上方に縮径する円錐部24bが一体形成された形状となっている。また、円錐部24bには、研掃材回収装置10の持ち運びを容易とするため、複数の把持部25が取り付けられている。なお、車輪26のそれぞれは、車輪高さ(床面と底板21との距離)が変更可能となっている。この車輪高さを変更することにより、後述するブラシ部30と床面との角度θ(図6に示す)を変更することができる。
【0016】
ブラシ部30は、略円板形状の板部材31と、この板部材31に略円形状で立設された複数のブラシ32から構成されている。このブラシ部30は、板部材31が本体部20の底板21と対向して底板21の下方に設けられており、板部材31の略中心部が底板21の略中心部に設けられたエアーモータ117の回動軸と接続されている。この回動軸が回動することによりブラシ部30も回動し、ブラシ部30と床面との間に発生する反力によって研掃材回収装置10が自走する。
【0017】
上述のように、本実施の形態に係る研掃材回収装置10は、ブラシ部30(ブラシ32の先端)と床面との角度θを変更することが可能となっている。ブラシ部30と床面との間に角度θを設けることにより、ブラシ32は研掃材回収装置10の一方の側の床面(図6における右側)にのみ接することとなる。これにより、研掃材回収装置10の自走を容易にしている。本実施の形態に係る研掃材回収装置10は、ブラシ部30と床面との角度θを、0°≦θ≦3°の範囲で調整している。なお、本実施の形態では車輪高さを調整することによってブラシ部30と床面との角度θを調整したが、その他の構成によってブラシ部30と床面との角度θを調整してもよい。例えば、ブラシ部30が接続されたエアーモータ117を底板21とは別部品となる部材に設け、この部材と底板21との角度を調整することによってブラシ部30と床面との角度θを調整してもよい。
【0018】
吸引口41は、中空円筒形状のパイプが略コの字形状に折り曲げられた形状をしており、両端部が床面側となるように、底板21の下方でブラシ部30の外側に設けられている。また、吸引口41には両端部と略反対方向に接続口41aが設けられており、接続口41aは底板21を貫通して、底板21の上方に突設している。この接続口41aは、吸引源となる真空エジェクター133(図7に示す)の吸引ポートと接続されている。
【0019】
本体部20の天板23には、エアーモータ117や真空エジェクター133等に接続された配管接続部101,102が設けられている。この配管接続部101,102にエアーホース100(100a,100b)を接続することにより、エアーモータ117や真空エジェクター133等に圧縮空気を圧送することができる。また、天板23には、真空エジェクター133の排気ポートと接続された配管接続部151も設けられている。この配管接続部151に研掃材回収ホース150を接続することにより、吸引口41から吸引した研掃材をバラストタンク1外に排出することができる。
【0020】
本体部20には、上記エアーモータ117及び真空エジェクター133以外にも、研掃材回収装置10を構成するための空圧機器等が配置されている。以下、これら空圧機器等の配置位置については図6及び図7を用いて、これら空圧機器等の接続関係については図8を用いて説明する。
【0021】
図6は、本発明の実施の形態における研掃材回収装置の縦断面図である。図7は、図6のA−A断面図である。また、図8は、この研掃材回収装置の空圧回路図である。なお図の理解を容易とするため、図8ではエアーオペレートバルブのパイロットポートに接続される配管を破線で示している。
エアーホース100aが接続されている配管接続部101は天板23に設けられており(図6)、配管分岐部103(図8にのみ示す)と底板21に設けられたエアーオペレートバルブ116(図7)の接続口116aに接続されている。このエアーオペレートバルブ116の接続口116b,116cのそれぞれは、絞り装置118a,118bを介してエアーモータ117の接続口117a,117b(図8にのみ示す)のそれぞれと接続されている。
【0022】
配管分岐部103は、天板23に設けられたメカニカルバルブ111,131(図6)と接続されている。メカニカルバルブ111は、エアーオペレートバルブ112の接続口112aとエアーオペレートバルブ113の接続口113aに接続されており、これらエアーオペレートバルブ112,113は底板21に設けられている(図7)。エアーオペレートバルブ112は、接続口112bが底板21に設けられたタイムディレイバルブ114(図7)の接続口114aとタンク114cに接続されており、接続口112cが底板21に設けられたタイムディレイバルブ115(図7)の接続口115aとタンク115cに接続されている。また、接続口112bとタンク114cとの間及び接続口112cとタンク115cとの間のそれぞれには絞り装置114d,115dが設けられている。
【0023】
エアーオペレートバルブ113は、接続口113bがエアーオペレートバルブ112のパイロットポート112dとエアーオペレートバルブ116のパイロットポート116dに接続されており、接続口113cがエアーオペレートバルブ112のパイロットポート112eとエアーオペレートバルブ116のパイロットポート116eに接続されている。また、エアーオペレートバルブ113のパイロットポート113dはタイムディレイバルブ114の接続口114bと接続され、エアーオペレートバルブ113のパイロットポート113eはタイムディレイバルブ115の接続口115bと接続されている。
【0024】
一方、エアーホース100bが接続されている配管接続部102は、底板21に設けられたエアーオペレートバルブ132(図7)の接続口132aと接続されている。このエアーオペレートバルブ132は、接続口132bが底板21に設けられた真空エジェクター333と接続され、パイロットポート132cがメカニカルバルブ131と接続されている。
【0025】
(動作説明)
以下、図8を用いて研掃材回収装置10の動作について説明する。
エアーホース100a及び配管接続部101を介して供給された圧縮空気は、エアーオペレートバルブ116及び配管分岐部103に圧送される。そして、配管分岐部103に圧送された圧縮空気はメカニカルバルブ111,131に圧送される。
【0026】
メカニカルバルブ111のトグルレバーを操作することにより、メカニカルバルブ111の下流側へ圧縮空気の圧送が開始される。エアーオペレートバルブ113に圧送された圧縮空気の一部はエアーオペレートバルブ112のパイロットポート112dに圧送され、エアーオペレートバルブ112は接続口112aと接続口112bとが接続された状態となる。これにより、エアーオペレートバルブ112に圧送された圧縮空気は、タイムディレイバルブ114の接続口114aとタンク114cに圧送される。
【0027】
また、エアーオペレートバルブ113に圧送された圧縮空気の残りの一部はエアーオペレートバルブ116のパイロットポート116dに圧送され、エアーオペレートバルブ116は接続口116aと接続口116bとが接続された状態となる。これにより、エアーオペレートバルブ116に圧送された圧縮空気は接続口117aからエアーモータ117に圧送され、エアーモータ117の回動軸が回動する。なお、エアーモータ117に圧送された圧縮空気は接続口117bから排出され、絞り装置118bを介してエアーオペレートバルブ116の排気口から排出される。このとき、絞り装置118bの開度を調整することにより、エアーモータ117の回動速度を調整することができる。
【0028】
エアーモータ117の回動軸の回動により、この回動軸と接続されたブラシ部30も回動する。そして、バラストタンク1内のブラスト作業によって外板ロンジ6a間の床面に堆積した研掃材を掃き上げるとともに、ブラシ部30と床面との間に発生する反力によって研掃材回収装置10が自走する。例えば、研掃材回収装置10が図2の手前側に自走を開始したとすると、床面に堆積した研掃材等の抵抗や外板ロンジ6aの側面との衝突等により自走方向が変化するものの、概ね図2の手前側に向かって研掃材回収装置10は自走する。
【0029】
タイムディレイバルブ114のタンク114cに圧送された圧縮空気はタンク114cに貯えられていく。所定の時間が経過すると、タンク114cが圧縮空気で満たされ、タイムディレイバルブ114は接続口114aと接続口114bが接続された状態に切り替わる。そして、タイムディレイバルブ114の接続口114aに圧送された圧縮空気はエアーオペレートバルブ113のパイロットポート113eに圧送され、エアーオペレートバルブ113は接続口113aと接続口113cとが接続された状態となる。なお、タイムディレイバルブ114が切り替わるまでの時間(所定の時間)は、絞り装置114dの開度を調整することによって調整することができる。
【0030】
接続口113aと接続口113cとが接続された状態となることにより、エアーオペレートバルブ113に圧送された圧縮空気の一部はエアーオペレートバルブ112のパイロットポート112eに圧送され、エアーオペレートバルブ112は接続口112aと接続口112cとが接続された状態となる。これにより、エアーオペレートバルブ112に圧送された圧縮空気は、タイムディレイバルブ115の接続口115aとタンク115cに圧送される。このとき、タイムディレイバルブ114のタンク114cはエアーオペレートバルブ112の排気口と接続され、タンク114c内に充填された圧縮空気は外部に排出される。
【0031】
また、エアーオペレートバルブ113に圧送された圧縮空気の残りの一部はエアーオペレートバルブ116のパイロットポート116eに圧送され、エアーオペレートバルブ116は接続口116aと接続口116cとが接続された状態となる。これにより、エアーオペレートバルブ116に圧送された圧縮空気は接続口117bからエアーモータ117に圧送され、エアーモータ117の回動軸が逆方向に回動する。なお、エアーモータ117に圧送された圧縮空気は接続口117aから排出され、絞り装置118aを介してエアーオペレートバルブ116の排気口から排出される。このとき、絞り装置118aの開度を調整することにより、エアーモータ117の回動速度を調整することができる。
【0032】
エアーモータ117の回動軸の回動方向が逆となることにより、この回動軸と接続されたブラシ部30も回動方向も変わる。そして、バラストタンク1内のブラスト作業によって外板ロンジ6a間の床面に堆積した研掃材を掃き上げるとともに、ブラシ部30と床面との間に発生する反力によって研掃材回収装置10が逆方向に自走する。例えば、研掃材回収装置10の自走方向が図2の奧側になったとすると、床面に堆積した研掃材等の抵抗や外板ロンジ6aの側面との衝突等により自走方向が変化するものの、概ね図2の奧側に向かって研掃材回収装置10は自走する。
【0033】
タイムディレイバルブ115のタンク115cに圧送された圧縮空気はタンク115cに貯えられていく。所定の時間が経過すると、タンク115cが圧縮空気で満たされ、タイムディレイバルブ115は接続口115aと接続口115bが接続された状態に切り替わる。そして、タイムディレイバルブ115の接続口115aに圧送された圧縮空気はエアーオペレートバルブ113のパイロットポート113dに圧送され、エアーオペレートバルブ113は接続口113aと接続口113bとが接続された状態となる。なお、タイムディレイバルブ115が切り替わるまでの時間(所定の時間)は、絞り装置115dの開度を調整することによって調整することができる。
【0034】
研掃材回収装置10は上記動作を繰り返すことによって、外板ロンジ6a間の床面をランダムな方向に自走し、床面に堆積した研掃材を掃き上げる。
【0035】
一方、エアーホース100b及び配管接続部102を介して供給された圧縮空気は、エアーオペレートバルブ132に圧送される。メカニカルバルブ131のトグルレバーを操作することにより、メカニカルバルブ131に圧送された圧縮空気はエアーオペレートバルブ132のパイロットポート132cに圧送され、エアーオペレートバルブ132は接続口132aと接続口132bとが接続された状態となる。これにより、エアーオペレートバルブ132に圧送された圧縮空気は真空エジェクター133に圧送される。
【0036】
真空エジェクター133に圧縮空気が圧送されることにより、真空エジェクター133内は負圧となる。研掃材回収装置10は、この負圧によってブラシ部30が床面から掃き上げた研掃材を吸引口41から吸引し、研掃材回収ホース150を介してバラストタンク1外へ研掃材を排出する。
【0037】
このように構成された研掃材回収装置においては、ブラスト作業中、研掃材回収装置10が外板ロンジ6a間の床面を自走しながら床面に堆積した研掃材を回収する。つまり、研掃材回収装置10は、作業員の手を借りることなく自動的に床面に堆積した研掃材を回収する。このため、ブラスト作業後に作業者が床面に堆積した研掃材を除去する必要がないので、研掃材の除去工数が増加することを防止することができる。
【0038】
また、研掃材回収装置10はエアーホース100a(エアー源)と接続することで自走可能となり、電源を必要としない。通常、ブラスト作業所の近傍には、ホースから研掃材を噴出させるためにエアー源(ブラスト作業所から離れたエアー源と配管接続された中継部も含む)が設けられている。一方、ブラスト作業所の近傍には電源が設けられていない場合も多い。研掃材回収装置10はエアー源と接続することで自走可能となっているので、ブラスト作業所から離れた電源から電力供給をするための電線を設置する必要がない。
【0039】
また、ブラシ部30の回動方向が所定の時間で切り替わるので、研掃材回収装置10は外板ロンジ6a間の床面をランダムな方向に自走することができ、研掃材の回収効率が向上する。また、この自走方向(ブラシ部30の回動方向)の切り替え及び切り替え時間の調整はエアーオペレートバルブ112,113及びタイムディレイバルブ114,115で行われる。このため、研掃材回収装置10の自走方向の切り替え及び切り替え時間の調整にも研掃材回収装置10への電力供給を必要とせず、ブラスト作業所から離れた電源から電力供給をするための電線を設置する必要がない。
【0040】
また、ブラシ部30には略円形状にブラシ32が設けられているので、研掃材回収装置10の自走方向がよりランダムな方向となり、研掃材の回収効率が向上する。
【0041】
なお、本実施の形態では研掃材回収装置10をバラストタンク1内で使用する場合について説明したが、他のブラスト作業所でももちろん使用することができる。
また、研掃材を回収するための吸引源として真空エジェクター133を用いたが、他の吸引源を用いてもよい。また、吸引口41の形状も本実施の形態の形状に限らず、種々の形状が可能である。例えば、床面と略平行で長方形状の吸引口としてもよいし、ブラシ部30を囲むような略円形状の吸引口としてもよい。吸引口41の個数も限定されない。
また、ブラシ部30の形状も本実施の形態に限定することなく、種々の形状が可能である。例えば、床面と略平行に回動する円筒状のブラシ部でもよい。このブラシ部を複数(例えば床面に対して多角形状に)配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態におけるバラストタンクの全体斜視図である。
【図2】実施の形態における研掃材回収装置をバラストタンク内で使用している状態を示す斜視図である。
【図3】実施の形態における研掃材回収装置のカバーを装着した状態の全体斜視図である。
【図4】実施の形態における研掃材回収装置のカバーを取り外した状態の全体斜視図である。
【図5】実施の形態における研掃材回収装置の裏側を示す斜視図である。
【図6】実施の形態における研掃材回収装置の縦断面図である。
【図7】図6のA−A断面図である。
【図8】実施の形態における研掃材回収装置の空圧回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1 バラストタンク、2 外板、3 二重底板、4 ガーダー、5 トランス、6a 外板ロンジ、6b 二重底ロンジ、7 スチフナ、8 マンホール、10 研掃材回収装置、20 本体部、21 底板、22 支柱、23 天板、24 カバー、24a 円筒部、24b 円錐部、25 把持部、26 車輪、30 ブラシ部、31 板部材、32 ブラシ、41 吸引口、41a 接続口、100(100a,100b) エアーホース、101 配管接続部、102 配管接続部、103 配管分岐部、111 メカニカルバルブ、112 エアーオペレートバルブ、112a〜112c 接続口、112d,112e パイロットポート、113 エアーオペレートバルブ、113a〜113c 接続口、113d,113e パイロットポート、114 タイムディレイバルブ、114a,114b 接続口、114c タンク、114d 絞り装置、115 タイムディレイバルブ、115a,115b 接続口、115c タンク、115d 絞り装置、116 エアーオペレートバルブ、116a〜116c 接続口、116d,116e パイロットポート、117 エアーモータ、118a,118b 絞り装置、131 メカニカルバルブ、132 エアーオペレートバルブ、132a,132b 接続口、132c パイロットポート、133 真空エジェクター、150 研掃材回収ホース、151 配管接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の下部に回動自在に設けられた複数の車輪と、
本体部の下方に配置されたブラシ部と、
該ブラシ部の駆動源となるエアーモータと、
吸引手段に配管接続される吸引口と、
を備え、
前記エアーモータの駆動力により回動する前記ブラシ部によって床面に堆積した研掃材を掃き上げ、該研掃材を前記吸引口から吸引し、
前記ブラシ部が回動する際に前記ブラシ部と前記床面との間に発生する反力によって自走することを特徴とする研掃材回収装置。
【請求項2】
前記ブラシ部の回動方向を所定の時間で切り替えることを特徴とする請求項1に記載の研掃材回収装置。
【請求項3】
前記エアーモータには、該エアーモータの回動方向を切り替えるための切り替えバルブが配管接続され、
該切り替えバルブの配管切り替え時間は、タイムディレイバルブで調整されることを特徴とする請求項2に記載の研掃材回収装置。
【請求項4】
前記ブラシ部は円形状であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の研掃材回収装置。
【請求項5】
前記ブラシ部と床面との角度が調整可能となっていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の研掃材回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−297845(P2009−297845A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156103(P2008−156103)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)