説明

砕砂洗浄装置

【課題】簡単な構造で砕砂に付着している石墨を効率よく除去できる砕砂洗浄装置を提供することである。
【解決手段】分離槽9の供給口9aに、砕砂と洗浄水とが混ざり合った混合水を受け入れる砕砂流入樋14と、この砕砂流入樋14の出口から流れ落ちる混合水の流路を遮り、混合水の流路の上流側に向かって凹状に湾曲した衝突板15を設けて、砕砂流入樋14から流入した混合水が衝突板15に衝突したときにその流路を狭める方向に跳ね返り、混合水中の砕砂が衝突板15から跳ね返る際に密集して互いに擦過しあうことにより、砕砂に付着している石墨のほとんどが砕砂から剥離して除去されるようにしたのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕砂製造ラインの途中に設置される砕砂洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海砂や川砂等の天然砂に代わるコンクリート用細骨材として、岩石を粉砕して製造した砕砂が多く使用されるようになってきている。しかし、砕砂の原石となる岩石に石墨(炭素粉)が多く含まれている場合には、砕砂製造ラインの下流側工程で砕砂の洗浄を行っていても砕砂から石墨を十分に除去することができず、砕砂に残った石墨がポールやパイル等のコンクリート二次製品の表面に浮き出して製品外観を損ねることがある。このため、コンクリートの強度等への石墨の影響は認められていないにもかかわらず、石墨の多く残る砕砂は、実際にはほとんどコンクリート二次製品に使用されない。
【0003】
そこで、一般的な砕砂製造ラインでは、石墨を十分に除去するために、砕砂を分級機等の砕砂洗浄装置に二度通していることが多い。また、砕砂洗浄装置において砕砂の曝気洗浄や超音波洗浄を行うことも提案されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−144967号公報
【0004】
しかしながら、砕砂を洗浄装置に二度通しする方法では、砕砂の搬送ルートが複雑になるし、砕砂製造ライン全体の生産性の低下をまねく。また、曝気洗浄や超音波洗浄を行う場合は、曝気装置や超音波発振器のコストが必要となるうえ、これらの機器のメンテナンスにも手間がかかるようになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、簡単な構造で砕砂に付着している石墨を効率よく除去できる砕砂洗浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、砕砂製造ラインの途中に設置され、原石を所定の粒度に破砕した砕砂を洗浄水で洗浄して、原石に含まれる石墨を砕砂から除去する砕砂洗浄装置において、前記砕砂製造ラインの上流工程から砕砂と洗浄水とが混ざり合った混合水を受け入れる砕砂流入樋を備えており、この砕砂流入樋を通って流入する混合水の流路の途中にその流路の上流側に向かって凹状に湾曲した衝突板を設けて、前記混合水中の砕砂が前記衝突板に衝突して跳ね返る際に互いに擦過しあうようにした。
【0007】
すなわち、上流工程から洗浄水とともに流入する砕砂が凹状の衝突板に衝突して跳ね返る際の砕砂どうしの擦過作用により、砕砂に付着している石墨が効率よく除去されるようにしたのである。
【0008】
前記衝突板は、前記砕砂流入樋の出口から流れ落ちる混合水の流路を遮る位置に設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の砕砂洗浄装置は、上述したように、上流工程から洗浄水とともに流入する砕砂が凹状の衝突板に衝突して跳ね返る際に互いに擦過しあうようにしたものであるから、従来の曝気装置や超音波発振器を設けたものに比べて、構造が簡単でコストやメンテナンスの手間がかからず、また生産性の低下につながる二度通しも必要とせず、効率よく砕砂に付着している石墨を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、実施形態の砕砂洗浄装置としての分級機1を含む砕砂製造ラインの下流側工程の概要を示す。この砕砂製造ラインでは、図示省略した上流側工程において、砕砂の原石である岩石をクラッシャ等で破砕して所定の粒度の砕砂とする。そして、下流側工程では、図1に示すように、まず、上流側最終工程のエアセパレータ2で微粉と分離された砕砂を、貯水槽3から供給される洗浄水とともに分級機1に投入し、後述する方法で砕砂に付着している石墨を除去する。ここで、砕砂から除去された石墨と洗浄水とが混じり合った濁水は、分級機1から溢れ出して洗浄原水槽4へ送られ、石墨を分離する処理を受けた後、再び洗浄水として使用される。一方、石墨を除去された砕砂は脱水スクリーン5へ送られ、脱水スクリーン5で水分を除去された砕砂がコンベヤ6、7で搬送されてストックヤード8に貯留される。
【0011】
前記分級機1は、砕砂の洗浄に一般に使用されるベルト式のもので、図2および図3に示すように、底面の傾斜した分離槽9の内部に、その底面に沿って延びるベルトコンベヤ10を配置している。そのベルトコンベヤ10は、下流側に配された駆動プーリ11が分離槽9の外でモータ12に連結され、上流側の従動プーリ13は分離槽9一端側の下部で支持されている。また、分離槽9は、一端に供給口9aを、側面の一端側に排水口9bを有している。そして、分離槽9の供給口9aには、上流工程から砕砂と洗浄水とが混ざり合った混合水を受け入れる砕砂流入樋14の出口部分が差し込まれ、この砕砂流入樋14の出口から流れ落ちる混合水の流路を遮る位置に、その流路の上流側に向かって凹状に湾曲した衝突板15が設けられている。
【0012】
この分級機1における石墨除去処理は、砕砂流入樋14の出口から流れ落ちる混合水を衝突板15に衝突させた後、分離槽9の排水口9bのレベルよりも下側の部分に溜め、混合水中の砕砂をベルトコンベヤ10上に沈殿させて、砕砂に付着していた石墨を砕砂から分離する。砕砂から分離した石墨と洗浄水とが混じり合った濁水は、排水口9bから溢出して前記洗浄原水槽4へ送られる。一方、ベルトコンベヤ10上に沈殿した砕砂は、ベルトコンベヤ10で分離槽9の他端側へ搬送されて排出され、前記脱水スクリーン5へ送られる。
【0013】
上記石墨除去処理の最初の段階において、砕砂流入樋14から流入した混合水は凹状に湾曲した衝突板15に衝突したときにその流路を狭める方向に跳ね返るので、混合水中の砕砂は衝突板15から跳ね返る際に密集して互いに擦過しあう。この砕砂どうしの擦過作用により、砕砂に付着している石墨のほとんどが砕砂から剥離する。そして、分離槽9で砕砂のみが沈殿することによって、剥離した石墨と砕砂とが分離される。
【0014】
この分級機1は、上記の構成であり、砕砂流入樋14から洗浄水とともに流入した砕砂が凹状の衝突板15に衝突して跳ね返る際に互いに擦過しあうようにしたので、効率よく砕砂に付着している石墨を除去することができる。しかも、構造が簡単でコストやメンテナンスの手間が少なく、従来のような二度通しも必要としないので、砕砂製造ライン全体の生産性を低下させることもない。
【0015】
次に、この分級機1での石墨除去性能を確認するために、この分級機1の衝突板15を取り外した場合(比較例)と取り付けた場合(実施例)とで、それぞれ前記砕砂製造ラインの上流側工程を終えた砕砂を一度だけ分級機に通す石墨除去処理を行い、処理後の砕砂の状態を調べた。その結果、従来の砕砂洗浄装置に相当する比較例では、処理後の砕砂にかなり石墨が残っており、再処理を必要とする状態であったのに対し、実施例では一度の処理でほぼ完全に石墨を除去できることが確認された。
【0016】
なお、上述した実施形態では衝突板を砕砂流入樋の出口から流れ落ちる混合水の流路を遮る位置に設けたが、砕砂流入樋の途中に設けるようにしてもよい。また、本発明は、実施形態のようなベルト式分級機に限らず、スパイラル分級機や回転ドラム式洗浄装置等、砕砂を洗浄水で洗浄する砕砂洗浄装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態の分級機(砕砂洗浄装置)を含む砕砂製造ラインの下流側工程の概略図
【図2】図1の分級機の正面断面図
【図3】図2の平面図
【符号の説明】
【0018】
1 分級機(砕砂洗浄装置)
9 分離槽
9a 供給口
9b 排水口
10 ベルトコンベヤ
14 砕砂流入樋
15 衝突板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砕砂製造ラインの途中に設置され、原石を所定の粒度に破砕した砕砂を洗浄水で洗浄して、原石に含まれる石墨を砕砂から除去する砕砂洗浄装置において、前記砕砂製造ラインの上流工程から砕砂と洗浄水とが混ざり合った混合水を受け入れる砕砂流入樋を備えており、この砕砂流入樋を通って流入する混合水の流路の途中にその流路の上流側に向かって凹状に湾曲した衝突板を設けて、前記混合水中の砕砂が前記衝突板に衝突して跳ね返る際に互いに擦過しあうようにしたことを特徴とする砕砂洗浄装置。
【請求項2】
前記衝突板を、前記砕砂流入樋の出口から流れ落ちる混合水の流路を遮る位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の砕砂洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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