説明

破損に対する保護機能を有する超音波カテーテル

【課題】超音波伝達部材が医療処置中に破損し、折損しあるいは外れたりしても、患者の血管系への破片の入り込みを最小にする保護機能を含む、血管のようなチューブ状の身体構造内の閉塞を除去する治療用超音波システムを提供する。
【解決手段】長手方向に通る内腔とを有するカテーテル本体と、カテーテル本体の内腔を長手方向に通って延在する超音波伝達部材とを有する。超音波伝達部材は、分離した超音波発生器に接続される近位端とカテーテル本体の遠位端に末端を有し、超音波伝達部材の遠位端の少なくとも一部はカテーテル本体の内腔の外側にカテーテル本体の遠位端を越えて延在し、超音波伝達部材は接続手段を介してカテーテル本体に直接接続される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関し、より詳細には、血管のようなチューブ状の身体構造内の閉塞を除去する治療用超音波システムに関する。この超音波システムは、超音波伝達部材が医療処置中に破損し、折損しあるいは外れたりしても、患者の血管系への破片の入り込みを最小にする保護機能を含む。
【背景技術】
【0002】
これまでに多くの超音波システムや装置が、血管から閉塞物を除去しあるいは取り除くのに使用するために提案されている。人間や動物の血管から種々のタイプの閉塞を除去するのに、超音波カテーテルが用いられている。冠状動脈のような細い血管に超音波エネルギを用いて成功した用途では、大動脈弓や冠動脈枝の曲がりくねった血管系を通って十分に経腔的に進むことができる細くて可撓性の、比較的小径の超音波カテーテルを使用する必要がある。しかし、小径であるので、そのようなカテーテルを通って伸びる超音波伝達部材は伝達する超音波エネルギのロスや破損を特に生じやすい。
【0003】
超音波伝達部材の破損は、近位端で生じることが多く、超音波カテーテルカップリングと超音波振動子の間のカップリングで生じるのが一般的である。このことは、これらの点でエネルギ集中と応力が最大になるからであると信じられている。したがって、この領域で超音波伝達部材に外力が作用すると、応力が超音波伝達部材の弾性限度を超えることになる。
【0004】
超音波カテーテルの使用中に超音波伝達部材カップリングを圧迫し、押し込み、引っぱり、回転させ、曲げあるいはぶつけることで超音波伝達部材に外力がうかつにまた好ましくなく作用する。そのような力が超音波カテーテルカップリング領域に作用すると、超音波伝達部材を通る超音波エネルギ伝達を制限することになる。そのような力が作用する瞬間に超音波エネルギが超音波伝達部材により伝達されていると、さらなる応力が生じ、超音波伝達部材が破損することになるかもしれない。
【0005】
超音波伝達部材の破損はまた、遠位端の近くでも生じることがあり、断面積が最小の領域で生じるのが一般的である。したがって、超音波伝達部材の破損から生ずる破片が医療処置の間に患者の血管系に入り込めないようにすることが重要である。
【0006】
よって、医療処置の間の超音波伝達部材の破損に対して保護する必要性が今だにある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、医療処置中に超音波伝達部材が破損しあるいは折損しても、患者の血管系への破片の入り込みを防止しあるいは最小にする保護機能付きの超音波カテーテルを提供することにある。
【0008】
本発明の目的を達成するために、細長い可撓性カテーテル本体であって長手方向にそこを通って延在する内腔を有するカテーテルと、長手方向にそのカテーテル本体の内腔を通って延在する超音波伝達部材とを有する超音波カテーテルを提供する。超音波伝達部材は、分離した超音波発生装置に接続する近位端と、カテーテル本体の遠位端で終端となる遠位端とを有し、超音波伝達部材の少なくとも遠位端の部分はカテーテル本体の内腔の外側にカテーテル本体の遠位端を越えて延在し、超音波伝達部材は接続手段を介してカテーテル本体に直接接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明による超音波システムの斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態による図1のシステムで用いられる超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【図3】図3は、図1のシステムで用いられる超音波伝達部材の側面部分図である。
【図4】図4は、種々の実施の形態による図1のシステムで用いられる種々の超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【図5】図5は、種々の実施の形態による図1のシステムで用いられる種々の超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【図6】図6は、種々の実施の形態による図1のシステムで用いられる種々の超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【図7】図7は、種々の実施の形態による図1のシステムで用いられる種々の超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【図8】図8は、種々の実施の形態による図1のシステムで用いられる種々の超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【図9】図9は、種々の実施の形態による図1のシステムで用いられる種々の超音波カテーテルの遠位端の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、本発明を実施するのに現在最適と考えられる態様のものである。本説明は、限定する意味に解釈されるのではなく、本発明の実施の形態の原理の概略を説明する目的だけのためになされたものである。発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で最良に画定されている。ある例では、不必要に詳細な説明により本発明の説明があいまいになることがないよう、周知の装置、構成、構成部品、機構や方法を省略している。
【0011】
図1は、動物や人間の血管内の閉塞物を除去し取り除くのに使用するための、本発明による超音波システムを図示する。図1と図2を参照すると、超音波システムは、近位端12と遠位端14を有する細長いカテーテル本体11であって、長手方向にそこを通って延在する少なくとも1つの内腔15を画定する。超音波カテーテル装置10は、Yコネクタ18、カテーテルノブ20およびスライドカラー22によって近位端12で動作可能に超音波振動子24に接続される。超音波振動子24は信号発生器26に接続され、信号発生器26は足踏式オンオフスイッチ28を備える。信号発生器26は点滴ポール(IVポール)27で支持される。オンオフスイッチ28が押されると、信号発生器26は電気信号を超音波振動子24に送信し、超音波振動子24は電気信号を超音波エネルギに変換する。その超音波エネルギは次にカテーテル装置10を通過して遠位端14に伝達される。以下により詳しく説明するように、ガイドワイヤ25をカテーテル装置10と併せて用いる。
【0012】
カテーテル本体11は、アトシミー、仏国オー・ド・セーヌ県クルブヴォア市で製造されるナイロン(Pebax;登録商標)などの可撓性高分子材料で形成される。可撓性カテーテル本体11は、その内部を長手方向に延在する1つまたは複数の内腔を有する細長いチューブの形をしているのが好ましい。カテーテル本体11は、主内腔15を画定する。近位端を有する細長い超音波伝達部材16が主内腔15を長手方向に延伸し、近位端は、超音波エネルギが超音波伝達部材16を通り抜けて伝達されるように不図示の音波コネクタを介して超音波振動子24に取り外し可能に接続される。このようにして、動作可能に超音波振動子24に接続された足踏式オンオフスイッチ28が押されると、超音波エネルギが超音波伝達部材16を通ってカテーテル本体11の遠位端14に伝達される。
【0013】
カテーテル本体は、カテーテル本体11に沿ったどこかの位置にガイドワイヤポート58を備える。ガイドワイヤ内腔60は、超音波伝達部材16の長さ方向に伴うように、ガイドワイヤポート58からカテーテル本体11の主内腔15を通って延在する。ある実施の形態では、ガイドワイヤポート58は、カテーテルの遠位端14より近位端12に寄った位置に備えられている。
【0014】
一実施の形態では、超音波伝達部材16は、超音波エネルギを超音波振動子24から超音波伝達部材16の遠位端14に効果的に伝達できる材料で形成され、好ましくは金属あるいは金属合金で作られる。超音波伝達部材の全てあるいは一部を超弾性を示す1つあるいは複数の材料で形成することもできる。そのような材料は、カテーテル装置10の操作中、超音波伝達部材16が通常受ける温度範囲内で常に超弾性を示すのが好ましい。特に、超音波伝達部材16の全部あるいは一部を、「形状記憶合金」として知られている1つあるいは複数の金属合金で形成してもよい。
【0015】
本発明の超音波伝達部材16を形成するのに使用可能な超弾性金属合金の例は、米国特許第4,66,906(Jervis)、第4,565,589号(Harrison)、4,505,767号(Quin)、第4,337,090号(Harrison)に詳しく述べられている。米国特許第4,665,906、第4,565,589号、第4,505,767号、第4,337,090号の開示は、本発明の超音波伝達部材16が動作する温度範囲内で超弾性である特定の金属合金の組成物、特性、化学的性質、挙動を述べている範囲で、参照して本明細書に組み込まれる。その超弾性金属合金の全ておよびいずれでも、超弾性超音波伝達部材16を形成するのに使用できる。
【0016】
Yコネクタ18の前部は、カテーテルの技術分野で周知の方法を使って、カテーテル10の近位端12に接続される。注入ポンプ54あるいは点滴バッグ(不図示)あるいはシリンジ(不図示)は、注入チューブ55によって、Yコネクタ18の注入部分すなわち側枝72に接続される(図1参照)。注入ポンプを用いて冷却剤流体をカテーテル10の主内腔15中におよび/または主内腔15を通って注入し、冷却剤流体はカテーテル10の遠位端14に近接して備えられる排水出口32(図2参照)から排出される。冷却剤流体のかかる流れは主内腔15を通って長手方向に延在する超音波伝達部材16の過熱を防止するのに利用できる。カテーテル10の主内腔15を通る冷却剤流体のかかる流れはまた、超音波伝達部材16の外面を洗い流すようにも作用し、それにより冷却剤流体と超音波伝達部材との間の温度を平衡させる。よって、冷却剤流体の温度および/または流速は、超音波伝達部材16の十分な冷却および/または他の温度コントロールを行うように調整される。洗浄流体は、薬剤および/またはマイクロバブルを含んでもよい。
【0017】
前述に加え、注入ポンプ54あるいはシリンジは、画像化のためにカテーテル10中にX線撮影造影剤を注入するのに利用できる。注入ポンプ54を介してカテーテル10中に選択的に注入されるヨウ化X線撮影造影剤の例は、米国ニュージャージー州ワインのBerlex LabsからのAngiovistとして、また、米国ミズーリ州セントルイスのからのHexabrixとして市販されている。
【0018】
Yコネクタ18の近位端は、Yコネクタ18の近位端をカテーテルノブ20の遠位端のねじ付き遠位穴(不図示)内にねじ係合することにより、カテーテルノブ20の遠位端に接続される。
【0019】
超音波伝達部材16の近位端は不図示の音波コネクタに接続され、音波コネクタは、超音波伝達部材16の近位端を超音波振動子24のホーンに動作可能かつ取り外し可能な接続ができるように構成される。音波コネクタは、超音波伝達部材16が最小の横方向運動で超音波伝達部材16を超音波エネルギが通過でき、かつ、同時に超音波伝達部材16の長手方向前進後退振動あるいは運動ができるように、好ましくは構成され、構築される。超音波振動子、音波コネクタおよびそれらの接続の例は、米国特許第6,702,748号、第6,855,123号、第6,942,620号、第6,942,677号に説明され、それらの開示は、あたかも本明細書に十分に説明されているように、参照して本明細書に組み込まれる。
【0020】
図2と図3とを参照して、超音波伝達部材16はその近位端34から遠位端36へ延びる徐々にテーパの付いた領域を有する。たとえば、一番手元の領域38は、超音波伝達部材16の全長で最大の直径である一定の直径を有する。その領域38はその遠位端で第1のテーパ領域40に移行し、第1のテーパ領域40はその遠位端で第2のテーパ領域42へと徐々に直径を減じ、第2のテーパ領域42はその遠位端で第3のテーパ領域44へと徐々に直径を減じ、第3のテーパ領域44はその遠位端で遠位先端36へと徐々に直径を減ずる。各テーパ領域40、42、44は、連続的なテーパを有し、領域40が領域42より大きなテーパを付けられ、次に領域42は領域44よりも大きなテーパを付けられるといったように、異なった角度でテーパを付けられる。領域44の最遠位部は超音波伝達部材16全体の中で最小の直径となる。図3に示す手元側から末端方向への連続的に細くなるようにテーパ付けされることは、超音波エネルギ伝播を改善する。遠位先端36は、先端部分48の近位端に達するまで徐々に直径を増す近位部46を有する。先端部分48は除去するために閉塞物に接触するようになされた丸いあるいは曲面の最遠位端を有する球根形状を有している。このように、遠位先端36は、遠位先端36がカテーテルの先端ヘッドとして機能するように、超音波伝達部材16の残りの部分と比較すると拡がったサイズを有する。
【0021】
図2に示す実施の形態では、カテーテル本体11の遠位端14は開口30を有し、超音波伝達部材16の遠位先端36は、開口30に隣接するカテーテル本体11の主内腔15の内壁62に固定される。固定は接続機構64(接着、溶接あるいは融合でもよい)で近位部46と内壁62の位置で行われ、近位部46の部分が主内腔15の内側で支えられ、遠位先端36の先端部分48がカテーテル本体11の主内腔15の外側に伸びるようになされる。カテーテル本体11の開口30は遠位先端36がカテーテル本体11に接続することにより閉じられる。図2に示す構造は、超音波伝達部材16をカテーテル本体11に直接(接続機構64を介して)接続し、超音波伝達部材16が破損すると追加の保護を提供する。特に超音波伝達部材16が折損し、破損し、あるいはバラバラになっても、遠位先端36は接続機構64を介してカテーテル本体11に固定されたままであり、カテーテル本体11から取り外されることはない。よって、図2の実施の形態ではカテーテル10に対し分離した先端ヘッドを用いず、代わりに先端ヘッドとしてカテーテル本体11の遠位端に直接固定される超音波伝達部材16の遠位先端を用いる。
【0022】
図4および図5は、超音波伝達部材の遠位先端に先端キャップが固定されること以外は図2に示されたものと同じ原理と一般的構造を用いるカテーテル10の遠位端の2つの別の実施の形態を図示する。したがって、図4および図5では数字符号に「a」、「b」がそれぞれ吹か付加される以外は、同一のあるいは類似の要素を示すのに図2、図4および図5で同じ数字符号が使用される。図2の実施の形態と図4および図5の実施の形態との差異を以下に説明する。
【0023】
図4の遠位端14aは、超音波伝達部材16aの遠位先端36aの先端部分48aに保護キャップ66aが固定されている点で、図2の遠位端14と異なる。保護キャップ66aはカテーテル10の先端として機能する。遠位先端36a自体も、先端部分48aが球根形あるいは曲面ではなく、平面の遠位端68aで終端となる一定の直径を有する点で、図2の遠位先端36とは異なった形状をしている。保護キャップ66aは、開口した近位端と曲がったあるいは球根形の遠位端70aを有する円筒形状をしている。遠位先端36aの先端部分48aは、保護キャップ66aの開口した近位端を介して保護キャップ66aの空洞穴72aに収納され、接続機構74a(接続機構64と同じであってもよい)を介して穴72aの内側で保護キャップ66aに固定される。保護キャップ66aは、遠位先端36aの視界を改良するようにX線不透過性の材料で作られてもよい。
【0024】
さらに、接続機構64の代わりに、図4および図5の実施の形態では中間部材64aを備える。中間部材64aは、超音波伝達部材16aの周りで、超音波伝達部材16aとカテーテル本体11aの内壁62aの間に位置する円筒形部品である。中間部材64a(64、64bも同様)は、熱を効率よく伝えずあるいは熱伝導せず、超音波伝達部材16aとカテーテル本体11aとに簡単に接続できる材料で作られるのが好ましい。その材料の例としては、ある種のエポキシ、ポリマー、プラスチックおよびゴムが含まれる。一実施の形態によれば、中間部材64aは超音波伝達部材16aと内壁62aに融合される。別の実施の形態によれば、中間部材64aは超音波伝達部材16aと内壁62aに結合される。さらに別の実施の形態によれば、中間部材64aは超音波伝達部材16aに融合され、内壁62aに結合されることもできる。中間部材64aは、超音波伝達部材16aが中間部材64aより手前の位置で破損したときに、カテーテル本体11内に超音波伝達部材64aを保持する安全機構として作用する。しかし、中間部材64aは、破損が遠位先端36aで生ずると、遠位先端36aを保持することはできないであろう。
【0025】
図5の遠位端14bは以下のように図4の遠位端14aと異なる。第1に、ガイドワイヤポート58a、ガイドワイヤ25aおよびガイドワイヤ内腔60aが省かれている。第2に遠位先端36b自体が、末端延長76bが先端部分48bから遠位方向に伸びている点で図4の遠位先端36aと異なった形状をしている。末端延長76bは、拡がった先端部分48bの直径より小さな一定の直径を有し、また、末端延長76bは、保護キャップ66bの開口した近位端を介して保護キャップ66bの中空穴72bに受け入れられ、接続機構74b(接続機構64と同じであってもよい)を介して穴72b内で保護キャップ66bに固定される。保護キャップ66bも遠位先端36aの視界を改良するようにX線不透過性の材料で作られてもよい。
【0026】
第3に、図5の中間部材64bは中間部材64aとは異なる形状をしている。中間部材64bは、概して遠位端78b(円錐形の基礎部となる)で広い径と近位端80b(円錐形の細い先端となる)で狭い径あるいは寸法を有する円錐形状をしている。中間部材64bの中空内部82bは遠位端78bの近傍で最大内径を有し、近位端80bの近傍で最小内径へと減少する。中間部材64bのこの形状により、超音波伝達部材16bを中間部材64bに直接接続する必要なしで、超音波伝達部材16bを中空内部82bに適合させ、保持することができる。特に、領域44bと遠位先端36bとの間の移行部分(すなわち、超音波伝達部材16bの直径が最小のところ)が中間部材64bの近位端80bの細い開口で支持されて、部分46bと部分48bとが中空内部82b内に保持される。別の表現では、近位端80bは超音波伝達部材16bの寸法段差(すなわち、領域44bと遠位先端36b間の移行部分)に重なり合う。末端延長76bは、中間部材64bの遠位端78bで別の開口中に延在する。追加の保護や安全性を付与するために、いかなるあるいは全ての部分46b、48bは中間部材64bの内壁に結合されてもよい。中間部材64bの外面84bは、結合、融合あるいは接着でカテーテル本体11bの開口した遠位端に接続でき、中間部材64bの一部分はカテーテル本体11bの遠位端を越えて延在する。
【0027】
図4と図5の実施の形態を比較すると、中間部材64bは「重なり合った」形状をしており、中間部材64bは超音波伝達部材16bに沿って寸法段差に据えられるので追加的保護を提供し、中間部材64bがカテーテル本体11bに接続されている限り、超音波伝達部材16bの手前部分を常にカテーテル本体11b内に保持する。
【0028】
図6は、図4の実施の形態に対して行った改変を図示する。図4と図6の実施の形態では同一の原理と一般的な構造とを利用しているので、「c」を図6の数字符号に追加する以外は、同一のあるいは類似の要素を示すのに図4と図6とで同一の数字符号を用いる。
【0029】
図6では、カテーテル本体11c、ガイドワイヤポート58c、ガイドワイヤ内腔60c、ガイドワイヤ25c、超音波伝達部材16c、および保護キャップ66cは、図4のカテーテル本体11a、ガイドワイヤポート58a、ガイドワイヤ内腔60a、ガイドワイヤ25a、超音波伝達部材16a、および保護キャップ66aと同じである。主たる差異は、中間部材64aがここではアンカーワイヤ64cの形で実施され、アンカーワイヤ64cはポリマーか金属のいずれかでよい。アンカーワイヤ64cの一端86cはカテーテル本体11cの内壁62cに接続され(たとえば、接着、融合、結合により)、アンカーワイヤ64cの他端88cは遠位先端36cとカップ66cに接続される(たとえば、接着、結合、あるいは溶接により)。超音波伝達部材16cがいずれかの位置で破損したとしても、超音波伝達部材16cはカテーテル本体11c内に保持される。
【0030】
図7は、図6の実施の形態に対して行った改変を図示する。特に、図6と図7の実施の形態は、ガイドワイヤポート58c、ガイドワイヤ内腔60cおよびガイドワイヤ25cが図7で省略され、アンカーワイヤ64dが超音波伝達部材16dの遠位端には接続されるが、保護キャップ66dには接続されないこと以外は、同じである。したがって、「d」を図7の数字符号に追加する以外は、同一の要素を示すのに図6と図7とで同一の数字符号を用い、図7の要素のさらなる説明は必要ない。
【0031】
アンカーワイヤ64cあるいは64dを保護キャップ66cあるいは66dに接続すること、あるいは、アンカーワイヤ64cあるいは64dを保護キャップ66cあるいは66dに接続しないことは、異なった選択肢を提供する。アンカーワイヤ64cを保護キャップ66cに接続することは、遠位先端36cであるいはその近くで破損が生じても、保護キャップ66cあるいは遠位先端36cが外れることを防止する。しかし、そのような位置での破損は稀であり、よって図7の実施の形態(アンカーワイヤ64dがキャップ66dに接続されていない)を用いることもできる。
【0032】
図8は、図4の実施の形態に対して行った改変を図示する。特に、図4と図8の実施の形態は、保護キャップ66eの手前部分がカテーテル本体11eの内部に延在する環状エッジ67eを有すること以外は、同じである。したがって、「e」を図8の数字符号に追加する以外は、同一の要素を示すのに図4と図8とで同一の数字符号を用い、図8の要素のさらなる説明は必要ない。環状エッジ67eはカテーテル本体11eに接続せず、カテーテル本体11eとは分離されている。保護キャップ66eの一部分をカテーテル本体11e内に延在させることによる1つの利点は、この構成により遠位キャップ66eとカテーテル本体11eとの間でスムースで当たりのよい移行が提供できることである。このスムースな移行は遠位端14eの曲がりくねった生体構造中での位置決めを容易にする。また、カテーテル本体11eの固定されていない先端は、振動子から遠位端14eへの超音波エネルギの伝達を改良することになる。
【0033】
図9は、図5の実施の形態に対して行った改変を図示する。特に、図5と図9の実施の形態は、中間部材64fがカテーテル本体11f中に完全に保持されること、および、保護キャップ66fの手前部分がカテーテル本体11fの内部に延在する環状エッジ67fを有すること以外は、同じである。したがって、「f」を図9の数字符号に追加する以外は、同一の要素を示すのに図5と図9とで同一の数字符号を用い、図9の要素のさらなる説明は必要ない。
【0034】
__ 図2、図4、図6、図8の実施の形態ではガイドワイヤが含まれているが、図5、図7
、図9の実施の形態ではガイドワイヤが省かれている。ガイドワイヤを使用したり省いたりすることを示す実施の形態は、参照として示されたに過ぎない。本発明の原理はガイドワイヤを含むカテーテルあるいは含まないカテーテルに適用できる。ガイドワイヤを使用したり省いたりすることは臨床医の選択に委ねられ、アクセスの困難性や特定の臨床状況により決定されることが多い。たとえば、対象とする病変が血管の直線部分にあれば、ガイドワイヤなしの実施の形態を用いる可能性が高く、比較的容易である。一方、対象とする病変が血管の曲がりくねった位置にあれば、ガイドワイヤを用いた実施の形態は臨床医が遠位先端36を病変の位置に導くのを助けるであろう。
【0035】
上記の説明では本発明の特定の実施の形態を参照したが、本発明の思想から離れることなく多くの改変を行うことができることは分かるであろう。添付の特許請求の範囲はそれらの改変が本発明の真の範囲と思想内となるようにそれらの改変の範囲に及ぶことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い可撓性のカテーテル本体であって、近位端と遠位端とカテーテル本体を長手方向に通る内腔とを有するカテーテル本体と;
前記カテーテル本体の前記内腔を長手方向に通って延在する超音波伝達部材であって、前記超音波伝達部材は分離した超音波発生器に接続される近位端と前記カテーテル本体の遠位端で終端となる遠位端とを有し、前記超音波伝達部材の前記遠位端の少なくとも一部は前記カテーテル本体の前記内腔の外側に前記カテーテル本体の遠位端を越えて延在し、前記超音波伝達部材は接続手段を介して前記カテーテル本体に直接接続される、超音波伝達部材とを備える;
超音波カテーテル。
【請求項2】
前記接続手段は接着剤である;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項3】
前記超音波伝達部材の前記遠位端は球根形状である;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項4】
前記超音波伝達部材の前記遠位端は寸法段差を有する;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項5】
前記接続手段は中間部材である;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項6】
前記中間部材はチューブ形状をしている;
請求項5に記載の超音波カテーテル。
【請求項7】
前記接続手段は、一端が前記カテーテル本体に接続され、他端が前記超音波伝達部材に接続されるアンカーワイヤである;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項8】
前記超音波伝達部材は、超弾性金属合金で形成される;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項9】
前記超音波伝達部材の前記遠位端は遠位先端を有し、前記接続手段は前記遠位先端を前記カテーテル本体に接続する;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項10】
前記カテーテル本体の前記遠位端に位置し前記カテーテル本体とは分離しているキャップをさらに含み、前記キャップは前記超音波伝達部材の前記遠位端に固定される;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項11】
前記カテーテル本体の前記内腔内に少なくとも部分的に延在するガイドワイヤ内腔をさらに含む;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項12】
前記ガイドワイヤ内腔は、前記カテーテル本体の前記近位端より前記カテーテル本体の前記遠位端に近い位置のガイドワイヤポートに端がある;
請求項11に記載の超音波カテーテル。
【請求項13】
前記ガイドワイヤポートは、前記カテーテル本体の前記遠位端に近接して位置する;
請求項12に記載の超音波カテーテル。
【請求項14】
前記超音波伝達部材の前記遠位先端は、前記遠位先端の手前側である中間領域より大きな直径を有する;
請求項9に記載の超音波カテーテル。
【請求項15】
前記ガイドワイヤ内腔は、前記内腔に伴って延在する;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項16】
前記カテーテル本体の前記遠位端に位置し、前記内腔と連通する流体出口ポートをさらに含む;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項17】
前記超音波伝達部材は近位端から遠位端に徐々にテーパが付けられている;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項18】
前記超音波伝達部材は近位端に手元領域を有し、また、前記超音波伝達部材の前記近位端と遠位端の間に中間領域を有し、前記超音波伝達部材の前記遠位端は前記中間領域より大きな直径を有している;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項19】
前記超音波伝達部材は接続手段を介して前記カテーテル本体に動かないように接続される;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項20】
前記超音波伝達部材は接続手段を介して前記カテーテル本体に動けるように接続される;
請求項1に記載の超音波カテーテル。
【請求項21】
前記中間部材は、前記超音波伝達部材と前記カテーテル本体とに接続される;
請求項5に記載の超音波カテーテル。
【請求項22】
前記中間部材は、前記超音波伝達部材に接続されるが、前記カテーテル本体には接続されない;
請求項5に記載の超音波カテーテル。
【請求項23】
細長い可撓性のカテーテル本体であって、近位端と遠位端とカテーテル本体を長手方向に通る内腔とを有するカテーテル本体と;
前記カテーテル本体の前記内腔を長手方向に通って延在する超音波伝達部材であって、前記超音波伝達部材は分離した超音波発生器に接続される近位端と前記カテーテル本体の遠位端で終端となる遠位端とを有し、前記超音波伝達部材は接続手段を介して前記カテーテル本体に直接接続される、超音波伝達部材と;
前記カテーテル本体の前記遠位端の遠位側に位置し、前記カテーテル本体とは分離しているキャップであって、前記キャップは前記超音波伝達部材の前記遠位端に固定される、キャップとを備える;
超音波カテーテル。
【請求項24】
前記キャップは、前記カテーテル本体より大きな外径を有する;
請求項23に記載の超音波カテーテル。
【請求項25】
前記キャップは部分的に前記カテーテル本体の内側に位置する;
請求項23に記載の超音波カテーテル。
【請求項26】
細長い可撓性のカテーテル本体であって、近位端と遠位端とカテーテル本体を長手方向に通る内腔とを有するカテーテル本体と;
前記カテーテル本体の前記内腔を長手方向に通って延在する超音波伝達部材であって、前記超音波伝達部材は分離した超音波発生器に接続される近位端と前記カテーテル本体の遠位端で終端となる遠位端とを有し、前記超音波伝達部材の前記遠位端の少なくとも一部は前記カテーテル本体の内腔の外側に前記カテーテル本体の遠位端を越えて延在する、超音波伝達部材と;
前記超音波伝達部材の前記遠位端に接続されるキャップと;
前記キャップを前記カテーテル本体に接続する接続手段とを備える;
超音波カテーテル。
【請求項27】
前記接続手段は、一端が前記カテーテル本体に接続し、他端が前記キャップに接続するアンカーワイヤである;
請求項26に記載の超音波カテーテル。
【請求項28】
血管中の組織を除去する方法であって:
a.細長い可撓性のカテーテル本体であって、近位端と遠位端とカテーテル本体を長手方向に通る内腔とを有するカテーテル本体と;
前記カテーテル本体の前記内腔を長手方向に通って延在する超音波伝達部材であって、前記超音波伝達部材は分離した超音波発生器に接続される近位端と前記カテーテル本体の遠位端で終端となる遠位端とを有し、前記超音波伝達部材の前記遠位端の少なくとも一部は前記カテーテル本体の内腔の外側に前記カテーテル本体の遠位端を越えて延在し、前記超音波伝達部材は前記カテーテル本体に直接動かないように接続される、超音波伝達部材とを備える;
超音波カテーテルを提供することと;
b.前記超音波伝達部材の前記遠位端が前記組織に直接接触するようにすることとを備える;
方法。
【請求項29】
前記超音波伝達部材を前記カテーテル本体に接続する中間部材を提供することをさらに備える;
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
血管中の組織を除去する方法であって:
a.細長い可撓性のカテーテル本体であって、近位端と遠位端とカテーテル本体を長手方向に通る内腔とを有するカテーテル本体と;
前記カテーテル本体の前記内腔を長手方向に通って延在する超音波伝達部材であって、前記超音波伝達部材は分離した超音波発生器に接続される近位端と前記カテーテル本体の遠位端で終端となる遠位端とを有し、前記超音波伝達部材の前記遠位端の少なくとも一部は前記カテーテル本体の内腔の外側に前記カテーテル本体の遠位端を越えて延在し、前記超音波伝達部材は前記カテーテル本体に直接接続される、超音波伝達部材と;
前記カテーテル本体の前記遠位端の遠位側に位置し、前記カテーテル本体とは分離しているキャップであって、前記キャップは前記超音波伝達部材の前記遠位端に固定される、キャップとを備える;
超音波カテーテルを提供することと;
b.前記キャップが前記組織に直接接触するようにすることとを備える;
方法。
【請求項31】
前記超音波伝達部材を前記カテーテル本体に接続する中間部材を提供することをさらに備える;
請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−99561(P2013−99561A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−6369(P2013−6369)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2009−536236(P2009−536236)の分割
【原出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(505071295)フローカルディア, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】