説明

硫黄資材の固化施工方法

【課題】硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を簡単な装置を使用して融解し固化させることにより、容易に施工することを可能とする。
【解決手段】硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料1を施工面2上に敷いておき、この施工用材料1の上方に配置されたパネル状の加熱手段3の熱で上記施工用材料1を所定温度以上に加熱して融解し、この融解した施工用材料1を冷却させて施工面2上に固化させるものである。これにより、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料1を簡単な装置を使用して融解し固化させることにより、容易に施工することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硫黄成分を含有する硫黄資材を施工面上に固化させる硫黄資材の固化施工方法に関し、詳しくは、上記硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を簡単な装置を使用して融解し固化させることにより、容易に施工することができる硫黄資材の固化施工方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、土木用、建設用の資材として、骨材をセメントで結合させたコンクリートが用いられている。これに対して、近年、常温では固体でありおよそ119℃以上に加熱されると溶融するという硫黄の性質に着目し、この硫黄に所定の試料を配合して、土木用、建設用の資材の一つとして利用することが試みられている。上記硫黄を使用した硫黄資材は、セメントを使用する通常のコンクリートに比べて高強度で遮水性に優れ、かつ耐酸性の高い材料として知られている。そして、硫黄資材は、通常のコンクリートと仕上がりや取り扱いが見かけ上類似していることから、固化したものは硫黄コンクリート又は硫黄固化体と呼ばれることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、硫黄は着火性を有しており危険物扱いであるので、現場で溶融し打設固化して施工することが困難である。ところが、護岸構造物のような大型の構造物の場合は、硫黄資材を使用現場に近いところで製造する必要がある。そこで、このような状況を改善するために、溶融硫黄に添加剤として硫黄改質剤を混合してその硫黄を変性し、改質硫黄を製造することが試みられている。また、この改質硫黄と微粉末とを混合して溶融物状の改質硫黄中間資材を製造すること、及び、この改質硫黄中間資材と骨材とを混合しこれを固化させて改質硫黄固化体を製造することが試みられている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−160693号公報
【特許文献2】特開2005−82475号公報
【0004】
上述の改質硫黄中間資材及び改質硫黄固化体等の硫黄資材は、非危険物扱いとされる。したがって、例えば改質硫黄中間資材を製造プラントで予め製造しておき、これを一旦固化させて現場まで輸送し、現場にて融解させて骨材と混合し、打設固化すれば現場で安全に施工することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような硫黄資材の現場での施工においては、一旦固化させて現場まで輸送された例えば改質硫黄中間資材を、施工する前に所定温度(例えば119℃)以上に加熱して融解し、この融解した改質硫黄中間資材を施工面に適宜の厚さで撒き延ばして、その状態で上記改質硫黄中間資材を冷却させて施工面上に固化させることとなる。この場合は、施工現場に硫黄資材を融解するための大型の装置が必要となり、現場での硫黄資材の施工が大掛かりとなるものであった。したがって、現場において硫黄資材を容易に施工することができないこととなる。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を簡単な装置を使用して融解し固化させることにより、容易に施工することができる硫黄資材の固化施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明による硫黄資材の固化施工方法は、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に敷いておき、この施工用材料の上方に配置されたパネル状の加熱手段の熱で上記施工用材料を所定温度以上に加熱して融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に固化させるものである。
【0008】
このような方法により、硫黄成分を含有する硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に所定の面積で敷いておき、この施工用材料の上方に配置されたパネル状の加熱手段の熱で上記施工用材料を所定温度以上に加熱して融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に所定面積で固化させる。
【0009】
上記施工用材料を所定温度以上に加熱する加熱手段は、電熱ヒータとされている。これにより、電熱ヒータで施工用材料を所定温度以上に加熱する。
【0010】
さらに、上記加熱手段の周囲には、所定長さで下方に垂れ下がるスカート部が設けられている。これにより、加熱手段の周囲に所定長さで下方に垂れ下がって設けられたスカート部で、上記加熱手段の熱が周囲に逃げないようにする。
【0011】
また、第2の発明による硫黄資材の固化施工方法は、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に敷いておき、この施工用材料の上面に、熱源により上面側から所定温度以上に加熱されたパネル状の伝熱部材の下面側を押し当て、この伝熱部材の熱で上記施工用材料を融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に固化させるものである。
【0012】
このような方法により、硫黄成分を含有する硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に所定の面積で敷いておき、この施工用材料の上面に、熱源により上面側から所定温度以上に加熱されたパネル状の伝熱部材の下面側を押し当て、上記施工用材料を間接的に加熱して融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に所定面積で固化させる。
【0013】
上記伝熱部材を加熱する熱源は、電熱ヒータとされている。これにより、電熱ヒータでパネル状の伝熱部材を上面側から所定温度以上に加熱する。
【0014】
さらに、上記伝熱部材を加熱する熱源は、ガスバーナとされている。これにより、ガスバーナでパネル状の伝熱部材を上面側から所定温度以上に加熱する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、硫黄成分を含有する硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に所定の面積で敷いておき、この施工用材料の上方に配置されたパネル状の加熱手段の熱で上記施工用材料を所定温度以上に加熱して融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に所定面積で固化させることができる。したがって、硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を簡単な装置を使用して融解し固化させることにより、容易に施工することができる。このことから、施工現場に硫黄資材を融解するための大型の装置が必要なく、現場での硫黄資材の施工が簡易となる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、電熱ヒータで施工用材料を所定温度以上に加熱して融解することができる。この場合は、加熱のオン、オフ及び加熱温度の調節を容易に行って、施工用材料を所定温度以上に加熱して融解することができる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば、加熱手段の周囲に所定長さで下方に垂れ下がって設けられたスカート部で、上記加熱手段の熱が周囲に逃げないようにすることができる。この場合は、加熱手段の熱を有効に利用して、施工用材料を所定温度以上に加熱して融解することができる。
【0018】
また、請求項4に係る発明によれば、硫黄成分を含有する硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に所定の面積で敷いておき、この施工用材料の上面に、熱源により上面側から所定温度以上に加熱されたパネル状の伝熱部材の下面側を押し当て、上記施工用材料を間接的に加熱して融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に所定面積で固化させることができる。したがって、硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を簡単な装置を使用して融解し固化させることにより、容易に施工することができる。このことから、施工現場に硫黄資材を融解するための大型の装置が必要なく、現場での硫黄資材の施工が簡易となる。
【0019】
さらに、請求項5に係る発明によれば、電熱ヒータでパネル状の伝熱部材を上面側から所定温度以上に加熱することができる。この場合は、加熱のオン、オフ及び加熱温度の調節を容易に行って、施工用材料を所定温度以上に加熱して融解することができる。
【0020】
さらにまた、請求項6に係る発明によれば、ガスバーナでパネル状の伝熱部材を上面側から所定温度以上に加熱することができる。この場合は、ガスバーナの火力によって短時間で施工用材料を所定温度以上に加熱して融解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、第1の発明による硫黄資材の固化施工方法の実施形態を示す断面説明図である。この硫黄資材の固化施工方法は、硫黄成分を含有する硫黄資材を施工面上に固化させるもので、図1に示すように、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料1を施工面2上に敷いておき、この施工用材料1の上方に配置されたパネル状の加熱手段3の熱で上記施工用材料1を所定温度以上に加熱して融解し、この融解した施工用材料1を冷却させて施工面2上に固化させることにより、硫黄資材を固化施工する。
【0022】
上記施工用材料1は、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕したもの(例えば粒径5mm以下の粒状又は粉末状)である。上記硫黄固化体は、常温では固体でありおよそ119℃を超えると溶融するという硫黄の性質を利用して、119℃以上に加熱して溶融させた硫黄に砂や砂利、石炭灰等を混合して、およそ119℃〜159℃を保持しながら練り混ぜ、これを冷却固化させて製造したものである。なお、ここでは、同様に加熱して溶融させた硫黄と、この溶融硫黄を変性する硫黄改質剤とを混合して改質硫黄を製造し、この改質硫黄に砂や砂利、石炭灰等を混合して、上記と同様に加熱しながら練り混ぜ、これを冷却固化させて製造した改質硫黄固化体を含むものとする。以下の説明では、このような硫黄固化体又は改質硫黄固化体を所定の大きさに破砕したものを施工用材料1とする。
【0023】
ここで、上記改質硫黄固化体について更に詳細に説明する。改質硫黄固化体は、硫黄と、硫黄改質剤と、微細粉と、骨材とを原料として製造される。まず、溶融した硫黄と硫黄改質剤とを混合して改質硫黄を製造する。硫黄は、通常の単体硫黄であり、例えば天然産、又は石油や天然ガスの脱硫によって生成した硫黄等が挙げられる。硫黄改質剤は、溶融硫黄を変性、例えば硫黄を重合することによって改質する。この硫黄改質剤としては、例えば炭素数4〜20のオレフィン系炭化水素又はジオレフィン系炭化水素、具体的には、リモネン、ピネン等の環状オレフィン系炭化水素、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン等の芳香族炭化水素、ジシクロペンタジエン及びそのオリゴマ−、シクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロオクタジエン等のジエン系炭化水素等の1種又は2種以上との混合物が挙げられる。上記硫黄と硫黄改質剤との混合は、硫黄が溶融した状態、すなわち119℃以上の温度で行われ、製造された改質硫黄も溶融状態に保たれる。
【0024】
得られた改質硫黄は、所定の温度(例えば150℃)以上に加温された微細粉と混合されて改質硫黄中間資材とされる。微細粉としては、石炭灰、珪砂、シリカヒューム、ガラス粉末、燃料焼却灰、電気集塵灰及び貝殻砕粉のうち1種又は2種以上を選択すればよい。
【0025】
上記得られた改質硫黄中間資材は、溶融状態を保つことのできる温度(例えば119℃)以上に保持された状態で、例えば120〜130℃程度に加温された骨材と混合される。この骨材は、骨材として使用可能であれば特に限定されず、一般にコンクリートで用いられる骨材を使用できる。このような骨材としては、例えば、天然石、砂、れき、硅砂、鉄鋼スラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、金属の製造時に生成される副生物、石炭灰、燃料焼却灰、電気集塵灰、溶融スラグ類、貝殻及びこれらの混合物等からなる群より選択される1種又は2種以上が挙げられる。
【0026】
上記の改質硫黄中間資材と骨材とを、例えば混練装置を用いて混合することによって改質硫黄資材が製造され、これを冷却して固化させることで改質硫黄固化体が製造される。
【0027】
上記のように製造された改質硫黄固化体又は硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料1は、施工面2上の所定の位置に敷き詰められる。例えば、護岸工事において護岸構造物を製造すべき場所の施工面2上に所定の面積(例えば1m2)で適宜の厚さに敷かれる。
【0028】
上記施工面2上に敷き詰められた施工用材料1の上方には、加熱手段3が配置される。この加熱手段3は、上記施工用材料1を所定温度(例えば119℃)以上に加熱して融解するもので、上記敷き詰められた施工用材料1の面積と同等か、或いは、それよりも大きい面積のパネル状に形成されている。具体的には、例えば1000mm×1000mmのパネル状の電熱ヒータから成り、施工用材料1の上方の適宜の高さに配置される。そして、この加熱手段3には、リード線を介して温度調節器4が接続されており、その発熱温度を所定温度以上、例えば130〜150℃程度に調節できるようになっている。このとき、上記施工面2上に敷き詰められた施工用材料1の表面には、熱電対などの温度センサ5が置かれ、この温度センサ5で施工用材料1の表面温度を検出して上記温度調節器4に送り、該施工用材料1の表面温度が119℃以上になるように加熱手段3の発熱温度を調節する。なお、上記加熱手段3の上面側は、保温材又は断熱材で覆ってもよい。図1では、電源は図示省略している。
【0029】
上記加熱手段3の周囲には、スカート部6が設けられている。このスカート部6は、上記加熱手段3の熱が周囲に逃げないようにするもので、所定長さで下方に垂れ下がっており、例えばゴム等の可撓性材料から成る。使用時には、上記スカート部6の下端部が施工用材料1の周囲の施工面2に接する程度の高さに、加熱手段3を保持する。なお、加熱手段3の熱が周囲にあまり逃げないような状態においては、上記スカート部6は設けなくてもよい。
【0030】
この状態で、施工用材料1の上方に配置された加熱手段3を動作して発熱させる。そして、その加熱手段3の熱で上記施工用材料1を所定温度(例えば119℃)以上に加熱して、施工用材料1の全体を融解する。その後、この融解した施工用材料1を自然冷却により冷却させて施工面2上に固化させる。
【0031】
これにより、改質硫黄固化体又は硫黄固化体を所定の大きさに破砕した粒状又は粉末状の施工用材料1を、施工面2上の所定の位置に敷き詰めた状態のまま融解した後、冷却させて施工面2上に固化させることができる。したがって、施工現場において、パネル状の加熱手段3という簡単な装置を使用して施工用材料1を融解し固化させることにより、硫黄資材を容易に施工することができる。
【0032】
図2は、第2の発明による硫黄資材の固化施工方法の実施形態を示す断面説明図である。この硫黄資材の固化施工方法は、図2に示すように、硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料1を施工面2上に敷いておき、この施工用材料1の上面に、熱源7により上面側から所定温度以上に加熱されたパネル状の伝熱部材8の下面9側を押し当て、この伝熱部材8の熱で上記施工用材料1を融解し、この融解した施工用材料1を冷却させて施工面2上に固化させることにより、硫黄資材を固化施工する。
【0033】
上記伝熱部材8は、施工面2上に敷き詰められた施工用材料1の上面にその下面9側を押し当ててその熱で該施工用材料1を融解するもので、上記敷き詰められた施工用材料1の面積と同等か、或いは、それよりも大きい面積のパネル状に形成され、上面側から加熱されるようになっている。具体的には、例えば1000mm×1000mmのパネル状に形成された鉄などの金属板材から成る。
【0034】
上記伝熱部材8の上面側に接して、熱源7が配設されている。この熱源7は、伝熱部材8を所定温度(例えば119℃)以上で好ましくは130〜150℃程度に加熱するもので、上記伝熱部材8の面積と同等の大きさのパネル状の電熱ヒータから成る。そして、この熱源7には、リード線を介して温度調節器4が接続されており、その発熱温度を所定温度以上、例えば130〜150℃程度に調節できるようになっている。なお、上記熱源7の上面側は、保温材又は断熱材で覆ってもよい。図2では、電源は図示省略している。
【0035】
この状態で、伝熱部材8の上面側に配設された熱源7を動作して発熱させ、伝熱部材8を所定温度(例えば119℃)以上に加熱する。そして、この伝熱部材8の熱で上記施工用材料1を所定温度(例えば119℃)以上に加熱して、施工用材料1の全体を融解する。その後、この融解した施工用材料1を自然冷却により冷却させて施工面2上に固化させる。
【0036】
これにより、図1に示すと同様に、改質硫黄固化体又は硫黄固化体を所定の大きさに破砕した粒状又は粉末状の施工用材料1を、施工面2上の所定の位置に敷き詰めた状態のまま融解した後、冷却させて施工面2上に固化させることができる。したがって、施工現場において、パネル状の伝熱部材8及び熱源7という簡単な装置を使用して施工用材料1を融解し固化させることにより、硫黄資材を容易に施工することができる。
【0037】
図3は、図2に示す伝熱部材8を加熱する熱源7の他の実施形態を示す断面説明図である。この実施形態は、伝熱部材8を上面側から所定温度(例えば119℃)以上に加熱する熱源7として、1本又は複数本のガスバーナ10を用いたものである。この場合、ガスバーナ10の燃焼炎11が上記伝熱部材8の上面側の略全面にわたって当たり、該伝熱部材8を上面側から加熱するようになっている。このとき、上記ガスバーナ10の燃焼炎11が伝熱部材8の周囲から外方に洩れないようにするため、該伝熱部材8の周囲四辺にて直立する囲み板12が設けられている。なお、図3において、符号13は、上記ガスバーナ10にLPG等のガスを供給するガスパイプを示している。
【0038】
この状態で、伝熱部材8の上面側に配設されたガスバーナ10に点火して燃焼炎11を発生させる。このとき、図示省略のガス量調整ツマミを操作してガス量を調整し、燃焼炎11の火力を調節して、伝熱部材8を上面側から加熱して所定温度(例えば119℃)以上とする。そして、この伝熱部材8の下面側の熱で上記施工用材料1を所定温度(例えば119℃)以上に加熱して、施工用材料1の全体を融解する。その後、この融解した施工用材料1を自然冷却により冷却させて施工面2上に固化させる。
【0039】
これにより、図2に示すと同様に、改質硫黄固化体又は硫黄固化体を所定の大きさに破砕した粒状又は粉末状の施工用材料1を、施工面2上の所定の位置に敷き詰めた状態のまま融解した後、冷却させて施工面2上に固化させることができる。したがって、施工現場において、パネル状の伝熱部材8及びガスバーナ10という簡単な装置を使用して施工用材料1を融解し固化させることにより、硫黄資材を容易に施工することができる。
【0040】
なお、図2及び図3の説明では、熱源7は、電熱ヒータ又はガスバーナ10としたが、本発明はこれに限られず、伝熱部材8の上面側から間接的に加熱する形式であれば、ドライヤー、ヒートガン又はスチーム等のいずれを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の発明による硫黄資材の固化施工方法の実施形態を示す断面説明図である。
【図2】第2の発明による硫黄資材の固化施工方法の実施形態を示す断面説明図である。
【図3】図2に示す伝熱部材を加熱する熱源の他の実施形態を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1…施工用材料
2…施工面
3…加熱手段(電熱ヒータ)
4…温度調節器
5…温度センサ
6…スカート部
7…熱源(電熱ヒータ)
8…伝熱部材
9…伝熱部材の下面
10…ガスバーナ
11…燃焼炎
12…囲み板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に敷いておき、この施工用材料の上方に配置されたパネル状の加熱手段の熱で上記施工用材料を所定温度以上に加熱して融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に固化させることを特徴とする硫黄資材の固化施工方法。
【請求項2】
上記加熱手段は、電熱ヒータであることを特徴とする請求項1記載の硫黄資材の固化施工方法。
【請求項3】
上記加熱手段の周囲には、所定長さで下方に垂れ下がるスカート部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の硫黄資材の固化施工方法。
【請求項4】
硫黄成分を含有する硫黄資材を固化させた硫黄固化体を所定の大きさに破砕した施工用材料を施工面上に敷いておき、この施工用材料の上面に、熱源により上面側から所定温度以上に加熱されたパネル状の伝熱部材の下面側を押し当て、この伝熱部材の熱で上記施工用材料を融解し、この融解した施工用材料を冷却させて施工面上に固化させることを特徴とする硫黄資材の固化施工方法。
【請求項5】
上記伝熱部材を加熱する熱源は、電熱ヒータであることを特徴とする請求項4記載の硫黄資材の固化施工方法。
【請求項6】
上記伝熱部材を加熱する熱源は、ガスバーナであることを特徴とする請求項4記載の硫黄資材の固化施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−204979(P2007−204979A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23355(P2006−23355)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】