説明

硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物

【目的】 硬さ等のゲル特性の経時変化が小さいゲル状硬化物となる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を提供する。
【構成】 (A)1分子中に2個以上の珪素原子結合アルケニル基を含有し、環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.5重量%以下であるジオルガノポリシロキサン、(B)珪素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン、(C)分子鎖両末端に珪素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサン、(D)ヒドロシリル化反応用触媒および(E)無機質充填剤からなる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物に関し、詳しくは、硬化後、ゲル特性の経時変化が小さいゲル状硬化物となる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器は自動車、家庭電化製品等多方面に使用されているが、これら電子機器は使用に際して衝撃や振動により信頼性が低下するため、防振対策が施されている。防振対策として、例えば、電子機器に各種防振部材を併設し、外部からの衝撃や振動を防振部材により吸収する方法がある。
【0003】オルガノポリシロキサンゴム状硬化物またはゲル状硬化物は、耐熱性、耐寒性が要求される特殊な分野の防振部材として使用されており、特に、オルガノポリシロキサンゲル状硬化物は、防振特性が優れているため、電子機器の封止剤として使用されている。このようなオルガノポリシロキサンゲル状硬化物としては、分子鎖末端及び分子鎖側鎖に珪素原子結合アルケニル基を有するジオルガンポリシロキサンと分子鎖末端及び分子鎖側鎖に珪素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンとをヒドロシリル化反応により架橋してなるゲル状硬化物(特開昭48−17847号公報参照)、分岐状の分子鎖末端に珪素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端に珪素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンとをヒドロシリル化反応により架橋してなる耐寒性に優れたゲル状硬化物(特開昭58−7452号公報参照)および分岐状の分子鎖末端に珪素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンと分子鎖両末端に珪素原子結合アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンを分子鎖両末端に珪素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンをヒドロシリル化反応により架橋してなるゲル状硬化物(特開昭62−181357号公報参照)が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これら従来のゲル状硬化物はゲル特性が経時的に変化し易く、例えば、これを、高温度条件下で使用される、電子電気機器類の防振部材として適用した場合には、その硬さが徐々に変化し、長時間使用していると防振特性が低下するという欠点があった。この欠点は、硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物中の珪素原子結合アルケニル基のモル数と珪素原子結合水素原子のモル数の比率を1:1に近づける方法によりある程度改善できるが、この方法によって得られたゲル状硬化物といえども、十分満足できるものではなく、その用途が限られるという欠点があった。
【0005】本発明者は、上記欠点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0006】本発明の目的は、硬化前は作業性に優れ、硬化後は防振特性に優れたゲル状硬化物となる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物であって、特に、硬さ等のゲル特性の経時変化が小さいゲル状硬化物となる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、(A)1分子中に2個以上の珪素原子結合アルケニル基を含有し、25℃における粘度が50〜100,000センチポイズであり、かつ、4量体から20量体までの環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.5重量%以下であるジオルガノポリシロキサン 100重量部、(B)R13SiO1/2単位(式中、R1はアルキル基である。)、R122SiO1/2単位(式中、R1は前記と同じであり、R2はアルケニル基である。)と、SiO2単位からなり、R13SiO1/2単位とR122SiO1/2単位の合計モル数とSiO2単位のモル数の比が(0.6:1)〜(4.0:1)の範囲内にある、珪素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン 1〜50重量部、(C)25℃における粘度が1〜1,000,000センチポイズであり、分子鎖両末端に珪素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサン{但し、(C)成分の添加量は、(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計モル数と、(C)成分の珪素原子結合水素原子のモル数の比が(1:0.2)〜(1:5.0)となる量である。}、(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量および(E)無機質充填剤 0〜30重量部からなる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物により達成される。
【0008】以下、本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物について説明する。
【0009】本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を構成する(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、本発明の組成物の主成分であり、1分子中に2個以上の珪素原子結合アルケニル基を含有し、25℃における粘度が50〜100,000センチポイズであり、かつ、4量体から20量体までの環状シロキサンの含有量が0.5重量%以下である。(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基の数は、1分子中に2個以上であり、これは珪素原子結合アルケニル基が1分子中に2個未満であると得られた組成物が硬化しなくなるためである。(A)成分中の珪素原子結合アルケニル基としては、ビニル基,アリル基,プロペニル基等が挙げられ、その結合位置は分子鎖末端でも分子鎖側鎖でもよい。(A)成分中のアルケニル基以外の珪素原子結合有機基としては、メチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基;フェニル基,トリル基等のアリール基;ベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0010】(A)成分のジオルガノポリシロキサンの骨格は直線状、やや分岐状の何れでもよく、またこれら2種以上の混合物でもよい。(A)成分の粘度は、25℃において50〜100,000センチポイズの範囲であり、好ましくは100〜10,000センチポイズの範囲である。これは粘度が50センチポイズ未満であると、得られた硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物が流れ易く、取扱が困難であり、さらに硬化後のゲル状硬化物の物理的性質が低下するためであり、また、粘度が100,000センチポイズを越えると、得られた硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物の作業性が悪化するためである。
【0011】また、(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、4量体から20量体までの環状シロキサンの含有量が0.5重量%以下であることが必要であり、好ましくは0.1重量%以下である。これは、4量体から20量体までの環状シロキサンの含有量が0.5重量%を越えると、硬化後、ゲル状硬化物のゲル特性が経時変化するためである。
【0012】このような(A)成分は、通常の方法によって得られるジオルガノポリシロキサンから4量体から20量体までの環状ジオルガノシロキサンを除去することにより製造される。この環状ジオルガノシロキサンを除去する方法としては数多くの方法があり、またジオルガノポリシロキサンの種類によって好適な方法はそれぞれ異なる。例えば、比較的低粘度のものであれば、ジオルガノポリシロキサンを薄膜化して、0.5mmHg以下の減圧下において180〜300℃の加熱条件でストリッピングするか、あるいはジオルガノポリシロキサンに低分子ジオルガノシロキサンを溶解し、高分子ジオルガノシロキサンを溶解しない有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール等の有機溶剤を加えて環状ジオルガノシロキサンを除去する方法がある。高粘度のものであれば、まずジオルガノポリシロキサンをトルエンに溶解し、これにメタノール、エタノール等を加えて、高分子ジオルガノシロキサンを沈降させた後、低分子ジオルガノシロキサンを上層の溶剤相から分離する方法がある。ここで、低分子ジオルガノシロキサンはこの溶剤相中に抽出される。次に、この高分子ジオルガノシロキサン中に残存する有機溶剤をストリッピングにより除去するなどの方法が採用できる。
【0013】(A)成分のジオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン,分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,分子鎖片末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖され、もう一方の片末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等が挙げられる。
【0014】本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を構成する(B)成分の珪素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジンは、本発明の特徴をなす成分であり、R13SiO1/2単位、R122SiO1/2単位およびSiO2単位からなるオルガノポリシロキサンレジンである。上式中、R1はメチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基であり、全R1基の少なくとも95モル%以上はメチル基であることが好ましい。また、R2はビニル基,アリル基,ヘキセニル基等のアルケニル基である。上記、R13SiO1/2単位とR122SiO1/2単位の合計モル数とSiO2単位のモル比は(0.6:1)〜(4.0:1)の範囲内である。また、(B)成分の分子量は、あらかじめ(B)成分を(A)成分に可溶化させて使用するため、(A)成分のジオルガノポリシロキサンに可溶な分子量である必要がある。
【0015】(B)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対して1〜50重量部である。これは、(A)成分100重量部に対して(B)成分の添加量が1重量部未満であると、硬化後、ゲル状硬化物の防振特性が低下し、また、50重量部を越えると、硬化後、硬化物がゲル状とならなくなるためである。
【0016】本発明のオルガノポリシロキサンゲル組成物を構成する(C)成分は架橋剤であり、分子鎖両末端に珪素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンである。(C)成分中の珪素原子結合水素原子の結合位置は、分子鎖両末端であるが、一部分子鎖側鎖に存在していても防振特性に影響を与えない限り差し支えない。(C)成分中の珪素原子結合水素原子以外の珪素原子結合有機基としては、メチル基,エチル基,プロピル基等のアルキル基;フェニル基,トリル基等のアリール基;ビニル基,アリル基等のアルケニル基;ベンジル基,フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0017】(C)成分のジオルガノポリシロキサンの構造について特に限定はなく、直線状、やや分岐状のいずれでもよく、これら2種以上を混合して用いてもよい。(C)成分の粘度は25℃において1〜1,000,000センチポイズの範囲であり、これは粘度が1センチポイズ未満であると揮発性が大きくなり、硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物中の(C)成分の含有率が不安定になるためであり、また該粘度が1,000,000センチポイズを越えると工業的に生産することが困難であるからである。
【0018】(C)成分の添加量は、(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計モル数と、(C)成分の珪素原子結合水素原子のモル数の比が(1:0.2)〜(1:5.0)の範囲であることが必要であり、特に、(1:0.4)〜(1:1)の範囲内であることが好ましい。これは、(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計モル数1に対して(C)成分の珪素原子結合水素原子のモル数が0.2未満であると、硬化後、硬化物がゲル状とならなくなり、また5.0を越えると、硬化後、ゲル状硬化物のゲル特性が大きく経時変化するためである。
【0019】本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を構成する(D)成分のヒドロシリル化反応用触媒は、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基と(C)成分中の珪素原子結合水素原子とを付加反応するための触媒であり、一般に知られているヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。(D)成分のヒドロシリル化反応用触媒としては、塩化白金酸,白金とオレフィンの錯体,白金とケトンの錯体,白金とビニルシロキサンとの錯体,白金黒,白金を担持のシリカまたは活性炭等で例示される白金系触媒;テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム,パラジウム黒とトリフェニルフォスフィンとの混合物で例示されるパラジウム系触媒;ロジウム系触媒が挙げられ、これらの中でも白金系触媒が好ましい。
【0020】(D)成分の添加量は触媒量であり、具体的には、(D)成分として白金系触媒を使用する場合、(A)成分、(B)成分および(C)成分の合計重量100万重量部に対して(D)成分中の白金金属として0.01〜1000重量部の範囲であり、好ましくは0.1〜100重量部の範囲である。
【0021】本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を構成する(E)成分は、硬化後のゲル状硬化物に強度を付与するための成分であり、具体的には、沈澱シリカ,煙霧状シリカ,焼成シリカ,煙霧状酸化チタン,粉砕石英,ケイ藻土,アスベスト,アルミノケイ酸塩,酸化鉄,酸化亜鉛,炭酸カルシウム等の無機質充填剤が挙げられる。これらの無機質充填剤は、そのままでも使用できるが、ヘキサメチルジシラザン,トリメチルクロロシラン,オルガノポリシロキサン等の有機珪素化合物で表面処理したものを使用してもよい。
【0022】(E)成分の添加量は、(A)成分100重量部に対して、0〜30重量部の範囲であり、好ましくは3〜20重量部である。これは30重量部を越えると、本発明の組成物が硬化後に、防振特性に優れたゲル状硬化物とならないためである。
【0023】以上のような本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物は、硬化前は作業性に優れ、硬化後のゲル状硬化物はJIS K 6301に規定するJISA形硬度計を使用した測定方法で硬度が0であり、JIS K 2220に規定する稠度測定方法で針入度が300以下であり、かつ、せん断周波数0.01Hz〜10Hzにおける25℃での損失係数(tanδ)が0.1〜2の範囲内であり、各種基材に対して密着性に優れ、広範な振動周波数、環境温度のもとで振動吸収特性に優れたゲル状硬化物となるので、各種電子機器の防振部材、例えばポッティング材、エンキャップシュレーション材として有用である。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例および参考例により説明する。なお、実施例において、ジオルガノポリシロキサン中の環状シロキサンの含有量の測定は、ジオルガノポリシロキサン中の環状シロキサンをアセトンで抽出後、n−ヘキサンを内部標準にしてガスクロマトグラフにより測定した。稠度はJIS K 2220に規定する方法に従って1/4インチコーンを使用して測定した。また、損失係数(tanδ)は厚さ5〜6mm、直径25mmの円形プレート状のゲル状硬化物を作成し、レオメトリック社製ダイナミックアナライザーを使用して測定した。ゲル状硬化物の強度は、JIS K 6301に規定する方法により、3号形ダンベル(厚さ1mm)を使用して測定した。作業性は(A)成分〜(E)成分を混合後真空脱泡する時の作業性を観察した。密着性は硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物をアルミ板上で硬化させ、その密着性を評価した。また、粘度は25℃における値であり、cPはセンチポイズを示す。
【0025】
【参考例1】平衡化反応によって得られた分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度は2,000cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量は4重量%である。)を薄膜状にして、0.5mmHg以下の減圧下で180℃に加熱してストリッピングした。得られたジメチルポリシロキサンは、粘度が2,300cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量が0.1重量%であった。
【0026】
【参考例2】平衡化反応によって得られた分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(粘度は10,040cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量は4重量%である。)を薄膜状にして、0.5mmHg以下の減圧下で180℃に加熱してストリッピングした。得られたジメチルポリシロキサンは、粘度が11,100センチポイズであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量が0.07重量%であった。
【0027】
【実施例1】参考例1で調製したジメチルポリシロキサン88.2重量部、参考例2で調製したジメチルポリシロキサン11.8重量部、(CH33SiO1/2単位39.7モル%,(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位4.8モル%,SiO2単位55.5モル%からなるオルガノポリシロキサンレジン15.3重量部、粘度が16cPの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン7.6重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯塩を上記ジメチルポリシロキサンの合計重量に対して白金金属として5ppmおよび比表面積200m2/gの乾式法シリカ8.2重量部を混合して本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を得た。この組成物中のアルケニル基のモル数と珪素原子結合水素原子のモル数の比は(1:0.59)であった。
【0028】次いで、この組成物を真空脱泡後、70℃で30分間加熱しゲル状硬化物を得た。この組成物は作業性が良好であり、このゲル状硬化物の損失係数(tanδ)の値はせん断周波数0.01Hzにおいて0.65であり、同じく10Hzにおいては0.70であり、稠度は83であり、強度は0.6kgf/cm2であり、硬化途上で接触している基材に対する密着性が良好であった。このゲル状硬化物を150℃オーブン中で放置して稠度の経時変化を測定し、この結果を表1に示した。
【0029】
【比較例1】粘度が2,000cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量が4.0重量%である分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン88.2重量部、粘度が10,000cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量が5.2重量%である分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン11.8重量部、(CH33SiO1/2単位39.7モル%,(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位4.8モル%,SiO2単位55.5モル%からなるオルガノポリシロキサンレジン15.3重量部、粘度が16cPである分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン7.6重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯塩を上記ジメチルポリシロキサンの合計重量に対して白金金属として5ppmおよび比表面積200m2/gの乾式法シリカ8.2重量部を混合して硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を得た。この組成物中のアルケニル基のモル数と珪素原子結合水素原子のモル数の比は(1:0.59)であった。
【0030】次いで、この組成物を真空脱泡後、70℃で30分間加熱しゲル状硬化物を得た。この組成物は作業性が良好であり、このゲル状硬化物の損失係数(tanδ)の値はせん断周波数0.01Hzにおいて0.65であり、同じく10Hzにおいては0.70であり、稠度は94であり、強度は0.6kgf/cm2であり、硬化途上で接触している基材に対して密着性が良好であった。このゲル状硬化物を150℃オーブン中で放置して稠度の経時変化を測定し、この結果を表1に併記した。
【0031】
【比較例2】粘度が2,100cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量が2.0重量%である分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン88.2重量部、粘度が10,500cPであり、4量体から20量体までの環状ジメチルシロキサンの含有量が2.0重量%である分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン11.8重量部、(CH33SiO1/2単位39.7モル%,(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位4.8モル%,SiO2単位55.5モル%からなるオルガノポリシロキサンレジン15.3重量部、粘度が16cPの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン7.6重量部、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンの錯塩を上記ジメチルポリシロキサンの合計重量に対して白金金属として5ppmおよび比表面積200m2/gの乾式法シリカ8.2重量部を混合して硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物を得た。この組成物中のアルケニル基のモル数と珪素原子結合水素原子のモル数の比は(1:0.59)であった。
【0032】次いで、この組成物を真空脱泡後、70℃で30分間加熱しゲル状硬化物を得た。この組成物は作業性が良好であり、このゲル状硬化物の損失係数(tanδ)の値はせん断周波数0.01Hzにおいて0.65であり、同じく10Hzにおいては0.70であった。また、稠度は87であり、硬化途上で接触する基材に対して密着性が良好であった。このゲル状硬化物を150℃オーブン中で放置して稠度の経時変化を測定し、この結果を表1に併記した。
【表1】


【0033】
【発明の効果】本発明の硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物は、(A)成分〜(E)成分からなり、特に、(A)成分の特殊なジオルガノポリシロキサンと(B)成分のオルガノポリシロキサンレジンと(C)成分のジオルガノポリオシロキサンを含有し、(A)成分を主成分としているので、硬化後、ゲル特性の経時変化が小さいゲル状硬化物となるという特徴を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)1分子中に2個以上の珪素原子結合アルケニル基を含有し、25℃における粘度が50〜100,000センチポイズであり、かつ、4量体から20量体までの環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.5重量%以下であるジオルガノポリシロキサン 100重量部、(B)R13SiO1/2単位(式中、R1はアルキル基である。)、R122SiO1/2単位(式中、R1は前記と同じであり、R2はアルケニル基である。)と、SiO2単位からなり、R13SiO1/2単位とR122SiO1/2単位の合計モル数とSiO2単位のモル数の比が(0.6:1)〜(4.0:1)の範囲内にある、珪素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン 1〜50重量部、(C)25℃における粘度が1〜1,000,000センチポイズであり、分子鎖両末端に珪素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサン{但し、(C)成分の添加量は、(A)成分と(B)成分のアルケニル基の合計モル数と、(C)成分の珪素原子結合水素原子のモル数の比が(1:0.2)〜(1:5.0)となる量である。}、(D)ヒドロシリル化反応用触媒 触媒量および(E)無機質充填剤 0〜30重量部からなる硬化性オルガノポリシロキサンゲル組成物。