説明

硬化性シリコーン組成物

【目的】 硬化前の取扱作業性が優れ、難燃性が優れた無色透明もしくは半透明のシリコーン硬化物を形成する硬化性シリコーン組成物を提供する。
【構成】 (A)25℃における粘度が50〜100,000センチポイズであり、一分子に平均2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、重合度が4〜10である環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.1重量%以下であるオルガノポリシロキサン100重量部、(B)一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン{(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基に対する本成分のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.1〜1.5となる量}、(C)トリアゾール系化合物0.0001〜1重量部および(D)白金系触媒{(A)(B)成分の合計に対して本成分の白金金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量}からなる硬化性シリコーン組成物。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬化性シリコーン組成物に関し、詳しくは、硬化前の取扱作業性が優れ、難燃性が優れた無色透明もしくは半透明のシリコーン硬化物を形成する硬化性シリコーン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】硬化性シリコーン組成物は電気的特性、耐熱性、耐候性、応力緩和性が優れたゲル状、ゴム状もしくはレジン状のシリコーン硬化物を形成するために、電気・電子部品の封止剤、緩衝剤、防振剤、充填剤として利用されている。このような硬化性シリコーン組成物としては、例えば、分子鎖末端および分子鎖側鎖にケイ素原子結合ビニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、分子鎖末端および/または分子鎖側鎖にケイ素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサンおよび白金系触媒からなるシリコーンゲル組成物(特開昭48−17847号公報参照)、分子鎖末端にケイ素原子結合ビニル基を含有する分岐状のジメチルポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンおよび白金系触媒からなるシリコーンゲル組成物(特開昭58−7452号公報参照)、一分子中に2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.5重量%以下であるジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合アルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンレジン、分子鎖両末端にケイ素原子結合水素原子を含有するジオルガノポリシロキサンおよび白金系触媒からなるシリコーンゲル組成物(特開平5−209127号公報参照)が提案されている。
【0003】しかし、これらの硬化性シリコーン組成物を硬化して得られる無色透明もしくは半透明のシリコーン硬化物は難燃性が乏しいという問題があり、この問題はシリコーンゲル組成物において特に顕著であった。このため、これらのシリコーンゲル組成物によりパワーモジュール等の高温に長時間さらされる電気・電子部品を封止もしくは充填することができなかった。
【0004】シリコーン硬化物の難燃性を向上させるためには、例えば、一分子中にケイ素原子結合アルケニル基を2個以上含有するオルガノポリシロキサン、一分子中にケイ素原子結合水素原子を2個以上含有するオルガノポリシロキサン、補強性シリカ粉末、水酸化アルミニウム粉末、粘土質鉱物粉末、トリアゾール系化合物および白金系化合物からなるシリコーンゴム組成物(特開昭61−69865号公報参照)、一分子中に平均0.1〜2.0個のケイ素原子結合ビニル基を含有するオルガノポリシロキサン、一分子中に平均2個をこえるケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン、粉砕石英と金属炭酸塩とカーボンブラックからなる群から選ばれた1以上の無機充填剤および白金系触媒からなるシリコーンゲル組成物(特開平6−16937号公報参照)が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの硬化性シリコーン組成物は無機質充填剤を多量に配合しているため流動性が極めて低く、その取扱作業性が著しく悪いという問題があった。また、これらの硬化性シリコーン組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物は不透明であり、その色は白色、黒色ないしは灰色に限定されるという問題があった。
【0006】本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の目的は、硬化前の取扱作業性が優れ、難燃性が優れた無色透明もしくは半透明のシリコーン硬化物を形成する硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】本発明の硬化性シリコーン組成物は、(A)25℃における粘度が50〜100,000センチポイズであり、一分子に平均2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、重合度が4〜10である環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.1重量%以下であるオルガノポリシロキサン100重量部、(B)25℃における粘度が1〜100,000センチポイズであり、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン{(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基に対する本成分のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.1〜1.5となる量}、(C)トリアゾール系化合物 0.0001〜1重量部および(D)白金系触媒{(A)成分と(B)成分の合計に対して本成分の白金金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量}からなることを特徴とする。
【0008】以下、本発明の硬化性シリコーン組成物を詳細に説明する。(A)成分のオルガノポリシロキサンは本組成物の主剤である。(A)成分の25℃における粘度は50〜100,000センチポイズの範囲内であり、特に100〜50,000センチポイズの範囲内であることが好ましい。これは、25℃における粘度が50センチポイズ未満であると、得られるシリコーン硬化物の物理特性が著しく低下するためであり、また、これが100,000センチポイズをこえると、得られる組成物の取扱作業性が著しく低下するためである。このような(A)成分は一分子に平均2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有する。このケイ素原子結合アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子結合有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロ置換アルキル基が挙げられ、特にメチル基、フェニル基であることが好ましい。(A)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、一部分岐を有する直鎖状、網状、樹脂状が挙げられる。(A)成分はこれらの分子構造を有する単一重合体ないしは共重合体またはこれらの混合物であるが、少なくとも直鎖状の分子構造を有することが好ましい。(A)成分中の重合度が4〜10である環状ジオルガノシロキサンの含有量は0.1重量%以下である。これは、一般に再平衡重合により製造されたオルガノポリシロキサンは重合度が4〜10である環状ジオルガノシロキサンを0.1重量%をこえる量含有しており、このようなオルガノポリシロキサンを用いると、得られるシリコーン硬化物の難燃性が悪化するためである。
【0009】(B)成分のオルガノポリシロキサンは本組成物の架橋剤として作用する。(B)成分の25℃における粘度は1〜100,000センチポイズの範囲内であり、特に1〜5,000センチポイズの範囲内であることが好ましい。このような(B)成分は一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を含有する。(B)成分中のケイ素原子結合有機基は限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロ置換アルキル基が挙げられ、特にメチル基、フェニル基であることが好ましい。(B)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、一部分岐を有する直鎖状、環状、網状、樹脂状が挙げられる。(B)成分はこれらの分子構造を有する単一重合体もしくは共重合体またはこれらの混合物である。
【0010】(B)成分の配合量は(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基に対するこのケイ素原子結合水素原子のモル比が0.1〜1.5となる量である。これは、(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基に対する(B)成分のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.1未満である組成物は十分に硬化しないためであり、また、これが1.5をこえる組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物は非常に硬質で、その表面に多数のクラックを生じるからである。
【0011】(C)成分のトリアゾール系化合物は従来より硬化性シリコーン組成物の難燃性付与剤として利用されているが、これのみでは難燃性が十分でないため、一般にその他の難燃性付与剤と併用して利用されている。しかし、重合度が4〜10である環状ジオルガノポリシロキサンの含有量が0.1重量%以下であるオルガノポリシロキサンを主成分とすることにより、(C)成分のみでも十分な難燃性を付与することができること見いだして、本発明に到達した。(C)成分のトリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールおよびこれらの誘導体が挙げられ、特にベンゾトリアゾールおよびその誘導体であることが好ましい。この1,2,3−トリアゾールの誘導体としては、例えば、1−メチル−1,2,3−トリアゾール、1−フェニル−1,2,3−トリアゾール、4−メチル−2−フェニル−1,2,3−トリアゾール、1−ベンジル−1,2,3−トリアゾール、4−ヒドロキシ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−ベンズアミド−4−メチル−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−4,5−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール−アルデヒド、2−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボン酸、4−シアノ−1,2,3−トリアゾールが挙げられる。また、この1,2,4−トリアゾールの誘導体としては、例えば、1−メチル−1,2,4−トリアゾール、1,3−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール、5−アミノ−3−メチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸、1−フェニル−1,2,4−トリアゾール−5−オン、1−フェニルウラゾールが挙げられる。また、このベンゾトリアゾールの誘導体としては、例えば、1−メチルベンゾトリアゾール、5,6−ジメチルベンゾトリアゾール、2−フェニルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ベンゾトリアゾールカルボン酸メチル、2−(3’,5’−ジブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾールが挙げられる。(C)成分は一般に室温で固体状のものが多いので、これを本組成物中に均一に分散させるためには予めトルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤の溶液として配合することが好ましい。また、得られた組成物から必要に応じてこれらの有機溶剤を除去することが好ましい。
【0012】(C)成分の配合量は(A)成分100重量部に対して0.0001〜1重量部の範囲内であり、特に0.01〜0.5重量部の範囲内であることが好ましい。これは、(C)成分の配合量が(A)成分100重量部に対して0.0001重量部未満である組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物は難燃性が著しく乏しいためであり、また、これが1重量部をこえる組成物は硬化性が著しく乏しいためである。
【0013】(D)成分の白金系触媒は本組成物の硬化を促進するための触媒であり、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンとの錯体、白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体が挙げられる。
【0014】(D)成分の配合量は(A)成分と(B)成分の合計に対して本成分の白金金属が重量単位で0.01〜1000ppmの範囲内となる量であり、特に、これが0.1〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(A)成分と(B)成分の合計に対する(D)成分の白金金属が重量単位で0.01ppm未満となる量である組成物は十分に硬化しないためであり、また、これが1000ppmをこえる量である組成物を硬化して得られるシリコーン硬化物は加熱により褐色に着色するからである。
【0015】本発明の硬化性シリコーン組成物は上記(A)成分〜(D)成分を均一に混合することにより調製できる。本発明の硬化性シリコーン組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、例えば、ヒュームドシリカ、有機ケイ素化合物により疎水化処理したヒュームドシリカ等の充填剤、アセチレン系化合物、ヒドラジン系化合物、フォスフィン系化合物、メルカプタン系化合物等の付加反応抑制剤、顔料、染料、蛍光染料、耐熱添加剤、トリアゾール系化合物以外の難燃性付与剤、可塑剤、接着付与剤が挙げられる。
【0016】このような本発明の硬化性シリコーン組成物を硬化させて得られるシリコーン硬化物の硬化性状は限定されず、例えば、シリコーンゲル、シリコーンゴム、シリコーンレジンが挙げられ、特にシリコーンゲルであっても、その難燃性が良好である。このシリコーンゲルが硬質となり、そのJIS K 2220に規定の1/4ちょう度が20未満となると、その応力緩和性が低くなり、クラックを生じやすくなり、また、これが軟質となり、そのJIS K 2220に規定の1/4ちょう度が200をこえると、振動によりこれが容易に流動化することから、このシリコーンゲルのJIS K 2220に規定の1/4ちょう度は20〜200の範囲内であることが好ましい。
【0017】本発明の硬化性シリコーン組成物を硬化させる方法は限定されず、例えば、上記の硬化性シリコーン組成物を室温で放置する方法、50〜200℃に加熱する方法が挙げられる。このようにして得られたシリコーン硬化物を単体で取り扱うことができるが、これを基材上に密着した状態で取り扱うことが一般的であり、例えば、電気・電子機器を封止もしくは充填した状態で取り扱うことが好ましく、特にパワーモジュール等の封止材もしくは充填材として取り扱うことが好ましい。また、このシリコーン硬化物は無色透明もしくは半透明であるが、顔料や染料を配合することにより任意に調色することができる。
【0018】
【実施例】続いて、本発明の硬化性シリコーン組成物を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃において測定した値である。また、シリコーン硬化物の1/4ちょう度および難燃性は次のようにして測定した。
【0019】○シリコーン硬化物の1/4ちょう度:50mlのガラスビーカーに硬化性シリコーン組成物40gを注入した後、これを120℃で30分加熱してシリコーン硬化物を形成した。このシリコーン硬化物を25℃まで冷却してJIS K 2220の規定により1/4インチコーンを用いて測定した。
【0020】○シリコーン硬化物の難燃性:硬化性シリコーン組成物をテフロン容器に注いだ後、これらを120℃で30分加熱して幅12.7mm、長さ127mm、厚さ3mmおよび6mmであるシリコーン硬化物の試験片を調整した。これらの試験片を垂直に固定し、この試験片の下部をメタンガスを主成分とするガスバーナーの20mm(青色炎10mm)の炎のほぼ中心に約10秒間置き、その後ガスバーナーを遠ざけて、試験片が完全に消炎するまでの時間を測定した。また、試験片が完全に消炎した直後に再び上記の操作を行い消炎するまでの時間を測定した。この操作を5つの試験片について各々2回繰り返して、10回測定した合計の時間を求めた。
【0021】[実施例1]粘度が2,000センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%および粘度が450センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%とからなるオルガノポリシロキサン(重合度が4〜10である環状ジメチルシロキサンの含有量は重量単位で500ppmである。)100重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位のモル比は3:5である。)0.85重量部(上記オルガノポリシロキサンのビニル基に対する本共重合体のケイ素原子結合水素原子のモル比は0.46である。)、4.2重量%−ベンゾトリアゾールのメチルイソブチルケトン溶液0.4重量部および白金濃度が0.5重量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体1.0重量部を均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。このシリコーンゲル組成物の粘度は1,300センチポイズであり、取扱作業性は良好であった。このシリコーンゲル組成物を120℃で30分間加熱してシリコーンゲルを形成した。このシリコーンゲルの外観、1/4ちょう度および難燃性を観察した。これらの結果を表1に示した。
【0022】[実施例2]粘度が2,000センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン47.4重量%および粘度が450センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン52.6重量%からなるオルガノポリシロキサン(重合度が4〜10である環状ジメチルシロキサンの含有量は重量単位で500ppmである。)100重量部、ヘキサメチルジシラザンにより表面を疎水化処理された比表面積が200m2/gであるヒュームドシリカ5.3重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位のモル比は3:5である。)0.84重量部(上記オルガノポリシロキサンのビニル基に対する本共重合体のケイ素原子結合水素原子のモル比は0.45である。)、4.2重量%−ベンゾトリアゾールのメチルイソブチルケトン溶液0.63重量部および白金濃度が0.5重量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体1.1重量部を均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。このシリコーンゲル組成物の粘度は1,850センチポイズであり、取扱作業性は良好であった。このシリコーンゲル組成物を120℃で30分間加熱してシリコーンゲルを形成した。このシリコーンゲルの外観、1/4ちょう度および難燃性を観察した。これらの結果を表1に示した。
【0023】[実施例3]粘度が2,000センチポイズであり、重合度が4〜10の環状ジメチルシロキサンの含有量が重量単位で500ppmである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン48.0重量%、粘度が450センチポイズであり、重合度が4〜10の環状ジメチルシロキサンの含有量が500ppmである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン40.0重量%および平均単位式:[(CH3)3SiO1/2]39.7[(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2]4.8(SiO4/2)55.5で表されるオルガノポリシロキサンレジン12.0重量%からなるオルガノポリシロキサン(重合度が4〜10である環状ジメチルシロキサンの含有量は重量単位で450ppmである。)100重量部、粘度が5センチポイズであり、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位のモル比は3:5である。)0.75重量部(上記オルガノポリシロキサンのビニル基に対する本共重合体のケイ素原子結合水素原子のモル比は0.28である。)、4.2重量%−ベンゾトリアゾールのメチルイソブチルケトン溶液0.6重量部および白金濃度が0.5重量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体1.0重量部を均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。このシリコーンゲル組成物の粘度は2,000センチポイズであり、取扱作業性は良好であった。このシリコーンゲル組成物を120℃で30分間加熱してシリコーンゲルを形成した。このシリコーンゲルの外観、1/4ちょう度および難燃性を観察した。これらの結果を表1に示した。
【0024】[比較例1]粘度が2,000センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%および粘度が450センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%からなるオルガノポリシロキサン(重合度が4〜10である環状ジメチルシロキサンの含有量は重量単位で500ppmである。)100重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位のモル比は3:5である。)0.80重量部(上記オルガノポリシロキサンのビニル基に対する本共重合体のケイ素原子結合水素原子のモル比は0.48である。)、3−フェニル−1−ブチン−3−オール0.0025重量部および白金濃度が0.5重量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体0.2重量部を均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。このシリコーンゲル組成物の粘度は1,300センチポイズであり、取扱作業性は良好であった。このシリコーンゲル組成物を120℃で30分間加熱してシリコーンゲルを形成した。このシリコーンゲルの外観、1/4ちょう度および難燃性を観察した。これらの結果を表1に示した。
【0025】[比較例2]粘度が2,000センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%および粘度が450センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%からなるオルガノポリシロキサン(重合度が4〜10である環状ジメチルシロキサンの含有量は重量単位で500ppmである。)100重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位とのモル比は3:5である。)0.75重量部(上記オルガノポリシロキサンのビニル基に対する本共重合体のケイ素原子結合水素原子のモル比は0.45である。)、沈降法シリカ微粉末43.0重量部、カーボンブラック0.7重量部、3−フェニル−1−ブチン−3−オール0.7重量部および白金濃度が0.5重量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体0.3重量部を均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。このシリコーンゲル組成物の粘度は4,000センチポイズであり、取扱作業性は不良であった。このシリコーンゲル組成物を120℃で30分間加熱してシリコーンゲルを形成した。このシリコーンゲルの外観、1/4ちょう度および難燃性を観察した。これらの結果を表1に示した。
【0026】[比較例3]粘度が2,000センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%および粘度が450センチポイズである分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50.0重量%とからなるオルガノポリシロキサン(重合度が4〜10である環状ジメチルシロキサンの含有量は重量単位で2,500ppmである。)100重量部、粘度が5センチポイズである分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位のモル比は3:5である。)0.85重量部(上記オルガノポリシロキサンのビニル基に対する本共重合体のケイ素原子結合水素原子のモル比は0.43である。)、4.2重量%−ベンゾトリアゾールのメチルイソブチルケトン溶液0.4重量部および白金濃度が0.5重量%である白金とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体1.0重量部を均一に混合してシリコーンゲル組成物を調製した。このシリコーンゲル組成物の粘度は1,200センチポイズであり、取扱作業性は良好であった。このシリコーンゲル組成物を120℃で30分間加熱してシリコーンゲルを形成した。このシリコーンゲルの外観、1/4ちょう度および難燃性を観察した。これらの結果を表1に示した。
【0027】
【表1】


【0028】
【発明の効果】本発明の硬化性シリコーン組成物は硬化前の取扱作業性が優れ、難燃性が優れた無色透明もしくは半透明のシリコーン硬化物を形成するという特徴がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(A)25℃における粘度が50〜100,000センチポイズであり、一分子に平均2個以上のケイ素原子結合アルケニル基を含有し、重合度が4〜10である環状ジオルガノシロキサンの含有量が0.1重量%以下であるオルガノポリシロキサン100重量部、(B)25℃における粘度が1〜100,000センチポイズであり、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサン{(A)成分のケイ素原子結合アルケニル基に対する本成分のケイ素原子結合水素原子のモル比が0.1〜1.5となる量}、(C)トリアゾール系化合物 0.0001〜1重量部および(D)白金系触媒{(A)成分と(B)成分の合計に対して本成分の白金金属が重量単位で0.01〜1000ppmとなる量}からなる硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】硬化して、JIS K 2220に規定の1/4ちょう度が20〜200であるシリコーンゲルを形成する請求項1記載の硬化性シリコーン組成物。