説明

硬貨リフタ装置

【課題】硬貨受取部で受け取った全硬貨の排出にかかる処理時間を短縮化することができる硬貨リフタ装置を提供する。
【解決手段】硬貨リフタ装置4には、硬貨識別装置から釣り銭として放出された硬貨群を返却口3までリフトアップするベルト部材10が設けられている。ベルト部材10は、硬貨の搬送面14が硬貨選別装置に対向する向きをとるように配置されるとともに、硬貨選別装置の側方から下方にまで延びることによりL字状となっている。そして、硬貨選別装置から釣り銭として放出された硬貨をベルト部材10の平坦部分13に乗せ、そのまま硬貨群を一度にリフトアップ可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投入現金清算後の釣り銭である硬貨をリフトして外部に放出する硬貨リフタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機や駐車料金自動精算機等には、投入された現金を識別して精算する図17に示すような現金精算機81(特許文献1、2等参照)が設けられている。現金精算機81は、投入硬貨を識別する箱形状の硬貨選別装置82と、識別後に釣り銭として硬貨選別装置82から排出された硬貨を、高い位置にある返却口83までリフトアップして外部に放出する硬貨リフタ装置84とが設けられている。
【0003】
硬貨リフタ装置84には、硬貨選別装置82の隣に並び配置された上下に長細い本体部85と、硬貨選別装置82から自重により下方に放出された硬貨を取り込む硬貨シュータ86とが設けられている。本体部85の内部には、硬貨シュータ86に放出された硬貨を上方に搬送する搬送ベルト87が、本体部85の上下方向に回動可能に軸支されている。搬送ベルト87には、リフトアップする硬貨を乗せるための一対の突起88,88が、搬送ベルト87の長さ方向において等間隔に複数形成されている。また、搬送ベルト87は、硬貨の搬送面89が装置奥行き方向(図17のX軸方向)の垂直面(図17のX−Z軸平面)に対し直交する向きをとっている。つまり、搬送ベルト87は、硬貨の搬送面89が硬貨選別装置82の側面90に対して直交する向きをとるように配置されている。
【0004】
図18に示すように、硬貨シュータ86には、硬貨選別装置82から放出された硬貨を1枚ずつ本体部85側に送る一対の搬送ローラ91,91が設けられている。搬送ローラ91は、偏心カム92を介してモータ93に接続された大径の搬送ローラ91aと、ベルト94を介して大径搬送ローラ91aに連結された小径の搬送ローラ91bとからなる。
【0005】
現金精算機81に投入された硬貨は、硬貨選別装置82にて精算され、釣り銭が発生した場合には、釣り銭としての硬貨が自重により硬貨シュータ86に放出される。硬貨シュータ86に至った硬貨は、互いに逆方向に回転しながら接近離間する一対の搬送ローラ91a,91bにて、1枚ずつ搬送ベルト87に送られる。そして、搬送ベルト87は、硬貨シュータ86から搬送されてきた硬貨を突起88にて持ち上げ、1枚ずつ上方に搬送して、返却口83から外部に放出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2827470号公報
【特許文献2】特許第2646783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図17の硬貨リフタ装置84は、硬貨選別装置82の側面90と直交する搬送面89にて硬貨をリフトする構造であるので、硬貨を1枚ずつ搬送ベルト87に送って硬貨を上方に搬送せざるを得ない。よって、硬貨を1枚ずつ順番に上方にリフトアップすることしかできないので、全硬貨の払い出しにかかる処理時間が遅くなる。従って、釣り銭を短時間にて一気に返却口83から返却することができず、これがユーザのストレスになる問題があった。
【0008】
また、硬貨のリフトアップ処理速度が遅いと、仮に硬貨選別装置82が釣り銭硬貨を同時に多数枚放出できる構造を持っていても、搬送ベルト87が1枚ずつしか硬貨を搬送できないせいで、硬貨選別装置82からの硬貨放出枚数を制限しなければならない場合もあった。こうなると、せっかく硬貨選別装置82が硬貨を多数枚排出できる機能を持っていても、これを使用することができず、硬貨選別装置82の機能を有効的に使用できない問題に繋がる。
【0009】
ところで、全硬貨払い出しにかかる時間を短縮化するためには、例えば搬送ベルト87の回転速度を早めて対応することも想定される。しかし、この場合は、突起88の移動速度が高速になるため、硬貨が硬貨シュータ86から搬送ベルト87に突入するとき、硬貨が突起88に弾かれて、硬貨シュータ86側に戻される懸念もあった。よって、結局のところ、硬貨払い出しの処理時間の短縮化には繋がらず、他の対応策が要望されていた。
【0010】
本発明の目的は、硬貨受取部で受け取った全硬貨の排出にかかる処理時間を短縮化することができる硬貨リフタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記問題点を解決するために、本発明では、硬貨受取部で受け取った硬貨を、駆動手段により回転するベルト部材により上方にリフトアップして、返却口から外部に放出する硬貨リフタ装置において、硬貨を上方に搬送する前記ベルト部材が鉛直方向から平坦方向に延びるL字状に形成されたL字状搬送ベルト部と、前記硬貨受取部で受け取った硬貨をそのまま前記ベルト部材の平坦部分に乗せ、前記硬貨を単に1枚ずつだけでなく、複数枚重ねても上方にリフトアップ可能な複数枚硬貨リフトアップ機構とを備えたことを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、硬貨受取部で硬貨を受け取ると、硬貨はベルト部材の平坦部分に乗せられ、ベルト部材がそのまま回転していくことにより、硬貨がベルト部材に搬送されてリフトアップされる。このとき、硬貨は単に1枚ずつではなく、仮に複数枚が重なった状態となるものがあっても、重なったまま一度にリフトアップされる。よって、一度に多量の硬貨を搬送することが可能となるので、全硬貨を返却口にて放出するまでにかかる時間を短縮化することが可能となる。
【0013】
本発明では、硬貨受取部で受け取った硬貨を、駆動手段により回転するベルト部材により上方にリフトアップして、返却口から外部に放出する硬貨リフタ装置において、硬貨を上方に搬送する前記ベルト部材が鉛直方向から平坦方向に延びるL字状に形成されたL字状搬送ベルト部と、前記硬貨受取部に形成され、取り込んだ硬貨が立ったまま前記ベルト部材上を回転することを抑制する硬貨ローリング防止機構とを備えたことを要旨とする。
【0014】
なお、定義として「硬貨が立つ」とは、硬貨受取部で受け取った硬貨が、表でもなく裏でもなく周縁を支えにしてベルト部材の上面に略垂直に自立することを言う。また、定義として「硬貨ローリング」とは、ベルト部材の上面にて立った硬貨が、回転するベルト部材の上面で自立しながら回転してしまう状態を言う。
【0015】
この構成によれば、硬貨受取部で受け取りベルト部材に落とされた硬貨は、ベルト部材の上面で立ったままローリングしないように、硬貨ローリング防止機構によってベルト部材の上面に寝かせられる。ところで、ベルト部材に落とされた硬貨がローリング状態を長くとり続けてしまうと、硬貨をリフトアップするのに時間がかかり、全硬貨の排出するまでに要する時間が長くなる問題が生じる。しかし、本構成の場合は、硬貨ローリング防止機構にて硬貨を直ぐにベルト部材に寝かせることが可能となるので、硬貨を直ぐにリフトアップすることが可能となる。従って、全硬貨を返却口にて放出するまでにかかる時間を短縮化することが可能となる。
【0016】
本発明では、前記硬貨受取部に形成され、取り込んだ硬貨が立ったまま前記ベルト部材上を回転することを抑制する硬貨ローリング防止機構を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、硬貨受取部で受け取りベルト部材に落とされた硬貨は、ベルト部材の上面で立ったままローリングしないように、硬貨ローリング防止機構によってベルト部材の上面に寝かせられる。よって、硬貨受取部で受け取った全硬貨を、より確実に返却口まで到達させることが可能となる。
【0017】
本発明では、前記硬貨ローリング防止機構は、硬貨をリフトアップさせるときの硬貨入口において前記ベルト部材の上方に配置されるとともに、先端の少なくとも一部が斜面状に形成された規制板であることを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、硬貨がベルト部材の上面でローリングしてしまっても、硬貨持ち上げの硬貨入口に位置する規制板にて硬貨を倒すことにより、硬貨をベルト部材の上面に寝かせることが可能となる。よって、硬貨が仮にベルト部材の上面にローリングしても、問題なく硬貨をベルト部材の上面に寝かせてリフトアップさせることが可能となる。
【0019】
本発明では、前記硬貨ローリング防止機構は、前記硬貨受取部の硬貨収納部の内壁面に形成された突部であることを要旨とする。
この構成によれば、硬貨受取部で硬貨を受け取るとき、硬貨が硬貨受取部に流れ込む過程で、突部により硬貨が倒される。よって、硬貨をベルト部材に送り出すとき、より効果的に硬貨を寝かせることが可能となる。
【0020】
本発明では、前記L字状搬送ベルト部からリフトアップされた硬貨を外部に排出する硬貨排出部に形成され、リフトアップされた後の硬貨を前記返却口に案内する硬貨排出案内機構を備えたことを要旨とする。
【0021】
この構成によれば、リフトアップした後の硬貨を、硬貨排出案内機構によって返却口に案内するので、リフトアップ後の硬貨を、よりスムーズに返却口から外部に放出することが可能となる。
【0022】
本発明では、前記ベルト部材のローラの回転軸方向を装置奥行き方向とすると、当該装置奥行き方向に前記返却口を有する硬貨排出部を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、硬貨排出部が装置幅方向に飛び出さないので、硬貨リフタ装置の装置幅方向の体格を小さく済ませることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、硬貨受取部で受け取った全硬貨の排出にかかる処理時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】一実施形態の現金精算機の斜視図。
【図2】硬貨リフタ装置の概略を示す模式図。
【図3】硬貨リフタ装置を背面から見た斜視図。
【図4】硬貨リフタ装置を正面から見た斜視図。
【図5】硬貨受取部を背面から見た斜視図。
【図6】硬貨受取部を正面から見た斜視図。
【図7】駆動部の外観を示す部分拡大斜視図。
【図8】リフタ本体部の内部構造を示す断面図。
【図9】硬貨排出部の外観を示す斜視図。
【図10】硬貨排出部の内部構造を示す断面図。
【図11】硬貨リフタ装置の電気構成を示すブロック図。
【図12】(a),(b)は自立してローリングする硬貨を寝かせた状態にするまでの動作図。
【図13】(a)〜(d)はベルト部材に硬貨群を乗せてリフトアップするまでの過程を説明する動作遷移図。
【図14】(a),(b)は硬貨排出部から硬貨を排出するときの動作図。
【図15】(a)は別例における硬貨呼び込み板の平面図、(b)は他の別例における硬貨排出ガイドの模式図。
【図16】他の別例における硬貨排出部の斜視図。
【図17】従来の現金精算機の斜視図。
【図18】同じく従来の硬貨シュータの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した硬貨リフタ装置の一実施形態を図1〜図14に従って説明する。
図1及び図2に示すように、現金精算機1には、投入硬貨を識別する硬貨選別装置2と、識別後に釣り銭として硬貨選別装置2から排出された硬貨を返却口3までリフトアップして外部に放出する硬貨リフタ装置4とが設けられている。硬貨選別装置2及び硬貨リフタ装置4は、装置幅方向(図1のY軸方向)に並び配置されている。なお、本例は、便宜上、返却口3のある側を正面とし、その反対側の面を背面とする。
【0026】
図2〜図4に示すように、硬貨リフタ装置4には、硬貨選別装置2の側方において装置高さ方向(図3のZ軸方向)に細長く延びるリフタ本体部5と、硬貨選別装置2から放出された硬貨をリフタ本体部5の下端にて受け取る硬貨受取部6とが設けられている。硬貨リフタ装置4は、装置高さ方向に延びるリフタ本体部5と、装置幅方向に延びる硬貨受取部6とにより、外形が略L字状に形成されている。
【0027】
図3〜図6に示すように、硬貨受取部6には、落下硬貨の取り込み口として硬貨収納部7が開口形成されている。硬貨受取部6の開口縁において装置背面側の辺には、板が斜めを向く硬貨シュート8が形成されている。硬貨シュート8は、例えば板金や透明樹脂により形成されている。硬貨受取部6においてリフタ本体部5の反対側には、硬貨収納部7に流入した硬貨が外部にこぼれないように堰き止める硬貨こぼれ防止ガイド9が立設されている。硬貨こぼれ防止ガイド9は、硬貨受取部6の一対の側壁6a,6a間の空間を閉じるよう金属板により形成されている。
【0028】
図2〜図4に示すように、硬貨リフタ装置4には、硬貨受取部6にて収納した硬貨を、L字状をなすベルト部材10により返却口3までリフトアップするL字状搬送ベルト部11が設けられている。ベルト部材10は、リフタ本体部5及び硬貨受取部6の両方に架設されることによりL字状をなしている。本例の場合、図2に示すように、リフタ本体部5に配設された装置高さ方向に延びるベルト部分を鉛直部分12とし、硬貨受取部6に配設された装置幅方向に延びるベルト部分を平坦部分13とする。ベルト部材10は、硬貨の搬送面14が硬貨選別装置2と対向する向きに配置されている。なお、搬送面14は、鉛直部分12及び平坦部分13において硬貨選別装置2側のベルト部分のことを言う。また、ベルト部材10のうち、搬送面14以外の箇所を、硬貨を搬送する箇所ではない開放面15とする。
【0029】
図5、図6及び図8に示すように、ベルト部材10の搬送面14には、ベルト幅方向(装置奥行き方向:図5のX軸方向)に一対並ぶ突起16,16が、ベルト部材10の長さ方向において等間隔に複数形成されている。ベルト部材10は、ベルト部材10の上面に寝た硬貨を、下方から一対の突起16,16にて挟みながら持ち上げることにより、上方に搬送する。突起16,16の載置面16aは、載置面16aに乗った硬貨を返却口3から排出するときの硬貨の移動方向(搬送方向)において、返却口3側が下に位置するように斜面状に形成されている。これは、ベルト部材10により硬貨を頂点までリフトアップしたとき、硬貨が自重で外部に転がり落ちるようにするためである。
【0030】
また、突起16,16は、排出時の硬貨の移動方向において、返却口3側のものが、返却口3から遠い側のものよりも低い位置に配置されている。つまり、一対の突起16,16には、装置高さ方向において段差が付けられている。さらに、図5の部分拡大円内に示すように、突起16の突出高さKは、複数枚の硬貨を乗せることが可能な高さに設定されている。なお、突起16が複数枚硬貨リフトアップ機構を構成する。
【0031】
図3、図4及び図7に示すように、リフタ本体部5の背面において上部寄りの位置には、L字状搬送ベルト部11の駆動部17が設けられている。図7に示すように、駆動部17には、カバー18が設けられ、カバー18の内部にギヤ部19が収納されている。カバー18の下方には、モータブラケット20を介してモータ21がリフタ本体部5の背面に取り付けられている。モータ21は、例えばDCモータが使用されるとともに、縦向きに配置されている。なお、モータ21が駆動手段に相当する。
【0032】
図7に示すように、モータ21は、かさ歯車22及び駆動ベルト23を介して、ベルト部材10の上端に掛設された駆動ローラ24に連結されている。駆動ベルト23は、駆動ローラ24と同期回転するプーリ25に一端が連結され、かさ歯車22に連結されたプーリ26に下端が連結されている。かさ歯車22は、モータ21の回転力を、90度向きを変えて駆動ベルト23に出力する。モータ21が回転すると、駆動ベルト23を介して駆動ローラ24が回り、ベルト部材10が回転する。
【0033】
図2〜図4に示すように、ベルト部材10の上端に駆動ローラ24を配置したので、ベルト部材10は搬送面14が張り面となり、硬貨排出後の開放面15が弛み面となる。また、駆動ローラ24の回転軸方向L(図3のY軸方向)が装置奥行き方向と同一となる。ベルト部材10は、駆動ローラ24の反対側の端部が従動ローラ27にて連結されている。なお、駆動ローラ24が請求項に記載のローラに相当する。
【0034】
図7に示すように、リフタ本体部5の背面には、駆動ベルト23のテンションを調節する部材としてベルト押さえプーリ28が設けられている。ベルト押さえプーリ28は、駆動ベルト23の回転を案内するとともに、リフタ本体部5の背面に形成された長孔28aに、ワッシャ部材29を介して取り付けられている。ベルト押さえプーリ28の長孔28aに対する位置を変えることで、駆動ベルト23のテンションが調節可能である。
【0035】
図5及び図6に示すように、硬貨受取部6の内部には、ベルト部材10を下から支持して弛みを抑制する板状のベルトガイド30が設けられている。ベルトガイド30は、例えば長細い金属や樹脂の板材からなる。
【0036】
硬貨受取部6において各々の側壁6a,6aの内面には、硬貨ローリング防止用の第1硬貨案内部31が複数設けられている。第1硬貨案内部31は、上方から落下してきた硬貨を積極的に寝かせてベルト部材10に送ることで、硬貨がベルト部材10の上面で立ったまま回転する、いわゆる硬貨ローリングを防止する。第1硬貨案内部31は、ベルト部材10を上から押さえてベルト部材10の移動をガイドする機能も持つ。第1硬貨案内部31は、四角い板形状をなしている。第1硬貨案内部31は、別部材の板金を側壁6aの内面に取着してもよいし、側壁6aをプレス加工により押し出し成形するものでもよい。なお、第1硬貨案内部31が硬貨ローリング防止機構及び突部を構成する。
【0037】
硬貨受取部6においてリフタ本体部5側の装置奥行き方向両側には、ベルト部材10の回転を案内するとともに、ベルト部材10を上から押さえてベルト部材10に傾斜部分32を形成する複数のベアリング33,33…が設けられている。本例のベアリング33は、片側に2つずつの計4つ配置されている。ベルト部材10の傾斜部分32の裏面には、傾斜部分32を裏面から支持する板状のベルトガイド34が取り付けられている。
【0038】
各側壁6a,6aにおいてベアリング33,33の周囲には、片側において隣接するベアリング33,33間の隙間を埋める第2硬貨案内部35が設けられている。第2硬貨案内部35は、略板状をなすとともに、隣同士のベアリング33,33間の隙間に硬貨が挟まってしまうことを防止する。第2硬貨案内部35は、例えば樹脂により形成されている。
【0039】
硬貨受取部6の硬貨収納部7においてリフタ本体部5側には、硬貨ローリング防止用の硬貨呼び込み板36が設けられている。本例の場合、図5の部分拡大円内に示すように、ベルト部材10と硬貨呼び込み板36とにより囲まれる領域が、リフトアップ開始時の硬貨入口37となる。硬貨呼び込み板36の先端には、一端から他端に向かうに連れて曲面状の傾斜を有する斜面部38が形成されている。硬貨呼び込み板36の先端に斜面部38を形成すれば、ローリングしながら硬貨呼び込み板36に硬貨が当接したとき、硬貨に倒れ込み方向の力がかかり易くなる。
【0040】
硬貨呼び込み板36は、自身の上面36aに乗り上げた硬貨を、下方のベルト部材10に落とすために傾斜して取り付けられている。よって、ベルト部材10と硬貨呼び込み板36との間の入口高さHは、徐々に高さが変化する。図6の部分拡大円内に示すように、硬貨呼び込み板36は、両側の第2硬貨案内部35に形成された段部39に位置決めされている。なお、硬貨呼び込み板36が硬貨ローリング防止機構及び規制板を構成し、硬貨入口37が複数枚硬貨リフトアップ機構を構成する。
【0041】
図5に示すように、リフタ本体部5の下端には、モータ21の回転数を検出するモータ回転検出センサ40が設けられている。モータ回転検出センサ40は、ベルト部材10下端に連結された従動ローラ41の軸回転を監視することにより、モータ21の回転数を検出する。
【0042】
図8に示すように、リフタ本体部5の側壁には、ベルト部材10によりリフトアップ中の硬貨において、硬貨の表面又は裏面を押さえ付ける板ばね42が設けられている。本例の場合、ベルト部材10と板ばね42により囲まれる領域が、リフトアップ動作時の硬貨の搬送通路43となる。板ばね42は、リフタ本体部5の一帯に亘り延びる細長い板形状をなすとともに、装置高さ方向に複数並び配置された複数のばね44,44…を介して板ばね押さえ部45に支持されている。板ばね押さえ部45は、リフタ本体部5の側壁を形成する。ベルト部材10と板ばね42との間隔Wは、複数枚の硬貨を挟み込める程度の厚さ(約4mm)に形成されている。間隔Wは、板ばね42の可動によって値が変動可能である。なお、搬送通路43が複数枚硬貨リフトアップ機構を構成する。
【0043】
ベルト部材10の鉛直部分12(傾斜部分32を除く)の裏面には、ベルト部材10を裏面から支持する板状のベルトガイド46が設けられている。また、リフタ本体部5の内壁面には、板ばね42を位置決めする複数の位置決め片47,47…が設けられている。位置決め片47は、長細い板状に形成されるとともに、装置奥行き方向両側に配置されている。
【0044】
図9及び図10に示すように、リフタ本体部5の上部には、L字状搬送ベルト部11にてリフトアップされた硬貨を返却口3に排出する硬貨排出部48が設けられている。硬貨排出部48の正面には、硬貨の排出口として硬貨排出シュート49が設けられている。硬貨排出シュート49は、例えば板金や樹脂により形成され、内部に硬貨を複数枚排出可能な硬貨通し孔50が形成されている。
【0045】
硬貨排出部48の側壁には、リフトアップしてくる硬貨を外側から目視することが可能な透明の確認窓51が形成されている。確認窓51は、例えば透明樹脂カバーにより形成され、リフタ本体部5の側壁の一部として形成されている。
【0046】
硬貨排出部48の内部には、硬貨の搬出方向を略90度変えて外部に送り出す硬貨排出ガイド52が設けられている。硬貨排出ガイド52には、略半円弧状の案内面53が形成され、この案内面53にて硬貨を硬貨排出シュート49に送り出す。図10に示すように、硬貨排出部48の内部には、確認窓51の内壁と、硬貨排出ガイド52の側面全域とにより、ベルト部材10により頂点までリフトアップされた硬貨を、立った状態で一時収納する硬貨起き上げ室54が形成されている。ベルト部材10にてリフトアップされた硬貨は硬貨起き上げ室54にてベルト部材10に対し起き上がる動きをとり、硬貨が頂点まで至ると、突起16の斜面に押されて硬貨排出シュート49から外部に流出する。硬貨起き上げ室54は、一度に複数の硬貨を一時的に収めることが可能な幅に形成されている。なお、硬貨排出ガイド52が硬貨排出案内機構に相当する。
【0047】
硬貨排出シュート49の側壁には、硬貨排出シュート49から排出された硬貨を検出する硬貨排出検知センサ55が取り付けられている。硬貨排出検知センサ55は、例えば光学センサが使用されている。硬貨排出検知センサ55は、センサカバー56を介して硬貨排出シュート49に取着されている。
【0048】
図1〜図3に示すように、リフタ本体部5の背面には、硬貨リフタ装置4のコントロールユニットとして制御部57が設けられている。制御部57には、カバー58が設けられ、このカバー58の内部に図1に示す制御基板59が収納されている。制御部57には、硬貨リフタ装置4が異常となったときに点灯するモニタランプ60が設けられている。モニタランプ60は、例えばLEDが使用されている。
【0049】
図11に示すように、硬貨リフタ装置4には、硬貨リフタ装置4の動作を制御するコントローラ61が設けられている。コントローラ61には、モータ回転検出センサ40、硬貨排出検知センサ55、モータ21、モニタランプ60が接続されている。コントローラ61は、モータ回転検出センサ40及び硬貨排出検知センサ55からのセンサ出力を基に、モータ21やモニタランプ60を制御する。
【0050】
次に、本例の硬貨リフタ装置4の動作を、図12〜図14に従って説明する。
硬貨選別装置2は、硬貨が投入されると、投入硬貨を精算する。このとき、釣り銭が発生すると、硬貨選別装置2は釣り銭用の硬貨を下方に自重により放出する。また、釣り銭が複数枚ある場合、硬貨選別装置2は複数枚(例えば3枚)の硬貨を一度に排出する。さらに、硬貨選別装置2は、釣り銭有りを検出したとき、動作開始指令を硬貨リフタ装置4のコントローラ61に出力する。コントローラ61は、硬貨選別装置2から動作開始指令を入力すると、モータ21を動作させて、ベルト部材10を回転させる。
【0051】
硬貨選別装置2から放出された硬貨は、硬貨シュート8により下方に滑り落ち、回転中のベルト部材10の平坦部分13上に乗る。このとき、図12(a)に示すように、硬貨シュート8から落下してきた硬貨は、側壁6aに突設された第1硬貨案内部31にて、寝た状態に姿勢が積極的に変えられて、ベルト部材10の平坦部分13に落とされる。
【0052】
ここで、図12(b)に示すように、仮にベルト部材10の平坦部分13で硬貨ローリングが発生したとする。この立った状態で回転する硬貨は、ベルト部材10に導かれて、暫くすると硬貨呼び込み板36に当接する。硬貨呼び込み板36に当接した硬貨は、硬貨呼び込み板36の斜面部38に案内されて、姿勢が徐々に倒されていく。よって、立った状態で回転する硬貨は、結局のところ倒れ、ベルト部材10上に寝た状態になる。また、硬貨シュート8から落下した硬貨が硬貨収納部7内で跳ねて硬貨呼び込み板36の上面36aに乗っても、硬貨呼び込み板36には傾斜が付けられているため、硬貨は自重によりベルト部材10上に落下する。
【0053】
図13(a)に示すように、ベルト部材10の平坦部分13には、複数枚の硬貨が乗った状態となる。硬貨の中には、重なって配置されるものもある。そして、ベルト部材10の回転に伴って、図13(b)に示すように、硬貨群が傾斜部分32に至ると、硬貨群はベルト部材10の回転により上ろうとするが、自重により落下して、傾斜部分32の下端に溜まる。このとき、図13(c)に示すように、ベルト部材10の突起16が硬貨群まで至ると、この突起16によって硬貨群がすくい上げられ、上方にリフトアップされる。そして、図13(d)に示すように、硬貨群がベルト部材10にて硬貨排出部48までリフトアップされる。
【0054】
図14(a)に示すように、リフトアップされた硬貨群が硬貨排出部48に至ると、斜面状の突起16により返却口3側に押されて、硬貨群が硬貨排出シュート49から外部に放出される。また、硬貨群は、図14(b)に示すように、硬貨排出ガイド52の案内面53により案内されることによっても、硬貨排出シュート49から外部に排出される。よって、釣り銭硬貨が多数枚一気に返却口3に排出される。
【0055】
以上により、本例においては、搬送面14が硬貨選別装置2を向くようにベルト部材10配置するとともに、ベルト部材10をリフタ本体部5のみならず硬貨受取部6にも延ばすことによりL字状とした。このため、硬貨選別装置2から釣り銭として硬貨が複数同時に放出されたとき、これら硬貨群はベルト部材10上に一度に乗り、そのままベルト部材10にてまとめてリフトアップされる。よって、釣り銭硬貨の全てをリフトアップして返却口3まで搬送するトータル時間が短く済むので、硬貨払い出しにかかる時間を短縮化することが可能となる。
【0056】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)硬貨の搬送面14が硬貨選別装置2に対向する向きをとるようにベルト部材10を配置し、ベルト部材10を硬貨選別装置2の側方から下方にまで延ばしてL字状とした。そして、硬貨選別装置2から釣り銭として放出された硬貨をベルト部材10の平坦部分13に乗せ、そのまま硬貨群を一度にリフトアップ可能とした。よって、一度に多量の硬貨を搬送することが可能となるので、全硬貨を返却口3にて放出するまでにかかる時間を短縮化することができる。
【0057】
(2)硬貨を複数枚同時にリフトアップすることが可能となるので、モータ21の回転速度を速めなくとも、所望時間内に全硬貨を返却口3から排出することができる。よって、モータ21の回転速度が低速で済めば、硬貨選別装置2から放出された硬貨はベルト部材10によって弾かれることなくベルト部材10の上面に安定して乗るので、この点で非常に効果が高い。
【0058】
(3)硬貨受取部6の内部に硬貨ローリング防止用の硬貨呼び込み板36を設けたので、仮にベルト部材10の上面で硬貨が立ってローリングしても、硬貨呼び込み板36にて硬貨を倒すことが可能となる。よって、仮に硬貨がローリングしたとしても、硬貨を倒してベルト部材10の上面に寝かせることができる。
【0059】
(4)硬貨呼び込み板36の先端形状を、幅方向の一端から他端に向かって曲面をなした斜面部38としたので、ローリングした硬貨が斜面部38に当接したときは、ベルト部材10により奥に搬送されながら倒れる動きをとる。よって、ローリングしている硬貨を、より確実に倒し込むことができる。
【0060】
(5)硬貨呼び込み板36に傾斜が付けられているので、仮に硬貨が弾んで硬貨呼び込み板36の上面36aに乗っても、硬貨は自重により硬貨呼び込み板36から下方に落下する。よって、硬貨が硬貨呼び込み板36の上面36aに乗ったままにならずに済むので、全硬貨を確実に返却口3まで搬送することができる。
【0061】
(6)硬貨受取部6の内面に硬貨ローリング防止用の第1硬貨案内部31を設けたので、硬貨選別装置2から放出された硬貨を、倒しながらベルト部材10の上面に案内することができる。よって、より確実に硬貨をベルト部材10の上面に寝かせることができる。
【0062】
(7)硬貨受取部6のベアリング33の周辺に、隣同士のベアリング33の間に硬貨が挟まってしまうことを防止する第2硬貨案内部35を設けたので、硬貨搬送途中における硬貨詰まりが解消される。よって、硬貨選別装置2から放出された全硬貨を、より確実に返却口3まで搬送することができる。
【0063】
(8)硬貨受取部6においてリフタ本体部5の反対側に硬貨こぼれ防止ガイド9を設けたので、この側から硬貨が装置外にこぼれ出してしまうことを防止することができる。
(9)硬貨排出部48の出口付近に、リフトアップ後の硬貨の排出を案内する硬貨排出ガイド52を設けたので、リフトアップ後の硬貨を、よりスムーズに返却口3から外部に放出することができる。
【0064】
(10)リフタ本体部5において硬貨排出部48の付近に透明の確認窓51を設けたので、硬貨が搬送途中で詰まっていないか否かを目視により確認することできる。
(11)板ばね42をばね44による可動式としたので、リフタ本体部5内の搬送通路43の間隔Wを変更することが可能となる。よって、仮に硬貨が複数枚重なって搬送通路43に入り込んできても、板ばね42が下がって搬送通路43の間隔Wが広がるので、硬貨は問題なく上昇していく。よって、硬貨のスムーズなリフトアップ動作を確保することができる。
【0065】
(12)ベルト部材10の上端に駆動ローラ24を配置したので、ベルト部材10の搬送面14に張りを持たせることができる。よって、弛みの発生していないベルト部材10にて硬貨を引き上げることが可能となるので、より確実に硬貨を上方に引き上げることができる。
【0066】
(13)ベルト部材10の突起16を、載置面16aが返却口3に向かって下に傾斜するように斜め向き形成したので、硬貨を頂点までリフトアップさせたとき、突起16の形状にて硬貨を返却口3側に押し出すことが可能となる。よって、硬貨は積極的に返却口3に向かう動きをとるので、硬貨のスムーズな排出を確保することができる。
【0067】
(14)硬貨排出部48をリフタ本体部5において装置奥行き側(正面)に配置した。よって、硬貨排出部48が装置幅方向に飛び出さずに済むので、硬貨リフタ装置4の装置幅方向の体格を小さく済ませることができる。
【0068】
(15)リフタ本体部5の背面に、駆動ベルト23のテンションを調節するベルト押さえプーリ28を設けた。よって、駆動ベルト23の張りを好適な値に調整することが可能となるので、硬貨リフタ装置4の動作性を確保することができる。
【0069】
(16)制御部57にモニタランプ60を設けたので、例えば硬貨詰まり等の異常を、モニタランプ60にてユーザに通知することができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0070】
・図15(a)に示すように、硬貨呼び込み板36の斜面部38は、例えば中央を頂点にして両側が傾斜状となっている形状でもよい。また、斜面部38は、曲面状に限定されず、例えば直線状(真っ直ぐな斜面)でもよい。
【0071】
・図15(b)に示すように、硬貨排出ガイド52は、曲面状に限定されず、直線状でもよい。
・図16に示すように、硬貨排出シュート49は、リフタ本体部5の側面(装置幅方向)に配置されてもよい。
【0072】
・モータ21に、モータ21を手動で回転させることが可能なつまみを設けてもよい。この場合、手動でモータ21を回転させて駆動ベルト23を回すことにより、ベルト部材10の位置をユーザ自らが調整することができる。
【0073】
・ベルト部材10は、鉛直部分12と平坦部分13とのなす角度が90度(正確な英大文字のL)に限定されない。つまり、鉛直部分12と平坦部分13とのなす角度が90度以外の形状としてもよい。また、平坦部分13は、地面に対して必ずしも水平に限らず、傾きを有していてもよい。
【0074】
・ベルト部材10は、1本のベルトに限定されない。例えば、鉛直方向と平坦方向とでベルト部材を分け、これらを同一回転数(同一速度)にて回転させるものでもよい。
・制御部57や駆動部17の配置位置は変更可能である。
【0075】
・硬貨の搬送態様は、互いに反対方向に回転する一対のベルト部材10,10を対向配置し、これらベルト部材10,10により硬貨を挟み込んでリフトアップするものでもよい。
【0076】
・モータ21は、縦向き配置に限定されず、例えば横向き配置としてもよい。
・硬貨リフタ装置4に搭載されたセンサ類は、光学センサに限定されず、磁気センサ等の他の種類を使用してもよい。
【0077】
・突起16に斜面部を設ける場合、突起16自体を斜めに配置することに限定されず、例えば硬貨の載置面16aに傾斜を付けるものでもよい。
・硬貨呼び込み板36や第1硬貨案内部31の形状は、適宜変更可能である。
【0078】
・駆動手段は、モータ21に限らず、他の駆動源を使用可能である。
・硬貨呼び込み板36の形状は、実施形態や別例に記載した例に限らず、適宜変更可能である。
【0079】
・硬貨排出案内機構は、硬貨排出の案内面を有する硬貨排出ガイド52に限らず、硬貨をスムーズに排出できる部材であれば、何を採用してもよい。
・硬貨選別装置2及び硬貨リフタ装置4は、装置幅方向に並び配置されることに限定されない。例えば、硬貨リフタ装置4に対して装置奥行き方向に硬貨選別装置2を並び配置してもよい。また、硬貨選別装置2は、ベルト部材10の平坦部分13の真上から硬貨を落とすことに限定されず、例えばベルト部材10の斜め上方から硬貨を放出する姿勢をとっていてもよい。
【0080】
・硬貨リフタ装置4は、自動販売機や駐車料金自動精算機に使用されることに限らず、他の機器や装置に応用可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0081】
(イ)請求項1〜7のいずれかにおいて、前記ベルト部材のローラと前記駆動手段とを連結する駆動ベルトにプーリを連結し、前記駆動ベルトに対する当該プーリの押し付け状態を調整することにより、該駆動ベルトの張りを調節する駆動ベルト張り調節機構を備えた。この構成によれば、駆動ベルトの張りを好適な値に調整可能となるので、装置の動作性を確保することが可能となる。
【0082】
(ロ)請求項1〜7、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記L字搬送ベルト部からリフトアップされた硬貨を外部に排出する硬貨排出部には、当該硬貨排出部の内部を目視可能な確認窓が設けられている。この構成によれば、硬貨排出部に硬貨詰まりがないか否かを、確認窓から目視により確認することが可能となる。
【0083】
(ハ)請求項1、3〜7、前記技術的思想(イ)、(ロ)のいずれかにおいて、前記複数枚硬貨リフトアップ機構は、前記ベルト部材に形成されるとともに、複数硬貨を一度に乗せることが可能な突起と、硬貨のリフトアップ時に硬貨が通るとともに、複数硬貨が一度に通過可能な間隔に形成された搬送通路とを備えた。この構成によれば、本構成の突起と搬送通路にて複数枚の硬貨を一度にリフトアップすることが可能となる。
【0084】
(二)請求項1、3〜7、前記技術的思想(イ)〜(ハ)のいずれかにおいて、前記複数枚硬貨リフトアップ機構は、リフトアップ時の硬貨の搬送通路を前記ベルト部材と協同して形成する板材を有するとともに、当該板材の背面が付勢部材を介して支持されることにより、前記搬送通路の間隔を可変することが可能となっている。この構成によれば、硬貨が多数枚になっても問題なく硬貨をリフトアップさせることが可能となる。
【0085】
(ホ)請求項4〜7、前記技術的思想(イ)〜(二)のいずれかにおいて、前記規制板は、仮に当該規制板の上面に硬貨が乗っても、当該硬貨を下方に落下可能とするために傾斜を付けて設けられている。この構成によれば、硬貨受取部で受け取った全ての硬貨を、より確実に返却口から外部に放出することが可能となる。
【0086】
(へ)請求項1〜7、前記技術的思想(イ)〜(ホ)のいずれかにおいて、前記ベルト部材には、複数硬貨を一度に乗せることが可能な突起が形成され、当該突起には、該突起に乗せた硬貨を硬貨排出部に向けて背面から押し出せるように斜面状に形成されている。この構成によれば、リフトアップした硬貨を、返却口側に向かわせることが可能となるので、よりスムーズに硬貨を外部に排出することが可能となる。
【0087】
(ト)硬貨受取部で受け取った硬貨を、駆動手段により回転するベルト部材により上方にリフトアップして、返却口から外部に放出する硬貨リフタ装置において、
硬貨を上方に搬送する前記ベルト部材が鉛直方向から平坦方向に延びるL字状に形成されたL字状搬送ベルト部と、前記ベルト部材のローラの回転軸方向を装置奥行き方向とすると、当該装置奥行き方向に前記返却口を有する硬貨排出部とを備えたことを特徴とする硬貨リフタ装置。
【符号の説明】
【0088】
3…返却口、4…硬貨リフタ装置、6…硬貨受取部、7…硬貨収納部、10…ベルト部材、11…L字状搬送ベルト部、13…平坦部分、14…搬送面、16…複数枚硬貨リフトアップ機構を構成する突起、21…駆動手段としてのモータ、24…ローラとしての駆動ローラ、31…硬貨ローリング防止機構及び突部を構成する第1硬貨案内部、36…硬貨ローリング防止機構及び規制板を構成する硬貨呼び込み板、37…複数枚硬貨リフトアップ機構を構成する硬貨入口、43…複数枚硬貨リフトアップ機構を構成すつ搬送通路、48…硬貨排出部、52…硬貨排出案内機構としての硬貨排出ガイド、L…回転軸方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨受取部で受け取った硬貨を、駆動手段により回転するベルト部材により上方にリフトアップして、返却口から外部に放出する硬貨リフタ装置において、
硬貨を上方に搬送する前記ベルト部材が鉛直方向から平坦方向に延びるL字状に形成されたL字状搬送ベルト部と、
前記硬貨受取部で受け取った硬貨をそのまま前記ベルト部材の平坦部分に乗せ、前記硬貨を単に1枚ずつだけでなく、複数枚重ねても上方にリフトアップ可能な複数枚硬貨リフトアップ機構と
を備えたことを特徴とする硬貨リフタ装置。
【請求項2】
硬貨受取部で受け取った硬貨を、駆動手段により回転するベルト部材により上方にリフトアップして、返却口から外部に放出する硬貨リフタ装置において、
硬貨を上方に搬送する前記ベルト部材が鉛直方向から平坦方向に延びるL字状に形成されたL字状搬送ベルト部と、
前記硬貨受取部に形成され、取り込んだ硬貨が立ったまま前記ベルト部材上を回転することを抑制する硬貨ローリング防止機構と
を備えたことを特徴とする硬貨リフタ装置。
【請求項3】
前記硬貨受取部に形成され、取り込んだ硬貨が立ったまま前記ベルト部材上を回転することを抑制する硬貨ローリング防止機構を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の硬貨リフタ装置。
【請求項4】
前記硬貨ローリング防止機構は、
硬貨をリフトアップさせるときの硬貨入口において前記ベルト部材の上方に配置されるとともに、先端の少なくとも一部が斜面状に形成された規制板である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の硬貨リフタ装置。
【請求項5】
前記硬貨ローリング防止機構は、
前記硬貨受取部の硬貨収納部の内壁面に形成された突部である
ことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項に記載の硬貨リフタ装置。
【請求項6】
前記L字状搬送ベルト部からリフトアップされた硬貨を外部に排出する硬貨排出部に形成され、リフトアップされた後の硬貨を前記返却口に案内する硬貨排出案内機構を備えた
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の硬貨リフタ装置。
【請求項7】
前記ベルト部材のローラの回転軸方向を装置奥行き方向とすると、当該装置奥行き方向に前記返却口を有する硬貨排出部を備えた
ことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の硬貨リフタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−83902(P2012−83902A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228665(P2010−228665)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000144544)レシップホールディングス株式会社 (179)
【Fターム(参考)】